イワガキ種苗量産技術開発
< 概要 >
R元年度において付着期幼生が回収後に大量へい死する事例が発生した。対策として付着期幼生の回収を 行わずに浮遊幼生飼育槽に採苗器を直接設置する方法を試行したところ,大量へい死することなく採苗を行う ことができた。本年度は採苗の更なる改善を目指し,この対策手法の改良を試みた。
企画・栽培養殖部 研究員 小薗勇貴
浮遊幼生飼育 付着期幼生(眼点が出現している) 付着期幼生の回収 採苗
・・・付着期幼生をネットで濾し取り,採苗器を設置した別の水槽に移して採苗する方法
回収採苗法
<採苗の流れ>
<採苗率の推移>
・目標は
20%
以上。・
H30 11
回次は水温の急激な低下により幼生が大量へい死したため採苗率が低くなったと考えられた。
・
R
元2
,4
回次は幼生を回収し,水温対策を実施した上で採苗槽に展 開したが,直後から大量の幼生が沈降し,そのままへい死した。回収 の際のストレスが原因と考えられたが,H30
年度まで同様の手法で 回収しており,その根本的な原因は不明。R元年度6回次(直接採苗法)
・眼点形成率が50%以上で採苗器を設置
・一部の水槽の底に塩ビ板や採苗器を設置
・眼点が見られはじめた段階で採苗器を設置
(付着期幼生が1個体でも確認されたら)
・全ての水槽の底に塩ビ板と採苗器を設置 R2年度1回次(直接採苗法)
<結果>
・採苗率は5.3%
・大量へい死等なし
・垂下した採苗器に多くの幼生が付着
(№1水槽の付着稚貝の割合)
垂下した採苗器: 20,750個体
底面に設置した採苗器と塩ビ板:3,686個体
直接採苗法
・・・付着期幼生が出現した浮遊幼生飼育槽に直接,採苗器を設置して採苗する方法(付着期幼生の回収を行わない)
<考察>
採苗のタイミングを早め,また,全ての水槽において,底面に採苗器や塩ビ板を設置することで採苗 率をR元年度6回次の約3倍にまで高めることができた。しかし,依然として回収採苗法を実施していた 際の20%台には及ばなかった。今後は,直接採苗方法の改善はもちろんのこと,回収採苗法による大 量へい死の原因を究明し,同法の再開も考える必要がある。
・・・採苗率=付着稚貝数/採苗開始時幼生数×100
底に直接付着した稚貝は剥離できない
・このことから
R
元6
回次は回収を行わない直接採苗法に切り替えた ところ,大量へい死は見受けられず,また,採苗率は若干改善した。眼点
<結果>
・採苗率は1.8%
・大量へい死等なし
・水槽底に多くの幼生が付着
(底に何も設置していない水槽の付着稚貝数)
採苗器:9,939個体
水槽底:26,400個体(予測値)
→採苗器設置のタイミングが遅い?
底に採苗器等を設置した方が良さそう!