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美白化粧水で尋常性白斑様の色素脱失を来したと思われる2例

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Academic year: 2021

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Key words  :  白斑、マグノリグナン、ロド デノール

【要約】

症例 1 :58歳、女性。11ヶ月前から美白化粧 水を使用していた。 2 ヶ月前に化粧水使用部位

(顔面~頚部、前腕)に脱色素斑があるのに気 付き、当科受診した。症例 2 :61歳、女性。 3 年 6 ヶ月前から同銘柄の化粧水を使用していた。

症例 1 同様、 1 ヶ月前に化粧水使用部位(顔面

~頚部)に白斑があるのに気付き、当科受診し た。

化粧水に含まれる美白剤ロドデノール

®

、マ グノリグナン

®

にはメラニン生成抑制作用があ ることから、メラノサイト内でのメラニン生成 低下により、尋常性白斑様の色素脱失を来した 可能性があると考えた。

今後詳しい病態の解析が必要ではあるが、同 銘柄の化粧水が女性を中心に全国的に広く使用 されていること,また短期間に当科だけで 2 名の患者が集まったことを考慮すると,全国的 には潜在的に多くの患者が存在することが危惧 され,注意を要する。

Ⅰ.はじめに

主に女性にとって、肝斑、炎症後色素沈着な どの顔面に生じた色素斑は大きな悩みのひとつ であることから、顔面の色素斑を軽減し、肌を 明るくすることは、スキンケア市場において大 変重要な領域となっている。今回、美白化粧水 で、色素脱失を来したと思われる 2 例を経験し たので報告する。

Ⅱ.

症例  1

患者  58歳 女性

主訴  化粧品外用部の白斑

既往歴・家族歴  特記すべき事項なし 現病歴

2011年11月頃より、カネボウ ブランシール スぺリア ホワイトディープ クリアコンディ ショナーを使用していた。2012年 8 月頃~化粧 品を外用していた顔面・頚部・両前腕部に白斑 が出現したため、2012年 9 月に当科受診した。

初診時現症

化粧品を外用していた顔面、頚部、前腕部に、

境界明瞭な脱色素斑を認めた。

臨床症状からは、尋常性白斑と考えた。

姫路赤十字病院誌 Vol. 37 2013 衛詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠鋭 液      液 液      液 液      液 液      液 液      液 液      液 液      液 液      液 液      液 液      液 疫詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠詠益

美白化粧水で尋常性白斑様の 色素脱失を来したと思われる2例

皮膚科 塩見真理子、山田  琢

病理診断科 藤澤 正義

(2)

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症例  2

患者  61歳 女性

主訴  化粧品外用部の白斑

既往歴・家族歴  特記すべき事項なし 現病歴

2009年頃より、カネボウ ブランシールスぺ リア ホワイトディープ クリアコンディショ ナーを使用していた。2012年 8 月頃より化粧品 を外用していた顔面、頚部に白斑が出現したた め当科受診した。

初診時現症

化粧品を外用していた顔面、頚部に、境界明 瞭な脱色素斑を認めた。

ダーモスコピーでは、白斑部の毛孔の周囲に は色素脱失なく、体毛の白髪化も認めなかった。

病理組織学的所見

頚部の白斑部より生検施行した。

弱拡大で、真皮表層には血管周囲に少数のリ

ンパ球が浸潤していた。真皮に solar elastosis を 認めた。強拡大で、表皮基底層ではメラニン産 生は減少しメラノサイトも少し減少しているも のの相当数残存していた。真皮表層にはメラノ ファージが散在しており、組織学的色素失調の 状態であった。

症例 1 に続き症例 2 でも,同じ銘柄の化粧品 使用後に白斑様の症状が出現しており,化粧品 による色素脱失を疑った。機序としては接触皮 膚炎による炎症後の色素脱失、または美白剤で のメラニン生成低下による脱色素斑を考えた。

鑑別診断として、尋常性白斑の初期である可能 性は否定できないと考えた。

治療経過

2 症例とも,化粧水の使用の中止を指示した。

症例 1 はその後受診しておらず経過は不明で ある。

症例 2 は、化粧品の使用中止後  3 か月目の

(3)

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外来受診時には、白斑部に正常皮膚色が再生し ていた。

2 症例とも、化粧水使用後に色素脱失斑が出 現し、症例 2 は中止により色素の回復が見られ たことから、化粧品による色素脱失と診断した。

Ⅲ.考察

カネボウ ブランシールスぺリア ホワイト ディープ クリアコンディショナーは、カネボ ウから1989年に発売が開始された美白化粧水 である。2006年~マグノリグナン

®

、2011年~

はマグノリグナン

®

に加えロドデノール

®

が配 合されている。マグノリグナン

®

もロドデノー ル

®

もカネボウが独自に開発した美白有効成分 である。

一般的に、色素沈着症はメラニンの生成と排 泄のバランスが崩れたことによるといわれてい る。これに対処するために開発された美白剤の

作用機序は大別して以下の 3 つがある。①メラ ニン生成経路におけるチロシナーゼを代表とす る酵素群を制御することによるメラニン過剰生 成の阻害、②周囲の細胞が放出するメラノサイ ト刺激物質を調節することによるメラニン過剰 生成の抑制、③表皮細胞に受け渡されたメラニ ン排泄の促進、である。

マグノリグナン

®

、ロドデノール

®

はいずれも、

チロシナーゼを阻害することでメラニン産生を 抑制すると考えられている。

1-3 ) 

マグノリグ ナン

®

はメラニン合成経路においてチロシナー ゼの成熟を阻害し分解を促進させてメラニン生 成を抑制し、ロドデノール

®

はチロシナーゼと 結合することで、活性を阻害し、メラニン生成 を抑制する。

安全性に関して、カネボウの行ったマグノリ グナン、ロドデノールの 6 ヶ月連用試験では色 素脱失、皮膚刺激などの副作用は認めていな い。

1-3 )

自験例ではいずれも使用中に接触皮膚 炎や皮膚刺激などの自覚症状はなく、10ヶ月以 上の長期間の連用を経て脱色素斑を来した。

過去に、美白剤で色素脱失を来したという報 告は少ない。種々の美白剤があるなかで最も強 い漂白作用があるといわれるハイドロキノンで も、高濃度( 6 ~ 8 %)で比較的長期大量に用 い、無防備な日光曝露歴を有するもので色素脱 失をきたしたという報告は散見されるが、黒人 においての報告が多く、日本人のスキンタイプ では起こりにくいものと考えられている。

今回の症例はいずれも、同じ銘柄の美白化粧 水を使用し始めてから尋常性白斑様の比較的境 界明瞭な色素脱失を発症し、その後症例 2 では 化粧水中止により色素の回復を見たことから、

今後、詳しい病態の解析が必要であるが、自験 例は化粧水に含まれる成分により、尋常性白斑 様の色素脱失を来した可能性があると考え報告 した。

これまでに同様の症例の報告はないが、同銘 柄の化粧水が女性を中心に全国的に広く使用さ れていること、また短期間に当科だけで 2 名の

使用中止前

使用中止後 3 か月目

(4)

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患者が集まったことを考慮すると、全国的には 潜在的に多くの患者が存在することが危惧され、

注意を要する。

文献

1 ) 佐々木 稔ほか: 4 —( 4 —ヒドロキシフェ ニル)— 2 —ブタノール:ロドデノールのメ ラニン生成抑制メカニズムとその美白効 果 . Fragrance Journal 39 : 37—40, 2011 2 ) 武田克之ほか:マグノリグナン(5, 5’—ジ

プロピル—ビフェニル—2, 2’—ジオール)配 合製剤の紫外線により生成される色素沈 着に対する抑制効果 . 西日本皮膚科 68 : 288—292, 2006

3 ) 武田克之ほか:マグノリグナン(5, 5’—ジ プロピル—ビフェニル2, 2’—ジオール)配合 製剤の肝斑など色素沈着症に対する改善効

果 . 西日本皮膚科 68 : 293—298, 2006

本論文の要旨は第254回日本皮膚科学会岡山

地方会にて発表した。

参照

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