時差出勤が通勤 ドライバーの 出発時刻と経路選択に及ぼす影響
柳沢吉保 飯田恭敬 内田敬 The Stagger Working Hours Considering the Uncertainty
of Peak‑Hour Travel Demand
By Yoshiyasu YANAGISAWA Yasunori IIDA TakashiUCHIDA
Thispaperexaminestheproblemofpeak‑hourstrafficcongestionandtheanalysis ofalternativescongestionreliefmethods.Itpresentsaestimationmodelofthedepar‑ turetimeandroutechoice,andsystem perfom ancefunctionconsideringtheuncer‑ taintyoftraveltimeandcommuter'sutility.Themodelconsistsoftheestimatedtravel timeandscheduledelay.Numericalexamplewereperformedinordertocleartheeffect ofthestaggerofworkstarttime.
1. は じ め に
自動車交通需要の増加 に対 し,都心部の道路整備 の進展が遅れているため,道路混雑 は 年々悪化 している.特に通勤時の渋滞は,社会 ・経済活動に重大な影響を及ぼしているので, 早急に解決 しなければならない問題 となっている.
渋滞の解消策 としては,‑‑ ド面からの道路施設整備があるが,財源や期間の面 に問題が ある.また潜在的な交通需要が大 きいので,道路施設整備 も後追いになる傾向にある.そ こ で ソフ ト面か らの政策 によってピーク需要を分散 し,混雑を緩和す る方法1)が有効 となる.
ところで本研究で扱 う通勤交通の特徴は,到着指定時刻 とい う制約があ り, ドライバーは この制約を考慮にいれた行動をとる.すなわち始業時刻に遅れないように,利用可能 な経路 の交通状態 も考慮 しなが ら,出発時刻や経路の選択を行 っている.そこで ピーク需要の分散 による混雑緩和策 としては,同一の時間帯 に集中 している企業の始業時刻をず らし,通勤者 の出発時刻分布を分散 させる時差出勤策が考えられる1).
本研究では,効果的な時差出勤策を立案するために,始業時刻の設定が通勤交通行動 にど のような影響 を及ぼすか分析を行 う.具体的には,
(1)所要時間の変動を考慮にいれた通勤効用関数の構築を行 う.
(2)効用最大化理論を適用 し,通勤行動モデルの定式化を行な う.
●平成5年12月第16回土木計画学研究講演会にて発表
‥ 土木工学科 助手
●= 京都大学工学部 教授 HH 京都大学工学部 助手
114 柳沢吉保 ・飯田恭敬 ・内田 敬 (3)混雑援和策を評価す るための評価関数を示す.
(4)数値実験 によ り,始業時刻の設定が交通行動に与 える影響 について分析す る.
2.通勤交通行動のモデル化
(1) 通勤効用関数9)・10)
通勤者 は,所要時間 と遅刻ペナルテ ィーを考慮 して,出発時刻や経路の選択行動 を行 って いる.所要時間については,同一の経路を利用 しても出発時間帯によって異なる. また同一 の経路 と出発時刻を選択 しても交通状態の毎 日の変動にともない所要時間が異 なってしま う.
したがって所要時間は時々刻々 と変動 しているので,通勤者 もこれ らを考慮にいれた選択行 動を行 っていると考 えられる. また通勤には始業時刻があるので,所要時間だけでな く, 目 的地 に到着 してから始業時刻 までに費やす到着余裕時間 も考慮 に入れる必要がある.
J本研究では, これ らの ことを考慮 して次のよ うな通勤行動の効用関数を提案する. ドライ バーの通勤行動を考 えると,通勤者は所要時間の変動を考慮 し,通勤行動 を起 こす前に選択 可能 な経路および出発時刻の効用の見積を行 な う.すなわち出発 してから始業時刻 までに費 や される時間の損失費相 と遅刻 してしまった場合の損失 との トレー ドオフによ り,特定の選 択肢 の効用を見積 るもの とす る.所要時間の変動が図‑ 1のように何 らかの確率分布に従 う
とす ると, この効用関数は下のように表せ る.
Vl(r,tslt。)‑β(t。‑ts)
+
γFl(t。I
r,ts)確
率 密 度
分布(1) i:ODi
r,td,ts:経路,始業時刻,出発時刻 所
要 時 間 の
td‑ts:実効旅行時間
β,γ:不効用に関す るパ ラメータ t:平均所要時 F(・):遅刻す る確率
ここでは,時間損失の項 は所要時間 と到 着余裕時間の和で表 させ る実効旅行時間を 用いた.通勤行動の決定に影響を与 える要 因 としては,所要時間のような時間価値的
ts:出発 時 刻
一l遅刻確率
t s
≡: 実効施行時間 も う d :始鞘 割
図‑ 1 所要時間分布と実効旅行時間 なもののほかに, 目的地での駐車場の空 き
状況,個人のライフスタイル といった ものも考 えられるが,本研究では時間価値の変化が, 交通行動にどのような影響を与 えるかを分析す るため,効用関数の変数には時間価値 に関す
るものに絞 ってモデルの構築を行 った.
(2)通勤効用関数による通勤行動モデル5)心 7)・11)・12)
毎 日行われている通勤行動では, ドライバーは様々な出発時刻,経路を選択する. ここで は ドライバーが通勤時の選択可能な出発時刻ts‑(t。,‑,T),経路r‑(1,‑,R)を選択す る 確率P(r,ts)を考 える.
通常,通勤者は(1)式で表 される不効用が最小 となるよ うな出発時刻 と経路を選択す るが, 個人の知覚の違いなどにより,不効用が最小 となる経路 と出発時刻 は ドライバ ーによって異 なる.そこで通勤時の選択行動は,通勤行動により得 られ る効用関数をランダム効用関数 と
し,効用最大化理論によるロジ ットモデルを用いて記述 す ることにす る.
通勤行動の実証的な分析によ り, ドライバ‑は通営, 交通状態の変動に対 し経路 を先決 しておいて, よ り出発 時刻選択で柔軟 に対応 していることがわかっている12).
図‑2に示 しているよ うに,本研究でもそれに従 った選 択 プロセスのNLモデルを構築す る.
レベル1,2に関す るスケールパ ラメータをJLL,FE2
とす ると,出発時刻 と経路の選択確率は,
P,(r,tslt.)‑P,(tsJr,t.)・P.(rltd)
ここで,
レベノレ2
/\
経路j ‑
・
レベル1 / \
出発時刻i‑
図‑2 出発時刻と経路の選 択プロセスツリー
vl(
r ・* l t d ) ‑
忘 1n∑exp′ lplVI(r・jltd)](2)
(3)
vl(*・*ltd)‑忘 1n∑eZLxp[p2Vl(r・*ltd)] (4) と表 され, スケールパ ラメ‑タの大小関係 は0<JL2≦FLlとなる.
こうして(2)式 より出発時刻 と経路の選択確率が得 られ ると,経路 r,時刻 tsを選択す る通 勤者の発生量 (台)X.(r,ts)は,対象 とす る通勤時間帯の総発生量を Ⅹlとす ると次式で 求め られる.
ⅩI(r,tslt。)‑ⅩI・P.(r,tslt。) (5)
本研究では,経路誘導のような短期的な行動に対す る分析ではな く,時差出勤 な どの政策 後 に最終的に形成 される定常的な交通状態について評価 を行 な う.時差出勤 などの ように頻 繁に変更 しない政策を行 った場合,通勤者 は過去に繰 り返 し行 った行動から得た経験 よ り, 選択可能な経路 と出発時刻の交通状態を知 ることになる.すなわち,ほぼ完全情報 のもとで 最適な選択肢を認識す ることになる.そこで ドライバーの完全情報の仮定の もとに通勤選択 行動の収束状態を求める.
ところで,OD間の所要時間については動的シ ミュレ‑シ ョソモデルを用 いてい るので, 本モデルを数理的な最適化問題 として定式化 して解 くことは難 しい.そこで利用者 の均衡問 題の近似解法 として用いられているIA法の考 え方を適用 し,収束状態を求める.
3.評価関数の設定 と政策の評価方法
本研究では,時差出勤策や フレックスタイム制 のように始業時刻の設定が交通行動に どの ような影響 を与 えるか分析する.通勤交通では各会社の始業時刻がある時間帯 に集中 してい る場合,通勤による交通量が集中し渋滞を引き起 こす ことになる.そこで時差出勤や フレッ クスタイム制により企業の始業時刻をず らす と集中していた発生交通量が分散 し,通勤時の
116 柳沢吉保 ・飯田恭敬 ・内田 敬
所要時間 と分散が小 さくな り,通勤者の所要時間や不効用を低 くす ることがで きる2)・3)・4). こ の ように始業時刻の設定 によってピーク需要を分散す ることができるが,始業時刻 の設定 と 通勤行動 との関係を分析す ることは,有効 な時差出勤政策を考案す るための資料 となる. こ こではこうした政策の評価指標 としては,(6),(7)式のような期待総所要時間,見積総不効用 を用いることが考 えられ る.
ET(Ⅹ)‑∑1∑∑rt9t∑Ⅹ1d (r,tsJt.)×も(r,tslt。) (6) EV(X)‑?;EEXl(r・tsLtd)xV,(r・tsrtd) (7) (6)式は混雑緩和に関す る評価関数であ り,道路 の合理的な運用を目指す交通管理者側 によ る評価関数である. したがって, この評価値が小 さいほど混雑援和効果が高い政策 とい うこ とになる. これに対 し(7)式は通勤効用関数を用い,所要時間だけでな く到着余裕時間,また は遅刻ペナルテ ィーなどの項 も取 り入れてお り, この値が小 さいほど通勤時の不効用が小 さ い. したがってこれは道路利用者側からみた評価関数 といえる.
ここで所要時間 と通勤不効用 との関係を考案す る.政策 によっては,一部の ドライバ ーの 不効用が大 きくなってしまった結果,総所要時間が小 さくなる場合がある. また不効用が小 さくても,ある道路の一部の時間帯に需要が集中 し,合理的な道路利用が成 されずに総所要 時間が大 きくなって しま う場合 もある.そ こで本研究では,(6),(7)式を用い,合理的な道路 利用 と, ドライバーの効用の両面から政策の評価 と交通状態の分析を行な う.
政策の評価方法については, まず政策変数を時差出勤の始業時刻やそのときの時差出勤量 とす る. この政策変数を操作決定 し,そのときの通勤者の出発時刻分布を第2章で構築 した 通勤行動
ただ し,諾
ルによ り求める.そして再現 された交通状態の評価値を(6),(7)式 より求め る.
時刻を変えることによって生ず る各企業の損失については考 えず,始業時刻の 設定範囲については企業 より与 えられているもの とす る. また評価関数に卓出往事状況, ライ フスタイルに関する変数は除 き,時間に関す る変数に絞 って,時間損失が発生時刻分布の形 成 に与 える影響 について分析を行 う.
4.仮想モデルによる数値計算例 と考察
この章では トリップ長の異なる20Dの簡単なネ ットワークに対 し,基本モデルを設定 し, その ときの交通行動 について分析を行 う.つ ぎに始業時刻の設定が交通行動 にどのよ うな影 響 を与 えるのか,3章で設定 した評価関数値 とあわせて分析を行 な う.そ してODごとに通 勤効用のパ ラメータが異 なる場合の交通行動 も分析を行 ない,始業時刻七通勤行動の一般的
な関係について考察する.
(1) 基本的な条件の設定
<ネ ットワークの設定>モデルネ ッ トワークは図‑ 3に示す.ODlは ノー ド1‑ 3間, OD 2はノー ド2‑ 3間 とす る.ODlは2つの経路か らな り, リンク1を通 る場合が経路
1, リンク2を通 る場合が経路2とす る.
<出発時間帯>6:00か ら10:00までの4時間を出発時間帯 とした. この出発時間帯 におい て,5分間隔に発生する交通量 を分析す る.
<勤的交通流モデルの諸条件>設定 したネ ッ トワークの交通条件は次の とお りである. リ ソク1, 2, 3の流出容量 はそれぞれ40,40,
80台/5minとす る. また 自由走行 時間 は それぞれ20,30,20分 とす る. したがって自 由走行時では経路2の方が所要時間が長 くな
リンク2
図‑3 モデルネットワーク るよ うに設定 した.
<効用関数のパ ラメータの設定>(2)式で示 したモデルパ ラメータには,長野市一須坂市間の 実際の通勤行動データである平成2年度長野都市圏PT調査データを用いて推定 した結果を 基本 モデル として用 い る.モデルパ ラメ‑タの推定結果 は,βニー0.054,γニー6.305,
〟2=0.57となった.
<通勤者の所要時間 と分散> ここでは気候 の変化や事故などの特別 な事象以外 の, 日常的に 生ず る所要時間のばらつ きを対象 とす る.各経路,出発時刻の所要時間の平均値 と分散 につ いては動的交通流モデルより求める8).
(2)始業時刻の設定が通勤行動に与 える影響
始業時刻の設定は通勤行動にさまざまな影響を与 えるが,ある時刻に発生 した交通が他の 発生交通 と同一利用 リソク上で互いに及ぼ し合 う影響 には,以下の ものが考 えられ る.
<影響
1 >
異なるODか ら発生 した トt)ッブどうLが同一の利用 1)ソク上で及ぼし合 う影響.<影響2>同 じODから発生 した ト1)ップでも,効用バ ラメ‑タが異なるために発生時刻分 布の異なってしまった トリップどうLが互 いに及ぼし合 う影響.
これ らの影響が始業時刻がずれ ることによって どう変わ るのか,発生時刻分布や評価関数 値の両面から分析を行 な う. ここでは主に影響1について分析を行 う.
影響1の始業時刻の設定には,同一の利用 リンク上 を流れる長い トリップと短い トリップ について,短い トリップを先に流 してしま う場合 と,長い トリップを先 に流 して しま う場合 が考 えられる. ここでは長い トリップであるノー ド1を出発す る ドライ,I‑の始業時刻 を固 定 し,短い トリップのノー ド2を出発す る ドライ,(‑の始業時刻をず らす ことを考 える.具 体的にはノー ド1か ら出発す る通勤 ドライバーの始業時刻を9:00とし, ノー ド2か ら出発 す る通勤 ドライバーの始業時刻を8:30とする場合 と, 9 :30とす る場合の2通 りを考 える.
(3)基本モデルの設定 と通勤行動の影響分析
・総発生量 はOD 1, 2とも500台 とす る.ネ ッ トワ‑ク条件や通勤効用パ ラメータな どは 基本条件のものを用いる.
このケースの交通状態は,図一 4, 5の所要時間分布 と出発時刻分布 に示 した.
まず,ODlと2の始業時刻が同 じ場合 の影響分析 を行 う.図‑4よ り所要時間分布 をみ ると自由走行時 よりもピーク発生時で15分以上 も時間がかかる. これは, ノー ド1か ら発生 した ピーク交通量が ノー ド2を通過す るとき, ノー ド2から発生 している交通量 と重 な り, 大 きな渋滞を引き起 こしているか らである.ODlの ドライバーが ノー ド2を通過す る時刻 も,OD 2の ドライバーが ノー ド2から出発す る時刻 も始業時刻に対 して最小不効用 となる よ うに選択 されるため, このケースのよ うにOD′1とOD 2の始業時刻が同 じで, しか も通 勤効用のパ ラメータ値 も同 じ場合, ノー ド2においてODlの通過交通 と,OD 2の発生交
118
所要時間 (令) 55 50 45 40 35 30 25 29 15
柳沢吉保 ・飯田恭敬 ・内田 敬 発生量 (台)
\\・、
± 三 三≡塾
7:7:7:7:7:7こ7:7:7:7:7:7:8:8:8:8:8:8:8:8:8:8:8:8:9・.91. 0
0 0510152025:始3540455C)55吻 a5181528253035404553550aO5 8
出発時刻
777777777777888888888888999 舶8510152025383540455055㈲ 051015282530354845585500 8518
出発時刻
図‑ 4 0D2の始業時刻を9:30とした 図‑5 0D2の始業時刻を9:30とした
ときの所要時間分布 ときの発生時刻分布
通が重 な りやす くなる.
次 に,OD 2の始業時刻を上述 した とお り8 :30, 9 :30にず らした場合 の交通状 態につ いて分析 を行 う. この ときの交通状態 につ いて,OD 2の始業時刻が8:30の場合 は,OD
lの ピーク交通が ノー ド2を通過するときにはOD2の ドライバーはほ とん ど出発 して しま っている.また始業時刻を9:30にず らした場合 には.ODlの ドライバ ーが ノー ド2を通 過 し終わ るまで,OD 2か ら出発する ドライバ ーの数 は少 ない.す なわちODlから発生 し た トリップが ノー ド2か ら発生す る トリップと重 なる数 は始業時刻 を同一に している場合 と 比較 し少 ないため,混雑 も小 さい.図‑4か らも混雑が小 さ くなっていることが分か る.所 要時間が短いため,発生交通 の ピークも始業時刻 をず らす まえと比較 し10分 も遅 く発生 して いることが分かる.
(4)スケールパ ラメータの及ぼす影響
スケールパ ラメ‑タを表‑ 1の よう.に設定 し,その ときの交通行動 について分析す る.そ れぞれのケースでの発生時刻分布 を図‑6に示す.
図‑ 6よ り,IL2の値 が大 きくなるほ どど‑ク発生量 が大 き くなっている ことが分 か る.
この ことは〟2の値が大 きいほ ど ドライバーは通勤不効用の小 さい選択肢 に集 中す る ことを 示 してい る.IL2の値 が小 さい方が ドライバ ‑に とって不利 な経路2を よ り多 く選択 して し
発生量 (台)
08851015282538354045585500051015282538354045585500 0518 出発時刻
図‑6 各ケースの
O D
l経路1の発生時刻分布 総走行時間 37289 37518 37108総 不 効 用 3655 3673 3647
まっていることが表‑ 2よ り分かる.
(5) ODlと2の通勤効用パ ラメータが異 なる場合
ここではODlと2の効用パ ラメータが 異なる場合のOD2の始業時刻設定が交通 行動 に与 える影響 につ いて分析す る.OD
lのパ ラメータの設定 については表‑ 3に 示す.また,各パ ラメータのODlの発生 交通状態を図一 7に,評価関数値を図‑ 8 に示す.
ケース1は,実効旅行時間に関す るパ ラ メータが小 さいので,単位時間当 りの旅行 時間の損失が小 さく,早めの出発による旅 行時間損失 も少ない. また遅刻に関す るパ ラメータは大 きいことから,遅刻ペナルテ ィーが大 きくなるので,遅刻 しないよ うに 早めの出発を行 う. このよ うなパ ラメータ をもつ発生交通は,基本モデルで示 した発 生時刻分布 と比較 し早めの出発が行われる.
この ことは図‑ 7をみてもわかる. このよ うな場合,ODlの ドライバーは基本 モデ ルよりも早い時刻にノー ド2を通過 してい るので,短い トリップの ドライバーの始業 時刻を後 ろにず らし,遅い時刻に出発 させ た方が,同一の利用1)ソク上での長 い ト1)
ップと重 なる数は小 さくな り,総所要時間 も小 さくなる.(図‑ 8)
ケース2は,実効旅行時間に関す るパ ラ メータが大 きいので,単位時間当 りの旅行
表‑3 各ケースの設定
β γ
ケース1 ‑0.027 ‑12.610 ケース2 ‑0.106 ‑ 3.153 ケース3 ‑0.027 ‑ 3.153 ケース4 ‑0.106 ‑12.610
(令 )
78
亡41・
50 48 38 28
10
07:7:7:7:7:7:7:7:7:7:7:7:8:8:8:8:8:8:8:8:8:8:8:8 :9:9 : 9 :
Cha851815282530354 ⑦455055CIa8510152025383540455055CO0518
出発時刻
図‑7 0Dl経路1の発生時刻分布
総所要時間 (分)
38CO3
37eOZ) 3m 35㈱
3Jill11 33eKh
32cc0
31㈱ 3C㈱丑
1 2 3 4
ケース
図一8 各ケースの総所要時間 時間の損失が大 きく,早めの出発 による旅
行時間損失 も大 きくなる.遅刻に関す るパ ラメータが小 さいことか ら,遅刻べナ/I,1テ ィーは 小 さくな り,多少の遅刻は覚悟で遅めの出発を行 う. このようなバ ラメータを もつ発生交通 紘,基本モデルで示 した発生時刻分布 と比較 し遅めの出発が行われ る.すなわ ちODlの ド
ライバーは基本モデル よりも遅い時刻にノー ド2に達す るので,OD2の ドライバ ーを早め に出発 させた方が,ODlの トリップとの重 な りは小 さくなる.
ケース3の場合は,実効旅行時間 と遅刻に関す る′くラメータの両方が小 さい. このよ うな バ ラメ‑タでは,早めの出発による旅行時間損失 も小 さく,また遅刻ペナルテ ィーも小 さい ので,発生交通 はなだ らかな出発分布を形成 され る. このケースの場合,発生時刻分布 の ピ ーク発生量 は基本モデルはど大 きくはないが,早い出発時刻から比較的大 きな発生量が生 じ
120 柳沢吉保 ・飯田恭敬 ・内臼 敬
やす い.そ こで この発生交通 と重 ならない よ うに,OD 2の ドライバ ーの始業時刻を後 ろに ず らし,遅めの出発が行 えるよ うな始業時刻設定 が効果的である.
ケース4は実効旅行時間 も遅刻 に関するパ ラメータも大 きい. このよ うなパ ラメータでは, 早めの出発による旅行時間損失 も,また遅刻 ペナルテ ィーもおおきいので,発生交通 はある 時刻 に集中 しやす くなる. この場合 ピーク発生後渋滞 が続 くので, この発生交通 と重 な らな い よ うに短い トリップは早めの出発を行 うよ うな始業時刻設定 の方が効果的である.
5.お わ り に
本研究では,通勤交通の経路 と出発時刻 の同時選択 モデルを用いて,始業時刻の設定 が通 勤交通行動に及ぼす影響 を分析 した.
時間価値の変動が どの よ うに交通行動に影響を与 えるか分析す るため, ドライバーの通勤 効用 は所要時間のその変動 に関す る項 だけに絞 って構築 した.通勤行動 の収束計算 には, ド
ライバーの完全情報を仮定LIA法の考 え方を適用 した. また,混雑緩和効果 を評価す る関 数 として総所要時間を, ドライバ ーの通勤時の効 用を評価す る関数 として総不効用を用 い, 発生時刻分布 の交通状態の評価を行 った.そ して始業時刻 の設定が通勤交通行動 に及 ぼす影 響 について, い くつかの数値計算例を行い,以下 のよ うな結論が得 られた.
(1) 同 じ リンクを共有す る長 い ト1)ッ7'と短 い トリップの,始業時刻 と通勤効用′(ラメータ が同 じ場合,長 い トリップの通過交通 と短 い トリップの発生交通 は重 な り,大 きな混雑が 生起す る可能性 があることがわかった.
(2)スケールパ ラメータIL2の値 が大 きくなるほ ど, ドライ,,I‑は通勤不効用の小 さい選択 肢 に集中す ることが分 か る.IL2の値 が小 さい方が ドライ,,I‑に とって不利 な選択肢 を選
んで しま うことがわかった.
(3)実効旅行時間 に関す るパ ラメータが小 さ く,遅刻 に関す るパ ラメータは大 きい場合,早 位時間当 りの旅行時間の損失が小 さ く,遅刻ペナルテ ィーが大 きくなるので, ドライ,(‑
は早めの出発を行 う. この場合,短 い トリップの ドライバーの始業時刻を後 ろにず らし, 遅 く出発 させた方が,長 い トリップとの重 な りは小 さくな り,総所要時間 も小 さくなる.
この よ うに始業時刻別の トリップの通勤効用のパ ラメータの大小関係 によって,始業時刻 を前 にず らした方が よいか,後 ろにず らした方が よいのか異なって くることがわかった.
参 考 文 献
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12)柳沢吉保 ,飯 田恭敬 ,内田 敬 :通勤 ドライバ ーの出発時刻 と経路の同時選択 に関す る行動分 析 ,交通工学,Vol.28,No.6,pp.ll‑19,1993