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窒化炭素および窒化ホウ素非晶質薄膜の作成と機械的特性に関する研究

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Academic year: 2021

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氏 名 ( 本 籍 ) 城谷 友保 (千葉県)

学 位 の 種 類 博士(工学)

学 位 記 番 号 甲第 189 号

学 位 授 与 の 日 付 平成 28 年 3 月 22 日 学 位 授 与 の 要 件 学位規則第 4 条第 1 項該当

学 位 論 文 題 目 窒化炭素および窒化ホウ素非晶質薄膜の作製と機械的特性に 関する研究

論 文 審 査 委 員 (主査) 教 授 坂本 幸弘 (副査) 教 授 井上 泰志 教 授 松井 伸介 准教授 徳永 剛

関東学院大学 教 授 高井 治

学 位 論 文 の 要 旨

窒化炭素および窒化ホウ素非晶質薄膜の作製と機械的特性に関する研究

種々の優れた特性を有していることが明らかとなっているCNxおよびBN薄膜はCVD法、イ オンビーム法、レーザービーム照射法、高圧法などで合成報告されているがが、より簡便な作製 法としてスパッタリング法が挙げられる。スパッタリング法はイオンの衝撃による運動量交換に より、固体材料を蒸発させて薄膜として基板上へ析出させるため、高融点材料や絶縁体など、熱 による蒸発が困難な材料でも薄膜作製が可能であり、さらに反応性スパッタリングを行うことに よって、ターゲットとなる固体材料と反応ガスの化合物薄膜を作製することも容易である。この ようにスパッタリング法は種々の化合物等を容易に作製可能であるが、成膜時のスパッタガス分 圧、試料バイアス、基板温度等によって、物性や構造は大きく変化するため、系統だった研究が 必要である。特に非晶質薄膜作製においては、適切な試料台電位とスパッタガス分圧を使用する ことによって、膜構造および機械的特性の制御が可能である。

本研究の目的は、簡便かつ膜構造および機械的特性の可能な薄膜作製法であるスパッタリング 法を取り上げ、B-C-N系薄膜の中で代表的なCNxおよびBN膜を時のスパッタガス、試料台電位、

放電電力などが膜の構造および機械的特性に及ぼす影響について検討を行い、工業的な指針を得 ることである。

CNx膜はスパッタガスにAr-N2ガスを使用した、RF反応性スパッタリング法によって作製し、

その際のN2ガス分圧と試料台電位が、膜構造と機械的特性に及ぼす影響について検討を行った結 果、スパッタガス中のN2分圧によって膜構造は大きく変化し、N2分圧の増加により、乱層構造お

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よび C≡N 結合成分が増加し、さらに、試料台電位をフローティングにした場合、この傾向がよ り顕著に現れた。また、上記の膜構造成分の増加に伴って硬度は低下するが、摩擦係数は膜の構 造に因らず、いずれも低い値を示すことが明らかとなった。

BN膜はスパッタガスにArのみを使用したRFスパッタリング法によって作製し、作製の際の RF電力が膜構造と特性に与える影響について検討を行った結果、高電力領域で作製することによ ってアモルファスBN膜の作製が可能であり、その際のRF電力の増加に伴い、膜中の乱層構造成 分と硬度が増加した。また、高電力で作製した場合RF電力が550Wまでは高い耐酸化性を有する が、より高いRF電力では耐酸化性が低下することが明らかとなった。

作製したCNx膜およびBN膜に対して、MTM試験による油中での摩擦特性を評価した結果、

優れた摩擦特性を示し、これらの薄膜の潤滑環境下における摩擦部材への適用の可能性が示唆さ れた。

審 査 結 果 の 要 旨

種々の優れた特性を有していることが明らかとなっているB-C-N系材料は CVD法、イオンビ ーム法、レーザービーム照射法、高圧法などで合成報告されているが、より簡便な作製法として スパッタリング法が挙げられる。スパッタリング法はイオンの衝撃による運動量交換により、固 体材料を蒸発させて薄膜として基板上へ析出させるため、高融点材料や絶縁体など、熱による蒸 発が困難な材料でも薄膜作製が可能であり、さらに反応性スパッタリングを行うことによって、

ターゲットとなる固体材料と反応ガスの化合物薄膜を作製することも容易である。このようにス パッタリング法は種々の化合物等を容易に作製可能であるが、成膜時のスパッタガス分圧、試料 バイアス、基板温度等によって、物性や構造は大きく変化するため、系統だった研究が必要であ る。特に非晶質薄膜作製においては、適切な試料台電位とスパッタガス分圧を使用することによ って、膜構造および機械的特性の制御が可能となっている。

本研究の目的は、簡便に膜構造および機械的特性の調節が可能である薄膜作製法であるスパッ タリング法を取り上げ、B-C-N 系薄膜合成時における成膜時のスパッタガス、試料台電位、放電 電力などが膜の構造および機械的特性に及ぼす影響について検討を行い、その工学的応用に関し て、工業的な指針を得ることである。

1章では、B-C-N系材料の気相合成法の歴史からそれぞれの薄膜の研究動向について示した。

2章は、Ar-N2系スパッタガスを使用したRF反応性スパッタリングによるCNx膜の作製に ついて、反応ガス中のN2分圧と試料台電位が膜の構造に与える影響について検討した。

その結果、反応ガス中のN2分圧によって膜の構造は大きく異なり、N2分圧の増加により、乱層 構造および C≡N 結合成分が増加し、試料台電位をフローティングにした場合、この傾向がより 顕著に現れることを明らかにした。

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3章、第1節では、スパッタガスにArのみを使用したRFスパッタリングによるBN膜の作 製の際のRF電力が膜質に与える影響について検討した。

その結果、低電力で作製した場合は BN 膜は得られないが、高電力で作製した場合はアモルフ ァスBN膜が作製可能であることを明らかにした。

3章、第2節では、第1節よりもさらに高電力でBN膜を作製した場合の、RF電力が膜構造 と特性について及ぼす影響について検討を行った。

その結果、RF電力の増加に伴い、膜中の乱層構造成分は増加し、RF電力が550W までは高い 耐酸化性を有するが、より高いRF電力では、耐酸化性が極端に低下することを明らかにした。

4章では、第2章および第3章で作製したCNx膜およびBN膜の硬度、摩擦特性などの機械 的特性評価を行った。その結果、CNx膜の構造はC≡N結合成分の増加と共に硬度は減少するが、

無潤滑下の摩擦係数は膜の構造に因らず、いずれも低い値を示すことを明らかにした。BN膜は作 製時の RF 電力の増加と共に硬度はわずかに増加するが、いずれも無潤滑下では高い摩擦係数を 示すことが明らかにした。また、CNx膜およびBN膜は油中での摩擦特性に優れており、潤滑油 が介在する摩擦部材への適応の可能性が示唆された。

本論文は、窒化炭素および窒化ホウ素非晶質膜の作製と工業的応用の可能性に対して非常に重 要な知見を得たものとして価値のある集積である。従って学位論文申請者の城谷友保は、博士(工 学)の学位を得る資格があると認められる。

参照

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