宇宙航空研究開発機構研究開発資料
JAXA Research and Development Memorandum
実験用ヘリコプタMuPAL-ε活用実績概要
奥野 善則,又吉 直樹 石井 寛一,小林 啓二
2015年12月
宇宙航空研究開発機構
Japan Aerospace Exploration Agency
実験用ヘリコプタ MuPAL-ε活用実績概要 目 次
概要 1
1.はじめに 1
2.乱気流計測と安全向上 2
2.1 超音波対気速度計の開発 2
2.2 風計測ライダのヘリコプタ搭載飛行評価 3
2.3 ヘリポート周辺の風況評価 5
青ヶ島新ヘリポート候補地の風況調査 5
高層ビル屋上ヘリポートの風況調査 7
病院屋上ヘリポートの風況調査 8
2.4 航空機の後方乱気流の影響評価 9
3.騒音計測と低騒音飛行 11
3.1 地上騒音計測 11
3.2 機外騒音計測 12
クレーンを用いた騒音計測 12
機外搭載マイクによる騒音計測 12
3.3 大気伝搬特性計測 14
3.4 騒音予測モデル 15
3.5 低騒音飛行 15
低騒音飛行支援システム 15
低騒音最適経路 16
4.IFR 運航技術 17
4.1 低高度 IFR ルートの飛行検証 17
低高度 IFR ルート設計支援ツール 17
災害対応用 IFR ルートの検討 19
4.2 PinS 進入方式の試験飛行 19
4.3 衛星航法精度評価 22
GPS/MSAS 精度評価 22
GPS マルチパス影響評価 22
5.防災活用技術 24
5.1 ドクターヘリ運航管理システムの飛行評価 24
5.2 消防防災ヘリ運航管理システムの飛行評価 24
5.3 有人機・無人機連携 25
6.次世代運航技術 27
6.1 NOCTARN 27
6.2 SAVERH 28
7.2 HAPI 飛行評価 31
7.3 月・惑星着陸レーダ飛行評価 32
7.4 擬似準天頂衛星を用いた測位精度評価 33
7.5 ミリ波レーダ飛行評価 34
7.6 マイクロホンアレイによる音源探査 34
7.7 水平安定板翼端板影響評価 35
7.8 航空機用計器飛行評価 35
8.航空宇宙以外の分野での活用例 36
8.1 ヒートアイランド観測 36
8.2 デュアル・ライダによる風計測の精度検証 37
9.実験用システムの精度推定・機能拡張 38
9.1 エアデータセンサの位置誤差較正 38
9.2 実験用システムの機能拡張・更新 39
10.打ち上げ支援 40
10.1 大気球打上げ支援 41
10.2 H-IIA ロケット打上げ支援 41
11.展示 41
12.おわりに 43
謝辞 43
文献 43
付録 主な飛行実験等の実施時期 47
実験用ヘリコプタ MuPAL-ε活用実績概要
*奥野 善則*1,又吉 直樹*1,石井 寛一*1,小林 啓二*1
Overview of Activities using Research Helicopter MuPAL-ε
*Yoshinori OKUNO
*1, Naoki MATAYOSHI
*1, Hirokazu ISHII
*1and Keiji KOBAYASHI
*1 AbstractThe Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA) operated a research helicopter, MuPAL- from April 2000 until February 2013. Based on Japan’s first indigenously-developed commercial helicopter, the Mitsubishi MH2000A, MuPAL- was equipped with experiment support systems to flexibly meet a wide range of flight research needs. This paper summarizes the results of research activities using MuPAL-.
概 要
JAXA の実験用ヘリコプタ MuPAL-ε(ミューパル・イプシロン)は,我が国初の純国産民間ヘリコプタである MH2000A 型機を母機とし,様々な飛行実験に対応可能な実験用システムを搭載して開発された.2000 年 4 月の運用開始から 2013 年 2 月の運用終了まで,JAXA 内外の多くの研究開発に活用された.本稿では,その 主な活用事例と研究開発成果の概要について報告する.
Keywords: Research Helicopter, MuPAL-ε, Flight Test
1.はじめに
実験用ヘリコプタ MuPAL-ε1.1,2) は,多目的実証 実験機(Multi-Purpose Aviation Laboratory)構想の 一環として,固定翼機の MuPAL-α1.3) と同時に 2000 年 4 月から運用を開始した(図 1.1).JAXA における ヘリコプタ関連研究での活用にとどまらず,空中でホ バリングしたり狭隘な場所でも離着陸できるというヘリ コプタの特性を活かして,様々な分野の飛行実験に 活用された.
本稿の構成は以下のとおりとなっている.第 2~6 章は主に JAXA の飛行技術研究ユニットで実施した 研究での活用例,第 7 章はユニット外部からの要請 によって航空宇宙機器の評価・実証を行った事例,
第 8 章は航空宇宙以外の分野での活用例,第 9 章 は運用期間中に行った実験用システムの精度推定 や機能拡張の事例,第 10 章は JAXA で行われてい
る気球・ロケットの打ち上げの支援,第 11 章は展示 会等への出展,付録は本稿で報告した主な飛行実 験等の実施時期について纏めている.著者らは,第 2~5 章に示す研究を主担当として実施するとともに,
MuPAL-εの設備運用担当として,本稿に示す全て の飛行実験が円滑に行われるよう支援等の業務を 行った.
* 平成27年9月30日受付 (Received September 30, 2015)
図.1.1 MuPAL-εと MuPAL-α
7.航空・宇宙機器の評価・実証 29
7.1 メガフロート空港 ILS 飛行評価 29
7.2 HAPI 飛行評価 31
7.3 月・惑星着陸レーダ飛行評価 32
7.4 擬似準天頂衛星を用いた測位精度評価 33
7.5 ミリ波レーダ飛行評価 34
7.6 マイクロホンアレイによる音源探査 34
7.7 水平安定板翼端板影響評価 35
7.8 航空機用計器飛行評価 35
8.航空宇宙以外の分野での活用例 36
8.1 ヒートアイランド観測 36
8.2 デュアル・ライダによる風計測の精度検証 37
9.実験用システムの精度推定・機能拡張 38
9.1 エアデータセンサの位置誤差較正 38
9.2 実験用システムの機能拡張・更新 39
10.打ち上げ支援 40
10.1 大気球打上げ支援 41
10.2 H-IIA ロケット打上げ支援 41
11.展示 41
12.おわりに 43
謝辞 43
文献 43
付録 主な飛行実験等の実施時期 47
本稿に示す実験,研究の多くは外部機関との共同 によって行われたものであるが,個々に関係機関の 名称をあげることは省略させていただいた.詳細に ついては各々の文献を参照されたい.
また,本稿では航空機の飛行速度,高度,距離を 表す単位として,運航現場で慣用されている kt,ft,
NM を用いている.SI 単位系との換算係数を表 1.1 に 示す.
2.乱気流計測と安全向上
ヘリコプタは山間部やビルの屋上ヘリポートなど,
乱気流が発生しやすい場所を飛行する機会が多い.
本研究では,乱気流を計測する技術,および乱気流 に対する安全を向上する技術の飛行実証を行った.
2.1 超音波対気速度計の開発2.1.1,2)
ヘリコプタの対気速度は,一般に固定翼機と同様 にピトー管と静圧孔によって計測される.この計測手 法では,以下の原因により,およそ 40kt 以下の低速 域では正確な対気速度を計測することが出来ない.
・ ピトー管で計測される動圧は速度の 2 乗に比例す るため,低速域では十分な動圧が得られない.
・ ピトー管は機首部に取り付けられているため,低速 域ではメインロータのダウンウォッシュの中に入って しまい,一様流を正確に計測出来ない.
この 2 点を改善するため,MuPAL-εには超音波風 速計がロータ面より約 1m 前方に取り付けられている
(図 2.1.1).この超音波風速計は,航空機搭載用とし て JAXA が独自に開発したものであり2.1.3),ヘリコプタ の全速度域(対気速度ゼロから百数十 kt まで)で 3 軸方向の速度成分を高いレート(40Hz)で計測する ことが可能となっている.
図 2.1.2(1)は,上空で風に正対した状態で,ホバリ ングから MH2000A 型機の最高速度(約 140kt)まで 連続的に加速する実験を行った結果である.実験用 DGPS/INS で計測された対地速度と風成分を考慮す ると,超音波風速計は全速度域で対気速度を精度
良く計測できていると考えられる.これに対し,母機 に搭載されているピトー・静圧孔では 45kt 以下の速 度域で誤差が増大し,ホバリング(対地速度ゼロの状 態)でも 40kt 近い対気速度を示している.
図 2.1.2(2)は,地上付近で風に正対した状態でホ バリングから左右横進と前後進を行った際の実験結 果である.超音波風速計はこのような飛行状態でも 対気速度が計測可能なことが示されている.ただし,
後進の際には,センサ部分が胴体後流の影響を受
図 2.1.1 超音波風速計の取り付け状況
(1) 速度スイープ
(2) 前後進,左右横進
図 2.1.2 超音波対気速度計による対気速度計測の例 表 1.1 慣用単位と SI 単位の換算係数
慣用単位 SI 単位
kt 0.5144 m/s
ft 0.3048 m
NM 1852 m
けるため,計測精度が低下している.
へリコプタには左右横進と後進について対気速度 の制限が設けられている(MH2000A 型機の場合とも に 30kt)が,一般のヘリコプタ(軍用機を除く)にはこ れらを計測,表示する装置が搭載されていない.ヘリ コプタは懸吊による物資輸送や遭難者の救助などの 目的で山間部でホバリングを行う場合があるが,この ような場所では特に気流の変化が激しいため横風や 背風の条件になる可能性がある.このような状況で 風(すなわち対気速度)を把握するのはパイロットの 経験に基づく判断によって行われているのが現状で ある.第 2.2 章に示す風計測ライダと同様,このような センサが実用化されれば,ホバリング中の横風や背 風をパイロットが定量的に把握することが容易になる ため,安全向上の効果が期待される.
JAXA の開発したこの超音波風速計の特長は海外 でも認められ,米国エネルギー省(U.S. DOE)の出 資によって実施された “Cloud and Land Surface In- teraction Campaign (CLASIC)” と呼ばれるプロジェ クトに採用された2.1.4).このプロジェクトは,航空機や 地上において様々な手法で大気観測を同時に行うこ
とによって,土地の利用状況(農作等)や積乱雲等が 上昇乱気流に与える影響を調べることを目的の一つ としている.当初は大気観測用ヘリコプタに一般的な 地上用の超音波風速計が搭載されていたが,JAXA が開発したものに換装された(図 2.1.3).
超音波風速計のもう一つの特長として,大気温度 が高精度に計測可能という点があげられる.MuPAL- εに搭載されているものは温度計測の分解能が 0.03℃であったが,CLASIC プロジェクトではより高い 分解能が要求され,0.01℃に改良したものを提供し た.
2.2 風計測ライダのヘリコプタ搭載飛行評価2.2.1-4) 第 2.1 章に示した超音波風速計は,センサ位置に おける風速や乱気流成分を計測可能であるが,山間 部での物資輸送や遭難者救助,高層ビル屋上ヘリ ポートへの離着陸など,局所的な乱気流が発生しや すい場所を飛行する際には,機体前方の風況をあら かじめ知ることができれば飛行安全の向上に有効で ある(図 2.2.1).風計測用のドップラー・ライダは,遠 隔点におけるウインドシアを検出できるため,空港へ の設置が進められているところであるが,近年の光デ
(1) 換装前
(2) 換装後
図 2.1.3 米国 CLASIC プロジェクトで運用された大気観 測用ヘリコプタ
(1) 山岳救助
(2) 高層ビル屋上ヘリポートへの着陸進入 図 2.2.1 ヘリコプタ搭載ライダの運用概念 本稿に示す実験,研究の多くは外部機関との共同
によって行われたものであるが,個々に関係機関の 名称をあげることは省略させていただいた.詳細に ついては各々の文献を参照されたい.
また,本稿では航空機の飛行速度,高度,距離を 表す単位として,運航現場で慣用されている kt,ft,
NM を用いている.SI 単位系との換算係数を表 1.1 に 示す.
2.乱気流計測と安全向上
ヘリコプタは山間部やビルの屋上ヘリポートなど,
乱気流が発生しやすい場所を飛行する機会が多い.
本研究では,乱気流を計測する技術,および乱気流 に対する安全を向上する技術の飛行実証を行った.
2.1 超音波対気速度計の開発2.1.1,2)
ヘリコプタの対気速度は,一般に固定翼機と同様 にピトー管と静圧孔によって計測される.この計測手 法では,以下の原因により,およそ 40kt 以下の低速 域では正確な対気速度を計測することが出来ない.
・ ピトー管で計測される動圧は速度の 2 乗に比例す るため,低速域では十分な動圧が得られない.
・ ピトー管は機首部に取り付けられているため,低速 域ではメインロータのダウンウォッシュの中に入って しまい,一様流を正確に計測出来ない.
この 2 点を改善するため,MuPAL-εには超音波風 速計がロータ面より約 1m 前方に取り付けられている
(図 2.1.1).この超音波風速計は,航空機搭載用とし て JAXA が独自に開発したものであり2.1.3),ヘリコプタ の全速度域(対気速度ゼロから百数十 kt まで)で 3 軸方向の速度成分を高いレート(40Hz)で計測する ことが可能となっている.
図 2.1.2(1)は,上空で風に正対した状態で,ホバリ ングから MH2000A 型機の最高速度(約 140kt)まで 連続的に加速する実験を行った結果である.実験用 DGPS/INS で計測された対地速度と風成分を考慮す ると,超音波風速計は全速度域で対気速度を精度
良く計測できていると考えられる.これに対し,母機 に搭載されているピトー・静圧孔では 45kt 以下の速 度域で誤差が増大し,ホバリング(対地速度ゼロの状 態)でも 40kt 近い対気速度を示している.
図 2.1.2(2)は,地上付近で風に正対した状態でホ バリングから左右横進と前後進を行った際の実験結 果である.超音波風速計はこのような飛行状態でも 対気速度が計測可能なことが示されている.ただし,
後進の際には,センサ部分が胴体後流の影響を受
図 2.1.1 超音波風速計の取り付け状況
(1) 速度スイープ
(2) 前後進,左右横進
図 2.1.2 超音波対気速度計による対気速度計測の例 表 1.1 慣用単位と SI 単位の換算係数
慣用単位 SI 単位
kt 0.5144 m/s
ft 0.3048 m
NM 1852 m
バイス技術の進歩により,小型・可搬型の装置も開発 されている.本研究では,小型ライダをヘリコプタに 搭載し,飛行評価を実施した.
図 2.2.2 に機器構成と搭載状況を示す.実験で用 いたライダは,レーザの送受信を行う装置と光学系が 光ファイバを介して分離されているため,機外に搭載 する必要があるのは光学系のみであり,他の機器は キャビン内に搭載した.
ライダで計測できるのは視線方向の風速成分のみ であるため,空間上の風速分布を求めるには,空間 をスキャンし,機体の運動データと複合してデータ処 理を行う必要がある.このようにして得られた計測
データをパイロットに表示する技術も開発した(図 2.2.3).画面には進行方向の水平面内および鉛直 面内の風速分布などが表示されている.ヘリコプタに よるライダの飛行評価は仏 ONERA でも実施されてい
たが2.2.5),リアルタイムでデータ処理を行ってパイロッ
トに風況を表示する実験は世界に先駆けたもので あった.
ライダは,母機に搭載されている対気速度計が機 能しない低速域でも対気速度を高精度に計測できる という利点も有している.図 2.2.4 は,ホバリングから 前後進,左右横進を行った時の対気速度を計測した
(1) ライダの機器構成
(2) 光学系機器の搭載
(3) その他の機器の搭載 図 2.2.2 ライダ機器の搭載状況
図 2.2.3 パイロットへの風速分布表示画面
(1) 前後進
(2) 左右横進
図 2.2.4 ライダによる対気速度計測の例
例である.図 2.1.2 に示した超音波風速計を用いた 計測では,後進時(即ち背風時)にはセンサが胴体 の後流の影響を受けるため計測精度が低下していた が,ライダはこのような影響を受けることがないため,
後進時でも精度良く計測できることが示されている.
第 2.1 章に述べたように,ヘリコプタには前後進,左 右横進時の速度制限が設定されているが,通常の ヘリコプタにはこれを計測・表示する装置は搭載され ていない.図 2.2.3 に示した画面の右下には,前後 進,左右横進時の対気速度が速度限界とともに表示 されており,山間部など,気流の変化が激しい場所 でホバリングを行っている際に,背風や横風の状況 を定量的に把握することが可能となっている.本実験 により,ヘリコプタ搭載ライダの有効性を実証するとと もに,パイロットへの表示技術を確立することができ た.このようなシステムの実用化のためには,ライダ 装置の一層の小型化等も課題となるが,可搬型ライ ダは気象観測等の一般分野でもニーズが高いため,
近い将来実現されることが期待される.
本研究では,飛行評価に先立ち,ライダ単体での 性能(空間分解能)評価も実施した.本実験で用い たライダは,パルス状のレーザを照射することにより,
視線方向の複数点における風速を同時に計測可能
であるが,パルス幅よりも局所的な風速変化につい ては,平均化された風速が計測されることになる.パ ルス幅は最小で 30m に設定できるため,一般的な風 況を計測するには十分な空間分解能を有していると 思われるが,ビルの屋上ヘリポート周辺などでは,よ り局所的な風況変化が生じる場合がある.ライダの実 効的な空間分解能を検証するため,図 2.2.5(1)に示 したように,ヘリコプタが低高度で飛行し,そのダウン ウォッシュを地上に設置したライダで計測した.図 2.2.5(2)はヘリコプタがホバリングを行っている時の 計測結果で,地上に 15m 間隔で設置された風速計 では,-10.6m/s から +6.7m/s まで風速が変化してい る が , ラ イ ダ に よ る 計 測 結 果 で は -8.5m/s か ら +5.3m/s の変化となっており,変化量は約 20% 小さく なっているものの,このような極端な局所変動流でも 十分に検知可能なことが確認できた.
2.3 ヘリポート周辺の風況評価
第 2.1 章に示したように,MuPAL-εに搭載されて いる超音波風速計は風速の 3 軸成分を高いレート
(40Hz)で計測出来るため,大気中の乱気流を計測 することが可能である.この機能を活用し,離島の断 崖やビルの屋上など,風の条件が厳しいと思われる 場所に設置されたヘリポート周辺の風況調査に活用 された事例について報告する.
青ヶ島新ヘリポート候補地の風況調査2.3.1-3)
東京の南沖約 360km に位置する青ヶ島(図 2.3.1)
では,その急峻な地形から,波高が高い時には船が 接岸することが難しく,定期船の就航率は 50%~60 % となっている.このため,島民の生活物資の輸送や 交通手段としてヘリコプタが重要な役割を担っている.
(1) 評価方法
(2) 評価データの例
図 2.2.5 ライダ風計測分解能の地上評価 図 2.3.1 青ヶ島のヘリポート バイス技術の進歩により,小型・可搬型の装置も開発
されている.本研究では,小型ライダをヘリコプタに 搭載し,飛行評価を実施した.
図 2.2.2 に機器構成と搭載状況を示す.実験で用 いたライダは,レーザの送受信を行う装置と光学系が 光ファイバを介して分離されているため,機外に搭載 する必要があるのは光学系のみであり,他の機器は キャビン内に搭載した.
ライダで計測できるのは視線方向の風速成分のみ であるため,空間上の風速分布を求めるには,空間 をスキャンし,機体の運動データと複合してデータ処 理を行う必要がある.このようにして得られた計測
データをパイロットに表示する技術も開発した(図 2.2.3).画面には進行方向の水平面内および鉛直 面内の風速分布などが表示されている.ヘリコプタに よるライダの飛行評価は仏 ONERA でも実施されてい
たが2.2.5),リアルタイムでデータ処理を行ってパイロッ
トに風況を表示する実験は世界に先駆けたもので あった.
ライダは,母機に搭載されている対気速度計が機 能しない低速域でも対気速度を高精度に計測できる という利点も有している.図 2.2.4 は,ホバリングから 前後進,左右横進を行った時の対気速度を計測した
(1) ライダの機器構成
(2) 光学系機器の搭載
(3) その他の機器の搭載 図 2.2.2 ライダ機器の搭載状況
図 2.2.3 パイロットへの風速分布表示画面
(1) 前後進
(2) 左右横進
図 2.2.4 ライダによる対気速度計測の例
伊豆諸島を結ぶこの「東京愛らんどシャトル」は,本 稿執筆時において,我が国唯一のヘリコプタによる 定期旅客輸送路線となっている.青ヶ島のヘリポート は標高 274m の山の頂上に設置されているが,特に 梅雨期には「島雲」と呼ばれる山の頂上付近のみに 雲がかかる現象が発生し,ヘリコプタの就航率低下 の要因となっている.この状況を改善するため,より 標高の低い平地に新ヘリポートを建設する計画が検 討された(図 2.3.1).しかし,この候補地は周囲を断 崖に囲まれており,離着陸時にヘリポート付近で風 況が急変する可能性が考えられたため,地元自治体 からの協力依頼に基づいて,ヘリポート周辺の風況 調査を実施した.
風況調査は,関係諸機関との共同により,飛行試 験,風洞試験,数値流体力学(CFD)解析の 3 つの 手法で行われた.表 2.3.1 に示すように 3 つの手法は それぞれ利点と欠点を有している.飛行試験では実 際に離着陸経路上の風を精度良く計測できるが,風 向・風速の条件を任意に選ぶことができない.風洞 試験と CFD 解析は任意の風向・風速を設定可能で あるが,自然地形の地表面近くにおける風況を対象 とした試験や解析の前例がないため,結果の検証が 必要であった.また,この調査では新ヘリポート候補 地での運用における風速制限を飛行シミュレータ(図 2.3.2)を用いて評価することとしたため,ヘリポート周
辺空域における風の数学モデルを作成する必要が あり,CFD 解析で得られた空間グリッド上の風データ からモデルを作成した.
まず飛行試験では,新ヘリポート候補地上空を飛 行して風況の評価を行うとともに(図 2.3.3(1)),CFD の境界条件作成のため,島の周囲を飛行して風速
表 2.3.1 風計測・予測手法の比較
飛行試験 風洞試験 数値解析 風向・風速の自由度 × ○ ○
結果の信頼性 ○ △ △
風モデル作成 × △ ○
図 2.3.2 飛行シミュレータの外観
(1) 新ヘリポート候補地上
(2) 島周辺
図 2.3.3 青ヶ島新ヘリポート候補地の風況調査
図 2.3.4 新ヘリポート候補地における風データの例
分布を計測した(図 2.3.3(2)).図 2.3.4 は飛行試験 で得られた飛行経路上の風速・風向分布と CFD で 得られた乱流エネルギー分布の例で,両者の間には 良い一致が見られた.
風洞試験は,当初,表面が滑面の模型を用いて行 われたが,妥当な結果が得られなかったため,表面 に粗度を付けて再試験を実施した(図 2.3.5).これに より,図 2.3.6 に示すように,平均風速が小さく乱れが 強い剥離域が地上高 30~50m まで達しているという,
飛行試験データと整合性の高い結果が得られるよう になった.一般に,自然地形の風洞試験は広域的な 気流の変化を対象として行われるが,今回のように 地表面に近い場所での気流を計測する場合,表面 粗度の再現が重要であることが明らかとなり,風洞試 験技術の向上に寄与することができた.
これらの手法で得られた結果から,新ヘリポート候 補地で安全な旅客輸送を行うために必要な風速制 限を求めた結果,年間の就航率が既存のヘリポート に比べて十分な優位性を持てないことが明らかと なった.風が強い気象条件では「島雲」は発生しにく いため,既存のヘリポートと新ヘリポートを併用する が可能であれば年間就航率の向上が見込めるが,2 つのヘリポートを維持運用するためのコスト的な制約 もあり,本稿執筆時点で新ヘリポート建設には至って いない.
高層ビル屋上ヘリポートの風況調査2.3.4)
乱気流が問題となるヘリポートの一つに,ビルの屋 上に設置されたヘリポートがあげられる.特に高層ビ ルの屋上では,平均風速が地上に比べて強いこと,
風の気流が剥離することによって非定常な流れとな ること,周辺のビルの後流の影響を受けること,など の理由から,複雑な風況となる場合が多い.研究当 時,東京都港区にあるアークヒルズ(地上 37 階建て) の屋上ヘリポートと成田空港間をヘリコプタで結ぶ定 期的な旅客輸送が行われることとなった.これは,我 が国初の高層ビル屋上ヘリポートからのコミュータ路 線であった(米国では,ニューヨーク・マンハッタンの 高層ビルからケネディ空港までの路線が運航されて いたが,1977 年の事故の発生により中止され,その 後現在まで再開されていない).高層ビル屋上ヘリ ポートでの運用における風速制限を技術的に検討 するため,MuPAL-εによる飛行試験を実施した(図 2.3.7).
屋上ヘリポートにおける風速制限については基準 が確立されていないが,これに近いものとして,英国
図 2.3.5 青ヶ島の風洞模型
図 2.3.6 風洞試験における模型の表面粗度の影響
(1) 飛行試験の様子
(2) 機内から見た飛行試験の様子 図 2.3.7 高層ビル屋上ヘリポートの飛行評価 伊豆諸島を結ぶこの「東京愛らんどシャトル」は,本
稿執筆時において,我が国唯一のヘリコプタによる 定期旅客輸送路線となっている.青ヶ島のヘリポート は標高 274m の山の頂上に設置されているが,特に 梅雨期には「島雲」と呼ばれる山の頂上付近のみに 雲がかかる現象が発生し,ヘリコプタの就航率低下 の要因となっている.この状況を改善するため,より 標高の低い平地に新ヘリポートを建設する計画が検 討された(図 2.3.1).しかし,この候補地は周囲を断 崖に囲まれており,離着陸時にヘリポート付近で風 況が急変する可能性が考えられたため,地元自治体 からの協力依頼に基づいて,ヘリポート周辺の風況 調査を実施した.
風況調査は,関係諸機関との共同により,飛行試 験,風洞試験,数値流体力学(CFD)解析の 3 つの 手法で行われた.表 2.3.1 に示すように 3 つの手法は それぞれ利点と欠点を有している.飛行試験では実 際に離着陸経路上の風を精度良く計測できるが,風 向・風速の条件を任意に選ぶことができない.風洞 試験と CFD 解析は任意の風向・風速を設定可能で あるが,自然地形の地表面近くにおける風況を対象 とした試験や解析の前例がないため,結果の検証が 必要であった.また,この調査では新ヘリポート候補 地での運用における風速制限を飛行シミュレータ(図 2.3.2)を用いて評価することとしたため,ヘリポート周
辺空域における風の数学モデルを作成する必要が あり,CFD 解析で得られた空間グリッド上の風データ からモデルを作成した.
まず飛行試験では,新ヘリポート候補地上空を飛 行して風況の評価を行うとともに(図 2.3.3(1)),CFD の境界条件作成のため,島の周囲を飛行して風速
表 2.3.1 風計測・予測手法の比較
飛行試験 風洞試験 数値解析 風向・風速の自由度 × ○ ○
結果の信頼性 ○ △ △
風モデル作成 × △ ○
図 2.3.2 飛行シミュレータの外観
(1) 新ヘリポート候補地上
(2) 島周辺
図 2.3.3 青ヶ島新ヘリポート候補地の風況調査
図 2.3.4 新ヘリポート候補地における風データの例
航空局が 2008 年に制定したオイルリグ・ヘリポートの 設置基準があげられる.この基準では,上下方向の 風の乱れが 1.75m/s 以下であることが求められてい る.MuPAL-εを用いてアークヒルズ屋上ヘリポート への離着陸試験を行った結果,進入経路上で最大 2.0m/s の上下方向の風の乱れが観測された(図 2.3.8).このため,風洞試験を実施し,ヘリポート上 空における風の乱れがこの基準値を超える風速条件 を求めた.風洞模型(図 2.3.9)は,ビル建設時に行わ れた風洞試験で用いられたものに,ヘリポート部分 の み を 詳 細 化 す る 改 修 を 行 っ た も の で あ る . 図 2.3.10 は,現地で年間を通して観測を行った風向・
風速(平均値,2σ値,3σ値)と風洞試験で求めた 風速限界を示したものである.風洞試験の結果から,
風速限界は 20kt(約 10m/s)が妥当であると判断され た.また,この風速限界は現地で観測された風速の 2 σ値にほぼ相当するため,風による欠航は 5%程度と 推測された.実際の運航開始後は,就航率は 77%程 度で,欠航理由は 16% が視程・雲底,7% が風による ものであり,技術検討と整合性の高い結果となった.
視程・雲底が原因による欠航については,第 4.2 章 に示す計器進入方式の設定によって改善されること が期待される.
風 洞 試 験 で は , デ ー タ 取 得 の み で は な く , 図 2.3.11 に示すように,煙による流れの可視化も行った.
パイロットや運航管理担当者に対してこの風洞試験 を公開したところ,飛行経路周辺の風況を可視化に よって知ることは飛行安全の維持向上に非常に有効 であるとのコメントが得られた.
病院屋上ヘリポートの風況調査
近年は病院の屋上にドクターヘリ用のヘリポートが 設置される例が増えている.新潟大学医歯学総合病 院でドクターヘリを新規に導入するに際して,屋上ヘ リポートの風況評価の依頼を受け,調査を行った.図 2.3.12 に示すように,ヘリポートは 5 階建ての病棟の 屋 上 に あ り , 12 階 建 て の 病 棟 が 隣 接 し て い る . MuPAL-εで飛行評価(図 2.3.13)を行った結果,風 向によっては隣接する病棟の影響で着陸の直前に 風況が大きく変わる場合があることが確認された.ヘ リポート建設時に風速計が設置されていたが,この 風速計だけでは安全な風速制限の判断が困難なた
図 2.3.9 高層ビル屋上ヘリポートの風洞模型
図 2.3.10 風の観測データと運用制限
図 2.3.11 高層ビル屋上ヘリポートの風洞試験の様子
(流れの可視化)
図 2.3.8 飛行試験中に観測された風の乱れの例
め,隣接する病棟の屋上にも風速計を新設すること を提案した(図 2.3.12).表 2.3.2 に示すように,既設 の風速計はヘリポート上での風況の判断に適し,新 設の風速計は進入経路上や着陸決心高度における 風況の判断に適している.同ヘリポートでは両者を 併用して運航可否判断を行うこととなり,現在もドク ターヘリの安全運航が継続されている.
2.4 航空機の後方乱気流の影響評価2.4.1-3)
航空機が続けて空港に離着陸を行う場合,先行機 が発生する乱気流が後続機に影響を及ぼすため,
安全確保のために離着陸の最小間隔が定められて いる.図 2.4.1 に B747-400 型機の後方乱気流の風 速分布の計算例を示す.例えば先行機の通過 1 分
後でも数 m の範囲で±15m/s 程度の上下風が生じ ているが,3 分後には±5m/s 程度まで減衰している.
このような大型機(重量 136t 以上)の後に小型機(重 量 7t 未満)が離着陸を行う場合,3 分の間隔を空ける ことが定められている.特にヘリコプタは旅客機よりも 飛行速度が遅いため,混雑する空港で前後の航空 機と十分な間隔を確保すると,交通流の妨げとなる.
固定翼機の場合,このような風速場に入ると,大き なロール運動が励起され危険な状態になるが,ヘリ コプタの場合,固定翼機に比べてその影響は小さい.
図 2.4.2 は飛行シミュレータを用いて小型固定翼機
(MuPAL-α)とヘリコプタ(MuPAL-ε)が大型機の 後方乱気流に遭遇した場合の挙動を求めた結果の 例である.機体上に示された矢印は,固定翼機の主 翼上,およびヘリコプタのメインロータ上の風速分布 である.いずれの場合も大きな左右差のある風速場 の中を飛行しているが,固定翼機に比べてヘリコプ タはその影響が小さいことが分かる.図 2.4.3 は,飛 行シミュレータを用いたパイロット評価によって影響 を 5 段階(1:問題ない,2:注意が必要だが進入を継 続できる,3:進入が継続できず復行する,4:飛行に 危険を感じる,5:操縦不能)で評価した結果である.
のべ 16 人のパイロットで 191 回の試験を実施した平 均値と標準偏差が示されている.評価結果が 2 以下
(進入を継続できる)となるためには,固定翼機の場 合には先行機と 3 分の間隔を空ける必要があり,現 行の管制間隔基準と一致する結果が得られたが,ヘ リコプタの場合には 1 分でも進入可能という結果に なっている.現行の基準では最小間隔は機体重量 のみで定めらており,固定翼機とヘリコプタの区別は
図 2.4.1 後方乱気流の風速分布の計算例 図 2.3.12 新潟大学病院屋上ヘリポートの周辺状況
図 2.3.13 飛行評価の様子 表 2.3.2 風速計の観測値と風況の比較例 航空局が 2008 年に制定したオイルリグ・ヘリポートの
設置基準があげられる.この基準では,上下方向の 風の乱れが 1.75m/s 以下であることが求められてい る.MuPAL-εを用いてアークヒルズ屋上ヘリポート への離着陸試験を行った結果,進入経路上で最大 2.0m/s の上下方向の風の乱れが観測された(図 2.3.8).このため,風洞試験を実施し,ヘリポート上 空における風の乱れがこの基準値を超える風速条件 を求めた.風洞模型(図 2.3.9)は,ビル建設時に行わ れた風洞試験で用いられたものに,ヘリポート部分 の み を 詳 細 化 す る 改 修 を 行 っ た も の で あ る . 図 2.3.10 は,現地で年間を通して観測を行った風向・
風速(平均値,2σ値,3σ値)と風洞試験で求めた 風速限界を示したものである.風洞試験の結果から,
風速限界は 20kt(約 10m/s)が妥当であると判断され た.また,この風速限界は現地で観測された風速の 2 σ値にほぼ相当するため,風による欠航は 5%程度と 推測された.実際の運航開始後は,就航率は 77%程 度で,欠航理由は 16% が視程・雲底,7% が風による ものであり,技術検討と整合性の高い結果となった.
視程・雲底が原因による欠航については,第 4.2 章 に示す計器進入方式の設定によって改善されること が期待される.
風 洞 試 験 で は , デ ー タ 取 得 の み で は な く , 図 2.3.11 に示すように,煙による流れの可視化も行った.
パイロットや運航管理担当者に対してこの風洞試験 を公開したところ,飛行経路周辺の風況を可視化に よって知ることは飛行安全の維持向上に非常に有効 であるとのコメントが得られた.
病院屋上ヘリポートの風況調査
近年は病院の屋上にドクターヘリ用のヘリポートが 設置される例が増えている.新潟大学医歯学総合病 院でドクターヘリを新規に導入するに際して,屋上ヘ リポートの風況評価の依頼を受け,調査を行った.図 2.3.12 に示すように,ヘリポートは 5 階建ての病棟の 屋 上 に あ り , 12 階 建 て の 病 棟 が 隣 接 し て い る . MuPAL-εで飛行評価(図 2.3.13)を行った結果,風 向によっては隣接する病棟の影響で着陸の直前に 風況が大きく変わる場合があることが確認された.ヘ リポート建設時に風速計が設置されていたが,この 風速計だけでは安全な風速制限の判断が困難なた
図 2.3.9 高層ビル屋上ヘリポートの風洞模型
図 2.3.10 風の観測データと運用制限
図 2.3.11 高層ビル屋上ヘリポートの風洞試験の様子
(流れの可視化)
図 2.3.8 飛行試験中に観測された風の乱れの例
ないが,ヘリコプタの場合はより短い間隔で離着陸 することが可能になれば,混雑する空港にもヘリコプ タの乗り入れが可能になり,都市部と空港を結ぶコ ミュータ路線の普及等が期待される.
さらに,空港に設置されている風計測用のライダに よって後方乱気流の位置を検知することにより,安全 を維持しつつ間隔を短縮できる可能性がある.仙台 空港に設置されているライダの計測データをリアルタ イムで MuPAL-εに伝送し,後方乱気流の位置と強 度を予測してパイロットに表示するシステムを開発し た.同空港で飛行実験を行った結果,このようなシス
テムが実用化できれば先行機とより短い間隔で安全 に離着陸が可能であることが確認された(図 2.4.4).
現在では,ICAO(国際民間航空機関)で後方乱気 流管制間隔基準を短縮する検討が活発化しており,
JAXA においても DREAMS プロジェクト等において関 連研究が実施されている2.4.4).
(1) 固定翼機(MuPAL-α)の例
(2) ヘリコプタ(MuPAL-ε)の例 図 2.4.2 後方乱気流の影響評価
(飛行シミュレータによる試験)
図 2.4.3 パイロット評価結果のまとめ
(1) ライダ装置
(2) ライダによる計測例
(3) パイロットへの表示例
(4) 飛行実験中の MuPAL-εから見た先行機 図 2.4.4 後方乱気流表示システムの飛行実験
3.騒音計測と低騒音飛行
ヘリコプタは狭隘な場所でも離着陸できることが最 大の特長であるが,その際の問題点の一つとして周 辺住民への騒音被害があげられる.救急患者搬送 用に病院屋上に設置されたヘリポートでも,騒音対 策のために離着陸回数,経路,時間帯等が制限され る場合がある.本研究では,ヘリコプタの音源特性お よび地上までの伝搬特性を高精度に計測するととも に,その成果をもとに地上騒音を低減する飛行技術 の実証を行った(図 3.1).
3.1 地上騒音計測3.1.1-3)
ヘリコプタは型式ごとに騒音基準適合証明を受け る必要があり,その際に実施するべき騒音計測方法 の詳細が ICAO(国際民間航空機関)によって定めら れている(以下,ICAO 基準と表記する).MuPAL-ε の母機である MH2000 についても 1997 年 9 月~10 月にこの試験が実施されている3.1.4).
ICAO 基準では,離陸上昇,水平飛行,着陸進入 の 3 つの飛行状態において,地上の定められた点で 騒音を計測する.この際,飛行経路や速度について,
基準値と許容される変動値が定められている.一般 のヘリコプタの場合,パイロットの目視と,高度計,速 度計等の通常計器によって飛行諸元を維持する必 要があるが,MuPAL-εを用いた飛行実験では,トン ネル型経路誘導表示3.1.5,6) を用いることによって,
ICAO 基準に加えて,旋回や減速等のマニューバを 行った際の地上騒音も高精度に計測することを可能 にした.
図 3.1 研究の概念図
(1) 騒音計測点
(2) 飛行経路と地上騒音データ 図 3.1.1 旋回中の地上騒音計測試験 ないが,ヘリコプタの場合はより短い間隔で離着陸
することが可能になれば,混雑する空港にもヘリコプ タの乗り入れが可能になり,都市部と空港を結ぶコ ミュータ路線の普及等が期待される.
さらに,空港に設置されている風計測用のライダに よって後方乱気流の位置を検知することにより,安全 を維持しつつ間隔を短縮できる可能性がある.仙台 空港に設置されているライダの計測データをリアルタ イムで MuPAL-εに伝送し,後方乱気流の位置と強 度を予測してパイロットに表示するシステムを開発し た.同空港で飛行実験を行った結果,このようなシス
テムが実用化できれば先行機とより短い間隔で安全 に離着陸が可能であることが確認された(図 2.4.4).
現在では,ICAO(国際民間航空機関)で後方乱気 流管制間隔基準を短縮する検討が活発化しており,
JAXA においても DREAMS プロジェクト等において関 連研究が実施されている2.4.4).
(1) 固定翼機(MuPAL-α)の例
(2) ヘリコプタ(MuPAL-ε)の例 図 2.4.2 後方乱気流の影響評価
(飛行シミュレータによる試験)
図 2.4.3 パイロット評価結果のまとめ
(1) ライダ装置
(2) ライダによる計測例
(3) パイロットへの表示例
(4) 飛行実験中の MuPAL-εから見た先行機 図 2.4.4 後方乱気流表示システムの飛行実験
図 3.1.1 にバンク角 30 度で左旋回した時の機体 Z 軸延長上(MIC①),機体直下(MIC②),機体 Y 軸延 長上(MIC③)の地上騒音の計測例を示す.計 3 回 の飛行実験を行い,騒音計測点上空通過時の飛行 経路のばらつきは水平面内,高度とも十数 m となっ ており,パイロットの目視による操縦では困難な経路 精度が達成されている.
このような実験を繰り返し,機体と騒音計測点の位 置関係から音圧レベルを補正することにより,音源の 指向特性を推定することが可能となる.図 3.1.2 は飛 行速度 100kt における横断面の指向特性を求めた 例で,ロータ面方向では直下に比べて 5dB 程度音圧 レベルが高くなっていることが分かる.
地上における騒音被害低減のためには人口密集 地を避けた曲線進入が有効であるが,この際,旋回 による音源特性の変化も考慮する必要があるため,
本実験によって有用なデータを蓄積することができ た.
3.2 機外騒音計測
第 3.1 章に示したように地上で騒音を計測する場合 の問題点として,機体と計測点の位置が時々刻々変 化すること,低高度では急角度での降下が安全上難 しいこと,ヘリコプタから地上までの大気中の伝搬や 地面による反射,吸収の影響を受けること(図 3.2.1)
などがあげられる.これらの問題を改善するため,以 下に示す二つの実験方法を考案した.
クレーンを用いた騒音計測3.2.1,2)
一つ目はクレーンを使って騒音計測用マイクを上
空に設置し,ヘリコプタがその近くを飛行する方法で ある.図 3.2.2 に実験の様子と計測データの例を示 す.クレーン上のマイクでは,ヘリコプタの騒音源とな るメインロータ,テイルロータ,エンジン等の周波数成 分ごとに音圧レベルが計測されている.地上に設置 したマイクでは,大気による吸収やマイクに直接届く 音波と地面で反射して届く音波の干渉により周波数 特性が異なって計測されることが分かる(距離減衰に よる影響は補正している).
機外搭載マイクによる騒音計測3.2.3-5)
二つ目はヘリコプタの機外にマイクを取り付けて計 測する方法である.MuPAL-εのノーズブーム先端 のエアデータセンサを取り外し,この部分にマイクを 取り付けて飛行中の騒音を計測した(図 3.2.3(1)).
図 3.2.3(2)は計測結果の例で,一番上がノーズブー ム先端に取り付けたマイク,中央がキャビン内に取り 付けたマイク,一番下が地上に設置したマイクによる 計測結果である.ヘリコプタの騒音で特徴的なもの の一つは,主に降下中に発生する「バタバタ」という 音で,これは先行するブレードから出た翼端渦を後 続のブレードが横切ることによって発生する BVI (Blade-Vortex Interaction) 騒音と呼ばれるものであ る.ノーズブーム先端に取り付けたマイクでは,キャ ビン内や地上のマイクに比べて,この BVI 騒音特有 の急激な音圧変動が明瞭に計測できていることが分 かる.
機外搭載マイクで計測する利点の一つとして,降 下や旋回等の飛行状態においても騒音を定常的に 計測可能なことがあげられる.図 3.2.4 は様々な飛行 速度,昇降率の組み合わせで音圧レベルを求めた 結果で,飛行速度 70kt,降下率 600fpm の条件(図
図 3.2.1 騒音計測に与える影響要因 図 3.1.2 横断面の音源指向特性推定結果
中⑩,降下角度 4.8 度に相当)で音圧レベルが高く なっていることが分かる.飛行速度 70kt は着陸進入 の際に通常用いられている諸元であるが,騒音低減 のためにはより深い降下角度(6 度以上)で着陸進入 を行うことが効果的と考えられる.
図 3.2.5 は直線降下とバンク角 30 度での曲線降下 の飛行状態での BVI 騒音の波形を比較したものであ る.曲線降下では直線降下に比べて圧力変動が約 2 倍になる場合があることが明らかとなった.前述のと おり,住宅密集地等を避けるために曲線降下を行っ た場合,BVI 騒音の増大により地上における騒音レ ベルも増大する可能性があるため,曲線進入経路の 設定の際にはこのような飛行条件を避けるよう配慮 する必要がある.曲線降下の飛行状態における BVI 騒音波形を実飛行で明瞭に計測した事例は初であ り,BVI 騒音の発生メカニズムの詳細解明に役立てら れることが期待される.
JAXA においても CFD 解析によってこの現象の再
現が試みられた3.2.6).図 3.2.6(1)は CFD 解析による 音源の指向特性を示したものである.図 3.2.6(2)は 飛行実験と同様に,直線降下と曲線降下の飛行状 態で騒音波形を比較した結果である.曲線飛行でよ
(1) 実験の様子
(2) 計測データの例
図 3.2.2 クレーンを用いた騒音計測実験
(1) マイクの取り付け状況
(2) 計測手法による比較
図 3.2.3 機外搭載マイクを使った騒音計測実験
図 3.2.4 昇降率による音圧レベルの変化 図 3.1.1 にバンク角 30 度で左旋回した時の機体 Z
軸延長上(MIC①),機体直下(MIC②),機体 Y 軸延 長上(MIC③)の地上騒音の計測例を示す.計 3 回 の飛行実験を行い,騒音計測点上空通過時の飛行 経路のばらつきは水平面内,高度とも十数 m となっ ており,パイロットの目視による操縦では困難な経路 精度が達成されている.
このような実験を繰り返し,機体と騒音計測点の位 置関係から音圧レベルを補正することにより,音源の 指向特性を推定することが可能となる.図 3.1.2 は飛 行速度 100kt における横断面の指向特性を求めた 例で,ロータ面方向では直下に比べて 5dB 程度音圧 レベルが高くなっていることが分かる.
地上における騒音被害低減のためには人口密集 地を避けた曲線進入が有効であるが,この際,旋回 による音源特性の変化も考慮する必要があるため,
本実験によって有用なデータを蓄積することができ た.
3.2 機外騒音計測
第 3.1 章に示したように地上で騒音を計測する場合 の問題点として,機体と計測点の位置が時々刻々変 化すること,低高度では急角度での降下が安全上難 しいこと,ヘリコプタから地上までの大気中の伝搬や 地面による反射,吸収の影響を受けること(図 3.2.1)
などがあげられる.これらの問題を改善するため,以 下に示す二つの実験方法を考案した.
クレーンを用いた騒音計測3.2.1,2)
一つ目はクレーンを使って騒音計測用マイクを上
空に設置し,ヘリコプタがその近くを飛行する方法で ある.図 3.2.2 に実験の様子と計測データの例を示 す.クレーン上のマイクでは,ヘリコプタの騒音源とな るメインロータ,テイルロータ,エンジン等の周波数成 分ごとに音圧レベルが計測されている.地上に設置 したマイクでは,大気による吸収やマイクに直接届く 音波と地面で反射して届く音波の干渉により周波数 特性が異なって計測されることが分かる(距離減衰に よる影響は補正している).
機外搭載マイクによる騒音計測3.2.3-5)
二つ目はヘリコプタの機外にマイクを取り付けて計 測する方法である.MuPAL-εのノーズブーム先端 のエアデータセンサを取り外し,この部分にマイクを 取り付けて飛行中の騒音を計測した(図 3.2.3(1)).
図 3.2.3(2)は計測結果の例で,一番上がノーズブー ム先端に取り付けたマイク,中央がキャビン内に取り 付けたマイク,一番下が地上に設置したマイクによる 計測結果である.ヘリコプタの騒音で特徴的なもの の一つは,主に降下中に発生する「バタバタ」という 音で,これは先行するブレードから出た翼端渦を後 続のブレードが横切ることによって発生する BVI (Blade-Vortex Interaction) 騒音と呼ばれるものであ る.ノーズブーム先端に取り付けたマイクでは,キャ ビン内や地上のマイクに比べて,この BVI 騒音特有 の急激な音圧変動が明瞭に計測できていることが分 かる.
機外搭載マイクで計測する利点の一つとして,降 下や旋回等の飛行状態においても騒音を定常的に 計測可能なことがあげられる.図 3.2.4 は様々な飛行 速度,昇降率の組み合わせで音圧レベルを求めた 結果で,飛行速度 70kt,降下率 600fpm の条件(図
図 3.2.1 騒音計測に与える影響要因 図 3.1.2 横断面の音源指向特性推定結果
り騒音レベルが高くなるという定性的な傾向は再現さ れているものの,定量的な差は飛行実験結果に比べ て小さくなっている.BVI 騒音は先行ブレードから放 出された渦と後続ブレードの位置関係によって大きく 変化するため,飛行実験結果では機体運動の非定 常性,ブレード位置の計測誤差,風の影響なども受 けるため,全ての条件を CFD 解析で正確に再現す ることは困難であるが,飛行実験技術および CFD 解 析技術の双方の向上により,BVI 騒音の再現精度を 向上することが必要と考えられる.
3.3 大気伝搬特性計測3.3.1,2)
ヘリコプタの騒音は大気中を伝搬して計測点に達 するが,この際,大気による吸収や,高度方向の温 度,風速勾配による屈折など,様々な影響を受ける.
地上間の騒音伝達(例えば道路,鉄道,工場等の騒 音が住宅街に達するまでの影響)については研究例 が多いが,航空機からの騒音伝達については研究 や実測の例が殆どない.この理由の一つに,計測が
図 3.2.5 直線降下と旋回降下の BVI 騒音波形の比較
(1) CFD による音源指向特性(100R 半径)
(2) 直線降下と旋回降下の BVI 騒音波形の比較 図 3.2.6 BVI 騒音の CFD 解析結果
(1) 実験の様子
(2) 実験中の風速分布の例
(3) 風による騒音伝搬特性の変化の例 図 3.3.1 係留気球を用いた騒音伝搬特性計測実験
困難なことがあげられる.本実験では,係留気球を用 いて上空にマイクを設置することにより,ヘリコプタ騒 音の大気伝搬特性の計測を行った.
図 3.3.1(1)は気球の配置の例で,このケースでは 地上高度 200m において水平距離 300m の 2 点間の 伝搬特性の計測を行った.ヘリコプタの位置を変更 することにより,騒音の伝搬方向に対して順風の場合,
逆風の場合の計測を行った.図 3.3.1(2)は地上に 設置したドップラー・ソーダで計測した上空の風速分 布,図 3.3.1(3)は順風,逆風,それぞれの条件での 伝搬特性の計測結果である.地上における風速は 1m/s 程度であったが,計測高度付近で風向が逆転 する条件であったため,屈折の影響等により騒音の 減衰量は 100Hz で 5dB 程度の差が生じていることが 分かる.
3.4 騒音予測モデル
第 3.1~3.3 章に述べた実験結果をもとに,ヘリコプ タの音源特性と大気伝搬特性を考慮し,飛行条件に 対して地上騒音を高精度に予測する騒音モデルを
開発した3.4.1).飛行状態や風等の影響を考慮するとと
もに,第 3.5 章に述べる経路のリアルタイム最適化計 算に利用可能とするため,計算負荷を最小にするよ う配慮した.図 3.4.1(1)は飛行経路角とバンク角の 関数として記述した音源モデルである.さらにこの音 源モデルでは,機体運動の非定常性(機体の加減 速度)の影響も考慮されている.図 3.4.1(2)は飛行 中に減速を行った場合の騒音の変化で,青線が非 定常性の効果を考慮した場合,赤線が考慮しなかっ た場合の音源モデルによる予測値である.非定常性 を考慮することにより,減速区間での騒音予測精度 が向上している.図 3.4.1(3)は大気伝搬モデルで風 の影響を示したもので,風速 4m/s 程度までは予測 誤差の平均値が±3dB 以内に収まっている.
3.5 低騒音飛行
低騒音飛行支援システム
航空機の騒音基準として,前述の ICAO 基準以外 に,環境省が定める環境基準がある.前者が航空機 の型式に対して求められるのに対し,後者は空港周 辺等の地上騒音に対して求められる基準であり,土 地の利用状況(住宅街かどうかなど)や時間帯,騒音
の累積値等も考慮して定められている.ヘリコプタの 地上騒音は同じ飛行条件でも大気の状態によって 変化すること,音源の指向特性によりパイロットが機 内で感じる騒音と地上騒音は必ずしも一致しないこと などにより,パイロットの予想以上に地上に騒音被害 を及ぼす可能性がある.特に取材報道等の目的で 飛行する場合,対象となる地点の周囲を低高度で連
(1) 経路角とバンク角に対する音源特性モデル
(2) 加減速に対する音源特性モデルの精度検証
(3) 風速に対する伝搬特性モデルの精度検証 図 3.4.1 地上騒音予測モデルの精度検証結果 り騒音レベルが高くなるという定性的な傾向は再現さ
れているものの,定量的な差は飛行実験結果に比べ て小さくなっている.BVI 騒音は先行ブレードから放 出された渦と後続ブレードの位置関係によって大きく 変化するため,飛行実験結果では機体運動の非定 常性,ブレード位置の計測誤差,風の影響なども受 けるため,全ての条件を CFD 解析で正確に再現す ることは困難であるが,飛行実験技術および CFD 解 析技術の双方の向上により,BVI 騒音の再現精度を 向上することが必要と考えられる.
3.3 大気伝搬特性計測3.3.1,2)
ヘリコプタの騒音は大気中を伝搬して計測点に達 するが,この際,大気による吸収や,高度方向の温 度,風速勾配による屈折など,様々な影響を受ける.
地上間の騒音伝達(例えば道路,鉄道,工場等の騒 音が住宅街に達するまでの影響)については研究例 が多いが,航空機からの騒音伝達については研究 や実測の例が殆どない.この理由の一つに,計測が
図 3.2.5 直線降下と旋回降下の BVI 騒音波形の比較
(1) CFD による音源指向特性(100R 半径)
(2) 直線降下と旋回降下の BVI 騒音波形の比較 図 3.2.6 BVI 騒音の CFD 解析結果
(1) 実験の様子
(2) 実験中の風速分布の例
(3) 風による騒音伝搬特性の変化の例 図 3.3.1 係留気球を用いた騒音伝搬特性計測実験
続的に飛行するため,騒音の累積値が大きくなり,周 辺住民への騒音被害が問題となる.パイロットが地上 の騒音状況を把握するために,リアルタイムで地上 騒音を予測してパイロットに表示するシステムを開発
した3.5.1).図 3.5.1 に表示例を示す.本システムでは,
土地の利用状況の詳細なデータベースを内蔵し,例 えば病院や日中の学校など,騒音にセンシティブな 場所に対して特に厳しい基準値を設定することが可 能となっており,このような場所で基準値を超えた場 合に緑→黄→赤と色を変化させることにより,パイロッ トに飛行経路の変更を促す機能を有している.
低騒音最適経路
騒音モデルと最適飛行制御技術を組み合わせるこ とにより,地上騒音を最小にする着陸進入経路をトン ネル型表示3.1.5,6) を用いてパイロットに表示するシス テムを開発した3.5.2,3).図 3.5.2(1)は,従来の着陸進 入経路(経路角 3 度の直線進入)と,地上の 5 点にお ける騒音の積算値を最小にするよう最適化した経路 を比較したものである.経路の最適化により,図中に 赤色で示された最大騒音値が 70dB を超える地域が 大幅に縮小されていることが分かる.図中の表に示し た騒音値は中央の観測点のもので,上が騒音モデ ルによる予測値,下が飛行実験における実測値であ る.経路最適化によってこの観測点での最大騒音の 実測値が 4dB 低減されていること,予測値と実績値 の差が 2dB 以内であることが示されている.図 3.5.2
(2)は各観測点における騒音の時歴で,いずれの観 測点においても地上騒音が高精度に予測されてい る.本研究成果は,日本航空宇宙学会論文賞3.5.4), 日本機械学会交通・物流部門大会賞3.5.5) を受賞する
など,内外で高く評価された.また,本研究成果を旅 客機の騒音低減に適用し,次世代運航技術の研究 開発プロジェクト DREAMS に発展した3.5.6).
図 3.5.1 低騒音飛行支援システムの表示例
(1) 最適経路と従来の計器進入経路の地上騒音比較
(2) 最適経路における騒音実測値と予測値の比較 図 3.5.2 低騒音最適進入の飛行実験