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宇宙の大規模構造

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Academic year: 2021

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全文

(1)

グレートウォール

超空洞 ボイド

銀河

宇宙の大規模構造

一個一個が銀河

銀河フィラメント

40億光年≒ 4×1025 m

銀河‐銀河群‐銀河団‐超銀河団‐大規模構造 10 100 1000 1 10

(光年)

(値は大雑把)

(2)

銀河までの距離はどうやって測定する?

例:すぐ近くのアンドロメダ銀河:250万光年 年周視差で測定できる距離は約3万光年まで。

天の川銀河の直径は10万光年なので

年周視差で測定できる領域は天の川銀河内の太陽系の近傍だけ。

もし、星の本来の明るさが何らかの方法でわかれば、星までの距離がわかる。

(上の式の3つのうち、2つがわかれば残りの1つもわかる)

星の見かけの明るさ ∝ 星の本来の明るさ

(星までの距離)2

(復習)星の本来の明るさ(絶対等級)は、

星の見かけの明るさと年周視差で測定した星までの距離で求めた

(見かけの等級) (絶対等級)

(3)

セファイド変光星

(ケフェイド)

明るさ

収縮 膨張 時間

(4)

セファイド変光星の変動周期と明るさの関係

(ケフェイド)

大きい(明るい)ほど、ゆっくり変光する。

弦やバネも大きい(長い)ほど、ゆっくり振動する。

(5)

5

M100 ( 6000 万光年)における測定例

銀河中の1つの恒星を観測する 遠方の銀河では1つ1つの星を判別

できないためこの手法は使えない

ほぼ限界値 これ以上

遠いと 観測不能

HST:ハッブル宇宙望遠鏡

(6)

変光星とHR図

(7)

銀河どうしの相対速度

銀河の相対距離は不変ではない。

地球

銀河A

問題

地球と銀河Aの相対速度はどのようにすれば測定できるか?

(銀河Aは遠ざかっているのか?近づいてきているのか?その速さは?)

(8)

音のドップラー効果

音源(救急車)が速さ v 移動し、観測者が静止している場合 速さ v で移動する救急車

救急車の運動方向

v

音源の振動数: f 、音速:V

前方の振動数: f ’ = f × V

Vv 後方の振動数: f ’ = f × V V + v

音源が向かって来るとき

振動数が大きくなる(音が高くなる)

音源が遠ざかって行くとき

振動数が小さくなる(音が低くなる)

救急車のサイレンの振動数 f を知っていれば、f’ を測定することで v がわかる

音速は方向によらず一定

(無風の場合)

( v < V )

(9)

光のドップラー効果

音:前方に伝わる音も、後方に伝わる音も速さは音速 V

光:前方に伝わる光も、後方に伝わる光も速さは光速 c

(無風の場合)

速さ v で移動する光源

光源の運動方向

v

光源の振動数: f 、光速:c

前方の振動数: f ’ = f × c

cv 後方の振動数: f ’ = f × c c + v

光源が向かってくるとき

振動数が大きくなる(色が青くなる)

青方偏移

光源が遠ざかって行くとき

振動数が小さくなる(色が赤くなる)

赤方偏移

光源の光の振動数 f を知っていれば、f’ を測定することで v がわかる

( v << c )

( v << c )

(10)

10

バルマー系列

Ha Hb Hg

n = 1 n = 2 水素原子

陽子

Lya

(紫外線)

(可視光)

n = 3

Ha

振動数が わかっている光

振動数がわかっている光(原子の線スペクトル)

n3→2 n4→2 n5→2

(この宇宙の水素原子はどれも同じ)

(11)

11

Ha

Hb

赤方偏移の例

本来のHaの波長

観測されたHaの波長が 本来の値より10%程度長い

光源は光速の10%程度で 遠ざかっている(約3万km/s

光 の強 度

ある銀河から光の波長

4000Å 9000Å

(12)

銀河までの距離:その銀河のセファイドの観測でわかる 銀河の速度:星のスペクトルのドップラー効果でわかる

銀河までの距離と、銀河の速度の相関

パロマー天文台の48インチ シュミットカメラを操作する

エドウィン・ハッブル

ウィキペディアより転載

1920年台にアメリカの エドウィン・ハッブルらが

観測・定式化

ハッブル宇宙望遠鏡 ハッブルの音叉図

ハッブルの法則 ハッブル定数

(13)

13

ハッブルの求めた

銀河までの距離と、銀河の後退速度の相関

遠い銀河は 遠ざかっている

その速度は 距離に比例する。

100万pc 200万pc

ルメートル(ベルギー)が発見

(14)

14

セファイド タイプIa の

超新星爆発

(明るさ一定)

銀河までの距離と、銀河の後退速度の相関(現在)

銀河までの距離 [Mpc]

銀河の後退速度 [km /s]

最新の値は 67 (km/s)/Mpc

(15)

想像図

赤色巨星

白色矮星

Ia 型超新星

(核反応暴走型)

連星系をなしている白色矮星に相手の星からガスが降り積もる 質量がチャンドラセカール限界(1.4太陽質量)を超えると

炭素と酸素からなる中心核で炭素の核融合反応が暴走し大爆発を起こす どのIa型超新星もチャンドラセカール限界を超えたところで爆発するので

どの超新星も同じ(標準光源)

前に紹介したのはII型超新星 (重力崩壊型)

(16)

NGC4526 の Ia 型超新星

Ia型超新星

(17)

ハッブルの法則

銀河の後退速度 v は距離 d に比例する v = H

0

d その比例定数 H

0

がハッブル定数

H

0

= 67.15 ± 0.12 (km/s)/Mpc

遠い銀河ほど、遠ざかる速度は大きい

宇宙は膨張している

1 Mpc326万光年)の距離にある銀河は約 67 km/s の速さで遠ざかっている

10 Mpc 3260万光年)の距離にある銀河は約 670 km/s の速さで遠ざかっている

(18)

ハッブルの法則を仮定して時間を遡ると・・・

銀河の後退速度 v は距離 d に比例する v = H0d ハッブル定数H0≒67.2 km/s/Mpc

1 Mpc の位置にある銀河は 67.2 km/s で遠ざかっている 1 Mpc = 3.09×1022 m = 3.09×1019 km

3.09×1019 km

67.2 km/s = H01≒ 4.60×1017 s ≒146 億年 (ハッブル時間)

実際には、宇宙の膨張は様々な原因で

加速したり減速したりするので上のように単純には計算できない。

が、宇宙の年齢 137.99±0.21 億年と大きく違わない。

146億年前にすべての物質は一点に集中する

宇宙背景放射、宇宙の膨張等に関する幾つかの結果をすり合わせた値

(19)

ビッグバン( Big Bang )

時間を遡ると、宇宙はどんどん小さくなっていく

物質の密度やエネルギー密度、温度はどんどん高くなっていく。

宇宙は、高温高圧の火の玉のようなものから始まった

(ビッグバン)約137.99±0.21億年前

観測されている宇宙の膨張は、ビッグバンの間接的証拠

1927年ルメートルが提唱

(20)

膨張宇宙のイメージ

膨らむ風船

(1つ次元を小さくして2次元で考えてみる)

「風船 宇宙」、「マジックの点 銀河」に置き換える。

どのマジックの点も風船のゴム上で静止している。

風船(球面)に中心や端が存在しないように 宇宙には「中心」も「端」も存在しない。

ビッグバンも宇宙の特定の場所で起こったわけではない。

爆発的に膨張する最初の小さな風船そのものがビッグバンである。

風船にマジックで点を書き、

風船を膨らませる。

マジックで書いた点は互いに遠ざかる。

遠ざかる速度は互いの距離に比例する。

(21)

宇宙のはじまり

ビッグバンが宇宙のはじまりではない。

ビッグバン以前はあまりわかっていない。

現在 138億年 3 K

宇宙の晴れ上がり(詳細に観測)

38万年 3000 K

ビッグバン

加速器実験等で理解されている 10-10 1000 K 100 GeV

宇宙のはじまり インフレーション?

真空の相転移と急激な膨張?

1K1 eV

熱運動のエネルギー:3/2 kT

ボルツマン定数 k 1.38×10-23 J/K

= 0.86×10-4eV/K

(22)

高エネルギー加速器研究機構パンフより転載

物質の階層構造

10-15m:核子

1014m:原子核

1010m:原子

10-9m:分子 10-18m以下:素粒子

水の分子 酸素原子 酸素原子核 陽子

クォーク 電子

水素原子

中性子

ビッグバン

38万年 10分

10-5

電子

(23)

宇宙初期の出来事

ビッグバン 後の時間

温度

エネルギー

状態・出来事

クォーク・レプトンのプラズマ 105 秒 1012 K

100 MeV

クォークが陽子・中性子に 閉じ込められる

陽子・中性子・電子のプラズマ 1秒~10分 1010 K~109 K

1000~100keV

元素合成 H:He=3:1

陽子・He原子核・電子のプラズマ 38万年 3000 K

0.3 eV

原子核と電子が結合して原子になった。

光子は物質と相互作用しなくなり、

(宇宙の晴れ上がり)

原子の世界 1万K≒1 eV

138億年(現在) 3 K

(24)

粒子・反粒子(物質・反物質)の謎

ビッグバン直後(高温、高エネルギー)

粒子・反粒子がペアで生成(対生成)したり、ペアで消滅(対消滅)したりしていた。

対生成の例: 対消滅の例:

10-10秒後(1015 K, 100 GeV)現在の物理学で遡れる限度(加速器実験等で検証)

6種のクォークと6種のレプトンとそれぞれの反粒子は、ほぼ同数あったが、

粒子の数が反粒子の数より、約10億分の1だけ多かった。

なぜ差が生じたのかは、わかっていない。(物理学の最大の謎の一つ)

次第に温度が下がる

対生成はおきなくなり、対消滅ばかりが起こるようになる。

反粒子は消えてなくなり、わずかに粒子だけが生き残る。

ニュートリノは対消滅できなかった。(弱い相互作用でしか対消滅できない)

u, d, e の10億倍 W80 GeV Z090 GeV 現在:粒子(物質)の宇宙、反粒子はない。

ニュートリノは粒子と反粒子がほぼ同数存在?(宇宙背景ニュートリノは未確認)

n n

Z0 n

n

Z0

(25)

問題:6種のクォーク,6種のレプトンのうちで、

この宇宙で数として最もたくさんあるのは?

低い世代 に崩壊

対消滅し 粒子が 10億分の1

生き残る 低い世代

に崩壊 対消滅 できずに 生き残る

(26)

自然界のニュートリノ

・ 太陽ニュートリノ ~10 MeV 660億個/(cm2・秒)

核融合反応からのne

・ 大気ニュートリノ ~GeV 1個/(cm2・秒)

宇宙線と大気分子との反応で生成されるニュートリノ(ne,ne,nm,nm

・ 地球ニュートリノ ~3MeV 400万個/(cm2・秒)

地球内部の放射性物質の崩壊からのne(トリウム系列・ウラン系列)

カムランド(KamLAND)が2005年に検出に成功

・ 超新星ニュートリノ ~20 MeV 600億個/cm2

電子陽電子追消滅等からのニュートリノ(ne,ne,nm,nm,nt,nt

・ 宇宙背景ニュートリノ ~meV 10兆個/(cm2・秒)

ビッグバンで生成されたニュートリノ(ne,ne,nm,nm,nt,nt 直接検出はされていない。

(SN1987A)

(27)

宇宙初期の出来事

ビッグバン 後の時間

温度

エネルギー

状態・出来事

クォーク・レプトンのプラズマ 105 秒 1012 K

100 MeV

クォークが陽子・中性子に 閉じ込められる

陽子・中性子・電子のプラズマ 1秒~10分 1010 K~109 K

1000~100keV

元素合成 H:He=3:1

陽子・He原子核・電子のプラズマ 38万年 3000 K

0.3 eV

原子核と電子が結合して原子になった。

光子は物質と相互作用しなくなり、

(宇宙の晴れ上がり)

原子の世界 1万K≒1 eV

138億年(現在) 3 K

(28)

高エネルギー加速器研究機構パンフより転載

物質の階層構造

10-15m:核子

1014m:原子核

1010m:原子

10-9m:分子 10-18m以下:素粒子

水の分子 酸素原子 酸素原子核 陽子

クォーク 電子

水素原子

中性子

ビッグバン

38万年 10分

10-5

電子

(29)

元素(ヘリウム)の合成

ビッグバン後1秒~10分

星の中での核融合に似ているが、星の中には、単独の中性子はない また、弱い相互作用は関係しない(陽子・中性子数は変化していない)。

ヘリウム5 も リチウム5も不安定なため、元素の合成はヘリウム4以上は進まない 膨張により、温度・密度が下がると合成止まる。

観測値HHe=3:1は、ビッグバン理論のシミュレーション結果と一致

(ビッグバンの証拠の一つ)

寿命:15分 陽子 中性子

重水素

ヘリウム3 ヘリウム4

ヘリウム4 三重水素

電気力の 反発力ない

Li 以上がほとんど存在しない理由も説明

(30)

陽子(p, H

重水素(2H

ヘリウム(3He

ヘリウム(4He

ne ne

e+ e+

g g

中性子 b+ 崩壊

pp連鎖反応

ppチェイン)

(31)

元素の存在比の時間変化

10分

H He

(32)

周期律表

ビッグバン(138億年前)直後から存在

75% 25%

鉄まで:主に恒星の内部で合成(核融合)

鉄以上:赤色巨星、超新星、中性子星の合体

太陽系は約46億年前に誕生

私達の体や地球を構成する原子はそれ以前の超新星等でまき散らされた原子

99.99999999%

20分後

第1回⑤

(33)

宇宙初期の出来事

ビッグバン 後の時間

温度

エネルギー

状態・出来事

クォーク・レプトンのプラズマ 105 秒 1012 K

100 MeV

クォークが陽子・中性子に 閉じ込められる

陽子・中性子・電子のプラズマ 1秒~10分 1010 K~109 K

1000~100keV

元素合成 H:He=3:1

陽子・He原子核・電子のプラズマ 38万年 3000 K

0.3 eV

原子核と電子が結合して原子になった。

光子は物質と相互作用しなくなり、

(宇宙の晴れ上がり)

原子の世界 1万K≒1 eV

138億年(現在) 3 K

(34)

高エネルギー加速器研究機構パンフより転載

物質の階層構造

10-15m:核子

1014m:原子核

1010m:原子

10-9m:分子 10-18m以下:素粒子

水の分子 酸素原子 酸素原子核 陽子

クォーク 電子

水素原子

中性子

ビッグバン

38万年 10分

10-5

電子

He

(35)

宇宙の晴れ上がり

ビッグバン後約38万年

ビッグバン後、10万年経つと温度は 10000 K(1 eV)程度まで下がる

(水素のイオン化エネルギーは 13.6 eV

電子と原子核は、電気力で結合をはじめ、原子を形成する

ビッグバン後、約38万年( 3000 K )経つと原子の合成はほぼ終了し、

宇宙から裸の電荷(裸の陽子や電子)がなくなる。

光子(電磁波)は、裸の電荷とは強く相互作用して散乱するためまっすぐに進めない

(雲の中で光が氷や水滴に散乱されてまっすぐ進めない状況に似ている)

原子核と電子が原子になって中性化すると、光はまっすぐに進めるようになり、

この宇宙は透明になる。( 宇宙の晴れ上がり

(プラズマ)

(36)

高エネルギー加速器研究機構パンフより転載

物質の階層構造

10-15m:核子

1014m:原子核

1010m:原子

10-9m:分子 10-18m以下:素粒子

水の分子 酸素原子 酸素原子核 陽子

クォーク 電子

水素原子

中性子

ビッグバン

38万年 10分

10-5

電子

He

(37)

紫外線 可視光 赤外線

波長[mm]

0.1 0.2 0.6 1 2 6 10 20 60 100

分光放射輝度[ W/cm2 /mm ]

黒体放射のスペクトル

ビッグバン後38万年の宇宙は3000 K の光子に満たされていた。

電球の放つ光くらい。この光は現在どうなった?

(38)

38

セファイド タイプIa の

超新星爆発

(明るさ一定)

遠くを見ること=過去を見ること どれだけ遠く(過去)が見える?

銀河までの距離 [Mpc]

銀河の後退速度 [km /s]

遠く(過去)から来る光は赤方偏移をおこしている。

波長1.1倍

13億光年 13億年前

(39)

すばる

ディープ・フィールド

はるか遠方の銀河

130億年前に発せられた光

(ビッグバン後8億年)

赤方偏移で波長は8倍に

(40)

宇宙の晴れ上がり

ビッグ バン

最初 の星 最初の

銀河

すばる ディープ フィールド

観測の視点での宇宙

138 10 7-4 0 宇宙年齢(億年)

地球

現在の宇宙 の姿でない

遠くの現在 は見えない。

透明

不透明

(41)

1000倍以上

宇宙マイクロ波背景放射

1 m 1 mm 1 cm

1 mm 1万度

1 eV 3000 K

マイクロ波 赤外線

2.7 K

38万年 現代(137億年)

赤方偏移で波長は

3000 Kの黒体放射のスペクトルの光の波長が現在は約1000倍になって

マイクロ波として観測される(宇宙マイクロ波背景放射)

宇宙の晴れ上がりの時の

1940年代、ガモフらによって予言

(宇宙の膨張で)

(42)

周波数 42

光の量(明るさ)

観測された宇宙マイクロ波背景放射のスペクトル

点線は黒体輻射の 理論曲線(2.7 K)

観測結果と一致

1964年、ベル研究所のペンジアス、ウィルソンによって アンテナのノイズを減らす研究中に偶然発見ノーベル賞

波長 [cm]

(43)

43

COBE(宇宙からのマイクロ波を観測する衛星)

Cosmic Background Explorer

コービー 1989年打ち上げ

(44)

44

COBEのデータ ①

全天からの宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

赤いところ:温度が高い(波長が短い)

青いところ:温度が低い(波長が長い)

銀河面(天の川)

中心値:2.7 K

見かけの温度差:0.1%

(ほぼ一様)

この温度差は地球(太陽)の運動によるドップラー効果のため

(45)

赤道

下の地図は地球の中心から見た地球表面の様子といえる。

COBE の図は、地球から見た全天の様子

(46)

46

COBEのデータ ①

全天からの宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

赤いところ:温度が高い(波長が短い)

青いところ:温度が低い(波長が長い)

銀河面(天の川)

中心値:2.7 K

見かけの温度差:0.1%

(ほぼ一様)

この温度差は地球(太陽)の運動によるドップラー効果のため

(47)

私達は、この講義室に対して静止しているが・・・

①講義室は、地球の中心に対して自転運動をしている。 1000 km/h

②地球は太陽に対して公転運動をしている。 30 km/s

③太陽は天の川銀河の中心に対して公転運動をしている。 240 km/s

④天の川銀河も局部銀河群中で静止しているわけではない

⑤局部銀河群も静止しているわけではない

すべてを含んだ速度は宇宙マイクロ波背景放射の測定でわかる

我々の速度はいくら?

ガリレイの相対性原理:どのような慣性系においても同じ物理法則が等しく成り立つ

(特別な慣性系などない)

(特にマイクロ波背景放射を基準とする必然性もないが・・・)

(48)

48

COBEのデータ ①

地球はAの方向に運動しているため、Aの方向からの

宇宙マイクロ波背景放射の振動数が大きくなる。(ドップラー効果)

(温度が高くなる。波長が短くなる)

赤い部分:温度が高い 青い部分:温度が低い

銀河面(天の川)

見かけの温度差:0.1%

地球(太陽)がAの方向に約370km/sで運動していることを示している

(49)

49

COBEのデータ ②

地球(太陽)の運動による効果を差し引くと・・・

本当の温度ゆらぎが見えてくる

銀河面(天の川)

銀河面の温度が高いのは、天の川銀河の影響

銀河中心

(50)

50

COBEのデータ ③

天の川銀河の効果を差し引くと・・・

本当の温度ゆらぎとなる(最終結果)

これは、宇宙の晴れ上がりの時(ビッグバン後38万年)の温度ゆらぎである 温度ゆらぎは、0.001% 程度。宇宙は当時とても一様(均質)だった。

疑問:なぜこんなに均一なのか?(どの方向も最遠の銀河より遠くを見ているのに)

(51)

ビッグ バン

観測の視点での宇宙

138 10 7-4 0 宇宙年齢(億年)

地球

地球を中心とする この球面全体が

10万分の1の 揺らぎしかない。

宇宙の晴れ上がりより遠く(過去)は 不透明なので、電磁波では見られない。

宇宙の晴れ上がり

(52)

宇宙のはじまり

ビッグバンが宇宙のはじまりではない。

ビッグバン以前はあまりわかっていない。

現在 138億年 3 K

宇宙の晴れ上がり(詳細に観測)

38万年 3000 K

ビッグバン

加速器実験等で理解されている 10-10 1000 K 100 GeV

宇宙のはじまり インフレーション?

真空の相転移と急激な膨張?

1K1 eV

熱運動のエネルギー:3/2 kT

ボルツマン定数 k 1.38×10-23 J/K

= 0.86×10-4eV/K

(53)

53

WMAP が観測した宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

2006年、COBEの中心人物,

マザー,スムートの両名がノーベル物理学賞 2.7 Kの黒体放射の確認,10万分1のゆらぎの発見

COBEの結果を追認

ダブリュー・マップ 2001年打ち上げ

(54)

プランク衛星

2009年打ち上げ

プランク(planck)が観測した宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

(55)

ビッグバンの証拠(まとめ)

(1)膨張宇宙:ハッブルの法則

(2)宇宙の元素の割合(宇宙初期の元素合成)

H : He = 3 : 1

(3)宇宙マイクロ波背景放射

(56)

ダークマター(暗黒物質)

の話

(57)

万有引力の法則(重力)

万有引力 F = G

m

1

m

2

r

2

重力定数( 6.672×1011 m3/kg・s2

m

1

m

2

r

F F

2物体の間に働く万有引力の大きさ

F

は、

2物体の質量の積

m

1

m

2 に比例し

2物体間の距離

r

の2乗に反比例する。

比例定数が G (重力定数)

(58)

万有引力 F = G = m (向心力)

惑星の公転

r

F F

地球 M >> m m

太陽 M

Mm r

2

v

2

r

v = GM M = r

軌道半径と公転速度から太陽の質量 M が計算できる

太陽の質量は大きいので

(地球の約30万倍)

太陽はほぼ静止している

rv

2

G

万有引力が向心力となり、地球は等速円運動をしている。

ほぼ

(59)

問題:太陽の質量を計算してみよう

地球は1年間で太陽のまわりを1周する 地球の軌道半径は1億5000万kmである

重力定数は6.672×1011である

(地球の質量を知らなくてもよいことに注意)

rv

2

M = G

公転速度 v = 2p × 1.5 × 10

11

≒ 30000 [m/s]

60 × 60 × 24 × 365

太陽質量 M = 1.5 × 10

11

× 30000

2

≒ 2 × 10

30

[kg]

6.672 × 10

11

太陽の質量:1.989×1030 kg

(60)

太陽系の惑星の公転速度

水星 公転周期(3ヶ月)

金星

地球 公転周期 1年 火星

木星

土星 天王星

公転周期 165年

海王星 冥王星

v = GM r

どの惑星の軌道半径と公転速度からも 同様に太陽の質量が求まる

(61)

61

問題

銀河の質量はどうすれば求めることができる?

(62)

方法①

星の質量は、星の明るさや色からわかる。

(星の質量,明るさ,色は互いに相関がある)

星の質量を全部足せば銀河の質量が求まる。

問題点

星以外の「見えないもの」が、もしあってもわからない もっと良い方法はない?

問題:銀河の質量はどうすれば求めることができる?

(63)

方法②

渦巻銀河中の恒星は、

太陽系の惑星のように回転運動をしている

万有引力 F = G Mm = m (向心力)

r

2

v

2

r v = GM M =

r

恒星の回転速度 v は、軌道内の全質量 M の平方根に比例し 軌道半径 r の平方根に反比例する

恒星の回転半径と回転速度から軌道半径の内部の

(目に見えないものも含めた)銀河の質量を計算できる

rv

2

G

(64)

天の川銀河の質量を計算してみよう

太陽近辺の回転速度は約 240 km/s である。

太陽は天の川銀河の中心から約 8 kpc (2.5×1020 m)離れている

rv

2

M = G

太陽より内側の質量 M =

= 2.2 × 10

41

kg

2.5 × 10

20

× (2.4 × 10

5

)

2

6.672 × 10

11

太陽の質量が 2.0 × 10

30

kg なので、その約 1100 億倍

この値は目に見えないものの質量も含むことに注意

(65)

計算で求めた質量は点線の内側の質量

M

v

v = GM M = r

rv

2

G r

ガウスの法則の結論:

電荷(質量)の分布が球対称なら、

電場(重力加速度)の計算は、

閉曲面内の電荷(質量)の総量が

中心にあるとしてよい。 実際は球対称でないので、微妙に違う。

(66)

66

渦巻銀河の回転速度

銀河中心からの距離と回転速度の関係

回転速度 [k m/s]

回転速度[km/s] 銀河中心からの距離 [kpc]

銀河中心からの距離 [kpc]

太陽の回転速度 220 km/s

回転速度は光の ドップラー効果

で測定

(67)

67

渦巻銀河NGC4565

銀河中心

銀河中心からの距離

(68)

渦巻銀河の回転速度の謎 ①

回転速度が銀河のへりにいっても落ちない

銀河の恒星は中心部に集中しているので

予想される回転運動の曲線は太陽系のものに近いはず

水星

地球

木星

海王星

もう恒星のないような領域でも 回転速度が落ちない!?

太陽系の質量は 太陽に集中している

v が一定

公転速度v[km/s]

銀河中心からの距離 [kpc]

v = GM r

r

(69)

回転速度 v が一定ということは・・・

万有引力 F = G Mm = m (向心力)

r

2

v

2

r v = GM = 一定

r M

r = 一定 Mr

軌道内の質量 M は、r に比例して大きくなっている r が2倍になれば、M も2倍になる

星の数は r が2倍になってもあまり変わっていない。

定数

(星は中心付近に集中している)

(70)

渦巻銀河の回転速度の謎 ②

銀河の回転速度から求められる銀河の質量は、

恒星の数や銀河の明るさから推定される質量の 10倍程度になる。

星以外の「見えないもの」の存在を示唆

(ダークマター・暗黒物質)

M = rv

2

G

(71)

楕円銀河は?

X線の画像 可視光の画像

青くボーっと光っているのは 楕円銀河の周囲の高温ガス

(1000万度)からのX線

2004年、チャンドラX線観測衛星

NGC4555 の例

6000度:可視光 ,1000万度:X線 復習:1万度 1 eV

(72)

渦巻銀河の場合と同じ 高温ガスの温度は1000万度あり、40万光年にわたって広がっている

(可視光で見えている大きさの2倍)

このような高温のガスを重力で閉じ込めておくためには 大きな重力源が必要である。

高温のガスは激しく運動しているので、重力が弱いと逃げていく

例:地球には大気があるが月にはない。月は重力が地球の6分の1しかないから

必要な質量は楕円銀河に存在する星やガスの質量の10倍程度

楕円銀河の謎

星以外の「見えないもの」の存在を示唆

(ダークマター・暗黒物質)

NGC4555の場合

(73)

X線の画像 可視光の画像

他の楕円銀河 NGC770 の例

(74)

74

かみのけ座銀河団

(75)

75

ガスの密度

銀河団は?

赤十字は明るい楕円銀河 色はガスの温度

等高線はX線の明るさ

1 keV ≒ 1000万度 ガスの温度:8000万度

(楕円銀河より高温)

同様にガスを銀河団内に 閉じ込めておくためには

ダークマターが必要

かみのけ座銀河団

ガスは希薄

8000万度の黒体放射を しているわけではない。

(76)

銀河団中の銀河の運動

渦巻銀河の回転速度や

太陽系における惑星の公転速度

万有引力 F = G Mm = m (向心力)

r

2

v

2

r v = GM M =

r

rv

2

G

銀河団中の銀河は、統一的に回転運動していないが、

銀河団の中心を焦点とする楕円軌道を回っている

(直線的なものから円軌道に近いものまで様々)

銀河の速度の分布から、銀河団の質量がわかり、

ダークマター(暗黒物質)の存在を示す

歴史的には、1930年代にスイスのツビッキーが この方法で最初にダークマターの存在を指摘 51

(77)

77

かみのけ座銀河団

各銀河の軌道

M = rv

2

G

(78)

典型的な銀河団の質量の内訳

銀河の質量:数%

高温ガス:約20%

ダークマター:70~80%

高温ガスや、銀河の運動から求めると・・・

52

(79)

これまでのまとめ

渦巻き銀河の回転速度:星の質量の10倍程度の質量がある 楕円銀河の高温ガス:星の質量の10倍程度の質量がある

銀河団:星・ガスの質量の数倍の質量がある これらの観測結果は一部の銀河・銀河団だけでなく

大多数の銀河・銀河団で大なり小なり見られる 大多数の銀河・銀河団には目に見えない「もの」

ダークマター(暗黒物質)が存在する

53

(80)

暗黒物質は、陽子・中性子・電子の通常の物質か?

答えは No

見えない通常の物質としては

ブラックホール・中性子星・白色矮星・褐色矮星等 が考えられる

これらの分布は基本的に恒星の分布と同じであるが、

ダークマター(暗黒物質)はもっと広い領域に ガスのように広がっている。

太陽系近傍にも、上記の天体は数多く存在しない。

光や物質ともほとんど相互作用しない → ガスでもない。

質量不足で

恒星になれなかった天体 質量は木星の

1375倍程度

寿命を終えた恒星

54

(81)

ダークマター(暗黒物質)の正体は?

まだ、わかっていない。物理学最大の謎の一つ

候補としては

ニュートラリーノ(超対称性粒子)

超対称性理論(仮説)によって存在が予想されている素粒子。

中性で質量があり、ニュートリノのようにほとんど相互作用しない。

LHC(ヒッグス粒子を発見した欧州の加速器)で見つかるかも

予想もできない意外なものである可能性も・・・

55

(82)

宇宙マイクロ波背景放射の揺らぎ( 10

5

, 0.001% )は 通常の物質だけで考えると

大規模構造の種としては小さすぎる。

(現在のような構造を 138 億年でつくるのは不可能)

ダークマターが存在しそのゆらぎが種となり 通常の物質がダークマターの密度の高い部分に

引き寄せられ構造ができていったと考えられる。

ゆらぎの種としてのダークマター(暗黒物質)

ダークマターの問題は、

ビッグバン理論や素粒子物理学とも密接に関連

56

(83)

NASAのWMAPが観測した宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

2001年打ち上げ

このような宇宙初期のゆらぎが発達して 銀河・銀河団・大規模構造等を作った ゆらぎの

大きさは 10-5 程度

(84)

グレートウォール

超空洞 ボイド

銀河

宇宙の大規模構造

一個一個が銀河

銀河フィラメント

40億光年≒ 4×1025 m

銀河‐銀河群‐銀河団‐超銀河団‐大規模構造 10 100 1000 1 10

(光年)

(85)

85

ウィキペディアより転載

ダークマターの観測法(重力レンズ)

銀河団等の 重力源

重力源の 後方にある

銀河等

(86)

重力レンズ

30億光年

(87)

87

銀河団 Abell 1689 によって作られた重力レンズ

20億光年

(88)

ABCDは同一のクエーサー

クェーサー:恒星のように点光源に見える天体(銀河)

quasi-stellar 恒星

(89)

アインシュタイン・リング

(90)

90

弱い重力レンズ効果

ランダムな銀河分布 弱い重力レンズ効果が効いている場合

谷口 義明 氏研究発表資料より転載

視野に見えているたくさんの銀河の形状を統計的に調べて、

どの方向にどの程度の質量があるかを調べる 57

(91)

91

ハッブル・ディープ・フィールド あまり星のない領域

星座を構成するこれらの星(このスライドの白い点のほぼすべて)は 天の川銀河(銀河系)内の太陽のような恒星

(92)

92

ハッブル・ディープ・フィールド

~遠い銀河~

赤方偏移によって波長が数倍以上に伸び、

赤っぽく写っている銀河がたくさんある。

このような銀河は光速に近い速度で 遠ざかっている。

(c) NASA 長い露出で写真を撮っているので

非常に暗い天体まで写っている。

星がない領域をよくよく見ると 無数の銀河が見えてくる。

拡大すると

(93)

93

全部銀河

特別な領域ではない。

どの方向も同様

(94)

94

ダークマターの3次元分布

谷口 義明 氏研究発表資料より転載

近傍

80億光年 2.7

光年

(95)

95

ダークマターの分布

すばる望遠鏡HPより転載

青:ダークマター 赤:通常の物質 赤の青の位置には

相関がある。

通常の物質は、

ダークマターに 引き寄せられた 58

(96)

宇宙の膨張は加速している?

それとも減速している?

宇宙に存在する物質には互いに引力が働くので

宇宙の膨張の速度は次第に小さくなりつつあると考えられてきた。

ある一定の量(臨界密度)以上の物質が宇宙に存在すれば 宇宙の膨張はいつかは停止して収縮に転じ、

再び一点に集中する(ビッグクランチ)。

通常の物質(バリオン)の量は臨界密度の5

%

程度

ダークマターは臨界密度の

27%

程度

通常の物質とダークマターは宇宙の膨張を減速させようとする。

観測の結果は宇宙は現在、加速膨張していることを示している。

59

(97)

97

セファイド タイプIa の

超新星爆発

(明るさ一定)

もっと遠くは?

銀河までの距離 [Mpc]

銀河の後退速度 [km /s]

遠く(過去)から来る光は赤方偏移をおこしている。

波長1.1倍

13億光年 13億年前

(98)

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

赤方偏移z (波長が z + 1倍に伸びた)

2011年のノーベル物理学賞

「遠方の超新星の観測による 宇宙の加速膨張の発見」

パールムッター,シュミット,リース

Ia型超新星の見かけの等級と赤方偏移

加速膨張

臨界密度の25%の物質 臨界密度の物質がある 暗い

明るい 前の スライド

試験には 出ません

後退速度

減速膨張

60

(99)

ダークエネルギー(暗黒エネルギー)

真空そのものが内包する「真空のエネルギー」ともいえる。

→ 宇宙のどの場所でも一定の量のエネルギーが存在する。

正のエネルギーを持ち、負の圧力、反発力として作用する。

ダークエネルギーは、アインシュタインの宇宙項ともいえる。

一般相対性理論を宇宙全体にあてはめると、宇宙は膨張や収縮をする。

アインシュタインは、宇宙は静止していると考え、重力に対抗する宇宙項を導入 その後、ハッブルの法則が発見され、アインシュタインは、

「宇宙項は、わが生涯最大の過ち」として宇宙項を撤回した。

しかし、現代になって宇宙定数が復活したともいえる。

宇宙項

アインシュタイン方程式

(重力場の方程式)

試験には 出ません

ダークマターは違う(偏在する)

61

(宇宙の膨張を加速する)

(100)

宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ

温度のゆらぎは、どれくらいの角度スケールで変化している?

プランク

2009年打ち上げ

360°

180°

(101)

角度パワースペクトル

試験には

出ません 62

理論曲線 LCDMモデル

このパワースペクトルより

①通常物質の量

②全物質の量

(ダークマターを含む)

③宇宙の幾何構造

(閉じた,平坦,閉じた)

・・・・

がわかる

宇宙項(L)と 冷たいダークマター

Cold Dark Matter を加えた宇宙モデル

超対称性粒子の ように重い素粒子 理論と観測が

見事に一致!

(102)

試験には 出ません

ダークエネルギーはどのくらい存在する?

物質(通常物質+暗黒物質)の密度

Ia型超新星(Super Nova を用いた宇宙膨張 銀河の分布パターン

(宇宙の大規模構造)

(臨界密度 = 1 宇宙マイクロ波背景放射

Cosmic Microwave Background の角度パワースペクトル

(臨界密度 = 1

合計 = 1(臨界密度)の線

ダークエネルギ

63

(103)

現在の宇宙(まとめ)

宇宙の全エネルギー(質量)の割合は、

通常の物質: 5 %程度 ダークマター: 2 7 %程度 ダークエネルギー: 68 %程度

我々のよく知っている通常の物質は、

宇宙全体のエネルギーのわずか5

残りのほとんどは、我々の知らないものである。

陽子・中性子・電子

LHCで見つかるかも

64

合計は臨界密度になっている

参照

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