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2008年度フレンドシップ事業「夢化学21」の実施報 告と今後の展望

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Academic year: 2021

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2008年度フレンドシップ事業「夢化学21」の実施報 告と今後の展望

著者 梶原 篤

雑誌名 教育実践総合センター研究紀要

巻 18

ページ 181‑185

発行年 2009‑03‑31

その他のタイトル Results and Discussion on  Friendship Education Program in the Field of Science Education at Nara University of Education in 2008

URL http://hdl.handle.net/10105/1032

(2)

1.はじめに

 「夢化学21」は、地域の小学生を対象に、大学の施 設・設備を利用し、日頃体験できないような実験を参 加者自らが身を持って経験することを通して小学生に 科学を学ぶ楽しさを知ってもらうとともに、科学に対 して興味や関心をより一層深めてもらうことを目的と している。また、受講生においては、本企画の準備・

運営を学生が主体となって行うことを通し、将来学級 運営の場で必要とされる教師の資質を高めていくこと も目的の一つとしている。さらに、授業時間内に限ら ず、休憩時間等を活用し、小学生と関わり合う時間を 設けるなど、小学生とコミュニケーションを図ること にも重点を置いた。本事業は、2回生の授業科目「総 合演習(夢化学−子どもとともに学ぶ理科教室を開こ う)」の受講生が中心となり、企画・運営を行った。

2.概要

主催:奈良教育大学

共催:日本化学会近畿支部、夢化学21実行委員会、化 学工学会関西支部、奈良県教育委員会、

奈良市教育委員会 対象学年:小学4・5・6年生 募集定員:100名程度

申込人数:115名

内容:小学生を対象とした理科実験・工作教室。

開催日時:2008年7月26日(土)9:30〜16:30 開催場所:奈良教育大学 化学第1実験室、

生物大実験室など 広報活動:

①奈良市の市報「奈良しみんだより」に掲載を依頼し た。

②昨年度の参加者へ手紙と案内状を郵送した。

③近隣の小学校へ伺い、案内状の配布をお願いした。

④奈良教育大学ホームページ内のフレンドシップ事業 紹介ページに案内状と同じ内容のものを掲載した。

3.当日までの流れ

 受講生が、4月10日の第一回目の授業から7月26日 の本番までの間、授業時間だけでなく授業の空き時間 や放課後等を利用して行ってきた作業の大まかな内容 を以下に示す。

2008年度フレンドシップ事業「夢化学2 1」の実施報告と今後の展望  

梶原篤

(奈良教育大学理科教育講座)

Results and Discussion on  Friendship   Education Program in the Field of Science Education  at Nara University of Education in 2008

Atsushi KAJIWARA

(Nara University of Education)

要旨:奈良教育大学では総合演習としてフレンドシップ事業「夢化学21」を単位化している。2008年度は、学校教員 養成課程の全コースに渡る学生が受講し、活動を行った。本年度も、例年通り4月から7月までの前期講義期間4 ヶ月 間を利用し準備を行い、近隣の小学生を対象に開催する理科教室を開催した。本稿では、2008年度の活動内容の報告、

活動実施後のアンケート結果の分析について述べ、この理科教室の目的である、「地域の小学生を対象に、大学の施 設・設備を利用し、日頃体験できないような実験を参加者自らが身を持って経験することを通して小学生に科学を学 ぶ楽しさを知ってもらうともに、科学に対して興味や関心をより一層深めてもらうこと」「受講生においては、本企 画の準備・運営を学生が主体となって行うことを通し、将来学級運営の場で必要とされる教師の資質を高めていくこ と」がどの程度達成できたのか、できなかったのかを検証する。

キーワード:フレンドシップ事業、夢化学21、総合演習、理科離れ、教材開発

(3)

【6月】近隣の小学校への案内状の配布

【7月】参加証郵送、名簿作成、テキスト作成     当日の動きの確認、リハーサル

4.実験内容

今年度の夢化学では、

 ・理科実験教室①「電池のしくみを知ろう!! −電

を作ろう」

 ・工作教室「スライムとスタンプを作ろう!!」

という3つの実験を行った。どの実験においても、子 どもたちがただ楽しいと感じるだけでなく、何か新し いことを学んでもらえるような説明をする工夫を行っ た。

概要 ねらい

担当者

①「PVA洗濯のり」って知っているかな?

自分たちの身の回りにあるものには面白い性質が あるということを楽しみながら知ることで、更に 他のものへの探究心につながってほしいと思い企 画した。そこで今回は、普段身近にある「洗濯の り」という一つのものを使って、まったく違う2 つの工作を行うことで、子どもたちに理科実験の 可能性を感じ取ってほしいと考えた。また、こう した身近にあるもので理科実験を行うことで、理 科とは学校の実験室の中だけで行うものではない ことを伝えられたらと考えた。 

大 久 保 木 村 高 橋 福 田 古 川 山 中

 (PVA:ポリビニルアルコール)

②スライムを作る

  ・実験手順を、教卓に用意した大きな水槽の中で 実際に作って見せながら説明する

③スタンプを作る

 ・ガスバーナーの使い方を説明する

 ・3㎝四方の発泡スチロールに洗濯のりで絵を描き、ガスバー ナーを使って周囲を溶かし、残った部分に絵の具をつけてス タンプを完成させる

・工作教室「スライムとスタンプを作ろう!!」(図3)

概要 ねらい

担当者

①線香花火の火花の元は何だろう?

線香花火の実験では、夏を代表する花火はどのよ うな材料でできているのか、また、炎色反応につ いて子どもたちに学んでもらう目的で企画した。

線香花火の火花のもとは、鉄が原因であるという ことをまず学んでもらい、実験後に身の周りにあ る金属などを用いて金属を炎の中に入れると、そ れぞれによって、異なる色が表れるということを 学んでもらい、花火の様々な色は炎色反応を用い たものであるということを学んでもらうねらいで 実施した

井 上 甲 斐 笹 谷 上 瀧 谷 口 西 川 山 本

 ・線香花火の材料をガスバーナーの炎に落とし、

  独特の火花の元を考える

②花火の色はどのように出しているのだろうか?

 ・線香花火の4つの材料から作った火薬と、その4つの材料に 更に塩化銅を加えて作った火薬の2つを実験に用い、児童に 2つの花火の違いに着目させ色の変化に気づかせる   ・実験後、色の変化は炎色反応が原因であることを説明し、カ

ルシウム、カリウム、銅、ストロンチウムの粉末をガスバー ナーの火に落とし、色の変化を見せ、炎色反応に触れさせる 具体的には、

  カルシウム…オレンジ色   カリウム…紫色   銅…青緑色

  ストロンチウム…赤色 の炎色反応が見ることができた。

・理科実験教室②「ひとなつの思ひ出 −線香花火を作ろう」(図2)

概要 ねらい

担当者

①身の回りの電池で動くものは何がある?

電池という身近な素材を用いたのは、電池は私た ちの生活の中で使う様々な機器を動かすために、

とても身近でなくてはならない文明の力といえる が、あまりに身近すぎて、その便利さや完成度の 高さを、強く意識することはないと思う。そこで、

電池のしくみや歴史を含め、学ぶことで、理科分 野のおもしろさに気づいてほしいという願いから、

この実験を選んだ

糸 井

末 吉

玉 井

直 島

萩 原

矢 内 原

山 根

②電池の中で何が起こっているの?

 ・電気を体感するために、

  乾電池25個(直列つなぎ)で感電してみよう

③電気はどうやって流れる?

 ・電子と電気の流れの実験を学生が前で行う

④実際に乾電池を触ってみよう

⑤電池を作って豆電球やムギ球が光るか実験しよう

⑥まとめ

 ・未来の電池紹介

 ・豆電球と乾電池を使ったワークシートをする

・理科実験教室①「電池のしくみを知ろう!! −電池の不思議発見−」(図1)

(4)

5.アンケート結果

■参加した児童や保護者からの感想

 児童から:大半の児童は、『楽しい工作や実験がで きて楽しかった』、『また参加したい』という感想が多 くでていた。今回は小学生だけの対象だったこともあ り小学6年生の児童からは、『来年から中学生だから参 加できなくて残念』という感想があった。また、『時 間が少なかった』や逆に『時間が長かった』という正 反対の意見も見られた。特に気になったのは、『良い という先生と、ダメという先生がいて、どっちを聞け ばいいか困った』という意見があった。

 保護者から:家庭や学校の授業ではできない実験を することができ、貴重な体験ができた。説明のときに もう少し大きな声で説明して欲しかった。移動の際や

休憩の時に、トイレの場所などの声かけが欲しかった。

中学生を対象にこのような機会を設けて欲しい。理科 実験は安全教育が重点である。という意見をいただい た。

■アンケートの分析

 児童たちや保護者の方の、『貴重な体験をすることが でき、楽しめた』という意見にあるように、全体的に 見て、好意的な感想が多く満足してもらえただろう。た だ単に楽しい実験や工作だけではなく、実験や工作を 通して新たに理解したという児童の意見もあり、児童 にとって充実した1日だったのではないかとうかがえる。

 保護者からの意見で、薬品を触った後などに手を洗 わないなど安全性に欠けていたので、実験中の安全性 だけではなく、実験以外の安全性についての確認など もしっかりしなければならないと改めさせられた。

図1 図2 図3

(5)

れるので、何回も模擬授業をする機会を設けられるよ うにあらかじめある程度の計画をもって進めることの 重要性を感じることができた。

 最も気になったのは、児童に対する指導が統一でき ていなかったということである。指導が統一されてい なければ児童は迷うし、ケガや事故につながり得る可 能性があるので注意しなければならない。そのために は、何度も授業の進め方や指導の方法など、よく打ち 合わせして統一しておく必要性がある。

6.反省と今後の課題

■実験内容の考察不足

 実験内容を決定し、実験ごとに受講生を振り分ける 段階までは、順調に進んでいた。しかし、実験はなか なか順調に行かず休日も学校に来て実験をして、やる からにはとことん実験し必ず成功させたいというとい う意気込みがあったのだが、授業構成を練ったり、テ キストの作成、学校訪問などにも時間を割かねばなら ず、その結果、本番直前まで、あるいは本番の休憩時 間中にまで実験内容の試行錯誤を行わなければならな くなってしまった。

■スタッフ間の連携不足

 スタッフ間での連携、あるいは、情報の共有がうま く出来ていなかった。全体をどのようにまとめるのか についての説明が不十分で、今何がどの程度進んでい るのかが一部にしか伝わっていなかった。その結果、

見落としややり残しがあとになってわかり、あわてる 事態を生んでいた。今年度は四月に受講生全員がメー リングリストに登録し、いつでも連絡を取れるように した。メール機能はよく活用されたのだが、データな どが添付できないため、案内状やアンケートのデータ が担当者以外は目にすることがなかったり、授業を休 むと当日決まったことがわからなかったりといったこ とがあった。

■反省点の改善策

 これらの反省点の多くに共通することは、スタッフ 間の連携・連絡不足である。この間題を改善するには、

報告・連絡・相談、つまり「報・連・相」を徹底する ことが必要となってくる。

 スタッフ間での「報・連・相」をうまく行うには、

定期的に全員参加のミーティングを開くことが確実で はあるが、全員集まれる時間を確保することは難しい。

そこで、情報を共有できるノートや、メーリングリス トなどをもっとうまく活用すれば、全員が集まれなく ても情報の共有は可能であっただろう。

「夢化学」を続けてほしいと考えている。その理由は、

多大な時間や労力を要する授業であったが、学べるこ との多さは他のどんな授業とも比べものにならないと 考えるからである。年々参加者数が増加している点か ら見ても、毎年この夢化学を楽しみにしてくれている 小・中学生がいることを忘れてはならない。また、夢 化学では大人数の小学生相手に授業ができるし、一か ら授業を組立て、実施し、反省する、この単純で難し いプロセスを少ないリスクで行える貴重な機会である。

このような経験を教育実習に行く前にできることで、

授業というものを直に感じることができるし、実際教 壇に立つ立場になった時に大いに役立つだろう。

2008年度受講生一覧

■教育・発達基礎コース

・木村 友香 (心理学専修)

・大久保 悠里 (幼年教育専修)

・高橋 花菜 (幼年教育専修)

・萩原 綾香 (幼年教育専修)

・福田 夏希 (幼年教育専修)

・山中 由利江 (幼年教育専修)

・直島 夢実 (特別支援教育専修)

・山根 友加 (特別支援教育専修)

■言語・社会コース

・笹谷 恵里菜 (国語教育専修)

・末吉 健康 (社会化教育専修)

・糸井 茂裕 (英語・国際理解教育専修)

■理数・生活科学コース

・井上 広大 (理科教育専修)

・上瀧 茉美 (理科教育専修)

・谷口 悠輝 (理科教育専修)

・西川 恵子 (理科教育専修)

■身体・表現コース 

・玉井 秀明 (音楽教育専修)

・甲斐 由里恵 (美術教育専修)

■上回生

・山本 浩大 (環境教育コース 自然誌専修 3回 生)

・古川 久美子 (教育・発達基礎コース 生活科教 育履修分野 4回生)

・矢内原 悠    (身体・表現コース 美術教育履修分 野 4回生)

(6)

謝辞

 この企画を行うにあたり、様々な場面で多くの方の お世話になりました。この稿をまとめるにあたり受講 生のひとりである西川恵子さんに協力をいただきまし た。記して感謝いたします。

7.考文献

1)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(1998) 平成9年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

2)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(1999) 平成10年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

3)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2000) 平成11年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

4)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2001) 平成12年度フレンドシップ事業報告書 奈良教育大学

5)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2002) 平成13年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

6)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2003) 平成14年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

7)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2004) 平成15年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

8)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2005) 平成16年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

9)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2006) 平成17年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

10)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2007) 平成18年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

11)奈良教育大学フレンドシップ事業運営委員会編

(2008) 平成19年度フレンドシップ事業報告書  奈良教育大学

参照

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