1
平成 30 年度 厚生労働科学研究費補助金 ( 政策科学総合研究事業(統計情報総合研究))
分担研究報告書
研究課題名:医療・介護連携を促進するための
国際生活機能分類を用いた評価と情報共有の仕組みの構築
(H30-統計-一般-003)
分担項目:ICF の評点の採点用ガイドの作成、検証および学習ツールの作成
研究代表者:向野 雅彦 (藤田医科大学医学部リハビリテーション医学
I 講座 准教授)研究要旨:
我々はこれまでに、日本において速やかかつより多くの施設への普及・推進を目指してICF評価セッ ト日本版を作成し、さらに1) ICFの評点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの連 携が可能な仕組みを作り、データベースの作成に取り組んできた。本研究ではさらに臨床で広く普 及をさせていくため、医療・介護の連携においてこれを有効に利用できる仕組みの構築に取り組ん でいる。
本研究ではこれまでに作成してきたデータベースの仕組みを基礎として、評点の信頼性の検討、そ
れに基づく基準の更新、臨床において用いるための教育ツールの作成に取り組んだ。次年度にはこ
れを用いたさらに大規模なデータ収集、介護連携用の仕組みを作成することにより、医療介護連携
の基礎となるデータシステムの構築を目指す。
A. 研究目的
国 際 生 活 機 能 分 類( 以 下
ICF)は 、
2001年 に
WHO総会において採択された生活機能と障害の国際分類である。ICFの概念モデルそのもの は臨床家に浸透しているものの、項目分類はこ れまで臨床でほとんど使用されていない。
我々はこれまでに、日本において速やかかつ より多くの施設への普及・推進を目指してICF 評価セット日本版を作成し、さらに1) ICFの評 点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価 表とICFとの連携が可能な仕組みを作り、デー タベースの作成に取り組んできた。本研究にお いてはその信頼性の検証と、普及に用いるため の様々なツールの作成に取り組んだ。
現在までにICFの国際的な共同研究によって、
種々の病態等に応じたICFコアセットと呼ばれ る項目群(set)が作成されている。我々は、国 際的な比較に用いられることを想定してこのコ アセットを一部導入し、リハビリテーション患 者を対象に作られた一般セット(30項目版)を 評価セット日本版のベースとしている。これま で、この評価セットを用いて多施設におけるデ ータ収集を行ってきた。本研究では特に検者間 信頼性の検証に取り組むとともに、それを改善 するための採点基準の更新、教育ツールの作成 を行った。
B. 研究方法
1. ICF
の評点の採点用ガイドの完成、検者間信頼
性の検証
前年度までの研究事業(H28-統計-一般-004)
において行われてきた評点ガイドの作成と検証 のプロセスを引き継ぎ、ICFリハビリテーション セットの30項目を対象に採点用リファレンスガ イドを作成した。作成は以下のような臨床家の 採点プロセスの分析に基づいて行われた。急性 期から慢性期、障害が軽度から重度、リハビリ テーションの対象となる様々な疾患の患者が含 まれるよう、9名の対象患者を選定し、患者の記 録へのアクセスおよび本人への直接聴取が可能 な4名の評価者が独立してICFの基準を参考とし て評点の採点を行った。次に、インタビュアー がそれぞれ4名の評価者に面接を行い、何に着目 して評点をつけたか、その点数を選択した理 由、他の点数を選択しなかった理由について聴 取を行った。その上で、インタビュアーおよび4 名の評価者によるディスカッションを行い、ICF のコード化ガイドラインに矛盾せずかつ参加者 のコンセンサスの得られる形でどのような参照 基準が作成できるかを検討し、その結果に基づ
いてリファレンスガイドの作成を行った。その 後、当研究班内およびスイスのICF研究の専門家 のフィードバックを受け、ICFの本来の評点の仕 組みとの整合性について確認を行った。指摘さ れた問題点について、再度インタビュアーと評 価者によるディスカッションを行い第1版を作成 した。さらに、このICFの仕組みでは十分に評価 がなされない環境因子の依存を評価できるよう にするために環境因子のコートに基づくチェッ クリストを追加することとした。すなわち装具 や建物環境、人の解除によって生活機能日付実 現されている場合にはそれに相当するICF項目の チェックを入れる仕組みを作成した。
作成された採点リファレンスを用いて、100名 の患者を対象として検者間信頼性の検討を実施 した。評価者は4人とし、4人のうちいずれか2名 が1名の患者を評価する形とした。それぞれが
50名ずつ、評価を実施した。項目ごとにどれだけ採点が一致したか、重み付けκ係数を用いて 検討を実施した。参考となるκ係数の基準とし ては、LandisとKochによる基準がよく用いられ る[1]。この基準によると、<0.0, 0.0~0.2,
0.21~0.40, 0.41~0.60, 0.61~0.80, 0.81~1.00がそれぞ
れ”poor”,”Slight”,”Fair”,”Moderate”, “Substantial”,
“Almost Perfect”とそれぞれ定義されている。本
検討においては、この基準に従い、信頼性の判 定を行った。また、結果に基づき、検者間信頼 性が不良な項目についての採点基準の見直しを 実施した。
2.
オンラインデータベースと
e-ラーニングツールの作成
これまでに作成してきた仕組みの普及促進の ため、並行してデータベースの作成に取り組ん だ。データベースは
Vanderbilt大学が開発した
REDCap
と名付けられたオンラインベースのデー
タ集積システムを用いて作成された。さらに、
PC
やスマートフォンよりアクセスできる
e-ラーニングツールを作成した。採点リファレンスを 学習できるスライドと、実例を元にした練習問
題を
270問程度作成し、実際の利用に際して採点練習ができる仕組みの作成に取り組んだ。
C: 研究結果
1. ICF
の評点の採点用リファレンスガイドの完
成、検者間信頼性の検証
前年度までの事業(H28-統計-一般-004)で作成
された評点の採点用ガイドは、当初
d項目(活動
3 と参加)においては
0点から
4点までそれぞれの 点数の内容の例示を行なったのに対し、b 項目
(心身機能)では採点対象となる内容(例えば
d280痛みの感覚であれば痛みの部位の数、頻度 と程度)を明示し、それらを総合的に判断して 点数をつける形式で作成された。
検者間信頼性は重み付けκ係数を用いて検討し た。最終的な信頼性の検討の結果、重み付け
κ係 数は
22項目ある
d項目(活動と参加の項目)で 全ての項目が
0.6以上、そのうち
4項目で
0.8以 上と全般的に高い検者間信頼性が確認された。
一方、b 項目では
9項目のうち
0.6以上の項目が
5項目、d152 情動機能の項目で
0.21と低い傾向 が得られた(資料
1)。そのため、b項目の基準 についてはより点数の手がかりになる具体的な 記載を追加して、第
2版を作成した(資料
2)。今後これを用いた信頼性の検討を実施予定であ る。
2.
採点用ソフトウェアの開発、オンラインデー タベースと
e-ラーニングツールの作成これらの作業を通じて作成した簡潔で直感的 な説明文、採点用リファレンスガイド、入院中 や介護場面等の場面に応じた項目セットを用い て、採点を支援するツールの作成に取り組ん だ。簡潔で直感的な説明文や採点用リファレン スガイドを収載し、ガイドを参照しなくても簡 潔に採点が可能となるようなアプリケーション を作成した。さらにその内容は
REDCapをベー スとして作成したオンラインデーターベースに も収載した(資料
7)。また、ガイドを参照することなく簡単に採点を行えるようトレーニング する目的で
e-ラーニングツールを作成した(資料 10)。e-ラーニングツールの構成は簡潔で直感的な説明文と採点用リファレンスガイドに基づく 説明ファイルと実際の例文を用いた採点エクサ サイズから構成した。実例となる例文集は、4 名 の研究者により
75例ずつ計
300例が作成され た。独立してその妥当性についての検討が行わ れ、研究者間で採点が一致した例文のみが典型 例として例文集に収載された。
D: 考察
本研究では、臨床での採点を容易にするため に、採点用リファレンスガイドの作成を行っ た。ICF にはもともとコーディングガイドライン が存在するが、それを用いた採点は信頼性が低 いとの複数の報告がある[4, 5]。リハビリテーシ ョンの臨床において、評価スケールは患者の情
報のやりとりに使われるため、高い検査間信頼 性によって、その点数の意味の同質性がきちん と担保されていることが必要である。一方、コ ーディングガイドラインに採点方法の概略は曖 昧ながらも示されているため、それと矛盾する ような基準を勝手に作成することはできない。
そのため本研究では、オリジナルのコーディン グガイドラインに従って実際に臨床家が採点を した結果をベースとして、リファレンスガイド を作成した。信頼性の検討の結果、重み付けκ 係数はほとんどの
0.6を超える値を取り、結果と しては概ね臨床における使用に耐えうる信頼性 が得られたと評価できるが、b 項目については改 善の余地があるため、さらに検討を継続する予 定である。
さらに、本研究によって作成されたリファレ ンスガイドを教育に用いるため、ソフトウェ ア、オンラインデータベース、e-ラーニングツ ールの作成を行った。特に
e-ラーニングツールに関しては、実際の採点を学習しやすいよう、
多くの問題文を作成し、採点者が直感的に採点 しやすいことを目標とした仕組みを作成するこ とに取り組んだ。教育ツールの作成は特に普及 の上で重要な点となるため、次年度においてさ らに検討を行う予定である。
E: 結論
今年度は、ICF 一般セット(30 項目版)を対象と した採点用リファレンスガイドの完成とその検 者間信頼性の検討、データベースや教育システ ムの作成に取り組んだ。今後はさらに
ICFの臨 床への普及を推進するため教育ツールの拡充を 図る予定である。
F. 健康危険情報
特になし
G. 研究発表1 論文発表
Francesca Gimigliano, Melissa Selb, Masahiko Mukaino, Cristiana Baffone, Jerome Bickenbach, Juria Patrick Engkasan, Christoph
Gutenbrunner, Jianan Li, Stefano Negrini, Gerold Stucki, Mauro Zampolini, Jorge Lains (2018).
Strengthening rehabilitation in health systems worldwide by implementing information on functioning in rehabilitation practice, quality management, and policy: 2018 status report. The
Journal of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine, 1(2), 37.
2
学会発表
Masahiko Mukaino, Shinichi Izumi, Eiichi Saitoh, Shigeru Sonoda, Masazumi Mizuma, Shin Yamada Japanese experience in the development of national rehabilitation quality management systems 12th ISPRM world congress, 9th July, Paris
文献
1. Landis JR, Koch GG. The measurement of observer agreement for categorical data.
Biometrics. 1977;33(1):159-74.
2. Cieza A, Brockow T, Ewert T, Amman E, Kollerits B, Chatterji S, et al. Linking health- status measurements to the international classification of functioning, disability and health. J Rehabil Med. 2002;34(5):205-10.
3. Cieza A, Geyh S, Chatterji S, Kostanjsek N, Ustun B, Stucki G. ICF linking rules: an update based on lessons learned. J Rehabil Med.
2005;37(4):212-8.
4. Starrost K, Geyh S, Trautwein A, Grunow J, Ceballos-Baumann A, Prosiegel M, et al.
Interrater reliability of the extended ICF core set for stroke applied by physical therapists. Phys Ther. 2008;88(7):841-51.
5. Uhlig T, Lillemo S, Moe RH, Stamm T,
Cieza A, Boonen A, et al. Reliability of the ICF
Core Set for rheumatoid arthritis. Ann Rheum
Dis. 2007;66(8):1078-84.
5
weighted kappa
(linear weight)
b130 活力と欲動の機能 0.63
b134 睡眠機能 0.70
b152 情動機能 0.25
b280 痛みの感覚 0.50
b455 運動耐容能 0.51
b620 排尿機能 0.90
b640 性機能 0.65
b710 関節の可動性の機能 0.53
b730 筋力の機能 0.60
d230 日課の遂行 0.61
d240 ストレスとその他の心理的要求への対処 0.70
d410 基本的な姿勢の変換 0.81
d415 姿勢の保持 0.79
d420 乗り移り(移乗) 0.79
d450 I 歩行 屋内 0.74
d450 O 屋外、悪路 0.82
d455 移動 0.73
d465 用具を用いての移動 0.72
d470 交通機関や手段の利用 0.67
d510 自分の身体を洗うこと 0.75
d520 身体各部の手入れ 0.72
d530 排泄 0.78
d540 更衣 0.76
d550 食べること 0.85
d570 健康に注意すること 0.63
d640 調理以外の家事 0.73
d660 他者への援助 0.84
d710 基本的な対人関係 0.66
d770 親密な関係 0.68
d850 報酬を伴う仕事 0.77
d920 レクリエーションとレジャー 0.61
資料 1 検者間信頼性
心身機能 b152 情動機能
活動と参加
d230 日課の遂行
簡潔で直感的な説明文 評価する側面 何を完全な問題とするか
・適切に感情をコントロールする機能
・問題の程度
・問題の頻度
・完全な問題とは、モチベーション・
意欲や食欲が常に全くない状態を指 す。
簡潔で直感的な説明文 評価する側面 何を完全な問題とするか
・適切に感情をコントロールする機能
・問題の程度
・問題の頻度
・完全な問題とは、モチベーション・
意欲や食欲が常に全くない状態を指 す。
追加部分
0 1 2 3 4
問題なし 問題が存在するが、
日常の活動に支障が ない程度であること など
1 の範囲を超えるが、
問題の頻度および程度 を総合的に考慮すると 部分的な問題にとどま ることなど
問題の頻度および程 度を総合的に考慮し て重大な問題が存在 することなど
完全な問題
簡潔で直感的な説明文 0 1 2 3 4
日常生活上の活動を計 画し、行う
問題なし 自分で行うが難 しさを伴う
一部サポート下 で行う
大部分サポート 下で行う
全介助
具体例
計画性に乏し い、活動の計画 に消極的である ことなどを含む
日常の活動の計 画や遂行に他者 のサポートを要 することなどを 含む
日常の活動の計 画や遂行に他者 のサポートを要 することなどを 含む
資料 2 採点リファレンスガイドの修正点
第 1 版
第 2 版
7
e‑ラーニングツール:
オンライン上に e‑ラーニング ツールを使って採点方法を学 習、採点を実際に練習できる 仕組みを作成
採点用アプリケーション:
ICF の項目の定義、簡潔で 直感的な説明文、採点リフ ァレンスガイドを収載し、
直感的に採点を可能とする
オンラインデータベース:
Vanderbilt 大学の提供する REDCap と呼ばれるデータ集積 システムを利用
資料 3 採点ソフトウェア、データベース、e‑ラーニングツール
9
平成 30 年度 厚生労働科学研究費補助金 ( 政策科学総合研究事業(統計情報総合研究))
総括研究報告書
研究課題名:医療・介護連携を促進するための
国際生活機能分類を用いた評価と情報共有の仕組みの構築
(H30-統計-一般-003)
分担項目:ICFリハビリテーションセットの妥当性の検証と、医療・介護の場面 に応じたデータセットの作成
研究分担者:才藤 栄一 (藤田医科大学医学部リハビリテーション医学
I 講座 教授)研究代表者:向野 雅彦 (藤田医科大学医学部リハビリテーション医学
I 講座 准教授)研究要旨: 国際生活機能分類(以下ICF)は生活機能を網羅的にカバーする分類で、1600を超える項 目からなり、人の生活機能における問題を包括的に表現することができる。しかし、項目分類はこ れまで臨床でほとんど使用されておらず、臨床現場への普及が課題となっている。本研究において は、1) ICFの評点を簡便につける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの連携が可能な仕組みを作 り、データベースの作成に取り組むとともに、さらに臨床で広く普及をさせていくため、医療・介 護の連携においてこれを有効に利用できる仕組みの構築に取り組んだ。
本研究ではまず、ICF一般セット30項目版(ICFリハビリテーションセット)を用いたデータベース を用いて、フィールドテストにおけるデータ収集を通じてICFの臨床における使用可能性について検 証を行った。また、医療、介護の各場面においてどのような項目をデータ収集の対象としていけば いいのか、検証を行った。収集したデータを用い、Rasch分析によるデータの標準化のトライアルも 合わせて実施した。
A. 研究目的
国 際 生 活 機 能 分 類(以 下
ICF)は 、
2001年 に
WHO総会において採択された生活機能と障害の国際分類である。ICFは1600を超える項目か らなり、人の生活機能における問題を包括的に 表現することができる。しかし、項目分類はこ れまで臨床でほとんど使用されておらず、臨床 現場への普及が課題となっている。
我々はこれまでに、1) ICFの評点を簡便につ ける仕組みと2) 既存の様々な評価表とICFとの 連携が可能な仕組みを作り、データベースの作 成に取り組んできた。本研究においては、実際 にそれらを用いてフィールドテストを実施し、
臨床において使用できる項目群を検証し、デー タの提示方法についても検討を行った。
現在までにICFの国際的な共同研究によって、
種々の病態等に応じたICFコアセットと呼ばれ る項目群(set)が作成されている。我々は、国 際的な比較に用いられることを想定してこのコ アセットを一部導入し、リハビリテーション患 者を対象に作られた一般セット(30項目版)を
評価セット日本版のベースとしている。本研究 では、一般セット(30項目版)の中から、急性 期病院および回復期病院において実際にフィー ルドテストを行い、実際に評価が可能な項目を 選定して入院中の評価セットを作成した。ま た、介護の場面における評価セットの作成のた め、現在介護保険の評価に用いられている介護 認定項目をICFとリンクし、オーバーラップす る項目の検討を行った。さらに、フィールドテ ストにおいて収集したデータに基づき、急性期 セット、回復期セット、これらの評価システム を用いたフィールドテストから得られたデータ を元に間隔尺度化を行い、国際比較および医療 の質の評価指標として用いられる指標を作成す ることに取り組んだ。
B. 研究方法
1.
急性期および回復期におけるフィールドテス
トの実施と入院患者用データセットの作成
作成した採点リファレンスを用いて、多施設
におけるフィールドテストを実施した。フィー
ルドテストには、急性期・回復期を合わせて6 病院が参加した。各施設において、入院リハビ リテーションを実施中の患者を対象にデータ収 集を実施した。対象者の疾患の内訳を図—に示 す。このデータを用い、まず急性期・回復期で それぞれどの項目が評価され、どの項目が評価 の対象から外れていたか、検討を実施した。そ の上で、一般セット(30 項目版)の中から入院 中の患者に対して使用するのに適当な項目の選 択を実施し、急性期および回復期それぞれにお いて使用できる最低限の項目セットを作成し た。
2.
介護保険調査票項目の
ICFへの分類と介護用 データセットの作成
介護施設、在宅介護の場面における医療職の 関わりは医療よりも少ないことから、介護施設 における大規模な情報収集を根拠とした介護用 の評価項目の選定は難しいと判断し、現在すで に介護場面において収集されている情報をベー スにした情報収集の仕組みの作成に取り組ん だ。まず、介護場面において必ず行われる介護 認定調査における機能項目、またICFをベース とした介護施設における評価システムであるR4 の評価項目と30項目版のICF一般セットのオー バーラップがどの程度あるかを検討した。介護 認定調査、R4それぞれの評価項目については、
2名の研究者が独立して評価項目がそれぞれど のICF項目に相当するかを検討した。さらにこ れらの項目の重複の情報をベースとして、30項 目のICF一般セットのうち、介護場面で必須と なる項目の設定を行った。
C: 研究結果
1.
急性期および回復期におけるフィールドテス トの実施と入院患者用データセットの作成 急性期および回復期でそれぞれ
124名、180 名の 採点データを収集した。疾患の内訳を資料
1に 示す。まず、収集したデータは欠損が多かった ため、ICF 一般セット(30 項目)のうち入院患者で 共通して検討できる項目を検討した。
ここで入院患者から集めたデータのうち、デー タの欠損率が
5%以下の項目は21項目であった。
ICU (Intensive Care Unit), SCU (Stroke Care Unit), NCU (Neurosurgical Care Unit)の患者では8
項目で あった(資料
3-2)。したがって、特に入院医療においては、患者の状態によって評価できる項 目は限定されることが明らかとなった。次に、
多くの患者で共通して採点できる
21項目を利用 し、データの分布の検討および
Rasch分析による 検討を行った。当初
21項目のデータは
Raschモ デルへの適合が不良であったが、臨床スケール に用いられる
Testletアプローチの採用により、
良好な適合が得られた(資料
2-1)。適合したモデルに基づき点数と
Zscore(平均を 0, 1SDを
1としたスコア)への換算式を作成した。
さらに、超急性期の患者においても欠損値の少 なかった
8項目についても同様の検討を行っ た。そのようにして得られたデータの分布を比 較すると、21 項目のモデルは8項目の超急性期 セットよりも分布が大きく、より広い範囲で患 者の生活機能のレベルを評価できる可能性が明 らかとなった(資料
2-2)。2. 介護保険調査票項目の ICF
への分類と介護用
データセットの作成
介護保険調査票項目および
R4の項目と
ICFの項 目との項目対応の検討を行った。項目対応表 は、これまでに発表されている
linking rule[2, 3]に基づいて
2人の研究者の検討結果に基づき作 成された。それぞれの項目対応検討の結果を資 料
3に示す。これらの調査項目は、介護場面に おいてよく評価の対象になる項目と解釈し、介 護保険調査票項目と
R4のいずれかで評価された 項目を介護場面における評価対象項目とした。
リンキングの結果からこの項目は
21項目となっ た。作成した急性期、回復期、慢性期、介護各 項目セットの内容を資料
4に示す。
D: 考察
ICF
の利点を生かして臨床への普及を促していく
ことを考えると、採点の信頼性を担保するとと
もに、1) 医療・介護におけるさまざまな場面に
対応すること、2) なおかつ一貫して患者の変化
を評価すること、が可能となる仕組みが理想的
である。本研究では、ICF 一般セット(30 項目版)
を基本にしつつも、急性期から介護場面に至る
まで、様々な場面対応した項目セットを作成
し、それらの異なる項目セット間を相互比較で
きるように
Rasch分析に基づく仕組みを作成することを試みた。今後は更にこの仕組みをハブと
して臨床でよく用いられているさまざまな臨床
スケールと組み合わせ、包括的な分類としての
ICFの利点を活かせる仕組みづくりを行っていき
たいと考えている。また普及には当然教育シス
テムも必須である。ICF の評点の仕組みは比較的
11 シンプルであるため、本研究では、e-ラーニン グシステムを使った教育を基本とすることを想 定している。今後は、これらのツールを使って より大きな規模でフィールドテストを実施し、
より実用性の高い仕組みを作成することに取り 組む予定である。
E: 結論
今年度は、ICF 一般セット(30 項目版)を用いた フィールドテスト、入院、介護場面など異なる ステージにおけるオプションの作成、データの 提示方法の検証に取り組んだ。今後はさらに
ICFの場面に応じたデータ収集、ICF 一般セット以外 の項目を用いた包括的なデータ収集方法の検証 にも取り組む予定である。
F. 健康危険情報
特になし
G. 研究発表 1.論文発表
Francesca Gimigliano, Melissa Selb, Masahiko Mukaino, Cristiana Baffone, Jerome Bickenbach, Juria Patrick Engkasan, Christoph
Gutenbrunner, Jianan Li, Stefano Negrini, Gerold Stucki, Mauro Zampolini, Jorge Lains (2018).
Strengthening rehabilitation in health systems
worldwide by implementing information on functioning in rehabilitation practice, quality management, and policy: 2018 status report. The Journal of the International Society of Physical and Rehabilitation Medicine, 1(2), 37.
2.
学会発表
Masahiko Mukaino, Shinichi Izumi, Eiichi Saitoh, Shigeru Sonoda, Masazumi Mizuma, Shin Yamada Japanese experience in the development of national rehabilitation quality management systems 12th ISPRM world congress, 9th July, Paris
文献
1. Cieza A, Brockow T, Ewert T, Amman E, Kollerits B, Chatterji S, et al. Linking health- status measurements to the international classification of functioning, disability and health. J Rehabil Med. 2002;34(5):205-10.
2. Cieza A, Geyh S, Chatterji S, Kostanjsek N, Ustun B, Stucki G. ICF linking rules: an update based on lessons learned. J Rehabil Med.
2005;37(4):212-8.
資料 1‑1 疾患の内訳
資料 1‑2 欠損値が 5%以下の項目
13 資料 2‑1 Rasch モデルへの適合
資料 2‑2 Rasch 分析に基づく標準化指標への変換式の作成
ICF
一般セット(30 項目版) 介護認定調査項目
R4b130 活力と欲動の機能
○
b134 睡眠機能
○
b152 情動機能
○
b280 痛みの感覚
b455 運動耐容能
b620 排尿機能
○
b640 性機能
b710 関節の可動性の機能
b730 筋力の機能
○
d230 日課の遂行
○
d240 ストレスとその他の心理的要求への対処
d410 基本的な姿勢の変換
○
d415 姿勢の保持
○ ○
d420 移乗
○ ○
d450 歩行
○ ○
d455 移動
○
d465 用具を用いての移動
○
d470 交通機関や手段の利用
○
d510 自分の体を洗うこと
○ ○
d520 身体各部の手入れ
○ ○
d530 排泄
○ ○
d540 更衣
○ ○
d550 食べること
○ ○
d570 健康に注意すること
○
d640 調理以外の家事
d660 他者への援助
d710 基本的な対人関係
○
d770 親密な関係
d850 報酬を伴う仕事
d920
レクリエーションとレジャー ○
資料 3 ICF 一般セット(30 項目版)と介護認定調査項目、R4 との重複項目
15
ICF
一般セット(30 項目版) 急性期セット 亜急性期セッ ト
慢 性 期 セ ッ ト
介護セット
b130 活力と欲動の機能
○ ○ ○
b134 睡眠機能
○ ○ ○
b152 情動機能
○ ○ ○
b280 痛みの感覚
○ ○
b455 運動耐容能
○ ○
b620 排尿機能
○ ○ ○ ○
b640 性機能
○
b710 関節の可動性の機能
○ ○ ○
b730 筋力の機能
○ ○ ○ ○
d230 日課の遂行
○ ○ ○
d240 ストレスとその他の心理的要求への対
処
○ ○
d410 基本的な姿勢の変換
○ ○ ○ ○
d415 姿勢の保持
○ ○ ○ ○
d420 移乗
○ ○ ○
d450 歩行
○ ○ ○
d455 移動
○ ○
d465 用具を用いての移動
○ ○
d470 交通機関や手段の利用
○ ○
d510 自分の体を洗うこと
○ ○ ○
d520 身体各部の手入れ
○ ○ ○ ○
d530 排泄
○ ○ ○ ○
d540 更衣
○ ○ ○ ○
d550 食べること
○ ○ ○
d570 健康に注意すること
○ ○ ○
d640 調理以外の家事
○
d660 他者への援助
○
d710 基本的な対人関係
○ ○ ○
d770 親密な関係
○
d850 報酬を伴う仕事
○
d920
レクリエーションとレジャー ○ ○
資料 4 ICF 一般セット(30 項目版)と医療介護の各場面における項目セット
厚生労働科学研究費補助金(統計総合研究事業)
「医療・介護連携を促進するための国際生活機能分類を用いた評価と 情報共有の仕組みの構築」
平成 30 年度 分担研究報告書
急性期病院における医療・介護連携を促進するため情報共有シートの開発
分担研究者 国立保健医療科学院 大夛賀政昭 研究協力者 京都民医連中央病院 坂田薫 研究協力者 姫路聖マリア病院 吉田かおり
研究目的: ICF は保健医療福祉に係る包括的な情報共有ツールとして期待されているが、
臨床適用は進んでいるとは言い難い。その要因の一つとして実用的なシステムが要求され ているためと言われている(筒井
2016)。本研究では、ICFを用いた評価と情報共有の仕 組みの構築に向け、現在政策的に推進されている急性期病院の入退院支援の様式と
ICFの 項目を活用し、支援に求められる情報共有シートを開発することを目的とした。
研究方法: ①急性期病院における入退院支援で用いられる各種情報共有シートの情報整 理:急性期病院における入退院支援で用いられる各種情報共有様式における項目と
ICFリ ハビリテーションセットの項目の比較を行った。②急性期病院における医療・介護連携を 促進するため情報共有シートの開発:看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、言語聴覚 士、理学療法士、医療事務職員等で組織される臨床家委員会を組織し、急性期病院におけ る医療・介護連携を促進するため情報共有シートの開発をおこなった。③開発した情報共 有シートを用いた仮想事例を用いた検討:急性期病院における医療・介護連携を促進する ため情報共有シートを用いて、臨床家委員会にて、仮想事例を用いて検討を行った。
結果及び考察: ①入院時情報提供書に含まれており、重症度・看護必要度には含まれてい ない
ICFリハビリテーションセットにも共通する内容として、移動、セルフケア、コミュ ニケーションに関わる項目が入退院にまたがる継続的な支援に重要であることがわかっ た。②開発された情報共有シートの特徴は、入院日数と医療機関で日々収集される「重症 度、医療・看護必要度」得点の経過、看護介入、入退院支援の経過を合わせてみることが できる様式になっている。また、看護介入の内容については、情報提供書と合わせて、"病 識"、"日常生活全般"、"服薬管理"、 食事・栄養管理 、 運動・移動 、"コミュニケー ション・対人関係 の
6つの内容を記入するようになっている。③仮想事例を用いた検討 の結果、患者の病識や日常生活に対する意欲、就労状況を含む家庭外の活動や参加につい ても重要であること示され、これらを含む急性期病院用
ICFコアセットを検討していくこ とが重要と考えられた。
結論: 次年度以降は、開発した情報共有シートを用いた調査を、看護必要度をテーマとし
た研修会において実施し、入退院支援に必要な情報の精度を高めていくとともに、ICF リ
ハビリテーションセットの活用との接点について検討を行っていく予定である。
17
A.研究目的
ICF
は保健医療福祉に係る包括的な情報 共有ツールとして期待されているが、臨床 適用は進んでいるとは言い難い。その要因 の一つとして実用的なシステムが要求され ているためと言われている(筒井
2016)。
本研究では、ICF を用いた評価と情報共 有の仕組みの構築に向け、現在政策的に推 進されている急性期病院の入退院支援の様 式と
ICFの項目を活用し、支援に求められ る情報共有シートを開発することを目的と した。
B.研究方法
①急性期病院における入退院支援で用いら れる各種情報共有シートの情報整理
急性期病院における入退院支援で用いら れる各種情報共有様式(入院時情報提供 書、退院時支援計画書、重症度、医療・看 護必要度)における項目と
ICFリハビリテ ーションセットの項目の比較を行った。
②急性期病院における医療・介護連携を促 進するため情報共有シートの開発
看護師、ソーシャルワーカー、栄養士、
言語聴覚士、理学療法士、医療事務職員等 で組織される臨床家委員会を組織し、入院 時情報提供書に合わせて用いることができ る急性期病院における医療・介護連携を促 進するため情報共有シートの開発をおこな った。
③開発した情報共有シートを用いた仮想事 例を用いた検討
開発した情報共有シートを用いて、臨床 家委員会で、仮想事例を用いて検討を行っ た。
C.研究結果
①急性期病院における入退院支援で用いら れる各種情報共有シートの情報整理
・入院時情報提供書に含まれており、重症 度・看護必要度には含まれていない ICF リ ハビリテーションセットにも共通する内容 として、移動、セルフケア、コミュニケー ションに関わる項目が入退院にまたがる継 続的な支援に重要であることがわかった。
表1 重症度、医療・看護必要度と ICF リ ハビリテーションセット
表
2 入院時情報提供書と退院支援計画書重症度、医療・看護必要度 ICFリハビリテーションセット
1.創傷処置 b130 活力と欲動の機能
2.呼吸ケア(喀痰吸引のみの場合を除く) b134 睡眠機能 3.点滴ライン同時3本以上の管理 b152 情動機能 4.心電図モニターの管理 b280 痛みの感覚 5.シリンジポンプの管理 b455 運動耐容能 6.輸血や血液製剤の管理 b620 排尿機能 7.専門的な治療・処置 b640 性機能 8.救急搬送後の入院 b710 関節の可動性の機能
9.寝返り b730 筋力の機能
10.移乗 d230 日課の遂行
11.口腔清潔 d240 ストレスとその他の心理的要求への対処
12.食事摂取 d410 基本的な姿勢の変換
13.衣服の着脱 d415 姿勢の保持
14.診療・療養上の指示が通じる d420 移乗
15.危険行動 d450 歩行
16.開頭手術(7日間) d455 移動 17.開胸手術(7日間) d465 用具を用いての移動 18.開腹手術(5日間) d470 交通機関や手段の利用 19.骨の手術(5日間) d510 自分の体を洗うこと 20.胸腔鏡・腹腔鏡手術(3日間) d520 身体各部の手入れ 21.全身麻酔・脊椎麻酔の手術(2日間) d530 排泄 22.救命等に係る内科的治療(2日間) d540 更衣
d550 食べること d570 健康に注意すること d640 調理以外の家事 d660 他者への援助 d710 基本的な対人関係 d770 親密な関係 d850 報酬を伴う仕事 d920 レクリエーションとレジャー
入院時情報提供書 退院支援計画書
住環境 病名(他に考え得る病名)
入院時の要介護度 退院に関する患者以外の相談者
障害高齢者の日常生活自立度 退院支援計画を行う者の氏名(下記担当者を除く)
認知症高齢者の日常生活自立度 退院困難な要因 介護保険の自己負担割合 退院に係る問題点、課題等
年金などの種類 退院へ向けた目標設定、支援期間、支援概要 本人の趣味・興味・関心領域等 予想される退院先
本人の生活歴 退院後に利用が予想される福祉サービス等 入院前の本人の生活に対する意向 退院後に利用が予想される福祉サービスの担当者 入院前の家族の生活に対する意向
入院前の介護サービスの利用状況 在宅生活に必要な要件 退院後の世帯状況 世帯に対する配慮 退院後の主介護者 介護力*
家族や同居者等による虐待の疑い*
麻痺の状況 褥瘡の有無 移動 移乗 更衣 整容 入浴 食事 移動(室内) 移動(屋外)
起居動作
食事回数
食事形態
摂取方法
嚥下機能
口腔清潔
排尿
排便
睡眠の状態
喫煙
視力
聴力
言語
意思疎通
②急性期病院における医療・介護連携を促 進するため情報共有シートの開発
臨床家委員会での検討の結果、表 3 のよ うな情報共有シートを開発した。
開発された情報共有シートの特徴は、入 院日数と医療機関で日々収集される「重症 度、医療・看護必要度」得点の経過、看護 介入、入退院支援の経過を合わせてみるこ とにより、患者の状態にあった入退院にむ けた支援ができていたかを検討することが できる様式になっている。
また、看護介入の内容については、情報 提供書と合わせて、"病識"、"日常生活全 般"、"服薬管理"、 食事・栄養管理 、 運動・移動 、"コミュニケーション・
対人関係 の 6 つの内容を記入するように なっている。
表
3 重症度、医療・看護必要度を基本とした医療・介護連携を促進するため情報共 有シート
③開発した情報共有シートを用いた仮想事 例を用いた検討
仮想事例を用いた検討の結果、表 4 のよ うなセルフケア情報(病識、日常生活全 般、服薬管理、食事・栄養管理、運動・移 動、コミュニケーション、対人関係)が共 有され、表
5のような退院支援に係る情報 が共有された。
表 4 仮想事例における情報共有シートを 活用して共有されたセルフケア情報(病 識、日常生活全般、服薬管理、食事・栄養 管理、運動・移動、コミュニケーション、
対人関係)
表 5 仮想事例における情報共有シートを 活用して共有された退院支援に係る情報
仮想事例における重症度、医療・看護必 要度得点と処置の関係は表 6、重症度、医 療・看護必要度得点と退院支援の関係は図 1 のようになった。
日目
<看護師による見立て>
漏れはないため、3日ごとの交換が可能。ディで2回、訪問看護1回で週3回(火・木・土)の定期交換とする。夜間用の畜尿袋の交換時当面ヘルパーの見守りが 必要。通院は可能であるため、医療管理は泌尿器外来とストーマ外来への通院とする。
<家族・サービス調整上の留意点>
13日目にサービス担当者会議を実施し装具交換を見学。装具装着のまま入浴実施し入浴も訪問看護の見守りで行うこと、尿量1日1000から1500m lを確保する ための水分管理を確認。ヘルパーによる定期巡回・随時対応サービスを利用するため、蓄尿袋の交換の見学を行う。退院後、W O C N の同行訪問を実施するこ ととなった。配食サービスを受け、負担感を軽減する。漏れがあった場合は当面は訪問看護、その後ヘルパーの随時対応サービスに移行とする。
●入院何日目の状況か記入してください⇒ 1 日目
●手術(イベント)後の状況・予後予測を記入してください
<看護師による見立て>
術後せん妄の恐れ。リエゾンチーム介入。
セルフケア指導は尿破棄、畜尿袋の交換の自立を目標とし、装具交換は訪問看護・ディケアで実施する。退院後もセルフケアの継続的な援助が必要。
<家族・サービス調整>
術後の状況をケアマネジャーへ情報提供し、サービス調整を行う。
●入院中に予測より悪くなった状況発生・予後予測修正を記入してください ●入院何日目の状況か記入してください⇒ 7 日目
<看護師による見立て>
術後のせん妄発症したが、リエゾンチーム介入にて早期対応。装具は漏れなく定期交換が可能と判断。セルフケアは戸惑いながらもストーマを直視できる。
O Tとともに尿破棄・畜尿袋交換を進めているが不安を感じていると発言する。
<家族・サービス調整>
術後の経過は良好。これまでのディ・ヘルパーの支援に加え、訪問看護によるストーマセルフケア支援が必要。サービス担当者会議を招集。長男も参加し、
緊急時の対応など長男が支援できることを検討していただく。次回の交換は10日目・13日目となるため、会議の日時を交換日に合わせて設定するように依頼 する。身体障碍者4級取得の手続きを長男に依頼することとする。装具の注文はB業者とし、注文方法をご本人に説明する。装具の変更が必要な場合はストー マ外来で調整、B業者とW O N C から連絡することとする。
●退院時カンファレンスの状況・在宅における留意点・患者指導を記入してください ●入院何日目の状況か記入してください⇒ 11
19
表 6 仮想事例における重症度、医療・看 護必要度得点と処置の関係
図 1 仮想事例における重症度、医療・看 護必要度得点と退院支援の関係
今年度の研究より、入退院支援には、患者 の移動、セルフケア、コミュニケーション に関わる項目が入退院にまたがる継続的な 支援に重要であることがわかった。
また、開発した情報共有シートの活用に 向けた仮想事例の検討を通して、患者の病 識や日常生活に対する意欲、就労状況を含 む家庭外の活動や参加についても重要であ ること示され、これらの情報を含む、ICF リハビリテーションセットを急性期病院用 に必要な情報に焦点化を検討していく検討 もが重要と考えられた。
E.結論
今年度は、急性期入院医療機関で活用さ れる各種様式における項目と
ICFリハビリ テーションセットの項目の比較より、入退 院支援に求められる既存様式から得られる か検討を行った。
また、入退院支援に求められる情報の共 有を円滑にするために急性期入院医療機関 で評価が必須となっている重症度、医療・
看護必要度の得点推移と併せて入退院支援 の介入を共有できるシートを開発した。
次年度以降は、開発した情報共有シート を用いた調査を、看護必要度をテーマとし た研修会において実施し、入退院支援に必 要な情報の精度を高めていくとともに、
ICF
リハビリテーションセットの活用との 接点について検討を行っていく予定であ る。
F.健康危険情報 なし
G.研究発表 論文
大夛賀政昭.国際生活機能分類(ICF)を めぐる状況と活用にむけた展望.保健医 療科学 2018;67(5):480‑490.
書籍
大夛賀政昭.継続的支援を実現するセルフ マネジメント支援の取り組み.In:嶋森 好子,筒井孝子.看護必要度データから 始まる臨床看護マネジメント―医療機関 における患者と評価と体制整備―.サイ オ出版,東京 2018;P141‑161.
学会発表
Otaga M, The applicability of the World Health Organization Disability Assessment Schedule (WHO‑DAS 2.0) in Japan. WHO‑FIC Annual Meeting 2018;
2018.10.22‑27 ; Korea
大夛賀政昭,木下隆志,松本将八,筒井孝 子.WHO‑DAS2.0 による生活機能障害の 把握とその活用可能性の検討−日本国内 におけるこれまでの試行評価結果をもと
入院日 0 1
2(手術日)3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17
抗生剤(点滴)
輸液 硬膜外ルート ストーマリハビリテーション 装具交換
安静度 症状安静 離床開始 病棟内歩行 シャワー浴
食事 昼より食事開始 普通食
A
0 0 5 6 3 1 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0
創傷処置
0 0 0 1 0 1 0 1 0 0 1 0 0 1 0 0 1 0
呼吸ケア
0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
点滴ライン
0 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
心電図モニター
0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
シリンジポンプ
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
輸血・血液製剤
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
専門的な治療
0 0 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
救急搬送
0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
B
1 1 8 9 7 3 3 3 3 1 1 1 1 1 1 1 1 1
寝返り
1 1 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1
移乗
0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
口腔清潔
0 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
食事摂取
0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
衣服の着脱
0 0 2 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
療養上の指示
0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
危険行動
0 0 2 2 2 2 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0
C
0 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
腹腔鏡手術(3日間)
0 0 1 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
合計点