平成23年度
吊橋『白鳥大橋』の唯我独尊的な維持管理(第1報)
- ケーブルバンドボルト軸力管理と
省電力に資する航路標識のLED化 -
国土交通省 北海道開発局 室蘭開発建設部 室蘭道路事務所 計画課 ○松島哲郎 同 室蘭道路事務所 工務課 河内義則 同 室蘭道路事務所 所長 葛西 聡 一般国道37号 白鳥大橋は、室蘭市に位置する橋長1,380mの長大橋である。本橋は国内で唯一、 積雪寒冷地に架設された吊橋であり、一般橋梁とは異なる維持管理が必要不可欠である。 それら多数ある唯我独尊的な維持管理手法のうち、平成23年度は予防的修繕の一環として、 ケーブルバンドボルト軸力計測、及び同ボルト増し締め工事を行った。それら計測結果、及び 増し締め工事から、供用後13年が経過した同ボルトの軸力低下状況、及び今後の軸力低下予測 などの知見を得た。本論文では、これら今後の維持管理に必要となる知見、及び本橋を取り巻 く状況などを報告するものである。 キーワード:白鳥大橋、ケーブルバンドボルト、軸力管理、航路標識、予防的修繕 1.はじめに 日本国内には様々な形式の橋梁が多数架設されている が、そのうち、延長15m以上の橋梁だけでも152,000橋が 存在1)する。それら無数に存在する橋梁の中でも、吊橋 (写真-12))という形式の橋梁は、日本国内には、表-13)に 示した16橋しか存在しない。 それら吊橋独自の維持管理手法は多岐にわたり、例え ば、点検を行う場合も、特殊な専用機器4)を用いなけれ ばならない場合も多い。しかし、それら点検などは局所 的な把握にとどまる場合が多く、部材の多さや複雑さ、 及び技術的な面などから橋梁全体の現況状況を把握する ことさえも困難な場合がある。 よって、それら数多くの部材に対して、きめ細やかな 予防的修繕5)を施すなど、地道な維持管理を積み重ね、 橋梁全体としての長寿命化を図らなければならない。 さらに、近年、公共事業に対してのコスト意識が向上 しており、現在のリソースを最大限に生かしつつ、プラ イオリティーを的確に判断し、必要最小限の投資で最大 限の効果を生む、様々なBMS(橋梁マネジメントシステ ム:Bridge Management System6))の活用が検討された。現在まで多くの研究者や技術者により、実務レベルで の提案7) 8) 9)などが多数なされているものの、残念なが ら、これらBMSは実用化に至らず10) 11) 12) 13) 吊橋に限ら ず一般橋梁含め、実務レベルでの長期に渡る維持管理、 及び修繕計画立案は困難を極めているのが現状である。 それら状況を踏まえ、本橋の供用開始から現在までの 13年の間に、城ヶ端ら14) 15)や、大島ら16) 17)、及び筆者 ら18) 19)が報告した、長寿命化に資する吊橋独自の維持 管理から得られた知見を醸成しつつ、今年度行ったケー ブルバンド増し締め工事から得られた新たな知見、及び 本橋を取り巻く昨今の状況などを報告するものである。 No 所在地 最大 支間長 橋長 (m) 供用 開始年 1 明石海峡大橋 兵庫県 1,991 3,911 1998 2 南備讃瀬戸大橋 香川県 1,100 1,723 1988 3 来島海峡第三大橋 愛媛県 1,030 1,570 1999 4 来島海峡第二大橋 愛媛県 1,020 1,515 1999 5 北備讃瀬戸大橋 香川県 990 1,611 1988 6 下津井瀬戸大橋 岡山県 940 1,447 1988 7 大鳴門橋 徳島県 876 1,629 1985 8 因島大橋 広島県 770 1,270 1983 9 安芸灘大橋 広島県 750 1,175 2000 広島県道路公社 10 白鳥大橋 北海道 720 1,380 1998 国土交通省 北海道開発局 11 関門橋 山口県 712 1,068 1973 西日本高速道路(株) 12 来島海峡第一大橋 愛媛県 600 960 1999 本州四国連絡高速道路(株) 13 レインボーブリッジ 東京都 570 798 1993 首都高速道路(株) 14 伯方・大島大橋 愛媛県 560 1,230 1988 本州四国連絡高速道路(株) 15 豊島大橋 広島県 540 903 2008 広島県 16 平戸大橋 長崎県 465 665 1977 長崎県 平成23年6月現在 橋梁名 道路管理者名 本州四国連絡高速道路(株) 写真-1 ライトアップされた吊橋『白鳥大橋』2) 表-1 日本国内に架設されている吊橋一覧3)
2.吊橋のケーブルバンドボルト軸力管理 (1) 吊橋のケーブルバンドとは 吊橋のケーブルバンドは、メインケーブルに設置され、 ハンガーロープを介して道路面を有する補剛桁を吊るた めの部材である(図-1、写真-2)。 これらケーブルバンドは、メインケーブルを両側から 挟み込む構造となっている。よって、それらケーブルバ ンドボルトに軸力を導入し、メインケーブルとケーブル バンドの間に摩擦を発生させ、一定の滑り抵抗力を確保 し、吊橋の機能を確保するものである。 (2) ケーブルバンドボルト軸力管理の必要性 これらケーブルバンドボルトの軸力は、時間の経過と ともに低下する。よって、計画的にケーブルバンドボル トの軸力を計測し、滑りに対する所要の安全率を確保で きるように管理を行っていく必要がある。 なお、本州四国連絡高速道路株式会社により定められ た要領20)などを参考としつつ、本橋独自に策定された 『バンドボルト,側塔上蓋ボルト軸力管理マニュアル 21)』に則り、導入軸力が70%まで低下した場合での滑り に対する安全率を、3.0以上確保することとしている。 (3) ケーブルバンドボルト軸力低下に起因する弊害 メインケーブルとケーブルバンド間の摩擦力が低下す ると、ケーブルバンド設置位置のずれや、変位が生じる、 所謂『バンドスリップ』が発生し、荷重伝達の均等性が 崩れると同時に、一部の部材への応力集中などが発生し、 吊橋として、強いては橋梁として不安定な状態に陥る。 さらに、本橋は側塔を境とし、側塔の前後でメインケ ーブルの張力に差異がある構造となっている。よって、 側塔部サドルの上蓋でメインケーブルを押さえ付け、摩 擦力を発生させる独特な構造が採用されている22)。従い、 側塔部サドルも同様にボルトの軸力が低下すると、前述 した同様の理由により、不安定な状態となってしまう。 (4) ケーブルバンドボルト軸力低下の原因 軸力低下の原因は諸説あり、本州四国連絡高速道路株 式会社らを中心とし、様々な調査検討23) 24) 25) 26)や、増 し締め工事報告27) 28) 29)などが行われている。しかし、 軸力低下の明確な原因や因果関係は未解明である。なお、 現在までに得られている知見30) を以下に示す。 9 鋼線の亜鉛めっき層のクリープ 9 締付けボルトのリラクセーション 9 応力増大によるケーブルの細り 9 ケーブルバンドの変形 9 荷重変動などによって生じる鋼線の再配列(図-2) 9 ケーブル内に入っているシージングテープの変形 9 ケーブルバンドとメインケーブルの温度差による伸縮 3.白鳥大橋における軸力管理 (1) 本橋でのケーブルバンドボルト軸力管理の経緯 本橋は、供用開始後13年が経過している。表-2は、過 年度にケーブルバンドボルト増し締め工事を行った年次 などを示している。建設時、及び供用開始後に増し締め 工事を行っており、今年度は『第5次締め付け』となる。 なお、供用開始後は、数年ごとに軸力計測を行ってお り、軸力低下状況の把握に努めている。 それら、軸力低下状況の経年変化を踏まえつつ、本年、 ケーブルバンドボルト、及び側塔部サドル上蓋ボルトの 全数について増し締め工事を行ったので報告する。 (2) 軸力管理を行う際に使用するケーブル検査車 軸力計測を行う際は、メインケーブル上を移動可能な ケーブル検査車(写真-3)を用いる。夜間に片側交互通行 規制を行い、クレーンでメインケーブル上にケーブル検 査車31)を架設し(写真-4)、移動しながら計測を行う。 なお、軸力計測はケーブル検査車に作業員4名が乗車 し、一連の作業を行う。よって、軸力計測は、一般車両 の通行規制は伴わず昼間に行うことが可能である。 メインケーブル ケーブルバンド ハンガーロープ 図-1 本橋のケーブルバンドの姿図 図-2 メインケーブル内の鋼線の再配列模式図 写真-2 本橋のケーブルバンド 写真-3 ケーブル検査車 写真-4 検査車架設状況 表-2 本橋のケーブルバンドボルト増し締め工事履歴 軸力 軸力 軸力 軸力 隙間が存在 ケーブル間に 空隙の減少やケーブルの再配列 ケーブル荷重などの変化により が発生し、ケーブル断面が変化 ケーブル断面 締め付け後の ボルトの締付け力により 微量ながらボルトが伸び 軸力が低下してしまう。 数年後 ハンガーロープ ケーブルバンドボルト メインケーブ ルΦ472 ケーブルバンド ハンガークランプ ハンドロープΦ37.5 側面図 ケーブルバンドボルト 断面図 備考 第1次 平成06年 ケーブルバンド架設時 第2次 平成06年 補剛桁架設前 第3次 平成08年 補剛桁架設後の死荷重増加時 第4次 平成11年 舗装敷設、供用後の活荷重増加時 第5次 平成23年 経時変化計測結果に基づき実施 建設中 供用後 軸力導入 (増し締め 実施年度)
(3) 平成11年度以後の軸力低下状況と考察 平成11年度に行った『第4次締め付け』の増し締め工 事施工日を0日とし、それ以後の軸力低下状況を年度別 に整理したものを、図-3に示す。 この計測結果から、微量ではあるが、日々、軸力が低 下していくことは明確である。これは、前述した理由だ けではなく、橋梁が架設されている場所の気象条件、通 行車両の振動、橋梁の形状など、様々な要因から影響を 受け、徐々に軸力が低下していくことが示されている。 なお、現在までの計測結果から、概ね、本橋は増し締 め後、約4,500日(約12年)を経過すると、所定の安全率 の確保21)が難しくなることが明らかとなった。 (4) 平成23年度軸力計測結果 今年度、増し締め工事を行う際に、ケーブルバンド全 箇所で、現時点での残存軸力を計測した。その結果を、 図-4に示す。軸力の設計値54.6tに対して、平均値が 43.2tとなり、概ね79%の残存率であった。 また、前述した通り、安全率3以上21)を確保するため の残存軸力、即ち、設計値の70%を下回っているケーブ ルバンドも数カ所存在していることが明らかとなった。 この状況を放置すると、時間の経過と共に、更なる軸 力低下が生じ、吊橋として不安定な状態に陥る可能性が 高かったことが伺える。 (5) 増し締め工事施工状況 これらの状況を踏まえ、今年度、全箇所のケーブルバ ンドボルト増し締め工事を行った。前述したケーブル検 査車に、白鳥大橋専用に作られた軸力測長器、及びボル トテンショナーを搬入し、残存軸力を確認しつつ、低下 した軸力の再導入、即ち増し締めを行った(写真-5,6,7)。 なお、今年度増し締めを行った後に軸力を再度計測し た値を、図-3に黄色でプロットしてある。『軸力管理マ ニュアル21)』に則り、設計値±10%の範囲内の精度で、 適切に増し締めが行なわれており、概ね、平成11年度に 行った『第4次締め付け』の軸力まで回復している。 (6) 今後に向けての課題 今後、同じような傾向で軸力が低下するかは明らかで はなく、不明な点も多い。よって、今後も、今までと同 様に、2〜3年に一度の頻度で、ケーブルバンドボルトの 軸力計測を行い、状況把握を行う必要がある。 なお、供用開始後から今日までと同様の傾向で軸力低 下が生じると仮定した場合、12年後の平成35年前後に、 再度、増し締め工事を行う必要性が高いことが示された。 また、軸力低下が著しい箇所を図-5に示す。主塔頂上 付近、及び側塔付近に位置するケーブルバンドボルトの 軸力低下量が多い傾向にある。これらの原因は、現時点 では明らかとなっていない。よって、原因追求のための 詳細な調査解析、及び維持管理コスト縮減に資する適切 な安全率の設定などの検討は、今後の課題としたい。 東側ケーブル 至陣屋 至祝津 1A 2P 3P 4P 5P 6A 西側ケーブル 至陣屋 至祝津 3 0 2 2 3 10 25 45 54 45 19 5 4 1 0 0 0 0 0 1 0 10 20 30 40 50 60 35~36 36~37 37~38 38~39 39~40 40~41 41~42 42~43 43~44 44~45 45~46 46~47 47~48 48~49 49~50 50~51 51~52 52~53 53~54 54~55 設計軸力 W=54.6t 計測箇所 N=219基 (基) 軸力(t) 設 計 値70% W = 38. 2t 設 計 値75% W = 41 .0 t y = ‐0.003x + 53.214 R² = 0.69 25t 30t 35t 40t 45t 50t 55t 60t 0日 500日 1,000日 1,500日 2,000日 2,500日 3,000日 3,500日 4,000日 4,500日 残存軸力 増締後軸力(平成23年度実施) 設計値 (54.6t) 設計値70%(安全率3を確保) 軸力低下予測 (平成11年度) (平成12年度) (平成13年度) (平成15年度) (平成20年度) (平成21年度) (平成23年度) (平成23年度) (軸力) (経過日数) 写真-5 本橋専用軸力測長機設置状況 写真-6 本橋専用機器での軸力計測状況 写真-7 ボルトテンショナー設置状況 図-3 平成11年度以後の軸力低下状況 図-4 平成23年度の残存軸力分布状況(増し締め前) 図-5 ケーブルバンドボルトの軸力低下が著しい箇所 ●軸力低下量が大きい(75%以下)バンド ●軸力低下量が少ない(85%以上)バンド
4.省電力に資する航路標識のLED化 (1) 入港船舶数からみる室蘭港の重要性 本橋が架設されている室蘭港は、残念ながら、平成20 年11月を最後にフェリーの入港は絶えてしまい32)、室蘭 市長を会長、登別市長·伊達市長·洞爺湖町長を副会長と した『室蘭港フェリー航路誘致促進期成会33)』を発足し、 航路再開に向けた様々な取り組みを行っているものの、 近年の入港船舶数は減少の一途を辿っている(図-6)。 しかし、それでもなお、平成22年度においては、年間 5,751隻もの船舶が出入りしている34)。 さらに、全道港別貿易額でみると、北海道内1位の苫 小牧港に逼迫し、道内2位の貿易額を誇り、全道の37.6% のシェアを占めている35)。室蘭港に続く、道内3位の釧 路港のシェアが4.7%であることからも、物流の拠点とし ての室蘭港の重要性が伺える(図-7)。 (2) 航路標識とは これら多くの船舶が来港する本港において、漁業施設 含め構造物を設ける際には、その施設の保安を図ると共 に、航路近くの暗礁や浅瀬なども含め、危険な障害物の 存在を知らせるために、夜間に灯光を発する『航路標 識』の設置が必要となる36)。 本橋は、海上保安庁の指導のもと、平成12年度に黄色 灯火の航路標識を、1Aアンカレイジに2基、2P側塔に1基、 3P,4Pの築島に各4基ずつ、合計11基が設置されている。 これらの航路標識の塗色·灯火の色·光り方(灯質)など は世界統一規格として定められており、本橋に設置され ている航路標識の告示要項書(抄録)を表-3に示す。 (3) 既設航路標識 本橋の供用開始時から設置されていた既設航路標識は、 (財)日本航路標識協会の許可標識用認定灯器36)で、白熱 電球式の広拡散角形灯ろう(ZL-200P型)である。 これは、球切れによる消灯事故を防ぐために、電球断 芯状態を監視しており、もし球切れが発生すると、制御 板にアラートが上がると同時に、予備の新しい電球に自 動的に切り替わり消灯事故を防ぐ、6球式の電球交換機 能を有している(写真-8)。 今まで特段の問題もなく運用してきた既設航路標識で あるが、平成22年度に電球交換機が損傷し、球切れが発 生しても電球が切り替わらない事象が発生した。よって、 電球交換機の修理、あるいは部品交換などを試みたが、 部品製造メーカーにおいても平成20年3月に販売供給終 了37)となっており、事実上、修理不可能な状態に陥った。 (4) 新たな航路標識の検討 これらの状況を踏まえ、新たな航路標識への交換検討 を行った。その際、航路標識のみならず、本橋に設置さ れている風速計38)や視程計、ケーブル送気39)、アンカレ イジ除湿40)など、様々な情報収集機器や情報提供装置な どの既存通信システムとの融合性、及びRAS(Reliability Availability Serviceability)にも配慮した。 また、イニシャルコスト縮減に資するよう、既存航路 標識の雲台や、分電盤、制御盤などの既存設備を最大限 活用し、更に室蘭道路事務所と接続されている既存通信 システムなども改修することなく航路標識を交換するこ とを必要条件とし、かつ、維持管理費縮減のため、省電 力に資するものとした。 図-6 室蘭港の入港船舶隻数の推移34) 苫小牧 6341億円 42.7% 室蘭 5593億円 37.6% 釧路 4.7% 小樽 2.5% 函館 3.1% 石狩 4.4% 稚内 0.5% 留萌 0.3% 苫小牧 室蘭 釧路 小樽 函館 石狩 稚内 留萌 紋別 網走 根室 十勝 千歳 札幌 図-7 平成22年度 全道港別貿易額シェア35) 写真-8 既設航路標識 (左写真:電球切替機) 表-3 本橋の航路標識告示要項書(抄録) 7,516 7,416 7,569 7,506 6,880 6,536 6,748 6,364 6,310 6,473 6,765 6,298 6,157 5,985 5,752 4,808 5,223 488 422 482 486 420 475 523 516 645 603 601 534 491 515 500 476 528 2,202 2,154 2,089 2,104 1,584 1,548 1,278 1,207 972 873 860 866 578 340 320 10,2069,992 10,140 10,096 8,884 8,559 8,549 8,087 7,927 7,9498,226 7,698 7,226 6,8406,572 5,284 5,751 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 フェリー 外航船 内航船 (隻) むろらんこうはくちょうおおはし 室蘭港白鳥大橋 橋梁灯(P五灯) 所 在 地 室蘭港白鳥大橋橋梁灯(C-灯)の北方約420メートル 42-21-22(22.0) 13(12.98) 140-57-02(02.0) 15(15.06) 灯 質 不動黄光 光 度 110カンデラ 5.5海里 7.0海里 明 弧 全度 高 さ 平均水面上から灯火まで 5.4メートル(5.44) 変更予 定年 月日 平成23年9月末 1.本灯は、橋脚基部の中央及び両端に各1個設置されている。 2.北海道開発局 室蘭開発建設部 室蘭道路事務所管理 ZL-LS160B型灯具(購入電力) NO.16,14,17,1034,1030,43 光 達 距 離 記 事 名 称 参 考 北 緯 東 経
(5) 省電力に資するLED航路標識の設置
これら検討結果、航路標識の灯ろうは、視認性の向上、 長寿命かつ省電力なLED(Light Emitting Diode)式のもの へ交換することとした(図-8、写真-9)。 また、交換部位は、灯ろう本体と、電源を供給する AC/DC変換器のみとし、既設雲台などには加工を施さず、 必要最小限のコストにおさえることができた。 なお、白熱電球式の航路標識は、前述した通り定期的 に電球を交換する必要があり維持管理コストが発生した。 しかし、光源をLED式にした場合、灯ろう本体が小型軽 量化されると同時に、断芯することがないため、維持管 理コストの低減が期待できる。 さらに、消費電力量は、白熱電球式151.8wから、LED 式41.8wと、微量ではあるが省電力化が達成できた。 これら検討結果を踏まえ、海上保安庁と協議、及び航 路標識に使用する機器の変更申請を行い、平成23年9月 下旬に現場の施工を行った(写真-10,11)。 5.おわりに 本橋が架設されている室蘭港は、来年度、開港140周 年を迎える41)。そのため、港湾管理者である室蘭市を中 心として様々な記念事業が予定されている。さらに、近 年、室蘭に立地している工場群や白鳥大橋を中心とした 『室蘭夜景2)』が脚光を浴びつつあり、日本全国を対象 として、様々な情報発信が行われている。 これら官民一体となった活動、及び情報発信に対し、 我々は道路管理者という立場を踏まえつつ、最大限協力 させていただき、相乗効果を生みたいと考えている。 また、本橋は、一般市民の方々42) 、地元自治体の技 術系職員43) 、胆振地域の観光ボランティア協議会の 方々、及び工学系の学生44)などをを対象とした見学会な どの啓蒙活動も行っており、それらの開催状況が新聞に 掲載45)されたと同時に、テレビの道内ニュースのなかで 放送され、本橋への関心の高さが伺える。なお、平成23 年度(平成23年4月1日から同年12月28日までの累計)は、 228名の方々が、本橋の見学に来訪いただいた。 さらに、見学会に訪れていただいた、日本工学院北海 道専門学校においては、それら見学会の様子をオフィシ ャルWebサイトに掲載46)していただいた事例などからも、 本橋が胆振地域に与えているインパクトの強さを改めて 感じている。 従い、本橋は、道路としてコモディティ化されるもの ではなく、胆振地域のシンボル的存在、即ち、地域の 方々の誇りと愛着の醸成などに貢献し、かつ、地域活性 化に資する高いポテンシャルを秘めている19)。よって、 今後も地域貢献に資する付加価値を持ち続け、胆振地域 の魅力度向上に寄与し続けられるよう、鋭意努力したい。 6.謝辞 本対策を検討、及び施工するにあたり、国土交通省 海上保安庁 第一管区海上保安本部 室蘭海上保安部、 (株)ドーコン 交通事業本部 構造部、日鉄トピーブリッ ジ(株)技術本部プロジェクト管理部、(株)ゼニライトブ イ札幌営業所、及び函館どつく(株)室蘭製作所に、ご尽 力いただいた。この場を借りて御礼申し上げる。 なお、函館どつく(株)室蘭製作所においては、本橋の 供用開始時から長きに渡り、本橋専用の特殊な維持管理 用設備などの点検、保守管理、及び橋体修繕工事などを 行っていただいていると同時に、本橋に愛着を抱いてい ただき、維持管理にご尽力いただいている。 さらに、写真-1247)に示すように、自社工場内の見学 会など、地域の教育機関などに対して広く門戸を開き、 胆振地域全体としてのリテラシー向上に資する啓蒙活動 を精力的に行っていただいている。 なお、室蘭市は平成14年に『ものづくりのマチ宣言 48)』を行った。これらのアイデンティティ向上に資する 啓蒙活動、広報広聴活動は、地域の豊かさの醸成には必 要不可欠である。しかし、これらの活動は、多大な労力 やコスト、及びきめ細やかな気配りなども必要である。 よって、これら誠意を持った広報広聴活動や、地道な 地域貢献などが、いつか必ず実を結ぶ日が訪れることを 期待し、重ねてお礼申し上げる次第であり、この場を借 りて深く感謝の意を表すものである。 図-8 航路標識の姿図と、LED式灯ろう 写真-9 LED式航路標識 写真-10 航路標識の交換作業状況 写真-11 LED式航路標識の点灯状況 2, 00 0 2, 44 8 AC/DC変 換器交 換 LED灯ろ う交 換 架台 設 置 雲台 再利 用 240 176 240 30 0 25 1
写真-12 地元園児を招いた新船の進水式の状況47) 参考文献 1) 国土交通省道路局:予防保全の推進「予防保全の取り組み」,2008. http://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/yobo1_1.pdf 2) 室蘭観光推進連絡会議:「むろらん夜景」Web サイト,2011. http://www.muro-kanko.com/yakei/index.html 3) 本州四国連絡高速道路株式会社:長大橋技術センター「長大橋ランキ ング」Web サイト,2011. http://www.jb-honshi.co.jp/center/job/rank.html 4) 本州四国連絡高速道路株式会社:本州四国連絡橋の保全技術「長大 橋の維持管理設備」Web サイト,2005. http://www.jb-honshi.co.jp/technology/maintenances.html 5) 国土交通省道路局:新たな道路行政マネジメント平成 15 年度道路行 政の業績計画書「橋梁延命化のイメージ」予防的修繕,2003. http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-perform/11.html 6) 玉越隆史・大久保雅憲・渡辺陽太:道路橋の計画的管理に関する調査 研究,国土技術政策総合研究所,国総研資料第 523 号,2009. http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn0523.htm 7) 坂井康人・荒川貴之・井上裕司・小林潔司:阪神高速道路橋梁マネジメ ントシステムの開発,土木学会情報利用技術シンポジウム論文集 Vol.17,pp.63-70,2008. http://psa2.kuciv.kyoto-u.ac.jp/lab/images/stories/users/kobayashi/papers/HEBMS.pdf 8) 和田圭仙・本間淳史:橋梁マネジメントシステムの現状と課題,文部科学 省学術フロンティア推進事業,都市・建築のストック再生を目的とした環 境共生技術の戦略的開発研究,研究発表講演会,pp.69-72,2006. http://home.kanto-gakuin.ac.jp/~kg068504/doc/12.pdf 9) 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http://www.mr.hkd.mlit.go.jp/houdou/h23/110902.pdf 45) 室蘭民報社:工学院生が室蘭・白鳥大橋見学、内部構造つぶさに,2011 年 10 月 26 日(水)朝刊,Web サイト,2011. http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2011/10/26/20111026m_04.html 46) 日本工学院北海道専門学校:キャンパス通信,白鳥大橋見学,2010. http://blog78.neec.ac.jp/archives/51035717.html 47) 学校法人 明星学園 清泉幼稚園:「清泉日記」Web サイト,2011. http://www16.plala.or.jp/seisens/ 48) 室蘭市企画財政部企画課高度情報推進:e ものづくりのマチ,2011. http://e-moco.net/index_f.html