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建築内装材料の臭気吸着効果とその持続性

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Academic year: 2021

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(1)

Effect of stench adsorption and durability for building interior materials Tomoaki OHNISHI, Isamu MATSUI, Ayumi OCHIBE and Hiroyuki NAKAYAMA

建築内装材料の臭気吸着効果とその持続性

日大生産工(院) ○大西 智哲 日大生産工 松井 勇 日本コンクリート工学協会 落部 鮎美 習志野化工(株) 中山 博之

1.はじめに

近年、住宅をはじめ喫煙所、高齢者施設や 病院などにおいて不快に感じる臭気を減らし たいという要望が増加しており、臭気吸着効 果のある内装材が開発され使用されている。

このような材料の選定に当たって、吸着効果 およびその持続性が挙げられる。

本研究では、悪臭防止法同施行令の特定悪 臭物質に指定されているアンモニアを用いて、

臭気吸着効果を持つ各種内装材を設置した試 験室内に、アンモニア水溶液を設置し、室内 アンモニア濃度の経時変化を測定し、各材料 の臭気吸着効果を比較検討した。さらに、こ の試験を繰り返し行い、吸着効果の持続性に ついて検討した。

2.実験方法 2.1実験材料

使用した内装材料は表1に示す5種類とした。

試験材料A・Eの原料は、珪藻土で二酸化ケイ 酸を主成分とする藻類の一種である珪藻の殻 の化石よりなる堆積岩である。試験材料Bの原 料は、火山灰起源の土壌に含まれるアルマノ ケイ酸塩を主成分とする粘土鉱物である。試 験材料Cの原料は、天然の大谷石である粘土鉱 物である。試験材料Dの原料は、ダイライトやロックウ ールに微細な空隙が多くある多孔質ケイ酸化合 物を混入したものである。

これらの材料は、寸法900mm×1800mm(張り 付け面積1.62㎡)の珪酸カルシウム板に張り 付けあるいは塗装を施したものを3枚用意し

た。これを試験材料とした。また、ブランク 試験としてビニールクロス張ったものを使用 した。

2.2試験室

試験室は写真1および図1に示すように前 室を備えた2室一体型の試験室とし、材料1種 類につき1室を使用して同時に2種類の材料に ついて実験を行えるものである。試験材料は 図1に示すように入口ドアの壁面を除いた3面 に立て掛けた。試験室は、本学部38号館ピロ ティーに設置した。

試験室 試験室

950 950

アンモニア

アンモニア

前室

パネル パネル

パネル

扇風機 扇風機 濃度計

濃度計 パネル

950950

1600 600

パネル

パネル A

図1 試験室平面図・断面図 表1 試験材料

写真1 試験室外観

材料名 原料

A(N社製) 珪藻土 B(I社製) アロフェン C(M社製) 天然ゼオライト D(D社製) 多孔質ケイ酸化合物 E(S社製) 珪藻土(塗装)

−日本大学生産工学部第42回学術講演会(2009-12-5)−

― 77 ― 4-21

(2)

2.2使用した臭い

実験に使用した臭いは、特定悪臭物質に指定 されているアンモニアを用い、これを濃度 0.5%水溶液として300mLビーカーに入れて図 1に示すように試験室中央に設置し、臭いの発 生源とした。

2.3実験手順

1)試験材料を設置した試験室内に、濃度0.5%

のアンモニア水溶液300mLを入れたビーカー (開口部直径12cm)を設置した。なお、実験中は 扇風機を用いて室内空気を拡散した。

2)アンモニア水溶液を設した後、30分,60 分,120分,180分後の室内アンモニア濃度及び

室内温度を測定した。測定時間180分は、既往 研究

1)

によりアンモニア濃度が飽和する時間 である。なお、室内アンモニア濃度の測定には ガス検知器(R社製SC-90型、検知範囲0~75ppm) を用いた。

3)上記1)2)の実験を各材料について、持続性を 確認するために4回を行った。なお、1回の実験 終了ごとに試験室内を換気し、室内アンモニア 濃度を0ppmに戻してから次の実験を行った。

3.結果及び考察

3.1室内アンモニア濃度の経時変化

室内アンモニア濃度の経時変化を図2に示す。

ビニールクロス(ブランク)の室内アンモニア

0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 30 60 90 120 150 180

室内ア ン モ ニ ア 濃度(ppm )

経過時間(分)

試験材料A

1回目 2回目 3回目 4回目

試験回数

図2 室内アンモニア濃度の経時変化

0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 30 60 90 120 150 180

室 内 アン モニ ア濃 度 ( p p m )

経過時間(分)

試験材料B

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 30 60 90 120 150 180

室内ア ン モ ニ ア 濃 度 (p pm )

経過時間(分)

試験材料C

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 30 60 90 120 150 180

室 内 アン モ ニ ア濃 度 ( p p m )

経過時間(分)

試験材料D

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 30 60 90 120 150 180

室 内 アン モニ ア濃 度 (p p m )

経過時間(分)

試験材料E

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 50

0 30 60 90 120 150 180

室内ア ン モ ニ ア 濃 度 (p p m )

経過時間(分)

ビニールクロス(ブランク)

― 78 ―

(3)

図3 試験回数と室内アンモニア濃度

図4 室内温度と室内アンモニア濃度

図5 室内アンモニア濃度の平均値

0

2 4 6 8 10 12

1 2 3 4

180分経過後の 室内ア ンモ ニ ア 濃度( pp m )

回数(回)

試験材料A 試験材料B 試験材料C 試験材料D 試験材料E ブランク

濃度は、経時とともに大きくなっている。

これに対し、各材料の経時変化の様子は、試 験材料 A と試験材料 D は、30 分以降も室内ア ンモニア濃度が減少し続けているが、試験材料 B と試験材料 E は、30 分以降の室内アンモニア 濃度がほぼ一定になっている。また、試験材料 C については回数によるばらつきが大きく、経 時変化の傾向もそれぞれ異なっている。しかし、

いずれの材料も 180 分後、室内アンモニア濃度 はブランク(35~45ppm)に比べて非常に小さく なっており、吸着効果が認められる。

3.2吸着効果の持続性

試験回数と180分後の室内アンモニア濃度の 関係を図3に示す。

いずれの材料も試験回数によって室内アン モニア濃度の値が異なっており、回数を重ねる につれて濃度が上がっているもの、下がってい るものがあり明確な傾向は見られない。この要 因の一つとして、室内温度の影響によるアンモ ニア蒸散量の違いが考えられる。

そこで、室内温度と 180 分後の室アンモニア 濃度の関係を図 4 に示す。

試験材料 B と試験材料 C は試験回数、1 回と 2 回での室内アンモニア濃度が高くなってい る。これは室内温度が他に比べ、高くなってい るためであるこのことから、室内温度が高いほ ど室内アンモニア濃度が大きくなっている傾 向を示している。この結果、試験回数によって 180 分後の室内アンモニア濃度にバラつきが 大きくなっている。

3.4各材料の臭気吸着効果

図5に室内温度の非常に異なるものを除いた 室内アンモニア濃度の平均値と経時変化を示 す。

ブランクは図2の経時変化と同様、経時とと もに室内アンモニア濃度が大きくなっている。

原料が珪藻土の試験材料Aと試験材料Eは、30

32 36 40

44 試験材料A 試験材料B 試験材料C 試験材料D 試験材料E ブランク

0 4 8 12

0 30 60 90 120 150 180 経過時間(分)

室内 アンモニア濃 度(ppm)

0 2 4 6 8 10 12

10 12 14 16 18 20 22

180分 経過後の室内ア ン モ ニ ア 濃度( pp m )

室内温度(℃)

試験材料A 試験材料B 試験材料C 試験材料D 試験材料E

1

1 1

2

1

1

2 2

2 3 2 3

3

3 3

4 4

4 4

4

― 79 ―

(4)

分以降の室内アンモニア濃度がわずかである が減少し続けている。室内アンモニア濃度は試 験材料Eに比べ試験材料Aの方が大きくなって いる。試験材料Bは、30分以降から室内アンモ ニア濃度がほぼ一定となっている。試験材料C は、30分~120分では室内アンモニア濃度が減 少し続け、120分以降はほぼ一定となっている。

試験材料Dは、30分後では、室内アンモニア濃 度11.5ppmを示し、他に比し大きくなっている が、180分後の室内アンモニア濃度は8ppmとな っている。これらの結果より、ブランク以外の 試験材料には吸着効果があると考えられる。

そこで、その吸着効果をみるために、各試験 材料のアンモニア濃度低下率(平均値)の経時 変化を図6に示す。なお、室内アンモニア濃度 低下率は(1)式より求めたものである。

試験材料Aの室内アンモニア濃度低下率は、

85.7%となっている。同じ珪藻土の試験材料E は88.1%となり、試験材料Aに比べ試験材料E の方が低下率が大きくなっている。しかし、試 験材料Aは、わずかであるが経過時間とともに 低下率は上昇している。試験材料Bは120分以 降88.7%を保っている。試験材料Cは90.6%と 最も大きい低下率になり、わずかであるが経過 時間とともに低下率は上昇している。試験材料 Dは、最も低下率が低く、180分後に79.9%とな っている。しかし、経過時間とともに低下率は 上昇している。

これらのことから、吸着効果が大きい試験材 料は試験材料C(原料:天然ゼオライト)>試験 材料B(原料:アロフェン)>試験材料E(原料:

珪藻土)>試験材料A(原料:珪藻土)>試験材料 D(原料:多孔質ケイ酸化合物)となり、天然ゼ オライトの臭気吸着が最も優れている。試験材 料Dの吸着即効性は他に比し小さいが180分後 には、ほぼ他の試験材料と同程度の吸着効果を 示している。

臭気吸着効果の即効性も材料の選定のひと つとなる。

A

r

:アンモニア濃度低下率(%)

B :ブランクの室内アンモニア濃度(ppm) ρ :対象試験材料の室内アンモニア濃度(ppm)

4.まとめ

(1)ブランクの室内アンモニア濃度は経時とと もに大きくなっていく。

(2)全ての試験材料に吸着効果が認められるが、

経時変化の様子は試験材料によって異なって いる。

(3)室内温度が高いと室内アンモニア濃度も高 くなる。

(4)180分後の室内アンモニア濃度低下率は全 ての試験材料がほぼ同程度である。

(5)臭気吸着効果の即効性も材料の選定のひと つとなる。

[謝辞]

本研究を行うにあたり、試験材料及び試験室 を提供いただいた習志野化工(株)の中山氏に 感謝の意を表します。

[参考文献]

1)中山博之,松井勇,落部鮎美,アンモニア臭 の臭気強度と濃度の関係-珪藻土・漆喰調湿内 装パネルの悪臭吸着効果-,日本建築学会学術 講演梗概集pp963-964,2007

図6 室内アンモニア濃度低下率

Ar= B-ρ

B ×100 ・・・(1)

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100

0 30 60 120 180

室内アンモニア濃度低下率(%)

経過時間(分)

試験材料A 試験材料B 試験材料C 試験材料D 試験材料E

― 80 ―

参照

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