• 検索結果がありません。

ベ ー トー ヴ ェ ン の ピ ア ノ ・ソナ タ に お け る 『再 現 部 』 の 様 態

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "ベ ー トー ヴ ェ ン の ピ ア ノ ・ソナ タ に お け る 『再 現 部 』 の 様 態"

Copied!
28
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

ベ ー トー ヴ ェ ン の ピ ア ノ ・ソナ タ に お け る

『再 現 部 』 の 様 態

2つ の主 題 の再 現 を 中 心 に

福 原 淳

ウ ィー ン古 典 派 の・ 器楽 にお け る最 も重 要 な形 式 は 、 い うま で も な く 厂ソナ タ 形 式 」 で あ っ た。 交 響 曲 を初 め、 協 奏 曲や 弦 楽 四重 奏 曲、 ピ ア ノ ・ソナ タ等 多 くの主 要 な ジ ャ ンル に おい て 、そ の楽 章 の い くつ か を構 成 す る た め に広 く利 用 され た。 しか し 「ソナ タ形 式 」 は型 どお りの 形 式 とい うよ りも一 種 の 「 書 法 」 で あ り、 実 際 に は微 妙 な差 異 を持 つ様 々 な ソナ タ形 式 の様 態 が 見 られ る の で あ る。 ソナ タ形 式 の 主 要 な3つ のセ ク シ ョン の うち、 最 も型 どお りの よ うに見 え る 「 再 現 部 」 も、他 の 提 示 部 や 展 開 部 と同 じく らい の多 様 さが あ り得 る。所で、

古 典 派 ピア ノ ・ソナ タの ソナ タ形 式 楽 章 に お ける 「 再 現 部 」の様 態 に つ い て は、

す で に ハ イ ドン、 モ ー ツ ァル トに 関 して そ れ ぞれ 小 論 を展 開 した。今 回は、 こ

  ユ

の 形 式 の 大 き な 頂 点 を 築 い た と言 わ れ る ベ ー トー ヴ ェ ン の ピ ア ノ ・ソ ナ タ に つ い て 、同 様 の 問 題 を 、や は り チ ャ ー ル ズ ・ロ ー ゼ ン 、特 に そ の 著 『ソ ナ タ 形 式 』

(SonataForms)を 主 な 手 掛 か りに 、 解 明 した い と思 う。

  

ベ ー トー ヴ ェ ン の ピ ア ノ ・ソ ナ タ は 、 い わ ゆ る 厂 選 帝 侯 ソ ナ タ 」(3曲)な ど も 含 め て 、30曲 を 超 え る と 思 わ れ る が 、 こ こ で は 一 般 に 知 られ て い る 、 作 品 番 号 付 き の"32の ピ ア ノ ・ソ ナ タ"に 限 っ て 考 察 の 対 象 と した い 。 使 用 楽 譜 に つ い て は 、Henle版 を 用 い る こ と に す る 。

  ヨ

所 でベ ー トー ヴ ェ ンの32曲 の ピ ア ノ ・ソナ タに お け る ソナ タ形 式 楽 章 は 以 下 の 通 りで あ る。

注4

第1番 へ 短 調OP.2‑1(全4楽 章)

第1楽 章(全152小 節:提 示 部48小 節 、 展 開 部52小 節 、 再 現 部52小 節) 第2楽 章(全61小 節:提 示 部31小 節 、 再 現 部30小 節)

第4楽 章(全196小 節:提 示 部58小 節 、 展 開 部79小 節 、 再 現 部59小 節) 第2番 イ 長 調Op.2‑2(全4楽 章)

‑93一

(2)

第1楽 章(全337小 節:提 示 部122小 節 、展 開 部103小 節 、再 現 部112小 節) 第3番 ハ 長 調Op.2‑3(全4楽 章)

第1楽 章(全257小 節:提 示 部90小 節 、 展 開 部48小 節 、 再 現 部79小 節 、 コ ー ダ40小 節)

第4番 変 ホ 長 調OP.7(全4楽 章)

第1楽 章(全362小 節:提 示 部136小 節 、展 開 部52小 節 、 再 現 部126小 節 、 コ ー ダ48小 節)

第5番 ハ 短 調Op.10‑1(全3楽 章)

第1楽 章(全284小 節:提 示 部105小 節 、 展 開 部62小 節 、 再 現 部117小 節) 第2楽 章(全112小 節:提 示 部45小 節 、 再 現 部45小 節 、 コ ー ダ22小 節) 第3楽 章(全122小 節:提 示 部46小 節 、 展 開 部11小 節 、 再 現 部49小 節 、

コ ー ダ16小 節)

第6番 へ 長 調Op.10‑2(全3楽 章)

第1楽 章(全202小 節:提 示 部66小 節 、 展 開 部51小 節 、 再 現 部85小 節) 第3楽 章(全150小 節:提 示 部32小 節 、 展 開 部54小 節 、 再 現 部64小 節) 第7番 二 長 調Op.10‑3(全4楽 章)

第1楽 章(全344小 節:提 示 部124小 節 、展 開 部59小 節 、 再 現 部115小 節 、 コ ー ダ46小 節)

第2楽 章(全87小 節:提 示 部29小 節 、 展 開 部14小 節 、 再 現 部21小 節 、 コ ー ダ16小 節)

第8番 ハ 短 調Op.13「 悲 愴 」(全3楽 章)

第1楽 章(全310小 節:序 奏 部10小 節 、 提 示 部122小 節 、 展 開 部62小 節 、 再 現 部100小 節 、 コ ー ダ16小 節)

第9番 ホ 長 調Op.14‑1(全3楽 章)

第1楽 章(全162小 節:提 示 部60小 節 、 展 開 部30小 節 、 再 現 部72小 節) 第10番 ト長 調OP.14‑2(全3楽 章)

第1楽 章(全200小 節:提 示 部63小 節 、 展 開 部61小 節 、 再 現 部63小 節 、 コ ー ダ13小 節)

第11番 変 ロ 長 調Op.22(全4楽 章)

第1楽 章(全199小 節:提 示 部68小 節 、 展 開 部59小 節 、 再 現 部72小 節) 第2楽 章(全77小 節:提 示 部30小 節 、 展 開 部16小 節 、 再 現 部31小 節) 第12番 変 イ 長 調Op.26(全4楽 章)

ソ ナ タ 形 式 の 楽 章 な し。

第13番 変 ホ 長 調Op.27‑1(全3楽 章) ソナ タ 形 式 の 楽 章 な し。

‑92一

(3)

第14番 嬰 ハ 短 調Op.27‑2「 月 光 」(全3楽 章)

第1楽 章(全69小 節:序 奏 部5小 節 、 提 示 部18小 節 、 展 開 部19小 節 、 再 現 部18小 節 、 コ ー ダ9小 節)

第3楽 章(全200小 節:提 示 部64小 節 、 展 開 部37小 節 、 再 現 部57小 節 、 コ ー ダ42小 櫛)

第15番 二 長 調Op.28厂 田 園 」(全4楽 章)

第1楽 章(全461小 節:提 示 部163小 節 、展 開 部105小 節 、再 現 部169小 節 、 コ ー ダ24小 節)

第16番 ト長.調Op.31‑1(全3楽 章)

第1楽 章(全325小 節:提 示 部111小 節 、 展 開 部82小 節 、 再 現 部86小 節 、 コ ー ダ46小 節)

第17番 二 短 調Op.31‑2「 テ ン ペ ス ト」(全3楽 章)

第1楽 章(全228小 節:提 示 部92小 節 、 展 開 部50小 節 、 再 現 部86小 節) 第2楽 章(全103小 節:提 示 部42小 節 、 再 硯 部46小 節 、 コー ダ15小 節) 第3楽 章(全399小 節:提 示 部94小 節 、 展 開 部120小 節 、 再 現 部108小 節 、

コ ー ダ77小 節)

第18番 変 ホ 長 調Op.31‑3(全4楽 章)

第1楽 章(全253小 節:提 示 部88小 節 、 展 開 部48小 節 、 再 現 部83小 節 、 コ ー ダ34小 節)

第2楽 章(全171小 節:提 示 部63小 節 、 展 開 部42小 節 、 再 現 部66小 節) 第4楽 章(全333小 節:提 示 部83小 節 、 展 開 部88小 節 、 再 現 部91小 節 、

コ ー ダ71小 節)

第19番 ト短 調OP.49‑1(全2楽 章)

第1楽 章(全110小 節:提 示 部33小 節 、 展 開 部30小 節 、 再 現 部47小 節) 第20番 ト長 調Op.49‑2(全2楽 章)

第1楽 章(全122小 節:提 示 部52小 節 、 展 開 部14小 節 、 再 現 部56小 節) 第21番 ハ 長 調Op.53「 ワ ル トシ ュ タ イ ン 」(全2楽 章)

第1楽 章(全302小 節:提 示 部89小 節 、 展 開 部66小 節 、 再 現 部93小 節 、 コ ー ダ54小 飾)

第22番 へ 長 調Op.54(全2楽 章) ソ ナ タ 形 式 の 楽 章 な し。

第23番 へ 短 調Op.57「 熱 情 」(全3楽 章)

第1楽 章(全262小 節:提 示 部65小 節 、 展 開 部70小 節 、 再 現 部93小 節 、 コ ー ダ58小 節)

第3楽 章(全361小 節:序 奏 部19小 節 、 提 示 部98小 節 、 展 開 部94小 節 、

‑91一

(4)

再 現 部96小 節 、 コ ー ダ54小 節) 第24番 嬰 へ 長 調Op.78(全2楽 章)

第1楽 章(全105小 節:序 奏 部4小 節 、 提 示 部34小 節 、 展 開 部18小 節 、 再 現 部49小 節)

第25番 ト長 調Op.79(全3楽 章)

第1楽 章(全201小 節:提 示 部51小 節 、 展 開 部71小 節 、 再 現 部53小 節 、 コ ー ダ26小 節)/・

第26番 変 ホ 長 調Op.81a「 告 別 」(全3楽 章)

第1楽 章(全255小 節:序 奏 部16小 節 、 提 示 部53小 節 、 展 開 部40小 節 、 再 現 部52小 節 、 コ ー ダ94小 節)

第3楽 章(全196小 節:序 奏 部10小 節 、 提 示 部71小 節 、 展 開 部28小 節 、 再 現 部67小 節 、 コ ー ダ20小 節)

第27番 ホ 短 調Op.90(全2楽 章)

第1楽 章(全245小 節:提 示 部81小 節 、 展 開 部62小 節 、 再 現 部86小 節 、 コ ー ダ16小 節)

第28番 イ 長 調Op.101(全3楽 章)

第1楽 章(全102小 節:提 示 部34小 節 、 展 開 部23小 節 、 再 現 部31小 節 、 コ ー ダ14小 節)

第3楽 章(全361小 節:序 奏 部28小 節 、 提 示 部85小 節 、 展 開 部118小 節 、 再 現 部71小 節 、 コ ー ダ59小 節)

第29番 変 ロ 長 調Op.106「 ハ ン マ ー ク ラ ヴ ィ ー ア 」(全4楽 章) 第1楽 章(全405小 節:提 示 部123小 節 、展 開 部103小 節 、再 現 部150小 節 、

コ ー ダ29小 節)

第3楽 章(全187小 節:提 示 部68小 節 、 展 開 部19小 節 、 再 現 部68小 節 、 コ ー ダ32小 節)

第30番 ホ 長 調Op.109(全3楽 章)

第1楽 章(全99小 節:提 示 部15小 節 、 展 開 部33小 節 、 再 現 部17小 節 、 コ ー ダ34小 節)

第2楽 章(全177小 節:提 示 部65小 節 、 展 開 部39小 節 、 再 現 部73小 節) 第31番 変 イ 長 調Op.110(全3楽 章)

第1楽 章(全116小 節:提 示 部39小 節 、 展 開 部16小 節 、 再 現 部49小 節 、 コ ー ダ12小 節)

第32番 ハ 短 調Op.111(全2楽 章)

第1楽 章(全158小 節:序 奏 部19小 節 、 提 示 部50小 節 、 展 開 部22小 節 、 再 現 部55小 節 、 コ ー ダ12小 節)

‑90一

(5)

1.

ま ず 、 ソナ タ形 式 楽 章 に お け る再現 部 は 、 どの よ うな 開 始 の され 方 をす る の で あ ろ うか 。 一 般 に ソナ タ形 式 で は 、再 現 部 に入 る と共 に 、第1主 題 が主調 で 復 帰 して く る。 い わ ゆ る"二 重 復 帰"(doublereturn)、 つ ま り第1主 題 と主 調 の 同 時 的 復 帰 で あ る。 しか し二 重 復 帰 しない 場 合 も まれ に存 在 す る。 ハイ ドン の ピア ノ ・ソナ タ の 場 合 、 第1楽 章 が ソナ タ形 式 で 書 かれ て い る42曲 中 、 二 重 復 帰 す る もの は38曲 、 二 重 復 帰 しない も の は4曲 で あ り、モー ツァル トで

   

は17曲 中 、 二 重 復 帰 は14曲 、 し な い も の は3曲 で あ る 。 二 重 復 帰 し な い も の

   

が 古 風 な も の に 多 い こ と は 、 ロ ー ゼ ン も 指 摘 して い る 通 りだ が 、 ベ ー トー ヴ ェ

   

ン に は さす が少 な く、 第1楽 章 が ソナ タ形 式 で あ る 、第12、13、22番 を 除 い た29曲 の うち、 二 重 復 帰 しな い もの は第6番 へ 長 調 が 唯 一 の 例 で あ る 。 因 み

に、 他 の 楽 章 の ソナ タ形 式 で は例 外 な く二 重 復 帰 して い る 。

   

第6番 の 第1楽 章 の再 現 部 で は 、 第1主 題 が 主 調 のへ 長 調 で再 現 して来 ず に 、 直 前(展 開 部 の 最 後)の 二 短 調(主 調 の平 行 調)の 半 終止 か ら休 止 を挟 ん で 、 そ の 同 主調 で あ る二 長 調(短3度 下 の調 で3度 近 親 調)で 再 現 され 、少 しの変 化 を被 りな が ら も、 第1主 題12小 節 が ほ ぼ完 全 な形 で再 現す る。 そ して確 保 を通 じて 主 調 に 帰 り、 改 め て 最 初 の4小 節 は 省 い て 、主題 の第3動 機 以下が主 調 のへ 長 調 で再 現 され る とい う特 殊 な 方 法 を採 って い る。 そ の 際 、再 現 部 の や り直 しの よ うな形 に な るわ けだ が 、 最 初 の 部 分 を省 く こ と に よ って く ど さを避 けた もの と思 われ る。

さて 、 再 現 部 で は通 例 、 主調 で 提示 され た 第1主 題 が 、 同 じ く主 調 で 復 帰 す るの だ か ら、 な ん らの 変 更 も必 要 な い よ うに 思 わ れ るが 、二重復帰す る28曲 の うち 、第1主 題 が完 全 に 忠 実 な 形 で復 帰 す る もの は、第7、8、10、11、20、27 番 だ けお 、1/5程 度 で あ り、 他 は様 々 な理 由 か ら何 らか の 変 化 を被 っ て 再 現 さ れ て い る。 以 下 、 比 較 的忠 実 な も の か ら採 り上 げ て み よ う。

第16番 は 、全 く忠 実 な再 現 と言 って も よ く、提 示 部 同様 に最 後 は属 調 に 転 じて 終 わ る が 、 冒頭 がpで は な しにffで 強 調 的 に再 現 され て い る。 これ は表 現 上 の こ と と思 われ る。

第2番 は 、 冒頭 部 がpで は な くfで 再 現 され る点 と、 最 後 の属 和 音 の強 調 が な い 点 だ けが 提 示 部 と異 な る。

第14番 は 、 提 示 部 の序 奏 的部 分4小 節 が省 略 され て、 直 接 第1主 題 が 主 調 の嬰 ハ 短 調 で 忠 実 に再 現 され る が 、 これ も単 な る 忠 実 な再 現 に入 れ て よい だ ろ

..

(6)

圈 う。

第3番 は 、 第1主 題 の 再 現 の 際 、 和 声 構 造 は変 わ らな い が 、低 声 部 の 音 の 動 き が途 中2小 節 にわ た っ て少 し異 な っ て お り、 ま た 最後 か ら次 の 確 保 まで の短 いつ な ぎの 部 分 が 省 略 され てい る。 これ は 、 後述 す る よ うに 、 確 保 が 再 現 部 で は 単 な る確 保 に代 え て 、第1主 題 最 後 の 第4動 機 の 展 開 に当 て られ る か らだ ろ

う。

第5番 で は 、第1主 題 の再 現 は 、最 初 の 和 音 の み 提 示 部 の 主 和 音 よ り1オ ク ター ヴ低 い が 、 これ は 再 現部 の 最 初 の 主 和 音 が 同 時 に展 開 部 の最 後 の 主和 音 を 兼 ね て い る か らだ ろ う。また 再 現 部 で は第1主 題 の最 後 の 主 和 音 は厚 み が 薄 く、

主音 の み か ら成 る が 、 これ は続 く確保 が 省 略 され 、 そ の最 初 の和 音 を兼 ね な い た め だ ろ う。 ほ か は 全 く同 様 に 再 現 す る。

第19番 は、 展 開部 の最 後 の復 帰 的推 移 部(retransition)と の つ なが りか ら、

最初 の2音 が 異 な るが 、 後 は忠 実 に再 現 され る。

第25番 は 、第1主 題 の最 初 の左 手 の1音 が 展 開 部 か ら の流 れ で異 な る の と、

途 中 一 カ 所 装 飾 音 が付 加 され て い る(繰 り返 しな どの 時 に よ く行 われ る装 飾 的 変 奏 か)が 、 そ れ 以 外 は忠 実 な再 現 で あ る。

第1番 は、 提 示 部 で の最 初 の上 拍 音 が省 略 され(こ の 上拍 音 は最 初 の ス ケ ッ チ に は な か っ た とい う)、ま たpで は な しにfで 再 現 され る。 さ らに途 中 の 和 音 も一 部2分 音 符 で よ り強化 され て お り、 ま た 最 後 は左 手 の 和 音 が半 拍 早 く下

ろ され 、掛 留 とな っ て解 決 され て い る点 が 異 な る。

第4番 は 、第1主 題 再現 の 冒 頭 がpか らffに 変 わ り、右 手 の 和 音 が厚 くな るほ か は 忠 実 に 再 現 され て 来 るが 、 最 後 は主 調 の変 ホ長 調 に留 ま らず に 、 二 音 にbが 付 い て 、下 属 調 の 変 イ長 調 に転 じ、推 移 に入 る。 ロー ゼ ン に よれ ば 、 「 下 属調 は ソナ タ様 式 にお いて 特 別 の役 割 を演 ず る。 それ 自体 、解 決 の た め の カ 、 っ ま り反 属 調 と して実 際上 活 動 し、そ して ソナ タ の 後 半 は 下属 調 や フ ラ ッ トの 関係 調 に 向 か っ て動 く傾 向 が あ る。」   り

第18番 は 、 最 初 の2小 節 が少 し変化 す る だ けで 、 後 は 、確 保 に至 る ま で の 推 移 的 な部 分 も含 め て 、 忠 実 に 再 現 され る。

第9番 は 、第1主 題 は 主調 の ホ長 調 で で は あ るが ダ イ ナ ミ ッ クな 効 果 を持 つ 変 奏 に よ っ て再 現 され 、途 中 か ら忠 実 な 再 現 にな る。 しか し最 後 は偽 終 止(ホ 短 調 で の)に よっ て 、 突 然 ハ 長 調 の確 保 的 推 移 に移 行 す る(後 述 参 照)。

第26番 で は 、 第1主 題 は 主 調 の 変 ホ 長 調 で 、左 手 の伴 奏 部 に若 干 の相 違 が 見 られ る もの の 、 ほ ぼ忠 実 に 再 現 され る。 た だ し、 次 の敷 衍 部 分 で 、 主調 の 同 主調(変 ホ 短 調)で 始 ま る推 移 部 につ な げ る た め の書 き換 え が あ る。

第29番 で は 、 第1主 題 は 主 調 の変 ロ長 調 で 、左 手 を 対位 的 に 変化 させ 、 後

..

(7)

7

半 に は和 声 的 な厚 み も加 え て 、再 現 され る。

第17番 は 、第1主 題 が提 示 部 同様 ラル ゴ で 、主 調 の 二 短調 で復 帰 す るが 、 この 開始 の モ テ ィー フ に続 い て す ぐ変 化 して しま い 、型 破 りで意 味 あ りげ な レ チ タ テ ィ ー ヴォへ と広 が っ て しま う。 しか しこの 後 は ア レ グ ロ 、 ア ダ ー ジ ョと 忠実 に再 現 され る。

第21番 で は、 第1主 題 は最 初 の音 が 展 開 部 か ら の 関係 で 、 オ ク タ ー ヴの 違 い を持 つ もの の 、 主調 のハ 長 調 で 忠 実 に 再 現 され るが 、 最 後 の音 で 、突 然 同 主 調 ハ 短 調 の第6度 音 に入 り、 これ を 支 え に 、 主題 の 最 後 の 第4部 分 が若 干 拡 大 され 、 変 二長 調 か ら変 ホ長 調 、 ハ 短調 、 ト短 調 を 経 て 、 最 終 的 に主 調 のハ 長 調

注11

に戻 って 、 確 保 に続 け られ る。

第23番 で は 、 第1主 題 の 再 現 は 、展 開部 か ら引 き続 い た形 で 、 展 開部 の 終 わ りの 持 続 低 音(主 調 へ 短 調 の 属音)の 動 き の上 に 、右 手 はオ ク ター ヴ で 、 主 調 の へ 短 調 で 現 れ る が 、旋 律 線 に変 わ りは な い。

第32番 は 、 序 奏 部 に 続 く、導 入 的 な1小 節 を省 略 し、 展 開 部 か らの 動 機 の 予 示 に続 い て 、 主 調 の ハ 短 調 で 、 両手 ともオ ク タ ー ヴの厚 み を加 え、 力 強 く再 現 され る。

  に  

第24番 で は 、 第1主 題 は最 初 の部 分 に和 音 の厚 み が加 え られ て 主調 の 嬰 へ 長調 で再 現 され る が 、 途 中や や 拡 大 され 、 最 後 の 部 分 は主 調 を離 れ て ホ長 調 で 再 現 され 、確 保 に続 く。

第28番 で は 、第1主 題 は 主調 の イ長 調 で初 め よ り1オ クタ ー ヴ高 く再 現 さ れ る が 、 自由 に くず れ て 、 よ り短 く簡 略 化 され 、 しか も次 の確 保 と融 合 して し ま う。 す で に第1主 題 が展 開 部 な どで 十 分活 用 され て い るた め か。

第30番 は 、 同 音 型 の継 続 の 中 に、 そ の ま ま それ と気 づ く間 も な く展 開部 か

    ヨ

ら再 現 部 に入 って しま うが 、 再 現 部 で は ま ず 第1主 題 が 主 調 の ホ長 調 で 、2オ ク ター ヴ高 く、 修 飾 的 に再 現 され 、 一 瞬属 調 の ロ長 調 に転 調 す る素 振 りを見 せ るが 、 す ぐ戻 って 、 提 示 部 と同様 、確 保 や 推 移 な しに そ の ま ま 第2主 題 に接 続 す る。

第31番 で は 、 第1主 題 の序 的部 分 が 主調 の 変 イ長 調 で 再 現 され るが 、 伴 奏 部 分 に は提 示 部 の 第1主 題 提 示 後 の推 移 部分 に お け る32分 音 符 の 細 か い 音 型 が用 い られ て お り、 展 開部 か らそ の ま ま 引 き続 い て発 展 して 行 く よ うな 印 象 を 与 え る。 しか も この 部 分 は3小 節 拡 大 され る。 そ して それ に続 く後 半 部 分 は ま ず 下属 調 の変 二長 調 を もっ て始 め られ 、 途 中 でエ ンハ ーモ ニ ック転 調 に よっ て ホ長 調 に急 転 し、絶 妙 な音 色 的 変 化 を見 せ る が、 これ は変 へ 長 調 の意 で 、前の 変 イ を新 調 第3音 と考 え るべ 一 トー ヴェ ン の好 ん だ 下 方 長3度 へ の転 調 で あ

る。 以 上 の よ うに大 幅 な書 き換 えが な され て い る。

‑87一

(8)

以 上 、 第1楽 章 ソナ タ 形 式 に お け る 二 重 復 帰 の 様 態 を 見 て 来 た が 、 そ の 主 な も の を 挙 げ て み れ ば 、冒 頭 部 の ダ イ ナ ミ ッ ク ス を 上 げ て 再 現 を 強 調 し た り(第2 番 、 第16番 等)、 序 奏 的 部 分 の み を 省 略 し た り(第14番 、 第32番 等)、 修 飾 や 変 奏 を させ た り(第25番 、 第30番 等)、 和 音 を 強 化 さ せ た り(第1番 、第29 番 等)、 伴 奏 部 分 を 変 え た り(第26番 、 第31番)、 展 開 部 、 特 に 復 帰 的 推 移 か

ら の つ な が り で 、 最 低 限 度 書 き 換 え た り(第5番 、 第19番)、 続 く 確 保 や 推 移 と の 関 係 で 変 化 さ せ た り(第4番 、 第24番 等)、 拡 大 さ れ た り(第24番 、第31 番 等)、 簡 略 化 され た り(第3番 、 第28番)、 主 題 の 一 部 を 展 開 さ せ た り(第21 番 等)、 な ど だ ろ う。

第1楽 章 以 外 の ソ ナ タ 形 式 楽 章 は 普 通 、 緩 徐 楽 章 や 終 楽 章 に 見 られ る が(前 掲 参 照)、 例 外 的 な も の と して 、 第18番 の 第2楽 章 と第30番 の 第2楽 章 が 挙 げ られ る 。 両 者 共 ソ ナ タ形 式 で 構 成 さ れ て い る が 、 前 者 は べ 一 トー ヴ ェ ン に よ っ て 、Scherzo:Allegrettovivaceと 指 定 され 、2/4拍 子 だ が ス ケ ル ツ ォ 風 の ム ー ドを 持 っ た 楽 章 で あ る 。 ま た 後 者 は 、 指 定 は な い が 、Prestissimo、618拍 子 の ス ケ ル ツ ォ 風 の 楽 章 で あ る 。

第2楽 章 が ソ ナ タ 形 式 の 緩 徐 楽 章 で あ る の は 、 第1、5、7、11、17番 で 、 こ の 楽 章 に し ば し ば 見 られ る 展 開 部 を 欠 く ソ ナ タ 形 式 で 書 か れ て い る も の は 、 こ の うち 第1、5、17番 で あ る。

  エ る

第3楽 章 が ソナ タ形 式 の緩 徐 楽 章 で あ るの は第29番 、 同 じ く終 楽章 で あ る の は 、 第5、6、14、17、23、26、28番 で あ る。 ま た 第4楽 章 が 終 楽 章 で あ る の は 、 第1番 と第18番 で あ る。

以 下 これ ら17の 楽 章 につ い て 第1主 題 再 現 の様 態 を 見 て み よ う。

第11番 第2楽 章 は、 第1主 題 の 再 現 は主 調 の変 ホ長 調 だ が 、 変 奏 に よ って 一 層 繊 細 優 美 に され 、 かつ1小 節 分短縮 されて再現 され る。

第7番 第2楽 章 は 、 比較 的 自曲 な ソナ タ形 式 と言 え る が 、前 楽 節5小 節 、 後 楽節4小 節 か ら成 る第1主 題 は 、 ま ず 前 楽 節 が和 音 部 分 を変 え て 、 主 調 の 二 短 調 で 変奏 風 に再 現 、 後 楽節 は変 ホ長 調 に転 じて再 現 、転 調 的 に 変 化 し、 下 属 調

の ト短調 に 落 ち着 く。

第1番 第2楽 章 は展 開部 を欠 く ソナ タ形 式 で 、 第1主 題 は 歌謡 風 の 整 然 と し た16小 節 の2部 形 式 で作 られ て お り、完 全 終 止 す る。 そ の 再 現 は 冒頭 の ア ウ

    う

フ タ ク トを欠 くも の の 、主 調 のへ 長 調 で ほ ぼ 忠 実 に再 現 され る。 ただ し多 くの 緩 徐 楽 章 の通 例 で 変 奏 され て い る。

第17番 第2楽 章 も展 開 部 を欠 く ソナ タ形 式 で あ り、 第1主 題 は 主調 の 変 ロ 長 調 で 、 た だ し変 奏 に工夫 を凝 ら して 再 現 され る。

:・

(9)

9

第5番 第2楽 章 も展 開 部 を欠 くソナ タ 形 式 で 、 展 開 部 に 当た る所 はffの ア ル ペ ッジ ョに よ る主調 変 イ 長 調 の 属7の 和 音1つ で つ な ぎ的 に代 用 され て い る。 第1主 題 は主 調 で再 現 され 、確 保 され る(両 者 併せ て 第1主 題 と見 る こ と もで き る)が 、 提 示 部 と同様 で 、 た だ旋 律 も和 声 も装 飾 変 奏 され てい る。

なお 、 第18番 は4楽 章 構 成 で あ る が 、緩 徐 楽 章 は1つ もな く、 第2楽 章 に スケ ル ツ ォ を置 き、 第3楽 章 に メ ヌエ ッ トを置 く とい う、他の ソナ タに類 を見 ない 併 用 を行 って い る。 しか もス ケル ツ ォ は2/4拍 子 で 、3部 構 成 の ソナ タ形 式 を持 っ 。 しか し第1主 題 は 主調 の変 イ 長 調 で 再 現 され 、 しか も全 く忠 実 な再 現 で あ る。

ま た 、 第30番 第2楽 章 は 、前 述 の よ うに ス ケル ツ ォ風 で あ るが 、構 造 は 自 由 な ソナ タ形 式 で 書 か れ て い る。(な お 、 第1楽 章 の最 後 のペ ダル が 、 この 楽 章 に入 っ て 上 げ る よ うに指 示 され てお り、 また 第1楽 章 の最 後 が完 全 な 終 止線 に な っ て い な い の で 、 こ の 両楽 章 の 関係 は一 体 の も の と考 え られ る。)第1主 題 はや や唐 突 な が ら、 主 調 の ホ 短 調 で 忠 実 に再 現 され 、 確 保 に続 く。

第29番 は4楽 章制 で 、 第2楽 章 はス ケ ル ツ ォ 、 そ して第3楽 章 が ソナ タ 形 式 の緩 徐 楽 章 とな っ て い る。 そ の 再 現 部 で の 第1主 題 は 、 出 だ しが 展 開部 か ら の 関係 で少 し異 な る が 、 そ の 後 は 主 調 の 嬰 へ 短調 で 再 現 され る。 た だ し音 型 変 奏 で 、 主題 の旋 律 音 は1つ の 音型 の 最 後 の音 に 現 れ て い る。

次 に終 楽 章 の第3楽 章 が ソナ タ 形 式 で あ る も の に つ い て 見 て み よ う。

第5番 の終 楽 章 は 、 ス ケル ツ ォ 的 な雰 囲気 とロ ン ド的 軽 快 さを併 せ 持 っ が、

構 造 は ソナ タ形 式 で 、第1主 題 は 主調 のハ 短 調 で全 く忠 実 に再 現 され る。

第14番 の 終 楽 章 の 第1主 題 は 、 出だ しがpか ら や に 変 わ って い る もの の 、 後 半 の 終 止 的 部 分 も含 め て 、 主調 の嬰 ハ 短 調 で全 く忠 実 に 再 現 され る。

第17番 の 終 楽 章 は 、 第1主 題 は 主調 の 二短 調 で再 現 され るが 、 後 半若 千 変 化 しか つ 短 縮 され て 、 下 属 平 行 調 の.変 ロ長 調 で完 全 終止 す る。

第26番 の 終 楽 章 で は 、 第1主 題 は主 調 の変 ホ長 調 で 再 現 され る が 、 主 旋 律 は オ ク ター ヴで 変 奏 され 、 伴 奏 部 は 波 の よ うに 細や か で 速 い 音 型 に変 え られ て、

華 麗 に 表 現 され る。

第23番 の 終 楽 章 は 前 楽 章 よ りア タ ッカで 入 る。 そ の再 現 部 は 、 導入 部 分19 小節 を省 略 し、 第1主 題 が 主 調 の へ 短 調 で 再 現 され るが 、 左 手 に若 干 の変 化 が 見 られ る もの の 、 ほ ぼ 忠 実 に 再 現 され る。

第28番 はや や 特 殊 な もの だ が 、終 楽 章 の 再 現 部 は 、 最 初 の序 奏 部 と、 第1 楽 章第1主 題 の 回想 部 分 は 勿 論 、 主 部 に 入 っ て の 導 入 部 分 も省 略 され 、 展 開部 の終 わ りか ら直 接 、第1主 題 が 主 調 の イ 長調 で ほ ぼ 忠 実 に 再 現 され る。

第6番 の終 楽 章 は 、珍 し くハ イ ドン風 の 単一 主題 的 ソナ タ形 式 で 書 か れ て お

一85一

(10)

り、同時 に対 位 法 的 で もあ るが 、再現 部 は 提 示 部 の ち ょ う ど2倍 の長 さ を持 っ 。 変 則 的 で ア ンバ ラ ンス な感 じだ が 、 これ は 展 開 の 技 法 を大 幅 に再 現 部 に持 ち込 ん だた め で あ る(後 述)。 第1主 題 は 主 調 のへ 長 調 で 、 た だ し(左 手 の)低 声 部 にffで 再 現 さ れ 、 しか も右 手 の 高 声部 に は賑 や か な 音 階 進 行 の パ ッセ ー ジ

が流 れ 続 け て対 声 部 を形 成 して い る。

第4楽 章 が 終 楽 章 で あ る第1番 は 、 そ の 終 楽 章 は ソナ タ形 式 で は あ る が、 ロ ン ド的 な性 格 が 強 い 。 第1主 題 は 主 調 のへ 短 調 で 再 現 され 、 展 開 部 か らのつ な が りで 、 最 初 に主 音1つ 加 わ るが 、 ほ ぼ 忠実 な 再 現 で あ る。 た だ 最 後 がや や 変 化 拡 大 され 、提 示 部 の よ うに属 調 のハ 短 調 に は転 出 しな い で 、 主 調 のへ 短 調 に

留 ま る。

第18番 の 終 楽 章 で あ る第4楽 章 で は、第1主 題 は、そ の序 的 部 分 も含 めて 、 主 調 の変 ホ長 調 で 、 一 部や や 変 奏 され るが 、 ほぼ 忠 実 に再 現 され る。

以 上 、第2楽 章 以 下 の ソナ タ形 式 楽 章 に つ い て も、 冒頭 部 で いず れ も二 重復 帰 し、 しか も忠 実 に 再 現 され る もの が 多 い 。 多 少 の変 化 も第1楽 章 に お い て 見 られ た も の と大 差 は な い と言 え よ う。 な お 、 モ ー ツ ァル トの有 名 な例 の よ うに

  ユ  

第1主 題 と第2主 題 とが 逆 の順 序 で 再 現(逆 再 現)す る も の は 、 い ず れ の 楽 章 に も 見 られ な い 。

2.

ソナ タ形 式 にお い て 、主題 の提 示 にす ぐ続 け て そ れ を 反 復 す る部 分 を 「 確 保 」 とい うが 、 反 復 の場 合 に変 化 が加 え られ る こ と も あ り、 ま た 推 移 的 な部 分 を 兼 ね る こ と も あ っ て(い わ ゆ る確 保 的 推 移)、 一 定 の 型 は な い 。 しか し主 題 の 輪 郭 を比 較 的 忠 実 に保 つ の が原 則 で あ り、 そ れ に よ って 主 題 の印 象 を 強 め 、聴 者

に定 着 させ る効 果 を持 つ。

  し フ

ま た 「 推 移 」 は 、 移 行 部 、 経過 部 、 あ るい はブ リ ッジ ・パ ッセ ー ジ と も言 わ れ 、一 般 に1つ の 主 要 な 部 分 か ら次 の 部 分 へ 橋 渡 し して 行 く、経 過 的 な 部 分 を 言 うが 、 特 に ソナ タ形 式 で は 、 主 題 の 提 示 及 び そ の確 保 の後 に 置 か れ 、 転 調 を 伴 うの が 普 通 で あ る。 こ の部 分 に は、 す で に提 示 され た素 材 や 、 次 に 現 れ るべ き主題 が 素 材 と して使 われ るが 、 ま た 新 しい 独 自の 素 材 を導 人 す る こ とも 多 く、

そ れ が 不 完 全 な が ら主題 の形 を なす こ とも あ る。

  ユ  

さて 第1主 題 の 主調 領 域 か ら第2主 題 の属 調 領 域 へ の橋 渡 しを す る推 移 部 分 は、 提 示 部 に お い て 一般 に 、安 定 した 主調 領 域 か ら属 調 な どの 対 立 調 へ と転 調 す る こ とに よっ て 緊 張 を喚 び起 こす 。 所 で 再 現 部 は 本 来 、 提 示 部 にお け る諸 素

一84一

(11)

材 を 、 再 現 と同 時 に 主 調 に 戻 して安 定 へ と導 く部 分 で あ り、推 移 部 分 も例 外 で は な い。 この部 分 は 提 示 部 に お い て は通 常 、 主 調 か ら属 調(主 調 が短 調 な ら ば 平 行 長 調)へ 移 行 す る 部 分 と して 主 調 か ら入 り、 属 調(ま た は平 行 長 調)に 終 わ る が 、再 現部 で は そ れ を 主 調 に留 ま る動 き に変 更 す るた め に 、 それ な りの 工 夫 が必 要 とな る。

こ こ で は まず 第1楽 章 の 第1主 題 再 現 の 後 の確 保 部 分 と推 移 部 分 の再 現 に つ い て 、 番 号 順 に そ の様 態 を観 察 す る こ とに す る。

第1番 。 提 示 部 で の第1主 題 の 提示 の 後 に は 、 特別 の確 保 は置 か れ ず 、続 く 推 移 の 部 分 は、 そ の前 半 が第1主 題 の確 保 と展 開 、 後 半 は 第2主 題 の予 示 とい った 意 味 合 い を持 ち 、属 調 のハ 短 調 に 始 ま り、す ぐ平行 調 の 変 イ 長 調 に転 じて 、 そ の 属 和 音 か ら第2主 題 に続 い て い る が 、再 現 部 で は 、 平 行 移 動 的 に主 調 のへ 短 調 に 始 ま り、 途 中 で 下属 調 の 変 ロ短 調 に触 れ る が 、す ぐま た へ 短 調 に戻 り、

後 半 は 書 き直 され て 、 そ の属 和 音 か ら第2主 題 の 主調 再 現 へ と続 い て い る。

第2番 。確 保 は 提 示 部 とは異 な っ て 、第1主 題 末 尾 の動 機 の短 い 展 開 に代 え て い る 。 推 移 の 部 分 は、 提 示 部 の それ とほ ぼ 同 じ(長 さ も共 に26小 節)で あ る。 即 ち、 提 示 部 で は 主 調 のイ 長 調 か ら始 ま って ホ長 調 、 ロ長調 を 経 て ホ 短 調 (属調 の 同 主調)に な り、 そ の ま ま第2主 題 の 提 示 に至 る が 、 再現 部 で は 、 提 示 部 と同 じイ長 調 か ら始 ま って ホ長 調 を経 てイ 短 調(同 主 調)に な り、 そ の ま ま第2主 題 の 再 現 に 連 な る。

第3番 。 確 保 は 、 提 示 部 と は異 な って 、 第1主 題 の 第4動 機 の展 開 に よ っ て 作 られ(既 述)、 下属 調 のへ 長 調 に も触 れ な が ら、約2倍 の長 さに拡 大 され て い る。 ロ ーゼ ン に よ れ ば 、 「〔 再 現 部 にお い て 〕 主 調 へ の 復 帰 のす ぐ後 に 、2次 的 展 開(secondarydevelopment)部 が続 く こ と もあ るが 、 時 と して大 規 模 で あ

り、 お お む ね 下属 調 へ の 言 及 を 含 む 。 即 ち、2次 的 展 開 部 は提 示 部 の緊 張 を持 続 す るた めで は な く 、 主調 で の 解 決 を補 強 す る た め に 和 声 的 及 び 動 機 的 な展 開 の技 法 を用 い るの で あ る。」 提 示 部 の推 移 は35小 節 で3群 か ら成 るが 、第2群   ユ に は推 移 主題 が 用 い られ て い る(こ れ を 第2主 題 の前 半 とす る考 え 方 もあ る)。

再 現 部 の 推移 は確 保 とは逆 に短 縮 され て い る が 、 それ は 、 オ ク ター ヴの 分 散 和 音 型 で あ る、 第1群 の最 初 の8小 節 が省 略 され て い る た め で 、 第1群 の残 りは 提 示 部 そ の ま ま に 再 現 され 、 主 調 のハ 長 調 か ら属 調 の ト長 調 に 終 わ る。 さ ら に 属 調 の 同 主調 で あ る ト短 調 に は じま る推 移 主 題 を含 む 第2群 は 、再 現 部 で は 同 主 短 調 のハ 短 調 に始 ま り、 以 下 第3群 の 最 後 ま で 平 行 移 動 的 に進 ん で 、 主 調 で の 第2主 題 に続 く。

第4番 。 特 別 な確 保 は な い(第1主 題 の 後 方 や 推移 の 初 め を確 保 とす る見 方 もあ る)。 提 示 部 の推 移 は3つ の 群 に 分 け られ る が 、再 現 部 で は 、第1群 は 第1

‑83一

(12)

主題 が 再 現 に際 して 下 属調 に転 じた の に 引 き 続 い て 下 属 調 の 変 イ 長 調 で 、 変 形 され て 現 れ る。 第2群 は 最 初 の10小 節 が 省 略 され 、 移 調 され 、 多 少 変 更 され て 現 れ る。 第3群 は 転調 しな が ら も、 提 示 部 で は属 調 の変 ロ長 調 が 中心 だ った の に対 し、 再 現 部 で は 主 調 の 変 ホ 長 調 を 中心 に推 移 す る。

第5番 。 提 示 部 で は確 保 の 後1小 節 の休 止 が あ っ て か ら、 下属 調 の平 行 調 で あ る 変 イ 長 調 で 推 移 に入 り、 へ 短 調 、 変 二長 調 か ら平行 調 の 変 ホ 長 調 へ と展 開 的 に 転 調 し、第2主 題 の提 示 に入 る が 、再 現 部 で は 第1主 題 の確 保 は省 略 され (確保 は 第1主 題 そ の もの とほ とん ど同形)、提 示 部 と同 様1小 節 の休 止 の後24 小節 の推 移 に入 り、提 示部 で の 変 イ長 調 よ り長2度 下 の 変 ト長 調 で 始 ま り、 提 示 部 とや や 異 な っ た 転 調 の仕 方 な が ら、 下 属 調 の 同主 調 で あ るへ 長調 に 転 じて 第2主 題 の 再 現 へ と至 って しま う(後 述 参 照)。

第6番 。 再 現 部 にお い て 第1主 題 は主 調 のへ 長 調 で は な しに 、 平 行 調 の同 主 調 で あ る 二 長 調 で 再 現 され た が(既 述)、 続 く確 保 を通 じて 主 調 に 帰 り、 主 題 の第3動 機 以 下 が 、 改 め て主 調 で 再 現 され 、推 移 に 続 け られ る。 提 示 部 の推 移 は 属 調 のハ 長 調 に始 ま り、 さ らに そ の 属調 で あ る ト長 調 に 転 じて か ら、属 調 で の 第2主 題 の提 示 に 至 る が 、 再現 部 で の 推移 は 若 干 拡 大 され 、 同主 短 調 や そ の 平 行 調 に触 れ て 、 最 後 に属調 の ハ 長 調 に 転 じ、そ の属 和 音 か ら主調 で の 第2主 題 の 再 現 に つ な が る。

第7番 。 第1主 題 に続 い て確 保 も忠 実 に再 現 され る が 、途 中 か ら少 し変 化 し て 、 下 属 平 行 調 の ホ短 調 に転 調 す る。 推 移 は 、提 示 部 で は 主調 二 長 調 の平 行 調 で あ る ロ短 調 の推 移 主題(第2主 題 の前 半 と見 られ る こ と も あ る)に 始 ま り、

嬰 へ 短 調 か ら さ らに 属調 のイ 長 調 へ と転 じて 第2主 題 の 提 示 に至 る が 、 再現 部 で は提 示 部 とほ ぼ 同 じ道 程 を辿 る もの の 、 や や 短 く な って い る。 まず 推 移 主 題 が ホ短 調 で 再 現 され るが 、 これ は 提 示 部 の そ れ の ロ短 調(平 行 調)と4度 関係 を保 っ て移 調 され て い る わ けで 、 最 後 は主 調 の 二長 調 に転 じて 第2主 題 の 再 現 につ な が る。

第8番 。 第1主 題 の忠 実 な再 現 の後 、確 保 部 は途 中 ま で 同 じで あ るが 、 す ぐ に主 題 後 半 部 の展 開 に移 り、 それ が推 移 を 兼 ね て 、 本 来 の推 移 は再 現 され な い (後述 参 照)。 これ は推 移 部 の 素 材 が展 開 部 の展 開 素材 と して活 用 され た た め だ ろ う。

第9番 。 確 保 的 推 移 の 形 を とる。 提 示 部 で は ま ず 主 調 の ホ 長 調 で の確 保 か ら 始 ま り、 属 調 の 同 主 調 ロ短 調 に 転 じて 半 終 止 し、 そ れ に属 調 ロ長 調 の 第2主 題 が続 くが 、 再 現 部 で は第1主 題 最 後 の ホ 短 調 の偽 終 止 を受 け て 、 ハ 長 調 で 始 ま

るが 、 や が てホ 短 調 に戻 って 半 終 止 し、 主調 ホ長 調 の 第2主 題 に続 く。

第10番 、 も とも と確 保 は な い。 推 移 は 再 現 の途 中 、 下 属調 のハ 長 調 へ の 転

一82一

(13)

13

調 の た め の3小 節 が加 わ る が 、す ぐに 主調 の ト長 調 に戻 っ て 提 示 部 で の 二長 調 の そ れ とパ ラ レル に進 行 す る。

第11番 。 確 保 的 推 移 は 、提 示 部 で は主 調 の 変 ロ長 調 か ら始 ま っ て、 下 属 調 の 変 ホ 長 調 に触 れ 、 す ぐ属 調 のへ 長 調 に転 じる が 、再現部 では提 示部 よ りも4 小節 拡 大 され 、 そ れ に よ って 第1主 題 の 冒頭 部 を強 調 して い る。 主調 に 始 ま っ て 下属 調 の 変 ホ 長 調 に も触 れ る が 、す ぐ主 調 の変 ロ長 調 に戻 り、提 示 部 とパ ラ レル な動 き をす る。

第14番 。 提 示 部 の確 保 的 推移 は6小 節 と短 い が 、 主 調 嬰 ハ 短 調 の平 行 短 調 で あ る ホ短 調 か らハ 長 調 、 ロ短 調 を経 て 、 ホ 短 調 に 戻 り、第2主 題 の提示 に至 る。 再 現 部 の確 保 的推 移 は 提 示 部 よ り1小 節 分 短 い が 、提示部 と同様、不安定 に転 調 し、 平 行 調 の ホ長 調 か ら主 調 の嬰 ハ短 調 に転 じて い る。

第15番 。 確 保 は変 奏 され 、拡 大 され て い る が 、 ほ ぼ 忠 実 な 再 現 。 次 に、 提 示 部 の 推 移 は50小 節 を超 え る 大 き な もの で 、3群 か ら成 り、主調の二長調か ら入 り、 不 安 定 な 転 調 を繰 り返 す が、 結 局 は、 属 平 行 調 の嬰 へ 短 調 か ら属 調 の イ長 調 に 転 じた の とパ ラ レル に 、再 現 部 で はや や 拡 大 され る もの の 、ほぼ同様 の経 緯 で 平行 短 調 の ロ短 調 か ら主 調 の 二 長 調 に転 じて い る。

第16番 。 提 示 部 に お い て 、 第1主 題 が 主 調 の ト長 調 か ら属 調 の 二長 調 に転 じて終 わ っ た後 、突 然1音 下 が っ て へ 長 調 で確 保 が 始 ま り、 下 属 調 のハ 長 調 に 終 止 す る。 そ して さ らに ト長 調 に 転 じて 終 わ る。 続 い て 走 句 風 の推 移 に移 り、

主 調 の ト長 調 で 半 終 止 す る。 そ して 第1主 題 が も う一度 主 調 の ト長 調 で 反 復 確 保 され るが 、 途 中か ら展 開風 に 変化 して 、最 後 に ロ短 調(二 長 調 の 平 行 調)の 属 音 に 達 し、 ロ長 調 の第2主 題 の提 示 につ なが る。 こ の よ うに 変 わ っ た 方 法 が 提 示 部 で は採 られ て い たが 、再 現 部 で は以 上 の経 過 が大 幅 に省 略 短縮 され て い る。 即 ち 、最 初 のへ 長 調 に 始 ま りハ 長 調 に終 わ る部 分 は省 略 され て途 中 か ら再 現 され 、走 句 風 の部 分 も省 略 され 、ま た 第1主 題 の 再 提 示 の部 分 も省 略 され る が 、 これ は展 開部 で の 十分 な使 用 を考 えれ ば 、 当然 と言 え よ う。 しか しま た推 移 部 分 は コー ダ に お い て ほ と ん どそ っ く りそ の ま ま 再 現 され て もい る の で あ

る。

第17番 。確 保 は 、最 初 の ラル ゴ部 は 忠 実 な 再 現 で あ るが 、 そ の後 に は 、第1 主題 の 再 現 と同 様 、レチ タ テ ィ ー ヴォ が続 き 、幻 想 的 な気 分 が濃 くな っ て い る。

こ の後 、展 開 部 で 十 分 使 わ れ た推 移 主 題(こ こ か らを第1主 題 とす る見方 もあ る が)の 再 現 は省 略 され 、 そ の代 わ りにそ れ とは全 く関係 の な い 、神秘 的なカ デ ン ツ ァ風 の激 しい 部 分 に 置 き換 え られ て い る。

第18番 。 第1主 題 の 後 の 推 移 的 な 動 きか ら確 保 に 入 っ て も全 く忠実 に再 現 され る。 提 示 部 の推 移 が展 開 的 に 主 調 の 変 ホ長 調 か ら属 調 の 属 調 で あ るへ 長 調

一81一

(14)

に転 じ、 属 調 の属 音 に 達 した の に 対 して 、 再 現 部 で は若 干 変 更 され 、 半 分 近 く に縮 小 され な が ら も、 主 調 か ら始 ま っ て 前 とほ ぼ 同 じ道 程 を辿 り なが ら属 調 の 変 ロ長 調 に 転 じて 、 主 調 の 属 音 に達 す る。

第19番 。 確 保 的推 移 の形 を採 り、 提 示 部 で は第1主 題 の 主調 ト短 調 で の反 復 か ら始 ま り、 推 移 的 に な る辺 りか ら平 行 調 の変 ロ長 調 とな り第2主 題 に続 く が、 再 現 部 で は 同 じ く第1主 題 の 反 復 か ら入 り、途 中 、 平行 調 に も触 れ る が、

結 局 主調 に 戻 っ て 第2主 題 の 再 現 に備 え る。 そ の 際 、 主旋 律 を左 手 に移 した り して 、 単 調 さを破 る た め に大 幅 に書 き換 え が な され て い る。

第20番 。 確 保 は提 示 部 の場 合 よ りは るか に短縮 され 、 しか も最 後 は 下属 調 のハ 長 調 に転 調 され て 、 次 の推 移 に続 く。 推 移 は 逆 に提 示 部 よ り拡 大 され て い るが 、 そ れ は 、 主調 の ト長 調 で全 く忠 実 に 再 現 され 半 終 止 す る本 来 の推 移 の 前 に、 第2主 題 の確 保 の後 に置 かれ た推 移 部 分 の 前 半 が 下 属 調 のハ 長 調 で挿 入 さ れ て い る か らで あ る。

第21番 。 確 保 は最 初 の音 がfに な るだ け で変 わ りは な い が 、 最 後 に 変 化 し て1小 節 分 拡 大 し、 平 行 調 の イ短 調 で 推 移 に接 続 す る。 提 示 部 で の推 移 が ホ短 調 か らホ長 調(主 調 の 長3度 上 の調)に 転 調 して 第2主 題 に入 る の に 対 して 、 再 現 部 で は 、 イ 短 調 か らイ長 調(主 調 の短3度 下 の調)に 転 調 す るが 、 構 造 上

は ほ とん ど変 わ ら ない 。

第23番 。 確 保 は忠 実 に再 現 され る が 、後 半や や 拡 大 され る。 推 移 は、 ほ ぼ 忠実 な 再 現 で、 提 示 部 で は変 イ 短 調 か ら主調 の平 行 調 の変 イ長 調 に転 調 され た の に 対 して 、再 現 部 で は 主調 のへ 短 調 か ら同 主調 のへ 長調 に 転 調 され 、第2主 題 に 至 る。

第24番 。 確 保 は2倍 以上 に拡 大 され 、確 保 と言 うよ りも動機 の展 開 に 当 て られ て 、 下 属調 の ロ長 調 に転 じる。 推 移 は 、 提 示 部 に お い て 主 調 の嬰 へ 長 調 か ら平 行 調 の嬰 二短 調 を 経 て 、 属調 の嬰 ハ 長 調 に至 っ た の に 対 して 、再 現 部 で は そ れ とパ ラ レル に 、 下 属 調 の ロ長 調 か ら平 行 調 の 嬰 ト短 調 を 経 て 、主 調 の嬰 へ 長 調 に 至 っ て い る。

第25番 。 確 保 は な い 。 再 現 部 で の推 移 は、 提 示 部 で の推 移 が 主調 の ト長 調 か ら属調 の 属調 で あ るイ 長調 に 転 じた の に対 して 、 若 干 書 き換 え られ な が ら主 調 の ト長 調 か ら属 調 の 二 長調 に 転 じて 第2主 題 に続 く(後 述)。

第26番 。 確 保 は ない 。 推 移 は 、 提 示 部 で は属 短 調 の変 ロ短 調 か ら入 っ て 属 調 の 変 ロ長 調 に落 ち着 くのに 対 して 、 再 現 部 で は主 短 調 の変 ホ短 調 か ら入 って 主調 の 変 ホ 長 調 に落 ち着 く。 即 ち、 移 調 だ け で、 ほ とん どそ の ま ま の 形 で 再 現

され る。

第27番 。 確 保 は な い。 推 移 は2群30小 節 か ら成 るが 、提 示 部 で は 主調 の ホ

:1

(15)

短 調 か ら入 っ てハ 長 調 、イ 短 調 、変 ロ長 調 な どを経 て 属 調 の ロ短調 とな り、第2 主 題 の 提 示 とな るが 、再 現 部 で は ハ長 調 か ら人 っ て 、 イ 短 調 、 へ 長 調 な どを経 て 、 主 調 の ホ短 調 と な り、 第2主 題 の 再 現 に続 く。 そ の 間 や や ず ら した り、全

く同 じで あ った りし な が らも 、 ほ ぼ 同 じ書 法 で動 く。

第28番 。 提 示 部 の 確 保 的 推 移 は 、再 現 部 で は第1主 題 か ら流 れ る よ うに融 合 して しま うが 、 そ の もの 自体 は提 示 の場 合 とほ ぼ 同 じ骨 格 で 主 調 イ 長 調 の第 6度 上3和 音 に 終止(偽 終 止)し て第2主 題 の 再 現 に続 く。

第29番 。 確 保 は 拡 大 され 、展 開気 味 に進 行 す る。 提 示 部 の 推移 は3群 か ら 成 る46小 節 の 大 き な も ので 、展 開気 味 な が ら主調 の 変 ロ長 調 か ら ト長 調 に転

じて 第2主 題 に 続 くが 、 再 現 部 で は変 ト長 調 か ら入 っ て主 調 に 転 じて 第2主 題 の 再 現 に つ な が り、 同 じく展 開気 味 で は あ る が、 ほ ぼ 忠実 に 再 現 され る。

第30番 。 第1主 題 か らそ の ま ま 第2主 題 につ なが る の で 、 確保 も推 移 もな い。

第31番 。 確 保 は な い 。 推 移 はや や 短 縮 され 、提 示 部 で は 主 調 の 変 イ 長 調 か ら入 っ て属 調 の 変 ホ 長 調 に 転 じる の に対 し、 再 現 部 で は転 調 せ ず に 第1主 題 最 後 か らの ホ長 調(下 方 長3度 の 変 へ 長 調)を 保 って 第2主 題 の再 現 に続 く(後 述 参 照)。

第32番 。 確 保 は提 示 部 の 半 分 に簡 略 化 され て い る。 推 移 に 当 た る部 分 は 、 第1主 題 の対 位 法 的展 開 に 当 て られ て お り、 提 示 部 で は 主 調 のハ 短 調 か ら転 調 を繰 り返 して変 ホ短 調 の減7の 和 音 か ら下 属 平 行 調 変 イ 長 調 の第2主 題 に達 す るが 、 再 現 部 で は 同様 に 下属 調 の へ 短 調 か ら転 調 を繰 り返 して ト短 調 の減7の 和 音 か ら同 主 調 ハ 長 調 の第2主 題 の 再 現 に達 して い る。

以 上 見 て 来 た よ うに、確 保 も推 移 もな い特 異 な も の(第30番)は 別 と して、

普 通 は 確保 と推 移 の 両方 あ る い は い ず れ か を傭 え 、 あ るい は 確 保 的 推 移 の形 を 採 る。 た だ し確 保 の な い も の は 意 外 に 多 く、 全体 の1/4程 で あ る(第10番 、 第31番 等)。主題 だ けで 強 い 印象 を 与 え 、聴 者 に 定着 させ る 効 果 を持 っ な らば 、 確 保 は 必 要 な い か らだ ろ う。 ま た確 保 が提 示 部 に は あ っ て も、 再 現 部 で 全 く省

略 され た り(第5番)、 一 部 省 略 され た り(第16番 、 第32番)す る こ と も あ る。 一 方 、 全 く忠 実 に再 現 され る こ とも あ る が(第18番)、 大 部 分 は 多 少 の 変 化 を被 り、変 奏 拡 大 され た り(第15番)、 途 中 か ら変 更 され た り(第7番 、第23 番 等)、 下 属 調 に触 れ た り(第20番 、第24番)、 また 第1主 題 が 主調 で 終 わ ら

な か っ た もの を確 保 の 過 程 で主 調 に戻 した りす る(第6番)。 ま た 確保 が 展 開 に 当 て られ る こ と も多 い(第2番 、 第3番 、 第24番 等)。

20

推 移 も再 現 に際 して 同様 の 変 化 を被 る が、 例 え ば、 別 の箇 所 で利 用 され るの で 再 現 され な か っ た り(第8番 、 第16番)、 他 の も の に代 え られ た り(第17

‑79

(16)

番)、 短 縮 され た り(第3番 、 第18番 等)、 拡 大 され た り(第15番)、 提 示 部 と全 く 同 じ もの が 再 現 され た り(第20番)、 最 初 あ るい は途 中 か ら移 調 の み で 平 行 移 動 的 に 再 現 され た り(第24番 、 第10番 等)、 展 開 的 で あ っ た り(第29 番 、第32番 等)、 調 的 に不 安 定 で あ っ た り(第14番)、 下 属 調 に 触 れ た り(第4 番 、第11番 等)、 第1主 題 と融 合 して しま っ た り(第28番)等 で あ る。 ま た 第2主 題 へ の 接 続 の 仕 方 を見 て も、 一 般 に は短 調 も含 め て 主調 か ら第2主 題 の 主調 再 現 に連 な る も の が多 い が(第7番 、第27番 等)、 属調 や 同 主調 の 属和 音 か ら第2主 題 の 主調 再 現 にな っ た り(第6番 、 第9番)、 同主 調 か ら同 じ く同 主調 の 第2主 題 に接 続 した り(第2番 、第23番 等)、 また べ 一 トー ヴ ェ ン的 な3 度 近 親 の 調 で第2主 題 に連 な った り(第31番)し て い る。 な お 主 調 が 短 調 で

あ る第8番(確 保 的推 移)は 下属 調 で 、 第5番 は 下 属 調 の 同主 調 で 、 そ れ ぞ れ 第2主 題 に接 続 して い る。

次 に 、第1楽 章 以 外 で の第1主 題 の 確 保 と推 移 につ い て 、 そ の 再 現 の 様 態 を 見 て み よ う。

第1番 第2楽 章 。 確 保 は初 めか らな く、 ま た 、提 示 部 に お い て 平 行 調 の二 短 調 か ら入 って 属 調 のハ 長 調 に転 じ、第2主 題 の提 示 に 至 っ た推 移 部 も 、再 現 部

で は 再 現 され ず 、短 い つ な ぎ の部 分 を経 て 、 第2主 題 の 主調 再 現 へ と至 る。

第1番 第4楽 章 。 確 保 的 に始 ま る推 移 は 、提 示 部 で は 属 調 の ハ 短 調 で あ っ た もの が 、 再 現 部 で は 主調 のへ 短 調 に移 調 され た だ け で 、 ほ とん ど変 わ らな い。

第5番 第2楽 章。 確 保 は第1主 題 同様 、提 示 部 とほ とん ど同 じで 、 た だや や 装 飾 変 奏 され て い る。 推 移 も 提 示 部 とほ とん ど変 わ らない が 、 や や拡 大 し、 主 調 の変 イ 長 調 で の 第2主 題 の 再 現 を 導 く。

第5番 第3楽 章。 確 保 的推 移 は若 干 の 違 い は あ るが 、 ほ とん ど同 じで 、 主調 の属 和 音 上 に終 止 、 第2主 題 を同 主 調 の ハ 長 調 で 再 現 させ る(後 述 参 照)。

第6番 第3楽 章 。 確 保 で は 、 第1主 題 の 再 現 で の 右 手 と左 手 の 関係 が 反 対 に な る 二 重 対 位 法 が 用 い られ て 、4小 節 毎 に 主題 と対 声 を8度 の 対 位 法 で交 換 し、

主題 は鋭 い ス タ ッカ ー ト、対 声 は滑 らか な レガー トと、 際 立 っ た 対 照 を成 しな が ら突 進 す る。こ の 間第1主 題 が6回 現 れ 、第1回 は 下 声 で 主 調 のへ 長 調 、第2 回 は 上 声 で へ 長 調 、第3回 は 下声 で 下属 平行 調 の ト短 調 、第4回 は上 声 で ト短 調(和 声 的)、 第5回 は 下声 で 下属 調 の変 ロ長 調 、第6回 は 上 声 で 下属 短 調 の 変 ロ短 調 で あ る。6回 目 に現 れ る主題 は16分 音 符 の 動 き を持 ち 、 それ に続 い てそ の音 型 が 自由 に発 展 し、本 来 の推 移 に 代 わ っ て 展 開 的 に 推 移 し、 主調 に 戻 って 第2主 題 の 再 現 につ な が る。

第7番 第2楽 章。 確 保 は な い。 推 移 は 最 初 の4小 節 が 省 略 され 、 後 は提 示 部

一78一

(17)

とほ ぼ平 行 移 動 的 に動 く。 そ して 提 示 部 で は 属 平行 調 の ハ 長 調 か ら属 調 イ短 調 で の第2主 題 に達 した の に 対 し、 再 現 部 で は 下属 平行 調 の 変 ロ長 調 か ら主調 二 短 調 の 第2主 題 に達 す る。

第11番 第2楽 章。 特別 の 確 保 は ない 。 推 移 は 提 示 部 よ り2小 節 だ け拡 大 さ れ 、 多 少 転 調 的 変 化 を異 に しな が ら も主調 変 ホ長 調 の 主和 音 に達 し、 第2主 題 の 再 現 を導 き出 す 。

第14番 第3楽 章。 確 保 的 推 移 は 再 現 部 で は 全 く省 略 され 、す ぐに 第2主 題 が 主調 の 嬰 ハ 短調 で 現 れ る。 それ は この音 型 がす で に十 分 活 用 され て い る し、

第1主 題 が 主調 の 属 和 音 で 終 わ る か らだ ろ う。

第17番 第2楽 章 。 確 保 は 、 旋 律 線 は 変 わ らな い が 、 伴 奏 に ほ とん ど5オ ク タ ー ヴに及 ぶ細 か な 動 きの 分 散 和 音 型 が加 え られ る。 推 移 は 主 調 変 ロ長 調 で の 第2主 題 の再 現 を促 す が 、 構 造 は提 示 部 の場 合 と さ ほ ど変 わ っ て は い な い 。

第17番 第3楽 章。 特別 の確 保 は ない 。 推 移 は、 提 示 部 で は 主調 の 二 短 調 か らハ 長 調 を経 て属 調 の イ短 調 に達 す るが 、 再 現 部 で は若 干 変 化 し、展 開 的 に 大 幅 に拡 大 し、変 ロ短 調 か らへ 短 調 、ハ 短 調 、 ト短 調 を経 て 、 主調 の 二短 調 に 至

る。

第18番 第2楽 章 。 第1主 題 の 後 には推 移 的 な 部分 が続 く が、 これ は第1主 題 同様 、 全 く忠 実 に再 現 され る。 確保 は や や 変奏 され るが 、 基 本 的 に は変 わ り な く、 そ れ に続 く推 移 的 な部 分 も全 く変 わ りが な い。 それ に さ らに本 来 的 な推 移 が 続 くが 、提 示 部 で はへ 長 調 か ら変 ロ長 調 を経 て属 調 の 変 ホ長 調 に達 した の に 対 して 、 再 現 部 で は変 ト長 調 か ら変 ホ長 調 を経 て 、 主調 の 変 イ 長 調 に達 し、

第2主 題 に 続 く。

第18番 第4楽 章 。 確 保 は な い。 推 移 はや や 拡 大 され 、 提 示 部 で は主 調 の 同 主短 調 で あ る変 ホ 短 調 か ら属 調 の変 ロ長 調 に転 じた の に対 し、 変 ホ短 調 か らそ の 平行 調 変 ト長 調 に 転 じ、 そ の ま ま 第2主 題 の 再 現 に っ な が る(後 述 参 照) 。 第23番 第3楽 章 。 確 保 は提 示 部 の場 合 と同様 、 推 移 の役 割 を も果 た す もの で 、展 開 的 に 扱 わ れ る。 提 示 部 、再 現 部 共 に47小 節 の大 規 模 な もの で 、4つ の部 分 に分 け られ る。 第1部 は 右 手 と左 手 の 役 割 が 交 替 した り してや や 異 な る が 、 大 差 は な い。 第2部 、 第3部 は 全 く同 じ もの 。 第4部 はや や 変 化 し、 ナ ポ

リのIIを 利 用 して 主 調 へ 短 調 で の第2主 題 の再 現 に至 る。

第26番 第3楽 章 。確 保 は 、 第1主 題 の 再 現 と同様 の 措 置 が取 られ 、 主 旋 律 は左 手 のオ ク ター ヴで、右 手 に よ る伴 奏 部 は細 か な分 散 和 音 型 に 改 め られ るが 、 オ ク ター ヴ 下で の繰 り返 しが な い た め 、 半 分 の長 さに 短縮 され て い る。 推 移 は 主調 の 変 ホ 長 調 で 途 中 まで 全 く同 じもの が 再 現 され 、や が て 変 化 す るが 、 ほ ぼ 平行 移 動 的 で 、 第2主 題 の 主 調 で の 再 現 につ な が る。

‑77

(18)

第28番 第3楽 章。 確 保 は提 示 部 とは反 進 行 的 に始 め られ 、 旋 律 が 左 手 に移 った りす るが 、 半 分 に 短 縮 され て い る。 推 移 はや や 拡 大 され る が 、構 造 的 に ほ とん ど同 じで 、 主 調 の イ 長調 に転 じる。

第29番 第3楽 章 。 確 保 は な い。 推 移 は 主調 嬰 へ 短 調 の 下 属 平 行 調 で あ る 二 長 調 か ら次 第 に転 調 して 主調 に進 む。 こ の 部 分 も第1主 題 の 再 現 と同様 、変 奏 を加 え られ 、長 調 短 調 を代 え られ な が ら も、 一 層 幅 広 く極 めて 精 巧 に作 られ て い る。

第30番 第2楽 章 。確 保 は 半分 の長 さに 短 縮 され 、提 示 部 の 場 合 とは違 って 、 第1主 題 そ の ま ま が 下 声 部 に移 され 、 二 重 対位 法 的 転 回 を も っ て形 成 され る。

推 移 はや や 拡 大 され 、 ハ 長 調 か ら入 っ て 、 転 調 を経 て 、主 調 の ホ 短 調 で の 第2 主題 に接 続 す る。

以 上 の 第1楽 章 以 外 で の第1主 題 の確 保 につ い て言 え ば 、 も と も と確 保 の な い もの が 多 く(第1・ 番第2楽 章 、 第29番 第3楽 章 等)、 提 示 部 に あ って 再 現 部 で 再 現 され ない も の(第14番 第3楽 章)も 含 め て 、半 数 近 くに 上 る。そ の他 、 変 奏 され な が らも 忠 実 に再 現 され た り(緩 徐 楽 章 で 展 開部 を欠 く ソナ タ形 式 で あ る第5番 第2楽 章 や 第17番 第2楽 章)、 短 縮 され た り(第26番 第3楽 章 、 第30番 第2楽 章 等)、 展 開 的 で あ っ た り(第6番 第3楽 章 、第23番 第3楽 章) す る も の が若 干 あ る。

推 移 的 な 部 分 につ い て は 、全 体 的 に(第1番 第2楽 章)ま た は部 分 的 に(第7 番 第2楽 章)省 略 され る もの も あ るが 、逆 に拡 大 され た り(第11番 第2楽 章 、

第30番 第2楽 章 等)、 展 開 的 に 処理 され た り(第17番 第3楽 章)す る もの も あ る。 勿 論 提 示 部 と同 じ忠 実 な再 現(第5番 第2楽 章)や 平 行 移 動 的 な移 調 再 現(第1番 第4楽 章)も あ る。 第2主 題 へ の接 続 の 点 で は 、 主 調 に落 ち着 い て 第2主 題 の 主調 再 現 に連 な る もの(第5番 第2楽 章 、 第23番 第3楽 章 等)が 長 調 短 調 を 問 わず 圧 倒 的 に 多 い が 、 属調 の 主 和 音 か ら主 調 の 第2主 題 再 現 に連 な る も の(第17番 第2楽 章)や 、 主調 の 属 和 音 に終 止 して 、 同 主長 調 の第2 主題 に連 な る もの(第5番 第3楽 章)、 そ れ に平 行 調 の 同主 調(3度 近 親 調) に達 して 、 そ の ま ま の調 で 第2主 題 を 再 現 させ る もの(第18番 第4楽 章)も あ る(後 述)。

3.

ソナ タ形 式 で は 、提 示 部 に お い て属 調 な どの 対 立調 で提 示 され た第2主 題 あ るい は"第2群"が 、再 現 部 に お い て は 単 に反 復 再 現 され るの で な く、緊 張 を

一76一

(19)

解 決 して安 定へ と もた らす た め に、 主 調 に復 帰 して 再 現 され る こ と こそ が が な に よ りも大 事 な で あ る。 ロー ゼ ン に よれ ば 、「 属 調 で のみ 奏 され て き た 主 題 は 、 主 調 に移 調 され る ま で は 、未 解 決 の 構 造 的 不 協 和 な の で あ る。」 第2主 題 の 再

  ユエ

現 は、 基 本 的 に は 、属 調 で 提 示 され た もの をそ の ま ま 主調 に 移 して 再 現 す れ ば 一 応 事 足 りるわ けで あ るが

、 実 際 に は 第1主 題 の場 合 と同様 、 様 々 な変 化 を被 る。 ま た 、 第2主 題 も確 保 され 、 終 結 部分 に 至 る推 移 がそ れ に 続 く こ とが あ る が 、 この 部 分 は 、 第1主 題 か ら第2主 題 に至 る推 移 部 分 とは違 っ て 、 比 較 的 に 安 定 して い るの で 、 再 現 に 際 して変 化 を被 らな くて も済 む と思 わ れ るが 、や は り再 現 部 で の 安 定 の 確 定 の た め に、あ る程 度 の 変形 を 余儀 な く され る の で あ る。

こ こで は 第2主 題 とそ れ に 続 く確 保 と推 移 の部 分 も併 せ た再 現 の様 態 を、ま ず 第1楽 章 か ら、 そ れ も比 較 的 忠 実 な も のか ら順 次 観 察 吟 味 して行 こ う。

第10番 。 第2主 題 は 、 提 示 部 で は属 調 のこ 長 調 で あ っ た も の が 、 再 現 部 で は 主調 の ト長 調 で 平行 移 動 的 に 忠 実 に再 現 され る。

確 保 は な く、第2主 題 か ら続 く推 移 も移 調 の み で 、 ほ とん ど変 わ りな く平 行 移 動 的 に主 調 で再 現 され 、終 結 部 分 に続 く。

第11番 。 第2主 題 は 主調 の 変 ロ長 調 に移 調 され て 忠 実 に再 現 され る。

続 く確 保 と推 移 も構 造 上 ほ とん ど変 わ りな く、 平行 移 動 的 に 再 現 され る。

第24番 。 第2主 題 は 主調 の嬰 へ 長 調 で 忠 実 に再現 され る。

確 保 的 推 移 も 同様 で あ る。

第26番 。 主 調 の変 ホ長 調 で忠 実 に再 現 す る。

続 く確 保 もほ ぼ 忠 実 で あ る。 なお 特 別 な推 移 は な く、終 結 部 分 に続 く。

第28番 。 第2主 題 は 調 が 属 調 の ホ長 調 か ら主 調 のイ 長 調 に移 され る以外 変 化 は な い。

確 保 も ほ ぼ 同様 で あ る。 特 別 に 推 移 はな い 。

第17番 。 提 示 部 で は属 調 のイ 短 調 で 提示 され た第2主 題 は 、再 現 部 で は 主 調 の二 短 調 に移 調 され て忠 実 に 再 現 され て い る。

確 保 の 部 分 も 同様 で 、続 く推 移 も ほ とん ど変 わ りが な い。 た だ し両 部 分 とも 提 示 部 同 様 展 開 的 に構 成 され て い る。

第27番 。 第2主 題 は 、提 示 部 で は属 調 の ロ短 調 で あ っ た もの が 、 再 現 部 で は 主調 の ホ 短 調 で 、 ほ ぼ平 行 移 動 的 に再 現 され る。

確 保 も同 様 で あ る。 推 移 は ない 。

第19番 の 第2主 題 は 、 短 調 作 品 の場 合 に よ くあ る よ うに 、提 示 部 で は 平行 調 の変 ロ長 調 で 提 示 され た が 、 再 現 部 で は主 調 の ト短 調 に移 され て忠 実 に再 現 され る。

確 保 は主 調 な が ら後 半 が 拡 大 され て 、 変 化 を付 けて い る。 推 移 はな い。

‑75一

(20)

策15番 。 第2主 題 は 主 調 の 二 長 調 で の 忠 実 な再 現 。

そ れ に は短 い推 移 が 付 き 、 そ れ に 改 め て 確 保 と推 移 が付 くが 、 いず れ も大体 平行 移 動 的 で 忠 実 な 再 現 で あ る。

第18番 。 第2主 題 は主 調 の変 ホ長 調 で 忠 実 に 再現 され る。

続 く推 移 部 分 は 若 干 拡 大 され 、 改 めて 確 保 に至 る が 、 こ こ も ほ ぼ忠 実 に再 現 され 、続 く推移 もや や 拡 大 され て はい る が 、構 造 上 の 変化 は ほ とん ど ない 。

第20番 。 第2主 題 は主 調 の ト長 調 で 忠 実 に 再 現 され る。

続 く確 保 も 同様 。 そ の後 の推 移 はす で に第1主 題 の 次 の 推 移 の前 に挿 入 され て 下 属 調 の ハ 長 調 で 再 現 され て い た が(既 述)、 改 め て 主 調 の ト長 調 で 忠 実 に 再 現 され る。

第7番 。 第2主 題 は 主調 の 二長 調 で似 た よ うな音 型 を辿 りな が ら完 全 終止 す る。

確 保 も 同 様 に 同 主 調 の二 短 調(提 示 部 で は属 調 の 同 主調 の イ 短 調)で 行 わ れ る。続 く推 移 も、提 示 部 と同 様 に展 開 的 で 目ま ぐる し く転 調 が行 わ れ る もの の 、 ほ ぼ 忠 実 な 再 現 と言 っ て よい 。

第6番 。 第2主 題 は主 調 のへ 長 調 で の忠 実 な 再 現 で あ る。

確 保 的 推 移 は若 干 変 化 を受 け 、拡 大 され る が 、 同 主 短 調 か ら入 り、 主 調 に転 じて ほ ぼ 型 どお りに再 現 され る。

第9番 。 第2主 題 は 主調 の ホ長 調 で 忠 実 に 再 現 され る。

確 保 、 推 移 も 同様 で あ る。 た だ 推 移 の 後 半 、 旋 律 的 に上 行 しな けれ ば な らな い の に 、予 想 に反 して 下行 して い るの は 、 当時 の ピア ノ の音 域 的 制 限 の た め と 思 われ る。

第29番 。 第2主 題 は 、提 示 部 で は 属調 の へ 長 調 で は な しに 、 主調 の短3度 下 の ト長 調 で 提 示 され るが 、 再 現 部 で は主 調 の変 ロ長 調 に移 調 され 、 や や 変 化

して 再 現 され る。

確 保 は ほ とん ど骨 格 が変 わ らず 、続 く推 移 も複 雑 な 動 き を示 す も の の、 大 き な 変 化 は な い。

第32番 。 第2主 題 は 、提 示 部 で は 主調 ハ 短 調 の下 属 平 行 調 変 イ 長 調(3度 調) で 提 示 され た の に対 し、再 現 部 で は 同 主調 の ハ 長 調 で 忠 実 に再 現 され る。

確 保 は 、 大 幅 に 拡 大 され 、 ハ 長 調 か ら下 属 調 の へ 短 調 へ と後 半 に転 じる。 続 く推 移 は短 い な が ら1小 節 拡 大 され 、 属 調 の ト短 調 か ら主調 の ハ 短 調 と な って 、 終結 部 分 に つ な が る。

第25番 。 第2主 題 は、 提 示 部 で属 調 の 二長 調 な が ら、 そ の 属 調 の イ 長 調 を 半 ば含 ん で いた の とパ ラ レル に 、再 現 部 で属 調 の 二長 調 を 半 ば 含 み な が ら主 調 の ト長 調 で 忠実 に再 現 され る。

‑74一

参照

関連したドキュメント

2 The first region is found at an up-stream part of the guide and the distribution of the axial velocity along the guide shows very similar features to a free jet flow.. 3 The

非難の本性理論はこのような現象と非難を区別するとともに,非難の様々な様態を説明

[r]

Nursing care is the basis of human relationship, is supported by how to face patients and to philosophize about care as a

”, The Japan Chronicle, Sept.

四二九 アレクサンダー・フォン・フンボルト(一)(山内)

第1章 生物多様性とは 第2章 東京における生物多様性の現状と課題 第3章 東京の将来像 ( 案 ) 資料編第4章 将来像の実現に向けた

第1章 生物多様性とは 第2章 東京における生物多様性の現状と課題 第3章 東京の将来像 ( 案 ) 資料編第4章 将来像の実現に向けた