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専門教材に関連した数学指導の一事例

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Academic year: 2021

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(1)

NDC 410

専門教材に関連した数学指導の一事例

高 山

(昭和60年9月13日受理)

An Example of Mathematical Education That ls Related to The Professional Subjects

Ishizue TAKAyAMA

(Received September 13, 1985)

 Mathematics is said to be one of the bases of professional subjects in College of Technology.

 In fact, many professional subjects are in need of basic rnathematlcs, differential and integral calculus, dif−

fere且tial equation, probability, etc. that are taught in mathematical curriculu皿.

 Some professional subjects don t have necessity for all the contents of mathematical subjects but part of math−

ematical contents.

 Especially, this is true in most graduation researches.

 We mathematics instructors should hold the following objects and deal with various problems.

 The author summarize$ this present paper as an example of the abovementioned idea.

1. We should regard the way of mathernatical thinking as fundamental for a solution of a problem.

2. We should see to it that a solutlon of a problem should be dealt with as simply as possible.

3. We should see to it that a solution of a problem should be dealt with in the range of mathematical knowledge  that has been cempleted by the 4 th year of College of Technology.

…1.はじめに

 工業高等専門学校の学生(少なくとも津山高専の学生)

は,5年生になると全員に卒業硫究が課されている。これ は,学生が各専門学科目の中の一分野の一端に接し,研究 すべきテーマを決あて指導教官の指導のもとで,それぞれ のテーマに学生個々が各自で取り組み,研究処理している ものである。そして,卒業時迄には,学生なりに研究テー マに関してまとめた成果を卒業研究発表として報告してい

る。

 この卒業研究の際に,専門教材に用いられている数式へ の数学の公式の適用方法とか,実験データの整理や処理方 法とかに,数学的な知識・考え方,処理方法を必要とする ことが当然あり得ることと予想される。これを専門学科と 数学との接点と考え.そこでの問題点を数学を担当してい る者としてはどのような扱いが出来るか考えてみたい。も

ちうん,問題点となる数式については,卒業研究指導担当 教宮が個々に解決されておられることはいうまでもないこ とであるが,そのような専門教材の数式の数学的な処理方 法として,数学を担当している者としてどのように処理す べきか,処理対策として次のような目標をおいてみた。

   (i)数学的な思考方法が根本的なものとして含ま      れている。

   (ii)出来得る限り簡単に取り扱えるように配慮す

     る。

   (iii)高専の4年生までに履修させている程度の数      学の知識の範囲で処理する。

 これらをもとにして,専門教材に使われている数式を,

数学の問題として焼き直したものとして解決することを検 討したい。以下に専門教材に関連した一具体例を取り上げ 検討したものについて報告する。

一95一

(2)

津山高専紀要第23号(1985)

      2.専門教材の内容1)

 高温クリープ型領域での平滑材の強度推定法について以 下のことが知られている。

 動クリープ曲線において,Aは応力比で

(応力振幅aa)/(乎均応力σm)で表すとき, Aの少さい 範囲に対して,クリープ損傷をfsとし

       as

   dφs/dt= as(iσD, as,αs:定数    (1)

で表す。破壊の条件はφsの限界値,例えばプs=1とする。

 動クリープ試験中の負荷応力は

   σ=・・m+σa sin ・・t ・σm(1+Asinωつ

       (2)

       ω:繰返し応力の角周波数

で与えられるので,これを(1)式に代入して,時刻0から 破壊時間trまで積分すると

cr?≠モ窒香

i(y27t) Jire (ti+Asinc,}tL)CMs d(c,,t)}iia(Ss)

このσ eのことを破断等価静応力と呼ぶ。

 次に,Aの大きい範囲に対してはff,;を疲れ損傷とし,

応力振幅に依存する線形累積損傷仮設を仮定する。

   dff/dt−af・・αf,af,・ :定数 (6)

 前と同様,(6)式を積分して

訂二線β(1。、。、、t1)・・f 、(、。t))⑦

      o

 実際の破壊はクリープ損傷と疲労損傷が加算累積され,

限界値1に達したとき起ると仮定すれば

   1=as amaS tr ls+a f aaaf tr (8)

 同一破断時間をもつ破断等価静応力σ eを考えれば

1=聯_一の)③

 一方,同一時間trで破断する静応力σ e(A=0)は

   1=as (cr e) aS tr (4)

である。(3)式と(4)式とから

      2re

c・?黶E

o畑α・(・,/as)・・α・一偽}1/㌔)

 (9)式は3個の材料定数α。,αノおよびa f/asを含む。

αsは(4)式より両対数表示のクリープ破断応カー時間線図

の傾きより,αノは手振り高温疲労の両対数σσ一ち線図の

傾きより,a

?^asも両振り疲労強度と静クリープ破断強 度と静クリープ破断強度の比がわかれば(8)式を用いるこ とにより定めることができる。これらのことから,静クリ ープと両振り疲労の試験結果があれば,任意の応力(σm,

σa)に対する動クリープ破断強度が推定できる。

     3.数学の問題としての提起

 数学で扱っている数式・考え方が専門教材に登場する例

は数多くあると思われる。 1.で述べた(i),(ii),(iii)

の観点から,その一事例として今回報告するのは次のよう な問題である。専門教材の内容は2.に紹介した通りであ るが,その中で数学に関係している式として取り上げるの は,(3)式のIsである。このIsで定数がA=1,α=7.149 として得られたもので,学生が提起した問題は

        2r

   Is=(y2rr) JI (1+sin tut)7・i4gd(tot)

        o の値を求めることである。

 学生は,被積分関数の指数が自然数でしかも小さいとき にはなんとか処理出来る。しかし,大きな自然数とか,こ の問題のように指数が小数となると処理しきれなくなり提 起したものと思われる。

       4.問 題 解 法

 3,で提起されたlsの値をどうずれば求めることが出来る か,1.で述べた数学的処理法の目標に基づいての考察を述

べる。

        2x

   ・…=(・ノ・・)∫(・+・…t)7・・49・d(・t)を勅・の

        o

に,Is≡1, tut=x とおいて

        2.

   ・一(・/・・)∫(・+・・n・)7・・49dxを求め・・

        o

 (a) y=二(1+sin x)7・149と.おき,このグラフを考え

   る。まず,0≦x≦π/2では,1+sin・xは上に凸    な単調増加関数で1≦t+sin x,またY ・=X7・149

一96一

はX≧1で下に凸な単調増加関数である。その上に sin xの関数の性質よりy=(1+sinり7・149は,

お)bLざつぱに考えて (0≦x≦π/2)で y ・= 282ノπx+1に近似される。次にπ<xく2π では0≦1+sin x<1,被積分関数の指数が7。149 と大きいから

  (1+sin x)7, 149 i=一i o (T〈 x 〈2z)

 これより y=(1+sin∬)7・149のグラフは次ペ ージのFig.グラフで近似される。

(3)

専門教材に関連した数学指導の冷事例  高 山

.紐

t

o

   から 28.7557≦J≦29.7298

  被積分蹴の指数に対して,比例配分め洪則を適用   すると   1≒29.4395が得られる。積分の値   を 29.4395としたとき最大誤差は 0,6838,相対

  誤差は2.32%である。

(c) 関数(1+y)α (1yl≦1) のマクローラン展

  開2)は

       y+(a2)y2+(竃)y3+(珪)y4

X/2 rc 2rc

Fig. y=(1+sin x)7・149(◎≦xく2π)の近似グラフ

   したがって,求める積分値1は,次の近似値とし

  て得られる。

        2π

   ・一(・ノ・・)∫(・+・・n・)・・… b・

        o

   ≒(1/2π)(π十141×πノ2)≒35.75

(b)sin・x, cos・xの関数の性質により,積分1は次の   ように変形される。

       2π

   ・一・ノ・・∫(・+・・n・)…49 dx

       lπ

   一・/・・∫(・+・…)陶・

       02π

   一が149/・∫。鴎)7・ 149 dx

         

   一・7・・4・/・∫(・・s・・)7・・4・dt

        O

   一麟∫1鰍脚    一騨呵1一畑

  0≦t≦π/2では0≦cost≦1であるから

     COS15 t≦ COS14.298 t ≦9 COS14 t

  よって

      

   ・8・・4・ノ・∫互・…5tdt≦・≦・8…9/・∫]・…4・dt        O       O

  28・149.輿2.』.旦.旦.4.9.1 ,{ 1〈pa・149.盤.

  π1513119753一一π

      14

 1197531π  121086422

(・+のα一・+(f)

+(g),s+(g)y6+R,

   R・一(?)(・+θ・)α一7・・(・くθ<・)

であるから

R7 = (i +,)a 一{i +(f)y+(g),2+(g),3+

(ct4)y4+(g)ys+(g)y6} (io)

が得られる。ここでy==sinx,α=7.149とすると

R7 = 〈7・ 7149) (1+e sin x)O,i49 sin7x

O≦x≦πでは1≦1十θsin X〈2, sln x≦o であるから

(7・ ;49)sin7x fl R7 ::{ (7・;49)pa・149 sin7x (11)

π≦x≦2πでは,0〈1+θ sin x<1, sin x s9 O

であるから

(7・7149)sln7xsR7 $.o (12)

(10)式の夕にsin・xを代入し,(11),(12)式を考慮

して0から2πまで積分すると

・≦・一 ?o・・+・((7・549)音・秀・(7・149)1擁

・(7・149/1・1・去・劉

   ≦毒(7・手49)・…4・…号・昔・書・・

  これを計算すると

      O $. 1 一ne. 4217SO. 2338

   よって29.4217≦1≦29.6555が得られる。

  積分の値を29.5386としたとき,最大誤差は   0.1169,相対誤差は0.396%である。

(d)1.の(i),(ii),(iii)で述べた観点とはすこし異

  なるが,学生が積分値1を求める為の比較的手軽な   方法として,パーソナルコンピューターによって求   める方法があると考えられる。事実,この程度の問   題であれば,学生にも容易に求められるであろう。

一97一

(4)

津山高専紀要第23号(1985)

参考のためパソコンで求めた積分値1を,求値プ ログラムとともに,次に載せておく。

100 110 120 130 140 15e 170 160 180 i90 200 2iO 220 230 24D 245 250 260

SEレくtBUNCHI  I

N=8

FOR 1=i TO 4  N=2xN

 H=2x3.1415927/N

 S=11

 x=o!

 FOR J=1 TO N/2  X=×+H

 S=S+4X〈1!+SIN(×)) 7.149  X=X+H

 S=S+2X(1!+SIN(X)) 7.149  NEXT J

 S=S一(i!+SIN(X)) 7.149  S=SxH/6/3.1415927 .  PRINT N;H;S

 LPRIN丁 N;卜{;S

NEXT 1

END

5.お わ り に

 ここで求めた積分値1は,問題を提起して来た学生の卒 業研究のまとめと,その発表には,他のデータの処理と か,研究進行状態とかで,結果的には,その求値は必要と されなかったようである。しかしながら,今後もこのよう な問題が提起されたなら,専門教材と数学との接点と考え 数学を担当するものとして,電算:機(パソコン)処理も含

めて,1.の(i),(ii),(iii)で述べたことを基本として,

解決に取り組んでみたい。

 4.の主要部分については,前本校専門学科共通科目担当 者・池上哲男氏(60.8.現在休職中)が考えられたもので ある(文責:高山)ことを明記しておきます。次に,2.の 専門教材の内容については,本校金属工学科・藤原敏氏に

紹介して頂き,、4.の(d)のパソコンでの求値に関しては,

本校電気工学科の矢野健三氏に大変お世話になりました。

厚くお礼申し上げます。

参 考 文 献 1)日本材料学会編:養賢堂

   金属材料強実試験便覧(1977)359−365 2)田代嘉宏編:森北出版(株)高専の数学(皿)1968

16 .392699 29.4291 32 .19635 29.4292 64 .0981748 29.4292 128 .0490874 29.4292

一98一

参照

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