公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2017年度(後期) 一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書 「地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携推進の実際と課題」 申請者:井元 哲也 所属機関:帰巖会みえ病院 事務長 提出年月日:2019 年 3 月 31 日
「地域包括ケアシステムにおける在宅医療・介護連携推進の実際と課題」
研究の背景 地域包括ケアシステムとは、地域の実情に応じて、⾼齢者が、可能な限り、住 み慣れた地域でその有する能⼒に応じ⾃⽴した⽇常⽣活を営むことができるよ う、医療、介護、介護予防、住まい及び⾃⽴した⽇常⽣活の⽀援が包括的に確保 される体制をいう。ここ数年、厚⽣労働省を中⼼に、医療・介護連携を軸に声⾼ に主張されてきた考え⽅であり、各地域に浸透したと実感する。実際に市町村な どの⾃治体、地域包括⽀援センター、医師会によって多様な取り組みもなされ、 医療と介護間のハードルは下がってきている。しかしながら、「地域包括ケアシ ステム」という概念は曖昧さを含んでいることから、そのシステムの概要・効 果・達成度を把握することは困難であると⾔わざるを得ない。 猪飼周平は、『厚労省が「地域包括ケア」を熱⼼に推進している⼀⽅で、政策 の受け⽫となる基礎⾃治体の⽅では、「地域包括ケア」が何のために⾏われるの かがわからないので、困惑したり、何の⽬的でそれが⾏われるのかについての認 識をもたないまま、⾔われるがままに与えられた政策パッケージを実施しよう としたりしている』と述べ、概念の曖昧さによって地⽅⾃治体をはじめとした地 域が混迷していることを指摘している。 また、2016 年 7 ⽉、厚⽣労働省は「地域共⽣社会」という新しい地域福祉の 概念を公表し、⼤⾂直轄でその実現に向けた検討をスタートさせた。地域共⽣社 会は、“⾼齢者・障害者・⼦どもなど全ての⼈々が、1 ⼈ひとりの暮らしと⽣き がいを、ともに創り、⾼め合う社会”と定義されている。2017 年 2 ⽉には、地域 共⽣社会実現本部の決定として、地域共⽣社会の概念の中に地域包括ケアシス テムが位置付けられ、“⾼齢者だけでなく、⽣活上の困難を抱える⽅への包括的 ⽀援体制の構築”という⽂⾔が明記された。 ⼀⽅、現場の医療介護連携に携わるケアマネージャーや医療ソーシャルワー カーにおいては、地域包括ケアシステムや地域共⽣型社会という概念が明⽰さ れる以前から、医療介護連携の中核をなす機能として活躍してきている。地域包 括ケア構想以前に起こった地域医療連携ブームによって、医療機関には医療連 携室の開設や医療ソーシャルワーカーの配置が進み、医療と介護の連携の困難 さは劇的に改善されたと⾔われている。 国は 2014 年に、在宅医療・介護連携推進事業を介護保険に位置付け、2018 年(平成 30 年)4 ⽉には全ての市町村で8つの事業項⽬すべてを実施することと し、より機能的な医療介護連携を求めている。 今回、我々は、地域共⽣社会や地域包括ケアシステムの概念を俯瞰しつつ、医 療と介護の連携主体となっているケアマネージャーと医療ソーシャルワーカー に焦点を当て、在宅医療介護連携の現在の課題を分析し、その改善案について検 証することとした。 【研究の計画・⽅法】 (研究⽅法) ・調査⽅法(インタビュー調査) 現在在宅医療介護連携推進事業は全国の市区町村でそれぞれに展開されてい る。⼤分県医療ソーシャルワーカー協会では、情報収集をした結果、新潟県新潟 市南区の新潟⽩根総合病院が請け負っている新潟市在宅医療・介護連携ステー ションと愛知県名古屋市医師会が設置した在宅医療・介護連携室、東京都豊島区 医師会に設置された在宅医療相談窓⼝が、医療ソーシャルルワーカーを配置す る形で、全国でも先進的な取り組みをしていることが確認できた。そのため、上 記3箇所への聞き取り、活動同⾏を実施し、⼀⽅で上記3箇所と在宅連携を取っ ているケアマネージャーへの聞き取りも⾏い、医療・介護双⽅向からの在宅医療 介護推進事業の実態調査を⾏った。 ・調査項⽬ ① 県⺠性(地域性)について ② 地域包括ケアシステム構築までの経緯・経過 ③ どのようにして、医師や住⺠を巻き込んでいったか ④ 地域包括⽀援センターとの区別はどのようにしているか ⑤ 地域包括ケアシステムにおいてソーシャルワーカーだからできること 上記5つの質問項⽬を基本に設定し、インタビューに際しては、インタビュー対 象者の専⾨性や所属に応じた柔軟な質問を⾏いながら様々な情報の収集を⾏っ た。 ・分析⽅法(ブレインストーミング) 地域包括ケアや地域共⽣社会については、地域特性に応じた柔軟な機能がもと
められていることから、在宅医療介護連携についても地域の特⾊が反映されて いるものと考えられる。そのため、分析においては、地域特性に現れるもの、⼀ ⽅で地域特性を超越した通底するもの双⽅に⽬を向けた。 具体的な分析⽅法は、地域共⽣型社会・地域包括ケア・在宅医療介護連携推進 事業の概念を理解した上で、主研究者・共同研究者全員にて調査結果を共有し、 様々な⾓度から意⾒を出し合い、その意⾒を集約するブレインストーミング法 にて⾏う。 ・インタビュー実施⽇ ①新潟市(新潟市地域医療推進課、在宅医療介護連携センター、在宅医療介護連 携ステーション南、南区ケアプランセンター菜の花、新潟県医師会) 平成 30 年9⽉ 26 ⽇〜27 ⽇ ②東京都豊島区(豊島区在宅医療相談窓⼝、えびすの郷) 平成 30 年 11 ⽉ 9 ⽇ ③愛知県名古屋市(名古屋市医師会) 平成 30 年 12 ⽉ 11 ⽇ 調査結果 ⒈ 新潟市 もともと新潟市は、地域ごとに核となる医療機関を中⼼にネットワークが 構成されていた。新潟市が地域包括ケアシステムを推進するための取り組み として、これらの従前からある地域ネットワーク主体に働きかけて、補助⾦ 等を運⽤していった。 現在では、それらのネットワークが発展し、市の基幹センターとして新潟市 在宅医療・介護連携センター1箇所(医師会内)、新潟市在宅医療・介護連携 ステーション 11 箇所(地域拠点医療機関内)として位置づけられ運⽤され ている。また、県全域には各市に在宅医療推進センターが 16 箇所設置され ており、新潟市は市の基幹センターと併設され医療ソーシャルワーカーが兼 任で配置されている。
◎医療ソーシャルワーカーとしての機能と役割 ・新潟市在宅医療・介護連携センター ⅰ.地域の基幹型機能の確⽴(圏域毎のセンターやステーション運営のサポ ートなど) ⅱ.各圏域のステーションやコーディネーターの養成と相談⽀援、業務の確 ⽴ ⅲ.医師会・⾏政・在宅医療介護事業の関係強化 ⅳ.在宅医療や地域包括ケアの住⺠啓発 ・在宅医療・介護連携ステーション ⅰ.介護や⾼齢者に近い⽴場の地域包括⽀援センターとの両輪機能として、 医療に近い地域の相談⽀援窓⼝ ⅱ.圏域毎の特性に応じた地域包括ケアシステムの構築 ⅲ.地域包括ケアについての住⺠啓発 ⅳ.地域包括⽀援センターとの業務分担としては、双⽅重なる部分を厚めに 持ちつつ、医療系の課題はステーション、介護系の課題を包括⽀援センター として協働する形となっている。 ◎ケアマネージャーとどのようにして連携を図っていたのか ⅰ.⼀医療機関の MSW として、ケースを通した具体的な連携 ⅱ.センターMSW として困難事例へのサポートや医療連携上の対応 ⅲ.合同の勉強会や交流会開催による地域連携⼒の強化 新潟市では、⾏政の保険医療部⾨、医師会、保健所が同じ建物内に設置されて おり、在宅医療介護連携の推進企画・検討・⽴案が有機的にできる環境がある。 本来的な距離感も⾮常に近い。その場において、実務者として MSW が医療と 介護につながる共通理解・共通⾔語を有しており、発展的な発想をもって活躍し ている。 ⒉ 東京都豊島区 平成 24 年に豊島区在宅医療相談窓⼝が豊島区医師会館に設置される。近隣区 と⽐べ、医療病床が少ない地域となっており、⼈⼝減少地域でもある。在宅医療
のバックアップとして、基幹病院がバックベッドシステムを運⽤しており、画期 的なシステムとなっている。医師会所属の開業医からの依頼に応じて、在宅医療 における医療ソーシャルワークを展開している。地域包括⽀援センターとの関 係は良好であり、在宅医療と在宅介護をつなぐハブ機能をになっており、6年間 で地域には浸透してきている。 相談窓⼝機能が年々強化され在宅医療・介護連携事業の拠点となっている。医 師会館に開設されているメリットとしては、⾏政との距離(物理的、⼼理的)が 近いこと、地域医療機関の理解が得られている、介護側が希望するスムーズな医 療機関との連携がサポートできる、地域住⺠や企業との連携もしやすいなど、地 域をつないでいくためのメリットを数多く有している。 ◎医療ソーシャルワーカーとしての機能と役割 在宅医療相談窓⼝が豊島区における在宅医療・介護連携の最前線となっている。 ⅰ.情報誌の定期発⾏、配布 ⅱ.情報共有システムの開発、運⽤⽀援 (MCS:メディカルケアステーション) ⅲ.在宅医療関係者の関係構築(研修会、交流会、イベント参加) ⅳ.個別相談 ◎ケアマネージャーとどのようにして連携を図っていたのか ⅰ.個別ケースを通して協働 ⅱ.医療機関選定や医療機関とのコミュニケーション上のハードル除去 ⅲ.地域包括ケアに関する研修会、勉強会の共同開催 ⅳ.事例検討、ケア会議での連携 ⅴ.地域イベントへの共同参加 豊島区では、医療と介護の共通⾔語、共通理解を有している医療ソーシャルワ ーカーとい⽴場や経験、知識が医療と介護、地域と⾏政をつなぐ⼤きなスキルと なっている。 ⒊ 愛知県名古屋市 平成 26 年在宅医療連携拠点推進事業(国の基⾦)にて市内⼆次救急 4 ブロ
ックにてスタートした。平成 27 年在宅医療・介護連携推進事業(市の委託 事業)8地域に移⾏。平成 28 年在宅医療サポートセンター事業(国の基⾦) にて8地域を追加。名古屋市医師会各区在宅医療・介護連携⽀援センター4 つの中核的連携⽀援センター、各地域に3つの⽀援センターとして16機関 が稼働している。 ◎医療ソーシャルワーカーとしての機能と役割 名古屋市の⽀援センターでは、医療ソーシャルワーカー、看護師などが配置され ているが、職種として業務の割り振りはしていない。各センターの配置によっ て、MSW +MSW、MSW+Ns、Ns+Ns などの組み合わせで業務に取り組んでい る。 ⅰ.在宅療養に関する相談窓⼝ 病院の医療ソーシャルワーカーによる退院調整から外れるケースへの対応、訪 問医の調整、単科在宅医のコーディネート ⅱ.地域の医療・介護資源の把握 ホームページ等による情報開⽰ ⅲ.地域住⺠への普及啓発 劇、講演会など ⅳ.医療・介護関係者への研修 多職種連携研修、在宅医療導⼊研修会など ⅴ.⾃⼰決定や⼈権についての取り組みを積極的に⾏っている。ACP に関する ⼈材育成、エンディングノートの作成 分析結果 三地域の聞き取り調査について、ブレインストーミングにて分析を⾏った。 分析結果は以下に集約された。 ◎地域包括ケアシステムにおける在宅医療介護連携の課題 医療と介護は、⼈々の⽣活に深く根ざしたものであるものの、現時点では似て ⾮なるものである。医療や医学の専⾨分野と⾼齢者介護の専⾨分野では、近しい 関係になっては来たものの、未だに⼼理的なハードルが横たわっている。パワー バランスとしては、医療>介護が⾮常に根強く、医者や医療関係者との介護関係
者のコミュニケーションを阻害している構図がある。そのため、地域の⾼齢者介 護の総合窓⼝となる地域包括⽀援センターから⾒る医者、医療者、医療機関は関 わりにくい属性の「苦⼿な」存在であり、制度的な期待値と現場レベルのギャッ プが埋まらない状況が続いており、ここが⼤きな課題と考えられる。 さらに、地域包括ケアシステムは、スローガンとしては⽟⾍⾊のものであり、 具体性がなく、実態は地⽅や地域にその構築が委ねられているため、地域格差が ⽣じている。もともと、医師会や地域医療に⼒を注いできた地域とそうではない 地域では、地域包括ケアが浸透するための素地の完成度が全く異なっている。 このように、地域包括ケアの課題としては、①医療と介護との分野の差異や現 場専⾨職間のパワーバランス、②国が掲げる具体例のないスローガン、③地域に もともとある医療ネットワークという素地の格差があげられる。 ◎地域包括ケアシステムにおける在宅医療介護連携の解決策 今回調査を⾏った3地域の共通点は、市区町村と保健所、そして医師会の 3 者 が⾮常に近い距離感で協働している点である。やはり、地域を作っていくという 観点からみると、この3者の協⼒関係は必須であると思われる。 地域包括ケアシステムの中⼼には、医療と介護の連携が据えられていることは 事実である。解決策の基礎部分は、この三者のより具体的な協働への取り組みと なる。しかしそれは、単純に顔の⾒える連携などという、医療と介護の関係者が 知り合うだけで良いものではなく、より具体的なシステムと施策を講じる機関 の創出である。そのためには、どの様な地域社会を作るのかという⽟⾍⾊では無 いビジョンが共有されなければならない。ここにこそ、国が⽟⾍⾊の号令を出し た意図があるのだ。地域特性を⼗⼆分に調査分析した上に、それに応じたシステ ムの構築である。 そしてその基礎部分の上に、実⾏能⼒のある専⾨職を配置することが次の段階 となる。 今回の調査研究の対象とした地域は、各所にキーマンとなる医療ソーシャルワ ーカーを配置していた。そしてそれが、他地域よりも地域包括ケアシステムや医 療介護連携の先進地域と⾔われる所以であった。その役割は、地域社会の⽣活レ ベルにおいて医療と介護のギャップの超越であり、ボトムアップ型の医療と介 護連携の機能改善の推進である。 分析から⾒え来た医療ソーシャルワーカーの有⽤性は以下の3点にまとめる
ことができる。 ① 在宅医療・介護連携の実践現場では、これまで地域包括⽀援センターに期待 が寄せられてきたが、思うように進展しなかった。要因は地域包括⽀援セン ターには主任ケアマネージャー、社会福祉⼠、保健師の配置となっているが、 医療現場経験者は少なく、医者を含めた医療職とのコミュニケーションが円 滑に⾏かない状況にあった。そのため、医療機関での経験を有した、または、 現に医療機関に所属しているソーシャルワーカーが、地域包括⽀援センター と連携して在宅医療介護連携に関わることで、有機的な連携が可能となりつ つある。 ② 在宅医療・介護連携が、医療ネットワークを中⼼に進展してきている状況に あることが確認できた。地域⽣活者は介護を中⼼とした福祉的な⽣活課題を 抱えているが、その解決の⽷⼝は医療的であることが多い。また、地域医療 ネットワークは、地域医師会の活動の歴史からも、地域包括ケアの概念が発 ⽣する前から進んでおり、地域包括ケアのネットワーク構築を地域医療側か ら進展させることは、いずれの地域にとっても現実的で有効である。 ③ 医療ソーシャルワーカーは、この 20 年で医療機関と地域福祉をつなぐ窓⼝ としての役割を定着させてきた。この経過の中で、配置数やスキルの向上、 信頼度も上昇させてきたことで、経験を積んだ医療ソーシャルワーカーが増 え、医療と介護をつなぐ技術を蓄えてきている。地域包括ケアの概念と、医 療ソーシャルワーカーの技術と信頼度が時代の流れの中でこのタイミング で融合した。 このように、地域包括ケアシステムに新潟市や豊島区、名古屋市のように医療 ソーシャルワーカーを位置付けることで、漸く医療と介護が両輪として機能し 始めたと考えることができるのではないだろうか。 しかし、名古屋市のように巨額を投じて全域に医療ソーシャルワーカーを雇い ⼊れることは、殆どの地域では困難である。そのように考えると、豊島区の様に、 医師会に少数の医療ソーシャルワーカーを配置し、全体のコーディネーターと して運⽤するか、新潟市の様に地域ネットワークの鍵となる医療機関の医療ソ ーシャルワーカーがコーディネーターとして活動する形が無理のない運⽤であ
ると思われる。 まとめ 地域包括ケアシステムの発展は、市区町村、保健所、医師会の三者の、より具 体的な協働が必須であり、地域特性を捉えたビジョン構築と共有が必要である ことが確認された。 地域包括ケアシステムの中核を担う、医療介護連携の課題は、何よりも医療介 護連携が⾏政や介護側からの働きかけでは進展しないことにある。そのため、医 療側からそのハードルを越えることが必要であり、そこに医療ソーシャルワー カーの活躍が期待されている。 医療ソーシャルワーカー台頭の時代背景は、少⼦⾼齢社会の進展に伴い膨張 してきた社会保障費の抑制を⽬的として進められている、病院の機能分化の流 れが要因としてあげられる。この機能分化により病院が「急性期」「回復期」 「維持期」に役割を分けたことで、病院同⼠の連携、すなわち「医療連携」が 必要となり、多くの病院に「連携室や相談室」が置かれることとなった。ま た、この時代背景によって発⽣してきた、⼈々の複雑化した⽣活問題や家族の 問題解決能⼒の低下そのもの解決が、⽣活と医療の接点に⽣じる病院に持ち込 まれ、解決を求められる様になった。この点を解決するために、医療ソーシャ ルワーカーが連携室や相談室に配属されてきたのである。 今回⾏ったインタビューの中で「医療ソーシャルワーカーが医療と介護をつ なぐ役割として最適である」という話が複数聞かれた。 その理由は、医療の⾔葉がわかる・介護の⾔葉がわかる・地域の⽣活がわか る医療ソーシャルワーカーだからこそ医療介護連携の鍵的存在になりえるとい う点にある。 今回インタビューをおこなった3つの地域では在宅医療介護連携のシステム づくりや主導は医師会や⾏政が関わっていても現場では医療ソーシャルワーカ ーが中⼼に動いている。これまでは⾃⾝が所属している病院の患者に対して⽀ 援を⾏うことが⼀般的であったが、インタビューを⾏った地域では在宅側に歩 み寄り「医療の敷居」を医療側から越えていくことで在宅側が抱える難しさが 解消できているように感じた。その“超える役割”を医療ソーシャルワーカーが 担っていると⾔える。
本研究テーマの今後の展開について 本研究結果を勇美記念財団の助成による、⼤分県医療ソーシャルワーカー協 会の取り組み成果として、協会ホームページでの掲載や、学会報告、⼤分県内 の地域包括ケア推進の場で活⽤することを検討する。 なお、本研究は、公益財団法⼈ 在宅医療助成 勇美記念財団の助成によっ て達成した実績である。財団の協⼒なくして⾒いだすことができなかった検証 結果であり、助成をいただいたことに深く感謝申し上げます。 【感想】 本研究は、地域特性に依拠した地域包括ケアシステムが展開させる中、医療 ソーシャルワーカーとケアマネージャーの有機的なコネクトこそが最も期待さ れる機能であるとの仮説を⽴て、それを検証するものでした。地域の特⾊が出 る分、各地の取り組みを肌で感じる調査が何よりも研究の重要な材料であるこ とから、地域へ赴くことが必須でありました。今回、私たちが企画した研究 は、経済的余裕のないグループの取り組みでもあった為、勇美記念財団の助成 及び柔軟な対応は、真に有難いものでした。研究を展開させるという基盤が国 家的にも議論になる中、こうした助成がなされることは、我が国の将来にとっ ても⾮常に有⽤だと感じています。特に私たちのような、⼈⼝構造の崩壊を⽬ の当たりにしている地⽅の研究者及び実践者にとっては、何よりも⼼強いもの だと感じました。今回の助成、本当に感謝いたします。