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機械端フィードバックによる汎用サーボの振動抑制技術

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Academic year: 2021

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機械端フィードバックによる汎用サーボの振動抑制技術

1. はじめに

 汎用サーボシステム(以下,汎用サー ボ)は,半導体製造装置や部品実装機 などの産業用機械の駆動装置として組 み込まれる機器であり,機械の高付加 価値化や高生産性を実現するため,高 速高精度な位置決め動作が要求され る.これに応えるため,汎用サーボは さまざまな制御機能を搭載しているが,

通常は,メーカ技術者またはユーザ自 身がこれら制御機能のゲインを設定し,

制御仕様を満たす制御系を構築する.

そのため,汎用サーボにおいては,高 性能な制御機能の開発だけでなく,調 整の容易性が極めて重要な要素となる.

2. 汎用サーボにおける最近の課題

 産業界では,エンコーダ情報のみを フィードバックするセミクローズド制 御が広く採用されており,摩擦など外

乱に対する感度を低減し,高精度な位 置決め動作を実現するには,制御ルー プのゲインを高く設定する必要があ る.しかし,加減速駆動の高速化が進 展する一方で,軽量化や低コスト化へ の圧力が強まる現在,機械剛性を向上 させるには限界がある.そのため,機 械共振に起因した振動が問題となり,

制御ループゲインを十分大きくでき ず,位置決め動作への妨げとなる場合 がある.よって,機械振動を励起させ ることなく,いかに外乱に対する感度 を低減するかが汎用サーボにおける重 要な課題となっている.

3. 現在までの研究

 従来より,H∞制御やオブザーバを 応用した方式などフィードバック制御 による機械振動を抑制する方式が多く 提案されている.しかし,振動周波数 が低い場合では,フィードバック制御 のみで振動抑制と感度低減を両立する のは困難である.実際には,フィード フォワード制御を組み合わせた 2 自由 度制御を構成し,フィードバック制御 のハイゲイン化により低感度化を実現 し,機械特性を考慮してフィードフォ ワード的に振動を抑制する方式が採用 されている.しかしながら,モデル化 誤差や外乱により励起される機械振動 などを考慮すると,フィードバック制 御により制振効果を向上させることも 重要となる(1)(2)

 本稿では,エンコーダ情報だけでなく,

機械端の加速度をフィードバックする制 御系を考え,フィードバック制御による 低感度化および振動抑制を実現する振 動抑制技術について簡単に紹介する(1)

4. 機械端フィードバックを用い

た振動抑制技術

 2 慣性系で近似できる制御対象に対 し,図 1に示すセミクローズド制御 方式を適用する場合を考える.このと き,モータトルクτmの箇所(図 1中 の×印)で制御ループを切り開いたと きの開ループ伝達関数には,制御対象 の零点(反共振零点)と制御器の零点 がそのまま現れ,図 2の点線に示す ように,その周波数応答は,反共振周 波数でゲインが小さくなる.

 開ループ伝達関数の周波数応答は図 2の点線となる.開ループ伝達関数に は制御対象の零点(反共振零点)と制 御器の零点がそのまま現れる.制御器 の零点は位置および速度制御ゲインに より直接的に指定し,これら零点を開 ループ交差周波数に応じて変更するこ とで直感的なハイゲイン化が可能とな る.しかし,セミクローズド制御方式 は制御対象の反共振零点を変更する自 由度を持たないため,ハイゲインにす ると閉ループ極の一部が減衰の悪い反

共振零点に近づくため制御対象の振動 特性は劣化することになる.

 セミクローズド制御に機械端の情報 をフィードバックするループを追加す ると,全状態フィードバック制御が可 能となり,フィードバック制御による 積極的な振動抑制を行うことができ る.これは,開ループの反共振周波数 とその減衰も自由に設定できることを 意味する.しかし,極配置のように閉 ループ特性を指標とする設計手法を用 いると,ロバスト安定性が低い制御器 が設計される,あるいは振動的な制御 対象における制御系の応答と極配置と の対応が把握しづらくなるなど,セミ クローズド制御からの連続的な調整が 失われることになる.

 著者らが提案する加速度フィード バック制御方式を図 3に示す.提案 方式は,図 2の実線に示すように,

開ループ周波数応答の反共振減衰のみ を変更するよう制御器を簡易的に構成 している.開ループの反共振周波数を 変更することはできないものの,セミ クローズド制御と同様に制御器で付加 する零点を位置および速度制御ゲイン で直接的に指定するとともに,新たに 追加したゲイン kaのみを調整するこ とで開ループ零点を制御対象の反共振 零点から変化させることで振動抑制を 実現するものである.ゲイン kaを 0 から徐々に大きくするだけの簡単な調 整で,セミクローズド制御のゲインを 変更することなく制御対象の振動特性 を改善する方向へ変化させるため,モ デル化誤差に対するロバスト安定性と 振動抑制とのトレードオフを考慮した 調整も容易に実施できる.

 図 4は,本稿で述べた制御方式を 位置決め制御に適用した結果である.

ここでは機械系を剛体として模擬した 規範モデル制御による 2 自由度制御を 用いている.同図より,停止時近傍で の機械振動を抑制できていることが確 認できる.

5. おわりに

 本稿では,機械端加速度フィード バックを用いた振動抑制について紹介 した.今後も汎用サーボにおいて,簡 単かつ高性能な制御性能の開発に取り 組む予定である.

(原稿受付 2010 年 8 月 24 日)

〔池田英俊,丸下貴弘 三菱電機(株)〕

●文 献

( 1 )Marushita, Y.,ほか,Vibration Suppression Control using the Load-side Acceleration Feedback, The 33rd Anual Conference of IECON(2007), 810.

( 2 )山元純文・ほか,テーブル間干渉を有する システムに対する負荷端加速度フィード バック制御,電気学会産業計測研究会資料,

IIC-09-95(2009).

図 4 位置決め制御結果

Time(s)

Time(s)

0.4 0.3 0.2 0.1 0

−0.1

−0.20 0.1 指令速度 2 000 rpm

位置指令 位置偏差

指令速度 2 000 rpm

位置指令 位置偏差

0.2 0.3 0.4 0.5

0.4 0.3 0.2 0.1 0

−0.1

−0.20 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

(a)セミクローズド制御

(b)提案方式

図 1 セミクローズド制御の構成

+ー

( +ω )

ω

τ

θ θ

+ー

+ー +

++ 1 /

( +ω ) ω

τ

θ θ

++ ー

図 3 加速度フィードバック制御の構成

80 40

−4010−1 100 101

101 100

10−1 0

セミクローズド制御

Gain(dB)

−270

−180

−90 0 90

Phase(deg)

Frequency(rad / S)

Frequency(rad / S)

提案方式

図 2 開ループ周波数応答

824 日本機械学会誌 2010. 10 Vol. 113 No.1103

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参照

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