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子どもの記憶活動における発達的変化

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

子どもの記憶活動における発達的変化

著者 豊田 弘司

雑誌名 奈良教育大学紀要. 人文・社会科学

巻 42

号 1

ページ 153‑165

発行年 1993‑11‑25

その他のタイトル Developmental Changes of Memory Activities in Children

URL http://hdl.handle.net/10105/1734

(2)

子どもの記憶活動における発達的変化

n H 弘 Ml

(奈良教育大学心理学教室) (平成5年4月5日受理)

Schmeck, Ribich & Ramanaiah (1977)は、アカデミックな事態で生じる様々な学習活動を 記述している文を因子分析を用いて整理し、統合一分析、学習法、事実の保持及び精練的処理と

いう4つの因子に分かれる62項目からなる学習過程を査定するためのインベントリー(I:nven‑

tory of Learning Processes、略してILP)を完成させた。そして、そこで抽出された学習法と いう因子が意図記憶と関係のあることを明らかにしている。豊田(1991)の研究1では、大学生 を調査対象にしてILPの日本版を作成し、 Schmeckらとはぼ対応する精微化(Schmeckらの 研究では精微的処理)、記憶効率(Schmeckらの研究では事実の保持)及び学習法という3つ の因子を抽出した。そして、やはり学習法とテスト成績(意図記憶)との対応関係を兄いだして

いる。これらの研究でいう学習法に含まれる質問項目は、日頃の生活の中で情報を覚えやすくし たり、学習を効率よくするために、どのような工夫をしているかに関する項目である。したがっ て、意図記憶にとっては、情報の覚え方や学習の工夫が重要な意味をもっと考えられる。さらに、

豊田(1991)の研究3では、児童版のILPを作成し、上記の大学生と同じ様な分析を行った。

その結果、小学6年生においで情報の検索(Schmeckらの研究では事実の保持、豊田の研究1 では記憶効率に対応)が学業成績と関係のあることが示されたのである。このように、大学生の 場合も小学6年生の場合も、多少の違いはあるものの、情報を覚えることに関わる活動が実際の 記憶成績と関係のある可能性がうかがえる。

ところで、従来の記憶研究では、情報の覚え方は記憶方略として検討されてきた。記憶方略は、

大きく内的記憶方略と外的記憶方略に分類できるが、前者では、主に、リ‑ーサル及び体制化の 発達的な検討がなされてきた。例えば、 Flavell, Beach & Chinsky (1966)は、およそ小学1 年生(7歳)で自発的にリ‑ーサルをはじめることを明らかにしている。その後、 Ornstein, Naus& Liberty (1975)は、年齢とともに、呈示された項目のみを反復するようなリハーサル から、先に呈示された項目もあわせて反復するような累積的リハーサルへと変化していくことを 明らかにしている。また、体制化についても、 Neimark, Stotnick & Ulrich (1971)は、小学

1年生から6年生にかけて体制化の一つの指標であるカテゴリ一群化量が上昇し、それに対応し て記憶成績も上昇することを示している。一方、外的記憶方略については、 Kreutzer, Leonard,

& Flavell (1975)が、次の日にもっていかなければならない物を忘れないために、ノートを 使ったり、学校へ持っていく鞄のすぐそばにその物を置いておくという方略を用いる子どもの数 が、幼児から小学校5年生にかけて上昇することを示している。

このように、内的、外的に関わりなく、児童期には記憶方略において著しい発達が認められる のである。しかし、これまでの研究は、ほとんどが実験室的な検討を行ったものであり、子ども 自身が日頃の生活の中でどの程度自分の記憶方略を意識し、自分自身の記憶方略に対する判断が

153

(3)

151

豊 Et]弘 司

実際の記憶成績とどのような関係にあるのかについては、ほとんど検討されなかった。すなわち、

記憶方略に関する質問項目によって、各個人のもつ記憶方略の特徴を明らかにし、それに対応す る記憶成績を調べた研究はほとんどなかった。

楠見(1988)は、大学生を対象としているものの、その数少ない研究の一つである。彼は、記 憶に関する意識についての質問紙を作成し、そこで測定された個人の得点と実際の記憶成績との 対応関係を検討しているが、その両者間に明確な対応関係を兄いだしていない。彼の用いた質問 紙の項目を見ると、その内容は主にいわゆるメタ記憶にあたるものであり、実際の記憶課題にお いて中心的な働きをすると予想される記憶方略についての項目は少ない。また、大学生を対象に した実験にしては用いられた記憶課題がかなり容易なものであり、そのために個人の能力差が反 映されにくいという方法論上の問題も考えられる。このような問題点を考慮して、豊田・波速 (1992)は、記憶方略、検索失敗、記憶効率という3つの因子を想定して質問項目の作成を行っ た。そして、各質問項目に対する反応を各因子ごとに合計した得点を予測変数とし、 3種類の記 憶テスト(単語自由再生、順唱、文章記憶)のそれぞれの得点を目的変数とする重回帰分析を 行った。その結果、記憶効率と記憶テストの間に有意なパスを兄いだした。しかし、ここで用い

られた記憶方略についての質問項目は、内的記憶方略と外的記憶方略を明確に分けていなかった。

それ故、記憶方略と記憶テストとの有意なパスを兄いだすことはできなかった。そこで、豊田・

渡遠(1993)では、質問項Ejを改訂し、記憶方略を外的方略と内的方略に分け、上記のような重 回帰分析を行った。その結果、内的記憶方略と単語自由再生との間に正の有意なパス、外的記憶 方略と脚呂の間に負の有意なパスを兄いだした。すなわち、内的記憶方略を多く用いる者は記憶 成績がよく、外的記憶方略を多く用いる者は順唱の成績が良くないことが示された。

上述したSchmeckらや豊田の研究が学習過程における個人差を探ろうとしたように、質問紙 で個人の記憶方略を探ろうというこれらの試みは、実験室的な研究とは異なったアプローチとし て注目されるものである。というのは、質問紙で捉えた個人の特徴が実際の記憶成績とどの程度 関係があるのかを明らかにすることは、学習指導の上で大いに参考とすべき資料となるからであ

る。

そこで、本研究では、子どもの記憶活動に関する質問紙(児童版自己診断記憶尺度)を作成し、

そこで得られた自己判断と実際の記憶テストの成績との関係を検討することを第1の目的とする。

質問項目の選定にあたっては、豊田・渡遵(1992, 1993)を参考にして、次の4つの因子を想定 した。すなわち、内的記憶方略、外的記憶方略、検索失敗及び記憶に対する自信である。検索失 敗という因子を想定したのは、 Kobasigawa (1974)の研究に代表されるように、児童期におい て検索能力の発達が示されているからである。もし、子どもが検索したい情報を検索できないと いう失敗事態をどの程度経験し、その程度が実際の記憶成績にどのくらい反映されるのかを調べ るために設定されたのである。また、記憶に対する自信という因子を想定したのは、子ども自身 が、自分が覚えるのが得意であるとか、記憶能力がすぐれているという認識ができるのかどうか を検討したかったからである。自分の記憶能力の程度についての適切な判断ができるというのは、

言い替えれば、メタ記憶が備わっているということである。したがって、年齢の上昇とともに、

記憶に対する自信の有無と実際の記憶成績の間の関係が強くなってくると考えられる。

ところで、 Kail (1984)は、メタ記憶を3つの側面からとらえている。第1の側面は、記憶に 関連した心的努力が必要な場面と必要でない場面があるという知識で、これによって記憶活動を 意識できるのである。第2の側面は、記憶課題の目標を査定し、目標達成のために最も良い方法

(4)

を選択するための知識である。この知識は、実際の記憶課題に直面した際に、その課題の性質に よってどのような方略をとるのかを判断するものである。第3の側面は記憶課題の経過に対する 感受性の知識である。これによって、自分が一定の項目を記憶できたか否かをモニターできるの である。本研究で用いる質問項目は、上記の第2及び第3の側面を扱うことになる。

本研究の第2の目的は、児童期後半の記憶活動における発達的変化を調べることである。児童 期の後半を特に選んだのは、次のような理由による。第1の理由は、記憶発達に関する過去の研 究が児童期における記憶諸側面の著しい発達を明らかにしているからである。しかし、それらの 研究の中で、児童期の最初である小学校1年生から6年生へと一足跳びに発達するかのように、

児童期のはじめと終わりという両端の比較に終始しているように思われる研究(Bach&

Underwood, 1970 ; Ghatala & Hurlbut, 1973; Geis, 1975;豊田, 1982, 1983a, b, 1984; Toyota, 1983)も多い。記憶方略の発達を検討する際には、児童期の中でもさらに多くの年齢段階に分け て検討する必要があると思われる。また、第2の理由として、メタ記憶に関する諸研究は、メタ 記憶の第2の側面(Flavell, Friedrich, & Hoyt, 1970; Yussen & Levy, 1975; Kreutzer, Leonard & Flavell, 1975)及び第3の側面(Flavell, Friedrich & Hoyt, 1970)が児童期前半に

おいて著しく発達するということを示しているが、児童期後半については、ほとんど検討がなさ れていないということである。さらに、第3の理由として、方法論的な制約からである。すなわ ち、質問紙によって被験児に回答を求める場合、児童期前半の子どもは質問項目の内容の理解が 困難である.わかりやすい表矧こすれば、その項目の本来の意味をかなり簡略化することになり、

検査者の意図するものを測定できない。この問題は児童期の後半であれば、クリアできると考え られる。

方   法

調査対象  本研究の調査及び実験の対象児は、小学4年生が132名(男児73名,女児59 名)、 5年生が121名(男児61名,女児60名)、 6年生が126名(男児67名,女児59名)で

あった。被験児の平均年齢は、 4年生が10歳1か月(範囲9歳7か月〜10歳7か月)、 5年生 が11歳1か月(範囲10歳7か月〜11歳7か月)、 6年生が12歳1か月(範囲11歳7か月〜

12歳7か月)であった。

材  料 1)児童版自己診断記憶尺度 豊田・渡退(1992, 1993)を参考にして、児童に 適応可能な28項目(内9項目は、逆転項目)を作成した。これらの項目は、検索失敗(8項目)、

記憶に対する自信の有無(6項目)、内的記憶方略の使用(6項目)、外的記憶方略の使用(5項 目)という分類基準に対応する項目及びフィラー(3項目)であった。なお、これらの項目がそ れぞれの分類基準に適合したものであることを碓かめるために、大学生13名に対する予備調査 を行った。この調査では、各分類基準の定義(検索失敗は思い出すべき情報が恩い出せないこと、

記憶に対する自信の有無は覚えることに対して自信があるか否か、内的記憶方略の使用は情報を 覚えるために頑の中で工夫すること、外的記憶方略の使用は覚えるためになんらかの道具を用い ること)を示し、各質問項目がその定義が示す事柄を尋ねる質問として当てはまる程度を4段階 (非常によくあてはまる、かなりよくあてはまる、あてはまる、あてはまらない)で評定しても らった。その結果、どの項目もあてはまらないという回答は皆無であったので、すべての項目を 妥当な項目として採用した。 2)質問項目に対する回答用紙 この用紙は、 B5判の大きさで、

(5)

156

賀 a i wa

1)で述べた自己診断記憶尺度の質問の項目番号及び回答(はい、いいえ)が印刷されたもので あった。 3)単語自由再生テスト このテストには、豊田・渡通(1992,1993)と同様に、藤田 (1975)による4カテゴリー(動物、乗物、野菜、文房具)×8項目(計32項目)の構造の記銘 リストを使用した。上記の記銘リストに含まれる各語は、同じカテゴリーに含まれる語が続けて 呈示されないように実験者によってランダムに配列されていた。なお、この記憶テストでは、被 験者に単語の書記再生を求めるので、そのための自由再生テスト用紙も用意された。この用紙は B5判の大きさで、上述した32項目を再生するための記入欄が印刷されていた。 4)文章記憶 テスト このテストも、豊田・渡通(1992,1993)と同じものを用いた。これは、京大NX知能 検査15‑の日常記憶の文章を参考にして作成されたものであり、内容は学校での伝達事項に関わ

るものであり、その内容に対して10個の質問が設定されていた。 5)順唱テスト このテスト も、豊田・渡遠(1992,1993)と同じく、 4桁、 5桁、 6桁、 7桁、 8桁及び9桁の数系列を各 2数系列ずつ用いた。文章記憶テストも順唱テストも、単語自由再生テストと同じく、被験者に 書記再生させる形式であったので、そのための用紙も用意された。この用紙もB5判の大きさで、

上半分には順唱テストの数系列を記入するための欄があり、下半分には、文章記憶テストの10 個の質問の答を記入する欄が設けられていた。

手続き クラス単位の集団調査及び集団実験を実施した。 a)自己診断記憶尺度による調 査 上述の回答用紙を配布し、調査者が質問項目を1項目ずつ読み上げ、各質問に"はい" "い

いえ"のどちらかに丸印を記入させる形式で回答させた。 b)単語自由再生課題 上述の記銘リ ストに含まれる記銘語を実験者が1項目ずつ口頭によって呈示し、記銘を求めた。 32項目を呈 示した後、標準的な自由再生教示を与え、再生を求めた。再生時間は、 5分であった。 C)文章 記憶テスト 実験者が文章を読み上げ、その後、 10問の質問に筆答させた。 d)順唱テスト 実 験者が1秒に1数字ずつ読みあげ、回答用紙にその数系列を書記再生させた。

結果と考察

分類基準ごとの合計得点と記憶テスト成績との関係

本研究の第1の目的は、質問紙で測定された各個人の得点が記憶テストの得点をどの程度説明 できるかについて検討することであった。上述した4つの分類基準(検索失敗、記憶に対する自 信の有無、内的記憶方略、外的記憶方略)のそれぞれに内的一貫性があるか否かを検討するため に、 Kuder‑Richardsonの公式20によるa係数を各因子ごとに算出した。その結果は、 4年生 においては、検索失敗が.64、記憶に対する自信の有無が.67、内的記憶方略の使用が.52、外 的記憶方略の使用が.55であった。 5年生でも同様に、 .74、 .67、 .49、 .61であり、 6年生で

も.59、 .68、 .51、 .58であった。幾分値の低いところもあるが、おおむね内的一貫性があると 考えられるので、これらの分類基準ごとの合計点を説明変数とし、目的変数に各記憶テストの成 績をとって各学年ごとに、重回帰分析を行った。その結果が表1に示されている。内的記憶方略 に関しては、 6年生において有意な値には至っていないが、すべての学年において単語自由再生 テストとの関係が示された。従来の内的記憶方略を代表するリ‑‑サルに関する研究(Flavell etal., 1966)では、自発的にリ‑‑サルする者がリ‑‑サルしない者よりも、記憶成績のよいこ とを示している。また、体制化の中のカテゴリ一群化に関する研究(Neimark etal., 1971)は、

群化量と再生量の対応関係を明らかにしている。このような実験室的な研究と同じく、本研究で

(6)

表1 各学年の記憶テストにおける標準化偏回帰係数

単語自由再生      文章記憶        噸唱

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5年

検索失敗 記憶に対する自信

内的記憶方略 外的記憶方略 寄与率(決定係数) 重相関係数

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も内的記憶方略と記憶成績の対応関係が示されたのである。

また、 5年生では記憶に対する自信と単語自由再生の成績、 6年生では記憶に対する自信と順 唱の成績の関係が示された。この結果は、 5、 6年生になると、自分の記憶能力についての正し い認識がなされてくることを示唆しており、自分の記憶の程度をしっかりとモニターできるとい うメタ記憶の第3の側面(Kail, 1984)の発達が反映されていると考えられよう。

因子分析による検討  上述したように、児童版自己診断記憶尺度は、被験児の記憶テストで の得点をある程度予言できることが明らかになった。しかし、上記の分析で一つ問題なのは、著 者が設定した分類基準がまとまりをもった因子として実際に抽出されるかどうかという点である。

もちろん、上述したように、あらかじめ大学生に対して、各分類基準(例えば、検索失敗)に対 応する定義(例えば、思い出すべき情報が患い出せないこと)を示し、各質問項目がその定義に

当てはめる程度を評定してもらう予備調査を行った。そして、あてはまらないという評定は皆無 であったが、実際に本調査の披験児の回答において上記のような分類基準に該当する因子が抽出 されるかどうかは疑問である。そこで、各学年ごとに、主因子法による因子分析(バリマックス 回転)を行った。その結果が、表2に示されている。検索失敗と記憶に対する自信の有無につい

(7)

表2 児童版 自己診断記憶尺度の各質問項目に対する因子負荷量

番号 質問項目       I 方略

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‑帆

検索失敗

1係や委員の仕事を忘れてしまうことがありますか。

8 頼まれたことを忘れてしまうことがありますか。

11忘れ物が多いですか。

14大切な用事を忘れることがありますか。

17決められた当番の仕事を忘れて、やらなかったことがありますか0 24宿題を忘れてしまうことがありますか。

26覚えたはずなのに、思い出せないことがありますか。

28作文を書く時、漢字を思い出せないことがありますか。

記憶に対する自信の有無

(2)人の名前をおぼえるのが苦手ですか。

5 友達の名前を覚えるのは早いですか。

12物を覚えるのは得意ですか。

15漢字を覚えるのは得意ですか。

18教科書をみただけで覚えられますか。

21覚えることに自信がありますか。

内的記憶方略の使用

3 よく似た事は、まとめて覚えようとしますか。

6 覚えることを絵のように思い浮かべることがありますか。

9 教科書で線を引いたところは注意して覚えようとしますか。

16覚えようとすることを頑の中で何度も繰り返して覚えますか。

19漢字を頑の中で思い浮かべることがありますか。

22先生が大切と言ったところは、注意して覚えようとしますか '外的記憶方略の使用

4 大切な約束があるときは、メモをとりますか。

7 用事があるE]は忘れないように、カレンダーに書き込んでおきますかO

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10買物に行くとき、忘れないために買うものを紙に書いて持って行きます 13明日、持っていかなければいけない物を目立つ所に置いておきますか。

20大切なことは、家の人にも言って忘れないようにしますか。

富川

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表3 自己診断記憶尺度の各項目における学年ごとの記憶テストの上位群と下位群の差(*2)

4 年 5 年生 6 年生

自己診断記憶尺度 fp‑Ift 脚 呂 単語 … 文 順唱 単語 … 文 脚 呂

検索失敗

( 1 ) 係 や 委 員 の 仕 事 を 忘 れ て しま う こ とが あ り ます か 0

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か っ た こ とが あ り ます か 0 (2 4 ) 宿 題 を忘 れ て し ま う こ とが あ り ます

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記憶に対する自信の有無

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*

> K

15 漢llf‥ を覚 えるのは得意です か。 *

."‑ F

* 上> 下

* * 上> 下

* * 上 > 下

18 教科書をみただけで覚 え られます か0 *

上 > 下

21 覚え ることに自信 があ りますか +

L ≧ F

* F h > T

* 卜> 下

内的記憶方略の使用

3 よ く似 た 事 は 、 ま と め て覚 え よ う と し * *

ま す か 0 上 > 下 … 上> 下

6 覚 え る こ とを 絵 の よ うに思 い浮 か べ る こ とが あ りま す か 0

* * 上 > lF

9 教 科 書 で線 を 引 い た と こ ろ は注 意 して * ( F ) 十

覚 え よ う と しま す か0 I二> 卜 上 > 下 : 上≧ 下 上≧ 下

1 6 覚 え よ う とす る こ とを頑 の 中 で何 度 も 繰 り返 して 覚 え ま す か0

* 上> 卜

* 上 > 下

‑ li I

19 漢 字 を 頑 の 中 で 思 い 浮 か べ る こ とが あ + * * *

り ます か 0 上≧ 下 上 > 下 上 > 卜 上 > lF

2 2 先 4 三 が 大 切 だ と言 った と ころ は 注 意 し * + (F ) *

て 覚 え よ う と しま す か。 卜> 下 卜 ≧ 下 上> 下

外的記憶方略の使用

4 人 切 な的 束 が あ る と きは 、 メ モ を と り ます か 0

7 用 事 が あ る [1 は忘 れ な い よ うに 、 カ レ ンダ ー に書 き込 ん で お き ます か O 10 買 物 に行 く と き、 忘 れ な い た め に 買 う

もの を 紙 に書 い て 持 って 行 きま す か0

+ 上≧ 下 13 明 日、 持 って いか な け れ ば い け な い 物

を 目立 つ 所 に置 いて お き ます か 0

*

下 > 上 ‑

+ lJA≧ 卜 2 0 人 切 な こ と は、 家 の 人 に も言 って 忘 れ

な い よ う に し ます か 0

* * K 蝣I .

2 3 図 や表 をつ く って 覚 え る こ とが あ り ま す か。

* l二> 下

* 上 > 下

2 5 漢 字 を覚 え る時 、 何 度 t) 書 いて 覚 え ま * * * *

す か0 上> 下 上 > F 上> 下

27 漢 一 テ:を覚 え る時 、 何 度 も声 に出 して 覚 え ま す か0

* * 上 > 下

* * 上 > 下 …

(注)F:Fisherの直接確率法による有意性検定

+Pく10 *Pく 05 **P<.01

(9)

160

豊 田 弘 司

ては、各学年ともにおおむね対応する項目に高い因子負荷量が認められた。ただし、内的記憶方 略の使用と外的記憶方略の使用については、因子として分かれずに1つの因子として抽出された。

各因子ごとの内的一貫性を示すKuder‑Richardsonの公式20によるα係数が表2の最上部に示 されているが、おおむね各因子は内的一貫性があるといえる。

項目ごとの分析  記憶テストの得点に対する寄与率の高い項目を調べるために、項目ごとに 各記憶テストの得点の上位群と下位群の比較を行った。その結果が表3に示されている。全体と してみると、学年が上がるにつれて、上位群と下位群の差のみられる項目が少なくなり、特定の 項目が記憶成績を判別する力が弱くなっていくことがわかる。しかし、 3学年ともに単語自由再 生において両群間の差がみられた項目としては、ものを覚えるのが得意ですか(12)が挙げられ る。この項目に"はい"と答える子どもは、おおむね記憶成績が高い傾向があるといえる。

Flavell, Friedrichs & Hoyt (1970)やYussen & Levy (1975)は、自分の記憶能力について の知識がおよそ8歳ごろになるまでに身につくものであることを示している。本研究の被験者は 10歳以上であり、すでに記憶能力についての知識を備えていると考えられ、そのことが上記の (12)における差に現れたと考えることができよう。なお、他の項目では、 3学年ともに上位群 と下位群の問に差がみられたものはなかった。

記憶活動における学年差

本研究の第2の目的は、児童期後半における記憶活動の発達的変化を検討することであった。

表4には、分類基準ごとの項目の合計点(̀̀はい"と答えた場合には1点として合計)の平均が 示されている。また、項目ごとに「はい」と答えた割合を示したのが、表5である。男女のすぐ 下の数字は男女別の%であり、その下の数字は、男女を込みにした場合の%である。表4に対し ては、分類基準ごとに2(悼)×3(学年)の分散分析を行い、表5に対しては、項日ごとにx2検 定(もしくは、 Fisherの直接確率検定)を行った。その結果を分類基準ごとに示す。

表4 分類基準ごとの性差及び学年差

分 類 基 準 4 年 生 5 年 生 6 年 生

検 索 失 敗 3 . 8 4 4 . 1 3 4 .8 6

(1. 9 4 ) (2 . 15 ) (1 .9 0 )

満 点 8 点 4 . 6 9 4 . 33 4. 4 8

(2 . 0 1 ) (2 .2 4 ) (1. 8 0 ) 記 憶 に 対 す る 自 信 の 有 無 3 . 2 1 2 .5 3 2. 2 7

(l . f (1 .2 9 ) (1. 3 9 )

満 点 6 点 3 . 64 2 .6 1 2 . 6 2

(1 . 56 ) (1 .3 9 ) (1. 4 9 ) 内 的 記 憶 方 略 の 使 用 4 . l l 4 . 2 8 3 . 8 9

(1 .5 1) (1. 4 4 ) (1. 5 5 )

満 点 6 点 4 . 36 4 . 5 2 4 . 0 8

(1. 3 7 ) (1. 2 7 ) (1 . 2 9 )

外 的 記 憶 方 略 の 使 用 3. 14 3 . 2 3 3 .2 6

(1. 4 3 ) (1 . 5 4 ) (1 .4 0)

満 点 5 点 3. 7 6 3 . 5 7 3 .3 8

(1. 2 4 ) (1 . 2 7 ) (1 .4 3)

(10)

表5 自己診断記憶尺度の各項目における学年差と性差(値は%) 自己診断記憶尺度項買

検索失放

交耳作用

( 1 ) 係 や 委 員 の仕 事 を忘 れ て しま う 4 6 . 5 8 3 3 .9 5 2 . 4 6 3 8 . 3 3 6 4 . 1 8 5 2 . 5 4 * * * *

こ とが あ り ます か 0 4 0 . 9 0 4 5 . 4 5 8 . 7 3 6 > 5 = 4 男 > 女

( 8 ) 頼 ま れ た こ と を忘 れ て しま う こ 5 0 . 6 8 4 9 . 1 5 8 . 8 5 5 1 . 6 7 5 9 .7 5 9 . 3 2 *

とが あ り ます か 0 5 0 . ( 0 . 3 3 5 9 l 5 2 6 = 5 > 4

(l l ) 忘 れ物 が多 い で す かO 5 4 . 7 9 3 2 . 2 0 4 0 . 9 8 8 . ; 4 1 . 7 9 1 6 . 9 5 * * * * 4 4 . 7 0 2 4 . 7 9 3 0 . 1 6 4 > 6 > 5 男 > 女 14 ) 大 切 な用 事 を忘 れ る こ とが あ り 2 3 . 2 9 1 8 . 6 4 4 0 . 9 8 2 3 . 3 3 3 1 . 3 4 3 0 . 5 1 * * *

ます か 0 2 1 . 2 1 蝣 1Z . t 3 0 . 9 5 6 = 5 > 4 男 > 女

1 7 ) 決 め られ た 当番 の仕 事 を 忘 れ て 4 1 . 1 0 2 3 . 7 3 5 9 . 0 2 8 8 . 3 3 7 0 . 1 5 6 9 . 4 9 * * * * や らな か った こ とが あ りま す かD 3 3 . 3 3 7 3 . 6 8 6 9 . 8 4 6 > 5 > 4 男 > 女

(2 4 ) 宿 題 を忘 れ て しま う こ とが あ り 4 9 . 3 2 3 7 . 2 9 6 8 . 8 5 7 1 . 6 4 4 5 . 7 6 * * * * 詛 詛

ま す か0 4 3 . 9 4 4 9 . f 5 9 . 5 2 6 > 5 > 4 男 > 女 男 子 6 > 5 > 4

な.子 蝣 1 ‑ f) ‑‑ 、 2 6 ) 覚 え た はず な の に 、 思 い 出 せ な 8 4 . 9 3 7 6 . 2 7 8 5 . 2 5 9 3 . 3 3 6 . 5 7 9 3 . 2 2 * * *

い こ とが あ りま す か0 8 1 . 0 6 9 . 2 6 8 9 . 6 8 6 = 5 ≧ 4 男 子 4 ‑ 5 ‑ 6

女 蝣 T ‑ 5 > 6 > 4 (28 ) 作 文 を書 く時 、 漢 字 を 思 い 出 せ 6 5 . 7 5 5 9 . 3 2 6 5 . 5 7 7 1. 6 7 6 7 . 1 6 7 2 . i

fj=い こ とが あ りま す か0 6 2 . 8 8 8 . 5 9 6 9 . 8 4

記憶に対する自信の有無

( 2 ) 人 の 名 前 を お ぼ え るの が苦 手 で 1 3 .7 6 . 7 8 6 . 5 6 3 . 3 3 1 0 . 4 5 1 1 . i *

す か0 1 0 . 6 1 4 . 9 6 l l . l l 4 = 6 ≧ 5

5 友達 の名 前 を覚 え る の は早 いで 7 8 . 0 8 9 3 . 2 2 8 . 5 2 9 5 . ( 8 . 0 6 9 1 . 5 3 * *

す か0 4 . 8 5 9 1 . 7 4 8 9 . 6 8 男 > 女

12 物 を覚 え るの は得 意 で す か 0 5 7 . 6 3 0 . 6 6 4 3 . 3 3 5 0 . 7 5 3 2 .2 * * * *

5 8 . 3 3 5 2 . 0 7 4 2 . 0 6 4 > 5 > 6 男 > 女

15 漢 字 を覚 え るの は得 意 で す か Q 4 3 . 8 4 4 7 . 4 6 5 9 . 0 2 5 3 . 3 3 4 0 .3 5 7 . 6 3 * *

4 5 . 4 5 5 6 . 2 0 4 8 . 4 1 5 ≧ 4 男子 4 ‑ 6 > 5

女 子 4 ‑ 5 ‑ 6

18 教 科 書 をみ ただ けで 覚 え られ ま 1 3 .7 2 7 . 1 2 1 6 . 3 9 5 . 0 0 1 9 . 4 0 8 . 6 4 * * + *

す か0 1 9 . 7 0 1 0 . 7 4 1 9 . 0 5 6 = 4 > 5 男子 4 ‑ 5 ‑ 6

女 子 4 > 6 > 5 2 1 覚 え る こ とに 自信 が あ りま す か0 3 9 . 7 3 4 5 . 7 6 4 9 . 1 8 3 3 . 3 3 8 . 8 1 2 7 . 1 2 * * *

4 2 . 4 2 4 1 . 3 2 3 3 . 3 3 4 = 5 ≧ 6 男 > 女 男 子 4 ‑ 5 ‑ 6

* T ‑ 4 > 6

内的記憶方略の使用

3 よ く似 た 事 は、 ま とめ て覚 え よ 5 0 . 6 8 5 0 . f 8 . 8 5 4 8 . ; 4 1 . 7 9 4 4 . 0 7 * * *

う と し ます か 0 5 0 . 7 6 5 8 . 6 8 4 2 . 9 3 5 > 6 w r :. 十 I 6

女 T ‑ 4 ‑ 5 ‑ 6 6 覚 え る こ とを 絵 の よ うに 思 い 浮 8 . 4 9 6 2 ̀ 7 1 5 7 . 3 8 5 6 . 6 7 4 3 . 2 8 5 2 . 5 4 * *

か ベ る こ とか あ りま す かO 6 5 . 9 1 5 7 . 0 2 4 7 . 6 2 4 = 5 > 6

9 教 科 書 で 線 を 引 い た と こ ろ は注 6 1 . 6 4 7 2 . f 8 . 8 5 7 8 . 3 3 5 5 . 2 2 7 6 . 2 7 * *

意 して 覚 え よ う と しま す かD 6 . 6 7 7 3 ▼5 5 6 5 . 0 8 女 > 男

1 6 覚 え よ う とす る こと を頑 の 中 で 7 5 . 3 4 7 9 . 6 6 7 2 . 1 3 8 5 . 0 7 8 9 . 8 3 * * * *

何 度 も繰 り返 して覚 え ま す か0 7 7 . 2 7 0 . 1 7 8 7 . 3 0 6 > 4 女 > 男

1 9 漢 字 を頑 の 中 で思 い浮 か べ る こ 6 . 4 4 6 . 8 9 8 5 . 0 0 7 3 . 1 3 8 4 . 7 5

とが あ りま す か0 3 0 0 . O tJ 8 5 . 9 5 7 8 . 5 7

2 2 先生 が人 切 だ と言 っ た と こ ろ は 7 3 . 9 7 8 3 . 0 5 0 . 3 3 9 0 . ( 6 7 . 1 6 8 8 . 1 4 * *

注意 して覚 え よ う と します か 0 7 8 . 0 3 8 5 . 1 2 7 6 . 9 8 女 > 男

外的記憶方略の使用

4 大 切 な約 束 か あ る と き は、 メ モ 4 6 . 5 8 5 9 . 3 2 4 7 . 5 4 7 1. 6 7 4 4 . 7 8 7 4 . 5 8 * *

を と り ます か O 5 2 . 2 8 5 9 . 5 0 5 8 . 7 3 女 > 男

7 用 事 が あ る 日 は忘 れ な い よ うに 、 5 6 . 1 6 7 7 . 9 7 4 5 .9 7 5 . C 3 8 . 8 1 7 6 . 2 7 * *

カ レンダーに書 き込んで おきますか 0 6 5 . 9 1 fill, m 5 6 . 3 5 女 >

10 買物に行 くとき、忘れ ないために買う 6 . 1 6 7 2 . i 4 2 . 6 2 7 8 . 3 3 4 4 . 7 8 7 9 . 6 6 * * *

ものを紙に書 いて持 って行 きますか。 6 3 . 6 4 6 0 . 3 3 6 1 . l l 女 > 男 翌 享 ま≡ 喜≡ g

1 3 明日、持 っていかなければいけなも物 7 1 . 2 3 8 3 . 0 5 6 0 . 6 6 8 6 . 6 7 5 5 . 2 2 8 3 . 0 5 * *

を目立つ所 に置 いておきますか0 7 6 . 5 2 7 3 . 5 5 8 O C 女 > 男

2 0 大 切 な こ と は, 家 の 人 に も言 つ 8 3 . 5 6 8 3 . 0 5 ‑ 0 0 o u . 0 0 9 3 . 2 2 * * 4c

て 忘 れ な い よ うに しま す か 。 8 3 . 3 3 6 . 7 8 8 7 . 3 0 女 > 男 署 享 g ≡ 至 芸 宴

2 3 図 や 表 を つ く って覚 え る こ とが 5 8 . 9 0 7 2 . 8 5 4 . 1 0 7 0 . ( 6 1 . 1 9 6 6 .1 * *

あ りま す か 0 6 5 . 1 5 6 1 . 9 8 3 . 4 9 女 > 男

2 5 漢 字 を 覚 え る時 、 何度 も書 い て 7 1 . 2 3 7 9 . f 6 2 . 3 0 7 6 . 6 7 7 1 . 6 4 7 9 . 6 6 * *

覚 え ま す か 0 7 5 . 6 9 . 4 2 7 5 . 4 0 女 > 男

2 7 漢 字 を 覚 え る 時 、 何度 も声 に 拙 3 9 . 7 3 4 1 . 6 . 0 7 4 . 6 7 8 . 8 1 * *

して 覚 え ま す か0 4 0 . 1 5 3 8 . 8 4 2 4 . 6 0 4 > 5 > 6

* P<.05  ** P<.01

(11)

162

豊 田 弘 司

検索失敗 検索失敗では性×学年の交互作用(F(2,373)‑ 2.90, p<.10)において有意な傾向 が認められた。下位検定を行ったところ、男児では6年生が4年生及び5年生よりも検索失敗の 合計点が高かったが(6年生と4年生間は、 t(373)‑ 2.98, p<.01; 6年生と5年生問は、 t(xix)‑‑

2.04,p<.05)、後2者間には有意差は認められなかった(t‑.83)。一方、女児では、どの学年 間にも有意な差はみられなかった。項目ごとの分析でも、 6年生の方が4、 5年生よりも"は い"と答える割合が多く学年が上がるにつれて、検索失敗を経験する機会が多くなることがわか る。性差をみると、男児の方が女児よりも"はい"と答える割合が高く、男児の方が女児より多

く検索失敗を経験していることがうかがえる。

記憶に対する自信の有無  上述したように、記憶に対する自信の有無では性(F( )‑3.7, p<.06)に有意な傾向がみられ、女児が男児よりも記憶に対して自信のあることが示されたの である。また、学年の主効果(F(2,373)‑ 16.48, p<.001)が有意であり、下位検定の結果、 4年 生が5及び6年生よりも記憶に対する自信があり(4年と5年の間t(373)‑4.61,Pく.001; 4年 と6年の間t(373)‑5.35,p<.001)、後2者問には差はなかった(t‑.67)。上記の結果は、検索 失敗と表裏の関係にあるもので、学年の進行とともに検索失敗の機会が上昇し、記憶に対する自 信が低下したものと考えられる。項目ごとにみても、おおむね4年生が5、 6年生よりも"は い"と答える傾向があり、学年とともに記憶に対する自信が低くなっていることが示されている。

内的記憶方噂の使用  内的記憶方略の使用では、学年の主効果(F(2.373)‑ 2.69, p<.07)に 有意な傾向が認められ、下位検定の結果、統計的には5年生が6年生よりも内的記憶方略の使用 の得点が高くなったが(t(373)‑2.26,p<.05)、 4年と6年間(t‑ 1.41)及び4年と5年間には 有意差はなかった(t‑.89)。したがって、学年による内的記憶方略に関する発達的変化はみら れないといえよう。日常の記憶課題に対する方略の使用を検討した、 Kreutzerらの研究 (Kreutzer, Leonard & Flavell, 1975)は、小学5年生でも日常での記憶課題に対して内的記憶 方略を使用する割合は25%に過ぎないという結果を示している。したがって、実験室的な記憶 場面では、リ‑‑サルや体制化という記憶効率を高める方略が使用されることは考えられるが、

実際の児童の日常の学習場面においては、内的記憶方略を意識して使用するようになることはあ まり考えられないといえよう。項目ごとにみると、おおむね女児の方が男児よりも内的記憶方略 を用いる割合が高かった。特に覚えるべき情幸酎こ対する注意の程度を調べた項目(9、22)で女 児が男児よりも割合が高くなっている。また、リ‑‑サル方略を調べた項目(16)でも性差があ り、女児の方が男児よりもリハーサル方略を用いる割合が高いことがうかがえる。また、この項 目には学年差(6年>4年)がみられ、リ‑‑サル方略の割合が学年とともに上昇することがわ かる。この結果は、リハーサルを用いる者の数が年齢とともに増加することを示した先の研究 (Flavell et al. 1966)と一致している。

外的記憶方時の使用 外的記憶方略では性の主効果(F(1,373)‑6.21, p<.02)が有意であり、

女児が男児よりも外的記憶方略を用いる機会の多いことが明らかになった。外的記憶方略の使用 に関して性差を兄いだしたことは興味深い。記憶活動における性差のメカニズムは明らかではな いが、記憶活動において性差を考慮することの必要性が示唆されたのである。

一方、外的記憶方略の使用における学年差はみられなかった。先に紹介した、 Kreutzer et al.

(1975)でも、日常の記憶課題に対して、ノートを使うという外的記憶方略が小学1年、 3年、

5年生のいずれの学年においてもほとんどの子どもにおいて用いられていることが示されている。

したがって、外的記憶方略は、児童期の初期においてもうすでに多く使用されており、学年によ

(12)

る発達的変化はほとんどみられないといえよう。項目ごとにみても、学年差はみられない。しか し、どの項目においても一貫して女児の方が男児よりも"はい''と答える割合が多く、上述した 通り、外的記憶方略の使用は男児よりも女児の方が多いといえる。

要   約

本研究の第1の目的は、児童版の自己診断記憶尺度を作成し、そこで査定された記憶活動に関 する得点と実際の記憶成績の関係を調べることであった。被験者は、小学4年生、 5年生及び6 年生であった。被験者は、検索失敗、記憶に対する自信の有無、内的記憶方略及び外的記憶方略

に対応する質問項目28項目からなる自己診断記憶尺度に対して、 ̀̀はい'' "いいえ"で答えるよ うに求められ、その後、単語自由再生、文章記憶及び順唱テストを受けた。重回帰分析を行った ところ、説明率は低いものの、どの学年においてもおおむね自己診断記憶尺度での得点が単語自 由再生テストの得点を有意に説明し、順唱においても5年生以外に同じ傾向が認められた。

本研究の第2の目的は、児童期後半の記憶活動における発達的変化を調べることであった。上 記の自己診断記憶尺度の反応を分析したところ、学年が上がるにつれて検索失敗を経験する割合 が増加し、それに対応して記憶に対する自信が低下していくことが明らかになった。また、内的 記憶方略の使用については発達的変化はみられず、外的記憶方略については、女児が男児よりも

その使用が多いという性差が明らかになった。

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く付記)本研究のデータの収集と分析に関しては、奈良教育大学心理学専攻3回生の鬼頭 衛君、

佐々木弘江さん、宮崎由紀さんの協力を得た。記して、感謝の意を表します。

(14)

Developmental Changes of Memory Activities in Children

Hiroshi Toyota

(Department of Psychology, Nara University of Education, Nara 630, Japan) (Recieved April 5, 1993)

The first purpose of present study were to develop the childrens scale for assessing individual differences in memory activities and to investigate the relationship between the memory activities assessed by the above scale and the memory performances. The subjects were 132 forth, 121 fifth and 126 sixth graders. They were asked to respond a list of 28 statements representing retrieval failure, internal strategies, external strategies and confidence in memory ability. Multiple regression indicated that the above scale ex‑

plained 7‑20% of free recall performances and 4‑9% of digit recall ones in all graders.

Factor analyses yielded three factors which corresponded to retrieval failure, confidence in memory ability and memory strategies.

The second purpose of this study was to investigate the developmental changes in memory activities assessed by the above scale. The results showed that children were likely to perceive retrieval failure and to be less confident in memory ability as they grew older and that there were no developmental changes in both internal and external strategies.

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