第1 1回全国生涯学習フェスティバル
まなびピア広島 ’ 9 9参加記
松 本 武 彦
99年10月初旬、広島市など広島県内6会場で、第11回生涯学習フェスティバル実行 委員会(会長:広島県知事、事務局:広島県教委生涯学習課・文部省生涯学習局生涯 学習振興課)主催の表記 催し が開かれた。筆者は、本学生涯学習センターの新米 研究員ということもあってか、これに出張を命ぜられ、10月8日から10日の3日間、
いくつかの講演を傍聴し、シンポジウムに参加し、また、情報収集にあたった。収集 した文献資料のすべては、復命と同時に生涯学習センターの所蔵するところとなって いるので、 催し 全体の概要についてはそちらを査読願うとして、ここでは、セン ターの研究員(=生涯学習の何たるかを研究中の者)としての、筆者の見聞と若干の コメントを述べさせていただく。
10月9日午前、全国民間カルチャー事業協議会主催による、シンポジウム「生涯学 習社会における官と民の役割」が、広島市の中心部にある広島県民文化センターで、
150名程の参加者を集めて開かれた。地元新聞社の論説委員が基調講演をおこない、
茶道家元・地元国立大学教員・地元公立図書館長・主催者代表によるパネルディス カッションと進行した。主催者代表が盛んに官による民の領域に対する浸食を嘆く と、館長氏が官の立場から逐一防戦し、大学教員氏は文部省批判を交えつつ、民間カ ルチャーセンターの NPO 化を提言するなど問題を拡散させ、一方、家元氏は流派の 歴史説明に沈潜する、といった具合でパネルは終始噛み合わなかった。各氏の発言を 傍聴するなかで、筆者が朧気ながら理解したことは、 生涯学習は手段なのか目的な のか共通の理解がない。カルチャーセンター的な事業分野に対する官の急速な進出 があり、民間側にある種のイライラがある。不況下のカルチャーセンター事業の市 場としてどの様な人々が想定されるか、現状では未だ不明確である、といったことで あった。
について言えば、学習者の立場からは「手段」であろうが、事業主にとっては「目 的」の側面も否定できない。したがって、立場を限定した議論の交通整理が必要だっ
−57−
た。については、そもそも民間カルチャー事業の企画・運営者自身が、かつての盛 況時の市場を、産業社会から疎外された人々と認識しているらしいことに驚かされ た。こうした認識であれば、リストラし放題の一億総疎外時代である現代は、カル チャーセンター大盛況のはずだが、実際はそうなっていないようだ。
実行委員会が主催する唯一の 催し は、それぞれにサブ主催者が設定された7つ の分科会によって構成され、10月11日に全体会が開かれた「まなびピア広島’99シン ポジウム」である。筆者は、出張スケジュールの制約で全体会には参加できなかった が、9日午後に広島 YMCA でおこなわれた第1分科会「『地域生涯学習振興基本構 想』の具現化への取り組み ワークショップ『みんなで創ろう まなびの森〜民間教 育事業者、大学、行政機関等との連携〜』」(主催:まなびの森ネットワーク会議)に 出席した。まず、参加者約100名程に対して、文部省生涯学習局生涯学習調査官が基 調提案として「連携」の具体例の紹介をおこなった。大学と自治体との連携のモデル ケースとして、本学と甲西町・竜王町との提携講座にも言及した。公的なルートを通 じて集中する情報を管理・独占する中央官庁の利を生かした、網羅的かつ整理された 基調提案だった。さて、この分科会には、さらに5つの分散会が設定されており、筆 者は、第1分散会「社会人のための生涯学習Ⅰ 大学・短大を中心とした連携」に参 加した。参加者は20名余。話題提供者として、財団法人大学コンソーシアム京都事務 局次長・株式会社ひろしまタウン情報取締役・広島修道大学教授の3名がまず発言 し、彼らと一般参加者との質疑を中心に会が進行した。筆者もいくつかの質問・発言 をおこなったが、それに対するコメント等から得られた主要な印象は2点。第1点 は、広島県内の私立大学は、生涯学習以前に、大学そのものの地域社会への公開度が 低く、本学にとって彼らの経験はほとんど参考にならないように見受けられたこと。
第2点、大学間連携の先進例として、大学コンソーシアム京都の成果について調査研 究する必要があること、である。
かつての任地で準ホストとして経験した「ねんりんピック」や「日本デザイン会 議」と同様、筆者にとって「まなびピア広島」も、ここまでに何度か記したように、
自治体を挙げての 催し という印象が強い。主催者の意図とは別に、目的意識を持っ た参加者の独自で貪欲な参加行動が求められる所以である。なお、蛇足ながら、広島
−58−
到着直後の8日午後は大会本部の所在する広島アリーナで資料収集、帰甲をひかえた 10日午前は呉会場での海事関係展示の見学をおこなったことを付記する。
−59−