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地域密着性に基づくソーシャルワーク支援について の一考察

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(1)

地域密着性に基づくソーシャルワーク支援について の一考察

その他のタイトル A study on social work practice oriented community‑based services

著者 狭間 香代子

雑誌名 人間健康学研究 : Journal for the study of health and well‑being

巻 4

ページ 31‑40

発行年 2012‑03‑31

URL http://hdl.handle.net/10112/00023271

(2)

地域密着性に基づく

ソーシャルワーク支援についての一考察

狭間香代子

Abstract 

The longterm care insurance system has established in 2000. The aims of this insurance are to  support the independence of elderly and make the community that guarantees a secure life to them. 

In 2006, with amendment of this insurancecommunity‑basedservices were launched. Community‑

based services include some services. One of them is smallscale and multifunctional in‑home care. The  model of this care service is  TAKUROSYO. 

This paper discusses the significance of community‑based services, with analyzing the activities of  TAKUROSHO and the methods of care management of smallscale and multifunctional in‑home care. 

The result indicates that it is more important for social work practice to assess the meaning of place  for users than space. 

はじめに

2005

年の介護保険法の改正によって登場した地域 密着型サービスの一つである小規模多機能型居宅介 護事業は、開始から

6

年を経過して様々な課題が浮 き彫りになっている。その理由として、一つには制 度上の規定と実際の運営との矛盾が顕在化したこと、

もう一つは地域密着性の意味があいまいなままでス タートしたことが挙げられる。

本稿では、小規模多機能型居宅介護事業が基盤と する地域密着性を制度上のとらえ方、小規模多機能 型居宅介護事業の前身である宅老所の意義、小規模 多機能型居宅介護事業におけるケアマネジメント方 法として提唱されているライフサポートワークを取 り上げて、要介護高齢者の地域生活を支援する方法 における地域密着性の意味について検討するもので ある。

I. 

地域密着型サービスの創設

l. 

地域密着型サービスの概要

2000

年から施行されている介護保険制度は

3

年を

1

サイクルとして見直すことが義務付けられている。

ただし、最初の改正のみは 5年を一期としており、

2005

年に最初の改正がなされた。改正のポイントは、

①予防重視型システムヘの転換 ②施設給付の見直

し ③新たなサービ体系の確立 ④サービスの質の 確保・向上 ⑤負担のあり方・制度運営の見直し、

という

5

項目である。

「予防重視型システム」とは、新予防給付と地域支 援事業を新たに創設し、要介護度が比較的軽度なた め介護保険が非該当となる高齢者や要支援、要介護 と認定された高齢者の重度化を防ぐためのサーピス 体系である。「施設給付の見直し」では、在宅と施設 の利用者負担の公平を図るために、施設給付の居住 や食費費用の負担が見直された。「新たなサービス体 系の確立」においては、一人暮らしや認知症の高齢 者が増加していることへの支援サービスとして地域 密着型サービス、地域包括支援センターなどが創設 された。「サービスの質の確保と向上」では、介護サ ービス情報の公表が義務付けられた。「負担のあり 方・制度運営の見直し」では、第

1

号保険料の見直

しなどがなされたのである。

これらの改正の中で、本稿が取り上げるのは、新 たなサービス体系としての地域密着型サービスであ る。介護保険の開始時には、提供されるサービスは 主に居宅と施設に二分化されていたが、この改正で 従前の居宅と施設に加えて地域密着型が創設された。

地域密着型というのは、要介護者が住み慣れた地域

で住み続けられる暮らしを支えるために、身近な行

(3)

3 2   人 間 健 康 学 研 究 第

4

政単位である市町村で提供されることが適した諸サ ービスをいう。 2005年の改正では①夜間対応型訪問 介護 ②認知症対応型通所介護 ③小規模多機能型 居宅介護 ④認知症対応型共同生活介護⑤地域密 着型特定入居者生活介護(定員30人未満) ⑥地域 密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(定員30人 未満)の6種類のサービスが規定された。

これらの地域密着型の特徴の第1は、市町村単位 での運営である。原則としてサービス利用が市町村 に居住する要介護高齢者に限定されるとともに、事 業所などの指定権限を市町村がもつ。第2は、地域 単位での適正なサービス基盤の整備が可能になるこ

とである。圏域を都道府県から市町村に縮小するこ とは、サービスがきめ細かく提供されることが期待 される。つまり、市町村単位やさらに細分化された 圏域で、必要な整備量を決定していくことで、計画 的な整備が可能になる。第3の特徴は、地域の実情 に応じた指定基準、介護報酬の設定が可能になるこ とである。第4には、公平・公正透明な仕組みであ る。指定や報酬設定については、地域住民、高齢者、

保健・医療・福祉関係者が参加する協議会の意見を 取り入れることで、透明性の高い制度運営を目指す

こととされている。

2. 小規模多機能型居宅介護事業制度の概要 新たに作られた地域密着型サービスの中で、小規 模多機能型居宅介護事業は従来のサービスで分化さ れていた居宅と施設という 2つの住まい方の接点に 位置付けることのできるサービスである。法律的に は、介護保険法第8条第17項に「居宅要介護者につ いて、その者の心身の状況、その置かれている環境 等に応じて、その者の選択に基づき、その者の居宅 において、又は厚生労働省令で定めるサービスの拠 点に通わせ、若しくは短期間宿泊させ、当該拠点に おいて、入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常 生活上の世話であって厚生労働省令で定めるもの及 び機能訓練を行うことをいう」と規定されている。

「通い」を中心にして、要介護者の状態や希望に応じ て、「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを 提供する事業である。

さらに、基準省令62条では「要介護者について、

その居宅において、又はサービスの拠点に通わせ、

若しくは短期間宿泊させ、当該拠点において、家庭 的な環境と地域住民との交流の下で、入浴、排せつ、

食事等の介護その他の日常生活上の世話及び機能訓 練を行うことにより、利用者がその有する能力に応 じその居宅に居て自立した日常生活を営むことがで きるようにするものでなければならない」として、

基本方針が示されている。利用者が住み慣れた居宅 で生活を継続できるように、通い、訪問、泊まりな どのサービスを利用者の希望や様態に応じて提供し、

利用者がその能力に応じて、自宅で自立した日常生 活を営めるように支援するのである。

基本方針に基づき、事業運営のための具体的な方 針において、利用者の心身の状況、希望、さらに置 かれている環境を踏まえて、通い、訪問、泊まりの サービスを柔軟に組み合わせて、適切なサービス提 供を行うことが挙げられている。(基準省令73条) このように、事業所には利用者が住み慣れた地域で の生活を継続できるよう、柔軟なサービスの組み合 わせが求められる。ここでいう柔軟さとは、通い、

訪問、泊まりの各サービスを単に組み合わせるとい う意味ではない。

サービス提供に当たっては、職員をサービスごと に固定するのではなく、利用者がどのサービスを利 用しても、なじみの職員が提供できるように、柔軟 な業務遂行が求められる。住み慣れた地域での生活 を継続できるように、身近な場で、スタッフともな じみの関係を築けるように、諸サービスの提供者が 同じであるように制度化されているのである。その ために、併設事業所職員の兼務を可能にし、一体的・

効率的な運営の実施が可能となっている。

また、介護報酬においては、利用者の様態や希望 に応じたサービスを提供するために、従前のような 居宅サービスの出来高払いの介護報酬体系ではなく、

要介護度別に1か月単位での包括的、定額の報酬設 定がなされている。

さらに、事業運営において、地域住民とのつなが りが強調されている。具体的には、基準省令第85条 の地域との連携等の中で、「運営推進会議」の設置が 義務づけられている。運営推進会議とは、利用者、

その家族、地域住民の代表者、市町村の職員、地域 包括センター職員などから構成される会議であり、

事業所による利用者の「抱え込み」を防止して、地

(4)

地域密着性に基づくソーシャルワーク支援についての一考察(狭間)

33 

域に開かれたサービスを提供することを目的として 設置されている。

3.  r201s年の高齢者介護」報告書の影響 介護保険制度の施行から3年が経過した2003年 に、厚生労働省老人保健局の私的諮問機関である高 齢者介護研究会が「2015年の高齢者介護 〜高齢者 の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜」という報告 書を提出した。

この報告書では、今後の高齢者介護のあるべき姿 の実現に向けての「尊厳を支えるケアの確立への方 策」として、①介護予防・リハビリテーションの充 実 ②生活の継続性を維持するための、新しい介護 サービス体系 ③新しいケアモデルの確立:痴呆性 高齢者ケア ④サービスの質の確保の向上、といっ た4項目が取り上げられた。

これらの中の「生活の継続性を維持するための新 しい介護サービス体系」において「小規模・多機能 サービス」が提案され、「在宅で365日・24時間の 安心を提供する:切れ目のない在宅サービスの提供」

の必要性が強調された。多くの人々は要介護状態に なっても、在宅で生活することを希望しているが、

現実には在宅で常に安心を得ることが難しい。その ための新しい在宅介護の仕組みとして、「小規模・多 機能サービス」が提唱されたのである。

ここでいう「小規模・多機能サービス」とは、「本 人(や家族)の状態の変化に応じて、様々な介護サ ービスが、切れ目なく、適時適切に在宅に届けられ ること」であり、具体的には「通う、一時的な宿泊、

緊急時や夜間の訪問サービス、さらに居住するとい ったサービス」が利用者の必要に応じて提供される ことである。加えて、一人の利用者がこれらの複数 のサービスを利用する場合に、各々のサービスが別々 の担当者から提供されることの問題も指摘されてい る。

「小規模・多機能サービス」として挙げられるもう 一つの特徽が、安心できるサービスが利用者の生活 圏域の中で提供されることである。したがって、小 規模・多機能サービスの拠点が生活圏域ごとに整備

される必要性も提起されている。

当報告書で提起された「小規模・多機能サービス」

は、以前から実践されていた「宅老所」がモデルと

なっているが、「宅老所」については後で取り上げ る。

II.  小規模多機能型居宅介護事業の現状と課題 1. 事業所の現状および利用状況

(1)  介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)

にみる現状

介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省2009) によれば、小規模多機能型介護事業所の全国の施設 数は2006年189か所、 2007年972か所、 2008年 1575か所、 2009年2083か所となっており、漸次増 加している。また、経営主体をみると、営利法人が 43.5%、社会福祉法人が31.8%、医療法人が14.9

%、特定非営利活動法人が7.3%、その他となって いる。

さらに、同調査によると2009年9月の小規模多機 能型居宅介護事業所の利用者人員は、「1 19人」が 71.5%、「20 39人」が27.6%、「利用者なし」が 0.9%となっている。また、 2009年9月中の利用者 1人当たりの利用回数が、 27.9回であり、前年度同 月が25.6回と比較すると2.3ポイントの増加を示し ている。

小規模多機能型居宅介護事業の利用者の状態は介 護給付費の受給状況から知ることができる。介護給 付費実態調査(厚生労働省2011)には、地域密着型 サービス別の介護給付受給者数の推移が示されてい る。小規模多機能型居宅介護事業については、 2007 年4月分が5,600人、 2008年4月が18,100人、 2009 年4月が28,800人、 2010年4月が37,400人、 2011 年4月が46,300人となっており、他の地域密着型サ ービスに比べて増加の伸びが大きい。

さらに、同調査によると、受給者の要介護(要支 援)状態は、要介護2が24.0%、要介護3が21.6

%、要介護1が21.1%、要介護4が15.7%、要介護 5が8.7%、要支援2が5.1%、要支援1が3.9%と なっている。要介護1から3の状態の利用者が約7 割弱を占めている。

(2)  介護労働安定センターによる調査結果 小規模多機能型居宅介護事業に関する単独調査と しては、財団法人介護労働安定センターが2010年に 実施した実態調査があり、詳細な報告がなされてい る。同調査は、調査対象期日を2010年10月1日と

(5)

34 

人間健康学研究第

4

して、全国の小規模多機能型居宅介護事業所から無 介護事業者連絡会の提出資料等を検討し、以下に課 作為抽出した

1,046

事業に実施され、有効回収数は 題を抽出する。

605

事業所(回収率

58.3%)

であった。以下に、同

(1}

登録者数の充足率

報告書に依拠して、小規模多機能事業所の現状につ 小規模多機能型居宅介護事業所の登録者数は最大 いて概観したい(介護労働安定センター

2011: 1)

25

名と定められているが、

1

事業所当たりの登録者

1

に利用者のサービス利用状況である。これは 数の平均は、表

1

のようになっている。

事業所の定員数と登録数で示される。制度上では、

登録数は

25

名、一日の定員数は「通い」が最大

15

名、「泊まり」が最大

9

名と規定されている。調査結 果では、「通い」については、事業所の

81.2%

15

人の定員となっている。「泊まり」については、

9

人 が

38.0%

6

人未満が

35.7%

6

人から

9

人未満が

26.3%

となっている(介護労働安定センター

2011: 14)。

2

に事業所の従業員についてである。従業員数 が

10 15

人が

4.3%

15 20

人が

26.9%

5

人〜

10

人が

11.6%

20

人以上が

11.1%

となっており、

正職員と非正職員の割合は概ね半数となっている

(介護労働安定センター

2011: 18)

また、

2010

9

月の

1

カ月間の職員の状況からみ ると、性別では女性が

78.7%

、男性

21.3%

となって おり、職員の約

8

割が女性である。平均年齢は

44.9

歳となっている。保有資格は、ホームヘルパー

47.5

%、介護福祉士

28.3%

、介護支援専門員

11.6%

、看 護師・准看護師

11.5%

、無資格

11.1%

という構成で あり、ホームヘルパーが半数弱を占めている(介護 労働安定センター

2011:46)

小規模多機能型居宅介護事業は、なじみの職員か ら多様なサービスを受けることができるという点に 特徴がある。そのために職員は「通い」、「訪問」な どの複数の業務を担当することになる。職員が担当 する業務別でみると、「通い」、「訪問」、「夜勤・宿 直」の

3

業務すべてを担当すると回答した職員が

46.7%

となっており、約半数の職員が

3

業務に携わ っていることがわかる(介護労働安定センター

2011: 47)。

2. 

小規模多機能型居宅介護事業の抱える課題 地域密着型サービスの一つとして小規模多機能型 居宅介護事業が開始されて 6年が経過しており、年 数の経過ともに様々な課題が生じている。それらに ついて、各種の調査結果や全国小規模多機能型居宅

1

H.21.4 

H.21.10 

H.22.4 

H.22.1

H.23.4  15.6

17.3

17.8

18.5

17.8

(資料出所)社会保障審議会一介護給付費分科会 第84回平成23.11.10資料6

直近の

3

年間では微増傾向にはあるが、最大登録数 の

25

人に対しては、約

7

割程度の充足率で推移して いる。

一方、事業所開設からの経過年数と利用者の登録 率の相関をみると、事業開始から

1

年以上

2

年未満 では、

80%

の充足率のところが全体の

42.5%

である が 、

3

年以上経過すると、

57.4%

と増加しており、年 数の経過とともに登録率が高くなっている(社会保

障審議会2011)。

上述の「介護労働安定センター」の調査では、登 録者数が少ない理由に対する回答が挙げられている。

1

の理由は「登録者が集まらない」ことで、

75.2

%となっている。次に「地域外の登録者を受けられ ない」が

15.7%

となっており、前者が大きな理由に なっている。なぜ、登録者が集まらないのかという ことについて、報告書は「定員と登録者数の麒甑」

を挙げている。通いの

1

日の上限が

15

名であるため に、登録者全員を

1

日の通いで受けられず、上限

25

名の登録者の受け入れを困難にしているのである(介 護労働安定センター

2011: 15)

東京都の調査でも「登録者を募集しても集まらな ぃ」ことの原因が定員と登録者数とのかい離である とするものが半数を占めている。また、登録者を確 保するために、ケアマネジャーを通した取組を実施 しているが、効果については十分とは言えないよう である(東京都福祉保健局

2008)

このように、「登録者が集まらない」ことが事業所

にとっての課題となっており、その背景に制度上の

問題や地域での認知度の低さなどがあると推測され

る 。

(6)

地域密着性に基づくソーシャルワーク支援についての一考察(狭間)

35 

(2) 

経営状況の課題

事業所の経営状態を表す収支状況はどの事業所に とっても重大な関心事である。介護労働安定センタ ーの調査によれば、

2009

10

月から

1

年間の収支 が黒字となったのは、事業所全体の

43.8%

で、赤字 が

50.4%

となっている。半数の事業所が赤字である。

黒字の理由としては、「登録者の増加」が

75.8%

「職員の定着・サービスの質の向上」が

44.5%

とな っている。一方で、赤字の理由は、「登録者が増えな い 」

78.4%

、「要介護度が軽度の登録者が多い」

38.0

%となっている。登録者を増加させることが経営状 態の改善につながると考えられ、上述の課題と関連 する(介護労働安定センター

2011: 28)

経営収支の問題には、事業所の収入源である介護 報酬の設定が影響する。全国小規模多機能型居宅介 護事業者連絡会は、

2011

年の事業所へのアンケート の結果「ほぽ登録定員一杯の状態

(85%

以上の稼働 率)であっても、

21.8%

の事業所では赤字である」

と述べている(全国小規模多機能型居宅介護者連絡 会

2011)。

単に、登録者数の問題ではなく、介護報酬費の問 題もあるものと考えられる。さらに、同連絡会の要 望書では、介護老人福祉施設職員と比較しても、事 業所職員の給与が低い状態にあるとしている。職貝 の安い賃金と加重な負担の上で成り立っている経営 状態が窺われる。

(3) 

地域密着性の課題

小規模多機能型居宅介護事業は、地域密着型サー ビスの一つとして登場したものであったが、介護保 険制度上において「地域密着性」は、①利用者を市 町村住民に限定していること、および②運営推進会 議の設置の

2

点に表されている。

まず、利用者が市町村住民に限られることについ ては、介護労働安定センターの調査によれば、登録 者数が少ない理由の

2

番目の理由として「外の登録

介護労働センターの調査によると、運営推進会議 の開催頻度については、開催回数が「

2

か月に

1

回 以上」が

84.3%

で出席率は平均して

80.7%

となって いる。中には年に「

3 4

回」、「不定期」「年

2

回 」 なども回答もあった(介護労働安定センター

2011: 25)。

また、会議に関する意見をみると、「地域連携の必 要な会議である」

80.3%

、「介護の情報交換に有効」

61.0%

、 「

PR

、登録者増加に有効」

49.9%

、などの 肯定的な意見が続くが、一方で「

2

か月に

1

回以上 は多すぎる」

48.1%

、「連絡調整が負担」

21.8%

、「構 成貝の選定が大変」

20.7%

などの意見もある(介護 労働安定センター

2011: 26)

これらに見られるように、会議の必要性や地域で の知名度を上げるための意義は認めているが、実施 に伴う負担も多いようである。

ill. 

宅老所と小規模多機能居宅介護事業

前述のように、小規模多機能型居宅介護事業は

2015

年の高齢者介護」報告書で、宅老所をモデル として提案がなされ、

2005

年の改正介護保険法で制 度化されたものである。しかしながら、現在の小規 模多機能居宅介護事業所の中で、宅老所を前身とす るものは少ない。介護労働安定センターの調査では、

介護保険以前から宅老所等のサービスを行っていた 割合は

6.0%

に過ぎす、

2006

年以降に事業を始めた ものが

91.7%

となっている。ほとんどの事業所が制 度 化 以 降 の 開 業 で あ る ( 介 護 労 働 安 定 セ ン タ ー

2011 : 17)。

この数字は、介護保険以前に地域で自発的に始め られた宅老所のもつ特性が、小規模多機能居宅介護 事業に継続されているかということに疑問を持たせ る。ここでは、宅老所の展開過程をたどりながら、

その地域密着性の意味について検討する。

者を受けられないため」が上がっている(介護労働

1. 

宅老所の展開過程

安定センター

2011: 15)

。 宅老所という名称は、

1991

年の「宅老所よりあい」

さらに、運営推進会議については、基準省令第

85

に始まる。これは託児所にならって高齢者をあずか 条に地域住民も加えた連営推進会議を事業所が設置 るということから派生していると推測できるが、「宅」

し 、

2

か月に

1

回以上開催してサービス内容等を明 を用いた理由について、認知症高齢者を地域の普通

らかにし、地域に開かれたサービスとすることでサ の家で生活できるように支援するという目的で自宅

ービスの質の向上を目指すものとされている。 の「宅」という字を用いたとされる(宅老所・グル

(7)

36 

人 間 健 康 学 研 究 第

4

ープホーム全国ネットワーク2011: 233)。 平野隆之らは、宅老所やグループホームなどの地 域社会で小規模にサービスを提供してきた事業の展 開過程を4期に分けて概説している(宅老所・グル ープホーム全国ネットワーク2011: 232‑9)。第1期 は、先駆的な取り組みの時期であり、 1983年開設の

「デイセンターみさと」に始まる活動である。この開 設の背景には、群馬県ぽけ老人を支える会(当時の 名称)の力がある。当時は、認知症高齢者を在宅で 支える公的支援が整備されておらず、家族会などが

中心になって、独自に立ち上げたものである。

第2期は、 1992年にE型デイサービス(認知症高 齢者向け毎日通所型)が制度化される前後から始ま

る。この制度化によって、全国的に宅老所・グルー プホームが拡大していくのである。一人の利用者の ために、通所、泊まり、訪問、居住と展開していく 事業が登場し、また高齢者、障害者、子どもなど対 象を限定しないサービスの登場も1993年に開始され ている。小規模で多機能なサービス展開の萌芽があ る。さらに、介護保険法 (1997)やNPO法 (1998) の成立によって、介護保険指定業者となる動きが活 発化していく。宅老所の多くが、介護保険指定業者 となるために、法人格を取得したり、有限会社化し たりしていくのである。

第3期は、介護保険法施行後であり、宅老所が介 護保険での通所介護事業所の指定を受けて事業展開 していく時期である。指定事業所となることで、運 営も安定していくとともに、自主事業として泊まり などのニーズに応じたサービスを柔軟に提供してい った。このような事業展開が小規模多機能ケアとし て、報告書で評価され、改正介護保険法の地域密着 型事業として組み込まれていくのである。

第4期は2005年の介護保険改正以降である。小規 模多機能型居宅介護事業が制度化され、事業所の数 も増加してくる。しかし、 10年以上、小規模多機能 ケアを提供してきた宅老所の中には、新しい制度に 加わらず、従来どおりに「通所介護+自主事業の泊 まり」という形態でサービス提供をしているところ も多い。このような形態を継続する背景には、制度 枠内では利用者やその家族のニーズヘの柔軟な対応 が難しいという側面があると指摘されている。

2.  宅老所の特徴

日本の風土の中で自然発生的に登場した宅老所で あるが、その特徴を次のように示すことができる。

第1は「柔軟性」である。運営方法やケアの提供に おける柔軟性であり、原点は制度の枠にとらわれな いことにある。サービスに規定されたケアではなく、

利用者のニーズに即したケアの提供である。ニーズ に応じてサービスを提供する中で、自然に多機能性 として形成されていったと考えられる。最初からサ ービスを固定化していては、通い・泊まり・訪問と いった多機能化は難しかったであろう。さらに、こ の多機能性は個々の利用者の生活様式や変化に対応 した個別的ケアでもあり、マニュアル化できない。

第2は「生活の連続性」である。宅老所に関して は、「なじみの関係」「なじみの場所」という言葉が よく用いられる。これは二通りにとらえることがで きる。一つは、「住み慣れた地域での生活の継続を支 える」ことから派生するものであり、一人の利用者 が今まで住み慣れた場所や慣れ親しんだ人々とのか かわりを継続できるような支援である。他の一つは、

ケアを提供する場所やスタッフがなじみであるとい う意味である。両者ともに支援に取り込まれること が、利用者の生活の継続性を可能にする。また、そ れを可能にすることを目指すのが宅老所である。

第3には「小規模性」が挙げられる。これは言う までもなく、少人数の利用者やスタッフによるサー ビスの提供である。これは利用者とスタッフのなじ みの関係を構築できるだけでなく、スタッフ間のコ ミュニケーションを促進し、情報の共有を拡大する。

これが、柔軟な対応、多機能性を可能にし、スタッ フ間の役割の代替や補完を容易にする。

3. 宅老所のもつ地域性

柔軟性、多機能性、小規模性、生活の連続性など を特徴とする宅老所は、地域に密着することでこれ らの特徴を活かしたサービス提供が可能になる。つ まり、宅老所の地域密着性とは、これらの特徴の土 台にあると考えることができる。

佐藤義夫は宅老所のもつ「共同性」について論じ ており、宅老所での顔の見える関係こそが共同性を 構築しており、人々はそれを求めているという。介 護という生活の基本領域にも、近代的科学主義や市

(8)

地域密着性に基づくソーシャルワーク支援についての一考察(狭! I l l )

37 

場主義が支配的になっており、自立した個人の自己 選択を前提としたサービス労働が主流になっている。

しかし、人々は手作りの親密な関係を求めており、

それが宅老所として出現しているのではないかとみ なすのである(岩下・佐藤他2006:159)。確かに、

多人数の大型施設では効率性や機能性が優先される ことが多く、サービスは細分化、役割分担化される。

その反省から、近年では特養などでのユニットケア の導入が図られているところである。

また、浜崎裕子は建築家の視点から「宅老所より あい」の活動について考察している(浜崎2008)。

「宅老所よりあい」は上述のように最初に宅老所とい う名称を使用し始めたところであり、先駆的な実践 を続けている事業所である。浜崎は、「第2よりあ い」の活動と密接につながっている「N灰)笑顔」と の連携から「地域密着」の意味を分析している。

「宅老所よりあい」は、福岡市中央区で開設された が、その後、地域で一緒に子育て活動をしていた女 性がアルツハイマーになったことがきっかけで、そ の女性を支えるために、「第2よりあい」が福岡市南 区に開設された。この「第2よりあい」とともに、

近隣の下水処理場跡地に高齢者施設を建設するため の運動に、「よりあい」と住民が中心になって、建設 運動が展開された。住民のニーズや希望を組み込ん だ施設建設のためのワークショップが何度も開催さ れ、施設構想が創られた。

しかし、コンペに落選し、代わって「N沢)笑顔」

が創設されたのである。この活動には、介護保険外 のデイサービス、子育て支援事業、福祉・文化活動 等があり、従前から地域社会を土台になされていた 活動が基盤にある。

「第2よりあい」と「NPO笑顔」との連携をみる と、そこに地域密着性が示されている。浜崎は「第 2よりあい」に居住するようになった一人の認知症 女性利用者の事例を紹介している(浜崎2008:140)。 その利用者は「第2よりあい」に「そのまま居つい てしまった」状態で居住するようになったが、「情け ない」と泣いたり、夜になると「死にたい」と周り に電話したりするようになった。そこで、「第2より あい」に住みながら、昼間に

r N P O

笑顔」に通って

友人たちと再会するという方法をとったところ、自 分らしさを取り戻したという。

この事例から、宅老所に住むことになった利用者 にとっては、別に外の世界が必要ではないかという 考えが生み出された。外の世界とは、他者とのかか わりあう世界である。宅老所が自宅になったときに、

自宅が内であれば、外の世界が必要となるのである。

宅老所は利用形態によって、内世界にもなるし、外 世界にもなりうる。

同じく、「宅老所よりあい」の活動をソーシャルワ ークの視点から分析したのが黒木邦弘である。黒木 は「第2よりあい」による南マサさんへの実践例を 取り上げて、「制度や所属機関・施設、専門職か否か を超え、人と人の協働の意味を確認する機会となり、

終末期を支えたケアマネジメント実践である。また、

本実践によって『宅老所よりあい』スタッフは、個 別支援から地域支援へと視点が拡がった」(豊田・黒 木2009:142)という。この実践をソーシャルワー クの「価値・目的」や「視点・対象認識」の側面か ら分析し、個人、家族、コミュニティ、法制度や社 会全体という多次元的な社会関係の介入によって行 為化したと捉えている。ここでいう「多次元的な社 会関係」という言葉に地域社会という側面が組み込 まれている。認知症高齢者のケアを家族や特定の事 業所だけで担うのではなく、いかに地域内の他の施 設や事業所、住民を巻き込み、それらを認知症高齢 者の支援者として組み込むかの重要性を指摘してい る。事例の実践では、家族と関係施設や事業所の専 門職の話し合いに場に、地域住民に参加してもらう ように設定している。

つまり、ここでいう地域密着性とは、一人の利用 者の支援に、専門職や特定の事業所だけがかかわる のではなく、利用者が住む地域社会の住民をいかに 参加できるような場づくりをするかということと理 解できる。

M 地域密着性を土台にした支援

小規模多機能型居宅介護事業は、小規模性、多機 能性、地域密着性が融合したところでのサービス提 供である。これらの3つの特性の中では、地域密着 性が他の2つの特性を成立させる基盤になる。生活 圏域という限定された地域で提供されること、つま りなじみの場でなじみの人々の中で生活を継続でき るということが地域密着の意味である。では、地域

(9)

38 

人 間 健 康 学 研 究 第

4

に密着した支援とは具体的にどのような方法なので あろうか。

1.  自己評価・外部評価における地域密着性のと らえ方

小規模多機能型居宅介護事業は「通い」を中心に、

「訪問」と「泊まり」を利用者のニーズに応じて提供 する制度である。居宅サービスの中に「泊まり」を 組み込み、包括的な支援を目指した。また、この事 業は地域密着型サービスの一つとして制度化された サービスであり、地域とのつながりを前提としたサ ービスでもある。

制度上の地域との密着性について示した事項に関 してはIIで概観したが、さらに、地域密着性につい て具体的に示した公的文書として、自己評価・外部 評価の実施に関する通知 (2006年厚生労働省老計発 1017001号)の別紙1(参考例)があり、「地域密着 性」に関する評価項目が挙げられている。

これらの評価項目は、①理念に基づく運営、②安 心と信頼に向けた関係づくりと支援、③その人らし い暮らしを続けるためのケアマネジメント、④その 人らしい暮らしを続けるための日々の支援、⑤アウ トカム項目の 5つに大分類され、さらに自己点検の 内容として68項目が設定されている。これらの中 で、地域密着性に関する評価項目を取り上げると、

以下の項目が挙げられる。

「理念に基づく運営」の分野では、まず「事業所と 地域との付き合い」の項目がある。これは、「利用者 が地域とつながりながら暮らし続けられるよう、事 業所自体が地域の一員として日常的に交流している」

ことの評価項目である。次に、「事業所の力を活かし た地域貢献」として「事業所は、実践を通じて積み 上げている認知症の人の理解や支援の方法を、地域 の人々に向けて活かしている」という項目が挙げら れる。さらに「運営推進会議を活かした取組み」が あり、これは「運営推進会議では、利用者やサービ スの実際、評価への取組み状況等について報告や話 し合いを行い、そこでの意見をサービス向上に活か している」という内容である。

「安心と信頼に向けた関係づくりと支援」の分野で は、「馴染みの人や場との関係継続の支援」があり、

「本人がこれまで大切にしてきた馴染みの人や場所と

の関係が途切れないよう、支援に努めている」こと とされる。次に「地域資源との協働」として、「一 人ひとりの暮らしを支えている地域資源を把握し、

本人が心身の力を発揮しながら安全で豊かな暮らし を楽しむことができるよう支援している」ことの評 価項目がある。

アウトカム項目では、「通いの場やグループホーム に馴染みの人や地域の人々が訪ねて来ている」こと と「運営推進会議を通して、地域住民や地元の関係 者とのつながりの拡がりや深まりがあり、事業所の 理解者や応援者が増えている」ことが、評価対象と されている。

これらの項目を整理すると、制度上で求められる 地域密着性とは、第1に小規模多機能型居宅事業所 自体と地域と関係性、つまり事業所が地域の中に根 付いているのか、またそのための実践をしているか どうかということである。第2には、利用者自身が 保有する地域密着性を継続できるように支援してい るかどうかである。第 3に、利用者や事業所が属す る地域社会(日常生活圏域)を社会資源として開発

していく支援がなされているかどうかである。

2.  ライフサポートワークによる地域生活支援の 方法

小規模多機能型居宅介護事業が地域密着性を維 持、拡大していくには、上記3点の地域密着性に基 づく支援を具体的にどのように行うかが重要である。

この点については、ケアマネジメントの視点から提 案されているライフサポートワークの方法が多くの 示唆を与えてくれる。まずはこの方法を手掛りに検 討したい。

ライフサポートワークとは、小規模多機能型居宅 介護事業者連絡会が中心となって開発されたケアマ ネジメントの方法である。地域密着型といわれる小 規模多機能型居宅事業や認知症対応型共同生活介護 などに応用されている。この方法の基本的な考え方 は、「一人ひとりの『必要』をマネジメントすること で、目の前の人を支える。地域のなかでのこれまで の暮らしそのものを支えるために、あらゆる資源を 活用し、支援する」ということに示される(ライフ サポートワーク推進委員会2010:36)。

介護保険制度の導入と同時に開始されたケアマネ

(10)

地域密着性に基づくソーシャルワーク支援についての一考察(狭間)

39 

ジメントは、在宅で生活する利用者のニーズに応じ て、必要なサービスを組み合わせてサービスを提供 する役割を担っている。しかしながら、現在のケア マネジメントの中には問題解決型が多いとして、こ れらを批判し、ライフサポートワークは地域密着性 を前面に打ち出す。問題解決型とは、単に利用者の 課題を並べて、それに対応する介護保険サービスを 組み合わせていくというだけであって、利用者の身 体的機能の障害から派生する「できない」レベルに 焦点化してしまい、利用者自身がそれまでに地域社 会で築いてきた多様な人間関係などの暮らし全体を 視野に入れることができないタイプとされる。また、

地域社会との関係を断ち切ってしまう支援になりが ちだというのである。

一方、ライフサポートワークは、利用者が最後ま で自宅と地域社会で生活を継続できる支援、これま でとこれからの生活の落差を和らげる支援、介護だ けを課題とせず生活全体を理解する支援、自己決定 を尊重する支援という基本的方針のもとに実践され る。さらに、これらの方針を具体化するために、① 利用者の関係力と援助者の関係力との協働、②ケア マネジメントプロセスの柔軟な運用、③チームケア の活用と住民参加などを取り込んだ支援方法が組み 込まれている。

1

の関係力の協働とは、まずは利用者自身が地 域社会で営んできた生活を構成する人とのつながり である。なじみの環境においてなじみの人々とかか わりながら暮らしてきたこと、それを少しでも継続 できるような支援である。そのためには、援助者自 身が利用者の関係力を理解する必要があり、具体的 には利用者との日常的なかかわりが大切だとされる。

援助者が事業所内や利用者の自宅だけで支援すると いうのではなく、利用者の生活場面に一緒に付き添 い、利用者自身のつながりの中に参加することで、

利用者の関係力を理解することができる。

利用者のための支援の輪をつくるという方法は、

ソーシャルサポートネットワークという概念で説明 されてきた。しかし、この方法は新たなつながりの 構築ではなく、利用者の既存のつながりの中に援助 者が包含されていくことで既存のつながりを強化す るのである。これに、事業者が保有する地域内での 様々な関係力が加わったときに、利用者の関係力と

事業所・援助者の関係力との協働性が生じるのであ る 。

2

のケアマネジメントの柔軟な運用とは、重層 的なケアマネジメントプロセスの上に成り立つもの であり、長短期的な支援プロセスの中に毎日のモニ タリングとミーティング、即時的プランニングと実 践が組み込まれたプロセスのことを示している。第

3

のチームケアの活用とは、専門職だけで構成され るチームではなく、利用者や家族、さらに地域住民 の参加も含めたチームを意味している。

3. 

なじみの関係となじみの場

ライフサポートワークはケアマネジメントの一つ の方法と位置付けることができるが、その基本的方 向性は介護のみに収倣した方法ではなく、利用者の 生活全体を視野に収めた支援方法の構築であり、ソ ーシャルワークの基本的な考え方を踏襲していると みなすことができる。ソーシャルワークは、常に「人 と環境との関係性」から様々な生活困難を把握する という視点を保持している。具体的には、人と人を 取り巻く様々な社会関係との適合的な調整を図るこ とを支援の目標として設定している。換言すると、

ソーシャルワークは生活困難の解決のために、利用 者とその社会関係に焦点化した支援を行うことを中 心に据えているのである。

このような視点は、皿で取り上げた黒木による「宅 老所よりあい」の分析において顕著に示されている。

一方で、浜崎は同じく「宅老所よりあい」の活動を 分析しているが、その視点は建築家というという切 り口を特徴としており、黒木の分析とは若干の違い がある。それは、空間と場の概念を分析の中に取り 込んでいることである。このような見方はソーシャ ルワークを基礎にした分析にはあまり見られない。

しかしながら、地域密着性を特徴とする宅老所や小 規模多機能型サービスの研究において空間や場の概 念を排除し、関係性だけで把握しようとすることは 十分とは言えない。

浜崎は(浜崎

2008:59)

、かつての特養の施設構 造を批判して登場したのが宅老所であって、それは

「固くて、支配的」であった施設に対して、「柔らか くて、主体的」なイメージをもつとする。そして、

施設空間が

"space"

であれば、宅老所は

"place"

の追

(11)

40 

人間健康学研究第 4 号

求であり、施設が一義的な空間であれば、他方は多 義的な居場所であるという。ここでいう多義的とは、

「居住者の経験によって意味づけられて

"place"

とし て重要性をもっ」(浜崎

2008:84)

という意味で説 明される。つまり、客観的な空間がそこに住まう人々 の経験の蓄積の中で様々な意味を付与され、意味を 持つときに場として構成されていくと理解できる。

地理学者で現象学的地理学の立場から空間と場所 を捉え、場所の意義を強調しているイーフー・トゥ アン

(Tuan,YiFu)

は、空間と場所との関係につい て「最初はまだ不十分な空間は、われわれがそれを もっとよく知り、それに価値をあたえていくにつれ て次第に場所になっていく」という(トウアン

1993: 17)

。空間と場所はそれぞれが定義するために相互に 必要となる関係であり、切り離せない。空間が人に よって価値を帯びてくると場所として意識されるの である。

利用者の関係力と援助者の関係力との協働とは、

利用者の意味で構成される場所に援助者が入り込む ことで、さらに新たな場所の意味が構成されていく ことであり、それが利用者の地域社会での生活を継 続させる力になるのである。

おわりに

介護保険制度における「地域密着性」を介護保険 法に指示された内容から紐解きながら、実践方法で いかに具体化しうるかを考察してきた。そこで、導 き出された支援は、利用者の住まう場の意味と援助 者のもつ場の意味との交差にあると根拠づけした。

このような視点は、機能的分析的なソーシャルワ ークに対して、総合的意味的なソーシャルワーク実 践の創出に結び付けることのできる方向を示してい る。利用者の社会資源を客観化して把握するだけで なく、主観的側面から社会資源を理解する視点の必 要性を示唆したものである。

引用・参考文献

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NPO

笑顔の実践に学ぶ』雲母書房。

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・介護保険事業運営の手引編集委員会編

(2010)『介護保

険事業運営の手引き 小規模多機能・ グループホーム 編改訂版』中央法規。

・翻介護労働安定センター

(2011)

『平成

22

年度介護労 働実態調査特別調査小規模多機能型居宅介護実態調 査結果報告書』。

・厚生労働省

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http://www.mhlw.go.jp/toukeijsaikin/hw/kaigo/  service09 / index.html.2012.1.8

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http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ kaigo/kyufu/10/index.html,2012.1.8

•高齢者介護研究会 (2003) 『2015 年の高齢者介護 〜  高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて〜」。

ライフサポートワーク推進委員会絹

(2010)『ライフサ

ポートワーク実践テキストプック 小規模多機能型居 宅介護・グループホームのケアマネジメント」中央法 規 。

・社会保障審議会介護給付費分科会第

84 (2011)資料 6「小規模多機能型居宅介護の基準・報酬について」

http://w .mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000luuqn. html

、2

012.1.8

• 宅老所・グループホーム全国ネットワーク小規模多機

能ホーム研究会地域共生ケア協会絹

(2011)「宅老所・

小規模多機能ケア白書

2011

」筒井書房。

•東京都福祉保健局 (2008) 『小規模多機能型居宅介護事 業所の調査結果』~

netro.tokyo.jp/lNEf/GiOUSA  /2008/06/ 60i69100.hhn2012.1.8

•豊田謙ニ・黒木邦弘著 (2009) 『「宅老所よりあい」解 体新書」雲母書房。

トゥアン,

Y.

、山本浩訳

(1993)

『空間の経験』筑摩 書房。

・全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会

(2011)「

護報酬改定についての要望書」

http://www.shoukibo. net/indexpdf/20111101.pdf,  2012.1.8

参照

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8208 6959 1249 4938 5014   計      (A) 内 訳

 1 介護予防認知症対応型通所介護サービスコード表 51

  ※5 地域密着型通所介護については、平成 28 年4月1日から平成 30 年3月

該介護保険サービスに係る保険給付を受けることが可能か否か等について、

- 78 - (8) 通所介護事業所のサテライト事業所に係る基準・介護報酬等の Q&A 【人員及び設備等の基準】 <人員基準>

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