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急性曝露ガイドライン濃度 (AEGL)
Tear Gas (2698-41-1) 催涙ガス
Table AEGL設定値 Tear Gas 2698-41-1 (Final)
(mg/m3)
10 min 30 min 60 min 4 hr 8 hr
AEGL 1 NR NR NR NR NR
AEGL 2 0.083 mg/m3 0.083 mg/m3 0.083 mg/m3 0.083 mg/m3 0.083 mg/m3 AEGL 3 140 mg/m3 29 mg/m3 11 mg/m3 1.5 mg/m3 1.5 mg/m3 値がppmではなくmg/m3で与えられていることに注意。
NR: データ不十分により推奨濃度設定不可
設定根拠(要約):
催涙ガスは、胡椒の様な臭気を有する白色結晶粉末である。1928 年に Corson と Stoughton によ り初めて合成されたため、CSと略される(Corson and Stoughton 1928; US Army Chemical School
2005)。CS は、1950 年代になると、1-クロロアセトフェノン(CN)に代わる化学合成無能力化剤
としての開発が行われるようになった。CS の方が CN よりはるかに強力な刺激物質でありなが ら、毒性は著しく低かったからである(WHO 1970; Colgrave and Creasey 1975; Hu et al. 1989)。軍 事用に採用され、ベトナム戦争で広く使用された(WHO 1970; Hu et al. 1989)。現在、軍隊と警察 部隊の双方が、無能力化剤として使用している(HSDB 2005)。Upshall(1973)は、CS をエアロゾ
ル濃度4 mg/m3で暴徒に対して使用した場合、大半が1分以内に退散し、10 mg/m3で訓練を受け
た軍隊に対して使用した場合、その活動が阻止されたことを報告している。皮膚反応がより重度 であることを除き、通常、新鮮な空気にさらされると、おおよそ曝露後 30 分以内に急速に曝露 時の状態から回復する(Ballantyne 1977)。CSは、o-クロロベンズアルデヒドとマロノニトリルと のカルボニル縮合反応を介して製造することができる(HSDB 2005)。近年の CS の製造に関する データは、得られていない。
ヒトを対象とした試験からは、CS の無影響濃度を確定することはできず、また、CS による影響
の中で AEGL-1 の定義に整合する様なものを認めることもできなかった。ヒトを対象とした試験
において、最低濃度で認められた影響(眼の刺痛、流涙、および鼻、咽頭、口に対する刺激)の重症 度は、AEGL-1の定義を超えていた。したがって、CSのAEGL-1値は推奨されない。AEGL-2値 は、平均濃度0.75 mg/m3のCSにヒトを60分間曝露した際に得られた結果(Beswick et al. 1972)
に基づいて導出した。5 名の被験者すべてが曝露に耐えられたが、いずれも眼の刺痛、流涙、唾 液分泌の増加、咳、顔の刺痛を示した。被験者によっては、咽頭刺激(4 名)、鼻の刺痛および鼻
2 汁(3名)、口の刺痛(2名)、胸部の灼熱感(2名)、悪心(2 名)、頭痛(2 名)の訴えも報告されてい る。接触刺激による影響は物質の侵入部位で現れるものであり、個体間での大きなばらつきは予 測されないことから、種内不確実係数としては 3 を適用した。さらに、刺激の強い高濃度の CS にボランティアを短時間曝露した場合、黄疸、肝炎もしくは消化性潰瘍を有するボランティアで 認められた反応も、また年齢が 50~60 歳のボランティアで認められた反応も、「正常な」ボラン ティアにおける反応と同等であった。薬剤アレルギー、季節性アレルギー、喘息、または薬剤感 受性の既往があるボランティアの場合、14~73 mg/m3のCS に耐える能力および回復時間は、正 常なボランティアと同等であったが、既存の病態が認められるこうしたヒトでは、より重度の胸 部症状が示されたことが報告されている(Gutentag et al. 1960; Punte et al. 1963)。[訳注:このこと から種内不確実係数として 3 を適用していると思われる。]この試験はヒトを対象に実施されて いるため、種間不確実係数には1を適用した。すでに0.75 mg/m3において、AEGL-2の定義に整 合する影響が認められると判断されることから、修正係数 3も適用した。刺激症状は CS との直 接的な接触があれば生じるものであり、また曝露時間が長くなってもその重症度のままで増悪し ないと考えられたため、時間スケーリングは実施しなかった(NRC 2001)。
AEGL-3 値は、各曝露時間における CS の致死閾値算出値に基づいて導出した。McNamara et al.
(1969)、Ballantyne and Callaway(1972)、Ballantyne and Swanston(1978)によるラットでの試験デ ータを用いて、CSの LC01(1%致死濃度)値を算出した。算出においては、プロビット解析に基づ く ten Berge(2006)の用量-反応プログラムが用いられた。式 Cn × t = k(指数 n の範囲は 0.8~
3.5)を用い(ten Berge et al. 1986)、時間スケーリングを実施した。ラットの試験データに基づい て、固有の n 値として 0.70が定められた。8 時間 AEGL-3 値は、4 時間 AEGL-3 値と等しくし た。これは、時間スケーリングにより求められる8時間AEGL-3値は、ヒトを対象とした試験で 得られた確固としたデータから導出された8時間AEGL-2値と矛盾するためである。総不確実係 数には 10 を適用した。そのうちの係数 3 は種差を考慮したものである。臨床徴候は CS が組織 へ直接的に作用することにより生じると考えられ、侵入部位におけるその様な影響が動物種によ り大きく変動する可能性は低いことから、この数値が選択された。実際、さまざまな動物種にお けるLCt50算出値は、すべて互いに2倍の範囲内に十分収まっている(ラット:88,480 mg·min/m3、 モルモット:67,200 mg·min/m3、ウサギ:54,090 mg·min/m3、マウス: 50,010 mg·min/m3)(Ballantyne
and Swanston 1978)。また、残りの不確実係数 3 は、個人差を考慮したものである。接触刺激に
よるは影響は化学物質の侵入部位で現れるものであり、個体間での大きなばらつきは予測されな いことから、この値を適用した。この係数3は、上述のAEGL-2値の場合と同様に、既存の病態 を有する被験者を対象にしたPunte et al.(1963)およびGutentag et al.(1960)の試験結果からも支持 される。
Table 7-1にCSのAEGL値を示す。
3 TABLE 7-1 AEGL Values for Tear Gas
Classification 10 min 30 min 1 h 4 h 8 h End Point (Reference) AEGL-1
(nondisabling)
NRa NRa NRa NRa NRa Insufficient data
AEGL-2 (disabling)
0.083 mg/m3
0.083 mg/m3
0.083 mg/m3
0.083 mg/m3
0.083 mg/m3
Ocular, nasal, and throat irritation in humans (Beswick et al. 1972) AEGL-3
(lethal)
140 mg/m3
29 mg/m3
11 mg/m3
1.5 mg/m3
1.5 mg/m3
Threshold for lethality (LC01) in rats (McNamara et al. 1969; Ballantyne and Callaway 1972; Ballantyne and Swanston 1978)
aNot recommended. Absence of an AEGL-1 value does not imply that exposure below the AEGL-2 values is without adverse effects.The severity of effects observed at the low- est tested concentrations exceeded those defined by AEGL-1.
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注:本物質の特性理解のため、本文書の最後に、参考として国際化学物質安全性カード(ICSC)
を添付する。
国際化学物質安全性カード
o-クロロベンジリデンマロノニトリ ル
ICSC番号:1065
o-クロロベンジリデンマロノニトリル
o-CHLOROBENZYLIDENEMALONONITRILE [2-(Chlorophenyl)methylene]malononitrile
2-Chlorobenzylidene malononitrile (o-Chlorobenzal)malononitrile beta,beta-Dicyano-o-chlorostyrene [(2-Chlorophenyl)methylene]propanedinitrile
CS (riot control agent) C
10H
5ClN
2/ ClC
6H
4CH=C(CN)
2分子量:188.6 CAS登録番号:2698-41-1
RTECS番号:OO3675000 ICSC番号:1065
国連番号:3276 災害/
暴露のタイプ 一次災害/
急性症状 予防 応急処置/
消火薬剤 火災
可燃性である。火災時に刺激性もしくは有毒なフュームやガス を放出する。
裸火禁止。 周辺の火災時:粉末消火薬
剤、 二酸化炭素。
爆発
空気中で粒子が細かく拡散して爆発性の混合気体を生じる。 粉塵の堆積を防ぐ;密閉系、粉 塵防爆型電気および照明設 備。
身体への暴露
粉塵の拡散を防ぐ!吸入 咳、めまい、頭痛、息苦しさ、吐
き気、咽頭痛、嘔吐。 局所排気。 新鮮な空気、安静。
皮膚 発赤、灼熱感、痛み、水疱。 保護手袋、 保護衣、 汚染された衣服を脱がせる。洗 い流してから水と石鹸で皮膚を 洗浄する。
眼 催涙性。発赤、痛み。 安全ゴーグル、または顔面シール
ド。 数分間多量の水で洗い流し(で
きればコンタクトレンズをはずし て)、医師に連れて行く。
経口摂取 咽頭や胸部の灼熱感。 作業中は飲食、喫煙をしない。 多量の水を飲ませる。医療機関 に連絡する。
漏洩物処理 貯蔵 包装・表示
・こぼれた物質を吸引する。
・(特別個人用保護具:P3有毒粒子 用フィルター付マスク)。
・食品や飼料から離しておく。
・換気のよい場所に保管。 ・食品や飼料と一緒に輸送してはなら ない。
・国連危険物分類(UN Haz Class):
6.1
・国連包装等級(UN Pack Group):III 重要データは次ページ参照
ICSC番号:1065
Prepared in the context of cooperation between the International Programme on Chemical Safety &the Commission of the European Communities © IPCS CEC 1993
国際化学物質安全性カード
o-クロロベンジリデンマロノニトリ ル
ICSC番号:1065
重 要 デ
| タ
物理的状態; 外観:
特徴的な臭気のある、白色、結晶性粉末 物理的危険性:
化学的危険性:
強塩基や酸と激しく反応して、アンモニアを生じ る。燃焼すると分解し、有毒なフューム(塩化水 素、シアン化水素、窒素酸化物など)を生じる。
強力な酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危 険をもたらす。
許容濃度:
TLV:0.05 ppm (天井値) (皮膚) A4 (ACGIH 2002)
暴露の経路:
体内への吸収経路:吸入、経皮、経口摂取 吸入の危険性:
20℃ではほとんど気化しない;しかし粉末の場 合、噴霧あるいは拡散すると浮遊粒子が急速に 有害濃度に達することがある。
短期暴露の影響:
催涙性。眼、皮膚、気道を著しく刺激する。肺 に影響を与えることがある。
長期または反復暴露の影響:
反復または長期の皮膚への接触により、皮膚炎 を起こすことがある。 反復または長期の接触によ り、皮膚が感作されることがある。
物理的性質 ・沸点:310~315℃
・融点:93~96℃
・水への溶解度:0.1~0.5 g/100 ml(20℃)
・蒸気圧:0.0045 Pa(℃)
・相対蒸気密度(空気=1):6.5 環境に関する
データ ・水生生物に対して毒性が非常に強い。
注
・作業時のどの時点でも、許容濃度(天井値)を超えてはならない。
Transport Emergency Card(輸送時応急処理カード):TEC(R)-61GT1-III 付加情報
ICSC番号:1065
作成日:2002.10 o-クロロベンジリデンマロノニトリル
© IPCS, CEC, 1993