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正太郎訳

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(1)

313

Valette―Disick:

「態度,感情,価値の発達と測定」

正太郎

場  岩

DEVELOPI:NG AND MEASURI:NG ATTITUDES :FEELINGS A:ND VALUES

        ,       ,

一一

̀Translaticrl from

    Valette, Rebecca M.&Disick, Renee S.,

     MODERN LANGUAGE PERFORMANCE

    OBJECTIVES AND INDIVIDUALIZATION     AHAND BOOK

Masataro TAKESUE Iwaki KOBA

 これは,REBECCA M. VALETTEとRENEE S. DISICK共著 MODER:N LANGUAGE PERFORMANCE OBJECTIVES AND I:NDIVIDUALIZATION/A

HA:NDBOOK: (NewYork:HARCOURT BRACE JOVANOVICH,INC.1972)の第 5章 DEVELOPING AND MEASURING ATTITUDES, A:ND VALUES (PP.96−

lO3)の訳である

 本書は2部から成る。第1部は「行動目標」 (PERFORMANCE OBJECTIVES)全 般に触れ,1.行動目標の定義,2.教材内容と情意タキソノミー 3.行動目標の作成,

4.行動目標の利用,5.態度,感情,価値の発達と測定,6.教師の行動の評価について 論じている。第2部は第1部の具体化である。即ち,7.態度,感情,価値,8.聞くこ

と,9.話すこと,10.読むこと,11.書くこと,12.身ぶり,13.生活文化,14.文明,

15.文学の各章において,認知,情意両面における生徒の行動を体系的に分類し,各段階 ごとに具体的な測定項目と測定方法を例示している。本書において,認知,情意の2領域 が総合的に体系化され,特に,行動目標を個別学習まで発展させた実践の裏づけがなされ ている点は注目に価する。訳出に際して「態度」の章を選んだのは,主体的学習を目差す 英語教育においては,生徒の興味,関心,意欲など「態度」的なものの育成とその評価が

中心的課題であるとの判断からである。

(2)

本書に述べられている情意目標の分類は次のとおりである(同書p.44)。

STAGES OF THE AFFECTIVE TAXONOMY

      (情意タキソノミーの段階)

Stage

1.Receptivity

@ (受容)

Awareness

i意識)

Attentiveness i注意)

2. Responsiveness

@ (反応)

Tolerance i寛容)

Interest and Enloyment

i興味と喜び)

3.ApPreciation

@ (評 価)

Valuin9

i価値づけ)

InvOlvement i没頭)

4. Internalization

@ (内面化)   L

Conceptualization

i概念化)

Commitment

i傾 到)

5. Characterization

@ (個性化)

Integration i統合)

Leadership

i指導性)

 なお, Performance Oblectives の訳語として「行動目標」を選んだのは本書に次の

ような説明があるからである。即ち,

  Goals that specify the observable outcomes of instruction are calledρθププbプー

 〃zαπ060∂ノ86癒ηθ5.  Performaエ1ce objectives are also freqtlently referred to as  68んα面。プα10r伽〃π6孟∫oηα10うブ66蜘θ5. For the sake of simplicity, we shall use

 メ》8プノ2)プ〃zαπ6θo∂ノθ6あη85...(P. 10)

Taxonomy (タキソノミー)については本書のGLOSSARYに次のように説明してい

る。

 TAXONOMY  Classification system that ranks subject−matter and affective    behaviors from the simplest to the most complex.(P.252)

 最後に,著者REBECCA M. VALETTEは本書によるとBoston Collegeの教授,

RENEE S. DISICKはValley Stream Central High Schoo1の教師とある。 Valette 教授についての詳しい紹介は,B. S.ブルーム他著,梶田叡一他訳「学習評価ハンドブ ック(上)」(第一法規.1974)の323ページを参照されたい。なお,同書にもValette 教授の論文が収められている(「外国語教育における学習の評価」)。

 〔備考〕(訳者注)とある以外は,すべて,原著者による注である。

(3)

315

「態度,感情,価値の発達と測定」(武居・木場)

第5章 態度,感情,価値の発達と測定

5ユー一般的考察

 教師が生徒の心の内面的働きを直接的に制御することができないのは明らかなことでは あるが,外国語学習者における積極的な態度,感情,価値などの発達に対しては,教師 は,間接的ではあるが,相当な影響を及ぼすことができる。その上,教材内容の最も効果 的な提示も,消極的な生徒の態度によって台なしになってしまうことがあるので,このこ とはきわめて重要なことである。最も確実な指導法と最上の教材を用いる最も有能な教師 と言えども注徒が・外面の習得を希望し・しかもか輪鯉人血学習目標という見 地から外国語の重要性を認めないかぎり,全部の生徒を「第4段階伝達」の域まで導いて いくことはできるものではない。このような理由から,教師が,その指導における情意的 効果に対してこれまで以上に重大な関心を寄せることは絶対に必要なことである。

 生徒を動機づける1つの方法は,かれらが達成することを望まれている情意目標を,単

       (訳者注2)

に,知らせることである。これらの目標は意味深長な行動目標として知らせることができ よう。生徒に及ぼす別の重要な影響力を持つものに教師自身の行動がある。それは,外国 語とその文化に対する教師の個人的な態度を反映するものであるからである。最後に,積 極的な感情は,この目的のために特に考案された教室の活動を通じて促進されるというこ

とを付け加えておこう。

 この章の第1節では,情意タキソノミーの最初の3つの各段階での望ましい生徒の行動 を促進する特別な方法を取り扱う。第2節では,この情意目標の達成度を測定する方法を

述べる予定である。

(訳者注)

1.これは,認知領域目標である「教材内容タキソノミー」における行動目標(Stage 4:Commu−

 nication)を指す。

2。 EXPRESSIVE OBJECTIVES Open−ended state]〔nent of comPlex student behavior

 in which the conditions and criteria are expressed in a general rather than specific

 manner. In some cases, the conditions and crlteria might be omitted altogether.

 This type of objective is most appropriate to Stages 4 and 50f the s1ユbject−matter

 taxonomy and Stages 3,4, and 50f the affective taxonomy. Expressive objectives  allow for greater freedom in student performances, as well as for more subjective  apPraisals of七hem. (GLOSSARY, P.249)

5.2 積極的情意行動の育成  5.2.1 第1段階:受容:意識

入門;期の生徒のための最初の「意識」の授業は,外国語の会話か,あるいは,テキスト

を吹き込んだ録音テープを数分間聞かせることから構成することができよう。そうすれ ば,音,リズム,スピード,そしてメロディなどのような,違って聞こえると思われる外

(4)

国語の特徴:について生徒は討議することができる。そこで,教師は,現在はきわめて奇妙

で,聞き慣れない,むずかしいもののように思われることも,しばらくすれば全く易し

く,親しみ深いものになるということを説明してやることもできる。

 その後の授業は,外国語の中に現われる英語の単語と併せて,英語の中に用いられる外 国語の単語の例を取りあげることができる。生徒には,かれら自身の実例のリストをつく ることを課題として与えてもよい。これらの課題は,外国語学習が生活と掛かり合いをも

っということを生徒に示すのに役に立つものである。

 生徒は,また,日記をユケ月間つけ,学習中の外国語とその文化との偶然の出会いをす べて書き留めることもできる。この作業の中には,本,雑誌,新聞の中で外国語の単語や 語句を探すことを含めてもよい。生徒は,その外国語がテレビや映画で,あるいは,街頭 の通行入によって使われるのを聞いた事があると記録するかも知れない。生徒各人に自分 のリストの中で最もおもしろく,しかも,珍らしい記入例について話させることによっ て,楽しい授業時間を展開することができる。このような場面では,等質集団の圧力をう まく利用することができるのである。なぜなら,そのクラスのものは誰でも,その国の言 語あるいは文化とある程度は接触しているので,このような学習活動は「今流行りの」事

と思えるのである。したがって,生徒は,この時間に,その外国語が毎日の生活と密接な

関係にあるということを強く印象づけられるのである。

 また,「意識」づけの課題として,週あるいは月に1回,外国での最近の事件について 討議させるものもある。上級クラスではこれらの討議は外国語でなされることもあるだろ

う。教師は,授業時間中に,外国の出来事を知ることの大切さを指摘してもよい。なぜな ら,外国の出来事は自分達の国の出来事に大きな影響を及ぼすからである。外国に関する

他の資料とともに最近の二・ユース記事を大きく取りあげている告知板は,生徒の意識を刺

激するまた1つの方法である。この告知板は,この目的のために任命された生徒委員が順

に交代して管理するようにしてもよい。

 積極的な態度は,最近の事件,旅行用パンフレット,外国の生活に関する記事,外国製 品の広告,催し物など,種々さまざまな話題に関連のある資料の切り抜きを生徒に行なわ せることによっても,また,育成される。切り抜き帳は,授業中,生徒同志で交換するこ ともできるし,自分の作業を定刻前に完成したあと,拾い読みをしたい生徒が利用できる ように,学級図書室に保管しておくこともできる。一定時間内における利用申し込み者の 人数の最低線を引くことができる。そうすれば,その結果,切り抜き帳は,合格,不合

格,優秀という評価をくだされることになる。

5.2.2 第1段階:受容:注意

 教室での義務を遂行する際の生徒の注意度というものは,ある程度,教師が範として示 す行動によって決定される。教師の徹底した皆勤ぶりや授業開始の敏速さなどは,教師が これらの特性を重んじるとともに,生徒にもこのような行動をとらせる傾向にあるという ことを実証するものである。教師は,生徒が各課題を仕上げてきているかを見るためにチ ェックすることによって,宿題に対する生徒の注意力を助長することができる。宿題を集 めたり,あるいは,生徒のノートを見るためにただ机間巡視をするだけで,この目的は達

(5)

317

「態度,感情,価値の発達と測定」 (武居・木場)

せられるのである。宿題をやってきていない場合には,罰点を当てるより翌日完成させる ことを要求する方が一層効果的である。なぜなら,罰点を与えるということは,実質的に

は,宿題というものの本来の目的に反するからである。

 生徒があくまでも課題を無視し続ける場合には,さらにそれ以上の処置を講じる必要が ある。教師は,如何なる理由で宿題をしてこなかったかを調べようと努めるかも知れな い。おそらく,この問題は,外国語コースの目標に対する宿題の関連性を指摘することで 解決されるかも知れない。あるいは,生徒個々の興味に訴えることになるのだが,宿題と して出された課題の中から自由に選択してやらせることもできる。また,おそらくは,生 徒かその両親との面談が必要になるかも知れない。結果がどうであれ,宿題を完成させる

ことの重要性を教師が力説することは,ほとんどの場合,生徒の注意を促す結果となるの

は当然のことである。

 生徒の注意力にかかわる他の重要な領域がある。ここでも,また,教師の側の注意深さ というものが,生徒の行動に重要な影響を及ぼしている。眠ったり,友人としゃべった り,あるいは,他の教科の宿題をしたりすることなく,計画された学習活動に自分の生徒 が参加するように配慮することは教師の責任である。付言すれば,しばしば生徒の不注意 をもたらす原因となる「退屈さ」を防ぐために,教師は日々の授業において変化に富む活 動を用意しておかねばならない。自主学習と同じく,管理された小集団学習を用いること

は注意を増進する効果的な手段である。

5.2.3 第2段階:反応:寛容

 生徒にわからせねばならない重要な概念は,「違う」ということば(the word differ−

ent )は中立的な用語であって,決して「善い」とか「悪い」とかを意味はるものでは

ない,ということである。あなた達自身の言語や文化が最高のもののように思えるのは,

それらがあなた達にとってきわめて身近なものになってしまっているからである。例え ば,歌謡曲は,最初聞いた時には好きになれないかも知れないが,数回聞いたあとでは徐 々に好きになるものである。さらに,自国語とその文化の評価は,他の言語・文化の組織 との比較ができなければ,困難なことである。確かに,外国人も自分の言語と文化が他の すべての国のものよりすぐれていると思うにちがいない。このような観念は,講義による よりは,むしろ,オープン・エンド式の(open−ended)全体討議ないし小グループ討議 による方が一層効果的に伝えることができる。このような討議は,例えば,「アメリカ人 の生活様式(あるいは英語)は世界で最高のものだろうか。それはなぜか。」といった質

問で始めることができるであろう。

 寛容さを発達させる機会は,きわめて困難で非論理的に思える新しいつづりや文法的パ ターンに接して,生徒が二の足を踏む時に自然と現れるものである。そのような場合,教

師は,自国語における種々の矛盾を指摘したいと思うかも知れない。例えば, thOUgh,

through, tough bought といった語の発音は,外国の生徒が英語を学ぼうと

する時,確かに,やっかいな問題を提供する。あるいは,教師は, May IP Have IP

Can IP などの文型を書いて, Do I workP ( Work IP ではない)と対比するかも知

れない。もっと上級の学生には,かれらの自国語がそれを習得しようとしている外国人に

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感じさせるむずかしさの実例を補充させることもできる。このような時には,ロール・プ

レイ(role play)を用いると有益である。教師または生徒のいずれかが英語の,授業中に

経験しているむずかしさの故に挫折感を抱いている外国人学生の役を演じるのである。

 異文化間の寛容と理解を促進するたあには,教師がクラスの各成員に対する受容的態度 を自らの行動で示すことが重要である。もし適切な機会があれば,生徒はお互いに顔つき

も異なり,また,それぞれの能力によりさまざまな段階の成績を示しているけれども,教 師は,個人としてのひとりひとりの価値を心あており,しかも,常に援助しようとしてい るのだ,ということを生徒に話すのもよいかも知れない。ロール・プレーや心理劇の技術 に慣れている教師であれば,1日は,巧みな方法で(称賛や注意,しかめっ面,叱責を差 し控え)クラスの半分の生徒を意図的に差別待遇し,次の日は他の半分の生徒を同様に差 別待遇する。3日目になると,クラスの生徒は,差別は,毎日,一体,誰に向けられてい

るのか,それによって自分達がどんな気持ちでいるか,などを討論するかも知れない。

 教師は,自分のクラスの生徒達の人間関係を毎日観察することによって,級友に嫌われ ている生徒に気づいてくる。教師は,その孤立した生徒に対する寛大さや理解を示した り,あるいは,小グループの活動に加わらせたりすることによって,クラスの生徒の行動 を修正しようと企てることもできよう。あるいは,クラスの他の生徒によって無視されて いる生徒がいることに自分は気付いている,と話してもよい。そして,外国語の授業を受 ける生徒は他人に対して寛容な態度を示してくれるだろうというのが自分の願いである

が,このような事実があるのは残念なことである,と訴えるのである。

5.2.4 第2段階:反応:興味と喜び

 ここでも,また,教師の示す行動が生徒の行動にかなりの影響を及ぼす。かりに,教師 が,退屈したり,怒ったり,沈んだりした様子を見せたり,あるいは,教室以外ならどん な所へでも行きたいものだ,などという印象を与えたりするようなことがあれば,それ以 外の行動を生徒に期待するのは殆んど無理なことである。教師は,自分が外国語に興味を 抱いている理由や外国語を楽しむわけなどを,関連があればいつでも,機会をとらえて生

徒に伝えるべきである。

 外国語の授業の楽しさは雰囲気にかなり左右される。この雰囲気は,主として,教師が 生徒とっくり出す共感的関係(rapport)から生れるものである。不信,皮肉,不平で特 色づけられる関係やクラス全体についての,概して,否定的な批評は,決して愉快なもの ではなく,生徒が授業を避けようとするのは明白なことである1。生徒は,必ずしも,称 賛に値するとはかぎらないが,生徒に対する批判は個人的に,しかも,如才なくなされる べきである。そしてその批判は,特定の作業や特殊な行動の実例に限ってなされなければ ならない。知力とか言語的適性とか個性とかについての概括は,建設的な目的のためには 何ら貢献するものではなく,むしろ,避けるべきである2。教師は,親切,理解,それ に,ひとりひとりの成功に対する気づかいなどが見られる受容的で助け合うような教室環 境を確立するよう努力すべきである3。かれは,生徒を分類整理したり,かれらの学問的 成功や失敗を予言したりすべきではない。生徒の可能性の否定的な評価が自己実現の予言 となることはあまりにもよくあることである。教師は,生徒が外国語学習に抜きんでるこ

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319

「態度,感情,価値の発達と測定」 (武居・木場)

とができなくても,それはひとりの人間としてのかれの価値を落すものではない,という

ことをよく心得ておかねばならない。

 積極的なクラスの雰囲気を確立することに加えて,授業に楽しさを増進させようと願う

教師は,生徒が好であろうと信じる活動を用意すべきである。言語ゲーム,歌,ダンス,

寸劇,映画,スライドなどは,外国語学習の楽しさを増進するために,教師が伝統的に用 いてきた技術のほんの亡八にすぎない。しかしながら,すべてのクラスが同じ活動を同じ ように楽しむとはかぎらないのである。そのため,生徒が自分の好む活動に印を付けるチ ェックリストを用意しておくとよい。そうすれば,最も人気のある活動が教師の指導案に

盛り込まれることになるのである。

 もっと非公式的には,教師は,生徒が授業を楽しむことを望んでいると,全く卒直に生 徒に述べたり,授業がどうずれば改善できるかをいつでも教師に教えてくれるよう奨励し たりする方法もある。意見箱は,匿名を希望する生徒から健全な意見を求めるのに非常に

効果的な場合がよくある。

 学習における成就感を生徒に与えてやることも,楽しさを増進させるひとつの方法であ る。生徒が思うような良い成果をあげ得なかったテストについては,これを再度受ける機 会を与えてやることによって生徒の成功率を増すことができよう。これらのテストは,良 い成績を収めようとする圧迫感から生れる不安を減じるのに大いに役立ってくれる。

 外国語学習の進歩に対する満足感を発達させるため,教師は,生徒の現在の言語能力よ りもずっと程度の低い教材を提供することもできよう。なつかしい対話や生徒にとって易 しくなった口頭による理解力テストを再び行なうことは,どれ位学んだかを生徒に知らせ る効果的な方法である。同様に,用いられている全部の語いや構造を知っているので,初

めての資料を読んでも生徒は満足感を得るのである。

 学習活動における生徒の参加も,また,楽しさを増大する重要な要因の1つであり,集 団学習を取り入れることによって促進することができる。通常は,教師やクラス全体の前 で外国語を話すことを恥ずかしく思う生徒もわずか3・4人の級友と話す時には,この抑 圧の大部分をなくすものである。普通は,家で作文を書くのをよくしりごみする生徒で

も,友人と授業中に寸劇を書いて大いに楽しんでいる。同様に,メモ・カードに記述され た場面を2人ずつ組になって劇化することを許された生徒は,例えば,教師から持ち出さ れた議論の質問に答えるのを強要される場合よりも,ずっと熱心に演ずるものだ。上記の

メモ・カードの場面は,特定の課の語いや構造に関連がある場合もあろうし,あるいは,

生徒から提供されたアイデアに基づく場合もあるだろう。ひと組のペアーが,いったん,

1枚のカードについて考えられるすべての問答を出し尽したなら,そのカードは他のカー

ドと取り換えられる。

 生徒は,自分達が伝達し合えるということがわかれば,外国語学習から非常に大きな満 足感を得ることができるのである。この目標を達成するために,教師は,授業中に外国語 を使うことの重要性をグラスの生徒と討議することができよう。その時,教師は,教室で 普通に用いられる表現の一覧表を配布し,必要に応じて,そこにある表現を使うように生 徒を励ますことができる。その一覧表には,繰り返しや説明,ページ数などを教師に求め

る時の外国語の同意表現が含まれるだろう。生徒がうっかり英語を話す時は,いつでも,

その生徒が適当な外国語の表現を使うまで教師はわからないふりを続けるのである。愛

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想のよい見せかけは,外国語を話すようにという厳しい注意よりもはるかに効果的であ

る。

 外国語である程度まではロ頭で互いに伝達し合うことができるということを生徒に教え ることによっても,上達感や成就感は促進することができる。生徒が友人と,いかなる話 題についてでも,自由に討論する時間を授業時間の10分かそこらあてがうことによって

も,このことは達成できるのである一ただし,生徒が,もっぱら,外国語だけを使うと いう約束をするかぎりであるが。今度は,教師の方が,頼まれなければ,かれが耳にする 何ものも訂正しないことを約束するのである。それからかれは,誤りを訂正しようという 抵抗しがたい自然の衝動にもかかわらず,小グループをそれぞれ巡回してじっと耳を傾け るのである。このようにして,教師は,裁判官的ではなく,援助者的役割を演じ,自信と 流の暢さの感情一これが,究極的には,生徒が自ら自分のできばえを改善したり,自分 誤りを訂正したりするのを勇気づけるものであるが一を生徒が発達させるのを手助けす るのである。外国語で書かれた学級新聞もまた自分達の業績に対する自負心を助長する手

段である。

 ある学校組織では,継ぎ目が欠けているたあに生徒の興味や喜びが阻害されるというこ とがある。例えば,言語背景が著しく異なる生徒のいるいくつかの小学校から1つの中学 校へ通学するとなると,生徒は言語学習をもうユ度すっかりやりなおすことを余儀なくさ れる結果になる。あるいは,中学校の目標が高等学校の目標と著しく異なっているので,

生徒はイデオロギーの十字砲火を浴びてどうすることもできずにいるということがある。

そのような場合には,1つの組織の中の異なった学校の教師が一堂に会して,共通の行動 目標を打ち出すべきである。教師がそのような努力をしないかぎり,4年,6年,あるい は,8年も外国語に身をさらしたというのに,ほとんどわずかしか進歩していないのを知

った時,生徒は必ず挫折したり,落胆したりするものである。

1.積極的あるいは消極的な教室要因のより詳細なリストは,Robert Mager,Dεηθ♂oρ加9.Aオ旧記θ

 Toω曜4五θση加g(Beユmont, Calif.:Fearon Press,1968)

2.Haim G. Ginott, Bθ伽εθη1)αrε短αη4 CんガZ4(:New York:Macmillan,1965);β6彦ω6θπ  Pσθπ診απ4Tθ6πα9θr(New York:Macmillan,1969)

3.この話題についてのより詳細な論考はJohn Holt, Ho切C研4rθπ,Fαf♂(New York:Pitman  Press,1964),Ho (フ研4彫ηL6αrπ(New York:Pitman Press,1967)

5.2.5 第3段階:評価:価値づけ

 外国語や外国文化を学習する価値を生徒がわかるように仕向けることは,外国語教師と いう職業の前に立ちはだかる最も困難な問題の1つである。この問題は,保護者の抱いて いる態度一それは必ずしも好ましいことは言えないものであるが一を生徒が吸収する という事実によってさらに強化される。このため,外国語が地域社会に対して好ましい広 報活動を維持することが大いに必要となるのである。したがって,学校の教育計画の期待

される結果だけでなく,外国語カリキュラムの目標をも保護者に知らせる必要がある。こ の目的を達成する1つの方法は,外国語科の行動目標を保護者に伝えることである。外国 語の分野における生徒や教師の顕著な業績を公表することは,学校教育計画の有効性を保

(9)

321

「態度,感情,価値の発達と測定」 (武居・木場)

護者に証明するまた1つの手段である。自分達の業績に対する自慢と進歩に対する満足と いう生徒の感情も,地域社会にこの教科の価値を納得させるという有効な効力を持つこと

ができる。

 外国語科カリキュラムに地域社会を巻き込むことは,強力な言語計画に欠くことのでき ない援助を得るためのきわめて好ましい手段である。これへの参加はいろんな方法で募る ことができる。歌,踊り,寸劇,詩など,生徒の演技を呼び物にした外国語の夕べに保護 者を招待することもできよう。外国の交換留学生を1年間学校に招介するたあの募金集あ 運動には,教師,保護者,生徒の協力が必要となるが,これも可能なことである。地方の 商人と協力して,外国産の食物や製品を呼び物にした国際見本市を催すこともできるかも 知れない。地域の住人の中に外国語のネイティブ・スピーカーか海外旅行をしたことのあ る人がいれば,学校に呼んで,その経歴や経験を外国語クラスの生徒に話してもらうこと

もできよう。仕事中に外国語を使わねばならない成人には,外国語学習の職業的価値:につ いて話してもらうこともできるだろう。

 外国語学習についての生徒の価値づけは,正課の授業で普通提供される範囲を越えた豊 富な経験を与えることによって高めることができる。課外の計画,交換留学生,それに前 述の来賓の講演者などのほかに,学習者は,音楽会,博物館,演劇,外国語の映画などへ 出かけて行くことからも,また,得るものがあるだろう。外国のある学級の生徒と,文通 の手紙,学校新聞,テープに録音したものなどを交換することも非常に効果的である。外 国の代表的な食物や飲み物がだされるパーティーや晩さんを経験させると,きまって,大 変積極的な生徒の反応を得るものである。ある場合には,教師は,信頼できる団体を通じ て,学校の休暇中に生徒の一団を外国へ連れて行く計画をすることもできよう。これまで

述べたすべての中でこれが最高の動機づけである。

52.6 第3段階:評価:没頭

 いったん,学習経験を豊かにするための活動が利用できるようになると,教師はそれら の活動に参加するよう奨励したくなるだろう。しかしながら,もし生徒の行動が第3段階 で分類されるとなると,この段階の活動への参加は自由意志によるものでなければならな い。それ故,余暇の時間の読書をしたり,外国語クラブの集会や文化的行事に参加したり することを,教師は生徒に強要すべきではないが,それでも,そのような自発的な参加へ 導くような教室環境をつくりあげねばならない。興味をそそる外国語の本や雑誌など(あ るいは,国際料理の本でもよい)が豊富にある学級図書館は,大部分の生徒に普通に見ら れる好奇心を刺激することができる。教室の告知板には生徒が参加してためになる外国語 の教養番組の案内を出してもよい。別の告知板は外国のペンフレンド,旅行,海外留学な どの広告を載せているポスターやパンフレットなどの掲示にもっぱら使う。生徒には,

自分が参加した自発的な課外活動についてクラスに報告するように励まされる。かれらが 一身に集める注意は,かれらを模範にするように他の生徒を勇気づける効果を,当然,持

つことになる。

 この領域では,教師が範として示す行動が最も重要である。自分の読書や研究の成果を

生徒とわかち合う教師,質問に答えられない時進んで必要な情報を調べる教師,専門的,

(10)

文化的行事に自由に参加していることが明らかにわかる教師一これらの教師は,いった ん,外国語のコースを終了すると自主的に研究し,自分自身の知識を捜し出しなさい,と ただ単に生徒に勧める教師よりも,没頭する態度を促進するうえでは,はるかに,効果を

あげるものである。

5.3 情意目標達成度の測定

 態度は絶対量ではない。つまり,生徒は,知識のテストで85パーセントの習熟度を示す という場合と同じような意味合いで,85パーセントの態度を持つというわけにはいかな い。このため,生徒の態度,感情,価値はその向上とか減退とかいう観点で評価する方が より実用的である。例えば,6月に調べた生徒の態度の測定値が前年の9月に測定した結 果と比較してどうなのか,学年の終りにおける生徒の態度は,すくなくとも,学年初期に

おける態度と同じ位積極的であるか,というように。

 生徒の態度,感情,価値を測るのに3つの基本的アプローチがある。即ち,無記名によ るアンケート法,教師の観察,統計的資料の3方法である。タキソノミーの各段階には,

それを測定する適切な技法があるのであるが,これらの各アプローチはその相応しい段階 と関連して検討されるであろう。ここではテスト項目の実例がいくつか提示されるが,も っと詳細なリストは第7章にある。

 あるコースの情意的成果の測定と関係して心に留めておかねばならないことがある。ア

ンケートは生徒の反応の妥当性を保証するために無記名で完成させるのがよい。教師は,

また,生徒の答えは成績にはなんら影響を与えるものでないということを生徒に証明して おく必要がある。「これから態度を測る」と生徒に知らせるより,アンケートの目的は,

教師に自分の授業の効果を洞察させるためのものであると生徒に言う方が有益である。

 態度,感情,価値などは,長期にわたってゆっくり発達するものであるから,あまりひ んぱんに測定を行なっても,必ずしも注目に値する変化が見られるとはかぎらない。した がって,1学年の間に2・3回以上測定を行なうことは,通常は,得策でない。最後に,

教師は,情意測定の準備と実施に費やされた時間と労力が無駄であると考えてはならな い。情意行動が外国語の成績に及ぼす影響のきわめて大きいということを考えると,教師 は自分の教育の情意的効果について,単なる不正確な知識とかきわめて主観的な印象だけ

では,もはや,満足することはできないはずである。

5.3。1 第1段階:受容:意識

 外国語を使った経験とその文化についての一般的な知識に関するアンケートは,生徒の 意識の有効な測定法となり得る。生徒がこれまでに外国人と会ったことがあるかどうか,

その国の代表的な食物を食べたことがあるかどうか,その国で制作された映画を見たこと があるかどうか,などのチェックを含むアンケートもある。少々異なったアンケートとし て外国文明の貢献についての意識を含むものがある。生徒は,画家,政治家,音楽家など のような一般的カテゴリーを示され,それぞれの分野におけるフランス,スペインあるい はドイツの有名な人物の名前を質問される。これよりも平易な型の初級クラス用のもので は,生徒は,左側の欄にあげた有名な人物と右側の欄のかれらの業績や分野とを組み合わ

(11)

323

「態度,感情,価値の発達と測定」 (武居・木場)

せることを要求される。地理や他の文明の領域についての意識は,次のような一連の簡潔 な答えを要求する質問をすることによって検査することができる。例えば,「その国の首

都はどこか。」「その国の主要輸出品は何か。」など。この検査のもっと簡単なものは,

この種の質問を真偽法か多段選択法の形式で提示すればよい。

 上にあげた意識検査について一言注意しておいたがよいと思われることがある。それは,

この検査の生徒のできばえがいささか期待はずれの結果になることは決して珍らしいこと ではないということである。しかしながら,教師は明らかな生徒の無知に対して驚きや失

望の感情を表わすのを是非とも避けねばならない。結局,これは「意識」の検査であり,

「知識」の検査ではないのであるから,生徒の知力についての批評は適当でない。むし ろ,教師が生徒のできばえを認あてやり,「きみたちが外国文化についてさらに意識を深 めるのを手助けしよう。そうすれば,きみたちの得点は今後の同じような検査ではもっと 高くなるだろう。」と保障してやれば,積極的な生徒の態度が促進されるはずである。

5.3.2 第1段階:受容:注意

 生徒の注意力を測定するための簡単で,しかも,有効な方法は,教師の観察によるもの

である。教師は,毎日の生徒の出席や遅刻などのような要因を,頭の中に留めておくか,

あるいは,書きとめておくことができる。あるいは,宿題を時間どおりに完成して提出す るかどうかの記録を取ることもできよう。授業中の生徒の観察も生徒が注意を払っている

かどうかを決定する上で重要である。

5.3.3 第2段階:反応:寛容

 生徒は,特定の外国の言語,文化ならびに国民に対する寛容ないしは不寛容を表わして いる陳述に賛成か反対かをアンケート用紙にしるしを付ける。教師の好みそうな解答が全

くわかりきっている場合もありうるが,そのような質問でも役に立つのである。たとえ,

生徒が心からは信じていないが望ましいと思われることは知っている態度についてのロ先 だけの世辞であるとしても,それは,かれらの行動に対するある程度の教師の影響を意味

しているのである。

 今あげたものほど望ましい解答が明らかではないが,寛容さを測定する他の方法とし て,場面を提示し,それに自由に反応させるように構成することができる。例えば,英語 が話せず,しかも,道を探すのに助けの必要な人に会ったとすると,どう言ったり,した りするかを生徒は書くのである。あるいは,外国人に対する偏見を友人が表明するのを耳 にした場合,生徒がどのような反応を示すかを答えさせることもできる。客観的な採点を

容易にするために,各場面の次は空欄にしておくよりは選択肢を付けるがよい。

5.3.4 第2段階:反応:興味と喜び

 登録者数の統計は,この毅階の情意領域目標が達成されているかどうかの信頼度の高い 客観的評価尺度を与えてくれる。もし生徒が外国語学習に興味を持ち,それを楽しんでお り,しかも,成功を体験しているならば,学年の中途や第1あるいは第2の必修コースの

(12)

終りで退学することはない。

 学部ないし学区レベルでは,数ケ年にわたる学校登録者数を検討すれば,実に多くの事 がわかるのである。外国語登録者数は全体の学校登録者数に比べて増加しているか,減少

しているのか。言語コースの増加と減少は,全体の生徒数の変動と比較してどうなのか。

必修言語コースからの脱落率はどうなのか。この比率は,教育課程の中の他の必修科目の 場合と比べてどうなのか。教室のレベルでは,学年当初生徒各人に外国語系列で次のコー スを取るつもりかどうかを,あらかじめ示すように求めるだけで,教師は自分のコースで 醸された興味や喜びを測定できるのである。この質問は学年の終りに繰り返すことができ るし,その結果を比較することもできる。あるいは,教師はかれのコースの脱落と落第の

比率を前年度の数字と比べることもできる。

 この段階における行動についての教師の観察は,授業中の生徒の様子はどうか,という ことに中心を置いてなされる。かれらは楽しそうに見えるか,みじめそうに見えるか。熱 心に参加しているか。自分達の考えを伝えるためにその外国語を使おうと試みているか。

生徒の作業は最小限度のものか,あるいは,生徒の中には宿題が基本的に要求している以 上のことをするものがいるか。(成績に関係なく行なわれた余分の作業は,第2段階およ び第3段階の両方に分類することができる。)

 アンケート法もこの段階の測定法として役に立つ。生徒は,外国語の授業に対するかれ らの感情を,3つの形容詞(1つは否定的,1つは中立的,1つは肯定的)のうちのどれ が一番よく表わしているかを書くように求められる。この代わりに,生徒は,例えば,

「外国語を勉強することは      。」のようなオープン・エンド式の陳 述に適当な結語を補充するよう要求される。態度を測定する別の方法として,外国語の授 業を描写している一連の陳述に対して,賛成か反対かを指摘させるものもある。あるい は,数個の否定的記述と肯定的記述の中から,授業での経験に最も良く当てはまるものを 選ばせることもできる。別の異なった技法では,1から5までの数字(1は最も否定的な 評価,5は最も肯定的な評価を表わす)を○で囲むことによって,例えば,教科書,テス

ト,学習活動,教師の人格などのような外国語コースの種々の要素を生徒に評定させるこ

ともできる。

5.3.5 第3段階:評価:価値づけ

 外国語を選択する一般的な理由を表わしている陳述を提示され,生徒はそれに,「賛 成,反対,わからない」のいずれかで答える。いったん,大学入学とか卒業とかの必要条 件をすべて満足させた場合,外国語を続ける生徒のパーセントや人数を年々比較すること によって他の評定尺度を得ることができる。もし本当に外国語学習を重要に思うならば,

生徒はさらに上級のコースを自由に選ぶだろうし,また,なかには,第2外国語学習を始 めようと決心するものもいるだろう。ある場合には,海外に住んだり,旅行したりする強

い希望や決意を示す生徒の数を記録しておくこともできるであろう。

5.3.6 第3段階:評価:没頭

生徒が自発的に参加したもので外国語学習に関係のある課外活動を記録させたり,ある

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325

「態度,感情,価値の発達と測定」 (武居・木場)

いは,自由に参加した言語的,文化的行事にしるしを付けさせることができる。これに は,外国映画を見たり,言語クラブに参加したり,外国のレコードや雑誌を買ったり,友 人と外国語で話したりするなどの項目を含めることができよう。生徒がその準備をしない

ように,この検査については前もって予告しない方がよい。

5.3.7 第4段階:内面化

 第4段階の行動は,大部分の外国語クラスで普通に期待されている行動をはるかに超え るものがあるが,上級コースや特別の専門コースの教師は,生徒が他の教科領域よりも外 国語を強く好むことを表明するかどうかを知りたいと思うかも知れない。最近選んでいる 教科を全部あげさせ,好きな順序に番号を付けさせると,この目的は達せられる。点数 は,生徒の好きな教科に一番高い点をやり,全然好きでない教科には0点を与えるという ように,上から下へ好みの順序にしたがって点数を割り当てることができる。外国語に与

えられた総得点は他の教科に与えられた総得点と比較される。

 この技法の変形したものに,外国語を,生徒が履修している他の各教科と組み合わせ て,2つ1組の組を作ることを要求するものがある。生徒は,各組の教科のうちどれを好 むかを指摘する。外国語が他の教科より好まれた回数が計算され,満点(つまり,教科の

組数と同じ)と比較して評価されるのである。

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