論 文
高齢者の自立支援のための介護予防施策の探究
介護保険制度における要支援認定者出現率の地域間格差を手がかりとして
北 島 泰 子
1. はじめに
日本人の平均寿命は2010年現在, 男性が79歳, 女性が86歳であり, 女性の平均寿命は世界第1 位となっている(1)。 2009年の総人口に占める高 齢人口 (65歳以上) の比率は 22.75%となり超高 齢社会に突入した(2)。 高齢人口が増加することに 伴い, 問題となるのが高齢者の介護問題である。
かつての日本では, 高齢者の介護は家庭内で, そ の家族によっておこなわれてきた。 また, 施設で の介護においても介護保険制度が導入される以前 は措置制度であり, サービスの供給は措置義務を 行使するという行政側の一方的な処理に委ねられ ていた。 要介護高齢者が増加する一方で, 少子高 齢化, 核家族化, 女性の社会進出などと社会が変 化し, 要介護者を支える家族の状況も変化した。
そのため高齢者の介護は社会全体で支え合う仕組 となり, 2000年 (平成12年) 4月に公的介護保 険制度が導入された。 この介護保険制度の理念に は, 「高齢者の自立支援」 が掲げられている(3)。 また, 介護保険制度の2005年改正では, 予防重 視型システムの確立が盛り込まれている(4)。 これ らは個々の高齢者が避けることのできない心身の 衰えをできる限り防ぎ共生しつつ, 尊厳を持って 生涯を送ることを意味している。 高齢者の心身に とってふさわしい状態を大川弥生氏は, ICF(In- ternational Classification of Functioning, Dis-
ability and Health:国際生活機能分類) の中心
概念である生活機能 (functioning) という言葉 を使い以下のように表現している。 高齢者の健康
とは 「単に病気・症状がないだけでなく, 生活機 能が高い水準にあること」 であるとし, 生活機能 の重要性を訴えている(5)。 生活機能とは 「医療モ デル」 と 「社会モデル」 に大別される。 そのうち の社会モデルでは, 「障害は個人に帰属するもの ではなく, 諸状態の集合体であり, その多くが社 会環境によって作り出されたものである」 と述べ ており, さらに 「この問題に取り組むには社会的 行動が求められ, 障害のある人の社会生活の全分 野への完全参加に必要な環境の変更を社会全体の 共同責任とする」 としている(6)。 この社会モデル は, 高齢者が尊厳を持って生涯を送るための重要 な概念となるだろう。
本稿の課題は, 高齢者が尊厳を持って生涯を送 るためにあるべき介護予防施策とはどのようなも のかを探求することである。 先に述べた社会モデ ルでは, 高齢者が社会生活の全分野に参加する機 会を常に自由に持つことが, 尊厳を持って生涯を 送ることにつながるとしていた。 それにはまず, 高齢者の身体が要介護状態になることを避けなく てはならない。 または, 要介護状態が重度化する ことを防ぐ必要が出てくる。 そして, 社会も責任 を持って, 高齢者が社会生活の全分野に参加する ことができるよう環境を変更しなくてはならない。
以上のことを実現できる介護予防施策とはどのよ うなものかを見出すことを課題とする。
本研究では, まず高齢者福祉施策の変遷を概観 する。 その折節の移り変わりで常に問題となって いることは要介護認定者数の増加とそれに伴う介 護費用の増加である。 この問題を解決する方法を 単純に考えると, 要介護状態に陥る高齢者が減少
すればよいということになる。 しかし, これを単 に介護費用に対する抑制策としてとらえるのでは なく奨励策となる点に目を向ける必要がある。 介 護予防をする, 要介護状態にならない, というこ とが介護保険制度の理念である 「高齢者の自立」
やICFの中心概念である生活機能の重視, とい うものに繋がるからである。 本研究によって, 効 果があり一般に普及する介護予防施策とは何かを 見つけ出すことができれば, 高齢者が重度要介護 状態になることを未然に防ぐことになるだろう。
そして社会参加が可能となった高齢者は尊厳を持っ て生涯を送ることができるのではないかと考える。
先行研究では, 要支援, 要介護認定者数の高齢 者に占める割合 (以下, 出現率) を地域間で比較 することにより, 当該地域の介護予防の普及状態 や, 高齢者の健康度について説明しているものが ある。 厚生労働省の介護保険事業報告では, 介護 保険制度の2005年改正以前から出現率の地域間 格差に言及している(7)。 池田省三氏は, 都道府県 別に比較した2001年の軽度要介護者の出現率に, 2.1倍の格差が生じていることについて, 介護保 険の認定申請率の差が原因であると述べている。
つまり介護保険サービスを積極的に利用しようと する地域とそうでない地域の差がここにでている といっている(8)。 また, 渡部月子氏らは, 都道府 県別に見た要介護者の出現率と, それに関連する 要因を分析している。 ここでは人口当たりで採用 されている保健師数が多い県では, 高齢者有業割 合が高まり, 要介護者の出現率や介護保険料を低 下させている可能性があると報告されている(9)。 一方, 要介護出現率の地域間格差の原因は多岐に わたると考えられる。 橋立博幸氏らの理学療法に 関する報告によると, 通所施設において理学療法 士が在籍している施設と在籍していない施設では 機能訓練頻度と自宅での習慣的運動に有意差があっ たと報告されている(10)。 専門の理学療法士が在 籍しているか否かによって要介護者の出現率に差 が生じ, 地域間格差につながると述べている。 ま た, 横塚美恵子氏らの高齢者の居住環境に関する 報告では(11), 高齢者が日常生活を送る家屋の種 類によっては介護予防につながるのだと述べてい
る。 日本家屋は地域によって色濃い特徴があるた め, 要介護者の出現率の地域間格差に関係してく るという考え方もできる。 一様に原因を特定する ことは困難であるが, 要支援, 要介護認定を受け た高齢者は, 程度の差はあれ何らかの要因で介護 が必要な状態に陥っているということになる。 そ うであれば要支援, 要介護者の出現率の地域間格 差から介護予防が普及している地域を導き出すと いう方法は可能性がないとはいえない。 よって本 研究では要支援, 要介護出現率の地域間比較によっ て介護予防が普及している地域を特定することが 可能かどうかを検証する。
続いて本研究では地域による要介護4, 5の出 現率の経年変化を観察する。 介護予防が普及して いる地域であれば, 要支援, 要介護の認定を受け たとしても, 要介護4, 5のような重度の要介護 者になることを防ぐことができるのではないかと 考えるからである。 しかしながら本研究が問題と するのは要支援, 要介護者の出現率の地域間によ る多寡ではない。 仮に軽度要介護者の出現率が高 いとしても, 介護サービスの利用によって重度の 要介護者となることを防ぐことができれば, 介護 予防は有益であるといえるだろう。 また, 介護予 防によって高齢者が社会生活の全分野への参加の 機会を有していれば, 高齢者が尊厳を持って生涯 を送ることを可能にしていると評価できる。 つま り, 問題の所在は生活の質を保つことができる介 護予防とはどのようなものであるかを探究するこ とであり, 本研究はその糸口を見つけ出すという 位置付けにある。
2. 高齢者福祉施策の変遷
介護保険制度導入までわが国では1955年 (昭和30年) ごろから高齢 者問題が意識され始めた(12)。 それは終戦直後の 結婚, 出産のブームが終わり, その後の出生率が 急速に低下したこと, 家族制度が廃止され, 子供 が親を扶養するという意識が減退してきたことな どが背景にあったからである。 1973年には老人 医療費の無料化が始まり, 病院はいわゆる社会的
入院の温床となり, 介護施設の不足や在宅福祉施 策の遅れを浮き彫りにした(13)。 そのため1983年 には病院に特例許可老人病棟が設けられ, 1986 年には医療機能を持つ介護施設として老人保健施 設が創設された。 また, 1989年には厚生省が在 宅介護対策や施設の緊急整備を目的にゴールドプ ランを制定したが, 介護需要が当初の予測を上回っ たため, 1994年には計画を全面改定した新ゴー ルドプランが策定された(14)。
介護保険制度の導入
高齢者の介護の問題を一部の限られた問題とし てとらえるのではなく, 高齢者を等しく社会の構 成員としてとらえながら, 社会全体で支えるとい う公的介護保険制度が2000年4月に社会保険制 度として導入された。 介護保険法は, 制度の目的 として要介護状態になった者が 「その有する能力 に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」
必要な介護サービスを提供することを規定し, 単 に介護を要する高齢者の身の回りの世話をすると いうことを超えて, 「高齢者の自立支援」 をその 理念として掲げている(15)。 行政側の一方的な措 置制度から利用者本位である介護保険制度へと社 会が変化した。
2005年の介護保険制度改正
2005年6月には, 介護保険法改正が行われた。
改正の基本的な視点は, 明るく活力ある超高齢社 会の構築, 制度の持続可能性, 社会保障の総合化 であり, 具体的には予防重視型システムの確立, 施設給付の見直し, 新たなサービス体系の確立, サービスの質の確保・向上, 負担の在り方・制度 運営の見直しが盛り込まれている(16)。 「新たなサー ビス体系の確立」 では, 認知症高齢者や独居高齢 者が増加していることに対し, 出来る限り住み慣 れた地域での生活が継続できるよう, 「地域密着 型サービス」 の創設や 「居住系サービス」 の充実 等のサービス体系の見直しを行い, 「地域包括支 援センター」 の設置等による 「地域包括ケア体制」
の整備を進めるとしている。 また, サービスの充 実が求められている 「中重度者に対する支援」 を
強化するとともに, 「医療と介護」 の連携の強化・
機能分担の明確化を図るとされている(17)。 予防重視型システムの確立
介護予防の意義
高齢者におとずれる廃用症候群(18)のような心 身の変化は誰にでも見られることであり, 生体の 老化現象を基盤にしてライフスタイルで大きく左 右される変化である。 厚生労働省の介護予防マニュ アル概要版では, 介護予防とは 「要介護状態の発 生をできる限り防ぐ (遅らせる) こと, そして要 介護状態にあってもその悪化をできる限り防ぐこ と」 と定義されており, さらには 「心身機能の改 善や環境調整などを通じて, 個々の高齢者の生活 行為 (活動レベル) や参加 (役割レベル) の向上 をもたらし, それによって一人ひとりの生きがい や自己実現のための取り組みを支援して, 生活の 質 (QOL) の向上をめざすものである」(19)とされ ている。 このことから介護予防が目指すものは, 第1に高齢者の身体ができるだけ活動可能な状態 にあることであり, さらに望むことは社会への帰 属であるということがうかがえる。 柴田博氏らに よると, 高齢者の活動能力とは, 精神的と肉体的 の能力の統合によって規定され, 低次の活動から 高次の活動までを含むものであるとし, Lawton の活動能力の体系では, 「生命維持」 は最も原始 的で単純な人間の能力であり, 「社会的役割」 は 最も高度で複雑な能力を示していると述べてい
る(20)。 Lawtonの能力の諸段階にしたがって, よ
り高次な活動が高齢者の生活の質を保つと仮定す れば, 身体的自立に介護が必要な状態となると, 続いて社会的役割やICFの中心概念である生活 機能の重視といったものが奪われることになる。
介護予防が目指すべきは, まずは高齢者の身体を できるだけ活動可能な状態に保つことであり, そ してICFのいう 「障害のある人の社会生活の全 分野への完全参加に必要な環境の変更」(21)なので はないだろうか。
3. 有用な介護予防方法の模索
要支援, 要介護認定者出現率の地域間格差 からの試み
要支援, 要介護認定者の出現率について, 地域 間の比較をした報告がある。 また都道府県別の集 計を使用し, 要支援者および要介護者の出現率を 比較して地域間格差があるという報告は, 介護保 険制度が導入された以降, 比較的早い時期からい われている。 2001年度介護保険事業報告をもと に比較をした研究では, 軽度要介護者の認定率が 高い県は, 鹿児島県, 長崎県, 沖縄県, 徳島県, 大分県, 福岡県で, 逆に低い県は茨城県, 山梨県, 栃木県, 千葉県, 埼玉県であり, どちらも九州と 関東に集中していると述べている(22)。 また, 2005 年の介護保険制度の見直時には, 厚生労働省の 2003年度の介護保険事業状況報告の集計を使用 して, 都道府県別の軽度要介護者である要支援, 要介護1の出現率には4〜10%の間で格差がある ということが報告されている。 それによると軽度 要介護者である要支援, 要介護1の出現率は, 茨 城県で3.75%と最も低く, 鹿児島県では9.96%で 最も高く, ここには約2.7倍の格差があり, 一方 で重度要介護者である要介護4, 5の出現率は, 最も低い埼玉県で2.86%, 最も高い秋田県で4.35
%であり, 全体的にどの都道府県も3〜4%程度 の出現率で大きな格差は生じていないと述べてい る(23)。
2005年の介護保険制度の見直しから, 介護認 定の区分が6段階から7段階に改正されたため 2003年と同じ比較はできないが, 2010年の要支 援1, 要支援2の出現率と, 要介護4, 要介護5の 出現率を2003年と比較してみる。 要支援1, 要支 援2の出現率が最も低い都道府県は茨城県の2.51
%であり, 2003年の時点でも茨城県は最も低く, 逆に最も高い都道府県の長崎県は7.22%であり, 2003年の時点でも長崎県は軽度要介護者の出現 率の高い方から3番目に位置している。 また, 2010年の茨城県と長崎県の出現率の間には約2.9 倍の格差がある。 一方, 2010年の要介護4, 要介
護5の出現率の最も低い都道府県は埼玉県の3.11
%で, 最も高い都道府県は秋田県の5.21%であり, 2003年時点でもこの両県は, 最低, 最高の出現 率をそれぞれ堅持している。 2010年の埼玉県と 秋田県の出現率の間には約1.7倍の格差がある。
以上の報告が述べているのは, 都道府県別の比較 による重度要介護者の出現率の地域間格差はさほ どないにもかかわらず, 軽度要介護者の出現率の 差は大きいということである。 確かに都道府県別 でみた出現率には地域間格差があるが, ここで挙 げられた茨城県, 鹿児島県にはそれぞれ43, 42 の保険者があり, 埼玉県においては61の保険者 が存在している。 このため都道府県全体を地域と 一言にいってしまった場合, そこには都市部や山 間部, 農村地域までが含まれ, 過疎地域や高齢化 率の高い地域もすべてが平均化されて比較された 数値であるということを考慮しなくてはならない。
茨城県は軽度要介護認定者の出現率が低いからそ こに含まれる市町村の軽度要介護認定者の出現率 も同じ割合で低いと解釈するのは間違っている。
実際に軽度要介護者の出現率が2003年, 2010年 の両年で最も低いといわれた茨城県内の要支援1, 2の出現率を保険者別に見てみると, 最も出現率 の低い守谷市の1.19%から最も高い大子町の4.73
%までは約4倍の差がある(24)。 また, 2010年で は軽度要介護出現率が最も高いといわれた長崎県 でも同様に保険者別の比較をしてみると, 要支援 1, 2の出現率が最も低い小値賀町の3.38%から最 も高い西海市の8.79%までは約2.6倍の差が生じ ている(25)。 地域包括ケアに取り組んでいる地域 である小鹿野町のある埼玉県では, 最も出現率が 低い和光市の0.71%から最も高い小川町の4.95%
までは約7倍の格差が生じている(26)。 以上は都 道府県別の比較による軽度要介護者の出現率の地 域間格差を上回る数値であり, 実際に同一都道府 県内で生じている格差である。 都道府県別の比較 による要支援, 要介護者の出現率の結果をもとに 地域包括ケアや介護予防活動を評価する材料とす るのは, 市町村の特徴が希薄化する可能性が高く 合理性に欠けるのではないだろうか。 なぜならば, 地域包括ケアや高齢者の介護予防活動を独自に行っ
ている地域とは都道府県単位の地域ではなく, む しろ二次医療圏や市町村単位の地域だからである。
要支援, 要介護高齢者の出現率の地域間格差か ら, 高齢者が尊厳を持って生涯を送ることを可能 とする介護予防の方法を見つけ出す糸口としよう としたが, 果たしてそれが妥当であるかを再度確 認してみたい。 一般的に高齢者が寝たきりになる と考えられている身体的要因には, 脳卒中後遺症, 骨折による運動機能の障害, 関節痛などがあ る(27)。 平成22年の国民生活基礎調査による 「介 護が必要となった主な原因」 では, 脳血管疾患, 心疾患, 悪性新生物, 呼吸器疾患, 関節疾患, 認 知症, パーキンソン病, 糖尿病, 視覚・聴覚障害, 骨折・転倒, 脊髄損傷, 高齢による衰弱, その他, 不明, 不詳の15の項目を挙げている。 介護保険 法で定められた介護認定を受けている10万人の 中で, 最も多数が原因としているのが脳血管疾
患で 21,485人となっている。 続いて認知症の
15,337人で, 高齢による衰弱の13,710人がその 後に続く。 以降, 関節疾患の10,891人, 骨折・
転倒の10,180人で, あとの項目は全て10,000人 以下である(28)。 以上に挙げた5つの原因で全体 の7割以上を占めている。 介護が必要となった主 な原因15項目中 「その他」, 「不明」, 「不詳」 の3 項目を除いた12項目をよく見ると, 「高齢による 衰弱」 以外は医師の確定診断によって決定される 疾患であるということに気づく。 「高齢による衰 弱」 とは疾患名ではない。 血液検査や画像診断等 を重ね下された確定診断ではないため, 身体の状 態をかなりの広義に解釈することができると考え る。 また年齢を重ねても衰弱しない高齢者も多数 いることを思えば, 加齢が衰弱の直接の原因であ るとは思えない。 要介護認定審査の時にも高齢者 の身体の状態を広義に解釈する部分が出てくるだ ろう。 その解釈の違いが要介護認定者の出現率の 地域間格差の一因となっているのではないだろう か。 それを裏付けるためには, 疾患やけがのある 高齢者がどれくらい地域に存在するのかを知る必 要がある。 平成22年の国民生活基礎調査では, 入院していない65歳以上の人で, 病気やけが等 で自覚症状のある人を有訴者として, 都道府県別
と20大都市別の有訴率を集計している。 人口 1,000人に対する有訴者の全国平均は471.1人で, 都道府県別の比較では, 最も少ない茨城県の 398.5人から最も多い広島県の527.4人の間の差 は1.32倍であった。 20大都市においては, 最も 少ない浜松市の432.1人から最も多い広島市の 554.8人の間の差は1.28倍であった(29)。 また, 65 歳以上の人で病気やけがで病院や診療所に通って いる人を通院者として, 都道府県別と20大都市 別の通院率の集計をしている。 人口1,000人に対 する通院者の全国平均は679.4人で, 都道府県別 の比較では, 最も少ない沖縄県の618.7人から最 も多い広島県の711.3人の間の差は1.15倍で, 20 大都市においては, 最も少ない京都市の660.0人 から最も多い広島市の731.9人の間の差は1.12倍 であった(30)。 この結果から, 都道府県単位と大 都市部のみの数値ではあるが, 病気やけがを患っ ている人は, 各地域にほぼ平均して存在するとい うことがいえるのではないだろうか。 以上のこと から考えると, 介護が必要な状態となる原因の多 くが疾患とするならば, 都道府県別の比較による 2010年の軽度要介護者の出現率が, 茨城県と長 崎県の間で3倍近い格差が生じるというのは, 他 に何らかの要因があると考えるのが妥当であり, 要支援, 要介護高齢者の出現率の地域間格差から 高齢者が尊厳を持って生涯を送ることを可能とす る介護予防の方法を見つけ出そうとする試みは, 非理論的と言わざるを得ないだろう。
重度要介護者の出現率の推移からの試み 介護予防が効果的に機能しているかを評価する 方法として, 重度要介護者の出現率の推移を観察 する。 当該地域で重度要介護者の出現率の経年的 変化を観察し, 出現率の低下が見られれば何かが 高齢者が重度要介状態に陥るのを防いでいると考 えられるからである。 ここでは地域包括ケアを取 り入れている地域と, 取り入れていない地域につ いて観察する。
1) 埼玉県小鹿野町
小鹿野町は, 埼玉県北西部に位置しており, 広
大な山岳地域を抱えている地域である。 平成17 年10月1日の合併により, 県内の町村では面積 が171.45km2と最も広い町域を有する町となっ ている。 高齢化率は平成22年で29.53%(31)であ り, 埼玉県内では5番目に高齢化率が高い地域で ある。 小鹿野町では, 町立小鹿野町中央病院を核 として地域包括ケアシステムの構築に取り組んで いる。 住み慣れた地域で, いつまでも健康であり 続けることを最大の目標として, 保健, 医療, 介 護, 予防, 生活支援サービスが切れ目なく, 一体 的に提供される体制を作り, 有機的な連携を図っ ている(32)。 小鹿野町の地域包括医療ケアシステ ムへの取り組みは平成4年ごろから始まり, 当初 は保健師を中心にして地域の中での予防活動や訪 問活動を展開してきた。 平成14年にはリハビリ テーション科の開設, 通所・訪問リハビリテーショ ンサービスを開始し, 予防からリハビリテーショ ンまで一貫した支援が提供できる地域包括システ ムを立ち上げた。 平成16年には 「包括ケア会議」
が始まる。
町立小鹿野町中央病院では退院支援に重きを置 いており, 入院時から退院について考え, 病院, 自宅, 施設など地域のどこにいても安心して隙間 なく継続した医療, 看護を受けられるように連携 している(33)。 連携の一例として, 病院の管理栄 養士と保健福祉課の健康運動指導士が, 相互に情 報交換を行い食事と運動の両面から生活習慣病対
策を行っている。 生活習慣病の予防は, 将来介護 が必要な状態となる原因である疾患に罹患するの を防ぐことができる。 管理栄養士と健康運動指導 士, 病院と行政が日ごろから情報交換することで, 医療, 栄養, 運動の三位一体のケアが実現しやす くなっている(34)。 また, メディコトリムという 事業を主催している。 これは医師による診療, 健 康診断, 参加者の体力測定から個人の運動処方が 作成されるというものである。 参加者はその処方 に基づいて講義を受け, トレーニングを行う。 医 療, 栄養, 運動面でのサポートを受けながら各自 の目標達成にむけて取り組むというシステムであ る(35)。 病院側と保健福祉課のスタッフでカンファ レンスが開かれ, 参加者の状況を確認している。
図1は小鹿野町の65歳以上人口に対する要介 護4, 5の出現率を合計した数値である。 数値を みると, 平成18年4月の時点では3.95%であり, 平成23年10月では4.55%となっており0.6%の 増加がみられる。 しかし, 図2の65歳以上人口 の推移をみてみると, 最も65歳以上人口が増加 した平成21年4月は, 平成18年4月と比較する
と3.12%の増加がみられる。 それにもかかわらず,
要介護4, 5の出現率を同年で比較すると0.23%
の増加にとどまっている。 また, 図3, 図4の小 鹿野町における要支援, 要介護認定者の構成比を, 平成18年4月と平成23年10月で比較するとわ ずかだが, 要介護4,5の比率が低下している。 65
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の65歳以上人口に対する認定者 数を表している。
図1 小鹿野町の要介護4, 5出現率の合計 図2 小鹿野町の65歳以上人口の推移
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改 H18.4
H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4 H23.10
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 6.00
要介護4,5の合計 人
3,750 3,800 3,850 3,900 3,950 4,000 (%)
H18.4 H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4 H23.10
歳以上人口の増加や, 後期高齢者の増加を加味す ると全体として重度要介護者の出現率が低下して いると考えられる。
2) 大分県姫島村
姫島村は, 瀬戸内海西端の離島で, 国東半島の 伊美港より北へ6kmの地点にある。 東西7km, 南北4km, 総面積6.87km2という東西に長い島 で, 中央に矢筈山266.6mがそびえ, 西に達磨山 105m, 北に城山62mがてい立し, その中に村 落がかたまっている。 四面を海に囲まれて水産資 源に富む地形である(36)。 姫島村の高齢化率は, 平成22年で36.82%であり, 人口は2,449人であ る(37)。 村の介護予防の活動として 「姫島村あっ かたなむらづくり事業」 の一例を紹介する。 大分 県立看護大学が主催し, 村民の65歳以上の人40 名に健康日記調査を行っている。 1カ月間加速度 計と健康日記をつけてもらい, その間に体力測定 会も実施される。 体力測定と健康日記調査の結果 から, 住民にもう少し運動量を増やした方がいい という情報が得られ, 「区長さん歩こう会」 が結 成された。 日常生活の延長で運動を取り入れられ るように, 現在65歳以上の人が若いころにデー トスポットだった道を健康ウォーキングコースと して使用している(38)。 この活動は外部からの依 頼で始まったものではあるが, その活動に村民が 参加していること, 調査結果が確実に村民にフィー
ドバックされていること, フィードバックされた 内容から新たな村独自の活動が展開されているこ とに特徴があり, 前述の小鹿野町のような病院が 核となって介護予防を行う型とは違った介護予防 方法が展開されている。
図5の姫島村の65歳以上人口に対する要介護 4, 5の出現率を合計した数値を見ると, 平成18 年4月の時点では3.82%であり, 平成23年10月 の時点では3.33%となっており, 重度要介護者の 出現率は低下している。 一方, 図6の姫島村の 65歳以上人口の推移をみてみると, 平成18年4 月から平成23年10月の間では右肩上がりに増加 している。 65歳以上人口の伸びがあるにもかか わらず, 要介護4, 5の出現率が低下していると いう事は, 重度要介護者に移行することを防いで いるという解釈ができる。 図7, 図8の姫島村に おける要支援, 要介護認定者の構成比を見てみる と, 平成18年4月と平成23年10月の比較から は明らかに要介護4, 5の比率が低下していると いうことがわかる。 65歳以上人口の増加がある 中, 姫島村は重度要介護者に認定される高齢者が 減少している。 姫島村は古くから地域包括ケアが 行われている地域である。 1991年に, 全国で最 初の高齢者生活福祉センターを診療所に隣接して 建設しており, この施設が24時間体制で日常生 活の介護, 援助, 食事の提供等を行っていた(39)。
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
図3 小鹿野町の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成18年4月)
図4 小鹿野町の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成23年10月)
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
H18.4 H23.10
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
3) 高知県大川村
大川村は, 高知県の最北端, 県都高知市の真北 に位置し, 北は愛媛県に接している。 周囲を
1,000m以上の山々に囲まれ, 急峻で平坦地が極
めて少ない山村である。
平成20年8月1日現在の村の人口は249世帯 527人で, 離島を除くと全国で最も人口が少ない 村となっている(40)。 高齢化率は44.28%である(41)。 図9の65歳以上人口に対する要介護4, 5の出現 率を合計した数値を見ると, 平成18年4月の時 点では2.90%であり, 平成23年4月の時点では 9.00%となっており, 重度要介護者の出現率は 6.1%増加している。 また, 図10の65歳以上人
口の推移をみてみると, 平成18年4月の241人 から平成23年4月の211人では, 0.88%の人口 減少がある。 図11, 図12の要支援, 要介護認定 者の構成比を見てみると, 平成18年4月では, 要介護4,5の認定者の占める割合が26.92%であっ たのに, 65歳以上人口が減少している平成23年 4月では, 要介護4, 5の認定者の占める割合が 38.00%にまで上昇している。 このことから要介 護認定を受けた高齢者の介護度の重度化への移行 が起きていると考えられる。
4) 福島県下郷町
下郷町は, 福島県南会津群にある町で, 町の中
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での高齢化率は同地域の65歳以上人口に対する認定 者数を表している。
図5 姫島村の要介護4, 5出現率の合計 図6 姫島村の65歳以上人口の推移
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改 H18.4
H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4 H23.10
0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00
要介護4,5の合計 人
740 760 780 800 820 840 860 (%)
H18.4 H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4 H23.10
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
図7 姫島村の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成18年4月)
図8 姫島村の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成23年10月)
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
H18.4 H23.10
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
央を阿賀川が流れている(42)。 総人口は7,053人 で(43), 高齢化率は37.15%である(44)。 図13の65 歳以上人口に対する要介護4, 5の出現率を合計 した数値を見ると, 平成18年4月の時点では 3.86%であり, 平成23年4月の時点では6.95%
となっており, 重度要介護者の出現率は3.09%増 加している。 また, 図14の65歳以上人口の推移 をみてみると, 平成18年4月の2487人から平成 23年4月の2,403人では, 0.97%の人口減少があ る。 65歳以上人口の減少があるにも関わらず要 介護4, 5の出現率が上昇しているということは, 重度要介護者に移行する高齢者が年々増加してい るといえる。 図15, 図16の要支援, 要介護認定 者の構成比を見てみると, 平成18年4月では,
要介護4,5の認定者の占める割合が31.48%であっ たのに, 平成23年4月では37.95%にまで上昇し ている。 65歳以上人口のうち後期高齢者が増加 していると考えられるが, 重度要介護者へと移行 することを予防できていないと解釈できる。
平均在院日数からの試み
厚生労働省が発表した二次医療圏における療養 病床の平均在院日数を, 地域包括ケアを取り入れ ている地域とそうでない地域とで比較してみる。
療養病床は社会的入院の温床といわれることがあ り, また介護を受ける高齢者にとっては不適切な 環境であるため, 無意味な長期入院が高齢者の身 体能力を低下させることがあるからである(45)。
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での高齢化率は同地域の65歳以上人口に対する認定 者数を表している。
図9 大川村の要介護4, 5出現率の合計 図10 大川村の65歳以上人口の推移
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改 H18.4
H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00 10.00
要介護4,5の合計 人
190 200 210 220 230 240 250 (%)
H18.4 H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
図11 大川村の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成18年4月)
図12 姫島村の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成23年4月)
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
H18.4 H23.4
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
平成22年の療養病床の平均在院日数は185.72日 となっている。 先に挙げた小鹿野町の所属する埼 玉県の秩父は85.5日で全国平均を優に下回って いる。 また, 姫島村の所属する大分県の東部では 127.5日でこれも全国平均と比較して58.22日少 なくなっている。 その他に地域包括ケアを取り入 れている地域が属している二次医療圏をあげると, 岩手県の両磐で98.4日, 長野県の佐久で96.5日, 諏訪で91.0日, 松本で89.3日, 広島県の尾三で 176.3日, 長崎県の長崎で96.2日である。 一方で, 保険者別に平成18年4月と平成23年4月の要介 護4, 5の出現率を比較し, 増加の多い地域から 順に二次医療圏の平均在院日数を調査した。 高知
県大川村の所属する中央の療養病床の平均在院日
数は228.9日であり全国平均を上回っている。 そ
の他に北海道月形町 (要介護4,5の出現率は3.67
%増加) の南空知は270.7日, 北海道音威子府村 (要介護4, 5の出現率は3.23%増加) の上川北部 は287.5日, 奈良県黒滝村 (要介護4, 5の出現率 は2.93%増加) の南和は281.2日であった(46)。 地 域包括ケアを取り入れている地域のほとんどで平 均在院日数は100日にも満たず, また多いとして も全国平均よりも下回っている。 地域包括ケアを 取り入れている地域では, 適材適所での介護を展 開していると解釈することができるのではないだ ろうか。
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での高齢化率は同地域の65歳以上人口に対する認定 者数を表している。
図13 下郷町の要介護4, 5出現率の合計 図14 下郷町の65歳以上人口の推移
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改 H18.4
H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4
0.00 2.00 4.00 6.00 8.00
要介護4,5の合計 人
H18.4 H19.4 H20.4 H21.4 H22.4 H23.4 H23.10
2,300 2,350 2,400 2,450 2,500 (%)
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
図15 下郷町の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成18年4月)
図16 下郷村の要支援, 要介護認定者の構成比 (平成23年4月)
・厚生労働省 「介護保険事業状況報告」 より筆者改
・各期間での出現率は同地域の全認定者数に対する 認定者数で表している。
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
H18.4 H23.4
要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
4.
おわりに本稿は, 高齢者が生活の質を保ち尊厳を持って 生涯を送ることとは何かをLawtonの能力の諸 段階やICFの社会的モデルから導き出し, それ を前提に高齢者の介護予防はどうあるべきかを課 題とした。 過去の研究で報告されている軽度要介 護者の出現率の地域間格差に着目し, 都道府県別 に要介護者の出現率の地域間格差を調査すること によって出現率の偏在を分析してきた。 しかし介 護保険の保険者は市町村であるため, 都道府県別 の比較では市町村の特徴が希薄化するということ が明らかになった。 次に保険者別による比較を試 みたが, 都道府県別に比較したときよりも同一の 都道府県内における保険者別の軽度要介護者の出 現率の格差が大きい都道府県があった。 その要因 を探るべく高齢者が介護の必要な状態となった主 因を調査した結果, 確定診断の出来る疾患以外の 理由がその要因の上位に位置していた。 このこと から介護認定そのものに裁量の余地があるという ことを否定できず, そのため要支援, 要介護者の 出現率の比較は, 正確な地域間比較を困難にして いるという結論を得た。 しかし, 従来から地域間 での格差があまりないといわれていた重度要介護 者の出現率からは, 同一地域での経年変化を観察 することで, その地域にどれだけ介護予防が浸透 しているかを評価する材料となりえることがわかっ た。 それは, 地域包括ケアを取り入れている姫島 村と小鹿野町, そして取り入れていない大川村と 下郷町の要介護4, 5の出現率の経年変化を観察 した結果, 地域包括ケアを取り入れていない地域 では, 要介護者の介護度が重度化しており, また 療養病床の平均在院日数が長期化していた。 一方, 地域包括ケアを取り入れている地域では, 65歳 以上人口が増加してもその増加率に届かない割合 で出現率が増加するという程度であり, また療養 病床の平均在院日数も少ないため, 地域包括ケア が介護予防に貢献しているということが示唆され た。
大口達也氏は, 地域包括ケアでは, 地域を 「面」
として捉える単純な統計データではなく, 地域を
「点の集合」 としてとらえることができる個別デー タの集積が必要となる(47)と述べている。 要支援, 要介護出現率の数値に執着せず, 地域包括ケアを 積極的に取り入れている地域における介護予防活 動を調査, 分析することの方が, より高齢者にふ さわしい介護の在り方を見出すことができるので はないかと考える。 介護予防を普及させるには, 介護保険制度の範疇を超えて, 地域の特徴や医療, 介護の資源を活かして多種多様に生み出される独 自の介護予防活動が必要となる。 残念ながら高齢 者の生活の質を保つための介護予防施策は何か, ということを本研究から特定することはできなかっ た。 しかし要介護出現率の地域間格差を糸口とし て調査をしたことで, 本論である高齢者が尊厳を 持って生涯を送ることを可能にする環境の変更を 成しえている地域がしぼられた。 そして社会の責 任として高齢者の介護予防に取り組んでいる地域 を調査することが, 高齢者の生活の質を保つため の介護とは何かを明らかにする重要な鍵であると いうことが明確になった。 そこに本研究の価値が あると判断できる。
(1) 総務省統計研修所 「世界の統計2011」 総務省 統計局, 2011年, 6364ページ。
(2) 総務省統計局, 2010年 「人口推計 (平成21年 10月1日現在) 全国:年齢 (各歳), 男女別 人口・都道府県:年齢 (5歳階級), 男女別人 口 」 http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Li st.do?lid (2011年6月21日閲覧)
(3) 介護保険法 (平成9年12月17日・法律第123 号 改正 平成9年5月9日・法律第48号/6 月24日・法律第103号 平成12年1月1日施 行 /12月17日・法律第125号/平成10年6月 17日・法律第109号) 第1章 (目的) 第1条よ り。
(4) 厚生労働省老健局総務課 「介護保険制度改革の 概要 介護保険法改正と介護報酬改定 」 厚 生労働省, 2005年, 49ページ。
(5) 大川弥生 「ICFから高齢者医療・介護を考える 生活機能学の立場から 」 日本老年看護学 会誌Journal of Japan Academy of Gerontolo-
注
gical Nursing Vol.13, No.2, 2009年, 1827 ページ。
(6) 障 害 者 福 祉 研 究 会 ICF国 際 生 活 機 能 分 類 国際障害分類改定版 中央法規出版, 2002年, 323ページ。
(7) 厚生労働省,2003年, 「介護保険事業状況報告 の概要 (平成15 年10月暫定版)」 http://www.
mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/dl/03 10-1.pdf (2011年6月21日閲覧)
(8) 池田省三 「介護認定率から見る地域差」 コミュ ニティケア 日本看護協会出版会, Vol.05, No.
13, 2003年, 67ページ。
(9) 渡部月子, 高橋伸子, 星旦二 「都道府県別要介 護認定割合の格差と保健師活動との関連」 社会 医学研究 , 第27巻1号, 2009年, 18ページ。
(10) 橋立博幸, 樋口大輔, 大角梢, 島田裕之 「通所 ケアサービス利用者における理学療法士の配置の 有無と心身機能, 日常生活活動, および費用対効 果との関連 (平成18・19年度助成研究報告書)」
理学療法学 , 第36巻第2号, 2009年, 7677 ページ。
(11) 横塚美恵子, 二戸映子, 鈴木鏡子 「介護保険制 度を利用した住宅改修による生活機能への影響」
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(12) 吉原健二, 和田勝 日本医療保険制度史 東洋 経済新報社, 1999年, 228235ページ。
(13) 遠藤久夫 「日本経済と医療・介護政策の展開」
社会保障と経済3 社会サービスと地域 東京 大学出版会, 2101年, 1519ページ。
(14) 社会福祉法令研究会 社会福祉の解説 中央法 規, 2001年, 1519ページ。
(15) 介護保険法 (平成9年12月17日・法律第123 号 改正 平成9年5月9日・法律第48号/
6月24日・法律第103号 平成12年1月1日施 行 /12月17日・法律第125号/平成10年6月 17日・法律第109号) 第1章 (目的) 第1条よ り。
(16) 厚生労働省老健局総務課, 前掲 「介護保険制度 改革の概要 介護保険法改正と介護報酬改 定 」 422ページ。
(17) 厚生労働省老健局総務課, 前掲 「介護保険制度 改革の概要 介護保険法改正と介護報酬改 定 」 1718ページ。
(18) 岩本俊彦 臨牀看護セレクション07 老化と 病気の理解 へるす出版, 2000年, 41ページ。
(19) 厚生労働省介護予防マニュアルの改訂に関する 研究班 「介護予防マニュアル概要版」 厚生労働省,
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(20) 柴田博, 古谷野亘, 芳賀博 「ADL研究の最近 の動向 地域老人を中心として 」 社会老 年学 , 通号21, 1984 年, 7083ページ。
(21) 障害者福祉研究会, 前掲 ICF国際生活機能分 類 国際障害分類改定版 , 323ページ。
(22) 池田省三 「介護認定率から見る地域差」 コミュ ニティケア 日本看護協会出版会, Vol.05, No.
13, 2003年, 67ページ。
(23) 増田雅暢 介護保険見直しへの提言 5年目 の課題と展望 法研, 2004年, 2030ページ。
(24) 厚生労働省, 2003年, 「平成15年度介護保険 事 業 状 況 報 告 」 http://www.mhlw.go.jp/tou kei/list/84-1.html (2011年12月26日閲覧) (25) 厚生労働省, 2010年, 「平成22年介護保険事
業状況報告 月報」 http://www.mhlw.go.jp/to pics/0103/tp0329-1.html (2011年12月26日閲 覧)
(26) 同上。
(27) 奥野茂代, 大西和子 老年看護学Ⅱ ヌーヴェ ルヒロカワ, 2008年, 6065ページ。
(28) 厚生労働省, 2010年, 「平成22年 国民生活 基 礎 調 査 」 http://www.mhlw.go.jp/toukei/li st/20-21.html(2012年2月20日閲覧)
(29) 同上。
(30) 同上。
(31) 総務省統計局, 2011年, 「平成22年国勢調査 人口等基本集計」 http://www.e-stat.go.jp/SG 1/estat/List.do?bid=000001034991&cycode (2011 年12月25日閲覧)
(32) 国民健康保険 町立小鹿野中央病院ホームペー ジhttp://byoin.town.ogano.lg.jp/care.html (33) 佐藤加奈子 「一人ひとりを大切にする看護が地
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(34) 編集部 「町立小鹿野中央病院栄養科 町の医療・
福祉の中心として病院と行政が協力しあい住民の 健康を守る」 臨床栄養 編集部, Vol.119, No.
7, 2011年, 802805ページ。
(35) 広報おがの 平成22年3月号, 5ページ。
(36) ひめしまホームページhttp://www.himeshi ma.jp/(2012年2月25日閲覧)
(37) 前掲(31)。
(38) ひめしまホームページhttp://www.himeshi ma.jp/(2012年2月25日閲覧)
(39) 藤本昭夫 「全国町村会」 http://www. zck.or.
jp/forum/forum/2590/2590.htm (2011年12月
8日閲覧)
(40) 大川村ホームページhttp://www.vill.okawa.
kochi.jp/ (2012年2月25日閲覧) (41) 前掲(31)。
(42) 下郷町ホームページhttp://www.town.shimo go.fukushima.jp/ (2012年2月25日閲覧) (43) 前掲(31)。
(44) 前掲(31)。
(45) 北島泰子 「介護保険制度における利用抑制のメ
カニズム 介護を必要とする人の介護サービス の選択肢が狭められる理由 」 埼玉大学大学院 経済科学研究科修士課程, 2002年
(46) 厚生労働省, 2010年, 「平成22年 病院報告」
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html (2012年2月25日閲覧)
(47) 大口達也 「市町村と 地域包括ケア 」 地域包括ケアシステム その考え方と課題 光生館, 2011年, 181196ページ。