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滋賀県立大学における研究費の不正経理事案の発生について
令和3年4月、本学学生より研究費について不正行為の疑いがあるとの申立てがありました。
これを受け、「公立大学法人滋賀県立大学における研究活動上の不正行為の防止等に関する規程」
に基づき、学内に不正行為調査委員会を設置し、全容解明に向けて調査を実施してまいりました が、このたび、下記教員による学生等の雇用に関する支出について不正が認められました。
今回の事案は、研究に携わる者としてあるまじき行為であり、また、学生を巻き込み、虚偽の 書類を作成させたこと、一部の学生には、支払った金銭を還流させようとしたことなどについて は、教育機関の教員として、教育指導上も許しがたい行為であり、厳正に対処してまいります。
学生・保護者はじめ県民の皆様の信頼を損なうこととなり、深くお詫び申し上げます。
今回の不正を真摯に受け止め、再発防止に取り組むとともに、皆様の信頼に応えられるよう、
誠心誠意取り組んでまいります。
記
(1)不正行為に関与した者の所属および職名
環境科学研究院 准教授(男性) (共謀者なし)
(2)不正行為の内容(不正行為の内容、関与した者の関与の程度、不正使用の相当額等)
本事案は令和3年4月15日に、公立大学法人滋賀県立大学における研究活動上の不正行 為の防止等に関する規程(以下「規程」という。)に基づき、不正行為の疑いがあるとの申立 てがあったものである。
規程に基づき設置した不正行為調査委員会において調査した結果は、次のとおり。
なお調査は、当該教員にかかる学生等アルバイトの支出書類が保存されている、平成25 年度以降の研究費を対象とした。
○以下の研究課題(財源)において、研究補助のアルバイトを雇用する際、賃金支出の根 拠となった書類(勤務表)が虚偽であり、計 10 人分 2,861,547 円を不正経理と認定した。
(勤務表にかかる虚偽の内容)
①実際には従事していないにもかかわらず、業務に従事したことにして記載させた。
→ 学生は、研究に必要な消耗品や交通費などの研究費と認識して受け取っていた。
②実際に従事した実績日数等を水増しして記載させた。
→ 学生は、研究に必要な消耗品や交通費などの研究費と認識して受け取っていた。
③実際の従事日時・内容とは異なる記載をさせた。
a)従事内容は正しいが、従事日時が虚偽のもの(同一事業内)
→ 学生は、教員の指示に従い研究補助の業務を行っており、正当な対価と認識 して受け取っていた。
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b)従事日時および従事内容が虚偽のもの(別事業の雇用経費を支出)
→ 学生は、教員の指示に従い研究補助の業務を行っており、正当な対価と認識 して受け取っていた。
○アルバイト雇用以外の経費(物品費、旅費、謝金等)については、適正に検収・検品さ れており、正当に執行されていた。
○賃金は学生に直接支払われており、還流させようとしたことはあったが、実際の還流は 認められなかったため、私的流用はなかったと判断した。
○当該教員は動機について、
・雇用した学生に対しては、正当な対価(アルバイト代)を支払うべきと考えていたが、
自身の計画性のなさから、計画的な雇用手続きができなかったこと
・大学院生などの研究に必要な消耗品等の購入について、学内の所定の手続きを経れば 公費での購入が可能な場合もあったが、細々とした経費支出の手続きが面倒になった こと
と申述している。
これらの発言から、当該教員は倫理観が乏しく業務管理なども不十分であり、出勤表に は虚偽の記載をし、アルバイト代の架空請求をしたと考えられる。
○不正と認定した金額については、当該教員に返還を求める。
○学生等の雇用に関する不正な支出額
雇用経費計 科研費 環境研究総合推進費 一般研究費
平成25年度 72,500円 72,500円
平成26年度 165,800円 165,800円
平成27年度 588,700円 384,950円 203,750円
平成28年度 287,300円 247,500円 39,800円
平成29年度 188,250円 188,250円
平成30年度 426,283円 87,305円 253,728円 85,250円
令和元年度 606,116円 73,449円 532,667円
小計 2,334,949円 1,147,254円 786,395円 401,300円
※令和2年度分については、書類作成に不正が認められたが、支払いを行っていない。
雇用経費計 科研費 環境研究総合推進費 一般研究費
令和2年度 526,598円 149,856円 327,680円 49,062円
令和2年度分も 含めた合計
2,861,547円 1,297,110円 1,114,075円 450,362円
※科研費(科学研究費助成事業)は、独立行政法人日本学術振興会の競争的研究資金 環境研究総合推進費は、独立行政法人環境再生保全機構の競争的研究資金
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一般研究費は、大学として、すべての教員に割り当てている研究費
(3)調査結果の公表までの経緯 令和3年4月15日
・申立て受付
・当該教員にかかるアルバイト代について、令和2年度分の支払い一時保留 令和3年4月27日
・申立てについて規程第12条第5項に基づき内容を精査し、受理 令和3年5月26日
・本調査実施の決定 令和3年5月27日
・不正行為調査委員会を設置
・以降、令和4年3月28日まで調査実施 令和3年6月
・被申立者あて、調査委員会の設置について通知
併せて、調査対象となる研究費の請求等について、他の教員、学生等と連絡をとらない よう指示
・研究室所属学生の配置転換 令和4年1月7日
・教員からの聞き取り 令和4年3月28日
・調査委員会委員長が、調査結果を申立者および被申立者に通知 ・理事長が、調査結果を配分機関および文部科学省に報告
(配分機関:独立行政法人日本学術振興会、独立行政法人環境再生保全機構)
令和4年6月
・教員の処分については、公立大学法人滋賀県立大学が定める就業規則および公立大学法 人滋賀県立大学の懲戒に関する規程等関係規程に基づき、今後厳正に対処していく。
(4)委員会委員の氏名、所属および職名
区 分 委員氏名 職名等
学内委員(委員長) 安原 治 研究・評価担当理事 学内委員 青木 洋 事務局長(当時)
〃 南川 久人 先端工学研究院長 外部委員 荒川 葉子 弁護士
〃 藤 崇之 公認会計士
〃 遠山 育夫 滋賀医科大学理事・副学長
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(5)調査の方法および手順 ①書面調査
・出勤表(雇用の実績を表した書類)の確認(毎月の勤務内容および各月の勤務日の不 自然さ等の有無の確認)
・購入物品等と研究内容との整合性の確認
②当該教員へのヒアリング
③被雇用者(在学生)へのヒアリング
④被雇用者(卒業生)に対する確認調査(照会回答による文書調査)
(6)研究費の適正使用に関する実態調査
今回の事案を受け、アルバイト雇用を行っている研究課題について、書面調査およびヒアリ ング調査を実施する。
(7)再発防止策
今後の再発防止に向けて的確に対応するため、教職員や学生等のさらなる意識向上を図ると ともに、体制面の改善なども含めた組織的な対応を進めることとし、以下の再発防止策を講じ た。
① 研究倫理やコンプライアンスに関する研修の実施
当該教員は、3年ごとの研究倫理教育を受講しておらず、大学教員としての規範意識 が欠如していたことが不正発生の一因である。
このことから、今回の事案を全教職員に周知するとともに、教員への研修体系につい ては、これまでの3年ごとの研究倫理教育に加え、その間の年度は研究費コンプライア ンスや分野別研究倫理などのテーマを設定し、毎年度の受講を必須とした。
② 学生に対する教育および周知の実施
不正行為に協力させられた学生には、不正行為であるとの確たる認識もなく、またそ れを見抜く力もなかった。
このことから、新たに「研究倫理ハンドブック」を全学生に配布し、研究費の教育も 含め研究のレベルに応じた倫理教育プログラムを体系的に実施している。
③ 事務局体制および職員研修の見直し
アルバイト雇用の関係書類である「出勤簿」等について、事務局での取り扱いが十分 でない点が見受けられた。
このことから、研究費不正防止に向けた事務局の役割と、そのために必要となる事務 手続等、さらには、雇用手続の意味など労働関係法規等についても研修を行い、雇用事 務手続の際の教員への指導等が適切に行えるよう対応を図る。
④ 雇用に関する事務手続の改善
学生の雇用に関する一連の事務手続きの中で、事務局等のチェック機能が十分には働
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このことから、次の視点を踏まえて事務手続きを見直した。
・事務部門による雇用計画内容の詳細な把握
・雇用決定通知を学生に交付する際の注意喚起の徹底(事務局から交付)
・事務部門による出勤簿の厳格な管理(学生の出退勤時間や勤務内容の確認など)
・研究内容を知り得る上席教員による勤務内容等のチェック
・研究費執行マニュアルに基づく、財務課による出勤表内容の教員、学生双方へのヒ アリング実施(支払い処理の前に抽出して実施) など
⑤ 雇用に関する財務執行管理および監査の強化
毎年度、外部資金の監査は実施していたものの、特定の団体からの外部資金のみを対 象としていた。
このことから、監査室による内部監査は、すべての外部資金を調査の母集団とすると ともに、次のように不正が生じるリスクの高いと思われるものを抽出し、その内容に応 じて実施頻度を増加させるなどする。(令和4年度実施の監査から適用)
・年度末に支払いが集中しているもの
・学生を雇用しているもの
・複数年の研究課題で、これまで監査対象となっていないもの
・同時に複数の外部資金を受けている教員にかかるもの