小 ・中 学 校
平 成12年 度
教 育 研 究 員 研 究 報 告 書
教 育 課 題
東 京 都 教 育 委 員 会
平成12年度
教 育 研 究 員 名 簿(教 育 課 題)
地 区 学 校 名 氏 名
新 宿 区 花 園 小 学 校 山 田 順 子 大 田 区 東 蒲 小 学 校 ◎ 秋 元 桂 子 北 区 赤 羽 小 学 校 去 来 川 恵 子 板 橋 区 上 坂 橋 第 二 小 学 校 ○ 小 池 い ず み 葛 飾 区 南 綾 瀬 小 学 校 江 方 正 浩 八王子市 松 木 小 学 校 内 田 克 美 立 川 市 第 五 小 学 校 服 部 謙 一
武蔵野市 大 野 田 小 学 校 境 野 宏 樹 中 央 区 日 本 橋 小 学 校 田 中 広 行 台 東 区 蓬 莱 中 学 校 新 井 稔 秋 江 東 区 深 川 第 五 中 学 校 海 藤 美 鈴 大 田 区 南 六 郷 中 学 校 日下 石 直 美 板 橋 区 中 台 中 学 校 川 合 一 紀 八王子市 松 木 中 学 校 小 池 寿 人 西東京市 ひ ば り が 丘 中 学 校 ○ 山 口 修 羽 村 市 羽 村 第 二 中 学 校 平 岡 直 実
◎世話人 ○副世話人 (担 当)教 育 庁 指 導 部 指 導 企 画 課 指 導 主 事 宇 田 陽 一
目 次
1研 究主題
主題設定の理由
19乙00
研 究の仮説 研 究構造図
IIア ン ケ ー ト調 査 の 内 容 ・考 察
¶⊥23
調査のね らい 調 査内容 調 査結果 ・考察 皿 実践事例1
IV
‑←29σ4﹃ひ19右3
単 元名
(小学校第4学 年 体育科) 研 究主題 との関連
学 習指導計画 本時の学習 授 業分析
実践事例1ま とめ 研 究の成果
今後 の課題
規範意識を は ぐくむための手だて V実 践事例2(中 学校第1学 年 国語科)
づーリムらδ450U10乙90
児童 ・生徒の規範意識の実態 研究の視点 との関連
教科 ・教材 学習指導計画 本時の指導 授業を振 り返 って 実践事例2ま とめ
研究の成果 今後の課題
授業における規範意識 にかかわ る行動 Vl【 実践事例
¶⊥り乙0σ4只U
小 中交流集会(小 学校第4学 年、中学校 第3学 年) 研究の仮説 との関連
議題
本 時 に 至 る ま で の活 動 本時の活動
授 業 を 振 り返 っ て 田 研究の成果 と今後 の課題
1研 究の成果 2今 後の課題
一i
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1研 究主 題 規範 意識 を は ぐ くむ指導法 の工 夫
1主 題 設 定 の 理 由
私 た ち は 学 校 教 育 の 中 で 、 児 童 ・生 徒 が 心 身 と も に 健 康 で あ り、 自 ら課 題 を 発 見 し解 決 す る 、 人 と して 調 和 の と れ た 発 達 を 促 す 教 育 活 動 を 推 進 し よ う と 努 力 して い る。
しか し、 児 童 ・生 徒 の 状 況 は 、 基 本 的 な 生 活 習 慣 の 未 確 立 、 自 然 体 験 ・社 会 体 験 ・集 団 遊 び の 減 少 、 指 示 待 ち 傾 向 の 増 大 、 人 間 関 係 の 希 薄 化 、 規 範 意 識 の 低 下 な ど の 要 因 か ら、 今 ま で に 見 られ な か っ た 態 度 や 行 動 と な って 、 私 た ち の 目 の 前 に 現 れ る よ う に な っ て き た 。
そ の 中 で も、 特 に 児 童 ・生 徒 の 規 範 意 識 の 低 下 は 、 「挨 拶 が で き な い 」 「ル ー ル を 守 れ な い 」 「善 悪 の 判 断 が っ か な い 」 な ど の 行 動 を 生 じ させ 、 よ り よ い 社 会 を 形 成 す る た め の 弊 害 と な る こ と は も と よ り 、 児 童 ・生 徒 の 健 や か な 成 長 を 阻 害 す る 要 因 と して 、 決 し て 見 過 ごす
こ と の で き な い 問 題 で あ る と し て 、 本 主 題 を 設 定 した 。 2研 究 の 仮 説
規 範 意 識 を は ぐ くむ た め に は 、 社 会 の 変 化 や 保 護 者 の 要 望 を 認 識 しつ っ 、 児 童 ・生 徒 の 発 達 特 性 を 把 握 し、 そ れ ら を 生 か し た 指 導 を 展 開 して い く こ とを 基 盤 に 置 い た 。
ま た 、 規 範 意 識 に 関 わ る児 童 ・生 徒 の 発 達 段 階 を 次 の3ス テ ッ プ と して と ら え た 。 そ して 、 各 ス テ ップ で の 認 識 を は ぐ くみ ・伸 ば す た め に は 、 「基 本 的 生 活 習 慣 の 見 直 しを して い く こ と 」 と 「自 立 を 促 し、 集 団 の 中 で 主 体 的 に 生 活 を す る こ と 」 を 念 頭 に 置 い た 取 組 を し て い く こ と が 重 要 で あ る と考 え た 。
規 範 意 識 を は ぐ くむ3ス テ ッ ブ ス テ ッ プ1
○ マ ナ ー の 必 要 性 の 認 識 ・他 者 に 認 め られ る こ と に よ り進 ん で き ま り を 守 ろ う と い う 習 慣 や 態 度(自 己 認 識)
ス テ ッ プ2
○集団生活を送 るための きま りの必要性の認識 ・よ りよい集団にするために きま りを守 ろうとす る行動(集 団の中の 自己)
ス テ ッ プ3
○ 集 団 生 活 の き ま り に つ い て の 自 分 な りの 考 え ・集 団 の 一 員 と して の 自覚 、 ル ー ル づ く り に 参 加 す る な ど の 行 動(自 我 の 形 成)
こ の よ う な 仮 説 を 設 定 し、 児 童 ・生 徒 の 発 達 段 階 を ふ ま え な が ら、 人 と の 関 わ りが 豊 か に な る よ う な 活 動 や 集 団 の 質 が 高 ま る よ う な 指 導 法 の 工 夫 を 行 った 。
研 究 を 進 め る に あ た っ て は 、 児 童 ・生 徒 ・教 師 ・保 護 者 に 対 して ア ンケ ー ト調 査 を 行 い 、 そ の 中 か ら研 究 の 視 点 を 見 出 し、2分 科 会 に 分 か れ て 研 究 ・考 察 を 行 っ た 。
一2一
3研 究構造図
【児 童 ・生 徒 の 実 態 】
●基 本 的 生 活 習 慣 が 十 分 に 身 に つ い て い な い 。
・命 の 大 切 さ を 理 解 し、 人 と の か か わ り を も っ て 生 活 す る こ と が 上 手 くな い 。
●規 範 に か か わ る 忍 耐 力 が 欠 け て い る。
●社 会 性 及 び 公 共 心 が 十 分 に 身 に つ い て い な い 。
【社会的 な要請】
●命の大切 さを理解 させ、人権尊重の精 神を育成
●基本的生活習慣 の形成 と、 自立心の育 成
●責任感や思いや りの心 を育成 し、心身 と もに健康 で主体 的に生 きる人間関係 の構築
【研 究 主 題 】
規 範 意 識 を は ぐ くむ指 導 法 の工 夫
【目 指 す 児 童 ・生 徒 像 】
●心 身 と も に 健 康 で あ り、 主 体 的 に 生 き る こ と の で き る 人 間 関 係 を 築 き 、 人 間 と して 調 和 の と れ た 児 童 ・生 徒
【研 究 の 仮 説 】
発 達 段 階 を ふ ま え て 人 と の か か わ り が 豊 か に な る よ う な 指 導 法 を 工 夫 す れ ば 、 規 範 意 識 が は ぐ く ま れ る で あ ろ う。
自 己の 存 在 感 が 確 立 さ れ 、 集 団 の 質 を 高 め て い け ば 規 範 意 識 が は ぐ く ま れ る で あ ろ う。
【研究の視点】
●発達段階をふ まえた指導法の工夫
●人 と豊か にかかわ るための指導法の工夫
●自己指導能力をは ぐくむ指導法の工夫
【研究の方法】
●ア ンケ ー ト調 査 を 児 童 ・生 徒 、 保 護 者 、 教 師 に 対 し実 施 、 分 析 し、 結 果 か ら 研 究 の 仮 説 ・視 点 を 見 出 す 。
●グ ル ー プ エ ン カ ウ ン タ ー や シ ェ ァ リ ン グ 等 の 手 法 を 活 用 し た 実 践 授 業 を 行 い 、 児 童 ・生 徒 の 内 面 の 成 長 を 図 る 。
【研究の考察】
●研 究 の 成 果 と今 後 の 課 題 を 明 確 に す る。
一3一
皿 ア ン ケ ー ト調 査 の 内 容 ・考 察 1調 査 の ね ら い
本 調 査 は 、 「規 範 意 識 を は ぐ くむ に は 、 ど の よ う な こ と を 指 導 し、 内 面 を 育 て て い っ た ら よ い か 。」 を 知 る た あ の 一 環 と して 実 施 した 。 ね らい は 、 以 下 の3点 で あ る 。
(1}「 学 校 生 活 に 関 す る ア ン ケ ー ト」(全8項 目)を 小 学 生 と 中 学 生 を 対 象 と して 実 施 し、.
そ の 意 識 と 行 動 の 傾 向 を 知 る 。
(2)保 護 者 、 教 師 に ア ン ケ ー ト調 査 を 実 施 し、 保 護 者 や 教 師 の 意 識 と 、 保 護 者 や 教 師 か ら 見 た 児 童 ・生 徒 の 行 動 の 傾 向 を 知 る 。
(3)学 校 教 育 の 中 で 規 範 意 識 を は ぐ くむ に は 、 ど の よ う な こ と を 指 導 し、 内 面 を 育 て て い っ た ら よ い か を 知 る 資 料 と す る 。
平 成12年 の7月 上 旬 か ら中 旬 に か け て 、 都 内 の い くつ か の 小 中 学 校 に 協 力 い た だ き 、 対 象 人 数 は 、 小 学 校 低 学 年866名 、 高 学 年892名 、 中 学 生797名 、 保 護 者1,745名 、 教 師205名 で あ る 。
2調 査 内 容
児 童 ・生 徒 用 は 、 全8項 目 に わ た っ て の 具 体 的 な 事 例 を あ げ 、 そ れ ぞ れ に 対 す る 「意 識 」 (思 っ て い る こ と、 誰 の 影 響 が 強 い か)と 「行 動 」(で き て い る か)に つ い て 、4つ の 選 択 肢 の 中 か ら1っ を 選 ぶ こ と を 基 本 と し た 。 当 初 は 、 強 い 肯 定 ・弱 い 肯 定 ・弱 い 否 定 ・強 い 否 定 の 選 択 肢 を 作 っ て み た が 、 プ レ ・ア ン ケ ー トを 実 施 した 結 果 、"強 い 否 定"は 認 め づ らい 様 子 が う か が え た た め 、 これ を"わ か ら な い"に 変 更 し実 施 した 。
(11し つ け に つ い て(保 護 者 、 教 師 対 象)
① 自 分 が 子 ど も の こ ろ 、 家 庭 で の しっ け は 厳 しか っ た と思 うか 。
② 自 分 の 子 ど も に 対 す る し っ け は 、 厳 し い ほ うだ と 思 うか 。(児 童 ・生 徒 は しつ け ら れ て い るか)
③ 最 近 の 子 ど も た ち を 見 て 感 じ る こ と。 〈 自 由 記 述 〉 (2}学 校 生 活 に つ い て(児 童 ・生 徒 、 保 護 者 、 教 師 対 象)
① 朝 、 「お は よ う 」 の あ い さ つ を 交 わ した り 、 人 に 親 切 に して も ら っ た と き に 「あ りが と う」 を 言 う こ と。
② 授 業 中 の 先 生 の 説 明 や 、 友 達 の 意 見 を し っ か り と 聞 く こ と。
③ 友 達 に 何 か 嫌 な こ と を 言 わ れ て も、 け して 暴 力 で 応 え て は い け な い こ と 。
④ 何 か 気 に 入 ら な い こ と が あ っ て も、 誰 か を 無 視 した り 、 仲 間 は ず れ に した り しな い こ と。
⑤ 休 み 時 間 だ か ら と い って 、 廊 下 を 走 っ た り 、 自分 勝 手 に 大 き な 声 で し ゃべ っ た り しな い こ と 。
⑥ 学 校 の 本 を 乱 暴 に 扱 っ た り、 自 分 で 使 っ て い る机 を 傷 っ け た り しな い こ と。
⑦ 休 み 時 間 な ど に 、 自分 た ち が 使 っ た ボ ー ル な ど を 、 き ち ん と 片 づ け る こ と 。
⑧ 遊 び た くて も、 係 の 仕 事 や 給 食 ・掃 除 当 番 の 仕 事 を き ち ん とす る こ と 。
上 記 ① 〜 ⑧ の 内 容 を 、4つ の 大 項 目 と して 分 類 し た 。 ① ② はrI基 本 的 生 活 習 慣 」 に 関
一4一
す る こ と 、 ③ ④ はrH人 と の か か わ り 」 に 関 す る こ と、 ⑤ ⑥ は 「皿1公 共 心 」 に 関 す る こ と 、 ⑦ ⑧ はrlV責 任 感 」 に 関 す る こ と。
(3)上 記 ① 〜 ⑧ の よ うな 「意 識 」 は 、 教 育 活 動 の 中 で 、 ど の よ う な 場 面 で 指 導 し、意 識 付 け して い く と 良 い の か 。 で き れ ば 具 体 的 な 実 践 例 を 交 え て 。 〈 自 由 記 述 〉(教 師 対 象) (4)学 校 で の 教 育 活 動 の 中 で 、 「規 範 意 識 を は ぐ くむ 」 た め に は 、 ど の 教 科 ・領 域 で の 指 導
が 有 効 か 。 〈選 択 肢 と 自 由 記 述 〉(教 師 対 象)
(5>最 近 「子 ど もの 規 範 意 識 が 薄 れ て き て い る の で は な い か 。」 と 言 わ れ て い るが 、 この こ と に つ い て ど う思 うか 。 〈 選 択 肢 〉(保 護 者 、 教 師 対 象)
(6>「 子 ど も の 規 範 意 識 を 薄 れ さ せ て い る 原 因 と な って い る 事 柄 や 、 原 因 に な り そ う な 事 柄 。」 は 何 か 。 〈23の 選 択 肢 ・複 数 回 答 、 自 由 記 述 〉(保 護 者 、 教 師 対 象)
3調 査 結 果 ・考 察
(1)ま ず は じめ に 、 最 近 「子 ど もの 規 範 意 識 が 薄 れ て き て い る の で は な い か 。」 と 言 わ れ て い る こ と に 関 す る 、 保 護 者 と教 師 の 調 査 結 果 で あ る 。
保 護 者 、 教 師 と も に 、5割 以 上 の 人 が 「と て も思 う 」 と 回 答 して い る 。 「少 し思 う 」 も 含 め る と ほ とん ど の 保 護 者 と 教 師 が 、 「子 ど もの 規 範 意 識 は 薄 れ て き て い る 。」 と と らえ て い る 。
子どもの規範 意識 は薄れ てきているか
iOO%
80%
sox 40%
20%
0%
口保護者
■教 師
1.と て も 思 う2.少 し思 う3,あ ま り 50%145%14%
619638%‑0%
4わ か らな い 2%
1%
(2)次 に 、 「しつ け に つ い て 」 の 項 目 で 、 「保 護 者 自 身 が 子 ど もの こ ろ 、 家 庭 で う け た しっ け は 厳 しか っ た か 。 自 身 の 子 ど も に 対 す る しつ け は 厳 しい ほ う だ と 思 うか 。」 に っ い て の 調 査 結 果 で あ る 。
しつ け に つ い て
54%
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し.
1.と ても 思 う zsx pox
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2少 し思 う 44%
5496
3あ まり
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33%
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一5一
保 護 者 自 身 が 子 ど も の こ ろ に 受 け た しつ け の 方 が 、 自 身 の 子 ど も に 対 して 現 在 しつ け て い る こ と よ り も 、 や や 厳 しか った と 回 答 して い る 。 しか し、6割 以 上 の 保 護 者 が 「自 身 の 子 ど も に 対 す る しつ け は 厳 し い か 」 の 問 い に 対 して 、 「と て も 思 う 」 「少 し思 う」 と回 答 して い る と い う こ と は 、 家 庭 で の しつ け は 充 分 に 行 わ れ て い る と と らえ る こ と が で き る 。 (3)さ ら に 、 「子 ど も の 規 範 意 識 を 薄 れ させ て い る 原 因 と な っ て い る こ とが らや 、 原 因 に な
り そ う な こ と が ら。」 は 何 な の か 、 に っ い て 保 護 者 と 教 師 の 調 査 結 果 で あ る 。
1.他 人 の 子 ども に 無 関 心 で あ ること
2.社 会 全 般 の 規 範 意 織 が 低 下 して い る こと 3.学 歴 偏 重 社 会 で あ ること
4.社 会全般に心の豊かさや、思いやりの心 が失われていること 5.社 会 が 青 少 年 を 甘 や か して い ること
6.地 域 の 教 育 力 が 低 下 して い ること 7.子 どもの 忍 耐 力 が な くな ってき て い ること
8.子 どもの感情 ・欲求コントロールができなくなってきていること 9.自 己 中 心 的 な 子 供 が 増 え て き て い る こと
10.善 悪 を 正 しく判 断 で きな くな って きて い るこ と 11.子 ど もの 生 き が い や 目 標 が な くな ってき て い る こと 12.教 師 の 資 質 や 使 命 感 が 薄 れ て き て い ること 13.教 師 との 信 頼 が 薄 れ て き て い る こと
14.教 師 の 指 導 が 毅 然 として い な い こと 15.教 師 の 児 童 ・生 徒 理 解 が 不 十 分 な こ と 16.道 徳 教 育 が 不 十 分 な こと
17.授 業 に 魅 力 が な い こと
18.家 庭 との 連 携 ・協 力 が 不 足 して い ること 19.必 要 以 上 に 甘 や か して い ること
20.親 子 の 会 話 が 少 な くな って き て い る こと 21.幼 児 期 の しつ け が 不 十 分 で あ る こと 22.親 が 子 どもを 放 任 ・干 渉 しす ぎ て い る こと 23.生 活 の リズ ム が 崩 れ てき て い ること
123456789012311111冒1112222
ロ保護 者 騒教趣
選 択 肢 の7、8、9に み ら れ る よ う に 、 「規 範 意 識 を 薄 れ さ せ て い る原 因 」 と して 子 ど も 自身 の 変 容 を あ げ で い る 回 答 も多 い が 、19〜22で わ か る よ う に 、 親 と子 の か か わ り合 い が う ま くで き て い な い こ と を あ げ て い る 回 答 も多 い 。
(4)は た して 児 童 ・生 徒 の 「意 識 」 と 「行 動 」 は 一 致 して い る の で あ ろ うか 。
こ こ で は 、 小 学 校 高 学 年 の 調 査 結 果 を も と に 、 「意 識 」(と て も大 切)と 「行 動 」(よ くで き る)を 取 り 上 げ て 表 に して み た 。
小 学 校 高 学 年 の 児 童 の 「意 識 」 と 「行 動 」 は 、 一 致 して い る と は 言 え な い 。 項 目 ご と に そ の ズ レの 大 き さ に 違 い は あ るが 、 ど の 項 目 も 「意 識 」 は 高 い が 、 「行 動 」 が 伴 っ て い な い こ とが わ か る 。 こ の こ と は 、 低 学 年 や 中 学 生 に お い て も同 様 な 結 果 と して 表 れ て い る 。
一6一
小
学Lあ い さつ
校2
.話 を聞 く 高
学3 .暴力 で 返 さ な い 年
4.無 視 、 仲 間 外 れ 5.廊 下 を 走 る ・大 声 6.本 や 机 を大 切 に 7.ポ ー ルの 片 付 け 8.当 番 活 動
ロ 「意 識 」(とても大 切) 国 「行 動 」(よくでき る)
この こ と か ら、 児 童 ・生 徒 の 「意 識 」 と 「行 動 」 は 、 必 ず し も結 び っ い て い な い と と ら え る こ と が で き る 。
(5)で は 、 発 達 段 階 に よ る 、 「意 識 」 の 高 さ に 違 い は あ る の だ ろ うか 。 具 体 的 な 項 目 を1っ 取 り 上 げ て 比 較 して み る 。 「休 み 時 間 だ か ら と い って 、 廊 下 を 走 っ た り 、 自分 勝 手 に 大 き な 声 で し ゃべ っ た り し な い こ と は 大 切 な こ と だ 。」 に 関 す る調 査 結 果 で あ る 。(皿 一5)
小学校低学年 小学校高学年
小 学 校 高 学 年 、 低 学 年 、 中 学 生 と も に 、 比 較 的 「意 識 」 は 高 い こ とが わ か る。 しか し、 「と て も思 う 」 の 項 目 に 注 目す る と 、 明 らか に 学 年 が 上 が る に 従 って 回 答 が 減 っ て き て い る 。 っ ま り 、 発 達 段 階 に よ り 「意 識 」 の 高 さ に 違 い が 見 ら れ 、 高 学 年 に な る に 従 っ て 、 「意 識 」 が 低 下 し て い く と と らえ る こ とが で き る 。
㈲ 最 後 に 、 そ れ ぞ れ の 「意 識 」 は 誰 の 影 響 が 強 い の で あ ろ うか 。
こ こで も、 小 学 校 高 学 年 の 調 査 結 果 に 関 して 、 取 り上 げ て 表 に して み た 。
1.あい さつ 2.話を聞 く 3暴 力で 返さな い 4無 視 、仲 聞 外 れ 5.廊下 を走 る ・大 声 fi.本や机 を大 切 に 7.ボー ルの 片付 け 8.当番 活動
各 項 目 ご と に 、 そ れ ぞ れ 影 響 を 受 け る 人 に 違 い が あ る こ と が わ か る。 規 範 意 識 を は ぐ く む 上 で は 、 い ろ い ろ な 人 と の か か わ りが 大 き な 影 響 を 与 え る と と らえ る こ と が で き る 。
一7一
皿 実践事 例1(小 学校 第4学 年 体育科)
実 践 事 例1で は 、 集 団 の 中 で 規 範 意 識 を は ぐ くむ こ と、 自 己 を 振 り返 り 自 己 を 見 つ め 次 に 生 か そ う とす る 気 持 ち を 育 て る こ と を 、 研 究 の 視 点 に 迫 る 方 法 で あ る と考 え た 。
1単 元 名 表 現 運 動 「花 火 」 2研 究 主 題 と の 関 連
(1)発 達 段 階 を ふ ま え た 指 導
小 学 校 の4年 生 は 、 高 学 年 の 始 ま り の 時 期 と して 友 達 と の 関 連 が 深 ま り始 め 、 グ ル ー プ で の 活 動 を 好 む よ う に な り、 い ろ い ろ な 友 達 と 交 わ っ て 考 え や 活 動 が 広 が る 時 期 と と らえ て い る 。 こ の よ う な 時 期 に 身 体 活 動 を 通 して 花 火 の 動 き を 友 達 と 協 力 して 作 る こ と で 、 友 達 や 自 分 自身 の よ さ に 気 付 き協 力 して 活 動 す る こ と の 楽 し さ を 実 感 で き る で あ ろ う。
② 人 と 豊 か に か か わ る た め の 指 導
人 数 制 限 、 課 題 別 と い う グ ル ー プ 構 成 の 条 件 の 中 で 、 誰 とで も協 力 して 活 動 しよ う と い う気 持 ち を 育 て た い 。 活 動 して い く中 で 子 ど も 同 士 の 葛 藤 が た く さ ん 起 こ る と考 え られ る が 、 そ れ を 児 童 が お 互 い に っ い て 考 え る よ い チ ャ ン ス と と らえ た い 。 相 手 を 思 い や る ・心 の 動 き を 察 す る ・誘 う ・断 る な ど 様 々 な 経 験 を す るが 、 こ の よ う な こ とが 人 間 関 係 の 豊 か さ に つ な が る と考 え る 。
(3)自 己 を 振 り返 る 力(自 己 指 導 能 力)を は ぐ く む た め の 指 導
自 己 の 体 験 を 客 観 的 に 振 り返 る こ と に よ り 「体 験 」 を 「経 験 」 に 高 め る こ と が で き る と 考 え る 。 そ の た め に 「振 り返 り カ ー ド」 を 活 用 す る こ と に した 。 カ ー ドの 蓄 積 に よ り 、 子
ど もた ち の 変 容 を 観 察 で き る と 考 え て い る 。 ま た 、 自 分 や 友 だ ち の 体 験 を 共 有(シ ェ ア リ ン グ)す る こ と に よ り共 感 した り 、 自 己 存 在 感 を 確 認 した りす る こ と が で き る と 考 え る。
表 現 運 動 「花 火 」
「花 火 」 と い う題 材 は 、 時 期 的 に は 最 適 で あ り、 児 童 に と っ て も身 近 な もの で あ る。 児 童 は 今 ま で に 何 回 も 「花 火 」 を 経 験 して き た と 考 え られ る。 そ れ を も と に 表 した い 動 き を と らえ て 、 自 由 に 工 夫 して 表 現 で きや す く、 ま た 、 楽 しん で 活 動 で き る 題 材 で あ る。
集
団 活 動
〈活 動 の 工 夫 〉
*グ ル ー プ 構 成 の 工 夫
*場 の設定の工夫
*言 葉かけの工夫
*評 価 の 工 夫
○ペ ア学習
◎ トリオ学習
●小 集 団 学 習 .興 味 ・関 心 別 学 習
◎ 「グ ル ー プ エ ン カ ウ ン タ ー 」
●学 習 過 程 の 工 夫(体 験 、 繰 り返 し)
・子 ど も 同 士 の コ ミュ ニ ケ ー シ ョ ンを 促 進 す る た め の 教 師 の 助 言
●相 互 評 価 ●自 己 評 価
◎ 「振 り返 り カ ー ド」 の 工 夫
◎ シ ェ ア リ ン グ(共 感 、 わ か ち あ い)
↑↓
教師の児 童理解
一g一
は ぐ くみ た い 規 範 意 識
◎ 友 だ ち と 協 力 して も の ご と を 行 う。
◎ 相 手(グ ル ー プ)の こ と を 考 え て 行 動 す る。
◎ 言 葉 づ か い を 考 え て 意 見 を 言 う。
表 現 運 動 の ね ら い
身 近 な 生 活 か ら選 ん だ 題 材 で 、 そ の 主 な 特 徴 や 感 じを と らえ て 、 即 興 的 に 表 現 した り、
表 した い 感 じ を 誇 張 した ひ と流 れ の 動 き で 工 夫 して 表 現 し た りで き る よ う に す る 。
3学 習 指 導 計 画(4時 間)
学 習 活 動 (教 科 に 対 す る)指 導
● リ ズ ム を と る た め に リズ 花 火 に つ い て イ メ ム 太 鼓 を た た く
一 ジを も ち
、 表 現 活 ●手 や 足 を 大 き く使 わ せ る 1 動の方法を知 る ●動 きやすい音楽を流す
・動 き が わ か ら な い 子 に は
①表現活動 の方法 を知 る 助言す る
② 「ふ り 返 り カ ー ド」 を 書 き 、 発 表 す る
全員でねずみ花火i ● 「音 」 「動 き 」 「思 っ た こ と」 を 表 現 す る よ う な
① ねずみ花火を見 る げか ける
● リズ ム 太 鼓 を 使 っ て 臨 場
② ね ず み 花 火 の イ メ ー ジ 感を出す
カ ー ドを 作 る ・ よ い動 き が あ れ ば ほ め る
2 .必 要 に 応 じて 助 言 す る
③教師の伴 奏に合 わせて ● 方向を変え る
即興で動 いてみる ● と び 出 す タ イ ミ ン グ を
④ ト リオ を 作 り、 三 回 繰 ず らす
り返 して 、 動 く練 習 を ・い い 所 や 「こ うす る と よ
す る くな る よ 」 な ど を 言 い 合
え る よ う に 助 言 す る
●色 々 な 花 火 を す る ・火 の 扱 い 方 を 注 意 す る
3 本 時の学習
・火 が っ き 始 め た と こ ろ と ペ ァ グ ル ー プ 同 士 見 火 が 消 え て い く と こ ろ の せ合 いなが ら動 きを 動 きの工夫を助言す る
高 め る ●場 所 を 大 き く使 う 点 を 助
言す る
は ぐくみたい規範意識
一
★ ←
○ ← ○ 誰 と で も ペ ア を 作 れ る
記 号 の 意 味
◎ … 重 点 化
★ … 定 着 化
○ … 準 備 期
★ ← 話 し合 い の ル ー ル を 守 る
○ ←
★ ← 終 わ っ た ら 自分 た ち の も の と比 較 す る な ど し て 待 つ
★ ← 動 く時 の 約 束 を 守 る
◎ ← 他 の ト リオ の こ と 考 え て 活 動 す る
→ 学級活動
★ ← 〔約 束 を 守 っ て 練 習 す る 〕
一g一
4
① 前 時 を 思 い 出 し練 習 を す る
② ペ ア グ ル ー プ 同 士 見 せ 合 い を す る
●ジ ャ ン ケ ン で 順 番 を 決 め る
③ 発 表 会 を す る
④ 「振 り 返 りカ ー ド」 を 書 き、 発 表 す る
●ペ ァ グ ル ー プ の よ い と こ ろ を 見 つ け る よ う助 言 す
る
◎← 他 の ク ル ー プ の こ と を 考 え て 行 動 す る
◎← 相手 の気持 ちを考えて 意見 を言 う
◎←
4本 時 の 学 習(45分 ×4回 扱 い の3回 目) (1}ね らい
●題 材 か ら動 きや リズ ム を と らえ 、 特 徴 が 表 れ る よ う に グ ル ー プ で 表 現 す る こ と が で き る 。
●誰 と で も 、 気 持 ち を 合 わ せ て 楽 し く踊 る こ と が で き る。
●相 手 の こ と を 考 え グ ル ー プ づ く りが で き る 。
② 展 開
導
入
展 開
まとめ
学 習 活 動
①集合 ・整列をす る
②本時の学習内容を聞 く
③進化 ジャ ンケ ンをす る
④ 準備運動 をす る (南綾瀬体操)
教科に対す る指導
●学 習 の 流 れ を 簡 潔 に 伝 え る
・音 楽 に の っ て ジ ャ ン ケ ン す る よ う声 を か け る 。
・伸 び 伸 び 準 備 運 動 が で き る よ う に 声 を か け る 。
自 分 の や り た い 花 火 を 決 め 、 グ ル ー プ に な り、
動 き を っ く る
⑤ グ ル ー プ 作 り の ル ー ル を 聞 く
⑥ 表 現 し た い 花 火 ご と に グ ル ー プ に な る
⑦ グ ル ー プ ご と に 、 「イ メ ー ジ カ ー ド」 を 元 に し な が ら動 き を っ く る
⑧ 「振 り返 り カ ー ド」 を 書 き、 発 表 す る
● よ か っ た と こ ろ を 出 し合 う
●発 達 段 階 を 生 か した グ ル ー ピ ン グ の 条 件 を 提 示 す る
●3〜6人 の グ ル ー プ
● 興 味 ・関 心 別 グ ル ー プ
●花 火 の 名 前 を 板 書 して お く
● ビデ オ を 用 意 し、 い っ で も動 き の イ メ ー ジ を っ か み や す く して お く。
・特 徴 を と らえ た 動 き を ほ め 、 み ん な の 動 き を っ な げ て み る こ と を 助 言 し、
グ ル ー プ の 動 き を ひ ろ げ
↑↑★★
は くみたい規範意識に かかわる行動
○ ← 〔ル ー ル づ く り の 参 加 〕
○ ← 〔約 束 を 守 る 〕
◎ ← 誰 と で も グ ル ー プ を 作 れ る
◎ ← お 互 い の こ と を 考 え な が ら活 動 す る
○ ← 自分 の グ ル ー プ の こ と を 考 え な が ら活 動 す る
★ ←
rヨ
挙手を し、 自分の意見 を しっか り言 う
L ‑‑J
一10一
⑨ 整理運動をす る て い く
●ま と ま ら な い グ ル ー プ に は 、 一 緒 に な っ て 口 伴 奏 を し な が ら動 き を つ くる
5授 業 分 析
(Dは ぐ くみ た い 規 範 意 識 よ り考 察
① グ ル ー プ づ く りの 場 面 で は 、 誰 か が 一 人 に な っ た り人 数 が 多 す ぎ て い さ か い な ど を 起 こ す こ と も な く、 比 較 的 ス ム ー ズ に 行 う こ と が で き た 。 こ れ は 、 普 段 か ら 相 手 の こ と (気 持 ち)を 考 え て 行 動 で き る児 童 が 育 っ て い るか ら だ と言 え る 。 しか し、 グ ル ー プ の 構 成 を 見 る と、 や は り仲 良 しの 友 だ ち が 集 ま っ て い る こ とが 多 く、 男 子 と 女 子 が 一 緒 の グ ル ー プ に な っ た の は一 組 しか な か っ た 。 普 段 あ ま り話 さ な い 友 だ ち な ど が 一 緒 に な る よ う な 方 法 を 、 児 童 と一 緒 に 考 え て い く こ と が 必 要 で あ る 。
② グ ル ー プ づ く りの 場 面 で 自分 か ら他 の グ ル ー プ に 移 っ た 児 童 は 、 誰 と で も グ ル ー プ を 作 る こ とが で き 、 規 範 意 識 が 育 って い る と 考 え られ る 。 この よ う な 児 童 を シ ェ ァ リ ン グ
の 中 で 教 師 が 認 め る こ と で 、 リー ダ ー が 育 ち 、 学 級 の 規 範 も高 ま る と 考 え られ る 。 (2)児 童 の 変 容 …一 ・「振 り返 り カ ー ド」 よ り 考 察
児童 興味関心 ダルー7作 り 協 力 第1時 第2時 本 時 第4時
A 男児
難 蝋 鰯
③
グル ー プ作 りで は す ぐ に相 手 が 見 っ か った
グル ー プ が す ぐに決 ま っ た 。 爆 発 の 時 体 を使 った
相 談 して大 き く動 け た。
順 番 に動 くの を 工夫 した
ジャ ンボ ナ イ ア ガ ラ が 大 き く動 い て いた
B 女児
難 鰯 0
蹴 0
1回 目 は速 い動 きで 疲 れ た 。2回 目は 楽 し く で きた
相 手 の い い 所 を 見 つ け て ア ドバ イ ス して あ げ られ た
や って い る うち に 「こ う しよ う」 と声 を か け られ る よ うに な った 。
み ん なが や って い る の を見 て頑 張 っ て い る姿 が 分 か った
C 男児
④
③③ ③
④
③③ ③
④
③③ ③
グ ル ー プが なか な か 決 ま ら なか った
見 せ合 い で い い と こ ろ を 言 って も らえ て よ か った
1組 は2組 と動 きが 違 って工 夫 して い た
D 女児
繍 鰯 0
翻 0君 は変 わ った 動 きを す るの で 、 まね を す る の が 楽 しか った
A君 は 帽 子 を 足 に つ け て 火 の 代 わ りに した の が よ か った
4人 で 息 が あ った と きが あ った 。 先 生 に ほ め られ た
0君 の意 見 で 、 体育 館 の 円 を 使 って 回 っ た
① 「振 り返 り カ ー ド」 で シ ェ ア リ ン グ を 行 う こ と で 、"自 分"の こ と だ け で な く"他 の グ ル ー プrの こ と も意 識 す る よ う に な って き て い る 。
② ア ドバ イ ス し た り、 さ れ た りす る こ とが 、 自 分 た ち の 活 動 を 活 発 に し表 現 を 深 あ て い る こ と に 気 付 い て い る 。 ま た 話 し合 い の 中 心 に な る リ ー ダ ー が 自 然 に 発 生 し た グ ル ー プ は 、 更 に 活 動 が 活 発 に な る 。
③ 友 だ ち の か か わ りが 上 手 くで き る と学 習 意 欲 が 高 ま る 。
④ 教 師 に 誉 め られ る こ と は 、 児 童 の 意 欲 を 喚 起 さ せ る 。 児 童 が 誉 め て も ら い た い と 思 っ た と き に 、 的 確 に 評 価 す る こ と が 大 切 で あ る 。
一11一
IV実 践 事 例1ま と め 1研 究 の 成 果
(1)人 と 豊 か に か か わ ろ う とす る 心 の 発 達 段 階
人 と 豊 か に か か わ ろ う とす る 心 の 発 達 段 階 と そ の た め に 必 要 な 具 体 的 な 技 能 を 明 らか に す る た め に 、 一 覧 表(p13表 参 照)を 作 成 した 。 そ の 結 果 、 小 学 校 高 学 年 で は 、 集 団 の 中 で の 自 分 の 役 割 に 気 づ く こ と 、 協 力 す る こ と で の 達 成 感 を 味 わ う こ と 、 自 分 や 友 達 の よ さ に 気 づ く こ とが 大 切 で あ る こ と が 分 か っ た 。 ま た そ れ を 可 能 に す る た め に は 、 相 手 の こ と を 考 え な が ら 、 は た ら き か け 方 ・お 願 い の 仕 方 ・断 り方 ・感 情 の コ ン トロ ー ル の 仕 方 な ど の 技 能 を 身 に っ け る こ と が 必 要 で あ る こ と が 分 か っ た 。
② は ぐ くみ た い 規 範 意 識 に か か わ る行 動
規 範 意 識 は 、 児 童 の 行 動 に よ っ て 見 取 る こ とが で き る と考 え 、 各 時 間 ・学 習 活 動 ご と に 、 は ぐ くみ た い 規 範 意 識 に か か わ る行 動 を 明 らか に した 。 さ らに 重 点 化 ・定 着 化 ・準 備 期 な ど 発 達 段 階 に 照 ら し合 わ せ る こ と に よ り、 指 導 の 焦 点 が よ り明 確 に な っ た 。
ま た 、 児 童 の 変 容 を と ら え 適 切 な 助 言 や 励 ま しが で き る よ う 、 「教 師 に よ る 行 動 調 査 チ ェ ッ ク 表 」 を 作 っ た こ と に よ り 、 教 師 の 評 価 は 、 児 童 の よ り よ い 行 動 の 指 針 と な り 、 意 欲 に もっ な が った 。
(3)シ ェ ア リ ン グ
発 達 段 階 に よ って 、 い ろ い ろ な 方 法 が 考 え られ る。 実 践 事 例1で は 、 「振 り 返 り カ ー ド」 を 活 用 し た 。 授 業 の 終 わ り に 記 入 す る こ と に よ り 、 児 童 は 自 分 の 学 習 活 動 を 振 り返 る こ と が で き た 。 ま た 、 グ ル ー プ や 学 級 全 体 で 発 表 し合 う こ と に よ っ て 、 自分 の 思 い が 受 け 入 れ ら れ た こ と を 感 じた り 、 他 者 の 気 持 ち を 聞 い て 新 た な 気 づ き が 生 ま れ た り す る こ と が わ か っ た 。 この こ と は 、 よ り豊 か な 人 間 関 係 を は ぐ く む こ と に な る 。
2今 後 の 課 題
(1)シ ェ ア リ ン グ を 充 実 さ せ た 指 導
シ ェ ア リ ン グ に よ っ て 豊 か な 人 間 関 係 を 築 く こ とが で き る が 、 本 実 践 で は 十 分 に 活 用 で き た と は い い 難 い 。 十 分 な 時 間 と場 所 を 確 保 す る な ど 授 業 の 構 成 を 工 夫 す る 必 要 が あ る 。 ま た 、 話 す ・書 く、 小 グ ル ー プ ・学 級 全 体 で な ど方 法 に っ い て も深 め て い き た い 。 (2>集 団 の 中 で 個 を 生 か す 指 導
集 団 の 中 で の 自 分 の 役 割 に 気 づ き行 動 す る こ と は 、 自 分 の 存 在 感 を 確 認 す る こ とで あ り、
規 範 意 識 を 育 て る た め の 大 き な ポ イ ン トと な,,.
をき
る。 そ の た め の 技 能 を 身 に っ け さ せ る た め に 、 … 教 師 は 十 分 な 手 だ て を 考 え な け れ ば な らな い。
(3)継 続 的 な 指 導
一 単 元 の 実 践 で は 児 童 の 変 容 を 見 る の は 難 し く、 ま た 大 き く変 容 す る も の で も な い 。 時 間 を か け て 心 と 技 能 を 育 て て い く必 要 が あ る。
多 様 な 場 面 で 実 践 し、 研 究 して い き た い 。
軽 戦 驚 驚 達・
欝難
一12一
1一Q︒1
規範意識をは ぐくむための手だて
小 学校低 学年(1〜3年) 小学校 高学年(4〜6年) 中 学 校
規 範 意 識 に か か わ る子 ど もの 特 徴 噛
○ マ ナ ー の 必 要 性 が わ か る。
● 教 師 や 大 人 か ら よ い 行 動 を 誉 め られ た 、友 達 ○ 快 適 な 集 団 生 活 を お く るた め の き ま りの 必 要 性 を 理 解 す る。
○ 集 団 生 活 の き ま り に つ い て 自 分 な りの 考 え を 持 つ 。
か ら信 頼 を 得 られ る こ と に よ っ て 、 進 ん で き ま りを 守 ろ う とす る 習 慣 や 態 度 が 身 に つ く。
● き ま りに つ い て話 し合 い 、 よ りよ い生 活 にす るた め に 、 進 ん で き ま りを 守 ろ う とす る。
● 集 団 の 一 員 と して の 自覚 が 高 ま り 、 よ り よ い 集 団 を 作 る た め の ル ー ル づ く りに 参 加 す る な
ど の 行 動 を と ろ う とす る。
自 己 を ふ り か え り、 人 と豊 か に か か
●自分 の こ と につ い て 話 が で き る。
●自分 の よ さ や 特 徴 に気 付 く。
●相 手 の 心 の 動 き を 感 じ、 相 手 を 思 い や る こ と が で き る。
●自分 の もの の 見 方 や 特 性 な ど に つ いて 、 考 え る こ とが で き る。
わ ろ う とす る心 の 発 達 の 特 徴
●自分 と友 だ ち の 違 い に 気 付 く。
●自分 と他 の 人 と の っ な が り を感 じ る。
●友 達 と協 力 す る こ との よ さが 分 か る。
●自力 で もめ ご と を 解 決 しよ う とす る意 欲 を 持
●チ ー ム ワ ー クの 大 切 さ に気 付 く。
●集 団 の 中で の 自分 の 役 割 に気 付 く。
●協 力 して 完 成 させ る達 成 感 を 味 わ う こ とが で き る 。
●他 人 か ら見 た 自分 に つ い て 考 え る こ と を 通 し て 、 自 己 を 見 つ め 直 す こ とが で き る 。
●自分 の こ とに つ い て 、 他 人 に 素 直 に 話 を す る こ と が で きる 。
つ 。
○友 だ ち と協 力 す る 中 で 、 友 だ ち や 自分 の よ さ に 気 付 く。
●自分 の 成 長 に 気 付 く。
●望 ま し くな い 人 間 関 係 を 改 善 し、 よ い 関 係 を 作 ろ う とす る。
●相 手 の 考 え を理 解 し、 認 め る こ とが で き る。
●相 手 を 一 人 の 人 間 と して 尊 重 す る こ とが で き
●よ い言 葉 、 い や な言 葉 に気 付 く。 ●自分 に つ いて ふ り返 る 中 で 、 自分 や 友 だ ち の る。
よ さ に 気 付 く。
●親 しい友 だ ち以 外 の 人 と活 動 す る こ と で 、 今 ま で 気 づ か な か った 友 だ ち の よ さ に気 づ く。
自己 をふ りか え り、 *誰 に で も あ い さ っ を す る 。
人 と豊 か に か か わ う *自 分 の い い と こ ろを 自 己紹 介 す る。
う とす る心 を 育 て る *相 手 の 話 を き ち ん と聞 く。
ための具 体的 な指導 *適 切 な 質 問 の 仕 方 を 身 に つ け る 。 の 内 容 *友 だ ち の 誘 い か た を 身 に つ け る 。 (ソ ー シ ャ ル ス キ ル) *自 分 か ら仲 間 に入 る方 法 を 身 に つ け る。
*温 か い 言 葉 の か け か た を 知 る。 *相 手 を 受 け入 れ な が ら話 を 聞 く。
*相 手 の 気 持 ち を わ か り、 は た ら きか け る。
*相 手 の 気 持 ち や 立 場 を尊 重 しな が らお 願 い を す る方 法 を 身 に つ け る。
*断 る方 法 と そ の正 当 さ を 学 ば せ る。
*拒 否 の 仕 方 や 身 の 安 全 を 守 る方 法 を 身 に つ け る 。
*多 くの 解 決 策 を 考 え 、 よ りよ い選 択 が で き る よ う に す る 。
*自 分 の 感 情 を コ ン トロ ー ル す る方 法 を 身 に つ
け る 。
*低 学 年 で は 、 繰 り返 し指 導 して 、 定 着 を 図 る。 参 考 文 献
*年 齢 が あ が る と 、 前 の 段 階 で の ス キ ル が で きて い る こ と を 押 さ え て か ら指 導 を 進 め る。
*児 童 ・生 徒 の 実 態 に応 じて 指 導 す る 。
「ソー シ ャル スキ ル教 育 で 子 ど もが が 変 わ る 」 国 分 康 孝 監 修
「エ ン カ ウ ン タ ーで 学 級 が 変 わ る」 国 分 康 孝 監 修 (図 書 文 化)
V実 践 事例2(中 学校 第1学 年 国語 科)
1児 童 ・生 徒 の 規 範 意 識 の 実 態
実 践 事 例IIで は 、 ア ン ケ ー ト調 査 の 結 果 を も と に 、 児 童 ・生 徒 の 規 範 意 識 は 高 い が 、 そ れ を 実 践 して い く力(規 範 実 践 能 力)が 不 足 して い る こ と に 着 目 し た 。 特 に 児 童 ・生 徒 の 学 年 が 進 む に つ れ て 規 範 意 識 が 建 前 と な っ て しま い 、 規 範 意 識 を 実 践 し、 人 と して の 生 き 方 に結 び つ い て い な い の で は な い か と考 え ら れ る。 そ こ で 、 規 範 意 識 を 行 動 化 し、 規 範 実 践 能 力 を 身 に つ け さ せ て い く た め の 方 法 「規 範 意 識 に か か わ る 行 動 」 を 考 察 す る こ と に した 。
教 師 は 日常 の 教 育 活 動 を 通 して 、 児 童 ・生 徒 の 規 範 意 識 を は ぐ くむ 指 導 を して い る 。 そ れ を 計 画 的 か っ 継 続 的 に指 導 す る こ と を 、 「規 範 意 識 に か か わ る 行 動 」 の 観 点 と
した 。
2研 究 の 視 点 と の 関 連 (1)発 達 段 階 を ふ ま え た 指 導
中 学 生 の 時 期 で は 身 体 的 に も 精 神 的 に も子 ど もか ら大 人 へ の 移 行 期 と 考 え られ る 。 こ の 時 期 は 、 一 般 的 に 自 我 に 目 覚 め 、 大 人 の 干 渉 を 嫌 うよ う に な る(第 二 反 抗 期)と 言 わ れ て い る 。 ま た 、 他 人 の 目 を 意 識 し、 自 分 か ら恥 を か く行 動 を 警 戒 す る よ う に も な る。 さ ら に 、
自 己 顕 示 欲 が 強 くな り、 他 人 に 認 め て も ら い た い 意 識 が 出 て く る の も こ の 時 期 で あ る。 反 面 、 主 体 性 の な い 行 動 もみ られ 、 物 事 を 茶 化 して 安 易 に 行 動 し よ う と した り、 集 団 の 中 に
自 分 を 同 質 化 さ せ て 、 精 神 的 な 安 定 を 保 と う と した り す る。
こ の よ う な 中 学 生 の 時 期 に 見 ら れ る 「規 範 意 識 」 は 、 表 面 的 な 建 前 の 規 範 意 識 が 多 く、
自 発 的 な 規 範 遵 守 行 動 が 伴 っ て い な い 場 合 が 多 い 。 した が って 、 しつ け 的 な 要 素 の 指 導 よ り も、 生 徒 自身 の 内 面 に か か わ る指 導 に 重 点 を 置 き た い 。
(2)人 と 豊 か に か か わ る た あ の 指 導
本 研 究 で は 、 人 と 豊 か に か か わ る こ と に よ っ て 、 集 団 と し て の 質 が 高 ま り 、 個 の 存 在 感 が 増 大 す る で あ ろ う と 考 え た 。 こ の よ う な 集 団 の 中 で は 、 互 い に 高 め あ う こ と が で き 、 規 範 意 識 も は ぐ く ま れ る こ と が 期 待 で き る。
そ こ で 、 本 時 で は 、 グ ル ー プ エ ン カ ウ ン タ ー の 手 法 を 用 い て 、 ま ず 、 作 品 に 対 して の 自 分 の 考 え を 相 手 に 正 し く伝 え る学 習 を 行 う。 さ ら に 、 人 の 意 見 の 要 旨 を ま と め な が ら、 互
い の 感 想 の よ い と こ ろ や 共 感 で き る と こ ろ に っ い て 、 話 し合 い を 深 め る 。 グ ル ー プ 活 動 の 終 末 に お い て は 、 互 い の 考 え 方 や 思 い を 認 め 合 い 、 共 有 し合 う(シ ェア リ ン グ)活 動 が 中 心 と な る。
(3)自 己指 導 能 力 を は ぐ くむ た め の 指 導
本 研 究 で は 、 規 範 意 識 を は ぐ くむ た め に は 、 自 らを 律 し、 正 し く行 動 で き る能 力(自 己 指 導 能 力)の 育 成 が 重 要 な 課 題 で あ る と考 え た 。
そ の た め 、 本 時 で は グ ル ー プ エ ン カ ウ ン タ ー に よ り話 し合 い の ル ー ル を 高 め させ 、 生 徒 が 主 体 的 に 話 し合 い の ル ー ル を 守 り、 学 習 して い く活 動 を 行 う こ と に した 。 教 師 は 、 生 徒 の 話 し合 い 活 動 が 円 滑 に 行 わ れ て い る か を 観 察 し、 時 に 援 助 し な が ら、 自 己指 導 能 力 の 育 成 を 図 り た い 。
一14一
3教 科 ・教 材
中 学 校 第1学 年 国 語 科
『ア イ ス キ ャ ンデ ー 売 り』(随 筆 立 原 え りか 作 4学 習 指 導 計 画(5時 間 扱 い)
三 省 堂 「現 代 の 国 語1」 よ り)
第一時限第二時限第三時限第四時限第五時限
学 習 活 動
教 材 に つ い て 関 心 を も ち 、 感 想 を 抱 く
●戦 争 に っ い て 知 る 。
●作 品 の 通 読 。
・初 読 の 感 想 。
登 場 人 物 の 心 情 を 読 み と る
● 「ア イ ス キ ャ ン デ ー 売 り 」 の 心 情 を 読 み と る と と も に 、 「小 学 生 の と っ た 行 動 」 を 考 え る 。
作 者 が 作 品 を 通 して 伝 え た い こ とを 読 み と る
●作 者 が この 作 品 を 通 して 読 者 に 伝 え た い こ とを 考 え る 。
作 品 の 主 題 を 考 え 、 感 想 文 を 書 く
●戦 争 に 関 す る他 の 作 品 を 読 み 、 そ れ と 併 せ て 今 回 の 作 品 を 通 し て 感 じた こ と を 書 く(感 想 文)。
感 想 発 表 会 を 通 して 、 作 品 の 世 界 を 広 げ る
●班 ご と に 分 か れ て 感 想 を 発 表 し あ い 、 友 だ ち が ど の よ う に感 じ た か を 知 る こ とで 、 作 品 の 世 界 を 広 げ る 。
指 導上 の留 意点
・作 品 の 背 景 に あ る戦 争 に つ い て 説 明 す る 。
●作 品 の 範 読 を す る 。
・ 「ア イ ス キ ャ ンデ ー 売 り」
の と った 「ふ し ぎ な 行 動 」 を 中心 に 彼 女 の 心 情 を 読 み と らせ る と と もに 、 小 学 生 の 行 動 も考 え さ せ る 。
● 「ア イ ス キ ャ ン デ ー 売 り 」 の 心 情 と戦 争 の 背 景 に あ る 悲 劇 を 考 え さ せ る 。
●戦 争 に 関 す る他 の 作 品 を 読 む こ と で 、 今 回 学 習 し た事 柄 に つ い て の 考 え を 深 め さ せ る。
●一 人 一 人 感 想 を 読 ま せ 、 ま た 、 友 だ ち の 感 想 を 聞 く こ とで 、 作 品 の 世 界 を 広 げ る と と も に戦 争 に つ い て よ り 深 く考 え さ せ る 。
「は ぐ くみ た い 規 範 意 識 」 に か か わ る 行 動
★ 話 の 聞 き方 。
◎ 登 場 人 物 の 気 持 ち を 考 え る 。
★ 自 分 の 考 え を し っか り と もつ 。
★ 友 だ ち の 考 え を 認 め る。
◎ 人 の心 の 痛 み を 感 じ る 。
◎ 班 学 習 の ル ー ル づ く りへ の 参 加 。
★ ル ー ル を 守 る 。
★ 発 表 の マ ナ ー を 守 る。
◎ お 互 い の こ と を 考 え な が ら活 動 す る 。
※ 詳 細 は 「本 時 の 指 導 」 を 参 照 。
★ 「定 着 化 」 した い 規 範 意 識 ◎ 「重 点 化 」 した い 規 範 意 識
一15一