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先天性心疾患における画像診断国立循環器病センター小児科

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Academic year: 2021

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平成16年 3 月 1 日 17

Editorial Comment

PEDIATRIC CARDIOLOGY and CARDIAC SURGERY VOL. 20 NO. 2 (83–85)

先天性心疾患における画像診断

国立循環器病センター小児科 塚野 真也

1.はじめに

 池田論文は心房中隔欠損の診断におけるヘリカルCTの有用性について論じたものである.先天性心疾患における 画像診断は,速い動きのある心臓の画像を描出する必要性から時間分解能が良好な心エコー検査と心臓カテーテル 検査が主であった.しかし,近年CTならびにMRIの進歩は心臓の画像診断を可能とし,先天性心疾患にも応用され るようになった.一般に画像診断は得られる画像が断層像か投影像かでまず特徴があり,さらに画像の質を左右す る項目としては時間分解能,空間分解能,濃度分解能が挙げられる.最初にCTおよびMRIについて簡単に解説し,

次いで本論文についてのコメントを述べたい.

2.CT

 CTは,開発された当初は 1 断面のスキャン時間が 5 分程度であった.その後は飛躍的に改善されたが,管球を 1 回スキャンするたびに逆方向にX線管球を回転させる関係上,時間分解能の改善には限界があった.近年開発された スリップリング機構を使用したヘリカルCTは,X線管球を同方向に連続して回転することができるため,1 回転のス キャン時間は 1 秒程度で連続して検査台を移動させることにより体軸方向に連続した投影データが得られる.この ため検査時間が短縮され三次元構築も容易となった.先天性心疾患では比較的呼吸の影響の少ない大血管,気管な どでの診断に応用され,その有用性が報告されてきた.しかし複数の検出器を有するマルチスライスCTはより薄い スライスでより短時間により広範囲を撮影することができ,さらに心電図同期法ですべての心時相におけるvolume dataを得ることができ,心内構造の描出も可能となってきている1)

 一方,electron-beam CTは陰極から放出した電子を加速させ陽極のタングステンターゲットに衝突させることによっ てX線を扇状に発生させる方法で,従来のX線管球を回転させる方法と全く異なる.最大の特徴は時間分解能の良さ で,スキャン時間は最短で50msecで 1 秒間に17フレームの連続した断層像が得られるとともに壁運動の解析や心筋 組織性状の診断も可能である.

 このようにCTは心エコーと比較すると,時間分解能は劣り,やや侵襲的であるが,死角のない画像が得られるこ と,検査施行者に左右されることのない再現性のある画像が得られることを特徴としている.空間分解能は最新型 では0.5mm前後である.Fig. 1 に心内構造が正常例の16列検出器マルチスライスCT画像を,Fig. 2 に心房中隔欠損,

部分肺静脈還流異常のelectron-beam CT画像を示す.

3.MRI

 時間分解能,空間分解能とも比較的良好であるが,濃度分解能が他より優れている.撮影も高速化され息止めに よる心電図同期撮影が可能となった.現在では形態情報だけでなく,シネMRI,tagging法などによる心機能,壁運動 の解析,位相速度法による血流速度測定,造影剤を用いたMR angiographyや心筋組織性状の診断など心臓の画像診 断に必要なあらゆるものが可能となりつつある.しかしCTと比較して撮影におけるパラメータの設定が煩雑であり,

また他の領域でのニーズも大きく,緊急性のある心臓疾患に対しては利用しにくい難点はある.CTと同様に死角の ない画像が得らえることとあらゆる方向の断面が得られることが最も大きな特徴である.また造影剤を使用しなく ても撮影できるため,繰り返して画像の収集が可能である.すなわちCTでは造影剤を使用した画像収集は通常は 1 回であり,おもに撮影後に診断することになるが,MRIの場合には検査中に種々の角度から必要な画像収集を行いな がら診断することが可能である.この点は心エコーや心臓カテーテル検査による心血管造影法と同様に検査中に応 用がきく点で優れている.

4.コメント

 池田論文では心房中隔欠損の診断に心臓カテーテル検査を省く代わりにスクリーニング的な意味でヘリカルCTを

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18 日本小児循環器学会雑誌 第20巻 第 2 号 84

Fig. 1 Multislice CT (16- detector-row CT).

1: right upper pulmonary vein, 2: right lower pulmonary vein, 3: left lower pulmonary vein, S: superior vena cava, Ao: aorta, LA: left atrium

Fig. 2 Electron-beam CT.

A case of atrial septal defect and partial pulmonary venous connection.

White arrows: right upper pulmonary veins draining into superior vena cava (SVC) and junction of SVC and right atrium rPA: right pulmonary artery, Ao: aorta

施行しており,部分肺静脈還流異常のほか,Scimitar症候群,右肺動脈狭窄,右鎖骨下動脈起始異常,Morgagni孔ヘ ルニアについて診断が可能であった.これらのなかでは心房中隔欠損における部分肺静脈還流異常の有無が臨床上 最も重要と思われる.言うまでもなく経胸壁心エコー法は簡便性,非侵襲性,画像の質などから必須検査としてよ い.短所として肺などが障害となり十分な画像が得られない部位がみられること,また肺静脈還流異常については ある程度肺静脈の描出に慣れておくことが必要と思われる.

(3)

平成16年 3 月 1 日 19

85

 他のCT,MRI,カテーテル心臓血管造影法はどうであろうか.空間分解能および濃度分解能については,肺静脈 の描出であるので各画像診断法ともあまり問題はないと考えられる.ヘリカルCTでも肺静脈は呼吸や心拍動による 影響を比較的受けない部位であるため,池田論文のFig. 1 にみられるように典型例において診断は容易であるが,マ ルチスライスCT,electron-beam CTではさらに診断率が向上すると考えられる.ただしCTはおもに静止画像での診 断となるが,心エコー法やカテーテル心臓血管造影法では静止画像だけでなく,肺静脈血流を動画にして描出でき る点では診断の確実性が高い.またCTではpartial volume effectによる影響を判読の際に十分注意する必要がある.

 MRIは部分肺静脈還流異常の診断にも有用である2, 3),さらにQp/Qsの計測も可能なため,手術適応を決定する目的 で術前検査にMRIを採用する施設もあると思われる.その他,経食道心エコー法も肺静脈還流異常の診断には有力で ある4).特に術中に行うことで患者負担は減るものと思われる.

 経胸壁心エコー法のみでは肺静脈還流異常の診断は必ずしも確実ではない.心臓カテーテル検査を省略して他の 画像診断を追加する場合には,各施設の画像診断装置の特徴,小児循環器科医や放射線科医など画像診断に関わる スタッフのマンパワー,医療経済などを考慮して検査を選択すればよいと思われる.また外科医のコンセンサスを 得ることのみならず,術前検討は検査担当者自らが画像を示して外科医に説明する必要があろう.また池田論文で はCT診断は小児循環器科医が行っているが,放射線科医による判読も必須と考える.

 【参 考 文 献】

1)濱田星紀,中村仁信:心臓疾患のCT診断.臨床放射線 2002;47:75–99

2)Vesely TM, Julsrud PR, Brown JJ, et al: MR imaging of partial anomalous pulmonary venous connections. J Comput Assist Tomogr 1991; 15: 752–756

3)Valsangiacomo ER, Levasseur S, McCrindle BW, et al: Contrast-enhanced MR angiography of pulmonary venous abnormalities in children. Pediatr Radiol 2003; 33: 92–98

4)Ammash NM, Seward JB, Warnes CA, et al: Partial anomalous pulmonary venous connection: Diagnosis by transesophageal echocardiography. J Am Coll Cardiol 1997; 29: 1351–1358

参照

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