第3節
表現する文化の質を高める「COMMUNICATION TIME」
多田 尚平
1.COMMUNICATION TIME について
COMMUNICATION TIME(以下CT)は,学級劇を作る過程 を通して,個々のコミュニケーション能力を育成すること を目指した,総合的な学習の時間である。本校では40 余年に渡り,文化祭で学級劇に取り組んでいる。毎年1 0月下旬に行われる文化祭では,2日間にわたって各 学級の劇を互いに鑑賞しあう。生徒にとっても力を込め る活動である。学級劇の準備にかける時間は3ヶ月を超 え,本番当日には割り当てられた時間の中で精一杯,
舞台を作り上げる姿が見られる。本校の三大行事の一 つになっている。文化祭を終えて,一つの山を乗り越え て思いやりを持てたり,コミュニケーション能力が向上し たりして成長する生徒の姿が見られることも少なくなかっ た。その一方で,自分達で創意工夫して脚本をつくり,
演出することが多かったため,話がとても複雑になった り,短時間の内に場面転換がたくさんあったりして,演じ ている自分達にしかストーリーが理解できないような学 級劇が多々見られるようになってしまっていた。
多くの時間を費やすことで,生徒に「やりきった」という 感覚はあるものの,その実は自己満足であり,稚拙な学 級劇に止まってしまうことが惜しかった。そこで,学級劇 の取り組みをもう一度捉え直し,文化祭が一連の学習 活動の発表の場になることをめざした。劇であるからに は,演じ手と観客の二つの立場がある。そして,演じ手 からなにがしかのメッセージを観客へ伝えるものである。
本校では,「情報の時間」の中で,相手に情報を伝え るのに必要な要素には何があるのか,について学習を 展開してきた経緯がある。劇は,演じ手から観客へシナ リオの内容すなわち情報を伝える営みである。そこで,
平成22 年度(2010年度)に,「情報の時間」の中から,
学級劇に関する要素をとりだし,「情報学活」として,観 客を意識した学級劇作りに取り組んできた。さらに,劇 を作り上げるときに必要な様々なコミュニケーション能力 が,子どもたちに必要な能力であることに注目して,平 成25年度(2013年度)から新に設定されたのがCTであ る。
CT の初年度では,相手を意識したコミュニケーション の方法を吟味させた。その結果,学級の中でのコミュニ ケーションが生まれ,劇の質の高まりや生徒の達成感に つながることも実感させることができた。
2年目になる昨年度は,一部の生徒に対してプロの劇 団によるワークショップに参加させたり,実際の公演に 出演させてもらい,その劇を全校で鑑賞させたりして,
劇の質の向上を目指した。また,劇団によるワークショッ プに参加しなかった生徒に対しても,学級で簡単な対 話劇を作るワークショップを行って,台本作りの方法を 学んだ。その結果,各学級の意図や工夫をよりはっきり させたものが増えたり,プロの演劇に触れることで劇作り のノウハウを学び,学級劇に活用した例も多く見られた りするようになった。
本年度は,さらなる劇の質の向上を目指した。
2.CT の目標
表 1に CT の目標と指導計画を示す。
目標として,学級劇作りの取り組みを通して,「表 現を大切にする文化」を育てることを設定した。劇 として,より完成度の高いものを目指させて,自分 達の思いをきちんと表現して伝えることに重点を置 いた。そのために,相手を意識したコミュニケーシ ョン能力の向上を目指すこととした。ここで言う「相 本論の要旨
本校では 40 年余り続いてきている文化祭における学級劇の取り組みを題材にして,相手や全体を意識 したコミュニケーション能力を培うことを目指し,平成 22 年度(2010 年度)からの「情報学活」を経て,
平成 25 年度(2013 年度)に COMMUNICATION TIME を開設した。これまでの取り組みを通して,教員間で の指導内容の共通理解や,教材の整理・充実を図り,さらに,プロの劇団のワークショップや公演を鑑賞 する取り組みを行った。そして,上演時間を守り,各学級で設定したテーマを意識した学級劇が増えた。
本年度は,昨年度の実践をさらに進めて,全員がワークショップに触れる取り組みを行い,また,既存 の台本を元にしたシナリオ作成を試みた。その結果,ストーリーが分かりやすい学級劇が増え,シナリオ 作成にかけていた時間を劇の充実に充てられた学級もあって,観客が思わず引き込まれるような演技も増 加し,一定の成果を挙げることができた。
キーワード 総合的な学習の時間,学級劇,コミュニケーション,シナリオ
表 &20081,&$7,217,0( 平成 年度年間指導計画
1年生 2年生
3年生 目標 内容
㻜 㻜 CTや学級劇のねらいの 取り組みを確認する
・学級代表者に対して,CTや学級劇の取り組みについてねらいや約束ごと (時間・テーマ)の説明を受け,各学級で伝える。
㻝 㻝 学級劇の目標達成に欠かせない要素を考える
・スライドによるCTの学習意図の紹介。
・ビデオによる過去の作品の紹介。
・目標達成に必要な要素を挙げる。
㻞 㻞 学級劇のテーマ・メッセージを決める
・どの様な劇がやりたいのか,クラスとして伝えるテーマ・メッセージを何に するのか,意見を出し合い,根拠を踏まえて発表させ,クラスの意見をまと める。
㻟 㻟 劇の題材を決定する
・文化祭実行委員の決定,夏休み中にシナリオ作成(2,3年生)。
・夏休みの課題の確認。
・夏休みの課題として,映画・演劇を各自で鑑賞させ,「心にひびく」要素を分 析させる。(3年生)
㻠 㻡
㻠 㻡
劇団のワークショップを 見たり参加したりする。
・発声や練習方法,舞台を創る上での留意点を学び,学級劇に活かす点を
探る。 ↓
㻢 㻢 劇の役割分担をする
・文化祭実行委員から劇の流れの紹介。役割分担を決める。
(例)「幹部:演出/舞台監督/助監督」
「照明」「音響」「映像」「大道具」「小道具」「キャスト」
↑
㻣 㻣 劇における役割ごとに工 夫を考える
・過去の学級劇等を見て,劇におけるそれぞれの役割の工夫を探る。
・学級劇に生かせることや取り入れたい要素について話し合う。
・劇のクライマックスをどうしていくか,検討する。
↑ 㻤
㻥 㻤 㻥
劇を鑑賞したり,
劇に参加したりする
・劇団の劇を,各学年に応じた視点・目的を持たせて鑑賞,分析する。(・劇 への参加)
㻝㻜 㻝㻝
㻝㻜 㻝㻝 㻝㻞 㻝㻟
㻝㻞 㻝㻟 学 学
㻝㻠 㻝㻡 㻝㻠 学
学 リハーサル ・リハーサルを行い,最終確認をする。
4次 発表
学級劇を実演,鑑賞
する(文化祭) 㻝㻡㻙㻞㻠 㻝㻢㻙㻞㻡 学級劇を実演したり,鑑 賞したりする
・学級劇本番
・各クラスの学級劇を鑑賞する。
5次 振り 返り
目標が達成できたい たか分析をし,評価 をする
㻞㻡 㻞㻢 振り返る ・自分たちの学級劇のビデオを視聴し,目標が達成できていたか振り返る。
・身についたコミュニケーション能力を振り返る。
平成27年度 COMMUNICATION TIME(CT)年間指導計画
★自分たちが満足できる学級劇を,わかりやすい表現を心がけながら作ってみよう!
(劇を知る・やってみる・仲間を意識して,劇を作る)
★観客が感動できる学級劇を,表現を工夫しながら作っていこう!
(相手を意識して,学級劇を作る・キャストの立ち位置や場面転換の工夫)
★見せ場を考えたり,新たな表現を作ったりしながら,
自分も観客も感動できる学級劇を作り上げよう!
(自分・仲間・観客を意識して学級劇を作る・学級劇の集大成)
1年生
「伝える学級劇」
2年生
「魅せる学級劇」
25時間
26時間
26時間
★「表現を大切にする文化」を育てる!
→相手を意識したコミュニケーション能力の向上 ①「仲間」を意識したコミュニケーション
(劇の成功を目指し,問題を解決し,決定するコミュニケーション能力の育成)
②「観客」を意識したコミュニケーション
(劇を通して,メッセージを伝える表現力の育成)
CTの目標
・学級劇は,1年生20分(準備後片付けを含め30分),2年生30分(同40分),3年生40分(同50分)。
・シナリオは1年生A4・10枚まで,2年生A4・13枚まで,3年生A4・15枚まで(シナリオ構成を早期から担任で指導)。
・エンドロールを上演する場合3分まで。
・1ページ(A4)で約2~3分程度になる。
・1年生は脚本集等から,2,3年生は脚本集を参考にして,上演時間が極端に長かったり短かったりしないようにする。
展開
3年生
「心にひびく学級劇」
目標を達成できるよ う,学級劇を立案し,
練習や製作など具体 的に実践する 3次
実践 2次 表現
目標を意識しなが ら,各役割・立場にお ける生徒のコミュニ ケーションを通して劇 の表現を工夫し,学 級劇の質を向上させ る
各部門による提案・分析・
改善をする
各部門で準備をすすめる
・具体的な活動計画を立てる。
・劇の取り組みや進行の再検討。
(2時間枠の初めに今日やることを各部門で確認,全体で交流)
・練習や製作など具体的な取り組み
・改善点の話し合い 1次
題材
学級劇の目標を理 解し,クラスとして 何を伝えるのかと,
劇の題材を決定す る
COMMUNICATION
T I M E
手」とは「仲間」と「観客」である。
「仲間」を意識したコミュニケーションの面では,
学級劇を作り上げる過程で生じる意見の相違を乗り 越えて,解決していくためのコミュニケーション能 力の向上を目指した。すなわち,自分の思い,考え を互いに伝え,受け止めるコミュニケーション能力 の伸長を目指した。
「観客」を意識したコミュニケーションの面では,
場面の様子や登場人物の心情をいかに観客に伝える かについて,目の前にいない人のことを考え,その 人の受け止め方を想像し,メッセージを伝えるため の工夫を探究した。キャストやスタッフなど,それ ぞれの役割,立場からその方法を探らせた。また,
ストーリーを分かりやすく伝えるためのシナリオの 工夫を検討させた。
&7 の学習計画
表 に示した目標を達成させるために,総合的な 学習の時間として, 年生は 時間, 年生は 時間の学習計画を立てた。一部, 時間の学活の時 間も活用している。学習の枠組みは,昨年度同様に,
「題材の決定」→「表現の工夫の検討」→「実践」
→「発表」→「振り返り」の 期に分けて,全学年 共通の流れとした。
学年毎に学級劇で目指すところを設定した。 年 生は「伝える学級劇」として,学級の思いを観客に 伝えることを意識させた。 年生は「魅せる学級劇」
として,舞台上の表現を工夫することで,観客を劇 に引きつけることを意識させた。 年生は「心にひ びく学級劇」として,あらゆる面で細部に至るまで の工夫をして,観客だけでなく自分達をも感動させ る学級劇を目指させた。このようにして,学年が上 がるごとに質の高い劇を目指すようにさせた。
今年度の改善点
これまでの学級劇をさせてきた経験と昨年度の反 省から,今年度の &7 では次の 点について改善を試 みた。
点目は,ワークショップを全校生徒に体験させ ることである。ワークショップを通して,舞台芸術 を作る時の心構えや手順をプロから学ぶことで,学 級劇のレベルアップを図ることができる。昨年度の
&7 では希望者のみ劇団のワークショップを受けさ せた。その結果,ワークショップ参加者のある学級 と無い学級が生まれてしまい,せっかくのワークシ ョップの内容をよく知らない生徒が多くできた。そ こで,ワークショップを全校生徒で受けることはで きないか模索した。今年度も文化庁の「文化芸術に
よる子供の育成事業」を活用し,ミラマーレ・オペ ラによる指導を受けた。ワークショップと公演を依 頼し,公演の中で生徒の出番を設けた。公演に参加 する生徒はワークショップで実際に指導を受け,そ れ以外の生徒はワークショップで行われる内容を参 観する形態をとった。
点目は,シナリオを過去の作品を参考にして作 らせることにした点である。これまでの学級劇では,
生徒がオリジナルで作成したシナリオが多かった。
既存のものを使うよりも自作した方が,自分達の思 いを込めやすいためであると推察できる。ところが,
特に1年生が自作したシナリオは,ストーリーが複 雑かつ煩雑であったり,場面がめまぐるしく転換さ れたりして,観客の立場から見たとき,理解するの に苦慮することがしばしばあった。さらに,オリジ ナルで作るために,大変時間と労力が必要であり,
実際に具体的な作業をする時間が制限されてしまう ことがあった。そこで,1年生ではこれまでの学級 劇や既存のシナリオを活用するように指示して,シ ナリオ作成の負担を軽減し,その分舞台を作る作業 に時間をさけるようにした。
さらに,ワークショップやオペラの鑑賞の日を期 に,教員に &7 通信を発行して &7 の進捗状況や今後 の予定を周知した。
オペラ「てかがみ」の鑑賞とワークショップ 昨年度で東京芸術座による劇の公演が文化祭の学 級劇に一定の成果を残したので,昨年度の内に今年 度の文化庁「文化芸術による子供の育成事業」に申 し込んだ。今回は,日程の関係でミラマーレ・オペラ によるオペラ「てかがみ」に決定した。オペラ「て かがみ」は,平石耕一脚本,池辺晋一郎作曲の全 幕のオペラである。現代と太平洋戦争中との つの 時代を往き来する内容になっている。舞台はいわゆ るステージではなく,体育館のフロアに特設された およそ P 四方の舞台が用意された。オペラなので当 然音楽と歌があるが,演劇的な要素の濃い演出の作 品である。この中で,子どもたちの登場場面として 設定されたのは,現代のところで登場する合唱団の 場面と戦争中のところで登場する学童疎開の場面で あった。出演したのは 年生 名, 年生 名,
年生 名で,この生徒たちがワークショップでは直 接指導を受けた。
ワークショップでは,合唱指導の中で,息を合わ せることを重点的に指導された。演出では,人物の 動きには必ずバックグラウンドがあり,それに合わ せた動きが求められることが指導された。ワークシ ョップは体育館で行い,直接指導を受けない生徒は
全員フロアから一部始終を観察した。
出演する生徒はオペラ中で合唱する歌を歌えるよ うに放課後の時間のいくらかを練習に費やすことに なった。
ワークショップやオペラ公演を鑑賞するにあた り,子どもたちには「ストーリー」,「発声・演技 表現」,「音響表現」,「その他」の 観点でマト リックスシートを配布して気付いたことを記録させ た。
実施後の感想には,「演奏も場面にあった雰囲気 のもので,音も小さくしたり,大きくしたりされて いて,やはり音響は大切だと思いました」や「背景 に色々な画像を映して,ナレーターを入れなくても,
ここはどこかがだいたいわかった。これらを参考に して劇をしたいと思います」,「衣装などもとても リアルで,スクリーン(の映像)と一緒に使い,よ りリアルになっていました」,「シーンに合った音
楽,キャストの動きに合わせた音楽,とぴったりマ ッチしていました」,「照明の工夫,色の使い方や 光の向き,音響の音のイメージや効果音のタイミン グ,役者の立ち位置と声の大きさなど,たくさんの プロの工夫が見られて良かった」という意見があっ た。教師からの意見にも「監督,裏方などの動きに 大変参考になるところがあったように思います」,
「真剣に演技をする姿にあこがれを持ち,一つのも のを一生懸命に作りあげておられる姿勢を学んで欲 しいと思いました」というものがあった。今回はオ ペラということで,演劇以外の要素もあるものなの で,学級劇に役立つかどうか不安もあったが,振り 返ってみると大変有益であったと言える。
各学級の取り組み
&7 の取り組みの0次として,各学級の脚本担当の 生徒を集めて,&7 の意図を説明し,脚本作成にあた っては,既存の台本を活用するように指示した。そ の結果,既存のものを活用することを意識し,図書 室等で台本を調べる生徒の姿が見られた。最終的に 表2のようなシナリオが作られた。できあがったも のを見ると,既存の脚本を活用したものよりも,既 存のストーリーを下敷きにしてオリジナルで作成さ れたものがほとんどだった。
表2 各学級のシナリオ
学級 劇のタイトル 元の内容・話題 1A うらもも物語 おとぎ話 1B 変われる オリジナル 1C 水戸黄門 TVドラマ 2A おーい でてこーい 小説
2B Good bye my… 既存の演劇
2C ようこそ,磯野家へ TVアニメ 3A サマーウォーズ アニメ
3B 英雄伝説 TVCM・おとぎ話 3C 竹取物語 おとぎ話
図 ワークショップの様子
図 オペラ本番
図 背景に映像を投影した演出 図 生徒のワークシート
COMMUNICATION
T I M E
実践事例 劇の工夫を考えよう
本校の研究協議会において,年間計画全 時間の 内の 時間目を公開授業として,1年生で実施した。
(1)本時のねらい
「伝える学級劇」にするために、.- 法を活用し、劇 のクライマックスの場面においてそれぞれの役割の 工夫を探り,学級劇の質を向上させる。
(2)校内研究と本時との関連
①学習者に関わるもの判断判
・プロの劇の脚本を読み、自分の役割だけでなく他 の役割に関しても工夫できる点を判断し、記入する。
・各グループで画用紙に付箋を貼り,整理しながら 意見を交流する。
②指導方法に関わるものゆさぶりゆ
・配布した脚本のプロの演劇を見て、自分たちが考 えた工夫とプロがしている工夫の違いを見つける。
③思考ツール等の活用思考ツール・,&7ツ
・思考ツール.- 法、マトリックスを利用する。
・付箋紙を用いて各グループの意見交流は .- 法を活 用する。
・マトリックスを活用して、プロの演劇と自分たち が考えた工夫ではどこが違うのか整理できるように する。
当日の展開は次の通りである。
学習内容と学習活動 ◯指導上の留意点 導
入
この授業のねらいを確認する。
○ワークシートに目標を記入させる。
展 開
前時に考えた劇の役割を確認する。
劇の場面、ストーリーについて知る。
○今日考える劇は「夏の庭」のクライマックスであることを伝える。
・パワーポイントを見て、登場人物や話の流れを知る。
・「夏の庭」のクライマックスの脚本を読む。
それぞれの役割の工夫できる点を交流する。
各グループで画用紙に付箋を貼り,整理しながら意見を交流する。
ゆ
★KJ法を用いる。付箋は似た意見を近くに貼り替えさせ,多い意見 をわかるようにする。ツ
★班で意見交流をさせる。
★整理した工夫点とその理由を発表させる。
○記入したことを4人グループで話し合わせ,用紙にまとめ発表さ せる。
◆生徒がコミュニケーションを図り,場面と役割の関係を考えて「伝 える学級劇」となるための判断をしている。
ワークシート【思考・判断・表現②】
・「キャスト」「美術(大道具・小道具・衣装)」「演出音楽・照 明」のつの役割を各班に振り分けて、担当した役割について考え る。
・各場面でのそれぞれの役割の工夫できる点を付箋に書く。
・各グループで画用紙に付箋を貼り,整理しながら意見を交流する。
・各グループで工夫する点を発表する。
プロが演じている「夏の庭」を実際に見る。
★マトリックスにプロの劇を見て気づいたことをそれぞれ記入す る。ツ
.実際にプロの劇を見て、自分たちが考えた工夫と比較する。
・マトリックスに違いを見つけて、記入する。
★マトリックスを活用し、自分たちが考えた工夫とプロの劇との違 いは何かを整理する。ツ ゆ
ま と め
学級全員で劇を作り上げるには、各パートでの連携が大切である ことを知る。
○役割ごとに工夫点を大事にして取り組むことや,今後も「伝える学 級劇」にするために,各役割の中や役割をこえてのコミュニケーショ ンを大事にできるよう伝える。
本時の目標 「伝える学級劇」にするために,各役割の工夫点を見つけよう!
図 授業のようす
図 授業のようす
授業の中で,生徒たちは,プロの演劇の動画を見 て,それぞれの役割での工夫を劇につなげようとし ていた。それまでは,自分の経験を下敷きにして劇 への取り組み方を見いだしていたが,プロの劇は自 分達が想像する「劇」とは全く違っていて,どんな 工夫があるのかを発見していたようだった。
この時間の後,本番への取り組みの中では,プロ の劇から学んだ,舞台上での立ち位置や,目線や道 具の出入りの仕方を使う姿が見られた図 。
今年度の成果と課題
昨年度にシナリオの分量を制限して,プログラム の時間を守ることができるようになった。本年度も 同じように制限を設けて,時間を守ることができた。
さらに,本年度はこれまでの反省を活かして,1 年生については,既存のシナリオを活用して,脚本 作成のための時間を節約し,その分劇を作る作業に 時間を割けるようにしたかった。本校の図書室には,
各社から出版されている脚本集があり,また,教員 の中には,長年の学級劇の経験があり,多くの台本 が手に入る状況であった。これらの台本を活用する ことを狙っていた。しかし,指導計画を進める中で,
「学級で伝えたいこと」を先に検討してしまった。
そのため,生徒達の思いに合致する脚本を探すこと になった。まったく思いと合致する脚本は見つから ないので,結局脚本がオリジナルのものになってし まった。脚本作りに必要以上の時間をかけることを 避けることが出来なかったのである。ただ,事前に 脚本担当の生徒に既存のものを使うことを徹底した ので,原作のある脚本が多くそろったのは成果であ った。全くオリジナルではないので,筋書に沿った 脚本作りができて,できあがった作品はどの学級も 素晴らしいものとなった。今後は,学級劇の台本を 収集するとともに,先に脚本を決定し,次に内容を 読み込んで,観客に訴えるポイントや工夫を見出さ せる取り組みをすると,ねらいが実現すると考えら れる。よく練られた脚本を使うことで,1年生の時
から「良いシナリオ」とはどのようなものなのか学 ぶことができ,学年が上がるにしたがって,良いシ ナリオを自作できるようになると考えられる。
ミラマーレ・オペラによるワークショップは,プ ロの演出家などから,演じるときの心構えや発声・
発音の注意点をはじめ,多くのことを学び,劇作り に大変役立った。昨年度もワークショップの機会は あったが,一部の生徒しかプロに習うことができな かった。本年度は全校生徒が一堂に会して行うこと ができた。しかし,ワークショップを受けていた出 演生徒の中には,始終全員に見られることで,スト レスを感じる生徒があり, 時間参観させるには長 すぎた。また,オペラには当然歌がつきもので,出 演生徒にはパートに分かれた合唱の練習が求めら れ,それが負担になり,学級劇の制作の妨げになる 場面もあった。オペラであっても,演劇であっても,
本番の生の舞台を観劇させることは,劇作りを学ぶ 観点から言っても大変有意義であるので,今後も可 能な限り,続けて行きたいものである。ただ,ワー クショップに関しては,もう少し時間を絞って全校 生徒が参加して学習させる機会を設けられると良い のではないかと考えている。
参考文献
北 村 拓 也 「 表 現 を 大 切 に す る 文 化 を 育 む
『&20081,&$7,217,0(』の開設」,滋賀大学教育学 部附属中学校研究紀要 第 集,,SS
七 里 広 志 「 表 現 を 大 切 に す る 文 化 を 育 む
『&20081,&$7,21 7,0(』の充実」,滋賀大学教育学 部附属中学校研究紀要 第 集,,SS 図 学級劇で,会話している場面の立ち位
置の工夫
COMMUNICATION