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長崎とドイツの高校生のヒトゲノムに関する意識比較

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(1)

長 崎大学教育学部紀要 一 教育科学 一 68 1‑10(20053月)

長崎 とドイツの高校生のヒ トゲノムに関する意識比較

上 薗 恒太郎 *

Co mpa r i s o no fCo ns c i o us ne s so fHi ghSc ho o lSt ude nt s wi t hr e ga r dt oHuma nGe ne si nNa ga s a kia ndGe r ma ny

Ko ht a r oKAMI ZONO *

長崎の高等学校 1年生は くヒ トゲノム)について65.5% (総反応語数比)が知 らない。 ドイツにおける調査 と比較する と, ドイツの高校生,大学生は知 ってい る割合が高 く (ドイツの高校生で80.3%), 日本 において この分野の知的基盤 を 整備する必要 がある。長崎の高校生 も,ゲノム研究室訪問によって68.8%がヒ ト ゲ ノムについて知 るようになった ことか ら,知 らせ ることが可能である とともに 重要である といえる。

Ⅰ.は じめに

連想調査 を使 ったヒ トゲノムに関する意識調査の一環 として,本論はConsciousnessof

"evolution"and"humangene"inGermanhighschoolstudentsl)として ドイツの高 校生 について書 いた論文 を背景に,長崎の高校生の ヒ トゲノムに関する意識 について論述

し,またヒ トゲノム研究室 を訪問 した長崎の高校生の意識 とも比較する。

(ヒ トゲノム)な どを刺激語 とした連想調査を筆者は, 日本 と ドイツにおいてそれぞれ 中規模都市の高校生 を対象におこなった。調査対象 とした学校は,それぞれ,職業系の学 校および大学進学を意識 した学校において調査 したものであ り,これを 日本な らびに ドイツ とい う表現 を使 いなが ら記述する2)。 いずれ も高等学校 1年生を対象 としたが, この段階 ではヒ トゲノムに関する学校での学習は行われていない。 ヒ トゲノムについて どれほ ど学 校で扱 うかは, ドイツの場合 も日本の場合 も,使 う教科書 によって異なる。 ドイツでは州 によってまた学校種 によって異な り, 日本は理科の種類,倫理の どの教科書を使 うかによっ て異なる。特 に倫理 においてヒ トゲノムに関する記述の差が見 られ る2)。高等学校 1年生 の段階では しか し,学校で教 える内容の相違 による意識の差ではな く,それぞれの社会で 流れているヒ トゲノム関係の情報が高校生の意識 に差 を生んでいる と考 え られる。

調査の対象は,先 に述べた ような,種類の異なる長崎の高等学校2校の 1年生計76名, ドイツの高校 1年生 に相当する学年の調査 も同 じ種類構成の2校で,被験者数は計60名で ある。調査時期は長崎が2004年7月, ドイツが2003年7月である。 ドイツの場合,州は異

*長崎大学教育学部

(2)

長崎大学教育学部 紀要 一 教育科学 一 68

なるがいずれ も旧西 ドイツに位置する高等学校である。

比較対照 として同じく高校生で,長崎大学のヒ トゲノム研究室を訪れた生徒の訪問後の 連想調査を加えて,学習による情報の差を見た。対象は長崎で調査 した高等学校の うちの 1校の38名である。大学生 も比較の対象 として加 えた。大学 は, ドイツの場合オスナブ リュック大学及びライプチヒ大学である。被験者数は計89名。調査はいずれ も2003年7月, 大学 2年生相当で (ドイツでは 9月入学,学年制ではない点で 日本の学生 とは異なる)教 育学を志 している学生である。 日本においては,長崎大学の教育学部の2年生を調査対象

とした。

これまでの調査か ら, ドイツにおいてヒ トゲノムに関 して知 っている者の割合が高いこ とは明 らかであった。知 らないことに対する簡単な解決は,知 らせればいい ところに帰着 する。知 らせ る差は,長崎大学のヒ トゲノム研究室で学んだ高校生を同 じ調査方法で調べ ることによって明 らかになった。また学校教育において学んだ成果 と,加齢による社会に 流れる情報吸収の差は,大学生の意識 に現れると考 えられる。

さらに本論では,ヒ トゲノムに関する意識の差が く進化)の意識 において も現れるかど うかを調べ,事柄 に関する知識だけではな く,考 え方 としての現れを見 ようとした。

Ⅱ ヒ トゲノムに関する長崎の高校生

Ⅱ‑1 長崎の高校生 と ドイツの高校生 との意識比較

2003年 に長崎を中心 とした九州の小中学校教員61名に対する刺激語 くゲノム)4)の調査 をおこなったが,教員が知 らなかった (総反応語数比で 《しらない》が32.6%,《知≫が

AssociationMap

高等学 校1年生 長 NodLJ・Versr。n303.Prova

F T

nl.dbyT FLB'kJ 200403

stJm

U l

qtoWord・ヒトゲノム,MeruGh

l .

cheGene.hurm rlPne D如 ・2004年7月

1

(3)

上薗 :長崎とドイツの高校生のヒトゲノムに関する意識比較

30.8%)。 そ こで, 日本の高校生 も知 らないだ ろ うと予想 された。 この予測は当た ってい た。図 1が (ヒ トゲ ノム) に関す る長崎の高校生の連想調査結果 である。

図 1左上 を見 る と,総語数比 に して65.5%が (ヒ トゲ ノム) について 《しらない≫ と判 断 され る反応語 を記述 している。反応語 の上位3語 が 「知 らない」 (被験者数比18.4%)

「わか らない

(15.8%)「無 回答

(14.6%)であ る。

「遺伝子」 (被験者数比11.8%)「人」 (9.2%)「人間」 (6.6%)な ど専 門知識 とは言 え ないにせ よ何 らか 《知》 っている と思われた反応語 は総語数比 に して23.8%であ った。

長崎の高校生 において示 された 日本の高校生の数値 を,ドイツの高校生,日本の大学生, ドイツの大学生等 と比べ る と次の表 1の ようにな る。

1

ヒトケY/ム■humaMensngchleicheGene ne エントロbit反応語種数 カテゴリ《しらない》1人あたり号五ロ。 総語数に占める割% 日本の高校生 5̲80 1.13 .65ー5 研究室訪問後の 日本の高校生 5.22 1.55 4̲0 ト●イツの高校生 6.44 2.13 1.7 日本の大学生 6.52 1.92 ll.4 ト●イツの大学生 7.08 2.49 0.5

長崎の高校生の 《しらない≫が総反応語数 に占め る割合65.5%は突 出 している (表 1右)0 これは長崎だけの特殊状況であ る とは思われない。 まだ習 っていないのだか ら知 らないの は当然 とも言 えるが,別の視点か ら見 る と,高校生が社会的な論議 か ら自然 にヒ トゲ ノム について知 るような情報 の流れが存在 しな い こ とを意味 してい る。習 っていな い点では ドイツの高校生 も同様 であ り,それに もかかわ らず ドイツの高校生は 日本の高校生や大学 生 よ りも知 っている。 ドイツの高校生で 《知≫の総語数比に占め る割合は80.3%であ り, 長崎の高校生では23.8%に止 まる。

これが研究室訪問に よらて 《知》が68.8%に高 くな る。機会 をつ くれば高校生は知識 を 吸収す る と言 える。

1人あた り反応語数 が長崎で少 ないのは, ヒ トゲ ノムについて知 らない こ と並びに連想 への集 中において 日本の方 がい くらか散漫であ るか らだ と考 え られ る。 日本の方 は,1人 あた りの反応語が少ない こ と,言葉の広が り具合 を示すエン トロピも小 さ くな る傾 向があ る。 ヒ トゲ ノム研究室訪問後の高校生のエン トロピが小 さめなのは,被験者数 が比較的少 ない点が影響 している と思われ る。

表2は,旧西 ドイツに位置す る,さ らに限定すれば ライン川 に沿 った地方の,種類の異 な る2つの高校生 に よる連想であ る。1人 1語の反応 は省略 して掲載 した。カテゴ リ 《知》

に属 す る反応語 が総反応語の80.3%に及ぶ点は 目を見張 る。《反省》 は, ヒ トゲ ノムにつ いて批判的な考 えを表 明す.るな ど,反省的思考 を表現 している と見なされ る言葉で 「禁止」

(3.3%)が表2の一番下 に出現 している。

表2を見 る と, ドイツの高校生 に どの ような情報 が伝 わ ってい るかがわか る。(ヒ トゲ ノム)は ドイツの高校生 に何 よ り 「遺伝」 (40.0%),具体的 には 「外見」(13.3%)に関 わ るこ とを思い起 こさせ る。 また 「クローン」技術研究 に対す る ドイツでの厳 しい規制,

(4)

長 崎大学 教育学部 紀要 一 教育科学 一 68

2 (ヒトゲノム) ドイツ高校生の反応語

「 DNA」

(

1 0. 0 %)

と関 わ る知識 ,

ドイツの高等 学 校1年生相 当 反応者数:60

反応語種数 :128 反応語総数:233

カテゴリ 反応語数 総語数比%

187 80.3

反省 13 5.6

しらない 4 1.7

29 12.4

カテゴリ 反応語 反応語数 被験者数比 Vererbung遺伝 24 40.0%

Klonenクローン 10 16.7% Aussehen外見 8 13.3%

DNA 6 10.0%

Krankheken病気 6 10.0%

しらない 無回答 4 6.7%

Chromosom染色体 4 6.7% Forschung研究 4 6.7% Genmanipulation遺伝子操作 4 6.7% Gentechnikゲノム技術 4 7% gross背の高い 4 6.7% klein背の低い 4 6.7% Wissenschaft科学 4 6.7% Versuche探求 3 5̲0%

Biologie生物学 3 5.0%

dickった 3 5.0%

duennやせた 3 ■5.0%

Genetik遺伝学 3 5.0%

Ohren 3 5.0%

Augen眼 2 3.3%

Augenfarben眼の色 2 3.3%

B山t 2 3.3%

DNS 2 3.3%

einzigartig唯 一 2 3.3%

Fortschritt進歩 2 3.3% Genforschungゲノム研究 2 3.3%

Haare髪 2 3%

kompliziert複雑な 2 3.3%

Labor験室 2 3%

Manipulation操作 2 3%

Medizin医学 2 3%

Mutter 2 3.3%

Nase 2 3.3%

Operation手術 2 3%

Unterschiede違い 2 3.3%

Vater 2 3%

vererbbar遺伝性の 2 3%

Vererben遺伝させる 2 3.3%

反省 Verbot禁止 2 3%

「病気

」 ( 1 0. 0 %)

への応用 な ど,被 験者数比

1 0 %

を超 える反応語 に限定 し て も多岐にわたる真撃 な情報 が流れて いるようすがわかる。「染色体」「遺伝 子操作」 (いずれ も

6 . 7 %)

に関連す る 反応語 を長崎で探す と

,

「遺伝子操作」

が1名いるに止 まる。

長崎の高校生は 「遺伝子

(ll.8%) (図 1右)を知 っているが, この分野 の知識 を挙げるよりも 「人」や 「人間」

に関わ るこ と,「科学

に関 わ るこ と と答 えるな ど,くヒ トゲ ノム) を知 る 者で も,漠 としたつなが りによって理 解 している。

Ⅱ‑ 2 長崎の高校 1年生 とヒ トゲ ノ ム研究室を訪問後の高校生の比較

図2はヒ トゲノム研究室を訪れて研 究の最前線 にふれた高校生の意識であ る。 ここでは 「遺伝子」 (被験者数比

4 4. 7 %)

が最多の反応語で,長崎大学 教育学部 の学生の最多反応語 (「遺伝 子」22.0%)と同 じであ る。知 ってい る知識は同 じであるが,割合は高校生 の方 が高い。

「DNA」( 3

1

. 6 %)

「クローン」

(13.2%)が上位 に出現す る点 も ドイ ツの高校生 と同様であ るが,専門的説 明を受けたのであ ろ う

,「 DNA」

は 研究室を訪れた長崎の高校生の方 が多 い。

DNA

がクローン よ りも上位 に位 置す るこの関係は, 日本の大学生及び ドイツの大学生の反応語の並び方 と同様である。言葉 として 「クローン」のほ うが社会的 に流れ る情報 か ら耳にする割合が高い ということであろう。

ヒ トゲ ノム研究の先端研究室 を訪問 した高校生 にあ っては,《しらない》は総反応語数 比で

4%

に減少す る。当該の反応語 「難 しい」 も,実はヒ トゲノム研究の難 しさを感 じた 可能性 があ るが,分類上 ,同一反応語 を同一 カテゴ リに分類 したために この結果 にな っ

た 。

研究室を訪れた高校生の 《知≫の総反応語に占める割合は一般の高校生 より多 く,68.8%

(5)

上薗 :長崎とドイツの高校生のヒトゲノムに関する意識比較

AssociationMap

高等学校 1年生長崎(ヒトケ'Jム研究室を肪れた高校生) ModuleVersIOn303.PrograrnrnedbyT FLilki200403 stimulateWord・ヒトゲノム.MenscHicheGene.hLqTlangene Date.2004年8

反応者赦:38名. 反応頂種致 59種 類. 反応情総数155倍、1人あたり反応揺棟 数:155

j(J・D

操作柑h .i

519fe;13300人UO7777555555532111

29la444433332222222lD.2

5

図 2

に及ぶ。

反応語 「長崎大学」 (7.9%)が登場するのは,訪れたゲノム研究室が長崎大学であった か らである。

Ⅲ 刺激語 (進化)に関する反応

Ⅲ‑ 1 長崎の高校生 と ドイツの高校生

く進化) について長崎の高校 1年生が知 らない とい うことはない。図3左上の ように

《しらない≫は0%である。

日本の高校生の特色は 「ポケモン」 (被験者数比の19.7%で反応語の第2位に出現)「デ ジモ

」 (3.9%)と連想が結びつ く点である。

長崎の高校生の場合 「ダーウィン」 (5.3%)は,「ポケモン」の著名 さにはるかに及ば ない。「人間」 (31.6%)が最多反応語である点は, ドイツの高校生 (53.3%)も長崎大学 坐 (44.9%)も変わ らない。 ドイツの大学生では 「発達」 (48.3%)が最多反応語で 「人 間」 (40.4%)は2位に位置 し 「ダーウィン」 (38.2%)は3位である。長崎大学生の場合 2位に 「サル」 (36.0%)が くる。次の3位に 「ダーウィン

(19.1%)が想起 されるが, 割合 としては ドイツの大学生 より少な く,半分である。

ドイツの高校生にはポケモンやデジモソは登場 しない.また 「ダーウィン」(3.3%)も, 日本の高校生 と同様に想起 されることは少ない (表3)0

(進化)に関する各種の数値を比べたい。表4で見るように,長崎の高校生はエン トロピ が6.22と, ドイツの高校生5.75と比べて比較的大 きい。 ドイツの高校生は, しかし長崎の

(6)

長崎大学教育学部紀要 一 教育科学 ‑ 68

AssociationMap

高 等学校 1年生 長

StJmULzlteWord・進 化 カテゴリ名 反応椅故 同%

& 129 52J

,Zl 118 473

しらない 0 00

反省 0 0.0

ModuleVerslOn303.ProqammOdbyT FLJlkj200403 DAtel2004年7

反応音数:78名, 反応博捜故 12171類, 反応指松虫 :245 反省

t ' R 車表占

[ 瑚 ヒ 」l 料 鞠. 1

=J.(.1.I(,.F.,X...;.iJ..I::.:::.:I::.LT.:........I.:.:.糊....I.;..(;,=1.qj1.,.;1.I..I:.I=.:.,;I:T.:..i..

2iSi;9195:616161

図3

高校生 と比較 して,1人あた りの反応語種数 が大 き く,カテゴ リ 《知≫の割合 も高い。す なわち各個人は,多 くの種類の言葉 を多 く思い起 こし, よ く知 っているが,全体 としてみ た場合の言葉の散 らば り具合は小さ くな っている。 これは, ドイツの高校生の想起する反 応語が 「人間」 (53.3%,表3)の ように同 じ言葉 に集 まるためである。長崎の高校生の 場合同 じ く 「人間」 (31.6%)が 1位である とはいえ,半数以上の者 が思い起 こしている 状況 と3分の 1に満たない者 が思い起 こしている状況 とは,言葉 の散 らば り具合 を示 す エン トロピに違 いが出る。 ドイツの高校生の場合2位の 「発達」 も,長崎の高校生の 1位 (31.6%)よりも36.7%で集中 している。 ドイツの高校生の反応語の集中傾 向 と,長崎の 高校生の ドイツに比べての言葉の拡散が,エン トロピにおいて,互いに異なる数値 になる 要因である。別言すれば,ポケモンな ど直接 には遷化概念を構成す る知識 と言 い難い言葉 が,(進化)全体の言葉の拡散 に影響 を及ぼ している。 ドイツの高校生の場合,知識 とし て習得 される言葉 に反応語が集約 されて,エン トロピが小 さ くなる。

反応語種数が ドイツの高校生で105種類 と,長崎の高校生121種類 に比べて少ないこと, 研究室訪問後の長崎の高校生の (進化) に関す る反応語種数 が63種類 に止 まるこ とは, エン トロピの大 きさに影響 を与 えている。

ヒ トゲノム研究室訪問後の長崎の高校生のエン トロピには,38名 とい う人数の少なさも 影響 しているが,基本的には, ドイツの高校生 と長崎の高校生の比較の場合 と同 じことが 言 える。すなわち,1人あた り反応語種数,1人あた り反応語数,《知≫ っている割合が 大 き く,く進化) について知 っているだけに言葉の多様性は少 な く, しか も反応語種数 が

(7)

上 蘭 :長 崎 と ドイ ツの高校 生 の ヒ トゲ ノム に関 す る意識 比較

3 (進化)の反応語 少ないために,エン トロピが5.39と,

ドイツの高等学校1年生相当 反応者数:60

反応語種数:105種類 反応語総数:232

カテゴリ 反応語数 総語数比%

162 69,8

53 22.8

しらない 12 5.2

反省 5 2,2

カテゴリ 反応語 反応語数 被験者数比 Menschen人間 32 53.3%

Entwicklung発達 22 36.7%

Tiere動物 4 23.3%

Affenサル 11 18.3%

しらない 無回答 10 16.7%

Dinosaurierデイノサウルス 8 13.3%

Geschichte歴史 5 8.3%

Fortschritt進歩 4 6.7% wasser 4 6.7%

Wek世界 4 6.7%

Fische 3 5.0%

Verbesserung改 良 3 5.0%

しらない ? 2 3.3%

Erde大地 2 3.3%

Erfindungen発 明 2 3.3%

Film映画 2 3.3%

Laender 2 3.3%

Technik技術 2 3.3%

Urknallビッグバン 2 3.3%

weiterbitdung継続教 育 2 3.3%

zeit時代 2 3.3%

Leben生命 2 3.3%

Darwinダーウィン 2 3.3%

Einzelle単細胞生物 ' 2 3.3%

Feuer 2 3.3%

lnsekten昆 虫 2 3.3%

angeZeit長い時間 2 3.3% Natur自然 2 3.3%

Pflanzen植物 2 3.3%

steinzeit石器時代 2 3.3% Veraenderung変化 2 3.3%

長崎の高校 1年生 と比較 して少ない。

研究室を訪れた高校生の 「ポケモン」

を見 ると5.3%の出現率で小さい。

この比較は しか し,高校生同士の話 である。

Ⅲ‑ 2 大学生を含めた比較

大学生になると高校生で見 られた傾 向以上 に 1人 あた り反応語種数 の多 さ,1人あた り反応語数の多 さ,何 よ り反応語種数の多 さ (長崎の大学生で 153語,ドイツの大学生で195語)によっ てエン トロピも大 きくなっている。

カテゴ リ ≪知》の総反応語に占める 割合でみて も, ドイツ と日本の差が浮 かび上がる。 ドイツの高校生 ・大学生 ともに,長崎の高校生 ・大学生 よりも

《知≫の占める割合が多い。 ヒ トゲノ ム研究室を訪れた高校生にあって も, 彼 らが生物学 を学 習 してい るゆ えに

《知》の割合が高 くなっていい という 事情にもかかわ らず, ドイツの高校 1 年生 よりも低い。研究室訪問後の高校 生に知識がない という事情ではなかろ うと考えると, 日本人が知識による言 葉であま り反応 しないのではないか と 解釈できる。

ドイツの大学生の場合表4に見 るよ うに 《知》の言葉 による反応が総反応語数の83.3%であ り,《他》 に分類 される言葉が反 応者数比12.3%である。 これに対 して長崎大学生q)場合 《他》に分類 される言葉が37.2と 3倍に達する。その内容は ドイツで 「生」が7.9%であるのに対 して, 日本の場合 「未来」

(反応者数比12.4%),「進む」 と 「科学」が10.1%で 1割を超 えている。「未来」や 「進

4 (進化)による各種反応

進 化 エントロピ1人あたり反応語種 1人あたり反応語数 カテゴリ《知》の割合 bit E) Pl 反応語数比 %

日本の高校生 6.22 1.59 3.22 47.3

研究室訪 問後の 日本の高校生 5.39 1.66 3.32 65.1

ドイツ高校生 5.75 1.75 87 69.8

日本の大学生 6.31 1.72 4.60 60.9

ドイツ大学生 6.37 2.19 5.38 83.3

(8)

8 長崎大学教育学部紀要 一 教育科学 一 68

む」は (進化)の大 きな方向性であ り,《知識》ではない,漠 とした進化概念の とらえ方 の表現であろう。

長崎の高校生の場合

,

「ポケモン」を除 くと 「生物」並びに 「動物」が13.2%であ り, 進化概念の立地する広範な概念の範囲を とらえているように見える。別言する と,何かそ

こに関わるような, という雰囲気で概念を把握 しているように思われる。

Ⅲ‑3 雰囲気の表現か

長崎の高校生の (進化)において

,

「ポケモン」を除 くと 《他≫に属する反応語で 「動 物

(13.2%)が 「生物

(13.2%)と並んで多かった ように,くヒ トゲノム) において も 長崎の高校 1年生で 《他》に属する反応語では 「動物」 (3.9%)が最 も多 く,ゲノム研究 室を訪れた高校生では 「生物」(23.7%)が一番多い.「動物」 と 「生物」の2つは く進化)

において も刺激語に強 く関連づけ られた言葉である。 これ らは,概念を規定するよりも, 何かしらこれについて とい うJL的傾向性によって漠 として雰囲気の ように包み込む概念把 握を しているのではないか と思わせる。漠 とした暖昧 さによって答 える傾向性は,知 らな いことを酸味にせ よ補おうとする心的動 きであるばか りではな く, 日本的 と言える心情の 動 きによる概念のつかまえ方ではないか と思わせる。

雰囲気による言葉のつかまえ方であるとすると,これは,以下の点を意味 しうる。1.ド イツの学生は概念を規定する言葉によって応 え,2.また,概念の結びつきに対する連想 への集中力が高い,それに比べて3.長崎の学生はむ しろ雰囲気 として位置づける,いわ

AssociationMap

高 等 学校1年生長崎(ヒトゲノム研究室 を肪 れ た高校 生 )

StlmUbtやWord進化 ModuleVers;on3.03.Programr71edbyT FuJiki200403 Date2004年8月

反応専政 38名, 反応桔棟数:63種 類. 反応措総数126臓、1人あたり反応陀種 政166

図4

3%468000007777Lr)LL'555Lr)5Lr)54211・l1l1

7074444433332222222225,2

"

(9)

上薗 :長崎 とドイツの高校生のヒ トゲノムに関する意識比較

ぼ情緒化 された言葉の使用を しているのではないか。 しか しこうした仮説の証 明は本論の 範囲を超 える。

Ⅳ おわ りに

刺激語 くヒ トゲノム)に関 して,予想 された ように,長崎の高等学校 1年生そ しておそ らく日本の高校生は,あま り知 らない。知 るために,学校教育における学習 と教科書構成 の課題が生 じるが,同 じく学習 していない ドイツの高校 1年生が比較的知 っている ところ か ら,社会の中にヒ トゲ ノムに関する情報が流れていない 日本の様子が うかがえる。学校 教育 において も,社会における情報の流れで も,ヒ トゲ ノムに関する情報 が ドイツ社会 よ りも少ない と判断 される点は,憂慮 される。学校教育 と社会 における情報の課題解決のた めに,ヒ トゲノム研究 と技術が社会の判断な らびに個人の判断を必要 とする時代を招来 し ている.のだか ら,生活の次元で考 える知的基盤q)形成を考 える時にき ている.

科学上の知識 に基づいて判断を要請 される事柄 について,漠 としてつかまえる 日本的な 概念把握 には情緒的な理解の よさはある として も,ゲノム研究 と技術が もた らす結果 に対 する判断のためには,思考 し判断するための概念のネ ッ トワークが高校生や大学生の思考 圏に形成 されるべ きであろう。 ヒ トゲ ノム研究に関わって今 日必要なのは,知識だけでは な く,知識 に基づいて判断する力である。その意味で理科の教科書 による知識教授 といっ た枠 を超 えた倫理 との連携,さらには社会的な判断を培 うために 日本の社会 における情報

と論議の流れが必要 とされている。

1)KohtaroKAMIZONO,Consciousnessof"evolution"and "hum angene"inGerman highschoolstudents,長崎大学教育学部紀要 一 教育科学 一 第66号,pp.15‑24, 2004年 3月。 また,科学研究費 「ヒ ト遺伝子解析時代の教育 に関す る基礎的研究」

(平成14‑15年度,課題番号14380108,基盤研究(ち)(2))の報告 「日独の ヒ トゲノ ムの意識 と道徳教育」,及び 「ヒ トゲノム時代における科学教育のあ り方 とその具体 化 に関す る基礎的研究」 (平成14‑15年度,研究課題番号14658071,基盤研究(B)(1) の報告 「進化 に関する ドイツ と長崎の意識比較 を もとに理科教育のあ り方 を考 える」

が本論文の背景 として存在する。なお本論は平成16年度大学高度化推進経費の支援 を 得た。

2)c f .

上薗恒太郎, ヒ トゲ ノム研究 と学校教育 知識 に基づ く道徳上の判断を育成す る ために,道徳教育方法研究第10巻,2005年3月,pp.20‑29

3)長崎の高等学校2校の 1年生は,長崎県立長崎水産高等学校水産増殖科 を中心に した 1年生36名,長崎県立猶興館高等学校の1年生40名である。 ドイツの高校 1年生相当 とい うのは , コブ レン ツのHauptschule, な らび にボン とケル ンの西 に位置 す る ラインバ ッハのギムナジウムそれぞれの高等学校 1年生にあたる学生である。被験者 数は60名。 うちハ ウプ トシ ュー レが17名,ギムナジウムが43名である。調査時期は長 崎が2004年7月, ドイツが2003年7月である。 ヒ トゲノム研究室を訪れた高校生は, 猶興館高等学校理数科の生徒で38名,長崎大学の新川研究室を訪れた。 したがって反 応語 に 「長崎大学」が出現 している。 ドイツの高校生について高校 1年生相当 とい う

(10)

10 長崎大学教育学部紀要 一 教育科学 一 68

表現を使 った りするりは,9月入学で 日本 とは半年のずれがあること,調査対象が第 9学年,第10学年,第11学年にまたがって年齢が 日本の ようにきれいに揃 っていない 点を考慮 したが,高校 1年生 と見な して差 し支 えない。

大学生は ドイツの場合,オスナブ リュック大学及び ライプチヒ大学で,それぞれ 旧西 ドイツ と旧東 ドイツの中都市か ら選んである。被験者数はオスナブ リュック大学 50名,ライプチヒ大学39名,計89名。調査はいずれ も2003年7月初旬。大学生は大学 2年生相当で (9月入学, ドイツでは学年制ではない点は 日本の学生 とは異なる)教 育学を志 している学生,長崎では教育学部の2年生である。

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)連想マ ップにおいて刺激語を く )で,反応語を 「 」で,反応語を分類 したカテゴ リを 《 ≫で示 した。連想マ ップについては以下の文献を参照 :糸山景大,藤木卓, 金崎良一,椿山健一,情報論的手法を用いた教科教育学の研究 と実践 (その1)一 教 科教育学研究のモデル化 と授業設計理論 ‑ ,平成7年度 日本教育大学協会研究集会 発表論文 +全体討議,平成7年10月,13‑16頁。糸山景大,藤木卓,金崎良一,椿山 健一,情報論的手法を用いた教科教育学の研究 と実践 (その2)‑ 授業 によ り獲得 された概念の連想調査 による表現 ‑ ,平成7年度 日本教育大学協会研究集会 発表 論文 +全体討議,平成7年10月,17‑20頁。上蘭恒太郎,連想調査による道徳授業評 価,道徳 と教育No.294.295,1997,47‑59頁。上薗恒太郎ほか,連想調査でおこな

う道徳授業評価の実例,道徳教育方法研究第3号,1997年12月,pp.66‑810

参照

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