• 検索結果がありません。

目次 Ⅰ. 繊維製品の輸入規制関連法規 繊維製品の特恵関税適用国... 1 (1) 繊維輸入規制の終焉... 1 (2) 繊維通商政策担当部署... 1 (3) 関税率表について... 2 (4) 自由貿易協定による繊維製品の特恵関税率適用国... 2 (5) 地域経済促進法 ( 優

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "目次 Ⅰ. 繊維製品の輸入規制関連法規 繊維製品の特恵関税適用国... 1 (1) 繊維輸入規制の終焉... 1 (2) 繊維通商政策担当部署... 1 (3) 関税率表について... 2 (4) 自由貿易協定による繊維製品の特恵関税率適用国... 2 (5) 地域経済促進法 ( 優"

Copied!
21
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

平成22年度 海外輸入制度調査

繊維製品の輸入規制

(米 国)

2010 年 12 月

(2)

目 次

Ⅰ.繊維製品の輸入規制関連法規 ... 1

1.繊維製品の特恵関税適用国 ... 1 (1)繊維輸入規制の終焉 ... 1 (2)繊維通商政策担当部署 ... 1 (3)関税率表について ... 2 (4)自由貿易協定による繊維製品の特恵関税率適用国 ... 2 (5)地域経済促進法(優遇プログラム)による繊維製品の特恵関税率適用国 ... 4 2.ラベル表示規制 ... 6 (1)表示規則の管轄部署 ... 6 (2)ラベル表示義務のある繊維製品 ... 6 (3)ラベル記載内容 ... 7 (4)衣料品取扱い方法表示ラベル ... 9 (5)仕様と貼付(縫い付け)について ... 10 3.税関管轄の輸入手続き規則/原産国表示義務 ... 12 (1)担当部署と所管法令・規則 ... 12 (2)CBP の原産国ラベル表示規則 ... 12 4.繊維製品の難燃性基準 ... 14 (1)担当部署と所管法令・規則 ... 14 (2)FFA に基づく衣類繊維可燃性基準 ... 14 (3)CPSIA に基づく特定品目に関する可燃性基準と表示義務 ... 15

Ⅱ.不正表示や表示違反の事例と処罰について ... 16

Ⅲ.エコ表示 ... 17

1.エコ関連マーケティング表示内容に関するガイドライン ... 17 2.虚偽表示となるケース ... 18 Ⅳ.綿製品の表示 ... 19

(3)

Ⅰ.繊維製品の輸入規制関連法規

1.繊維製品の特恵関税適用国 米国は日本を含む WTO 加盟国からの繊維製品輸入に対し、輸入割当や輸入枠制限を設けてい ない。一方、一部の国との自由貿易協定において、国によっては関税面で対米輸出が有利な 場合もある。特に一部の発展途上国とは繊維輸入優遇プログラムも展開している。 (1)繊維輸入規制の終焉 2005 年 1 月、WTO 繊維衣類協定により WTO 加盟国と米国の二国間数量割当制度が廃止された ことを受け、米国による繊維および衣類製品の輸入割当制度は完全撤廃された。但し、WTO 非 加盟国については引続き輸入割当制度が適用される。 WTO 加盟国との二国間数量割当制度が廃止された結果、2005 年前半に中国からの繊維および 衣類製品の輸入が急増。これを受けて米国繊維業界から中国製品に対する反対の声が高まり、 米国政府は 2005 年 5 月に繊維 7 品目、8 月には 2 品目に対する緊急輸入制限(セーフガー ド)の発動に踏みきった。米中両国政府は協議の末に同年 11 月、2008 年 12 月末をもってセ ーフガード対象となった品目について、輸入割当制限の適用対象外とすることで合意。2009 年 1 月 1 日以降は中国製繊維に対する輸入割当がなくなり、同時に電子ビザ(ELVIS)1申請要 件の対象からも除外された。 (2)繊維通商政策担当部署 米国の繊維輸入規制について、二国間および多国間協議を担当するのは商務省国際貿易部・ 繊維衣料品局(以下、OTEXA)である。

U.S. Department of Commerce, International Trade Administration Office of Textiles and Apparel

住所: Room H3100 14th and Constitution Avenue, N.W. Washington, D.C. 20230 TEL: (202) 482-5078 Fax: (202) 482-2331

URL: http://otexa.ita.doc.gov/

OTEXA は、米国の繊維関連産業の国内および国際競争力を強化するとともに、織物や衣類製品 の公平な貿易慣行を促進し、輸入業者と小売業者を支援する政策と戦略の策定に従事する。 同局トップの商務省次官補は、繊維協定履行委員会(Committee for the Implementation of Textile Agreements:以下 CITA)の委員長でもある。CITA は、商務省、米国通商代表部、国 務省、財務省、労働省から選任される委員で構成され、繊維・衣類のセーフガード発動決定 ほか、自由貿易協定の交渉と管理、特恵貿易法などの法令に基づく規則の策定に携わる。例 えば 2005 年の中国製品に対するセーフガード発動決定のようなケースは CITA の管轄である。 OTEXA は、協定の監視や経済分析、統計データ収集などを行い、CITA を実務面からサポート する。

1 Electronic Visa Information System (ELVIS): 米国関税国境保護局(CBP)によって開発された貨物用のビザ申請システム

(4)

(3)関税率表について

WTO 加盟国に対しては米国への輸入割当規制は適用されないが、繊維および衣類製品の具体的 な品目ごとに、関税率が定められている。

米国の国別関税率一覧は国際貿易委員会(International Trade Commission、以下 ITC)が管 理しており、同委員会ホームページで検索可能。統計品目番号(Harmonized System Code) によって細かく関税率が掲載されており、繊維衣類製品については統計品目番号の第 11 部 50 ~63 類( 5001.00.00~6310.90.20)にみることができる。 繊維および衣類製品の統計品目番号類2は次の通り。 第 11 部 紡織用繊維及びその製品 第 50 類 絹及び絹織物 第 51 類 羊毛、繊獣毛、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物 第 52 類 綿及び綿織物 第 53 類 その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物 第 54 類 人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品 第 55 類 人造繊維の短繊維及びその織物 第 56 類 ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びにひも、綱及びケーブル並びにこれら の製品 第 57 類 じゅうたんその他の紡織用繊維の床用敷物 第 58 類 特殊織物、タフテッド織物類、レース、つづれ織物、トリミング及びししゅう布 第 59 類 染み込ませ、塗布、被覆し又は積層した紡織用繊維の織物類及び工業用の紡織用繊維製品 第 60 類 メリヤス編物及びクロセ編物 第 61 類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る) 第 62 類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く) 第 63 類 紡織用繊維のその他の製品、セット、中古の衣類、紡織用繊維の中古の物品及びぼろ 米国への繊維および衣類製品の関税率が低い国は、自由貿易協定国か開発途上国向け経済協 力法の適応資格がある国に大別される。そのような国で操業する日系企業も対米国輸出条件 を満たせば特恵税率が適用できる。 (4)自由貿易協定による繊維製品の特恵関税率適用国 二国間または域内自由貿易協定のうち、繊維分野が対象に含まれる協定は以下のとおり。 * 豪州: U.S. - Australia Free Trade Agreement

* バーレーン: U.S. - Bahrain Free Trade Agreement

* 中 米 諸 国 ・ ド ミ ニ カ 共 和 国 : U.S. - Central America-Dominican Republic Free Trade Agreement (以下、CAFTA-DR)

* チリ: U.S. - Chile Free Trade Agreement

* コロンビア: U.S. - Colombia Trade Promotion Agreement * イスラエル: U.S. - Israel Free Trade Agreement

* ヨルダン: U.S. - Jordan Free Trade Agreement * モロッコ: U.S. - Morocco Free Trade Agreement

* 北米: North American Free Trade Agreement(以下、NAFTA) * オマーン: U.S.-Oman Free Trade Agreement

* ペルー: U.S. - Peru Trade Promotion Agreement * シンガポール: U.S. - Singapore Free Trade Agreement

2 統計品目番号は HS 条約に基づいて国際的に統一されている。日本語訳は、財務省関税局による貿易統計のホームページを

(5)

但し、特恵税率適用国でも、米国への輸出額は非常に少ない国もある。協定条件下で繊維 と衣類分野の米国輸出が多い国は主に CAFTA-DR と NAFTA 協定国である。 [参考]自由貿易協定による繊維および衣類製品の米国輸入額 (単位:百万ドル) 2008 年 2009 年 自由貿易協定条件下の輸入総額 15708.946 13594.461 米国の総輸入額 103986.750 89923.562 主な協定国からの協定条件下の輸入総額 NAFTA カナダ 1966.575 1523.892 メキシコ 5135.429 4404.277 CAFTA-DR 6128.561 5356.433 ホンジュラス 2394.983 1925.119 エルサルバドル 1343.956 1232.217 イスラエル 423.399 318.770 ヨルダン 972.882 765.383 チリ 13.423 12.008 ペルー 0.000 193.607 豪州 55.582 37.557 シンガポール 82.286 58.236 (出典: OTEXA) 自由貿易協定ごとに対象品目や原産国の定義、特恵税率の条件、輸入枠などが設けられてお り、加えて商務省による連邦規則または大統領令による条項が追加されたことで、これらの 内容は非常に複雑なものとなっている。 参考までに、以下は繊維分野の米国輸入額が多い協定について簡単にまとめたものである。 協定名 合意・発効年月 対象国 特徴 NAFTA 1992 年 8 月基本合意、同 12 月に正式署名。94 年 1 月 1 日に発効 カナダ、メキシコ 米加 FTA 条件下では、原則として生地が米国またはカナダ原産であれ ば、完成品の繊維製品は原産地規則によって域内生産と認められた。し かし NAFTA では、繊維製品が域内産と認められるためには、一部を除き 糸または繊維の段階から域内産でなければならない。 CAFTA-DR 2004 年 8 月加盟国間で合意。最終的な協定発効時期は国によって異な り、2006 年 3 月エルサルバドル、同 4 月ホンジュラスとニカラグア、 同 7 月グアテマラ、2007 年 3 月ドミニカ共和国、2009 年 1 月コスタリ カで発効。 エルサルバドル、ホンジ ュラス、ニカラグア、グ アテマラ、ドミニカ共和 国、コスタリカ ナイトウエア、パジャマ、ブラジャー、女性・女子用衣類の一部などは 原材料の産地に関係なく、裁断、縫製が域内で行われていれば域内生産 品とみなされる。 コスタリカ、ニカラグアについては、一部の品目について域内生産規制 を満たさない場合でも、一定数量枠内なら無税となる例外措置がある。

(6)

(5)地域経済促進法(優遇プログラム)による繊維製品の特恵関税率適用国

米国連邦議会によって法制化された貿易開発法(Trade and Development Act of 2002)には、 アフリカや南米諸国との通商促進と経済開発協力などを目指した条項が盛り込まれた。その 具体的実施に際し、以下に示すように地域・国ごとの法律が修正またはアップデートされた。 修正・アップデートされた法律において特恵税率が適用された品目の中に、繊維と衣類製品 も含まれる。基本的には「米国製」繊維を利用して裁断、縫製された指定衣類品目は、米国 への輸入が無税となる。

*アフリカ成長機会法(African Growth and Opportunity Act、以下 AGOA):

2000 年 10 月に施行、2006 年にアフリカ投資インセンティブ法(Africa Investment Incentive Act of 2006)において繊維および衣類製品の特恵税条項が修正された。修正 内容を含む法制は、現在 AGOA IV と称される。

*アンデス貿易促進と麻薬取締法

(Andean Trade Promotion and Drug Eradication Act、以下 ATPDEA) *カリブ海諸国貿易協力法

(U.S.-Caribbean Basin Trade Partnership Act、以下 CBTPA) *ハイチ復興機会協力法

(Haitian Hemispheric Opportunity Through Partnership For Encouragement Act 、 以下 HAITI HOPE) 繊維および衣類製品の米国輸入額3 (単位:百万ドル) 法令対象諸国 2008 年 2009 年 AGOA IV 輸入総額 1175.921 934.576 特恵適用製品 1137.005 913.794 ATPDEA 輸入総額 1221.350 883.696 特恵適用製品 1109.843 623.560 CBTPA 輸入総額 8111.949 6731.287 特恵適用製品 620.448 516.737 内、ハイチ (HOPE 適用含む) 407.716 511.858 (出典: OTEXA) 3 統計は OTEXA ホームページ: http://otexa.ita.doc.gov/agoa-cbtpa/catv0.htm

(7)

これらも自由貿易協定と同様、各法令の対象品目や原産国規則の定義、特恵税率の条件が非 常に複雑である。以下は、簡単にまとめたものである。 法令 施行年月 対象国 特徴 AGOA IV 2006 年 10 月 サハラ南部のアフリカ諸国 44 カ国中、繊維衣類製品の特恵税 率適用資格をもつのは 25 カ国 国によって適用資格条件が異なるが、資格国からの指定衣類品目 の米国への輸入は 2015 年まで無税であり、輸入枠もない。指定 品目には、米国製繊維、生地を使った衣類、AGOA 域内製繊維、生 地を使った衣類(2015 年まで)、特定第三国製繊維、生地を使っ た衣類(2012 年 9 月末まで)などが含まれる。 電子ビザ(ELVIS)申請要件、原産国証明書の必要あり。 ATPDEA 2002 年 8 月 ペルー、コロンビア、エクアド ル(2009 年) 輸入無税となる特定品目が約 5,600 件ある。 ATPDEA 対象国か米国、または両方で縫製された特定衣料品目は無 税であり、輸入枠もない。生地については米国製、または ATPDEA 対象国、または両方で生産されること。米国において商業的規模 で入手できない対象国・地域製の生地、アルパカ毛やラマ毛の織 物に対する無税措置も設けられている。 原産国証明書の必要あり。 CBTPA 2000 年 10 月 アンティグア・バーブーダ、ア ルーバ、バハマ、バルバドス、 ベ リ ー ズ 、 (英 領 )バ ー ジ ン 諸 島、ドミニカ、グレナダ、ギア ナ、ハイチ、ジャマイカ、モン トセラト、(蘭領)アンティー ユ、パナマ、セントキッツ・ネ ービス、セントルシア、セント ヴィンセント、トリニダート・ トバコ 米国製生地、織物、糸を使用し裁断、縫製された特定衣料品目は 無税で、輸入枠もない。対象国にて生地に刺繍、ストーンウオッ シュ、染色、プリントなどの付加加工をしても適用資格あり。 CBTPA は 2020 年 9 月末まで有効。 原産国証明書の必要あり。 Haiti Hope 2006 年 12 月 ハイチ CBTPA に加え、さらに無税特別措置または輸入枠つき特恵関税レ

ベル(tariff preference levels :TPLs)が適用される。 Haiti HOPE は、2008 年食物保護・エネルギー法(Food

Conservation and Energy Act of 2008 )で修正され HOPE II と なり、2010 年ハイチ経済回復プログラム法(Haiti Economic Lift Program of 2010 :HELP)で修正された結果、特定繊維衣類 に分類される品目が拡大した。

(8)

2.ラベル表示規制 米国で販売される繊維製品と衣料には、繊維素材重量比率情報(fiber content)をはじめ、 原産国、製造業者名または販売業者名についてラベル表示する義務がある。衣類については、 洗濯などの取扱い方法もラベルに表示する必要がある。ラベル表示義務は連邦法令と規則に よって定められている。また、ラベル表記は英語で行わなければならない。 (1)表示規則の管轄部署 繊維と衣類製品ラベル表示義務は連邦取引委員会(FTC)の管轄で、米国に輸入される製品も FTC が管理する。

FTC 部署名:Textile Section, Division of Enforcement, Federal Trade Commission 住所: 600 Pennsylvania Avenue, NW Washington, DC 20580

TEL: (202) 326-3553 URL: http://www.ftc.gov/ [FTC 所管のラベル法令と連邦規則]

 毛皮製品ラベル法(Fur Products Labeling Act:連邦法コード 15 U.S.C. § 69)

 繊維製品識別法(Textile Fiber Products Identification Act:連邦法コード 15 U.S.C. § 70)

 羊毛製品ラベル法(Wool Products Labeling Act of 1939:連邦法コード 15 U.S.C. §68)

上記法令に基づき、FTC が策定した規則が以下のとおりである。

 毛 皮 製 品 ラ ベ ル 規 則 ( 16 CFR Part 301--RULES AND REGULATIONS UNDER FUR PRODUCTS LABELING ACT)

 繊維製品識別規則(16 CFR Part 303--RULES AND REGULATIONS UNDER THE TEXTILE FIBER PRODUCTS IDENTIFICATION ACT)

 羊 毛 製 品 レ ベ ル 規 則 ( 16 CFR Part 300--RULES AND REGULATIONS UNDER THE WOOL PRODUCTS LABELING ACT OF 1939)

また、衣類の取扱い表示ラベルについては、洗濯・乾燥などの扱い指示と注意事項につい て、次の連邦規則にて詳細が定められている。

 衣 料 品 扱 い 表 示 ラ ベ ル 規 則 ( 16 CFR Part 423--CARE LABELING OF TEXTILE WEARING APPAREL AND CERTAIN PIECE GOODS AS AMENDED)

(2)ラベル表示義務のある繊維製品 米国で販売される繊維製品(羊毛含む)および毛皮製品には、繊維素材重量比率情報(fiber content)をはじめ、原産国、製造業者名または販売業者名をラベルに表示する義務がある。 基本的に消費者向け衣料品および繊維を使った家庭用品の多くがその対象となる。  対象品目(例): 衣料品(帽子と靴類除く)、ハンカチ、スカーフ、ネクタイ、カーテン、テーブ ルクロスやナプキン、タオル、寝具(シーツや枕カバー、毛布、ベッドカバーな ど)、カーペットや床マット、ハンモック、傘、クッション、生地や糸(パッキ ング用リボン除く)  対象外品目(例): ベッドやボックススプリングの表面繊維、ソファなどの家具表面繊維、帽子*、靴 類、スリッパ*

(9)

* 羊毛製の帽子やスリッパは、羊毛製品ラベル法によりラベル表示が義務付けられる。 衣料品(帽子と靴類除く)については、洗濯・乾燥などの扱い指示と注意事項の表示も必 要である。 消費者向けには表示ラベルが必要な繊維製品でも、ラベルが必要でない例外措置もある。 例えば、店舗を持つ企業によって当該製品が生産され、当該企業の従業員向けに譲与また は販売される場合などはラベル表示義務が免除される。 生産工程の仕掛け状態で出荷、配送される繊維および衣類製品については、製品ラベルで はなく、インボイスに繊維素材重量比率情報(fiber content)、原産国、製造業者名ま たは販売業者名を記載し、インボイス発行者の名前と住所を明記することが求められる。 製品が最終生産工程にあり完成品に近い段階(裾上げやボタン付けなど最終仕上げのみが 未処理といったような段階)で出荷する場合は、製品そのものにラベル表示が必要である。 [法令コード 15 U.S.C. § 70a(d)(5) 連邦規則 16 C.F.R. § 303.31.] (3)ラベル記載内容 FTC によって必要とされる記載項目は次の通りである。 ⅰ)繊維素材重量比率情報(fiber content) 繊維衣料製品にはその素材名と重量比率を明記すること。素材名は Cotton(綿)、Nylon (ナイロン)など一般名称を必ず使うことが規則4で定められている。名称については、 ISO2976: 1999(E)を参考とすることを認めている。メーカー独自のトレードマーク素材 名を使いたい場合には一般名称に併記すること。 例(上): 「80%綿、20% Lycraスパンデックス」 例(下): 「100%Tencel リヨセル」 出典: FTC ハンドブック5 複合素材の場合は、最低含有率 5%以上の繊維の重量割合を明記することが求められる。 ただし、羊毛は 5%未満であっても必ず記載すること。また、5%未満の素材が機能的に 意義のある場合には記載してもよいとされる。例えば、伸縮性を向上させるスパンデッ クスは 5%以下でも記載してよい6 Wool(羊毛)と表示できるのは、羊か子羊、アンゴラ山羊、カシミア羊、駱駝、アルパ カ、ラマ、ビクーニャの毛である。カシミア、アルパカなど、単独で種類を表示しても よい。再生羊毛は、必ず Recycled と記載する必要がある。 裏地については、防寒作用がある場合には裏地生地の重量割合率を記載すること。それ 以外の製品構造上の裏地、さらにフリルなどの装飾素材、トリム素材(襟、袖口や胴回 りなどの別素材)は規則の適用を受けない。自主的に記載してもよいが、記載の際には

4 連邦規則 Generic Names for Manufactured Fibers 16 CFR § 303.7

5 ハンドブック:Threading Your Way Through the Labeling Requirements Under the Textile and Wool Acts

6 2 種類またはそれ以上の素材が使用されている場合、各素材が 5%を超えなければ表示は不要。ただし、各素材の合計が 5%

(10)

規則に従って行う必要がある。また、装飾やトリム部が製品表面積の 15%以上を占める 場合には、その素材重量割合率を記載しなければならない。 (例)綿製 T シャツに絹製糸の装飾刺繍と絹製繊維でトリム模様が施され、その 装飾が T シャツ表面積の 20%を超える場合、次のようなラベル表示が必要である。 「本体:100%綿、装飾部: 100%絹」 出典: FTC ハンドブック ⅱ)原産国名 FTC では、原産国表記を以下のように規定する。  輸入品7は加工、生産された国を表記すること。  米国内で米国素材を使って生産された製品は米国製と表記する。  米国内で輸入素材を使って生産された製品は、輸入部分と米国生産の両方を記載 する。例えば“Made in U.S.A. of imported fabric”(輸入生地を使った米国 製)、“Knitted in U.S.A. of imported yarn.”(輸入糸を使って織られた米 国製)といったように表示する。  部分的に米国と海外の両方で加工、生産された製品は、その両方を記載する。例 えば(A)スリランカで裁縫、生産され、米国で最終製品(衣料、寝具など)と なったもの、(B)輸入した裁断パーツなどを米国で裁縫仕上げした製品(衣料、 寝具など)は、次のように表示する。 (A) (B) 出典: FTC ハンドブック  製品のジッパーやボタンなどは原産国表記の適用を受けない。  製品の広告、販促カタログ、およびインターネット販売サイトにおいても、製品 の原産国表示をいれなくてはならない。その場合は国名を細かく表記する必要は なく、米国製(Made in U.S.A)か輸入品(Imported)かを明記する。国内と海 外 の 両 方 で 加 工 さ れ て い れ ば 「 米 国 製 及 び 輸 入 品 」 ( Made in U.S.A. and Imported)と記載する。同じ製品でも米国製もあれば海外製もある場合には、 「米国製、または輸入品」(Made in U.S.A. or Imported)とする。

なお、原産地表示に関しては CBP の規則もある(後述)。 ⅲ)製造業者または販売業者名 製品の製造業者、輸入業者、ディストリビューターまたは販売業者、マーケターなどの 製品販売責任を持つ企業の名前をラベルに記載する必要がある。米国企業および海外企 7 CBP の衣類原産国表示義務も参照。 * 繊維素材重量比率情報(fiber content)の許容誤差率について: FTC ではラベル表示で 3%の重量比率誤差を許容範囲としている。例えば、綿比率が 27%~33% であれば「綿 30%」と記載してよい。但し、明らかに 32%と判っていれば、そのように記載するべきで ある。また、使用素材が一種類であれば 100%と記載するが、その場合は許容誤差が認められない。

(11)

業 は 、 企 業 名 を そ の ま ま 記 載 す る か 、 ま た は FTC 登 録 番 号 「 RN ( Registered Identification Number)」を記載するかの 2 通りの方法がある。 企業名表記では、ブランド名や商標名ではなく、必ず企業名を記載する。輸入品の場合 は、海外の製造業者名、輸入業者名、卸業者名または小売業者名のいずれかを記載する。 RN 番号を使う場合には、事前に FTC に登録を申請する必要がある。FTC ホームページで オンライン登録申請8をするか、申請書(Form 31)を郵送または FAX 送信する。RN 番号 は FTC データベースに収められ、記録保存時に利用される。ラベル表示の際に、社名を 書くよりスペースをとらずに済むといったメリットもある。しかし、米国販売のために RN 番号を取得する義務はない。 ⅳ)毛皮製品の場合 毛皮の動物名、製造業者または販売業者名(または RN)、毛皮の原産地、加工情報(着 色、脱色など)、毛皮部分名、製品に繊維や羊毛含むか、といったラベル表示が必要。 (4)衣料品取扱い方法表示ラベル9 衣料品と衣料品向け生地製品(家庭用)には、その扱い情報を明記したラベルが求められる。 扱い情報とは通常の洗濯、クリーニングのケア方法、注意書きである。他の表示項目と一括 表示してもかまわないが、扱い方法表示ラベルは、製品の寿命がある間は剥げ落ちたりせず、 表示内容も読める状態であることが必要である。 ⅰ)ラベル表示事項と表示方法  洗濯、ドライクリーンのどちらかを表示すること。どちらでもよい場合は、両方 を表示してよい。素材の性格上、安全に洗濯、ドライクリーンが出来ない場合は 「洗濯、ドライクリーン不可」("Do not wash - Do not dryclean.")と表示。  洗濯方法には、以下に示す5項目を明記すること。 (a)手洗い、洗濯機使用のどちらか (b)漂白可能か不可能か (c)乾燥方法 (d)アイロン可、不可、温度 (e)注意事項(色物で別洗いが必要な場合など)  ドライクリーンの場合には、通常のドライクリーン工程で問題のない製品であれ ば、Dryclean とだけ表示すればよい。但し、通常工程に注意が必要であればその 旨を記載すること。例えば、スチームによって衣類が傷む恐れがある場合は「ド ライクリーン、但しスチーム不可」("Dryclean. No steam.")とする。  表示は英語で簡潔に書くか、北米共通ケアシンボルで代替してもよい。シンボル は、ASMT(American Society for Testing and Materials)10の ASTM 基準 D5489-96c(ケアシンボル:Standard Guide for Care Symbols for Care Instructions on Textile Products)11において定められている。国際基準 ISO のものに似てい るが、ISO ではないシンボルもあるため、米国では ASTM 基準を使用すること。

8 http://www.ftc.gov/bcp/rn/rnfaq.shtm のページからオンライン申請する。 9 扱い方法表示ラベル情報詳細は、次の FTC ホームページ参照。

http://business.ftc.gov/documents/bus50-clothes-captioning-complying-care-labeling-rule

10 ASMT(American Society for Testing and Materials)は、様々な産業や環境分野の素材、製品、システム、サービスに関す

る自主的基準を開発、発行する会員制団体である。

(12)

シンボル例 左)漂白不可 右)ドライクリーン不 可 左3点)洗濯機調整「普通」「ア イロン不要の衣類を洗濯」「デリ ケート衣類」 右端)「手洗い」 洗濯方法の 5 要素 注意事項の例 洗濯の詳細シンボル例 ⅱ)ラベル表示規制対象外品目  靴、手袋、帽子には、ラベル表示規制は適用されない。  ポケットなしのリバーシブル衣類(裏表両面のどちらを表にしても着ることがで きるデザインの製品)は、販売時に仮のラベル表示がつけてあればよい12。通常の 扱い方法に関するラベル装着の適用は受けない。  どんな状態で洗濯、乾燥、漂白などしても問題ない製品など、扱い情報の表示が 不要な場合、販売時に「洗濯、ドライクリーン、または通常のどんな方法でも扱 い可能」(”Wash or dryclean, any normal method")という仮ラベルを見える ところにつけておけばよい。 (5)仕様と貼付(縫い付け)について ⅰ)ラベル仕様(毛皮を除く)  基本 3 項目(素材重量比率、原産国名、製造・販売業者名または RN)の表示は、 ひとつのラベル上でも別々のラベル上でもよい。さらに衣料品では、扱い方法と 一緒でも構わない。むしろ、製品扱い情報とともに基本 3 項目が同ラベルに表示 されていると、消費者にとっては便利であるとの見解を FTC は示している。  原産国名は、常にラベル表面に表示すること。素材重量比率と製造・販売業者名 または RN は裏面でもよい。裏面に記載する場合は、ラベルは一辺だけを装着して 裏面も見えるようにする必要がある。  ラベル表示は見やすく、消費者にわかりやすい場所につけること。  素材重量比率については、複数素材はそれぞれ同じ文字サイズで見やすく書かれ ている必要がある。 ⅱ)縫い付け(毛皮を除く)  上記情報を表示したラベルは、消費者に届くまでに製品に装着する必要がある。 恒久的装着を意図する必要はないが、CBP の規則では輸入品の場合、品目によっ ては原産国名をラベルに縫い込むことが求められる。  衣料品の場合、繊維素材重量比率情報は消費者およびクリーニング業者にとって も重要であり、製品ケア情報と同じラベルに表示すると便利であるとの見解を FTC は示している。  襟首のある製品については、原産国名が表示されたラベルの位置は、襟首の裏、 ちょうど両肩シームの中間位置に装着すること。原産国名はラベル表面に記載す る。同じラベルの表面または裏面に素材重量比率と製造・販売業者名または RN を 表示するか、別の見えやすい位置にラベルを別途つけてもよい。ジャケットなど の場合、見えにくい袖の中などへの装着は禁止されている。 12 直ぐに取れるようなラベルでも構わないということ。

(13)

 襟首がない製品は、原産国名が表示されたラベルは見えやすい場所であればどこ につけてもよい。例えばスカートやスラックスの場合、見えやすいのはウエスト 裏面である。枕カバーの場合は、カバー開口部の近くの裏面が見えやすい。 [例] 左=表面に原産地情報、右=素材重量比率、扱い方法、RN を表示 出典: FTC ハンドブック ⅲ)毛皮製品のラベル仕様  毛皮製品の場合も、上記情報を表示したラベルを消費者に届くまでに製品に装着 しておく必要がある。恒久的装着を意図する必要はないが、CBP の規則では輸入 品の場合、品目によっては原産国名をラベルに縫い込むことが求められる。  衣料品の場合、繊維素材重量比率情報は消費者およびクリーニング業者にとって も重要であり、製品ケア情報と同じラベルに表示すると便利であるとの見解を FTC は示している。  ラベルサイズは、最小 4.5 x 7センチ以上であること。  印刷文字サイズは、12 ポイント未満であってはいけない。  表示項目の順番は、以下の通りにすること。 (a) 毛皮加工をしているか、天然かの表示。 (b) 毛皮の動物名。 (c) 毛皮部分名(動物のどの部分の毛皮を使用しているか) (d) 原産国名 (ラベル表面にいれること) (e) 製造・販売業者名または RN

(14)

3.税関管轄の輸入手続き規則/原産国表示義務 FTC 管轄のラベル表示規則に加え、CBP でも関税法に基づき、輸入品の原産国表示方法を規定 している。CBP 規則は、特に繊維や衣類製品のみを対象にしているわけではないが、自由貿易 協定やその他の通商協定には繊維製品の特恵関税や輸入上限枠に関する条項規定が設けられ ており、そうした輸入品の税関取扱いについて原産地表示規則が公布されている。 CBP によると、関税徴収総額の 42%が繊維と衣類製品によるものである。また、CBP はブラン ド品と偽った海賊版製品の取り締まりも行っており、2009 年度(9 月時点)で 1 万 4841 件を 摘発した。販売価格ベースにして 2 億 6000 万ドルに相当、うちブランド衣料の模造品が約 8%を占めていた。米国にとって繊維製品は経済的にも政治的にも重要な産業であることから、 同製品分野は CBP が輸入品検査に注力する対象のひとつとなっている。 (1)担当部署と所管法令・規則 Customs and Border Protection Office of International Trade Trade Policy and Programs

Textile/Apparel Policy and Programs Division, Quota Branch 住所: 1400 L Street N.W., 4th Floor Washington, DC 20229-1143 Tel: (202)863-6560 Fax: (202) 863-6540

URL: http://www.cbp.gov/ [FTC 所管のラベル法令と連邦規則]

 関税法、輸入品とコンテナの原産国表示条項(TARIFF ACT OF 1930:連邦コード TITLE 19 USC§ 1304. Marking of imported articles and container)

 原産国表示規則(19 CFR Part 102--RULES OF ORIGIN):

Part 102 は輸入品全体を対象としており、関税コード(HTSUS、 Harmonized Tariff Schedule of the United States)に基づく繊維衣類分野の対象製品の定 義、および例外条件などについての詳細な規則は、Sec. 102.21 Textile and apparel products に記載されている。

 原産国表示要件規則(19 CFR Part 134--COUNTRY OF ORIGIN MARKING): Part 134 は輸入品全体が対象である。

(2)CBP の原産国ラベル表示規則

CBP 規則(19 CFR Part 134)において、米国の最終購入者(ultimate purchaser in the U.S.)が原産国表示ラベルを問題なく読める状態にすることを規定している。一方、FTC 規則 ではラベル記載内容を定義し、同様に見やすい表示とすることが必要と定めており、製造者 または輸入業者などは、CBP と FTC の両規則を順守することが求められる。  CBP 規則は FTC 規則に似ているが、衣類については、さらに詳細な規定13が定めら れている。以下に例をいくつか挙げると o 上半身に着るシャツ、ブラウス、ジャケット、コートなどは、肩のシーム の中間の襟首中央付近に原産地表示ラベルをつけること。

13 CBP パンフレット Marking Requirements for Wearing Apparel

(15)

o スラックス、ジーンズ、ズボンとそれに類似した衣類は、ウエスト裏側な どの見やすいところに恒久的なラベルをつけること。これは短パン、スカ ートとその類似衣類にも適用される。 o 布地に直接プリントされた表示の場合、恒久的に読めるように工夫するこ と。布地の色に配慮し、プリント文字が目立つようにして、文字も読みや すい大きさにすること。 o リバーシブル衣類の場合、前述の襟首中央付近へのラベル装着は義務付け ていないが、1991 年から女性用リバーシブル用タンクトップについては、 裏側襟首に縫い込みラベルと下げ札(Hang tag)をつけて原産地表示をす ることが義務付けられた。リバーシブルジャケットは 1992 年 11 月から、 内ポケットの縫い込みラベル表示と表面ジッパーに付ける下げ札の両方で 表示が求められた。  繊維製品の一部で、シーツなどの寝具やタオル、ハンカチ、スカーフなどの布地 または織物そのままが製品の原産国表示には、最終的に米国製であっても、素材 が外国製である場合には、両方を表示する必要がある。例えば「中国製生地を使 った米国製」=“Made in U.S.A. of fabric made in China”、「中国製生地を 米国で裁断・縫製」=“Fabric made in China, cut and sewn in U.S.A.”など。 同規則はウルグアイラウンド協定法(19 U.S.C. § 3592)に基づき、CBP 所管の 連邦規則 19 C.F.R. § 102.21 に記載されている。  出荷額 500 ドル以上の繊維、および衣類製品の米国向け輸出に際しては、コマー シャル・インボイスにも FTC で規定する情報をすべて(原産国、重量比率情報、 RN または企業名)を記載する必要がある。  CBP は輸入品について米国法令を順守しているかを検査・判断する権限を付与され ており、FTC を含む様々な省庁所管の法令14に基づいて輸入品を検査する。CBP ま たは他の省庁によって、米国法令と規則を順守していない輸入品と判断されると、 税関で入港拒否または輸入停止措置が取られることがある。輸入業者には差し止 め通知が発行され、対策が決まるまで税関で留め置かれる。ラベル表示のない、 または問題のある繊維、衣類製品についても税関で輸入停止とされることがある。 14 CBP が強制力を持つ法令一覧表: http://www.cbp.gov/xp/cgov/trade/legal/summary_laws_enforced/

(16)

4.繊維製品の難燃性基準 (1)担当部署と所管法令・規則

米 国 で 販 売 さ れ る 繊 維 製 品 は 消 費 者 製 品 安 全 委 員 会 ( Consumer Product Safety Commission)が所管する法令および連邦法規を順守しなくてはならない。

U.S. Consumer Product Safety Commission 4330 East West Highway Bethesda, MD 20814 TEL:(301) 504-7923

URL: http://www.cpsc.gov [CPSC 所管の繊維関連法令と連邦規則]

 可燃性織物法(Flammable Fabrics Act、以下 FFA)

 2008 年米国消費者製品安全改善法(Consumer Product Safety Improvement Act of 2008、以下 CPSIA)

FFA に基づく連邦規則

 衣類繊維可燃性基準(Standard for the Flammability of Clothing Textiles: 連邦規則 16 CFR Part 1610)

CPSIA に基づく連邦規則

 子供用スリープウエア(サイズ 0 から6X まで)の可燃性基準(Standard for the flammability of children's sleepwear: Sizes 0 through 6X:連邦規則 16 CFR Part 1615)

 子供用スリープウエア(サイズ7から 14 まで)の可燃性基準(Standard for the flammability of children's sleepwear: Sizes 7through 14:連邦規則 16 CFR Part 1616)

 カーペット、敷物の表面可燃性基準(Standard for the surface flammability of carpets and rugs:連邦規則 16 CFR Part 1630)

 小さいサイズのカーペット、敷物の表面可燃性基準(Standard for the surface flammability of small carpets and rugs:連邦規則 16 CFR Part 1631)

(2)FFA に基づく衣類繊維可燃性基準

FFA は 1953 年に施行され、連邦規則の衣類繊維可燃性基準(Standard for the Flammability of Clothing Textiles: 連邦規則 16 CFR Part 1610)に準拠しない織物(Fabric)とその 製品の取引を禁じることが明記されている。消費者製品安全委員会創設以前のことで、当時 の所管は商務省であったが、当初は自主規制(法的拘束力はなく、メーカーが自主的に準拠 する規則)であった。その後、何度か FFA は修正され、1972 年の消費者製品安全委員会創設 後に FFA は同委員会が所管する法令となった。1975 年に同委員会で規制対象品目定義と可燃 性基準が規定され、連邦規則(16 CFR Part 1610)として公布された。  衣類に使われる生地(Textiles)の可燃性の特徴によって可燃クラス15を設定し、 可燃性の検査方法と装置、プロセスを詳細に定めた。危険な可燃レベル(クラス 3)の衣類生地の使用を禁じることを目的とする。  手袋(長さが 14 インチを超えないもの)や靴、帽子などは対象外である。 15 可燃クラスは1~3まである。クラス1と2は使用可能な生地、クラス 3 は使用が禁止される生地である。 http://www.access.gpo.gov/nara/cfr/waisidx_10/16cfr1610_10.html http://edocket.access.gpo.gov/cfr_2010/janqtr/16cfr1610.4.htm

(17)

 表面がフラットな生地(Plain surface textile fabric)で、1 ヤード四方(約 91 センチ四方)2.6 オンス(73.7 グラム)以上のものは、生地メーカーが CFR Part 1610 に基づき可燃性検査を独自に実施し、安全と判断していれば(検査保 証)、それ以上の連邦規則は適用されない。  アクリル、モダアクリル、ナイロン、オレフィン、ポリエステル、羊毛のうち単 一または 2 種以上を混合で使っている生地も、前述のように生地メーカーが検査 を実施、安全と判断していれば連邦規則対象外となる。  衣類メーカーは、前述のように独自に検査を実施した生地メーカーまたは繊維サ プライヤーから生地を買って使用する場合、自社で製品の可燃性検査を行う必要 はない。  生地メーカー、繊維サプライヤーは、連邦規則により規制対象外繊維に指定され た繊維を使用する場合、当該種類の繊維であることを保証する必要がある。対象 繊維であれば、衣類繊維可燃性基準を順守していることを示す保証書を発行する (検査保証)。保証書を発行するためには、衣類繊維可燃性基準の手順に従って 繊維ごとにきちんとした検査を自社で行い、検査記録を保存しておく必要がある。 (3)CPSIA に基づく特定品目に関する可燃性基準と表示義務 ⅰ)子供用衣類の第三者機関による検査および認定取得 子供用衣類に使われる生地の場合は、衣類繊維可燃性基準を満たしているかについて、 自社検査ではなく、第三者機関による検査と認定の取得が義務付けられる。 ⅱ)子供用スリープウェア 連邦規則 16 CFR Part 1615 と 1616 には、子供用スリープウエアの可燃性基準の詳細と 検査方法が記載されている。1615 と 1616 は、サイズによって一部の検査条件の寸法など が異なるだけで、検査方法や装置、記録などに関する内容は同じである。2010 年 11 月 17 日以降は、こうした一連の規則に基づき、第三者機関による検査と認定を受けること が義務付けられる。これまではメーカーまたは輸入業者による自主検査でよかったが、 今後は第三者機関によるサンプル検査と当該検査機関が発行する認定を取得する必要が ある。 検査条件および表示条件は詳細に定められており、以下は主要ポイントのみ。  繊維の可燃性検査について、生地メーカーおよびサプライヤーは衣類繊維可燃性 基準を順守しなくてはならない。  スリープウエアは、ダブダブではなく、体にフィットする(tight fitting)よう に着用するとの表示が求められる。フィットするように着用したスリープウエア に火がついた際に燃え広がりによる火傷を防ぐため、衣類メーカーは次の注意喚 起表示を衣類サイズとともに入れることが義務付けられる。 (例)「体にフィットするように着用すること、(本製品は)難燃性素材ではない」 (出典: 規則 16 CFR Part 1615.2)  スリープウエアの扱い注意事項の表示ラベルも必要である。表示には以下の事項 を入れること。製造業者または輸入業者は、規則に関する全ての記録を保存して おくことが求められる。  繊維の持つ難燃性を低下させる化学物質を使用しないように指示をいれる。  スリープウエアがリコールになった場合、製造業者が使った生地まですぐに 調べられるように生産ユニット番号をいれる。

(18)

Ⅱ.不正表示や表示違反の事例と処罰について

連邦取引委員会(FTC)では、前述の各法規制に従って表示内容の監視を行う。繊維や羊毛、 革製品などのラベル表示義務に関する法令に違反した場合、不正に競争をしているとみなさ れ、FTC 法(Federal Trade Commission Act)の下、不正と虚偽行為と判断される。

FTC は消費者や業界団体などからの情報に基づいて調査を行い、違反行為があると判断すれば 法的手続きに入る。消費者保護の観点からラベル表示に不正や虚偽があった場合も同様で、 違法行為があると判断した場合、FTC は製造業者や販売業者に訴状を出す。基本的には製品差 止命令(Injunction)が出され、違反行為ごとに最高 1 万 6000 ドルの課徴金支払いを求める こともある。訴状を受けた企業はこの分野専門の弁護士を雇い、FTC と協議に入るのが通常で あり、裁判を避けて和解することが多い。輸入品の場合は、米国での販売責任者が訴訟対象 となる。海外メーカーが直接 FTC から差止め命令を受けた例はない。 (1)製品ラベル表示に不正または虚偽があると判断された事例 原産国、繊維名、素材重量比率といった基本情報表示義務の不備などに加え、近年ではイン ターネット上のカタログに原産国表示がないケース、エコ関連表示内容に虚偽があると判断 されるケースが増えている。課徴金の規模は企業規模や販売額の大きさによって判断される。 会社名 判断内容 処罰 Zim Textile Corporation シーツと枕カバーに原産国、重 量比率、RN、企業名のラベル表 示欠落 販売差止め

WestPoint-Stevens Inc. シーツ、タオルに Pima 綿の重量

比率を虚偽表示 販売差止め、課徴金 36 万ドル

Wal-Mart Stores, Inc. インターネット上のカタログに

原産国表示欠落 販売差止め Burlington Coat Factory Warehouse Corp. インターネット上のカタログに 原産国表示欠落 販売差止め K Mart Corporation 輸入品男性シャツの重量比率の 誤表示 販売差止め、課徴金 13 万ドル (2)衣類取扱いラベル表示に不正または虚偽があると判断された事例 表示ラベルそのものがついてない製品は当然ながら違法であるが、表示されている取扱いの 指示内容に従うと問題があり、消費者に損失が生じたというケースにおいて消費者を偽った という理由から、課徴金が求められる。課徴金の規模は企業規模や販売額の大きさなどによ って判断される。 会社名 判断内容 処罰 Tanzara International, Inc. 扱い指示内容に納得できる根拠な し。指示に従うとレイヨン素材が大 幅に縮む問題発生。 販売差止め、課徴金 1 万ドル

Bonnie & Company Fashions, Inc. ドライクリーンの扱い指示内容に納 得できる根拠なし。ドライクリーン の工程で布地を傷つけるという注意 書きの欠落。 販売差止め、課徴金 1 万ドル

(19)

Zoran Ladicorbic Ltd. 扱いラベル表示が装着されてない。 販売差止め、課徴金 1 万 4000 ド ル

Laissez Faire, Inc. 扱い指示内容に納得できる根拠な し。指示に従うと脱色、または色落 ちによる布地へのダメージが発生。

販売差止め、課徴金 3 万ドル

Jones Apparel Group, Inc. 扱い指示内容に納得できる根拠な し。本来は手洗いするべきだが、ド ライクリーンのみとした表示指示に 従ってドライクリーンをすると、フ ロッキングのデザイン部分にダメー ジが起こり、色あせもする。 販売差止め、課徴金 30 万ドル Tommy Hilfiger U.S.A., Inc. 扱い指示内容に納得できる根拠な し。洗濯指示に従うと色落ちして布 地にダメージ発生。 販売差止め、課徴金 30 万ドル

Ⅲ.エコ表示

1.エコ関連マーケティング表示内容に関するガイドライン

エコ関連マーケティング内容に関するガイドライン(GUIDES FOR THE USE OF ENVIRONMENTAL MARKETING CLAIMS)は、通称グリーンガイドと言われ、FTC 法(15 U.S.C. §§ 41-58)に基 づく連邦規則(15 CRF Part260)として 1992 年に発行(その後、1996 年と 1998 年に改定) された。但し、連邦規則ではあるが FTC 法 18 条「不公平または虚偽とされる行為に対する行 政規則について」16に基づく行政法とは異なり、法的強制力はない。 グリーンガイドは、あらゆる製品やパッケージ、サービスなどに適用され、繊維および衣類 製品だけに適用されるものではない。natural とか eco-friendly、biodegradable といったエ コ用語を使った繊維や衣類製品はすでに米国市場に流通しており、グリーンガイドはそれら 製品に対する FTC の方針を理解する上で役立つ内容となっている。 a)エコ関連マーケティングの宣伝、表示文言についての原則的な決まり、 b)消費者が宣伝や表示文言について、どのような印象を持つか、そして、販売業者側に文 言に見合うだけの根拠があるかといった検証をどのように行うか、 c)消費者を欺かないように、その文言に実態が伴うようにするために販売業者は何をする べきか、などが解説されている。 FTC は 2010 年 10 月 6 日、グリーンガイド改定案17を発表。2010 年 12 月 10 日まで一般から意 見を募集し、その後、最終規則として改定する。改定案のポイントは以下の通り。  実 証 が 困 難 な 大 き な コ ン セ プ ト 「 環 境 に 優 し い 」 ( “environmentally friendly”または“eco-friendly”)の乱用は控える。  資格のない機関による「エコ認証」取得といった表現の利用を避ける。  製 品 が 「 土 に 分 解 す る 」 「 堆 肥 に な る 」 「 ~ を 含 ま な い 」 ( degradable, compostable, “free of” a particular substance)といった表現は、短期間 でそうなるという印象を消費者に強く与えるため、科学的根拠のない場合は虚偽 となる。

16 § 57a. Unfair or deceptive acts or practices rulemaking proceedings

(Sec. 18)

(20)

 再生材料や再生エネルギー“renewable materials”“renewable energy”という 文言は、消費者が誤解しないよう実態に沿った言葉を使うように注意する。 な お 、 同 ガ イ ド ラ イ ン で は 「 持 続 可 能 」 「 自 然 」 「 有 機 」 “sustainable,”“natural,”“organic”について言及していない。繊維やその他の農産物 に有機(Organic)を表示するには、農務省の National Organic Program18を利用することと している。

2.虚偽表示となるケース

グリーンガイドに法的強制力はないが、明らかに事実と違った表示が消費者を惑わすと判断 された場合、FTC は製造業者や販売業者に訴状を出す。最近では繊維や衣類でもエコイメージ を追求した宣伝が不正表示と判断されて FTC と和解する事例が増えている。

 Dyna-E International は、同社 Lightload ブランドのタオルが「土に分解する」 (biodegradable)と表示した。FTC は同タオルが比較的短期間に分解する科学的根拠 はないと判断し、販売差止めのため 3 回に渡り訴状を送付し、2009 年 8 月和解した。  FTC は、繊維の表示名称に「竹」(bamboo)と記載した企業 78 社に警告状を送付した と発表(2010 年 2 月 3 日)。実際には繊維はレイヨンであり竹ではなく、消費者を惑 わす懸念があると判断し、生産過程の一部に竹のセルロースが使われたとしても繊維 名称はレイヨンでなければならないが、竹と入れたい場合は「竹から生産されたレイ ヨン」“rayon made from bamboo”と記載してもよいとした。

同警告状を受けた企業には、米国大手小売業者の Amazon.com をはじめ、Barney’s New York、Bed Bath & Beyond、Bloomingdale’s、Costco Wholesale、 Land’s End、 Macy’s、 Target、 The Gap、Toys R’ Us、Wal-Mart などが含まれる。

FTC は 2009 年にも「竹繊維」(bamboo fiber)と表示してレイヨン製繊維製品を販売 していた複数の企業に訴状を送り、和解している。

(21)

Ⅳ.綿製品の表示

綿の種類の名称は多い。高級感や品質を示すため自社ブランドでも販売されている。ラベル には自社ブランド綿の重量比率を記載することが認められているが、誇張または虚偽と判断 されないように注意する必要がある。  綿の種類名称を表示しても構わないが、必ず綿(Cotton)と明記すること。綿の種類 名やブランド名は、同じ大きさの文字サイズとスタイルで記載すること。

例:"50% Pima Cotton, 50% Upland Cotton" "50% EGYPTIAN COTTON, 50% OTHER COTTON"  綿である限り、複数の種類を含んだ綿製品なら"100% Cotton"と表示してよい。 例:Pima 綿 35%を含んだ綿製品の場合の表示は"100% Cotton"だけでよい。または、

"100% Cotton (65% Pima Cotton)" "65% Pima Cotton, 35% Upland Cotton" "65% Pima Cotton, 35% Other Cotton"でもよい。

 自社ブランド綿を使う場合、消費者を惑わすような表示は避けること。

例:Pima 綿と Upland 綿の混合の Pimalux Towel というブランド名があったとする。この ブランド名は Pima を使っている印象を強く与えるため、表示が単に”100% Cotton"だ けでは消費者が 100%Pima 綿だと誤解する可能性ありと判断される。この場合は、 "Pimalux Towel - 50% Pima Cotton, 50% Upland Cotton"を使うこと。

 タオルメーカーは、タオル素地とループ状表面素地に違いがあっても 100% Cotton と表示してよく、両素材を併記することも可能である。

例:素地は普通の綿、ループ状表面が Pima 綿の場合、"100% Cotton, 100% Pima Cotton Loops" または "100% Cotton, Pima Cotton Loops"と記載する。この場合は、Pima 綿 だけの表示は不可。 以上 本報告書の利用についての注意・免責事項 本調査報告書は、日本貿易振興機構(ジェトロ)の各海外事務所を通じ委託調査を行い、貿易投資相談センターで取りまとめをした ものですが、本書の記述、所見、結論、および提言は必ずしも日本貿易振興機構(ジェトロ)の見解を反映したものではありません。 海外の制度・規制等は日々変化するため、最新の情報を確認する必要がある場合は、必ずご自身で最新情報をご確認ください。 ジェトロは、本報告書の記載内容に関して生じた直接的、間接的、派生的、特別の、付随的、あるいは懲罰的損害および利益の喪 失については、それが契約、不法行為、無過失責任、あるいはその他の原因に基づき生じたか否かにかかわらず、一切の責任を負 いません。これは、たとえ、ジェトロがかかる損害の可能性を知らされていても同様とします。

参照

関連したドキュメント

The followings were obtained : the compression has three characteristic stages , in the first and third of which linear approximations are valid, and in the second of which

12―1 法第 12 条において準用する定率法第 20 条の 3 及び令第 37 条において 準用する定率法施行令第 61 条の 2 の規定の適用については、定率法基本通達 20 の 3―1、20 の 3―2

一方で、自動車や航空機などの移動体(モービルテキスタイル)の伸びは今後も拡大すると

(1) 令第 7 条第 1 項に規定する書面は、「製造用原料品・輸出貨物製造用原 料品減免税明細書」

◎ペルー特恵税率が新たに適用され、それと同時に一般特恵 一般特恵( (GSP GSP) )税率 税率

41 の 2―1 法第 4l 条の 2 第 1 項に規定する「貨物管理者」とは、外国貨物又 は輸出しようとする貨物に関する入庫、保管、出庫その他の貨物の管理を自

造船に使用する原材料、半製品で、国内で生産されていないものについては輸入税を免除す

本資料は、宮城県に所在する税関官署で輸出通関又は輸入通関された貨物を、品目別・地域(国)別に、数量・金額等を集計して作成したもので