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小売配給組織問題

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(1)

小売配給組織問題

その他のタイトル Problems on Retail

著者 柏尾 昌哉

雑誌名 關西大學商學論集

8

5

ページ 389‑414

発行年 1963‑12‑30

URL http://hdl.handle.net/10112/00021619

(2)

389 

小売配給組織問題は︑各種各様の小売商業が最終の社会的配給段階において横に綜合せられて無意識的に成立す る配給組織の問題であり︑配給組織問題の一環を形成するものである︒従って︑ここでは︑小売配給組織そのもの が内包する特有の社会的矛盾に分析の焦点が合わされなければならない︒この特有の社会的矛盾というのは︑全般 このように︑小売配給組織そのものが内包する特有の社会的矛盾の分析に研究の焦点を合わそうとすれば︑当然︑

恣意的ではあるにせよ︑何が︑何のために︑如何にして︑現在の小売配給組織を形成したものなのか︑又︑本来どう あるべきものなのか︑ということを問題にしなければならないし︑そのためには︑社会的矛盾を矛盾として意識な いし自覚する主体が正確に把握されねばならない︒ところで︑小売配給組織に特有の社会的矛盾というのは︑資本 主義経済機構の中でもその発展段階によって相違があるし︑その矛盾を意識する主体にしても変遷がある︒小売配

給組織がうち出す矛盾と︑それを矛盾として意識する主体とを︑資本主義の発展段階に対応しつつ︑統合的に把握 的な矛盾に比較して特徴的に目立った点をいうのである︒

売 配 給 組 織 問 題

(3)

優位性を物語っている︒だから︑ して小売配給組織特有の矛盾の現われる法則を明らかにすることが︑現在の小売配給問題を解明する鍵といえよう︒

商人のヘゲモニーによる配給組織の残留

商業の歴史は古い︒しかし︑商業が一応商業として形を整えるに至ったのは封建制社会それもその末期において

である︒このような商業を先資本主義商業として規定する︒

従ってこの先資本主義商業というのは︑生産が資本によって包摂されておらず︑従って商業がまだ産業によって

支配されていない段階における商業であり︑商人は単に商品流通界の主役であるばかりでなく商品生産そのものの

リーダーでもあった︒つまり︑商品生産の担当者は︑主として自然経済的な農業者や漁業者や手工業者によって代

表されており︑このような分散的且つ小規模な生産者をリードしつつ彼らからの商品を流通させるのが商人の役割

であった訳である︒生産者がこのように小規模で分散しているということは︑商品をめぐるすべてにおいて商人の

現われてくるのである︒ 一層の利益増進のために商人による小生産者層への侵入が問屋制工業という形で

それ故に︑先資本主義商業時代に形成された配給組織は蒐集組織が極わめて整備されており︑買集機関ー←移出

l

蒐集機関︵都市問屋︶という典型的な形態ができ上ったのである︒そして︑これに対応する分配

組織も︑都市問屋

l

卸売機関│←小売機関という形が成立した︒だから︑これらの配給組織はいうまでもなく商

人のヘゲモニーの下に無意識的に形成されたものであり︑商人の利潤獲得に︒ヒントが合わされたものである︒

(1) 

(4)

391 

いうことである︒

先資本主義段階ではこのように配給組織全体が商人の利益のために成立したものであるから︑小売配給組織も勿

論その例外とはなり得ない︒この商人の利益のための小売配給組織は︑資本主義初期の段階まで支配的な地位を占

めて来た︒即ち︑資本主義生産様式の第一期はマニュファクチュア時代をもって形成されるが︑この時代は異論も

あるがまだ商人の生産者への支配力は弱まっていないばかりか逆に強まってさえいる︒なぜなら︑商業資本家が近

代的産業資本家へと脱皮するのは︑狭監なマニュファクチュア市場が︑商人の意志にかかわらず大工業自らの要請

するより大きな市場にとって替えられる段階においてであると思われるからである︒だからこそ︑

ュア段階では︑大革命︵商業戦争︶を経ていわゆる商業全盛時代が出現したのである︒しかし︑この商業全盛は︑

拡大された市場の商品生産を急激に刺戟し︑資本主義生産様式を急テンボで形成させ︑同時にそれは商品生産に専

念する産業資本の確立を促がして来ることになり︑全盛の商業資本は衰退に向い︑代って産業資本が王座に君臨す

るようになるのである︒ マニュファクチ

資本主義経済が確立し明確に産業資本主義段階へ入って来ると︑産業資本が商品世界の主役となり逆に商業資本

えると︑資本主義生産様式が全経済分野に及ぶのは必然の方向ではあるけれども時日がかかるということであり︑

その過程においては多分に前期的生産様式が残存し︑従って叉︑先資本主義的商業の形態が根強く残されて行くと

だから︑産業資本主義が確立し︑大量生産及び大規模生産が一般化するとともに商品生産の規模が桁違いに増大

し︑急速に資本の集中と近代的労働者の激増をひきおこし︑都市の膨張や新設が相次いで見られたにもかかわらず︑ は副次的地位へと転落する︒しかし︑このような移行は︑一挙に短期間において遂行されるものではない︒いいか

(5)

一方においては旧いものを内 配給組織そのものは意外に刷新されなかったのである︒中でも︑小売配給組織は容易に変革されなかった︒

産業資本主義段階において支配的なものが産業資本であることは改めていうまでもない︒旧い封建的機構を打破

して資本主義生産様式推進の主体となったのは︑産業資本家特に工業における産業資本家であった︒この産業資本

家が︑自己の利益のために︑その利益を阻害する封建制や旧型商人と対立するとき︑産業資本が資本の利益を追求

すること自体の中に︑国民的利益を拡大して行くという相対的進歩性が認められたのである︒だからこそ︑

自由競争の行われる産業資本主義段階で︑配給組織問題の矛盾を意識する王体は︑産業資本家階級であり︑彼らこ

そが国民的利益の線に沿って配給組織問題を代表的にとり上げることができたのである︒

元来︑産業資本が資本である限り︑労資間の矛盾を排除することはできないが︑この段階では︑その矛盾も︑産

業資本自体のもつ進歩性の方が矛盾より遥かに大きかったから問題とはならなかった︒このような意味で︑産莱資

本の利害は国民全般の利害を代表することができた︒資本主義社会の基本的階級は本質的に相矛盾する資本家と労

働者とである︒この資本家と労働者を中核として形成される国民全般の共通の利益増進に対して産業資本が有意義

であり得るのは︑国民全般の利益を阻害するものを排撃するからに他ならない︒ところで︑産業資本によって代表

される国民的利益と対立するものといえば︑

って造られた旧い配給組織も︑産業資本によって代表される国民的利益とは対立せざるを得ない︒

だが︑現実には︑配給組織は急速に旧い殻を脱却することができなかった︒むしろ︑旧い配給組織が強く残存し

たために︑旧い配給組織を残したまま︑或は部分的に利用しつつ少しずつ新らしい配給組織に脱皮して行ったとい

うのが事実に近い︒だから︑この段階の配給組織は︑迂回生産の進展があるにせよ︑

いわゆる封建的なものである︒だから︑先資本主義的商人の利益に沿

四四

(6)

らない︒ここでは︑

四五 包しつつ他方において新らしい形を付加することによって極度に複雑化して行ったものといえよう︒

ならば︑どうして配給組織の部分に強く先資本的なものが残存し得たのであろうか︒

第一に︑この段階では商業資本の力はまだ強力であり︑将来は必然的に後退せざるを得ないが︑さし当っては痛

切に追加利潤を追求する必要に迫られている︒そのためには︑産莱資本の圧力に耐えつつ旧来の配給組織を温存し

死守しようと動くことになるのである︒

第二に︑以上のような商人の追加利潤の源泉となり得る先資本主義的なものがかなり残存するという事実である︒

資本主義社会も現実には資本家と労働者という基本的二階級の他に多くの中間層が存在している︒特に︑初期の段

階においては著るしい︒資本主義発展の遅れる農業部門における農家︑家内工業︑手工業といったものがこれに当

る︒このような小規模分散的な生産は︑広大な市場と矛盾するから︑どうしても旧来の配給組織に乗らなければな

① 一般的利潤率の欠如﹂のため商業資本はより大きな追加利潤を手に入れる

ことができるのである︒即ち︑必要以上の商業資本が小商品生産者を徹底的に搾取することによって生きのびて行

② くことになるのである︒

第三に︑旧い配給組織において最も特徴的な緻密極わまる蒐集組織は︑第一部門の発達がまだ充分でない産業資

③ 本主義段階においては或る程度必要性が残っていたということである︒これは例えば次の三点で指摘できよう︒大

規模工業生産の勃興に対応する原始産業の大規模化の立遅れ︑工業都市と原料生産地との距離の遠隔化︑産業自体

の中の不均衡な発展︑これである︒このような諸事項は緻密な蒐集組織を通じて初めて円滑に配給ルートに乗って

解決された訳であるが︑中でも食料品においてはこの事実が目立っていた︒

(7)

以上のような理由から先資本主義商業の遣制としての旧い配給組織が強力に残存して行った訳である︒しかし︑

これはいうまでもなく新興の産業資本の利益とは相容れない︒即ち︑必要以上に多い商業資本が存在するというこ

とは︑何らかの意味で平均利潤の分配を通じて産莱資本の利潤を減少して行くからである︒もとよりそれは産業資

本の急激な膨張によって商業資本の相対的比率減少をひきおこしやがては解決されていくことであろうが︑それに

は時日が必要である︒又︑この必要以上に多い商業資本は必然的に追加利潤の源泉を中小の生産者に求める︒商業

資本の小生産者からの搾取は︑市場を通じてそれだけ産業資本の利潤に食込む結果になる︒この現象は特に小生産

の形が最も強力に維持された農業部門において著るしかった︒即ち︑農業部門の弱小経営は︑土地特有の性格や農

産物商品の特殊性などから︑配給組織において大きく商人に搾取されることになるが︑これは農産物価格を高騰さ

せ︑産業資本にとっても農産物価格高騰←賃金引上げ←利潤減少という線を通して激しく対立するのである︒

けれども︑産業資本を軸として展開された資本主義経済の発展は︑産業資本の勝利という当然の方向へ進まざる

を得ない︒ただ︑遣制の強い配給組織の部門ではそれが妥協と圧力をもっておし進められたということである︒つ

まり︑逆からいえば︑旧い配給組織は新しい産業資本の要求の前に妥協と圧力を通じて次第々々に後退して行った

ということができよう︒そして︑この妥協と圧力とに決定的な区切りをつける時機はいわゆる産業資本主義段階の

終り即ち独占段階突入の前である︒勿論︑国によって相違があるが︑この端初的な形は農産物輸入政策によってう

かがうことができる︒即ち︑或る国では︑産業資本の力は︑遂に国家機関を通じて先資本主義的商人や地主階級の

反対をおし切って安い外国農産物の流入に成功した︒これは︑ようやくこの段階に至って産業資本が商業資本や地

主を完全に支配下においたことを意味し︑あらゆる配給組織の上で産業資本の要求が強く反映し始めたことを示し

四六

(8)

なくとも基本的には変っていないということである︒ 組織そのものも近代化に向う訳である︒

以上のように︑産業資本が確立し独占移行への体制が整って来る頃になると︑配給組織の面でも産業資本の主体

性が強く前面に出て来るようになる︒事実︑商業資本自体も近代化及び資本集中による産業資本への対応態勢を整

え︑いわゆる資本主義社会の商業資本へと脱皮を急ぐのである︒従って︑これら近代的商業資本を主体として配給

ところで︑小売配給組織はどうであろう︒先に結論をいえば︑この段階の小売配給組織はほとんど変らなかった

といえる︒先資本主義商業段階の商人の中核は生産部面であり︑蒐集部面であった︒産業資本が生成発展してから

商人の中心は遂次問屋部門へ移行した︒そして︑それは産業資本の確立に対応して近代化したが︑いわゆる卸売商

業部門に集約されていた︒ということは︑小売部門は先資本主義商業の時代から資本主義商業の時代に至るまで少

事実︑産業資本主義段階では︑商業資本は産業資本の副次的地位に落ちたとはいえ少なくとも流通部門における

独自性を失っていなかった︒従って︑商品の流通においても︑卸売商業者が以下の分配組織における独自性を保持

することができた訳である︒つまり︑大生産者といえども︑商品を大商業資本︵問屋層︶ヘ卸すことで万事終りと

いう形をとっていたということであり︑それからは問屋の主動の下で小売商業が営まれたということである︒

要するに︑産業資本主義段階では小売配給問題が産業資本によってさほど問題にされなかったということであり︑

少なくとも小売配給組織の面ではそれ程大きな基本的矛盾がなかったということであろう︒もとより︑小売におけ

る詐欺的行為やかけひきというような前近代的な現象は︑産業資本主義段階では︑若干の例外を除けば︑スミスの

(9)

396 

い利潤獲得という面に合わされて来るのである︒ いうように完全競争は行われないにせよ激しい競争によって自然的に姿を消して行った︒

既に述べたように配給組織問題が正しくとり上げられるためには常に社会の進歩を代表するものによってでなけ ればならない︒という意味は︑社会進歩に有害であり︑大多数の人間の利益に矛盾するとき︑初めて配給組織問題 が進歩を代表するものによって有意義にとり上げられるということである︒産業資本主義段階では︑産業資本がそ の進歩的立場を代表することができた︒けれども︑独占資本主義段階になると︑もはや資本は進歩を代表している とはいえなくなる︒独占資本主義段階は︑資本主義経済の進歩的な面が全く姿を消し︑その矛盾だけがいよいよ激 化して来る段階であるが︑それにもかかわらず独占資本は矛盾した制度にかじりついて︑その矛盾を国民におおい かぶせて行くのである︒こうして自らは高い独占利潤や最大の利潤を追求して行く訳であるから︑もはや資本は︑

問題を進歩的にとり上げる能力がなく︑むしろ保守反動性を代表するものでしかない︒

だから︑独占資本主義段階で︑配給組織問題を正しく進歩的な面でとり上げ得るものといえば︑勤労小生産者と 労働者階級を除いて他にはないということになる︒何故なら︑独占利潤や最大限利澗のしわよせは︑或は高い独占 商品価格を通じ︑或は低賃金︵低い農産物価格︶を通じ︑或は国家機関の名の下に行われる諸政策を通じて︑究極 的には小生産者や労働者階級に儀牲を強いることになるからである︒商業資本は既に独占資本の支配下に完全に包 摂され︑その力は次第に弱まって来ている︒だから︑矛盾を内包する配給組織を前進的に解決し得るものは︑小生 産者や労働者階級だけである︒それ故︑当然のことながらこの段階での配給問題での焦点は︑独占利潤の不当に高

②独占的生産者のヘゲモニーによる配給組織ほの移行

四八

(10)

が目立って来る︒ 小さくするものである︒

0年頃以降︑百貨店︑スバーマーケット︑

独占資本が成立すると︑産業資本自体の流通部門進出が積極化し︑従来の複雑な配給組織は次第に簡略化し︑そ 第一に︑独占資本主義段階では︑必然的に生産手段生産部門に重点が移行し︑しかも︑この段階での商品流通は︑

大盤に生産された生産手段が大量に次の生産手段に直結し得ることから︑場所的時間的不均衡を生産者自体で処理

⑥ 

できるようになるということである︒これは︑商業利潤を減少させ︑流通過程における商業資本の活動を相対的に 第二に︑大企業の合同や結合などは直接に独自的商業資本を排除するということである︒例えば︑卸売商業を統

⑥ 

合し小売商業を系列下におくシンジケートの成立は︑商人を排除又は系列化して﹁適正な限界﹂におし込むもので あるし︑産業と銀行資本との結合を示すカルテルの成立は︑商業の独自性を奪い価格決定作用をとり上げる方向に

⑦ 進むものである︒

第三に︑恐慌が一般的危機と結合して現われるようになると︑生産者と消費者との直接的連結によって固有市場

不完全競争に対処しようという活動がおこる︒

マーケティソグはその活動であり︑直営商の設置︑通信

旧来の配給経路の省略などなどはその具体化である︒又︑

連鎖店などのいわゆる大規模小売が急速に発展したことは︑以上の傾向に対応するものであった︒

以上︑要するに独占資本主義段階になると︑配給組織における商人の独自性は弱化し︑産業資本の配給組織支配

ところで︑小売配給組織であるが︑産業資本主義段階ではほとんど基本的な変化を示さなかった小売配給組織が の結果︑独自的商業資本は止揚される方向へ進む︒

(11)

独占資本主義段階では激しい変動に直面せざるを得なくなる︒生産者による直営店設置や通信阪売制度開始や連鎖 店設置などは︑生産者による小売配給組織への直接的進出であるし︑百貨店やスパーマーケットによる大規模小売 の出現は︑産業資本に圧迫された商業資本が︑内部で集中独占を行い︑

では中小企業者や中小企業に対して独占的地位を占有しようという苦肉の打開策であり︑

⑧ における﹁配給業者側からの変革﹂である︒

売業界において一角を占めるに至ったのはおおむね独占資本主義段階突入の頃であった︒

いわば産業資本の圧迫下

又︑小売配給組織変革においてもう一っ忘れてはならないことは︑消費協同組合運動の活発化である︒衆知のよ うに協同組合運動の発端は産業資本主義段階から見られるが︑これが経済的に安定し消費協同組合の活動として小 この消費協同組合の運動は︑商人排除の動きとなって具体化されるのが︑その中心は小売部門へ集中的に現われ

る︒これに対して︑独占資本が独占資本の利益のために行った配給組織合理化の運動は︑卸売部門に集中的に現わ れるから︑同じく商人排除といっても趣きは多少違っている︒けれども︑協同組合は︑利潤一般を否定するもので ないから︑商人排除小売配給組織合理化の範囲内で活動する限り産業資本の利益とは互に矛盾しないことは注目さ ところで︑配給組織問題を前進的に進歩的な方向で解決できるのは既に述べたように小生産層や労働者階級であ

るから︑小売配級組織問題にも同様のことがいえよう︒ただ︑この場合︑基本的なものはあくまでも労働者階級に よるものであることを忘れてはならない︒従って︑労働者階級の主動の上での協同組合は︑小売配給組織問題を正

しい方向においてとり上げ得る第一義的なものといわねばならない︒しかして︑今や整理の嵐に直面している多数 れねばならない︒

一方では大生産者の系列下に対応し︑他方

(12)

399 

協同組合の発展︑などはすべてこの傾向を示している︒

の塔細小売商の活動は︑それが対独占資本への対抗として現われるときはその限りにおいて進歩的といえるが︑独

占資本の末端に連らなってそれに奉仕するようになれば︑もはや何らの進歩的役割を担い得るものではない︒

以下︑変動の激しい現在の様々の小売商業界の現象を分析して︑小売配給組織問題の正しい把握の方向を握んで

K.

  Ma

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  " 

Da

s  K

a pi t

a l  "長谷部文雄訳﹁資本論﹂︵第三巻上︶四三九ー四四0

ソ同盟科学院経済学研究所﹁経済学教化書﹂︵第二分冊︶二八二頁

堀新一﹁商業経済学﹂一0

^

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Na

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谷口吉彦﹁配給通論﹂三四四ー一1

R•Hilferding

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  "林要訳﹁金融資本論﹂一1

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ta

l"

林要訳﹁金融資本論﹂三四六頁

1 1

独占資本主義段階では︑産業資本自体の流通部門進出が積極化し︑その結果︑独自の商業資本は止揚される方向

へ進むことは既に指摘しておいたが︑この傾向は小売部門において最も尖鋭に具体化して来る︒大生産者の配給組

織合理化にともなう小売部門への直接進出︑これに対応する商業資本内部の動きとしての大規模小売の出現︑消費

(5

) 

(6

) 

(7

) 

(8

) 

(1

)

(2

) 

(3

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(4

) 

行きたいと思う︒

A ,

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(13)

規模小売業が―彩~O•三彩という数字になる。 せよともかくも資本であるのに対して九人までのものは生業又は家業としての前資本的な零細小売業だと区分すれば、全体の九七・八彩l九九•]形に及ぶのが零細小売業で、

又 ︑ ことはいうまでもない︒この事実を若干統計数字の上から親察して見よう︒ このような大変革の波に見舞われている小売業界でそのあほりをくうのは︑最弱者としての中小小売業者である

日本の商業人口は︑総人口に対し六・七彩であって︑

アメリカの六•六形とは大差ない。

その中で八〇彩以上を小売商業人口が占めているという点でも際立った特徴は見られない︒

特徴のあるのは︑同じような小売商業人口で形成している小売業が極端な零細経営だという点である︒

以下の数字である︒ イギリスの五•五彩フランスの五.0彩よりかなり高いが

つまり︑商業人口自体としてはそれ程とり立てていう特徴はない訳である︒又︑

の中小企業等協同組合法によって︑

1 0 人以下のものをいう

ものと一応の基準が造られているので︑この甚準に従ってみよう︒

︵ 表

1)

によれば︑従業員二九人までの小売業数は︑全数の実に九九・七%l九九・九形に及んでいる︒換言すれ

ば︑小数の大規模小売業を除けば︑全部が全部中小小売業だということになる訳で︑

人の従業員である︒これは︑大して変らない商業人口をもつアメリカの約六人︑

つまり︑商業人口においてはアメリカと大差ないがその単位の零細性はずば抜けており︑逆に

小売商店数においてはアメリカの二倍以上あるということになるのである︒

一口に二九人以下の中小小売業といっても︑中村秀一郎氏のように︑

いわゆる非独占の中小売業が0•八彩i-.九彩大

10

人以上のものが個人資本であるに 日本では一店平均実に二i

イギリスの約五人に較らべて半分

(14)

401 

1) 模 別 小 売 業 推 移

~—- 年度I1952  1954  1956  1958  1960 

区分‑‑‑‑‑‑ 27) 29) 31) 33) 35)

1~2人 1 実%数『026,76~ 1,109,1 862,~2゜I71.  87701,.706 4  92701,.049 9 

3 4人 実 % 数 95.41  93.81  244,545  266,347 248,327 

20.4  21.4  19.3  5 9 実形数 40,216  58,

, 

300  77,028  85,013  91,192 

3.7  4.  76.4  6.8  7.1  10 19人 実 % 数 1 6,941  11,

, 

072  13,267  5,949  20.001 

0.7  o.  1.1  1.3  1.6  20 29 実%数 1,157  1,965  2,173  3,081  4,209 

0.1  0.2  0.2  0.3  0.3  30 49 実形数

0

門 .

0.912 1  10.,100 2  10,.513 11  20,.321 9 

50人以上 実%数 3731  5511  0. 61 39  0.91 44  1,383  0.1  0.1  実 数 1,076,001 1,181,998  1,201,2731  1,244,629  1,287,530 

100  100  100  100  100  通商産業大臣官房調査統計部「最近におけるわが国の商業」 P.3031より作製

2) 雇用形態別商業従業者構成比

̀ 1

l

アメリカ

1

イギリス フランス

30.8%  18.3%  18.6%  34.5% 

職員及び貨労働者 50.1  80.8  62.8  54.6  非給与家族労鋤者 19.1  0.9  0.6  10.9 

I! 

100.0  100.0  100.0  100.0 

(実数) (601)  (1108)  (284)  (264) 

山中篤太郎「日本における商業の地位と展開」 P.11より引用。

(15)

3) 規模別小売月間販売額推移(実数単位100,000

.

1

'

鱈〗実%実%実%尖%実飴実%実%実%

9 9 9

2 4 9 1 2 4 1  

ll

[

1 3 5 0 0 0 0 [ 1 2 3 5  

1954 

29)

125,187  60.8 

40,492 

15,488 

4,595 

2,975 

17,258 

205,994  100 

︐ 

69,590  27.9  69,510  27.8  5,6309  22.5  21,581 

8.6  5,786  2.3  4,285  1.7  22,833  9.2  249,894 

100 

1958 

33)

74,785  25.7  78,593  27.0  65,143  22.4  26,388 

9.0  8,473  2.9  6,285  1. 7  31,635  10.8  291,303 

100 

19f35)

= 

91,684  24.8  88,610  23.9  80,771  21.8  38,739  10.5  13,459 

6,285 

45,326  12.2  370,406 

3.6 

2.2 

100 

五四

通商産業大臣官房調査統計部「前掲資料」 P.4445より作製

(16)

403 

として小売商業数の増加がうかがえるけれども︑

日本では資本以前の零細小企業が少なくとも数の上では圧倒的比重を占めているということになる︒

しかも︑それらは︑︵表

2)

によって示されているように家族労働の比重が高く前資本的存在である︒アメリカ︑

ギリスに比して如何にこの分野の資本主義化が遅れているかが判明しよう︒

このような日本小売業の零細経営は︑必然的に経営能率を低いものにしている

︵ 表

3)

l

10

1 0 人以上という前の基準に照合して︑月間阪売高を観察すると︑総売上高に対して︑

10

i二九人が一︱劣i

1 0

人以上が︱一%

i

五形という比率となり︑全数の

九七・八彩から九九・一形にも及ぶ零細小売業が総販売比率の面では七〇彩から七七彩へと低下しているのに対し︑

0・九彩から一・ニ彩とい僅少な資本主義小売業が販売面では二二彩から二九彩という比率に上昇するに至ってい

るのである︒これは︑零細経営が如何に非能率的な弱小経営であるかということを物語っている︒

少々︑年間にして一五0万円という誠に小規模なものであり︑五人から九人以下の店でも︑月間約七0万円︑年間

小売業界を襲う革新の波は︑実はこの弱小にして幣しい数の零細小売業に最も激しくうち当りつつであるのであ

る︒この事実は︑︵表

1)

によって︑規模別小売業の推移を見れば或る程度把握できる︒即ち︑︵表

1)

一番規模の大きい三0人以上のグループの増加率が最大で︑次い

で 一

0人ーニ九人のグループの増加率が大きく︑最後に︑絶対数で増加はしているけれども九人以下のグループの

増加率は最小であり︑従って相対的には小さくなっているのである︒この事実は︑ここ一0年余の傾向として︑中 約七五0万円という零細なものである︒

4 ︵ 表

)の数字はこの事実を更に端的に示している︒

では︑全体 一人から四人以下の一商店当り月間販売高は僅かに︱二万円 人が七0%l

l

(17)

4) 小売商業月間販売高 (1956 (単位1,000

¥│ニニ喫位

1954→西―一人当ー;; 19541956 

---—-9竺竺_l!~!!_I_ 阪売四]ー増加率

126  I  11.2  I  64  731  5.3  121 

1,627  :  16.3  128 

2,663  :  13.9  114  [  30   49人: 4,276  32.4  116 

35,732  14.l  200 

19.51  83 

 4  9 10  1 9 20   29

50人 以 上

通商産業大臣官房調査統計部「前掲資料」 P.45より作製

208 

3.2  6.1  16.4  14.0  31.8  9.3  7.8 

一方では相次いで多くの脱落者を出しながら︑他方では

② 

絶えず新期部分が補充されて行くのである︒ の零細小売業プールヘと集中して来る訳である︒だから︑ 落者層︑放出された農業人口などは︑

ほとんどすべてこ

が過剰労働力のプールとなっているからである︒経営脱 割には零細小売業数が減小しないが︑

これは零細小売業

まともに食っているということである︒もっとも︑その れば︑前資本的な日本零細小売業が小売業界革新の嵐を こして衰退の方向に進んでいると理解できよう︒換言す く減少している︒これは零細小売が販売面で停滞を通り いるが︑九人以下の零細小売の販売高比率がかなり大き 伸び具合は︑小売業数の場合と全く同様の傾向を示して 見ると以上の事実はより一層明瞭となる︒各グループの

3)

によって規模別小売の月間阪売高推移を

る ︒ は数の伸びの上で停滞現象を示し始めたことを示してい 型及び大型の小売業は順調に伸びているが︑零細小売業

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