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福島県立医科大学 学術機関リポジトリ

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Academic year: 2021

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Fukushima Medical University

福島県立医科大学 学術機関リポジトリ

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Title Estimation of frequency difference at which stream segregation precedes temporal integration as reflected by omission

mismatch negativity( 内容・審査結果要旨 ) Author(s) 疋田, 雅之

Citation

Issue Date 2020-09-30

URL http://ir.fmu.ac.jp/dspace/handle/123456789/1346

Rights Fulltext: This thesis is revised from "Biol Psychol. 2020 Mar;151:107848. doi: 10.1016/j.biopsycho.2020.107848. © 2020 Elsevier B.V."

DOI

Text Version ETD

(2)

論 文 内 容 要 旨

氏名し め い

ひきた まさゆき 疋田 雅之

学位論文題名

Estimation of frequency difference at which stream segregation precedes temporal integration as reflected by omission mismatch negativity(音脈分凝が時間統合に優先 する周波数差の検討:欠落音に対するミスマッチ陰性電位を用いて)

聴覚情景分析とは、聴覚システムが、時間的に重なりあい、周波数も重複し、分散された 音の集合を分解する過程である。聴覚情報分析においては、時間統合と音脈分凝という2つ の情報処理が重要といわれている。時間統合とは、聴覚刺激を、時間統合窓(Temporal window of integration; TWI)の統合処理を経て、160-170msの時間長の一つの感覚単位と して統合する機能である。これは、ミスマッチ陰性電位(Mismatch negativity;MMN)という 自動的聴覚識別機能を反映する事象関連電位(Event-related potential;ERP)を指標として観 察される。また、MMNは、非注意の情報処理として知られている。音脈分凝とは、音の集 合を一つあるいはそれ以上の音脈として知覚される現象であり、周波数が交互に変わる2つ の音が素早く提示されると、高音と低音が分離した別々の音脈として知覚されることで示さ れる。これまでの研究から、音脈分凝と時間統合が同時に作用した際、音脈分凝が時間統合 過程に優先しうることが示されている。

本研究の目的は、非注意下において2種類の周波数の異なる音を提示した場合、どの程度 周波数差が生じれば、音脈分凝が時間統合機能に優先して発生するのかを、MMNを用いて 調べることである。健常者22名に対して、持続長50msのトーン音がSOA 120msで現れる 6種の音系列のブロックが提示し、脳波を測定した。第1ブロックでは、周波数3000Hzの 高音と同周波数のトーン音が、第2ブロックでは周波数3000Hzの高音と周波数2500Hzの 低音が、第3ブロックでは周波数3000Hzの高音と周波数2000Hzの低音が、そして第4ブ ロックでは周波数3000Hzの高音と周波数1500Hzの低音が、第5ブロックでは周波数 3000Hzの高音と周波数1000Hzの低音が、第6ブロックでは周波数3000Hzの高音と周波

500Hzの低音が交互に提示されるように構成されており、高音が全体の5%の頻度でラン

ダムに欠落する。その結果、連続音(高音、低音:3000Hz)、及び周波数差の少ない音系列

(高音:3000Hz,低音:2500Hz)において、刺激欠落に対するMMNが誘発された。反対に、

周波数差がより大きい音系列(低音:2000Hz以下)では、MMNは誘発されなかった。こ れにより、非注意下の条件において、3000Hzを基準とした際、1000Hz以上の周波数差が存 在するときに、音脈分凝が、時間統合に優先して働くことが示唆された。

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学位論文審査結果報告書

令和2年7月15日 大学院医学研究科長 様

下記のとおり学位論文の審査を終了したので報告いたします。

【審査結果要旨】

氏名:疋田 雅之 (神経精神医学講座)

学位論文題名:Estimation of frequency difference at which stream segregation precedes temporal integration as reflected by omission mismatch negativity (音脈分凝が時間統合 に優先する周波数差の検討:欠落音に対するミスマッチ陰性電位を用いて)

聴覚情報分析において、時間統合と音脈分凝という主に 2 種類の情報処理要素が存在する。従 来の研究から、時間統合と音脈分凝が同時に作用した際、音脈分凝が時間統合に優先する、す なわち、音脈分凝の際には時間統合機能が検出できないことが報告されているが、この現象の基 盤となる音脈分凝の詳細な条件検討は行われていない。今回、申請者は、音脈分凝の際の周波 数差が、時間統合機能の検出に与える影響について解析した。高音として 3000Hz の刺激を用い、

低音として 3000Hz から 500Hz ごとに低下させ、最終的に 500Hzまで変化させた 6 種類の組み合 わせ(音系列ブロック)を用いた。健常者 22 名に対して、上記の 6 種類の音系列ブロックを提示し、

いずれのブロックでも高音が全体の 5%の頻度で欠落する条件のもと、脳波を測定することによっ て、時間統合の指標であるミスマッチ陰性電位の発生の有無を検討した。その結果、周波数差が ない (高音、低音ともに 3000Hz)、あるいはそれが小さい音系列 (高音: 3000Kz、低音: 2500Hz) の場合、ミスマッチ陰性電位は検出されたが、周波数差がそれより大きい音系列(高音:3000Hz、

低音:2000~500Hz)の場合、事象関連電位は検出されなかった。以上の結果から、高音 3000Hz を基準とした場合、低音に少なくとも 1000Hz 以上の周波数差が存在する場合に、音脈分凝が起こ

(4)

り、その際に時間統合機能が検出できなくなることが示唆された。

本研究は、聴覚情景分析において音脈分凝の際の周波数条件を詳細に解析したものであり、

従来の音脈分凝が時間統合を優先するというシンプルな考え方を補正するものである。また、統合 失調症において音脈分凝の生じにくさが報告されており、今回の実験系を用いてミスマッチ陰性電 位の発生する音脈を解析することにより、同疾患の非注意下における聴覚情報処理を評価で きる可能性がある。この成果は、既に、国際誌 Biological Psychology (151:107848, 2020) に発 表されている。学位論文に関して、審査員からいくつかのコメントがあったが、別紙に示すように、

適切に対応がなされた。審査会における発表および質問に対する応答も的確なものであった。し たがって、本審査会はこの論文を学位論文に相応しいものと結論する。

論文審査委員 主審査 小林 和人 副査 佐久間 潤

副査 髙橋 和巳

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