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「が」と「を」の研究

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Academic year: 2021

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全文

(1)

「が」 と 「を」 の研 究

― 「水 が飲 みたい」 と 「水 を飲 みたい」 か ら一

岡 田  佳 美

1.は じめに

「水が飲みたい」 と「水 を飲みたい」 とい う文は、ほぼ同 じ意味である。両者の 間で助詞 「が」 と「を」 を入れ替 えて も、文の意味はほ とん ど変わ らない。本稿で は この よ うな場合 を、助詞 「が」 と「を」に交替性がある、 と言 うことにす る。例 えば「花が美 しい」のよ うな文の場合、「花 を美 しい」とは言 えないため、助詞 「が」

と 「を」の交替性 はない。多 くの場合、助詞 「が」 と「を」に交替性 はない と考え られ る。つま り、同 じ助詞 「が」 と「を」で も、交替性が有 る場合 と無い場合があ るとい うことである。では、何故助詞 「が」と「を」は交替す るのだろ うか。また、

交替 しやすい場合 としに くい場合があるのだろ うか。本稿では、特 に 「水が飲みた い」すなわち「…が〜たい」(以下「ガ型」と呼ぶ)と 「水 を飲みたい」すなわち「。 を〜たい」(以下 「ヲ型」 と呼ぶ)の形 に絞 つた。助詞 「が」 と「を」が交替 しやす い場合 としに くい場合 について考えるため、ガ型・ ヲ型の実際の使用例 として国会 での発言 に注 目し、一般の意識 を調べ るためのアンケー ト調査 を行 つた。

2.先 行研究

「水が飲みたい」と「水を飲みたい」についての議論は次のよ うに変移 している。

始 めは、 「水が飲みたい」の 「水が」は主語であるのかについて論 じられていた。

「「水が」は主語である」とい う立場 を取つているのは、三矢 (1926)・ 吉澤 (1932)・

橋本 (1938)、 「「水が」は主語でない」とい う立場 を取っているのは、木枝 (1931)

である。 さらに同 じ時期に、ガ型・ ヲ型の どち らが正 しいかについて も論 じられて いた。先の吉澤(1932)はガ型 が正 しい としてい る。保科氏は、助詞 「を」 を使 うベ き例 として 「氷水ガ飲 ミタイ。(保1924:237)」 と挙 げてい るため、ヲ型が正 しい としていた ことが考 え られ る。吉岡氏は助詞 「が」の使 われ る一種の慣用 として、

「水墾飲みたい。(吉1924:137)」 を挙げているが、ガ型 とヲ型のどちらが正 しい かに言及 していない。また、湯沢(1944)のよ うに、フ型 も認めるべきとい う中間的 立場 もある。松村(1951)が、ガ型・ ヲ型の問題は、どちらが正 しいかではなく、ど のように使われているかである、と指摘 したことで、これ以降の研究はガ型・ヲ型 の使い分けについての議論が盛んになった。

助 詞

‑92‑一

(2)

)

学校教育の場 では、文法の教科書 にガ型・ ヲ型 の どち らが正 しいか、あるいは ど

°

ち らを用い るべ きかについて言及 した部分 は戦 中 。戦後の どち らに もない(文部省 1944a、 1947、 三省堂編輯所1948a)。 ただ し、教師用の指導書・参考書では、戦 中・

戦後 ともにガ型 が正 しい とされ てい る(文部省1944b、 三省 堂編輯所1948b)。

また、ガ型・ フ型が どの よ うに考 え られてい るかについては、1955年に国立国語 研究所が行 つた調査1が詳 しい。この調査 は語形確寡ρた めの調査であ り、言語・外 国語研究者 、国語教育関係者 な ど300人を対象に行 われた。その結果 は以下の通 り である。

A水が飲みたい 。B水を飲みたい 回答数 181

採 る形〕A形が多数。第1回調査で も同 じ。

理 由〕A形一一 一般的45%,本来の 日本語調 35%,伝統的24%,増加 の傾 向・規範 に合 う各11% B形一一論理的23%,増加 の傾 向10%(翻訳調26%)

(「増カロの傾 向」「伝統的」「本来の 日本語調」「翻訳調」「論理的」がそれぞれ 多 く出た ことが特徴的。) (国立国語研究所 1956:85)

す なわちこの調査対象者の間では、ガ型が正 しい と考 え られていた ことが分か る。

ただ し、学校教育の場でガ型 が正 しい とされ てい ることと国立国語研究所 の調査 結果 とに依拠 して、 「広 くガ型 が正 しい と考 え られてい る」 と結論付 けることは早 計だ と思われ る。 どち らも場面や対象が限 られているか らである。 また、国立国語 研究所の調査結果では若年層 ほ どヲ型が多い と報告 されてい る。 この調査は 50年

以上前に行われた ものであるか ら、現在 とは結果が異 なる と予測 され る。

以上の ことか ら、今 回は対象 を広 く一般 に し、ガ型・ ヲ型 の実態 とガ型0ヲ 型 に 対す る意識 を知 るための調査 を行 う。具体的には国会での発言の調査 とア ンケー ト 調査 を行 う。

3.国会での発言

話 し言葉 の調査資料 として、国立国会図書館 が編集 したデー タベー ス 「国会会議 録検索 システム」2を利用す る。 国会会議録 を話 し言葉の資料 として利用す ること

について、 「国会会議録 は確 かに国会 とい う限定 された場 にお ける談話 を収めた資 料だが、すべての談話 が場 の限定の中で生起 してい ることを考 え合 わせ るな らば、

国家会議録 を特殊 な もの として談話分析 か ら排 除す る理 由は どこに も見 あた らな い」(松 2008:27)と い う指摘がある。 また、 このデー タベースでは、 「整文」 と い う字句の整理作業がな されていることがあるが、 「フオーマルな言葉 としての会 議録 とい う一般的な印象 と裏腹 に、極 めて 自然談話 に近い特徴 が見 られ ることも事 実である」(松200857)。 つ ま り、整文がな されて も、 自然 な発話 に近い資料 と

‑91‑

(3)

)

して扱 うことに問題 はない と言 える。 よつて、 このデー タベースは、話 し言葉の調 査対象 と して有効 であると言 える。

3.1.用

国立国会図書館 が編集 したデー タベース 「国会会議録検索 システム」 を基 に、期 間は2010年11月 1日 か ら2011年11月 30日 まで とし、助動詞 「たい」で検索を した。その結果 、フ型 は3558例(99。7%)、 ガ型 が11例(0.31%)の 合計3569例であ った。 なお、検索対象は 「たい」の形のみである。 その理 由は、 「たい」の形だけ で も多 くのサ ンプル が得 られたか らであ り、 また、調査の過程で、 「たい」以外の 活用形 で もガ型・ フ型の割合 は変化 しない と判断 したためである。

例 の挙 げ方 は、 「発言 内容」 (発言 の月 日 発言 した会議 発言者)とす る。以 下にガ型 の11例の うち5例を例 として挙 げる。 なお、下線・二重下線・波線 は引 用者 に よる。

(1)「 温家宝 さん と会つて話が したい、」 (11/1  予算委員会 赤松正雄)

(2)「 何 が言いたいか とい うと、法務大 臣、 これ は民主的な基礎 を有す るか否 か とい う問題 なのです よ。」 (11/8  予算委員会 石破茂)

(3)「 何 が言いたいか とい うと、海上保安官 の名 前です とか、あるいは名誉や 人権 を害す る よ うな部分が衆議院予算委員会 に提 出 され た ビデオの中にそ も そ もない。」 (11/11  法務委員会 桜 内文城)

(4)「 何 が 申 し上げたいか って、まあ余 り長 い時間を取 つて も恐縮 ですか らま た何 かのゆっ く りした ときにあれ します けれ ども、」 (11/22  予算委員会  直人)

(5)「 何墾言いたいかとい うと、」 (11/26  環境委員会 橋本博明)

以上の5例のガ型について、動詞 と助詞の対応に規則性があるかを検証する。

A:〈「名詞」 (ヲ型での使用例があつたもの)+「たい」〉…(1)

(6)「みんながいろいろと柳 田と話を したいとい うことでございましたので、」

(11/18 予算委員会 柳 田稔)

B:〈「何」+「言いたい」〉…(2)。 (3)。 (5)

(7)私 が何を言いたいかとい うと、戦略的互恵 とい う、この中国が使 う言葉 と い うのは、今現在、私が承知 している限 りでは、 日本を含めて三十六カ国あり ます。 (11/1  予算委員会 赤松正雄)

C:(「申し上げたい」〉…。(4)

(8)「この看護職員の確保対策であ りますが、幾つか取組を申し上げたいと思 う んですが、」 (11/16  厚生労働委員会 大谷泰夫参考人)

‑90‑一

(4)

)

以上の よ うに、(1)か(5)のガ型 の表現に対応す るヲ型 の表現(6)〜 (8)が存在す る。

これ はガ型 11例の内 ここに挙げなかつた他の6例も同様 である。 よつて、 「この 動詞 だか ら必ずガ型 になる」 とい う規則性 はない と考 え られ る。

ただ し、(2)0(3)。 (5)のよ うに、 「何」 と 「言いたい」を結ぶ助詞 は、 「が」が多 い。検証に用いた赤松氏の発言 も、先に 「私が」 と述べてい るため、ここでガ型 を 選ぶ ことを避 けた可能性 がある。 この赤松氏の発言以外 には、 「何を言いたい」 と い う表現は見つか らなかつた。また、(4)の 「何至 申し上げたい」については、 「何 を申 し上げたい」 とい うフ型 の表現は見つか らなかつた。 この ことか ら、 「何」 と い う語 に、 「言 う」・ 「言 う」の謙譲語 「申し上げる」 とい う言葉が続 く場合、ガ 型 が用い られやすい と考 え られ る。

結果 として、国会での発言は圧倒 的にヲ型 が優勢であった。 もちろん これ らの発 言 を文字化す る うえで整文が行われていない とは言い切れ ないが、それで もガ型の 使用が 1%にも満 たない ことは見過 ごしてはな らない。 これ は、学校教育ではガ型 が正 しい としてい ることと矛盾 している。 なぜ この よ うにヲ型優勢の結果が出たの であろ うか。先 に述べたが、国立国語研 究所の調査では、年齢層が低 くなるにつれ て ヲ型 を正 しい とす る人が増加す る傾 向にあ る とい う。 国立国語研究所 の調査 は 1955年に行われた ものであるか ら、現在 ではヲ型 が正 しい としてい る人が よ り増加 してい る可能性 がある。

4.ア ンケー ト調査

一般のガ型・ ヲ型への意識 を知 るため、2011年8月 1日 か ら2011年 10月 13日 に、配票調査法3を用いてアンケー ト調査 を行 つた。アンケー トの配布対象 は、二重 大学の職員、学生、二重大学オープンキャンパ スの来場者 、筆者 の家族や友人、知 人である。

4.1.ア ンケー ト内容

ア ンケー トの設間は、 I・ Ⅱ OⅢ に大別 した。

Iは ガ型・ フ型 の文 を並べ、 どち らをふだん使 つてい るか、回答者 に選択 して も らう形式の設間である (9問)。 Ⅱは状況設定を示 し、会話文の中の丸括弧 に、「が」

か 「を」 を書 き入れて もらう形式の設間である (4問)。 Ⅲは1955年に国立国語研 究所が行 つた調査 を踏襲 した設間である。「水が飲みたい」・「水 を飲みたい」の どち らが正 しい と思 うか、またその理 由は何 かを四つの選択肢 か ら数 に制限は設 けず選 ぶ設間である。

‑89‑

(5)

5)

4。 2.回 答 内訳4 )性別年代

全体・…535  (男̀性235、 女′300)

10代94(男44、 女性50)、 20代169(男75、 女性94)、 30代78(男

27、 女性51)、 40代88 (男34、 女性54)、 50代106 (男55、 女性 51)

)出身都道府県

北海道4、 新潟県1、 千葉県1、 埼玉県4、 東京都6、 山梨県1、 富山県1、 福井県2、

石川県2、 静岡県4、 岐阜県11、 愛知県187、 二重県241、 奈 良県23、 和歌山県2、

滋賀県4、 京都府9、 大阪府9、 兵庫県4、 岡山県1、 広 島県2、 鳥取県2、 佐賀県2、

熊本県1、 長崎県3、 宮崎県3、 鹿児島県2、 沖縄県3 )居住都道府 県

山梨県2、 富山県1、 静岡県2、 岐阜県7、 愛知県149、 二重県341、 奈 良県32、 賀県1

4.3.分 5

4.3.1.Iの 集計結果

I― 「野球 (が・ を)したい。」

(M+が 0を+た)とい う最 も基本的な文型 の項 目である。

全体(535)…472(88.2%)ヲ 52(9.7%)両5(0。9%)無回答6(1.1%) 50代男性(55)…44(80%)ヲ 11(20%)両0(0%)無回答 0(0%) 全体 としてガ型 が約9割であるが、50代男性 は ヲ型 が20%以上である。

I‐  「なによ リケーキ (が日を)食べたい。」

(強調 の語句+M+が 0を 十たい〉 とい う語順の項 目である。

全体(535)…458(85.6%)ヲ 71(13.3%)両3(0。6%)無回答3(0◆6%) 20代男性(75)…58(77.3%)ヲ 17(22.6%)両0(0%)無口答 0(0%) 40代男性(34)…23(67.6%)ヲ 11(32.4%)両0(0%)無回答 0(0%)

全体 としてガ型が多いが、20代男性では ヲ型 が20%以上であ り、40代男性では ヲ型が30%以上である。強調の語句 「なによ り」を入れ ることで、I―① と比較す る 目的であったが、 I― ① と明 らかな差異はない。

I― 「テス ト終わ りにはマンガ (が・ を)思う存分読み たい。

I― ② と語順 を変 えた(M+強調 の語句+が0を+た)とい う文型 にす ることで、

I―② との比較 をす るための項 目である。

全体(535)…26(4。9%)ヲ 507(94.8%)両1(0.2%)無回答1(0.2%) ‑88‑一

(6)

)

全体 として ヲ型 が圧倒的に多い。 これはI―OI― ②の結果 と異なってい る。

I‐ 「ウワサ話な ら何でも首 (が・ を)突つこみたい。」

慣用句 「首 を突 っこむ」 を含む表現の項 目である。

全体(535)…2(0.4%)ヲ 531(99。3%)両1(0.2%)無回答1(0.2%)

全体 として フ型 が圧倒的に多い。「首を突 っこむ」は慣用句 なので 「を」以外 の助 詞では置 き換 え られ ない。したがって、「首を突っこむ」を含む この表現で もヲ型が 優勢 になつた と推測 され る。

 「人の悪 いところ (が・ を)言いた くない性格だ。」

打消の表現 「ない」が付いた場合 を考 える項 目である。

全体(535)…23(4.3%)ヲ 508(95。0%)両1(0.2%)無口答3(0.6%)

全体 として ヲ型 が圧倒 的に多い。 この結果 は、ガ型 が優勢 のI―① と異 なつてい る。

I‐ 「海外に行 くと日本食 (が・を)食べたいと思う。」

「と思 う」 とい う語句が付いた場合を考える項 目である。

全体(535)…346(64。7%)ヲ 174(32.5%)両4(0。7%)無回答11(2.1%) 50代男性(55)…25(45。5%)ヲ 30(54.5%)両0(0%)無回答 0(0%) 全体 としてガ型が半数強だが、50代男性のみヲ型がわずかに多い。

I― 「当分、映画 (が 日を)見た くないと思います。」

二つの語句 「ない」・「と思 う」が付いた場合を考えるための項 目である。

全体(535)…32(6。0%)ヲ 487(91.0%)両1(0.2%)無口答15(2。8%) 全体 としてヲ型が圧倒的に多い。I―①・⑤ O⑥・⑦の結果か ら、打消の表現 「な い」が付 くとヲ型が用いられやす くなる可能性があると言える。

 「書類 (が口を)書いていただきたい。」

I― 「この手紙 (が・ を)読んでいただきたい。」

敬語表現を考えるための項 目である。

I―③全体(535)…0(0%)ヲ 533(99。6%)両1(0。2%)無口答1(0.2%) 全体 として圧倒的にヲ型が多い。

I―⑨全体(535)…1(0.2%)ヲ 532(99。4%)両1(0。2%)無回答1(0.2%) 全体 として圧倒的にヲ型が多い。

4.3。 2.Iの 考察 (あ)I¨

藤 田 (1982)のアンケー ト調査では 「今とってもフランス語が勉強 したいんで す。」篠 田 1982:103)の ように、強調の語句 「とつても」を使つた項 目を設けた。

‑87‑一

(7)

) この調査では ヲ型が優勢であった。本稿の調査ではガ型が優勢であった。藤 田(1982) と本稿 で結果 が異なった理 由を考察す る。

まず、動詞 について、本稿 のアンケー トでは「食べたい」を用い、前出の藤 田 (1982) では 「勉強 したい」 を用いていた。動詞 によつては、ガ型 を取 りやすい もの 。フ型 を取 りやすい ものが とあるため、結果 に違いが出た可能性 が考えられ る。

また、 同 じ強調 の語句 であって も前 出の藤 田(1982)の 「とって も」は 「勉強 した い」 とい う動詞部分 を修飾 して強調 している。一方、本稿の 「なによ り」は 「ケー キ」とい う目的語部分 を修飾 して強調 している。強調 している部分によつて、ガ型・

ヲ型が異 なることについて 「われ ― が普通の心持でいふ時は 「お茶が飲みたい」

といふが、特 に 「飲む」とい うことを強 く頭 に浮べ ると、自然 に「お茶 を飲みたい」

といふ ことになるものだ らうと思ふ。」(湯1944:264)と い う指摘がある。つま り、

動詞部分 を強調 している場合、 ヲ型 が用い られやす くなるとい うことである。

以上の二点が、藤 田(1982)と本稿 の調査結果 が異 なる理 由として考 え られ る。

(い)I―

I―O②の結果か ら、強調の語句があつてもガ型が優勢であることが分かつた。

「テス ト終わ りにはマンガ (が・を)思う存分読みたい。」とい う例文を使つたこの 項 目でヲ型が優勢になったことから、「読む」とい う動詞はヲ型 と結びつきが強い と い う可能性が考えられる。ただ し、この項 目での強調の語句 「思 う存分」が修飾 し ているのは 「読みたい」 とい う動詞部分である。動詞部分が強調 された場合、ヲ型 が用い られやす くなることは、4.3.2.の (あ)で指摘 した通 りである。また、強調 の語句がI―②の 「なにより」 とは異なることも、この項 目でヲ型が優勢になった 理由の可能性 として考慮 しなければならない。

(う)I‐ ⑤・⑦

I―⑤ 「人の悪い ところ(が 0を)言いたくない性格だ。」では、回答者からの指 摘に 「「人の悪いところ旦言いたくない性格だ。」とい うハ型が望ましい」とい うも のがあった。同 じくI―⑦ 「当分、映画 (が・ を)見た くないと思います。」では、

「ハ型が望ましい」とい う指摘 と、「比較するならばハ型 とヲ型になるのではないか」

とい う指摘があつた。

このような指摘があった理由の一つ として、「肯定文を使 うときは,と くに否定文 を意識 しないで使 うことが多いのにたい して,否定文を使 うときは,肯定文を意識 しやすい。否定文は肯定文を否定 したものだか ら」(野田 1996:214)で あって、「否 定文では対比の相手を想定 しやすいので,対比の 「は」も使われやすいのである。」

(野1996:214)と い う指摘がある。つま り、I―⑤ とI―⑦はともに否定文である ので、ハ型が望ましいとい う指摘が出たと考えられる。

‑86‑一

(8)

(8)

(え)I‐③・⑨

I―③・⑨はともに敬語表現であるが、 I―③はMが特定のものでなく、 I― Mが特定のものであるとい う違いがある。I―⑨を、同 じ「読む」とい う動詞で あるが敬語表現でないI―③ と比較すると、敬語表現はヲ型 と結びつきやすい可能 性が指摘できる。

また、 I― ③ とI一⑨はどちらもヲ型が優勢であつた。 これは、名詞に焦点があ る場合にはガ型がよく用い られ、他のものでなく何々がとい う表現価値的側面が出 る、とい う藤 田(1982:97)の結論 と一致 しない。本稿のアンケー ト調査か ら分かる ことは、他のものでなく「この書類」 と特定 しても、変わらずヲ型が選択 されやす いと言 うことである。

4.3.3.Iの 集計結果

I‐ 今日はとてもいい天気です。タロウは学校が終わつた らす ぐにでも友だち と遊びたいので、思わず こんな風に声をかけて しまいました。

「なあ、野球 ( )したいか ら、いつもの空き地に来いよ」

Mが特定のものでない とき、状況設定があるかないかでガ型・フ型に変化がある かを考えるための項 目である。 この問題について、 I― ① と比較を行 う。

全体(535)

I― ① でガ型 (473)… 391(82。7%)ヲ 80(16。9%)両 1(0。2%)無口答 1(0.2%)

I―①でヲ型(52)…20(38.5%)ヲ 31(59.6%)両1(1.9%)無回答 0(0%) I―①で両方(5)・・ガ2(40%)ヲ 2(40%)両0(0%)無回答 1(20%) I―①で無回答(5)・・ガ2(40%)ヲ 2(40%)両0(0%)無口答 1(20%)

Mが特定のものでない とき、状況設定の有無に関わらずI―①でガ型を選んだ人 はⅡ ―①でもガ型を選び、 I― ①でヲ型を選んだ人はⅡ ―①でもヲ型を選ぶ。

I― 念願の大を飼 うことになつたので、ペッ トショップに行きま した。 しか し いざペッ トショップに行 くとた くさんの種類の大がいて、なかなか決められません。

「チワワもかわいいけど、やつばり柴犬 (  )飼いたいなあ」

回答者が思い浮かべるだけの選択肢の中から一つを選ぶ とい う状況を設定 した項 目である。

全体(535)…333(62.2%)ヲ 197(36.8%)両1(0.2%)無回答4(0。7%) 40代男性(34)…17(50%)ヲ 17(50%)両0(0%)無回答 0(0%) 50代男性(55)…26(47。3%)ヲ 28(50.9%)両0(0%)無口答1(1。8%) 全体 としてはガ型が半数強である。ただ し40代男性ではガ型・フ型のどちらが優

‑85‑一

(9)

Ю)

勢 とは言えない。また、50代男性ではヲ型がわずかに多い。このように、必ず しも すべての性別年代でガ型が多いとは言えない。

I‐ 何気な く立ち寄つた本屋で、偶然にもずっと探 していた漫画を見つけまし た。手にとって思わず一言つぶやきます。

「ずつとこのマンガ (  )読みたかつたんだ……!」

Mが特定のものであるとき、状況設定があるかないかでガ型・ヲ型に変化がある かを考えるための項 目である。 この問題について、 I― ③ と比較を行 う。

I―③でガ型(26)…26(100%)ヲ 0(0%)両0(0%)無回答 0(0%) I―③でヲ型(507)…367(72.4%)ヲ 140(27.6%)両0(0%)無回答 0(0%) I―③で両方(1)…0(0%)ヲ 0(0%)両0(0%)無回答 1(100%)

I―③で無回答(1)・・ガ0(0%)ヲ 0(0%)両0(0%)無回答 1(100%)

Mが特定のものであるときは、I―③でガ型 を選んだ人はⅡ ―③でもガ型を選ぶ。

ただ し、状況設定のないI― ③ではヲ型を選んだ人 も、状況設定のあるⅡ ―③では ガ型を選ぶ傾向がある。

Ⅱ‐④ 最近周 りの友だちはみんな習い事を始めま した。それまで習い事に興味の なかつた ミエですが、友だちに影響 されて習い事に興味を持ちました。

「お母さん、わた し、習い事 (ア  )やりたいんだけど、

「だめ。アンタ、飽きっぱいもの。す ぐ嫌んなるわ」

「飽きないようにがんばるか ら!とにか く習い事 (イ  )したいの!」

「習い事 つていってもねえ、いろいろあるじゃない。ピアノとか習字とか……」

「ん一、そういうのよりも、もっとカッコイイの (ウ  )やりたいな」

「ピアノも習字も十分格好いいよ。将来のためにもなるしねえ」

「ピアノも習字もありきた りだもん。どうせならみんながあこがれるような……バ イオ リン (工  )やりたい!」

「アンタねえ、みんなにうらやましがられたいからつて中途半端な気持ちで習い事

(オ  )やりたいなんて、うまくなれないわよ。もつと自分か らや りたいつて思 えることができるまで、習い事はガマンしなさい」

「……は一い」

一連の会話における、ガ型・ ヲ型の変化を知るための項 目である。

⑦全体(535)…133(24。9%)ヲ 400(74.8%)両方0(0%)無 回答2(0。4%)

全体 として ヲ型 が多い。

④全体(535)…421(78。7%)ヲ 112(20。9%)両方0(0%)無 口答2(0.4%) 全体としてガ型が多い。

②全体(535)…320(59.8%)ヲ 212(39.6%)両0(0%)無回答3(0.6%) ‑84‑―

(10)

l101

40代男性(30… ガ16(47.1%)ヲ 18(52.9%) 50代男性(55)…21(38.2%)ヲ 34(61.8%) 全体 としてガ型がやや優勢だが、40代男性 と

る。

o全(535)…343(64.1%)ヲ 187(35。0%) 全体 としてガ型が半数以上である。

② 全体(535)…101(18。9%)ヲ 432(80。7%) 全体 としてヲ型が8割ほどである。

両方0(0%)無回答 0(0%) 両方0(0%)無回答 0(0%) 50代男性 ではヲ型がやや優勢であ

両方1(0。2%)無回答4(0。7%)

両方0(0%)無回答2(0.4%)

4.3.4.  10考 (あ)Ⅱ ―②

「柴犬も飼いたい」とい う、選択肢外の回答が二つあつた。なお、この回答をし た回答者には、性別・年代・出身都道府県などの共通点はなかつた。この回答が出 た理由は以下のように考えられる。

(理1〉 助詞 「も」には、並立の用法がある(山200455)。 Ⅱ ―②では「チワワ もかわいいけど、やつぱ り柴犬 ( )飼いたいなあ」とあるように、「チワワ」の後 にも、助詞 「も」がある。 この助詞 「も」が、並列の用法 として 「柴犬」の後に助 詞 「も」を導いた。

(理2〉「どちらも」飼いたい、とい う話 し手の気持ちが「柴犬」の後に助詞「も」

を導いた。

(い)Ⅱ ¨③

I―③で述べたように、「読む」とい う動詞はヲ型 と結びつきが強い可能性がある。

しか しながら、このⅡ ―②の結果か ら、状況設定がされた場合、ある特定のものを 指す ときは、フ型 と結びつきの強い動詞であつてもガ型を用いるとい う認識が多 く の人々の間にあると考えられる。

また、 I― ③ o⑨ では、名詞の特定の有無に関わ らず、どちらもヲ型が選択 され やすいとい う結果になつたが、Ⅱ ―③の結果はこれ と矛盾する。 I― ③・⑨ とⅡ ―

③の違いは、状況設定があるかないかである。前者には状況設定が無 く、後者には 状況設定があつた。つま り、状況設定がある場合には、名詞に焦点がある場合には ガ型がよく用いられ、「「他のものでなく何々が」とい う表現価値的側面が出る」(藤

1982:97)と考えられ る。

(う)I―(D        ´

⑦「習い事」、④「習い事」、④「習い事」と同じ言葉が続いている。このとき⑦で はヲ型が優勢であり、④ではガ型が優勢であつた。これは、同じ言葉を繰り返すと

‑83‑

(11)

llll

強調 な どの特 別 の効果 が 出 る場合 が多 い か らで あ る と考 え られ る(益岡・ 田窪 1992:172)。 したがって、この ときの助詞 「が」は強調 を表わす可能性がある。ここ で同 じ繰 り返 しな らば、3回目の② もガ型が優勢 になることが予演jされ るが、④ で はヲ型 が優勢 であった。 この ときヲ型が優勢であった理 由は以下の よ うに考 え られ る。

理 由1〉 一般 に、助詞 「が」は、同 じ言葉 に対 して2回続 けて用い ることが避 け られ る

(理2〉 ここでの助詞 「を」 も強調の表現である

また、② 「習い事」と② 「カツコイイの」・〇 「バイオリン」を比較すると、⑦よ りも②・○ではガ型を選ぶ回答者が増えている。つまり、②から②・oと具体的な ものにすることで、ガ型が用いられやすくなっているということである。このこと か ら、ガ型 は具体的なものを指 して言 う時に使 われ ると認識 されていると言 える。

しか し② とoを比較す る と、年代や性別 によつて優勢 なのがガ型 か ヲ型か変わって きてい る。つま り、Mを具体化す るにつれて、ガ型 が優勢 になる傾 向があるが、全 ての場合 においてそ うなるとは言 えない。

4.3.5.Щ の集計結果

 A「水が飲みたい」・B「水 を飲みたい」の うち、 どち らが正 しい表現だ と思い ますか。アル フアベ ッ トで答えて くだ さい。

また、その理 由は何 ですか。以下の項 目か ら選んで数字に丸 を付 けて くだ さい。

<理>

1.一般的だか ら。

2.伝統的だか ら。

3.本来の 日本語のよ うだか ら。

4.論理的だか ら。

全体(535)…241(45.0%)ヲ 285(53.3%)両6(1.1%)無回答3(0。6%) 50代の女性(51)…28(54。9%)ヲ 23(45.1%)両0(0%)無回答 0(0%) 全体 として ヲ型 がやや多いが、50代女性のみガ型 がやや多い。 また両方 を選んだ 回答の中で、「状況 によるので、AoBのどち らが正 しい とは言 えない」 とい う回答 4例、「気持 ちの強 さで異なる」 とい う回答が1例あつた。

・ ガ型が正 しい とした理 由

一 般 的 151(62.7%)伝統 的 4(1.7%)本来 の 日本 語 調 36(14.9%)論理 的

45(18。7%)無回答2(0.8%)自己作成3(1.2%)複数 0(0%)

自己作成 による理 由は、「その他」。「表現が強いか ら」・「よ り強調 されている気がす

‑82‑―

(12)

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るか ら」の二つである。

・ ヲ型 が正 しい とした理 由

一 般 的 68(23。9%)伝 統 的 0(0%)本来 の 日本 語 調 96(33.7%)論理 的 120(42.1%)無回答0(0%)自己作成0(0%)複1(0。4%)

複数回答 は、「本来の 日本語調」 と 「論理的」の二項 目に回答がな されていた。

4.3.6.Iの 考察

今回のア ンケー ト調査では、わずかな差ではあるが、フ型 が正 しい とす る人の方 が多かった。これは、教育現場でガ型 が正 しい とされていることと、1955年に行わ れた国立国語研究所の調査結果 とは異 なってい る。 ただ し、国立国語研究所の調査 では年齢 が下がるごとにヲ型が優勢になる とい う予測 を立てていた。今回のアンケ ー ト調査では、ヲ型が正 しい と思 う回答者 は10代54.2%、 20代53.8%、 30代 53.8%、 40代55.6%、 50代49。1%と い う結果が出た。40代の ところは若干 割合が高 くなっているが、全体的な傾 向 としては、国立国語研究所の予測 と矛盾 し ない。

興味深いのは、2の 「伝統的だか ら」 とい う理 由を選んだ回答者が全体の0。7%し かお らず、 しか もその回答者 は全てガ型 を選択 してい ることである。先述の国立国 語研究所 の調査ではガ型 における結果 しか述べ られていないが、それで も「伝統的」

を理 由に選んだ人は 24%もいたのである。「伝統的」 とは、 日本語の中で古 くか ら 育まれて きた もの、 とい うことだろ う。『 日本語文法大辞典』(明治書院 2001)の 助 詞「が」の項 目に、「が」の後に心情・可能な どの意味の語が続 くとき明治以降「が」

の代わ りに 「を」の使 われ ることがあるよ うになつた。 これ を古 く西欧語の影響に よつてできた語法 とい う解釈 もあつた」 とあることか ら、 フ型 は西欧の言葉の影響 を受 けてできた ものだ とす る説があつた ことが分かる。逆 に言 えば、「伝統的」なの はガ型 だ とい う認識が一般 にあつた とい うことである。 この ことか ら、国立国語研 究所 の調査や本稿のアンケー ト調査で、ガ型 に 「伝統的」 とい う理 由が多 く見 られ ることの説明が付 く。

しか し、 ヲ型 は西欧の言葉の影響 を受 けてで きた ものだ とい う説 が誤 つてい ると い うことは、松村(1951)で明 らかになった ところである。 国立国語研究所 の調査 は 1955年の ものであ り、本稿のアンケー ト調査は2011年の ものである。一つの可能 性 として、松村(1951)以降、ガ型が伝統的だ とい う考 えが薄れていつたのではない か とい う可能性 が考 え られ る。 もちろん、国立国語研究所 の調査 と本稿 のアンケー ト調査 は、調査対象が異なってい ることも考慮 しなければな らないが、可能性 とし て指摘 してお く。

‑81‑

(13)

l131

さらに、本稿 のアンケー ト調査でガ型 を選んだ人の理 由の うち、最 も多いのは「一 般的だか ら」であるが、 ヲ型 を選んだ人の理 由で最 も多いのは 「論理的だか ら」 と なってい ることも興味深い。「一般的」とい うのは広 く使われているとい うことであ る。「論理的」 とい うのは、例 えば「水 を飲む」とい う表現があるか ら「水を飲みた い」が正 しい、 とい うよ うに、理 由付 けて説明できることである。

国会会議録 の調査か ら、決 してガ型が「一般的」ではない ことが分かつた。では、

何故ガ型 は 「一般的」 と思われてい るのだろ うか。

Ⅲでガ型 を選んだ回答者か ら、次のよ うなコメン トがあった。

・「「水が飲みたい」 と言 うととても要望が強 く感 じる」

・「強い気持 ちの表現の場合 に 「が」を使 うことが多い」

「強調・特定 したい時は 「が」をよ り多 く使用 します」

以上の コメン トか ら、助詞 「が」は強調 を表わす と認識 されているとい うことが 分か る。一般的 に、強調 して表わ された ものは、 自然 と記憶 に残 る。そのため、実 際には ヲ型 に多 く触れていた として も、印象の強いガ型が記憶 に残 り、ガ型が 「一 般的」 と認識 してい るのではないだろ うか。そのために、ガ型が正 しい とされた最 たる理 由が 「一般的」 となったのではないか。

また、 フ型 を選 んだ人の理 由で最 も多いのは 「論理的」だが、 これは国立国語研 究所 の調査 と同 じ結果 である。「一般的」がヲ型 を選んだ理 由の中で少な くなってい るのは、ガ型が多 くなっていることの裏返 しだ と考 え られ る。つま り、ヲ型は多 く 使 われていて も印象 に残 らないので、一般的だ と認識 されていない とい うことであ る。何故、 フ型 を正 しい とした理 由で、「本来の 日本語調」を選んだ人が 「論理的」

を選んだ人 よ り少 ないのかは、検討 を してみたが、よく分か らなかった。ただ、「水 を飲む」 とい う表現があるか ら「水 を飲みたい」が正 しい、 とい う根拠付けによっ て 「論理的」とい う理 由が選ばれた と考 えることができる。その場合、「本来の 日本 語調」 を理 由 として積極的に選ぶ必要はないであろ う。その結果、ヲ型 を正 しい と す る理 由で 「論理的」が最 も多 くなったのだ と考 え られ る。

4.3.7.全 体の考察

このア ンケー ト調査で明 らかになった ことを以下に挙げる。

(a)ガ型・ ヲ型 で地域性 があるかは、よく分か らない

A地方 出身 の人は必ず こ う答 える、 とい う傾 向は見 られなかった。出身都道府県 別 で もその傾 向はなかった。また、ある回答者 か ら「自分の出身地域では助詞 「ば」

で補 うこ とがで きるので、今回は標準語的に考 えた場合で回答 した」 とい う指摘が あつた。つ ま り、 このアンケー トに回答者が普段使 っている、方言を含む表現が全

‑80‑一

(14)

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て反映 され てい るとは言 えない、 とい うことである。

6)「 読む」な どの よ うに、フ型 を取 りやすい動詞 がある

(c)「首 を突 つこむ」の よ うな慣用句は助動詞 「たい」がついて も、助詞 は変化 しに くい

(の敬語表現はヲ型 を選びやすい

(e)状況設定があ り、かつ、名詞 に焦点がある場合 にはガ型 が よく用い られ る

① 目的 とな る名詞 が具体化す るにつれ、ガ型が選 ばれやす くな る

(D全体として、わずかな差ではあるが、フ型が正しいと思つている人の方が多い ヲ型 が正 しい とす るのは全体の 53.3%で ある。ヲ型が正 しい と思 つている理 由は、

多い順 に、「論理的」。「本来の 日本語調」・「一般的」が挙げ られ る。また、ガ型が正 しい とす るのは全体の45。0%である。ガ型が正 しい と思 つてい る理 由は、多い順 に、

「一般的」・「論理的」・「本来の 日本語調」0「伝統的」であつた。

5.  おわ りに

学校教育の場 ではガ型 が正 しい とされてい るが、その理 由は決 して明確 とは言 え ない。今回、話 し言葉 の実態 を見 るために国会会議録 を調査 したが、 フ型の方が多 く使 われていた。一般 の意識 を知 るために行 つたアンケー ト調査では、フ型が正 し い と考 えている人の方が若干多いことが分かった。

学校教育 の場ではガ型 が正 しい とされてい るが、実際には ヲ型 が多 く使 われてい てヲ型 が正 しい と考 えてい る人の方が多い とい う、 この食 い違いについてはまだ よ くわか らない ことが多い。それで も、本稿 のア ンケー ト調査 は一般 のガ型・ ヲ型 の 意識 を知 る上で有意義であろ う。 この調査結果が今後の研 究 に役立て られ ることを 望みつつ、本稿 を締 め くくる。

謝辞

本研 究が形 になったのは、アンケー ト調査 に快 く回答 して下 さつた皆様 のおかげ です。協力 していただいた全ての方々に、心か ら感謝 の気持 ち と御礼 を申 し上げて、

謝辞 にかえ させ ていただきます。

参考文献

・木枝増一。1931.『 高等 口語法講義』 目黒書店

。国立国語研究所.1956。 「語形確定のための基礎調査」『 国立国語研究所年報七』

・ 三省 堂編輯所.1948a.『中等文法 国語』三省 堂

・ 三省堂編輯所。1948b.『教師用参考書』三省堂 ‑79‑一

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l151

・野田尚史.1996.『新 日本語文法選書「は」 と「が」』 くろしお出版

・橋本進吉.1938。『新文典別記 口語編』冨山房

・藤 田正春。1982。 「水が飲みたい」か「水を飲みたい」か一初級 日本語における その教育的選択一」『筑波大学人文科教育研究』9号

・保科孝一。1911.『 日本 口語法』同文館

・益岡隆志・ 田窪行則。1922.『 基礎 日本語文法―改訂版一』 くろしお出版

・松村明.1951.「「水を飲みたい」とい う言い方について」『江戸語東京語の研究』

東京堂

・三矢重松。1926.『 高等 日本文法』明治書院

・文部省.1944a.『中等文法 一』

・文部省.1944b。 『編纂趣意書』

・文部省.1947。 『 中等文法 一』

・山田敏弘。2004。『 国語教師が知っておきたい 日本語文法』 くろしお出版

・湯沢幸吉郎。1944.『 現代語法の諸問題』。 日本語教育叢書 日本語興振委員会

・吉岡郷甫.1902.『日本 田語法』東洋図書

0吉 澤義則。1932.「 所謂『 ヲ』に通ずる助詞『 ガ』について」『金澤先生還暦記念 東洋語学乃研究』三省堂

[おかだ 。よしみ 愛知県立一宮西高等学校常勤講師 2012年 3月 卒業]

1なお、引用文 中の 「第1回調査」 とは、調査計画 にもとづいて行われた小規模 の準備調査 の ことである。

2.国会会議録検索 システムhtt"性Okkai.ndl.goojp/KENSAKU/swLstartup.html 最終確認 日 :2011/12/21

3辻新 六 。有馬 昌宏。1987.『 アンケー ト調査 の方法一実践 ノウハ ウとパ ソコン支援一』.朝 書店。 p55

4以下、数値 の単位 は 「人」 とす る。

5以下、Mは目的語 を指す。

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