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坑内計測データを用いた前方 地 山 予 測 手 法 に 関 す る 研 究

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Academic year: 2021

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西松建設技報 VOL.37

坑内計測データを用いた前方 地 山 予 測 手 法 に 関 す る 研 究

(PS-Tad)

竹村 いずみ 千々和 辰訓 Izumi Takemura Tatsunori Chijiwa 石山 宏二**

Koji Ishiyama

1.はじめに

本研究は,一昨年度より実施している山口大学との共 同研究成果をまとめたものである1)2)

山岳トンネルの施工中には,地山状況の把握および観 察のために,坑内の変位計測が行われている.計測には 3次元光波測距儀(トータルステーション)が一般的に 用いられており,これにより図―1に示すように,各計 測点の3次元の変位を把握することが可能となっている.

しかし,得られた3次元の計測結果のうち,管理されて いるのは天端沈下および内空変位というトンネル断面内 の変位のみであり,計測点がトンネルの掘削方向に変位 する挙動は計測結果として使用されていない.

そこで,本研究では既往研究の成果3)から,トンネル の掘削方向の変位に着目し,この挙動特性を活用した前 方地山の予測手法を提案した.

2.PS-Tad の概要

⑴ トンネル掘削方向変位挙動

本研究では,はじめにトンネルの掘削方向変位挙動を 3次元数値解析により求めた.図―2に前方地山の状況 を変化させた場合の掘削方向変位の挙動を示す.同図か ら,前方地山の良し悪しにより,掘削方向変位は異なる 挙動を示すことがわかる1)3)

⑵ PS-Tad2)の概要と特性

図―2に示した掘削方向変位特性を用いて,切羽より 前方の地山状況を予測する手法「PS-Tad(Prediction System-Tunnel axial displacement)」を提案する.PS-Tad では,図―3に示す「Tad-Chart」という領域図を使用す る.Tad-Chartには,計測点から1D(D:トンネル直径)掘 削した地点からの相対的な掘削方向変位に「地山影響値」

を乗じたものをプロットする.ここで,相対的な掘削方 向変位とは,1D掘削した地点での計測点の掘削方向変

位を初期値すなわちゼロとし,1D掘削した地点からの 軸方向変位に換算した値を示す.また,「地山影響値」は 式⑴より算出される値であり,前方地山の性状の他に掘 削方向変位の挙動に影響を与える特性値により構成して いる.地山影響値を計測点の掘削方向変位に乗じること で前方地山の性状のみに影響した掘削方向変位挙動が得 られる2)

地山影響値= 計測断面の変形係数 (1) トンネル直径×単位重量×土被り高さ 図 ― 1 掘削方向変位と前方地山性状のイメージ

図 ― 2 数値解析により算出した計測点の掘削方向変位挙動

図 ― 3 PS-Tad に用いる領域図

「Tad-Chart」

**

土木設計部 設計課

技術研究所 土木技術グループ

-60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20

0 10 20 30 40 50 60 70

ル掘削方向変位(mm)

計測点から切羽までの距離 (m) 前方地山

坑口掘削進行側

前方地山が良好になる場合 前方地山が軟弱になる場合 前方地山が変わらない場合

1D 1D+20m

0

1D+10m

掘削方向変位×地山影響値

計測点から切羽までの距離 (m) 1D+20mよりも前方の

地山性状 良好である 徐々に良好になる 変わらない 徐々に軟弱になる 軟弱である

西松技報2014.indb 1 2014/05/20 18:41

(2)

西松建設技報 VOL.37

2 坑内計測データを用いた前方地山予測手法に関する研究(PS-Tad)

すなわち,PS-Tadは図―3に示すTad-Chartに各計測 点の掘削方向変位に地山影響値を乗じた値をプロットし ていき,Tad-Chartのどの領域にプロットされていくか によって前方地山の性状を予測する手法である.

3.実施工データへの試行

⑴ 適用現場概要

提案したPS-Tadについて,実施工データを用いて適

用性の検討を行った.適用現場は,当社施工の七尾トン ネルの実測データを採用し,切羽評価点の増減が最も大

きかった600 m~950 m区間を検討区間とした.適用区

間の地質性状を図―4に示す.また,図―5に検討区間 の「切羽評価点」および「天端沈下と土被り高さから逆 解析により求めた地山の変形係数」の推移図を示す.図―

5から,検討区間の変形係数と切羽評価点の挙動はよく 似ており,また,いずれの値についても増減が大きいこ とから,地山が軟弱な状態と良好な状態が共在していた ことがわかる.

⑵ 適用結果および考察

図―6に,前方地山の性状があまり変化しなかった位 置(計測点A),良好になった位置(計測点B),劣悪に なった位置(計測点C)にそれぞれ設置されていた計測

点の値をTad-Chart上にプロットした図を示す.同図か

ら,それぞれの計測点の値は前方の地山性状によって異 なる挙動を示しており,また,いずれの計測点において

もTad-Chartで前方の地山性状によって設定された領域

の周辺に分布していることがわかる.しかし,指定した

領域外に外れて分布している箇所も混在しており,予測 精度を向上させる工夫が必要であることがわかった.

4.おわりに

掘削方向変位を用いた前方地山予測法PS-Tadを提案 し,実施工データを用いて試行を行った.試行結果から 予測手法としての適用性を確認したが,さらに予測精度 を向上させる必要があるという課題点も見つかった.

今後,実現場へ適用して課題解決を図り,日常管理と して使用する方法を確立したい.

謝辞.山口大学工学部 進士正人教授 辻岡高志氏には,本 研究の進展に際し懇切丁寧なご指導およびご協力を頂き ました.記して感謝の意を表します.

参考文献

1)竹村いずみ,進士正人,鬼頭夏樹,千々和辰訓,石 山宏二:坑内の軸方向変位を用いた前方地山状況の 予測法の提案,トンネル工学報告集,第21巻,pp.1

⊖7, 2011.

2)辻岡高志,武内秀頼,竹村いずみ,進士正人:天端 軸方向変位による前方地山予測法の改良を目指した 基礎的検討,トンネル工学報告集,第23巻,pp.177

⊖182, 2013.

3) W.Shubert, A.Budil :The importance of longitudinal deformation in tunnel excavation, Proc.of 8 th Int.

Congress on Rock Mechanics, Tokyo, 3, pp.1411⊖

1414, 1995.

含礫砂岩層 礫岩層 砂岩優勢層

凝灰角礫岩

600m 950m

火山円礫岩・砂岩互層

縦断距離 (m) 掘削部分

計測点A 計測点B 計測点C

0 2000 4000 6000 8000

0 20 40 60 80

600 700 800 900

(MPa)

切羽評価()

縦断距離 (m) 切羽評価点 変形係数

-40 -35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5

×地山影響

計測点から切羽までの距離(m) 実測値

(TD739.7m)

1D 1D+10m 1D+20m -40

-35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5

×地山影響

計測点から切羽までの距離(m) 実測値

(TD835.3m)

1D 1D+10m 1D+20m -40

-35 -30 -25 -20 -15 -10 -5 0 5

掘削方向変位×地山影響値

計測点から切羽までの距離(m) 実測値

(TD686.7m)

1D 1D+10m 1D+20m

(c) 計測点 C(TD835.3 m)

(b) 計測点 B(TD739.7 m)

(a) 計測点 A(TD686.7 m)

図 ― 6 Tad-Chart との適用結果

図 ― 4  地質縦断図 図 ― 5 切羽評価点および弾性係数の推移

西松技報2014.indb 2 2014/05/20 18:41

参照

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