1.ケースの狙い
1980 年代,ブランド企業は,その製造機能を切り離し,アウトソーシングの加速を求め,そ れに対応し,受託製造を専業とする企業がアメリカで台頭してきた。こうして,1990 年代以降,
EMS という受託製造は一つの産業として確立された。さらに,2000 年に入ると,台湾の受託製 造企業が急成長し,活躍が目立つようになっていった。
日本の場合では,受託製造を中心とする EMS 企業が存在する一方,商社も EMS 事業に積極 的に参入していた。しかし,最近 EMS を扱った研究はアメリカ系や台湾系 EMS 企業の事例が 多く,日本系 EMS 企業の事例研究が少ない。
本ケースでは,「多角化」という概念を援用し,同社の事業展開の経緯を考察する。それに基 づいて,商社は新規参入として,どのような方式で EMS ビジネスに進出したのかを明らかにす る。また,元々流通の役割を果たす商社は,製造機能を全く持たないにもかかわらず,なぜメー カーのように,受託製造を行えるのだろうかを分析する。加えて,今後 EMS 事業はどのような 方向へ展開していくのだろうかを検討する。
2.ケース討議のための設問
加賀電子はどのような事業を持っているのか? このいくつかの事業をどうやって,拡大し てきたのか?
EMS という受託製造はどのように成長してきのか? 加賀電子がどのように EMS ビジネ スに参入していたのか? その理由は何だろうか? また,なぜ中国で EMS 事業を展開し たのか?
加賀電子はなぜ EDMS へ転換し,最後自社ブランド製品を出したのか?
3.想定されるディスカッションポイント
多角化の分類を使って,加賀電子の多角化戦略を議論する。
バリューチェーンの概念を使って,加賀電子は EMS ビジネスに参入する理由およびアジ ア・中国に集中する理由を議論する。
EMS 企業の「ブランド・イメージ」を高める方法および今後 EMS 産業の発展方向を議論 する。
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日本電子部品・半導体商社の EMS 事業への展開
―加賀電子株式会社のケース―
徐 進