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ゴルフスイングの動力学に関する研究

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Academic year: 2021

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ゴルフスイングの動力学に関する研究

知能機械力学研究室 渡邊 誠

1. 緒言

人間の運動解析において,動作中の関節モーメントなどを 推定することは,医療やスポーツの分野で重要な技術として 位置付けられている.当研究室では,装着型の床反力センサ とモーションセンサを開発し,ウエアラブルなシステムだけ で運動解析を可能にした.これによって,精度向上などの課 題は残されているものの,据え置き型のカメラシステムと床 反力計を組み合わせたシステムよりも,使用場所・条件・範 囲が大きく広がることが期待される.しかしながら,ウエア ラブルなセンサシステムをより多くの運動に対応可能にする 場合,多くのセンサを用いることになり,コストの増加はも ちろん,センサの装着時間が長くなることや,スポーツの際 には自然な動作の妨げになるなどの問題がある.この課題を 解決するため,本研究では,特定の動作についてその動作に 関する力学的な理論を用いることにより,少数のセンサでも,

多数のセンサを用いた本格的なシステムと同等なシステムを 構築し,有用な情報を得ることを目的としている.本稿では,

少数のウエアラブルモーションセンサと動力学理論を組み合 わせ,スイングの診断を行うことを考える.

2. 理論

ゴルフスイングの動作を,図1のように,腕とクラブを 表す2つの剛体リンクからなるモデルと考え,鉛直面から

傾いたスイング平面での2次元運動であると仮定する.

結合部はダウンスイング開始時に設定されたコック角より も内側には変形しないとし,内向きのトルクが加わってい る場合には2つの剛体は剛結されて1リンクとなり,結合 部を開こうとする外向きのトルクが加わった場合にはそれ を拘束する内力は発生せず回転はフリーのピンジョイント で結合された剛体の2リンク系となりリストターンが進む と考える.1リンク系の運動方程式からリストに加わるモ ーメントMを計算し,M = 0となる瞬間がリストターン開始 のタイミングとすれば,リストターン開始時の条件式が次 式のように得られる.

𝜃̇1𝑤2

= ∅𝜃̈1𝑤 (1)

𝜃̇1𝑤と𝜃̈1𝑤は,それぞれリストターン開始時におけるリスト の角速度と角加速度であり,∅は無次元の定数である.式(1) は,遠心力によるリストジョイントを開こうとするモーメ ントが,接線方向の慣性力によるリストを閉じようとする モーメントに打ち勝てば,リストターンが開始することを 示す.そのタイミングは,リストターン開始までの加速パタ ーンに大きく影響され,ダウンスイングの後半ほど加速度 が大きくなるスイングでは,リストターン開始時の角速度 がより大きくなる.その結果,大きいヘッドスピードにつ ながる.

図1 スイング平面におけるゴルフスイングのモデル

3. 実験方法

2つのセンサを,前腕部と親指部分(クラブに相当)に取 り付け,ゴルフスイングを行う.スイング時の2つのリンク の3次元角速度を計測し,それより角速度の絶対値を求め,

その微分値を等価角加速度と定義する. 親指部分にセンサを 取り付けることで,クラブを持ち替えてもセンサシステムを 使用できるようにしている.

4. 実験結果

図2は,上級者の等価角加速度の時間変化を示す.図よ り等価角加速度は,ダウンスイング開始から徐々に大きく なっており,リストターン開始時に大きい角速度を生み出 すスイングになっていることがわかる.

図2 上級者の前腕部及び親指部分における等価角加速度

5. 結言

ゴルフスイングを例として,少数のウエアラブルモーショ ンセンサと動力学理論を組み合わせ,運動の評価を行うこと を試みた結果,腕にとりつけたセンサの出力を信号処理した 等価角加速度により,スイングの診断を行える見通しが得ら れた.

文献

(1) 井上 喜雄 他5名「ゴルフスイングの動力学(スイング の加速パターンとリリースポイント)」,日本機械学会

〔No.13-34〕シンポジウム:スポーツ・アンド・ヒュ ーマン・ダイナミクス2013 講演論文集

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