中西孝平*
Abstract
Asfaraslknow,studentsplarnngorpreparmgtolaunchnewbusinessarenotmanyinalocal privatecollege.MostStudentshaveneithermotivationnorspirittochallenge.Whatisthepur‑
poseofEntrepreneurshipEducationataLocalPrivateCollegelnsuchasimation?Onthatpoint,
thisreportreconsidersthroughanalyzing"FoodDevelopmentPrOject"and"DietaryEducation PrOject",whicharecarryoutastheactivityofNakanishiseminar.
はじめに
鹿児島国際大学経済学部の中西ゼミナール(以下, IUK中西ゼミ)では, 2018年度以降, 2年生を対象 として,前期に食品開発プロジェクト 「学生アイデアでかごしま発のヒット商品を創ろう !〜かごしまの 豊かな地域資源を活かした逸品づくり〜」 (以下,食品開発プロジェクト)を,後期に食育プロジェクト
「栄養を考えた逸品づくり」 (以下,食育プロジェクト)をそれぞれ地元企業及び地元教育機関等との連携 により実施している。両プロジェクトの目的は,学生に地元食材を用いた食品開発に取り組ませることを 通して,学生の地元.鹿児島に対する関心を培い,将来何らかの経験を契機として鹿児島県内で起業する 可能性をもつ人材に育成することにある。
拙稿(2019)では,両プロジェクトでの学生の取り組みを具に観察した結果から起業家教育プログラム の策定を試みた。その結果,学生が,一連の取り組みを通して,モノづくりが様々な課題を繰り返し克服 した末に実現するものであることや,そのためにもグループを超えて活発にコミュニケーシヨンを図るこ とが重要であることを学んだことがわかったものの, このような学生の学びが将来の起業にどのようにつ ながるのかを示すことはできなかった。その要因として,起業意識は人生経験を通して段階的に形成され ていくものであることが踏まえられていなかったことが挙げられる。
筆者が講義やゼミ活動等で観察している限りの知見では,地方私立大学において,現在すでに起業を志 している起業志望者や将来起業志望者に転換する可能性のある起業予備軍はいるものの, その数は少な い。また,課題に取り組む気概に欠ける学生が多く,年々その力が低下しているように感じられる。学生 がこのような状態にある中で,そもそも起業家教育とはどのような目的をもつべきであり,両プロジェク
トはその目的を達成するために効果をもちうるのか。それを明らかにするのが本稿の目的である。
第1節では, 『国税庁統計年報』と『雇用保険事業年捌, 『就業構造基本調査』の三点から,個人企業を 含めた起業家数が大きく減少し,起業家の高齢化が進んでいることを明らかにしたうえで, 「起業家の年 齢別推移(男女)」と「起業の担い手の推移」, 「在学中の大学生の起業意識」を基に,大学生を対象に起 業家教育を実施し,起業家精神を培うことの社会的意義が論じられている。
キーワード:起業家教育,生きる力,食料・飲料品産業,鹿児島県経済
*本学経済学部経営学科講師
−25−
地域総合研究第47巻第2号(2020年)
第2節では,小学生対象の起業家教育に関する論考を紹介したうえで,それらが目的とする「生きる力」
の醸成が,地方私立大学における起業志望者及び起業準備者の少なさや学生の課題に取り組む気概の欠如 に鑑みて,学生対象の起業家教育の目的として適切であることが論じられている。
第3節では,食料・飲料品産業が鹿児島県において大きな存在感を示しており, 同産業における起業を 当然のものとする産業的雰囲気が生まれやすい可能性を指摘している。そして,同産業がその性質上多数 乱戦業界となりやすく,学生アイデアが採用されやすい点に鑑みて,鹿児島県内の大学においてビジネス 疑似体験を実施する業界として相応しいとしている。
第4節では,起業家教育の事例として, IUK中西ゼミが地元企業及び地元教育機関等との連携により実 施している「食品開発プロジェクト」と「食育プロジェクト」を取り上げている。そして,両プロジェク トに取り組んだ学生が作成した課題レポートを基に,両プロジェクトが学生にどのような教育効果をもた らしたのかについて明らかにし,本稿の括りとしている。
第1節わが国の新規開業動向と起業家教育の社会的意義
2014年6月24日, 「日本再興戦略改訂版2014』が閣議決定された。同戦略には, 「日本の『稼ぐ力』を取 り戻す」というスローガンの下,各種イノベーション創出策のほか,起業家教育の強化やベンチャー表彰 の創設による国民意識の改革等が盛り込まれた。その後, 同戦略は二度にわたり改訂され, 「第四次産業 革命」への対応としてベンチャー企業や研究機関等との連携によるオープンイノベーションの推進が提言 された。シュンペーター(1912)は,経済成長の原動力が生産物や生産方法を従来とは異なる形で結合す る「新結合(イノベーション)'」の遂行にあることを指摘し,新人及び新企業を担い手とする仮説を提起 した。現代のような企業活動のスピードが速く,企業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する時代におい ては, まさにイノベーションを創出することができる人材の育成が求められる。これはアメリカ経営史の 展開を通して証明するところである。
では, 日本経済が低迷を続ける中で,わが国の新規開業動向はどのように推移したのであろうか。この 点につき, 『国税庁統計年剥と『雇用保険事業年鋤, 『就業構造基本調査』の三点から見たい。まず, 『国 税庁統計年報』によると,全国の申告法人数は2013年から2017年の5年間で103,546社増加している(表l 参照)。また, 『雇用保険事業年報』によると,事業所数は2014年から2017年の4年間で125,296事業所増加 しており, この傾向は全ての従業員規模で見られる(図1参照)。このように, 『国税庁統計年報』と『雇 用保険事業年報』から, この5年間会社ベースと事業所ベースのいずれにおいても増加傾向にあること がわかる2。ただ, 『国税庁統計年捌には毎年末の法人数が設立形態別に掲載されており,会社ベースの 開廃業動向を把握することができるものの,開業企業が全て会社企業であるわけではない点を考盧する必 要がある。また, 『雇用保険事業年報』には対象が従業員を雇用している事業所に限られてしまうことや,
長年一人で事業を営んでいた者が新たに従業員を雇うと開業と捉えられてしまうことが短所としてある。
そこで, 開業活動を経営者の誕生という観点から捉え, 『就業構造基本調査』から起業者総数及び前回調 査年度10月以降の起業者総数を見ると,起業者総数は2007年の5909.7千人から2017年の4770.9千人へ,前 回調査年度10月以降の起業者総数は同じく541.0千人から421.3千人へと大きく減らしていることがわかる3
l その類型として, シュンペーターは,①新しい財貨すなわち消費者の間でまだ知られていない財貨,あるいは新しい品質の財 貨の生産,②新しい生産方法の導入,③新しい販路の開拓,④原料あるいは半製品の新しい供給源の獲得,⑤新しい組織の実現 の五点を挙げている。
2 『国税庁統計年剥は会社ベース, 『雇用保険事業年調は事業所ベース。
3 この数値には事業承継により経営者となった者やヘッドハンティング等により既存の企業の経営者になった者等も含まれる点,
留意を要する。
(表2参照)。図2に見るとおり, 2009年以降一貫して開業率が廃業率を上回っているにもかかわらず起業者 総数は大きく減少しているのは一見矛盾したことのように思われるが, これは開・廃業率が「雇用保険事 業年報」を基に算出されたものであるため, そこで割り出された数値には個人企業が含まれていないこと が要因である。2016年6月2日に閣議決定された「日本再興戦略2016」でもこの開.廃業率がKPI4として 用いられているが,個人企業数が大きく減少している事実は看過しがたい。 しかも, わが国においては,
起業家の高齢化が男女ともに進んでいるだけでなく,起業希望者,起業準備者,起業家の順に数が少なく なっており,起業への希望が実際の起業につながっていない(図3, 図4, 図5参照)。そのため,新規開業 促進を図るに際して, いかに若年層を起業希望者へと育成し,希望を実現する道筋をつけさせるかが課題
となる。
卒業直後及び卒業5年後のキャリア選好において, わが国の学生は他国に比べて従業員となることを希 望する者が多く,卒業5年後に起業家になることを希望する者は極めて少ない5.その一方で,図6に見ると おり, 「起業希望者全体のうち,在学中の起業希望者が占める割合」は1979年に2.9%であったものが2012 年には42%へ, 「起業準備者全体のうち,在学中の起業準備者が占める割合」は同じく2.8%から3.1%/、
と上昇している。 とりわけ,直近の2002年から2012年にかけての10年間は,それぞれ2.8%から4.2%, 2.3%
から3.1%へと上昇が顕著であり,学生の起業への意欲は向上している。 したがって, 個人企業も含めた 起業家数が大きく減少し,起業家の高齢化が進むなかで,学生を対象に起業家教育を実施し,起業家精神
を培うことの社会的意義は大きいと言えよう。
表1 申告法人数(単位:社)
出所: 『国税庁統計年報』を基に筆者作成。
2,500,000
9,521 9,667 9,980 10,192 竺
54,046 55,057
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2,OOO,OOO
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5 6 48,4〔
5 6 ロ500人以上
D100〜499人 口30〜99人 口5〜29人
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1,000,OOO
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500,OOO
|
0
2014 2015 2016 2017
図1 規模別適用事業所数(単位:事業所)
出所: 『雇用事業保険年報」を基に筆者作成。
4 KeyPerformancelndicator (重要業績指標)の略。
5 田路則子・鹿住倫世・新谷優・本條晴一郎(2018), 「大学生の起業意識調査レポートーGUESSS2016調査結果における日本の サンプル分析一」 「イノベーション・マネジメント」第15号, pp.109‑129.
−27−
年度 2013 2014 2015 2016 2017
全国 2 559.216 2 577.323 2.601.209 2,630,504 2,662,762
鹿児島県
27.383 27.560 27.925 28.229 28 619
地域総合研究第47巻第2号(2020年)
表2 「就業構造基本調査』から見る起業者数と前回調査年度10月以降の起業者数(単位:千人)
| 起業者数 前回調査年度10月以降の起業者数
自営業主の起 業者
会社などの役 員の起業者
自営業主の起 業者
会社などの役 員の起業者 起業者総数
年度 起業者総数
5.909.7
2007 4,246.3 1,663.4 541.0 114.1 126.9
2012 5 138.2 3,682.4 1,455.8 483.3 387.3 96.0
2017 4.770.9 3,430.1 1,340.8 421.3 319.2 102.1
出所: 『就業構造基本調査』を基に筆者作成。
70 5.8
5.1
、46464.84
ク﹂59
405
84
60
5.0
4.0
−開業率
3−0 一廃業率
3.33.4
333.4 し蜜
20 2.b
1 ‑0 ↑①①言 N①①↑ の①①F 寸①①↑ 叩①①宕 ①①①↑ 卜①①壱 m①①一 ①①①一 ○○○N 壱○○N N○○N の○○N 寸○○ 叩○○囚 ①○○囚 ト○○N ⑩○○N ①○○N ○一○N ↑一○囚 囚一○囚 の一○囚 寸一○N 叩一○N
年度
図2開・廃業率の動向(1991〜2015年) (単位;%)
出所:中小企業庁ホームページhttps://www.chusho.meti・gojp/pamflet/hakusyo/H29/h29/
html/bl̲2̲1̲2html (2019年12月30日参照)
OOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO987654321
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図3起業家の年齢別構成の推移(男性) (単位:%,歳)
出所:中小企業庁編(2017), 「2017年版中小企業白書」, 日経印刷
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図4起業家の年齢別構成の推移(女性) (単位:%,歳)
出所:中小企業庁編(2017), 「2()17年版中小企業白割, 日経印刷
200 180 160
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図5起業の担い手の推移(単位:万人)
出所:中小企業庁編(2017), 「2017年版中小企業白書」日経印刷
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一起業希望者全体のう ち、在学中の起業希望 者が占める割合 一起業準備者全体のう
ち、在学中の起業準備 者が占める割合
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図6在学中の大学生の起業意識(単位:%)
出所:中小企業庁編(2017), 「2017年版中小企業白書」, 日経印刷
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地域総合研究第47巻第2号(2020年)
第2節地方私立大学における起業家教育のあレノ方
筆者が講義やゼミ活動等で観察している限りの知見では,地方私立大学において,現在すでに起業を志 している起業志望者や将来起業志望者に転換する可能性のある起業予備軍はいるものの, その数は少な い。また,課題に取り組む気概に欠ける学生が多く,年々その力が低下しているように感じられる。した がって,地方私立大学における起業家教育のあり方を検討する場合,学生をめぐるこのような状況を念頭
に検討することは避けられない。
松田(1997)は,生まれた地域や家庭,教育課程,勤務経験, インキュベーターでの体験が起業に与え る影響についての論考の中で,起業意識には,第一に,無意識的な起業意識が徐々に醸成されていく場合 と,第二に,何らかのきっかけにより自ら意識的に意識が芽生える場合の二つのパターンがあるとしてい る。このうち,第一のパターンは,育った地域や家庭環境が与える影響が起業意識の醸成に与える影響の ことである。例えば, 「起業家が育った地域の環境」とは,起業を当然のものとする風土やその地域特有 の文化のことであり, 「起業家が育った家庭環境」とは,親の職業等のことである。表3に見るとおり,起 業家の親の職業は「企業経営者・自営業」や「専門・管理職」など, 自活型の職業である場合が多い。こ の事実は, 日本政策金融公庫総合研究所が実施した「起業意識に関するアンケート調査」によっても明ら かである(図8参照)。一方, テイモンズ(1997)が,起業は起業家自身の生まれつきの才覚や天与の創造 力,エネルギーなどでのみ可能になるのではなく,数多くの技能, ノウハウや長年にわたる経験, 自己啓 発の積み重ねによって可能になると述べているとおり,教育課程や勤務経験等を通して起業意識が芽生え る場合があり,第二のパターンはこれに該当する。同じ起業無関心層であっても,その態様には様々な場 合が推定される。例えば,第一に,潜在的にも全く無関心の者であり,第二に,幼少時に置かれた環境か ら潜在的に起業意識を持つ者である。いずれの場合においても,起業家教育のあり方次第で起業意識を育 むことは十分可能である。
高橋(2014)は,起業家教育に関する論考から起業家教育は幅が広いことを指摘したうえで,その要因 として, 図9に見るとおり,起業がいくつもの段階に分かれるプロセスであることを指摘している。その プロセスは, (I)一般成人のうちの何割かが起業家予備軍(起業態度を有する者) となる, (H)起業家 予備軍の中から起業活動の準備を実際に行う起業準備者が現れる, (Ⅲ)起業準備者の中から事業を始め る若い起業家が誕生する(誕生期.幼児期の起業家), (Ⅳ)誕生期.幼児期の起業家が生き延び成人期の 起業家になる,の四つの段階からなり,起業家教育には, (I)から(Ⅱ)への移行をねらう 「起業態度 を形成するための教育」と (Ⅱ)から (Ⅲ)への移行を助ける「起業態度をもつ学生を起業活動に導くた めの教育」の二つのパターンがあることを明らかにしている(図10参照)。例えば, ヨーロッパの大学に おける起業家教育や小学生等を対象とする起業家教育は前者に該当するし,バブソン大学で実施されてい る起業家教育は後者に該当する。
前節で述べたとおり,わが国の学生は,卒業直後および卒業5年後のキャリア選好において,他国に比 べて従業員となることを希望する者が多く,起業家になることを希望する者は極めて少ない。たしかに,
大学に在学中の起業準備者もともに増加しつつあるが,筆者が本務校の学生を見る限り,起業文化が育ち つつあると言うにはほど遠く,わが国に求められるのは「起業態度を形成するための教育」である。では,
地方私立大学の場合, どのような起業家教育が実施されるべきなのであろうか。
大江・平井(2001)は,小学生対象の起業家教育について,他人とは異なる発想で新しいアイデアを出 し,それをビジネスという形で大人の世界に問いかけることを通して,子供の想像力や分析力,実行力と いった生きる力を育むのが目的であり,稼得能力の高い大人の育成や起業力を育成することを目的とする ものではないと述べている。また,宮城県教育研修センター(2004)は,起業家教育について,起業プロ
セスとして,会社の設立や販売体験,決算活動等を擬似的に体験したりすることを通して,チャレンジ精 神や創造性等を養うことや自分の将来の「生き方」を考える契機とすることを目的としたものとしている。
地方私立大学の学生の多くは起業に無関心であるばかりでなく,彼らの課題を発見し取り組む力は年々 低下しているように感じられる。その一方で,企業活動のスピードは年々速くなり,経済社会の姿はめま ぐるしく変化するようになっている。そのため,地方私立大学の学生の能力と経済社会において求められ る能力の乖離は年々大きくなっており,彼らの「生きる力」は相対的に低下しているものと考えられる。
このような状況において,地方私立大学における起業家教育は,小学生対象の起業家教育と同様, 「生き る力」の醸成を目的とすることが適切であると考える。
拙稿(2019)は, IUK中西ゼミが起業家教育の一環として実施した「食品開発プロジェクト」及び「食 育プロジェクト」でのビジネス疑似体験を観察した結果から, ビジネス疑似体験がグループ活動として行 われるべきことや,経営者と接触する機会を作りこむことの必要性を述べている。そして,その理由とし て,グループでの活動を通して,メンバー間でさまざまな調整や相談のみならず摩擦の克服が必要となり,
実務に近い状況を再現できることや,経営者と接する環境を整えることで, 自活型職業の両親を持つ者と 同じ環境を起業家教育に作りこむことができることを挙げている。これは小学生対象の起業家教育を学生 対象の起業家教育へと再構築したものと言い換えることができる。では, ビジネス疑似体験はどのような 業界において実施されるべきなのか。その点につき,次節において鹿児島県の産業構造を踏まえて検討す
る。
:巽墓墓菫:墓
起業スキル
疑似ベンヤー
⑳ベデタI雌!
砂珍全
図7起業スキルの向上と起業家の出現プロセス 出所:松田修一(1997), 『起業詞, 日本経済新聞社, p.89
表3 1985年以降の起業家の親の職業
出所:松田修一(1997), 『起業調, 日本経済新聞社, p.97
‑31−
親の職業 米国(全) 米国(SV) イギリス ドイツ 日本 企業経営者・自営業 28.6 22.0 27.3 34.2 40.0
勤務(専門・管理職) 24.7 31.3 29.2 4.1 19.4 勤務(工場労働職) 12.5 7.7 14.5 12.8 6.8
プロ専門職・聖職者 3.1 27.7 0.3
大学等教員 7.1 6.4 3.1
農林水産業 1.8 20.6
公務員 1.8 10.6
その他 14.6 12.7 14.4 4.1
有効回答数(人) 255 182 55 47 398
地域総合研究第47巻第2号(202()年)
0% 20% 40% 60% 80% 100%
||一
lZユーロ ィ百百可 起業家
起業予備軍
起業無関心層
||
画I
1
口経営者回経営者以外
I
図8起業家・起業家予備軍・起業無関心層の両親の職業
出所: 日本政策金融公庫総合研究所(2014) , 「『起業意識に関する調査」
〜アンケート結果の概要」, p8.
■動■轡■国■凰■
一般成人 起業家予 壊妊期の
〈起業態 備軍(起業 起業家
度なし) 態度あり)
誕生期.幼児 期の起業家
成人期の起業 家
図9起業プロセス
出所:高橋徳行(2014), 「起業家教育のスペクトラムー「活動」の支援か「態度」の形成 か−」 「ビジネスクリエーター研究」第5号
起業活動
▲
●
有 A地点
バプソン大学で実践している教育。起 業態度を持つ学生を起業活動に導く。
欧州などで展開されて る起業態度を形成する めの教育
C地点
●曇 二 要し●再一 B地点起業態度
無
歩
無 有
図10こつの起業家教育
出所:高橋徳行(2014) , 「起業家教育のスペクトラムー「活動」の支援か「態度」
の形成か−」 「ビジネスクリエーター研究」第5号
第3節鹿児島県における起業家教育が対象とする業界
第1節において, わが国の新規開業動向について述べたが, その動向は都道府県ごとにどのように異な るのであろうか。 この点につき,表4を見ると,起業家数が最も多いのは東京都で656,300人(構成比
12.8%),それに次いで大阪府が376,000人(同7.3%),第3位は神奈川県の338,300人(同6.6%),以下,埼玉 県の281,400人(同5.5%),愛知県の264,500人(同5.1%)の順となっている。また,東京圏(東京都.神 奈川県.千葉県.埼玉県)は全て10位以内に入っており,東京圏だけで1,492,900人に達し,上位10都道府 県全体の約半数を占めている。このように,新規開業動向において東京一極集中と呼べる状況にある。東 京圏はもともと消費市場が大きいうえ,大企業のほか大学等の高等教育機関も多数集積し, メガバンクも 立地するなど,国際情報の収集や資金調達の面で著しく優れ, イノベーションが創出されやすい環境にあ る。 1990年代以降,企業経営のグローバル化が進むと同時に,産業の中心はIT・ソフトウェア産業等の 知識集約型産業に移行したが,東京圏はこの変化への対応に成功し,その関連企業が生成・発展するため のエコシステムが形成された。東京圏の起業家数の多さはそれを反映したものと言える。
一方,筆者の本務校が立地する鹿児島県は,明治維新以降, わが国の産業発展が東京から関西にかけて の太平洋ベルト地帯を中心に展開されるようになると,立地条件等において不利な地域として留め置かれ ることになった。そのため,機械金属工業を中心とするモノづくり関連の産業は育成されず, もっぱら農 業や水産業など第一次産業を中心に経済活動が展開されてきた6。ただ,表5に見るとおり,第二次産業は,
食料.飲料品産業が事業所数と従業員数,製造品出荷額等のいずれにおいても高い割合を占めており,そ の存在感の大きさが伺われる。ここから,鹿児島県においては,今後もIT・ソフトウェア産業をはじめ とする知識集約型産業は形成されにくく,食料・飲料品産業を主要産業とするモノカルチャー経済が維持 きれるものと推測される。そのため, 同県においては,同産業における起業を当然のものとする産業的雰 囲気が生まれやすいと言える。食料.飲料品産業は,ニーズが多種多様であるだけでなく,地域固有のニー ズもあるため, 中小零細企業を中心とする多数乱戦業界となりやすく,学生アイデアが採用されやすい。
したがって,食料.飲料品産業が鹿児島県内の大学においてビジネス疑似体験を実施する業界として相応 しい。
表4都道府県別起業家数(上位10都道府県) (単位:人)
出所:創業手帳ホームページ:https://sogyotechojp(2019年12月30日参照)
表5鹿児島県の事業所数.従業員数・製造品出荷額等(2017年)
出所:鹿児島県企画部統計課(2019), 『鹿児島の工業」
6 農林水産省大臣官房統計部(2018), 『農林水産統計」によると, 2017年現在の農業産出額は5,000億円と,北海道の12,762億円 に次いで全国第2位となっている。
−33−
順位 都道府県 起業家数 構成比 順位 都道府県 起業家数 構成比
1 東京都 656,300 12.8% 6 千葉県 216,900 4.2%
2 大阪府 376,000 % 7 北海道 202,200 %
3 神奈川県 338,300 % 8 兵庫県 201,200 3.9%
4 埼玉県 281,400 % 9 福岡県 197,900 3.9%
5 愛知県 264,500 5.1% 10 静岡県 161,800 3.1%
事業所数 2,035事業所
従業員数 7万438人
製造品出荷額等 2兆676億4,279万円
食料 32.7% 食料 36.0% 食料 33.9%
飲料 17.0% 電子 17.0% 飲料 18.6%
窯業 % 窯業 10.4% 電子 15.3%
金属 % 飲料 8.2% 窯業 8.9%
印刷 % 生産 % 電気 %
5業種計 69.5% 5業種計 76.5% 5業種計 82.2%
食料・飲料計 49.7% 食料・飲料計 44.2% 食料・飲料計 52.5%
地域総合研究第47巻第2号(2020年)
第4節食品開発及び食育プロジェクト
IUK中西ゼミでは, 2018年度以降,2年生を対象として,前期に「食品開発プロジェクト」を,後期に「食 育プロジェクト7」をそれぞれ地元企業及び地元教育機関等との連携により実施している。両プロジェクト はもともと,学生に地元食材を用いた食品開発に取り組ませることを通して,彼らの地元・鹿児島に対す る関心を育み,将来何らかの経験を契機として鹿児島県内で起業する可能性をもつ人材に育成することを 目的として始まったものであるが, 2019年度は,拙稿(2019)で検討した結果を基に実施目的の再検討を 行い,その目的を,学生の地元・鹿児島に対する関心を育み,経済環境がめまぐるしく変化する現代を「生 きる力」を身に着けさせることへと変更した。今年度,両プロジェクトに取り組んだのはIUK中西ゼミ の2年生23名(うち女子2名)で,全員鹿児島県出身である。出身高校は普通科や商業科などさまざまであ
り,商業科出身の学生を中心に,高校在学中に様々なイベントに取り組んだ経験をもつ者が多い。
両プロジェクトは,①商品開発,②販売会準備・運営の二つの柱で構成される。商品開発では, 2018年 度は,学生を複数のグループに分けたうえで, グループごとに連携先の提示した商品コンセプトと地元食 材を基にデザイン案を検討し,互いに採用を目指して競い合うという方法を採用したが, 2019年度は,学 生をA〜Dの四つのグループに分けたうえで,後述するとおり, 2018年度とは異なる方法により学生に デザイン案を策定させた。デザイン案の決定後,学生に販売会の準備に取り掛からせたが,前期は学内販 売会1回と学外販売会3回を実施予定であったため,四つのグループのうち,学内販売会をグループAに 担当させ,学外販売会には1グループ1会場担当を原則として残りの3グループに担当させた。各グループ には担当会場で使用する①チラシ,②ポスター,③ポップ,④アンケートの制作とアンケート集計に当た らせた。一方,後期に取り組んだ作業は前期と同じであるが,販売会準備については, グループAは学 内販売会に専従きせる一方で,残りの3グループについては,学外販売会で使用するチラシ等の販促物づ くりを競わせ,最も良いものを最終案として採用した。なお,今年度は学内販売会の実施に関して大手書 店「紀伊國屋書店』の協力を得られたため,本学教職員並びに学内業者を対象とする事前予約販売も行っ たほか,学生に販売促進用のキャッチフレーズも考案させた。
表6食品開発プロジェクト及び食育プロジェクトにおける取り組み内容
出所:筆者作成。
7 「食品開発プロジェクト」の続編にあたり,実施内容は,食材の栄養を踏まえて食品開発を行いかつ『第5回かごしま食育フェ スタ」への出展を目標とする点を除き, 「食品開発プロジェクト」と同じである。
食品開発プロジェクト (前期) 食育プロジェクト (後期)
連携先
○弁当店 ニコラ
○天文館まちの駅 ゆめりあ
○紀伊國屋書店(販売協力)
力、
○弁当店 ニコラ
○鹿児島県立加世田常潤高校食農プロデュース科
○鹿児島県立短期大学生活科学科食物栄養専攻・中熊 美和助教(管理栄養士)
○天文館まちの駅 ゆめりあ
○紀伊國屋書店(販売協力)
,,
取り組み
○デザイン案の検討・発表
○チラシ・ポスター・ポップ制作
○アンケート制作・実施
○経営者とアドバイザーの対談
○天文館商店街見学会
○学内販売会(1回)
○学外販売会(3回)
○デザイン案の検討・発表
○チラシ・ポスター・ポップ制作
○アンケート制作・実施
○講座「栄養学入門」 ・農場見学
○講座「地産地消入門」 ・鰹削り体験
○合同ゼミ (IUK中西ゼミ×加世田常潤高校×県短大)
○学内販売会(1回)
○『第5回かごしま食育フェスタ」出展(学外販売会及 ぴキッズコーナー運営)
(1)食品開発プロジェクト (前期実施)
2019年度の「食品開発プロジェクト」は, IUK中西ゼミと弁当店『ニコラ』,セレクトショップ『天文 館まちの駅 ゆめりあ"』 (以下,ゆ社) との連携,大手書店『紀伊國屋書店」の販売協力により実施した。
このうち, ゆ社はアドバイザーとしての参加である。
学生が手がけたのは地元食材を使った弁当の開発である。ニコラから学生に提示された課題は表7のと おりである。まず,開発する弁当のテーマとして,①健康②スタミナ,③鹿児島の三つの選択肢から一 つないし二つを選択し,次に,その弁当を食べるシチュエーションとして,①持ち帰り,②移動中に気軽 に,③おでかけ,④小腹がすいた時の四つの選択肢から一つを選択する。そして最後に,それらのテーマ とシチュエーションを前提に「鹿児島の7月」と聞いて思い浮かべる食材を自分たちで選択し,デザイン 案を検討するというものである。また,第一に,弁当はパッケージに入っていること,第二に, スナック タイプは不可であることの二点を開発の条件とした。グループA〜Dそれぞれが考案した四つのデザイ ン案を, ニコラの有村明美代表とゆ社の武田清孝代表,筆者の三者で検討した結果,A案をベースとし てB〜D案を組み合わせたものを開発することが決定された。そして,商品名とキャッチフレーズは,
各グループ案を検討した結果,それぞれ『国際大学ランチボックス』 (税別価格350円), 「学生の愛がつまっ てます」に決定した(表8,図11参照)。
学内販売会は2019年7月ll日 (木)に紀伊國屋書店の協力によりIUK内の施設『ユーカリ会館』 1階に おいて開催した。また,それに合わせて,教職員及び学内委託業者を対象とする事前予約販売も実施した。
学内販売会における販売個数は,事前予約販売分を合わせて127個に達した。一方,学外販売会は, 2019 年7月14日 (日)に『おいどん市場谷山館』 (鹿児島市西谷山), 2019年7月20日 (土)に『鹿児島ふるさと 物産館』 (鹿児島市セツ島), 2019年7月27日 (土)に『天文館まちの駅 ゆめりあ"』 (鹿児島市東千石町)
の三ケ所で開催きれ,販売予定個数各回50個,合計150個を完売した。
なお,取り組み開始から学外販売会へ至る一連のプロセスでは, それに資する様々な活動が行われた。
まず,デザイン案の検討に先立って, ニコラの有村オーナーとゆ社の武田代表との対談やニコラの厨房見 学会を実施した。これはニコラの歴史や弁当づくりに対する考えを知り, 同社の厨房を見学することで,
学生に弁当づくりのイメージを明確にしてもらうことを目的としたものである。また,デザイン案の決定 後には,天文館商店街の見学会を実施した。これは見学した店舗の経営者から販売に対する考えを伺い,
かつ各店舗の陳列方法等をベンチマークすることで,販促物制作の参考とすることを目的としたものであ る。
表7食品開発プロジェクトにおける課題
出所:筆者作成
−35−
一
ナーーマ 次の三点から選択。組み合わせは「可」。ただし, 2つまで。
①健康 ②スタミナ ③鹿児島
シチュエーション
次の四点から選択。
①持ち帰り ②移動中に気軽に③おでかけ
④小腹がすいた時
使用食材 「鹿児島の7月」と聞いて思い浮かべるもの。
条件 弁当はパッケージに入っていること。スナックタイプは不可。
地域総合研究第47巻第2号(2020年)
表8 IUK中西ゼミ開発商品『国際大学ランチボックス』の概要
注:掲載承諾を得ていない個人名はイニシャル表記にした。
出所:筆者作成
(2)食育プロジェクト (後期実施)
2019年度の「食育プロジェクト」は, IUK中西ゼミとニコラ,鹿児島県立短期大学生活科学科食物栄 養専攻(以下,県短大)の中熊美和助教(管理栄養士),鹿児島県立加世田常潤高校食農プロデュース科(以 下,加世田常潤高校), ゆ社との連携紀伊國屋書店の販売協力により実施した。このうち, ゆ社は前期 に引き続きアドバイザーとしての参加である。本プロジェクトは, 「身土不二8」の観点から食物の栄養を 踏まえて食品開発に取り組むことに主眼を置いており,プロジェクト期間中,加世田常潤高校内において 中熊助教による講座「栄養学入門」や農場見学を実施したのはそのためである。本プロジェクトの目標は,
2019年12月旧(日)開催の『第5回かごしま食育フェスタ』である9。同イベントへはIUK中西ゼミと県 短大,加世田常潤高校が共同出展し,後述する共同開発商品の学外販売会を開催した'0.
本プロジェクトでは,表9のとおり, 開発する弁当を指定したうえで, 「開発の前提」と「課題」を提示 する方法を採用した。今回,学生が指示されたのは「チキンをメインディッシュとして,子どもの健康の ために野菜をたくさん使った弁当」を,加世田常潤高校の生徒が育てた野菜を使用し,販売時期が「寒い 季節」であることや「子どもの健康」を踏まえて開発することである。まず, メインディッシュとして,
①チキンカツ,②照り焼きチキン,③チキン南蛮の三つの選択肢から一つを指定し,付け合わせのおかず に使用する野菜として, 13種類の中から好きなだけ選択する。その際,野菜の調理法として,得られる栄 養を念頭に,①焼く,②蒸す,③煮る,④ゆでる,⑤揚げる,⑥炊く,⑦妙める, の七点から選択する。
なお,調理法は野菜ごとに異なっても構わない。そして, 「食品開発プロジェクト」と同じ方法で取り組
あい
んだ結果,開発商品は『かごんまIO弁当』 (大人向けは税込価格400円,子供向け'1は税込価格350円) と
『ベジタブルどりあ』 (税込価格400円)の二点, キャッチフレーズは「栄養いっぱい,愛いっぱい」に決 定した(表10, 図ll参照)。
販売会は学内外で各1回開催した。学内販売会は2019年ll月28日 (木)に紀伊國屋書店の協力により IUK内の施設『ユーカリ会館』 1階において開催した。また,それに合わせて,教職員と学内委託業者を 対象とする事前予約販売も実施した。学内販売会における販売個数は事前予約販売分を合わせて135個に 達した。一方,2019年12月1日(日)に『第5回かごしま食育フェスタ』において開催した学外販売会では,
『かごんま ○弁当』の大人向け30個,子供向け10個, 『ベジタブルどりあ』 15個を当初の予定どおり完売 した。
8 「人と土は一体で切り離すことはできないもので, 人は生活する地域でできた旬のものを食べるのが健康に良い」という意味。
9 学内販売会は2018年11月30日 (金)に実施。
10 これと併せて, IUK福祉社会学部児童学科の関山ゼミと共同で,粘土で遊べるキッズコーナー「おにぎりころりん。色とりど りのねんどで作ろう,おにぎり弁当」を実施した。
l1学外販売会限定商品。
商品名 国際大学ランチボックス
キャッチフレーズ 学生の愛がつまってます
内容
①ナスのめんつゆ妙め,②和風ハンバーグ,③オクラ入り卵焼き (知覧産ブランド卵使用),④かぼちゃのバジル風味サラダ(加世 田のKさんのカボチャ使用),⑤揚げたサツマイモのおにぎり (川辺のAさんの紅はるか使用),⑥青菜とワカメのおにぎり,
⑦からあげ,⑧ミニトマト
表9食育プロジェクトにおける課題
開発する弁当 |チキンをメインディッシュとして,子どもの健康のために野菜をたくさん使った弁当
「加世田常潤高校の生徒が育てた野菜」を使用し,次の二点を踏まえて弁当を開発する。
①子と、もの健康 ②寒い季節 開発の前提
I メインディッシュとして,次の選択肢の中から1点選択する。
①チキンカッ ②照り焼きチキン ③チキン南蛮 使用する野菜を選択する。 ※複数選択可
①サトイモ ②生姜 ③
⑤ハクサイ ⑥レタス ⑦
⑨大根 ⑩ブロッコリー⑪
⑬ トマト
Ⅱ ④⑧⑫ ねみ煎 ぎか茶 ん
トマト サツマイモ 課題 にんじん
Ⅲ 「開発の前提」を踏まえ,次の選択肢の中から「野菜の調理法」を選択する。
※食材ごとに調理法が異なるのもOK。
①焼く ②蒸す ③煮る ④ゆでる
⑤揚げる ⑥炊く ⑦妙める 条件 弁当はパッケージに入っていること。スナックタイプは不可 出所:筆者作成
表10 1UK中西ゼミ開発商品『かごんま│O弁当』及び「ベジタブルどりあ』の概要 商品名
キャッチフレーズ
ベジタブルどりあ 栄養いっぱい,愛いっぱい かごんまIO弁当
栄養いっぱい,愛いっぱい
生姜の入った炊き込みごはんの上に,
白菜やしめじ,大根など, 白だしで茄 でた野菜をのせたもの
①チキン南蛮,②サトイモのからあ げ, ネギの入った甘い卵焼き,③トマ トの炊き込みごはん,④ジャコとサト イモのごはん
内容
出所:筆者作成
畦一毛
#
‘,1
①国際大学ランチボックス ②かごしまIO弁当 図11 1UK中西ゼミの開発商品 出所:筆者撮影
③ベジタブルどりあ
(3)課題レポートの分析
両プロジェクト終了後, IUK中西ゼミの学生に「両プロジェクトを通して成長したところ,得られた こと」をテーマに課題レポートを提出させた。2018年度も学生にほぼ同じテーマで課題レポートを提出さ せたが12, 2019年度は, 2018年度に比べてメンバーや客とのコミュニケーションを図ることの大切さを理 解できたことを述べたものが多い点で共通しているものの,両プロジェクトの趣旨に適ったものが多数見 られる点で大きく異なる。例えば, 「一連のゼミ活動では社会人に近いことをしていると感じた。自分た
12 2018年度の課題レポートのテーマは, 第一に, 一年間のゼミ活動を通してどのようなことを学んだか, 第二に, このゼミ活動 を通して学んだことを卒業後どのように活かしたいかの二点である。
−37−
地域総合研究第47巻第2号(2020年)
ちの意見を連携先の経営者に聞いてもらえた。商品開発の過程では地域の食材や栄養について学ぶことが でき,販売促進の過程ではどのようなチラシやポスターを作れば客の関心を引くことができかについて学 ぶことができた」というものや, 「連携先の経営者から経営の仕組みについての話を伺った際, 自営業者 である両親の仕事ぶりと照らし合わせることで,話の内容を深く理解することができた」というものがこ れにあたる。これらの内容は,学生が両プロジェクトをその趣旨のとおりビジネス疑似体験と認識してお り, より深い理解が得られた可能性を示唆している。また, 「販売活動を通して,チラシやポスターの見 やすさや客に対する商品の見せ方等,マーケティング面での創意工夫の重要性を理解できた」というビジ ネス面での気づきに関するものもあった。一方, 「人とコミュニケーションを図ることが苦手なため,一 連の取り組みを精神的に負担に思うことが多かったが,活動を進めるために耐え,無事に切り抜けること で自信がついた」や「人前で話すことについて苦手意識があったが, 自分のプレゼンテーションによって 自分の案が採用されたことで自信がついた」等,ブレークスルーを通して自信がついたことを述べたもの が見られた。
おわしノに
「食品開発プロジェクト」及び「食育プロジェクト」は, これまで,地元食材を用いた食品開発に取り 組むことを通して,学生の地元・鹿児島に対する関心を育み,将来何らかの経験を契機として鹿児島県内 で起業する可能性をもつ人材に育成することを目的としてきたが, 2019年度は,拙稿(2019)で検討した 結果を基に実施目的の再検討を行い,その目的を,彼らの地元・鹿児島に対する関心を育み,経済環境が めまぐるしく変化する現代を生きる力を身に着けさせることとした。 「生きる力」とは具体的には「想像 力,分析力,実行力といった生きる力」であり,その力を育む方法として, ビジネス疑似体験を実施した。
上述のとおり,提出された課題レポートからは,学生がコミュニケーションの大切さのほか, ビジネスに ついて様々な気づきを得るとともに, 自らの苦手意識を克服し,取り組む力を身に着けたことがうかがえ る。その意味で,本プロジェクトはその目的を達成できたものと言える。
謝辞
本研究は,鹿児島国際大学附置地域総合研究所の共同研究プロジェクトの研究助成を受けて実施したも のである。
参考文献
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松田修‑(1997), 『起業論』, 日本経済新聞社
宮城県教育研修センター(2004), 『みやぎのキャリア教育推進に向けて』,宮城県教育研修センター.
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大江建・杉山千佳(1999), 「「起業家教育」で子供が変わる! 』, 日本経済新聞社.
大江建・平井由紀子(2001), 『子どもを伸ばす5つの遊び』,青春出版社
JAシュンペーター著,清成忠男訳(1998), 『企業家とは何か」,東洋経済新報社
JAシユンペーター著,塩野谷祐一, 中山伊知郎,東畑精一訳(1977), 「経済発展の理論』,岩波書店
高橋徳行(2014), 「起業家教育のスペクトラムー「活動」の支援か「態度」の形成か−」 『ビジネスクリエーター 研究』第5号.
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