再現性
実験の再現
科学的方法において研究成果を他者の批判にさらすことは研究を研磨する上で重要であ る。この批判精神がなければ自己満足な研究しかできなくなる。また、誤謬が紛れ込む 余地が生まれ、科学の土台が揺れる一大事となる。科学者は研究成果を公開することで互 いに批判を行う。
批判では、帰納的推論及び演繹的推論に誤りがないことを検証する。必要なら、実験を 再現して検証する。
特に常識を疑う結論を導く論文には注意が必要である。例えば、相対性理論や量子論は それ以前の物理的常識とはかけ離れたものであるが、今日では真実であると検証された 一方、試験管核融合は、それに成功したと主張する学者以外のすべての人が実験を再現で きなかったため否定された。今日でも多くの疑似科学が自己満足的な証明を根拠に蔓延し ている。
実験環境
論文には、第三者が再現できるように実験環境を明記しなければならない。実験環境と は、実験に影響すると予想されるすべての要因であり、具体的にはハードウェア、ソフ トウェア、ネットワーク、ユーザなどがある。
ハードウェアは
PC
の仕様で決まる。市販PC
であれば製品名を記す場合もあるが、自 作PC
であれば仕様を詳細に記すしかない。仕様の等しいPC
は基本的に性能も等しい。重要な仕様は
CPU
の種類と搭載メモリの量である。ソフトウェアは
OS
でほぼ決まる。しかし、実験にアプリケーションを用いたならば 、 そのアプリケーションも実験環境に含まれる。OS
にはバージョンがある。例えば、Windows
であっても2000
とXP
は異なる。さらに、SP(Service Pack)が適用されてい るかどうかも問題となる。これらの情報は[コントロールパネル][システム]で確認できる1。また、[アクセサリ]
[システムツール][システム情報]でも確認できる。コマンドプロンプトでは、ver
コ マンド、systeminfoコマンドなどでも確認できる。ネットワークは自分以外に通信対象とその経路にも依存する。ネットワークのアドレ スでは
ipconfig
コマンドで確認できる。ユーザは人間である。人間の振る舞いはその人の年齢性別など様々な要因に依存すると 考えられるが、そのときの気分にも依存するため再現性に乏しい。そのため統計的に扱 う必要がある。人間の影響も別に実験に譲る。実験に人間を用いる場合、被験者の特性が 実験にどのように影響するか十分考察する必要がある。人間的要素は後日アンケートで評
1
コントロールパネルの操作は禁止されていることがある。
価する方法を学ぶ。
演習1
実験環境として実験用
PC
の仕様を調べよ。追実験
追実験では、可能な限り実験環境を再現することが望ましい。そのため同じ種類のマシ ンを使うことが望ましい。
しかし、まったく同じ実験環境を再現することは現実には困難である。例えば、同じ種 類のマシンを用意することができても、それはハード的な条件を等しくしたに過ぎず、
ソフト的な条件が等しくなるとは限らない。
そこで、ソフト的な条件を一致させるために、不要なタスクを停止する。そして、稼働 中のタスクを再現する。実行中のタスクはタスクバー及び
Ctrl+Alt+Del
キーで確認でき る。同じ環境を実現できない場合は、絶対的な測定値で比較するのではなく、相対的な傾向で 比較する。例えば、グラフを描いて、相似形になることを確認する。
ここで、グループを組み、レポート
R3
を交換する。実験3
先週の実験2を追実験せよ。実験環境を明記した上で、実験方法(測定用プログラムな ど)、実験結果を記せ。追実験を行い、その結果が正しいことを確認せよ。また、自分の 結果と比較し、考察せよ。なお、レポートに不備があるために追実験できない場合、レ ポートを校正して、著者に照会せよ。
課題
実験がどのような環境に影響されるか調べ、正確な追実験を行うために必要なことを論 ぜよ。
なお、「追実験」の意味を調べるわけではないので、辞書や
Wikipedia
を調べても意味 がない。本日の内容をレポート