著者 鞠子 茂, 大野 裕紀, 鞠子 典子
出版者 法政大学多摩研究報告編集委員会
雑誌名 法政大学多摩研究報告
巻 34
ページ 17‑26
発行年 2019‑10‑30
URL http://doi.org/10.15002/00022522
1. はじめに
近年、科学技術の発展は社会を大きく変革しつつ ある。しかし、科学技術と社会との関係が深化する につれ、現代社会において多種多様な重要課題を生 み出している。その結果、倫理的・法的・社会的な 課題やリスクへの対処など、科学技術をどのように 管理するかが問われている。とりわけ、身近な科学 技術については、一人一人がその是非について問わ れ、判断しなければならない時代を迎えていること を認識しなければならない。
身近な科学技術の代表的なものは、再生医療や新 しい作物の作出に使われる「遺伝子を操作する技術」
であろう。遺伝子操作技術が生み出す問題は医療倫 理的な側面や自然環境との関係を踏まえてその是非 を議論しなければならない。それに関連して、日本 学術会議遺伝学分科会(2017)は「社会人の遺伝学 リテラシー及び大学と高校の生物学教育4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4について」と いうテーマで議論を行っており、次のような見解を 述べている。
『現代社会は遺伝学の知識を基盤とする情報で溢 れているが、生物学関連の専門教育を受けてい
ない人達がそれを理解するのは困難なのが現状 である。そのために、知識のある人とない人で、
判断や意見が大きく異なることも多い。科学的 な基盤の上に立ち共通の理解をもつ社会に向け て、社会人が遺伝学リテラシーをもつことの重 要性を訴え、その方策を考える必要がある。』
つまり、現代社会には遺伝学に関わる様々な社会 問題があり、一人一人がその是非について問われ、判 断しなければならない時代を迎えているのだから、後 期中等教育・高等教育課程において遺伝学リテラシ ーを身に着けることは重要だと、日本学術会議は主 張しているのである。バイオテクノロジー関連につ いていえば、倫理的、社会的、環境上の問題の討論 を高等学校と大学教育課程に含めるべきだとの考え 方が以前より強く支持されてきた(ダリル・メイサー、
1992)。しかし、日本の学校教育課程の現状を見ると 決してそのような要請に応えるものにはなっていない。
現行の高等学校学習指導要領「理科」を見ると、学 術会議の要求に応える内容にはなっていないことは 明白である。「第 1 節『総合理科』、(3)『人間と自然』、
ウ『科学技術の進歩と人間生活』」には、「最近の科 学技術の具体的な事例を取り上げ、科学技術が人間
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遺伝子組み換え技術に対する文系大学生の認識と 遺伝子リテラシー教育の重要性
鞠子 茂
1)・大野裕紀
1)・鞠子典子
2)Humanities Students’ Understanding of Genetic Modification Technology and Importance of Gene Literacy Education
Shigeru MARIKO, Hiroki OHNO and Noriko MARIKO
1)法政大学社会学部
2)大妻女子大学家政学部非常勤講師
生活に及ぼす影響や自然科学の役割については触れ るが、科学技術についての専門的な取り扱いは避け ること」と記されている。ついでに言えば、高等学 校学習指導要領解説において、専門的に取り扱わな い科学技術の代表例としてバイオテクノロジーと医 療技術を挙げている。指導要領にある「専門的な取4 4 4 4 4 り扱い4 4 4は避けること」の部分を文字通りの意味でと らえるなら、高校の教育課程は人間生活と科学技術 との間の表面的なかかわりについての理解にとどま る内容を教えることになる。しかし、現代社会が求 めている遺伝学リテラシー教育はその内容では不十 分である。たとえば、現代は高齢出産を控えた女性 が遺伝子検査を受検するかどうかを自分で意思決定 できる能力を備えておくべきであり、そのために遺 伝子検査の仕組みやリスクなどを正しく理解するだ けの遺伝学リテラシーを習得している必要がある。し かし、遺伝子操作技術と社会の関係を理解するため に必要な遺伝学リテラシー教育は現在の後期中等教 育課程では望めず、高等教育課程に委ねられること になる。
著者は法政大学社会学部に所属し、社会科学を専 攻する学生に教養としての「生命の科学」を教えて きた。この科目では、社会に送り出す文科系学生に 対してどのような遺伝学リテラシー教育を行えば彼 らの見識と能力を高められるのかに苦心してきた。授 業を通して気づいたことは、とりわけバイオテクノ ロジーに対する科学的理解が極めて浅く、関連する 身近な問題に対して無関心になっていること、ある いは関心があっても不適切な判断と行動をしている ことだった。その原因の一つは、遺伝学や分子生物 学の基礎知識が正しく身についていないことである。
例えば、遺伝子、DNA,ゲノムの違いの分かる学生は ほぼ皆無であった。筆者は現代社会で使われる専門 用語のうちとりわけ使用頻度が高いものをピックア ップして、丁寧な説明を心がけることにしている。も う一つは、バイオテクノロジー(とくに遺伝子組み 換え技術)に対する科学的な知識がないにもかかわ らず、一方的に悪いイメージを抱いている学生が多 いことである。現在の高校での生物学教育では、バ イオテクノロジーが人間生活に及ぼす影響を一方的 な見方でしか教えていない可能性が指摘できる。以
上のことから、高校の生物学教育の不備を矯正した 上で、学生を社会に送り出すことが筆者の任務だと 考えており、ある種の使命感を持って授業を行って きた。
遺伝子組み換え技術に関する情報は、憶測や先入 観に基づいたものではなく、科学的エビデンスに基 づいた信頼できる知識でなければならない。米国の 分子生物学者であるアラン・マクヒューゲン(2015)
は信頼に足る情報源は存在すると言っている。そも そも遺伝子組み換え作物・食品の安全性および環境 持続可能性は必然的に科学的なテーマであると断定 した上で、それらに対するリスクの評価は正当な教 育を受けた有資格者による科学的および医学的な専 門知識や技術によってなされるべきだとしている。正 当な教育を受けた有資格者とは科学的知識と技術を 併せ持った人間であり、それは研究所および高等教 育機関に身を置く研究者に他ならない。しかし、高 等教育機関である大学において、必ずしも信頼に足 る教育ができているわけではない。米国のサザンメ イン大学で英語学を教えているマイク・ベンジーラ
(2015)は、遺伝子組み換え先進国である米国におい てさえ、実際に行われている遺伝子組み換え技術に 対する授業は否定的な先入観を植え付ける内容のも のが多いことを指摘している。同様のことはわが国 の学校教育でも指摘されている。筑波大学遺伝子実 験センター長を務めた鎌田博教授(2010)は、内閣 府の調査をもとにして、高校での理系科目では中立 な立場で教育するのに対して、家庭科や社会科のよ うな文系科目では慎重または消極的な立場での教育 がなされていると指摘している。こうした学校教育 における偏向教育が遺伝子組み換え技術に対してネ ガティブな世論を再生産していると見るべきである。
この悪循環を断つには、技術立国の将来を担う次世 代に対する教育の見直しが必要である。
鎌田(2010)は遺伝子リテラシー(gene literacy)
に基づいて教科書とカリキュラムを刷新するべく、教 育研究者は必要な努力をすべきだとしている。そこ で、本研究では作物育種における従来の技術と遺伝 子組み換え技術を対比させた遺伝子リテラシー教育 を本学の文科系学生に対して試みることにより、よ り効果的な意識変革をもたらせるのかどうかを検討
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することとした。この目的を達成するために、本学 社会学部の開講科目である「生命の科学」において、
遺伝子リテラシーに基づく中立的な育種技術の比較 論を提示する講義とアンケートによる意識調査を組 み合わせた授業を実施した。この実践的教育により 遺伝子組み換え技術に対してネガティブな意識がど の程度ポジティブな意識に変わるのか議論したい。
2. 文科系大学生の遺伝子組み換え技術に対す る意識調査方法および科学リテラシー教育の 影響調査の方法
2.1 アンケート調査の目的
遺伝子組み換え技術に対する否定的な意識に対し て科学リテラシー教育によってどの程度変化しうる ものなのかどうかを確認することを目的として、著 者が担当する科目「生命の科学」において 30 分間の 講義と 9 個の質問からなる意識調査を実施した。実 施した講義内容は、従来の品種改良技術(交雑育種
法とガンマ線育種法)と遺伝子組み換え技術の特性 を比較する内容であった。これにより、講義の前後 で遺伝子組み換え技術に対する意識に変化がみられ るのかどうかを検討し、遺伝子組み換え技術に科学 リテラシー教育の影響について検討することとした。
2.2 回答者の属性
表 1 に回答者の属性を示す。文科系学生 381 名が 有効回答者数であった。そのうち、理科系の科目が 好きな学生の割合は 12%であった。
2.3 調査の方法
講義とアンケート調査は 2017 年 5 月 24 日に実施 した。意識調査の質問内容は表 2 の通りである。なお、
遺伝子組み換え技術に科学リテラシー教育の影響に ついて検討するために行った 30 分間の講義はQ8 と Q9 との間で行った。
表 1 回答者の属性
調査対象とした大学と学部 構成 有効回答者数 理科系の科目が好きな 学生の割合 法政大学社会学部・現代福祉学部 文科系学生・共学 381 12.0%
表 2 意識調査の質問項目
Q1 食料品を購入する際の最大の関心事項を 1 つだけ答えてください 13 個の選択肢から選択
Q2 現在「遺伝子組み換え食品」に対してどのようなイメージを持っていますか 5 段階の選択肢から選択
Q3 そのようなイメージを持つ要因になった最大の情報源を一つ答えてください 15 個の選択肢から選択
Q4 「遺伝子組み換え食品」に対して「怖い・悪い」イメージを持つと答えた人は、
そのイメージを持つようになった理由を 1 つだけ答えてください
8 個の選択肢から選択
Q5 「遺伝子組み換え食品」の情報に関して信頼性の最も高い情報発信源を一つ 答えてください
17 個の選択肢から選択
Q6 遺伝子組み換え食品は遺伝子組み換え技術により作られた作物を原料として いますが、あなたは遺伝子組み換え技術についてどの程度理解していますか
5 段階の選択肢から選択
Q7 遺伝子組み換え食品に関係する情報を必要としていますか 5 段階の選択肢から選択
Q8 遺伝子組み換え食品に関係する情報として最も必要だと思うものを答えてくだ さい
9 個の選択肢から選択(複数回答可)
Q9 遺伝子組み換え技術に関する講義を聞いてみて、遺伝子組み換え食品に対す るイメージは変わりましたか
5 段階の選択肢から選択
3. 意識調査の結果
図 1 食料品を購入する際の最大の関心事項 Q1 の回答結果:
図 2 遺伝子組み換え食品に対するイメージ Q2 の回答結果:
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図 3 遺伝子組み換え食品に対して悪いイメージを持つ要因になった最大の情報源 Q3 の回答結果:
図 4 遺伝子組み換え食品にして悪いイメージを持つと答えた理由 Q4 の回答結果:
図 5 遺伝子組み換え食品の情報に関して信頼性の最も高い情報源 Q5 の回答結果:
図 6 遺伝子組み換え技術をどの程度理解しているか Q6 の回答結果:
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図 7 遺伝子組み換え食品に関係する情報を必要としているか Q7 の回答結果:
図 8 遺伝子組み換え食品に関係する最も必要な情報 Q8 の回答結果:
4. 調査結果の分析
Q1 の結果は大学生が食品を購入する際には最も強 い関心を持つのは、食品の値段(6 割強)であると答 えている。それに対して、遺伝子組み換え食品であ るか否かで食品を選ぶと答えた学生は 1%に満たない ことも明らかとなった。99%学生は遺伝子組み換え 食品であるかどうかはほとんど気にかけておらず、む しろ食品の危険性(賞味期限や生産地)や栄養に関 心が強いことを示している。ほぼ 99%の学生が遺伝 子組み換え食品には無関心であることが分かった。理 由としては、家庭で料理を作る機会が少ない学生に とっては食品そのものに関心が低いのではないかと 考えられる。実際、幅広い年齢層で調査すると関心 度がずっと高くなることが報告されている(農林水 産先端技術振興センター、2006)。
Q2 の結果から、大学生が遺伝子組み換え食品に対 してネガティブなイメージを持っていることが分か る。幅広い年齢層でネガティブイメージが存在する ことは、これまでの多くのリサーチでも指摘されて いる(農林水産省、2005;農林水産先端技術振興セ ンター、2006)。必ずしも、「理系好き=高い科学リ テラシーを持つ」ということではないが、新しい技 術に対する肯定的な潜在意識は高いのではないかと
思われる。
Q3 では遺伝子組み換え食品に対するイメージを抱 くようになった情報源を質問しているが、圧倒的に 多いのは「遺伝子組み換え食品」という言葉のイメ ージであり、言葉のイメージ=遺伝子組み換え食品 のイメージが定着していることを示している。さら に、学校教育を通じて悪いイメージを持つに至った のは、テレビというメディアやインターネットであ ったことが分かった。
Q4 では遺伝子組み換え食品に対して悪いイメージ を抱くようになった理由を質問しているが、自然の ものではないからとか、情報が不足しているからな ど、あまり客観的な判断基準とは言えない項目を選 ぶ傾向があった。この傾向をもたらした背景として 情報源が何であるかが問題であるように思われる。
Q5 の質問では最も信頼のおける情報源は大学など の研究機関や農林水産省であるとしているが、テレ ビからの最も多くの情報を得ている学生にとっては、
研究機関や農林水産省のような情報源を身近に利用 しているとは考えにくい。その影響はQ6 の回答に如 実に表れている。遺伝子組み換え技術に対する理解 度が不足していると感じている学生は 6 割を超えて いた。遺伝子組み換え食品に対して悪い・怖いイメ ージを払しょくするには、科学的、客観的な情報源 図 9 遺伝子組み換え技術に関する講義を聴講したのちの遺伝子組み換え食品に対するイメージの変化 Q9 の回答結果:
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が重要かつ必要であると考えられた。
Q1 で食品選びの際にGM食品であるかどうかの意
識が極めて低いことが示されたが、Q7 で遺伝子組み 換え食品に関係する情報が必要かと問うと、5 割を超 える学生が必要としていると答えた。このことは学 生たちが必要であるはずの情報を適切に得られてお らず、結果的に関心が希薄になるという悪循環を示 しているのではないかと推察される。
では、関心を強めるためにはどのような情報が必 要であるか、Q8 はそのことを知るための質問であっ た。学生からの回答で圧倒的に多かったのは遺伝子 組み換え食品の安全性に関する科学的な知見であっ た。学生たちが遺伝子組み換え食品に対する関心を 高め、適切な食品選びをするためには、科学的な知 見を欲していることが明確に読み取れる。
最後のQ9 は学生が遺伝子組み換え技術に関する講
義を受けたのち、遺伝子組み換え食品に対するイメ ージに変化があったかどうかを問うたものである。
「どちらかと言えば変わった」と回答した学生が最も 多く、「大いに変わった」と回答した学生を含めると、
全体で約 77%であった。この結果から、遺伝子組み 換え技術と従来の育種法の違いを学ぶと良くも悪く も意識が変化することが明らかになった。
では、遺伝子組み換え食品に対するイメージに変 化が見られた学生はQ2 での回答内容とどの様な関係 にあるのか、それを検討した結果が表 3 に示されて いる。「どちらかと言えば怖い・悪いイメージ」と回 答した学生が最も多く変化しており約 5 割を示した。
一方、「良いイメージ」または「どちらかと言えば良 いイメージ」と回答した学生は 16%程度しかいなか った。これより、遺伝子組み換え食品に対するイメ
ージの変化の方向性は主としてネガティブなイメー ジを持つ学生がポジティブなイメージを持つように 変化したと推察される。この調査で学生に提供した 講義は、従来の技術と遺伝子組み換え技術の長所と 短所をパワーポイントで解説したものであり、でき るだけ憶測や偏りのない情報を提供できるよう準備 されたものであった。おそらく、これまでの遺伝子 組み換え食品の安全性に対する漠たる不安や疑念が 払しょくされ、客観的な評価ができるようになった ものと考えられる。憶測や偏りのない講義は、遺伝 子組み換え食品に対して「特に何のイメージも持っ ていない」と回答した学生(約 33%)にもポジティ ブイメージを持つような意識変化をもたらしたと推 察された。
5. おわりに
不足する科学リテラシーを養うためには、幼少期 から科学やサイエンスの分野を身近に感じることが 大切である。興味のない分野に関して人間は学ぼう としない。科学が身近なものとして認識されていれ ば、環境や生物、作物に対しても学ぼうとする意識 が生まれてくるのではないだろうか。同時に、指導 者である教員の科学リテラシーの向上も重要なポイ ントになるのではないだろうか。小学校教諭は初等 教育ということで、児童の科学リテラシーの形成に 大きくかかわってくる非常に重要な立場にいる。彼 らの教育によって科学リテラシーの根幹は築かれて いくのである。したがって、教える立場である教員、
小学校、そして中学校も含め、彼ら自身の科学リテ ラシーの向上が不可欠であるといえる。彼らにはま 表 3 講義後に Q9 で選んだ回答からイメージが変化した回答者数の割合
Q2 で選んだ回答 n=329
良いイメージ 7.3%
どちらかと言えばよいイメージ 9.1%
特に何のイメージも持っていない 32.5%
どちらかと言えば怖い・悪いイメージ 38.9%
怖い・悪いイメージ 12.2%
た、偏った立場で教育をするのではなく、遺伝子組 み換え技術に関しては肯定的、否定的、そのどちら の意見も教えることによって、生徒が考える力を養 うことにつながるのではないだろうか。本研究で示 したように、多くの学生が遺伝子組み換え作物・食 品に関しての情報源の 2 位は学校の先生である。身 近である教員の教え、考え方は大きく学生の思考に 影響を与えている。学校の教員である彼らには偏る ことなく、平等に教育をすることを期待したい。
他方、メディアや情報媒体もまた偏った報道、情 報を与えるのではなく、安全性がどのように検査さ れているのか、従来の方法はどのような技術なのか、
正しい知識を送ることが望まれる。現状では、市民 への遺伝子組み換え技術に関する情報の発信には偏 りが見られる。従来の技術と新しい技術との客観的 な比較をし、自らの判断でどちらかを選択するだけ の情報を提供することが最も重要である。本論文で 示したように、学生が遺伝子組み換え作物・食品の 情報源としてメディアからの情報が非常に大きいと 回答しているようにその影響力は大きい。自ら調べ 考えられない、それ自体も非常に問題ではあるが、大 きな影響力を持つメディア媒体を有効かつ正確に使 うことが出来れば遺伝子組み換え作物・食品に対す る考え方にも、また日本の食糧問題、品種改良など、
こうした問題を考える良いきっかけにもなるだろう。
本研究は遺伝子組み換え技術に関して言えば、従来 の技術と遺伝子組み換え技術を公平に享受すること により、バイアスが解かれることが明らかにした点
で、有意義な成果を示せたと考える。
参考文献
アラン・マクヒューゲン(2015)「1 章 遺伝子組み 換え作物は怖くない」、『誤解だらけの遺伝子組 み換え作物(小島正美編)』、pp.153-163.
鎌田博(2010)「遺伝子組み換え技術の国民的理解に 関する調査研究(概要)」、平成 20 年度 21 年度 科学技術振興調整費「重要政策課題への機動的 対応の推進」プログラム、p.35.
日本学術会議基礎生物委員会・統合生物学委員会・
合同遺伝分科会(2017)「社会人の遺伝学リテラ シー及び大学と高校の生物学教育について」日 本学術会議、pp.1-16.
農林水産省(2005)「第 4 回調査結果 遺伝子組み換 えに関するアンケート」、http://www.maff.go.jp/j/
syouan/johokan/risk_comm/r_anzen_monitor/h16_4.
html(閲覧日 2017 年 9 月 27 日).
農林水産先端技術産業振興センター(2006)「遺伝子 組み換え技術・農作物・食品についての意識調 査報告書」、農林水産先端技術産業振興センター、
p.47.
マイク・ベンジーラ(2016)「遺伝子組み換え作物を 知る」、『誤解だらけの遺伝子組み換え作物(小 島正美編)』、pp.200-210.
ダリル・メイサー(1992)「日本人は植物遺伝子工学 を受け入れている」、 植物細胞工学 4, 358-361.