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~椎木町餅つき交流会を事例として~

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Academic year: 2021

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中尾 健一郎

地域交流行事の効果について

~椎木町餅つき交流会を事例として~

Impacts of a Community Exchange Event.

- A case study of a Shiinokicho rice cake making event. -

1. 緒言

近年、大学と地域社会はお互いに地域の一 員としてパートナーシップを組み、お互いの 持てる原資を提供しながら、地域の活性化の 取組を日常的なものにしている。その背景に は学生を社会と触れさせることで多様性の認 識を育み、学生自身の人間力とコミュニケー ション能力を成長させる絶好の場として捉え ている大学側と少子高齢化による深刻な人に よる知恵と活力不足を若さと活力のある大学 生に期待する地域の実情がある。このように 地域交流は交流する双方が抱える様々な課題 や悩みを、お互いが持てる力で補完すること で解決していくことに意義がある。

 本学では「地域を媒体とする研究教育活動 に参加し、学生と地域の人々との交流を深め、

地域の一員としての自覚を高める」ことを教育 目標の一つに掲げて地域交流を積極的に行っ ている。その取組のひとつとして地元の椎木 町を対象とした行事を毎年開催して、地域を 理論実践の場とするたけでなく、地域と共に 歩む姿勢を実際の活動として明確に示し、高 等教育機関としての存在価値を高める努力を しているところである。

 平成 24 年度はこれまで年間数回の交流行事 を行ってきていたなかで、新たに「餅つき交流 会」を開催することになった。本研究は新た に実施したこの行事による地域交流について、

実施に至った背景と学生や地域住民の参加意 識からその効果について明らかにし、交流行

事の今後の可能性について検討する。

2. 研究の方法

実施に至った背景については当日までに 3 回 実施された打ち合わせ会議の内容を分析した。

また「餅つき交流会」の効果を測定するために 質問紙を作成し調査をした。調査対象は「餅つ き交流会」に参加した学生及び地域住民の方々 である。具体的には以下の通りである。

①打ち合わせ会議について

・第1回:平成24年10月28日(日)

・第2回:平成24年11月9日(金)

・第3回:平成24年12月7日(金)

②質問紙調査

・調査対象:餅つき交流会の懇親会まで参加 した学生及び地域住民 49名 

(調査対象者の属性については表1,2参照)

表1 調査対象者の属性(性別)

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表2 調査対象者の属性(年齢)

・調査日:平成24年12月22日(土)

・○回収率:100% 注1)

3. 結果の概要

1)「餅つき交流会」の実施に至った背景について  椎木町公民館とは毎年、交流行事の調整会 議を公民館代表、九文高校代表、短大代表を 集めて年度始めに行っている。24 年度は 6 月 18 日に開催されたが、短大側では 24 年度につ いてはこれまで実施してきた親子クッキング 教室&レクレーション及びクリスマス会の 2 つ の行事を日程的な問題もあり1つに統合して 実施する案を提案し了承された。具体的な内 容や日程については今後検討することとなっ たが、その会議の中で椎木町側から例年、長 崎県立大学のボランティアグループと共同で 行ってきた餅つき大会が県立大学側の都合で 出来なくなったとのことが報告された。そし て、椎木町としては独居老人についた餅を配 布したり、懇親会で高齢者を招いたりこれま で地域交流に果たしてきた役割は大きく、ま た家庭で餅をつく習慣が無くなり、伝統的な 食文化が継承されにくくなっている現状を憂 い、何とか継続をしたいという意向で協力を 求めてこられた。

 餅つき交流会については費用や道具、必要 な人員の問題などその際には具体的に検討さ れなかったが、これがきっかけとなり餅つき 交流会の開催の可能性について検討していく こととなった。

2) 開催準備に向けた取組について

 開催の準備に向けて 3 回の会議を持った。ま ず第1回目(10 月 28 日実施)の会議は長崎短期 大学で開催され、公民館からは副館長、総務 部長、短大からは担当者(筆者)が出席し、以 下のことが確認された。

・材料費については短大側で調達する。(後期 傾斜配分研究費の申請にこの行事の開催を対 象とした事例研究を申請すること)

・餅つき大会の会場は椎木公民館とし、必要機 材は椎木公民館で準備をする。

・餅のつき手で男性の力が必要となるため、高 校側にも協力を依頼する。

2 回目の会議は椎木町公民館で開催され(11 月 9 日)、町側は役員の方々と短大から担当者と 当日参加する学生(中尾ゼミの学生)が参加し、

以下のことが確認された。

・餅つきの手順と準備について

・当日の内容について

 3 回目の会議も椎木町公民館で開催され(12 月7日)、町の役員の方々、短大側からは担当者、

当日参加学生が参加し、以下のことが確認さ れた。

・当日の役割分担、流れについて

・材料の調達、前日の準備について

以上の 3 回の打ち合わせを重ねて、以下の要領 で「餅つき交流会」が開催されることとなった。

<餅つき交流会の目的>

・一般の家庭では機会が少なくなった餅つきの 体験を通して地域の子供たちも交えた様々な 世代の人たちと交流し文化の継承に貢献する こと。

・伝統的な食文化を学ぶことで学生たちが将来 の食育活動の実践にむけた知識や能力を養う こと。

 具体的には椎木公民館の皆様、役員、婦人 会の方々にご協力を頂き、短大からは中尾ゼ ミの学生および九文高校から野球部の生徒が 㻌

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参加し餅つきを行う。そこに子供育成会の子 供たち、独居老人、高齢者の方々を招き懇親 会を開催し豚汁とおにぎりそしてその日につ いたお餅を食べながら世代間の交流を深める ことを目的とした。

<日時>・平成 24 年 12 月 22 日(日)午前 7 時か ら準備開始

<会場>・椎木町公民館

<プログラム>

○餅つき大会 9:00 ~ 12:00 ・餅つき、餅丸 め(きな粉、白もち)、豚汁作り

○懇親会 12:00 ~ 14:00 ・セレモニー、余興

<準備日程>

<前日まで>

・材料を手配し調達する(公民館で)

・飾り付けをする物の製作(短大生)

・余興の準備、練習

<前日(21日)15時~ 16時>

・公民館調理室で餅米を洗い、水に浸す。豚汁 の材料を切り準備する。(町婦人会と短大学生 3名)

<当日>

・公民館の飾り付けを短大生が中心になって行 う。

・懇親会会場のセッティング

・餅つきの機材のセッティング。公民館横駐車 場と公園に臼と杵を1セット、餅を蒸すため の釜を3箇所用意する。(餅つき機も用意)

3) 当日の様子について (1) 餅つきの様子について

会場となった公民館となりの公園にかまど を設置し、薪を焚き、蒸し器を用いてもち米 を蒸した。もち米は前日に洗い、水に浸して いたもので、45 キロ用意した。前日から雨が 降り、薪が湿っていたこともあり、かまどの 火がなかなかつかなかったが、薪が乾燥する につれて火が安定し、蒸す作業がはかどって いった。

図1 かまどに薪をくべもち米を蒸す様子

 蒸したお米は、通常そのまま臼に入れて、

杵でこねてつく作業に入るが、つきあがりを 早めるために餅つき機である程度捏ねてから 臼に移し、杵でつくという方法をとった。

 これに加えつき手を男性がおこない、特に 九文高校野球部のメンバーがリズミカルに元 気よくつくなど活躍してくれたこともあり、

45 キロのもち米も例年と比べると早くつきあ がったとのことであった。餅つきにはときど き、地域の方々、子どもたち、短大の学生が 交代で務めるなどして、餅を杵でつくという 本来の醍醐味を体験していた。

図2 九文高校野球部員による餅つきの様子

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図3 短大生が餅つきを体験している様子

(2) 懇親会会場の飾り付けについて

会場の飾りつけはすべて短大の学生が担当 するこことなっていた。クリスマスが近いと いうことで、短大から大きな色画用紙(緑色)

で作成したツリーを運び飾ることにした。そ して前日のゼミ活動の時間にはペーパーフラ ワーやツリーに飾る折り紙等も準備した。

図4 ツリー飾りを製作している様子

図5 子どもたちと一緒に飾りを製作している様子

図6 飾り付けをしたステージ

 当日は公民館から折り紙リングをお借りし て飾り付けをしたり、会場に来た子どもたち と一緒に星や人形などを折り紙でつくり、ツ リーにつけたり、花飾りを取り付けたりして みんなで楽しめる明るい雰囲気づくりを協力 して行った。

(3) 餅丸め、豚汁、おにぎり作りの様子 杵と臼でつき終わった餅は部屋に用紙され た台に移され婦人会の方々がちぎり、それを 地域の方々と短大生、子どもたちが一緒になっ て丸めた。今回は白餅ときな粉を混ぜたきな 粉餅と 2 種類を作った。丸めた餅は 2 種類に分 けて一つずつビニールシートに並べ、各方面 に配布するようにパック詰めを行った。豚汁 とおにぎりは婦人会の皆さんが中心となって、

前日に短大生と一緒に材料の仕込みを行って いたこともありスムーズに進んだ。室内での 準備作業(餅丸め、おにぎり、豚汁つくり)は 全体的に婦人会の皆さんの指示でそれぞれで 役割を分担し協力して実施したこともあり、

例年より早く終了できたとのことであった。

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図7 子どもたちと一緒に丸める様子

図8 きな粉餅を丸める様子

図9 机に並べられた豚汁など

(4) 懇親会の様子

まず、懇親会の会場の設営を行った。机と 椅子を並び替え、豚汁やおにぎり、お餅、お 茶を人数分机に置いた。

 準備が整ったところで、懇親会が司会の合

図でスタートし、椎木町の方の挨拶や短大生 の挨拶、鏡餅の贈呈などを行った。そして乾 杯をし、ついた餅や豚汁、おにぎりをいただ いた。

図10 懇親会で食事をする短大生の様子

図11 ダンスを披露する短大生の様子

図12 子どもたちによる合唱

 食事がひと段落したところで余興が始まっ た。余興で短大生は練習をしてきた「あわてん

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ぼうのサンタクロース」と「となりのトトロ」

を器楽演奏し、AKB48の「ヘビーローテーショ ン」のダンスを九文高校の皆さんや子どもたち も飛び入りし一緒に披露した。

 子供育成会の子どもたちからは「ジングルベ ル」と「サンタが街にやってきた」の合唱を聴 かせてもらった。

図13 フラダンスの披露

 また椎木公民館の女性 2 人による演舞とその メンバーに男の子 2 人をプラスしたフラダンス も披露され、楽しい雰囲気の懇親会となった。

4) 参加者の経験と参加意識について(質問紙調 査の結果より)

(1) 参加者の餅つき経験について

①過去の餅つき経験について

表の 3 はこれまでの餅つき経験について質問 した結果である。全体的には杵でついた経験が ある参加者が 42.5%、ついた餅を丸める経験が 28.8%と丸餅を作る過程に約7割の参加者が関 わった経験を持っている。実際に作っている過 程を見たという経験まで含めると約9割が経 験しており、餅をつくという文化が伝統的に根 強く残っている様子が窺える。一方、短大生に 着目すると「つく」よりも「丸める」経験を多く している傾向にある。これは男女構成が女性だ けであり、比較的若く餅つきの経験もないこと が影響しているものと考えられる。

表3 餅つき経験

②家庭での餅つき実施状況について 表4 家庭での餅つき経験

 表 4 は餅つきについて家庭での実施状況を質 問した結果である。毎年行っているのは22.9%

の家庭だけで、60.4%が全くしておらず、特に 椎木町住民(一般)では 73.1%も実施していな い様子が窺える。これは、椎木町住民(一般)

の年齢が 60 代以上が 88.5%と高齢であること も影響しているものと考えられる。

(2) 参加した意識について

①餅つきの感想について

表 5 は餅つきの感想について質問した結果で ある。「すごくおもしろかった」と感じた方が 68.1%、「まあおもしろかった」と感じた方が 31.9%と無回答 2 名を除く回答したすべての方 㻌

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が「おもしろかった」と感じたようである。

②餅つきの面白を感じた場面について 表 6 は餅つきの面白さについて質問した結果 である。それぞれが担当した場所があり、す べての行程を経験できたわけではないが、全 体的にみると餅つきの醍醐味を味わえる「杵で つく」場面を面白かった場面として回答してい る割合が高い。また、例えば短大生は主に「餅 まるめ」を担当しており、高校生は「お米を蒸 す」「餅をつく」を、地域(一般)の方は「お米 を蒸す」「餅まるめ」「餅をつく」をほぼ均等に 担当していたなど、自分の担当した箇所につ いても面白かったと感じたようである。いず れにしても餅に直接触れられる場面に面白さ を感じている様子が窺える。

表5 餅つきの感想

表6 餅つきの面白さを感じた場面

③懇親会の感想について

表 7 は餅つき後に開催した懇親会についての 感想を質問した結果である。「すごくおもしろ かった」42.5%、「まあおもしろかった」52.5%

と約 9 割がおもしろかったと回答している。餅 つきと同様に懇親会も楽しんでいた様子が窺 える。

表7 懇親会の感想

④懇親会の面白さを感じた場面について 表 8 は懇親会で面白さを感じた場面につい て質問した結果である。全体的に 55.4%の参加 者が「豚汁やおにぎりなどを大勢で食べたとこ ろ」と回答しており、個人属性別に見ても県立 大生を除いて同じ傾向にあった。その次には

「余興の歌や合奏、ダンスなど」があげられ、

楽しい歌や踊り、そして食事も楽しみながら 懇親を深めていた様子が窺える。

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表8 懇親会の面白さを感じた場面

⑤ 交流会に参加した感想について

表 9 は餅つき交流会に参加した方にその感想 を質問した結果である。椎木町住民(一般・小 学生)はそれぞれ 65.4%、66.7%が短大生と高 校生と交流が出来たと回答しており、短大生 は地域の大人、お年寄りと 71.4%、子どもたち と 85.7%が交流できたと回答している。九文高 校生についても同様で、地域の大人、お年寄 りが 77.8%、子どもが 66.7%と交流できたと回 答している。地域住民の方々と短大生、九文 高校生がお互いに交流していた様子が窺える。

表9 交流会に参加した感想

⑥来年度の参加意識について

表 10 は来年の餅つき交流会への参加意識を 質問した結果である。「参加したい」84.1%、

「どちらかというと参加したい」13.6%と参加

したいと回答した方が全体の9割となってい る。今回の交流会の楽しさが来年度への期待 となってつながっているものと考えられる。

表10 来年度の参加意識

⑦餅つき交流会に対する意見・感想について 表 11 は餅つき交流会に対する意見・感想を自 由記述形式で質問した結果である。椎木町住 民(一般)の方々の①、②、③、⑦の意見や短 大学生の①、②、④、⑤、⑥の意見から両者 は参加した様々な人との交流ついて、高校生 は①~⑨の意見から餅つきの楽しさについて 参加することを通じて実感している様子が窺 える。

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表11 餅つき交流会に対する意見・感想

4. 考察

(1) 双方の課題と交流会実施の背景

餅つき交流会を開催するにあたり、椎木町 側から課題としてあげられたのは、餅のつき 手としての人材、資金など資源不足、地域の 活力の低下であった。一方、短大側は学生の 多様な世代との交流経験の少なさ、地域文化 へ貢献や関わる機会の減少など社会経験の不 足であった。このようにこの交流会はお互い に抱える悩みや課題を解決するために双方が 持てる力で補完し合おうとしたものであった。

具体的には地域は餅つきを若い学生の力と短 大からの資金的な援助を得て運営を行い、地 域活性化につながる催しを継続することがで

きる。短大側は子どもからお年寄りまで地域 の多様な方々と交流できる機会を提供でき、

さらに一般の家庭では機会が少なくなった餅 つきの体験を通して伝統的な食文化を学び、

文化の継承に貢献できる。そして将来の食育 の実践にむけた経験につながる。このように 餅つき交流会はお互いの相乗効果が期待され た行事であったと考えられる。

(2) 得られた効果

効果が期待され実施された餅つき交流会は 実際どうだったのか。参加した椎木町住民(一 般)の約 7 割が家庭での餅つきが行われていな い現状で参加者の約 6 割が短大生と高校生と交 流が出来たと答えており、短大生も地域の大 人、お年寄りと約 7 割が、子どもと約 8 割が交 流できたと感じている。この行事を通して世 代間の交流の機会を提供できたものと考えら れる。

 また意外にも餅をついた経験が約 7 割、丸め たりするのは 100%とこれまで多くの経験を既 にしていたようであったが、学生は今回丸め る作業を中心的に担当し、約 8 割が面白さを感 じるなど改めて伝統的な食文化への興味関心 を向上させることに貢献したと考えられる。

 さらに学生が卒業研究でこの体験をまとめ たコメント注 2) からは子どもたちとの餅つき 体験を通した具体的な関わりから子どもとの 距離を縮め、喜びを共感している様子や地域 の方々が子どもたちの成長を見守っている姿 を実体験として理解している様子が窺え、保 育者の視点が身に付いていることを感じさせ る内容であった。

 これは1つには餅をついた後に参加した一 同がみんなで作ったおにぎり、豚汁、おもち を一緒に大勢で食べる、そして余興を楽しむ といった交流会のプログラムが餅つき大会と 懇親会の2部構成であったことが影響してい る。参加者の約 5 割がみんなで食べるのが、約 3 割が余興やダンスが懇親会の面白かったとこ 㻌

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ろと回答していることを考えると、みんなで 作り上げたという達成感、協働したみんなで 食べる楽しさ、そして楽しい余興、そのリラッ クスした雰囲気で普段の地域社会の関係がふ とした瞬間に垣間見られる、そういう空間を つくり出していたということである。これに 加え、参加した学生がすべて保育学科保育専 攻の 2 年生で保育者の視点で捉えていることい うことや 2 年生後半のという学修のまとめの時 期でもあったということを踏まえると短大で の学びが実社会の様々な現象にふれることに よって真の理解につながっている事例として 捉えることができる。具体的には子どもに興 味関心を持たせることで意欲の向上につなが ることを理解したり、地域の大人と子どもの 関係を実際に見ることによって、地域社会が 常に子どもの成長を見守っているという関係 を理解するなどである。この時期における実 社会での体験は学びを理解に結びつける貴重 な経験になると考えられる。

 最後に参加者の約 9 割が来年度も参加したい と回答していることを考えると今回の取り組 みはそう思わせることができた内容であった ということであり、満足度は高いものと推察 できる。微力ながらも初めての取り組みとし て地域交流行事によって世代間の交流と伝統 的な食文化の継承、そして学生の学びに貢献 できたものと考えられる。

(3) 今後の可能性と課題

地域の高等教育機関として存在価値を高め ることにつながったかどうかは、今回の調査 からは明確に出来なかった。しかし、今回の 取り組みが地域の課題解決と学生の学びに少 なからず貢献していたことは理解できるであ ろう。今後も継続して欲しいという地域の要 請には学生の実体験としての理解を促す貴重 な機会のひとつとして捉え、また地域の高等 教育機関の使命として継続した支援を行うこ とが望まれる。

また地域交流行事は多くの大学で実践されて おり、今後はその質を問われる。今回は初め てのケースで準備に向けた取組が不十分で あったことは否めない。例えば、学生は今回 保育学科保育専攻の学生のみであったが、他 学科の学生が関わってもそれぞれの学科の特 性で地域に広く貢献でき、学ぶ機会を提供で きたであろう。また食文化という観点からい えば餅つきの行程を事前に学習し、担当した 箇所だけではなく、全体の行程を理解した上 で自分が何をしているのか、自分たちだけで もできるのかなど理解して取り組む必要が あったであろう。さらに「交流」についてどの ような行動が現れ、どんな意識を持つことが 交流というのかさらに深く掘り下げた検討が 必要であろう。質を高めるためそういった意 味でも成果として何を求めるか、準備に今後 は時間をかける必要がある。

5. 結語

地域交流行事を通して世代間交流が行われ、

地域は活性化につながり、学生は社会と触れ ることで多様な認識が育まれ、自分自身を飛 躍的に成長させる。今回の取り組みはその一 例として捉えることのできる内容であったと 考えられる。短大、地域社会が双方ともに発 展する「好循環」を創造する機会として、また 短大の中で学ぶだけではなく、広く社会と接 することで社会へと巣立つ準備をする機会と して、地域社会との交流、世代間交流の機会 を身近な地域でもっと増やしていく必要性を 理解できた。今後も地域社会への現実的な貢 献、地域活動に参画する学生の成長を確実に していく取り組みを継続していく必要がある。

付記 本研究は平成 24 年度長崎短期大学傾斜 配分研究費より助成を受け行われたものであ る。

(11)

—43—

注 1) 懇親会まで参加した方のみ調査を行って いる。実際には餅つき、餅丸め、豚汁づくり の作業のみの参加者や餅だけを取りに来られ た地域住民の方もいた。のべ約 70 名の参加が あった。

注2) 学生のコメントは次の通りである。

「子どもたちは、餅を丸めるのが好きなようで 私たちの真似をして上手に餅を丸めていた。

中には、4 歳の女の子もおり一緒に丸めている と徐々にコツを掴み、一人できれいに丸めよ うと頑張っている姿が見られた。子たちが丸 めた餅は小さくてかわいく仕上がっていた。」

「クリスマスツリーの飾りの製作では、私たち が作っていた飾りをみて「どうやって作るの」

と、とても意欲をもって積極的に取り組んで くれた。会話をしながら飾りを作り、緊張気 味だった子どもたちから笑顔が見られたとき は、距離が縮まった気がしてとても嬉しく感 じた。」

「子どもたちには飛び入りでタンバリンや鈴、

カスタネットを演奏してもらった。私たち学 生が子ども一人一人につき、子どもたちは一 生懸命に演奏してくれ、沢山の拍手に喜んで いる様子が見られた。最後に踊ったダンスで は、みんなが笑顔で楽しそうに踊っており、

子どもたちの笑顔に元気をもらった。地域の 方々も家族にはないエネルギーをもらったと 話しており、子どもと地域の関わりは大切だ と感じた。 また子どもたちからも合唱もあり、

「○○くんは大きくなったね」という地域の方 からの声を聞き地域の方々も子どもの成長を 見ていることが理解できた。」

平成 24 年度 卒業研究論集 第 24 集 pp.4-7,8 よ り抜粋

参考文献

草野篤子・秋山博介 (2004) インタージェネ レーション コミュニティを育てる世代間交 流 現代のエスプリ No.444. 至文堂

里 村 博 行・吉 村 彰 芳 (2011)  IKUEI NEWS 2011.7 vol.55. 電通育英会

草野篤子 (2010) 世代間交流学の創造 無縁社 会から多世代間交流型社会実現のために . あ けび書房

参照

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