九州工業大学研究i報告(工学)N◇・26戊973年3月 ユ3
円弧部材に対する伝達マトリクス法の基本式
(昭和47年9月7日 原稿受理)
開発土木工学教室山本宏
Fundamental Equations of Tran$fer Matrix Method
f◎τCircular A玄c B◎w Memberby Hiroshi YAMAMOTO
In the analysis of structures, the Finite Elemellt Method is widly used in a recent year, On the other hand, the Transfer Matrix Method is used toα
In this paper, the fundamelltal equation$of Transfer Matrix Method for circular arc bow member are show駄These equati◎ns are t◎be apPlied f◎ズthe structures constructed by circular arc bowmembers.
A司furthe欝m◎τe, it is sh◎陥that the equati◎ロs f◎妥c辻c曲玄aピc b◎w member in thi$paper can be used for straight membeL
1. ま え が き
筆者は,先に円弧部材によって構成される構造 物の解析を変形法の手法を用いて検討した(有限 要素法)が(文献1),ここでは伝達マトリクス
法を適用するものとし,必要な基本式を誘導す
る。この際,直線は円弧の特別な場合であること を利用すれば,ここに述べる円弧部材の諸式は直 線部材の式をも含む◎図一1
2 部材座標鶏節点九節点変位など 左端__せん断力ρは座標軸の正方向に作用
(a) ここにいう円弧部材とは,その材軸が一 するものを正,曲げおよびねじりモーメントM,平面内で円弧をなし,かつ材軸を含む面に直角な 7▼は座標軸の正方向にむいて時計まわりの向きを 方向から荷重が作用するものとする。 もつものを正とし,変位もそれに共役な節点力と (b) また,ねじりモーメントが作用する場合 同じ向きをもつ場合を正とする。
に,平面を保っていた断面はもとのままの平面を 右端……Ωは座標軸の負方向に作用する場合 保つものとし,そりの影響は無視することができ を正,Mおよびrは軸の負方向にむいて時計ま
るものとする。 わりに作用するものを正とし,変位は軸の正方向 (c) 部材の任意点に接線,法線ならびに材軸 に変位する場合ならびに軸の正方向にむいて時計を含む面に直角な方向を考え,これを部材座標系 まわりに回転する場合を正とする。
にえらび,図一1に示す方向を正とする。
3。変位と断面力
(d)円弧部材をその中心から見て,部材の左端と右端をきめ,節点力と節点変位を次のように 図一2は,垂直下向きの等分布荷重gをうけ
考える。 る線要素である。これについて力のつり合いを考
えると次のようになる。 微小長ABを直線と見なせば,
・ M.醐 4θ=_⊥4ぷ
M 五1 ぷヘ
ノ③ \… ∠ψ=「』
、 / ここに・E1およびGJは・それぞれ曲げ剛性,
\φ / ねじり剛性である。したがって,
\ /
\ / . ゴθ≡θ8一θ十4θ s、 d伊 /
ノ
・ 一θ・C・SW一ψ・・iW+一夢4・
図一2
4ψ=ψβ一ψ十∠ψ
∵㌫㍗ρ戸 …①上式∴㌘:鷺:㌢ら
(b)
蕊驚㌢隠1㌢ ばθ一艶一w
−・ 4ψ一雀「∂・+θ・輌
微少頃を無視して,
これより,
4M十τ・4ψ一〇・4ぷ=0
∴誓+菱一ρ一・ …(2) M一班(畏+妥)
⑥こ麗欝蕊+の⑭
一睾(陽の …(5)+9・冶・2R・i啓一・ T−G」(旦_4ψR4ぷ)
∴吾一晋一・ …(3) 一一畏際+{絵) …(6)
式(2)に式(1)を代入すると, ただし・
(すなわち,たわみ角とねじり角)を,それぞれ である。
θおよびψで表わせば,ABが剛体的に変位す 式(5),(6)を式(2)に代入すると,
る場
h㌔鷲lin4, Ω一牛1
ぷ㌶;二鷲巖B両綱の 一畏(跳一λ砦一(仁λ)%)
たわみ角およびねじり角の変化量は, , …(7)
4θ一45/ρ (ρ:曲率半径) λ=G Eノ …(8)
4ψ=ω・4ぷ(ω:ねじり率) 式(3)に代入すると,
1:4
(1十λ)陽再λ{謬一・…(9) −C・・c・sψ一己@・sψ+貴・i碑)
式④に代入O 一宇誓 一 …(・7)
まを ==影…但)M畏(喘・sr
万一R・θ一一R・晋 +誓) ・・恨)
一一R蒜一一砦 …(・・) r一妥(一ρ+ρ孟鋤
式(9)と(・・)よりW耐を消去するカ・は 橘晶…針鑑り…(・9)
ず式(9)より,
多裏一一卑筈+誓 ρ一一r綴(スc一寄り ・一(2・)
これを式(・・)に代入すると, 上式恰軌る積分定数C・〜C・は境界条件から 求められる。部材の右端および左端に,それぞれ
戸☆謬+爵砦一晶誓 (M門馬・㌦馬原のならびに(眠
…(12) TL,ぴ;萄L,θL,ψL)が存在するものとすれば,
式(12)を式(9)に代入して, 次の諸式を得ることができる。
袈畷+筈=唱(鵠夢) …(13) ω:鶯ご㌶∴)
いま等分楠甦考えている聴式(13)は・ @一顎(・+λ)(・in□…ψ).
一(1十ス)ψC◇S亨})
て,この式の一般解は,
閲一q+C,.鵬輌+q.ψ。inψ +蒜(4+2λ《・+λ)輌一ψ・
+C・…s針ぱ・ψ・・sψ芸筈 二2(2+λ)c°sψ) (21)
…(・5) ∂一万Lc・sぽ・inψ+(1+嘉釜2τLψ・・sψ 変位と断面力は,式(5)(6)(7)(且)および R2ML .
(、2)より次のように求めることができる。 −2酬((1+λ)(sln輌c°s妨一2si碑)
万一一硲
秩E c卿一q(・ 卿二ψc°sの +瓢(2(・一・・sψ)+(・+λ)ψ・i碑)+CボslnいC、(cosψ一ψslnの
÷器ρ …(・6) 、+蒜((・+λ)(・i卿+ψ・・sの
一2(2十λ)sinψ十2ψ) ・ (22)
輪r…汕+ぴ(輌苛葺ス・・sり 一
ぽ・・inψ+研・c・Sψ一(1+壼芸斑卿ψ断霊二㌫.、inψ+α.R、inψ 顎((・一λ)・i碑+(・+λ)ψ・・sψ) T一ご㌫鵬+ぴR(、一。。sψ)
づ鑑(1十λ)(sinψ一ψcosψ) ρ一;驚s 卿) …(24)
一撒(・+λ)(2一ψ・・i碑一2・・sψ) ここでも・□とお嚇眠丁馬ρRの式
が求められる。
…(23)
上式で,ψ一αとおけば,晦,孤,森の式を得 4・格間伝達式
ることができる。 以上によって,円弧部材に対する格間伝達式が 式(25)のように求められる。
ω
万
万
M
τ ρ
1
‥・inα仁・・sαiを芸D芸Fi ・・
… sα一・inαi歪1β一蓋」C昔メi統・
・・inα・・sα 鴛H}C蓋」E揚Di砺・
0 0 0 i cosα 一sinα Rsinα i 2MloR
O O O isinα cosα R(1−cosα)i 70R
◎ 0 0 { ◎ ◎ 1 { @o査
◎ 0 ◎ i O ◎ 0 { 1
脚
万
百
M
T
ρ
1
…(25)
ただし,
ぷ一1フλα・甑α一子(レe㈱の一一
β一サ・i負α一宇(s1紅α十α・cosα)
c== _1十λα◎sin{宴
λD=(1+ス)(α・cosα一siM)
E=一(1一λ)sinα一(1+λ)α・cosα
F−1ワλ(・inα一α…Sα)一そ(α一・』)
、+乎α・inα] (
玩・R一含多li:[畢(si・ぼα+α・cosζ慧) 1
一そ(2+λ)・』詞
面…怨5[(・+λ)(2一α・・i蕊α一2・・sの]
M。尺=gR2(1−c◎sの
τoR=47R2(α一sinα)
_(26) ρ・RrRα
⇒[2(2十λ λ)(・一)一誓/式(25)』_こともでき:127)
17
匹 乙 ゜ (28) 一旦.ρ・一.L4
式中,γは状態量ペクトル,Fは格間伝達マト 2E1 6E7
リクスである・ 4輌・一ψ・一ぴ一音丁・
なお,式(25)の極限値を求めると,
1im脚・r・_θ・.1+上M・
ひ奪 2E1
+晶c・+壷、4 鞠伊一θ・一θL音M・
鵯M・−M・+@・1+争
1imτ忍=7膓
α→0
1imρL=ぴ十4
α→§
釦
θ
ψ
M
r
o
1
…(29)
となって,これは直線部材の場合の式である。た だし,式中∫は直線部材の長さである。式(29)
をマトリクス表示すると,
・一匡・i嘉 ・ 晶i耐
… irlr ・一嘉{θ㌍
… i・一÷・iψ許
[
… 11 ° zi嫌
o o oi O 1 0 i駕R
o o o i O O l iαR
o o oi o o o i1
ω
θ
ψ
M
τ
0
1 L
…(30)
となる。すなわち,直線は円弧の特別な場合であ
るという考えによって,上記のように,式(25) とおいて,式(25)より荷重頃を省いて,
なお,式(25),(30)の格間伝達マトリクスの 」 」 一 最後のi列は荷重頃であって,荷重によってきまる ただし,
ものである(ここには,等分布荷重が作用する場
合を示している)。 五一 1−・inα1−c・Sα
O cOSα 一Slnα 5.変位と断面力の関係
O smα c◎sα
次に,式(25)より,部材両端の断面力と変位の関係式を得ることができる。
五情ニー璽二璽これよi こ鶉;㌫㎡
…(33)
α盈=五gL十五〇L
o・一五・α 式(33)が部材両端の断面力と変位の間の関係式
であるが,これを詳細に示せば式(34)のように なる。
2 ハぜL = R2
rL
ρL
MR
rR
ρR
=元一竺こ㌘i二ll≡IR二i!R l巴
一4 ∫ 72 ; α 4 ¢ 斑R
∴㌫;Ri::R∴一:副:
…(34)
ただし,
α=2」E1λ(1−cosα)[(1一λ)sinα一α(1十λ)]/ぷ
‥酬(1一λ)[α2(1+λ)−2α・sinα+(1一λ)甑2α1/ぷc==E7λ[α2(1十λ)2−(1一ス)2sin2α]/ぷ
4=21ロス【α2(1十λ)十α(1一ス)sinα・c◎sα一2sin2α!}/ぷ
松=2EZλ[(2−−2cosα一αsinα)sinα一(1一λ)(1−cosα)(α一sinα)1/5 ∫−2酬[α2σ+λ)c・sα械c・sα(1−2λ÷2λc・sα一λcos・の一2sin・α]/・
g==2」E∬λ(1十λ)[α2・sinα一(1−cosα)(α+sinα)]/ぷ
ゐ==2G♂[一α((1一λ)si】【120》一(1十λ)(1−c◎sα))十(3一鴨λ)(1−−cosα)sinα]/5
〃‡=GJ[(1十λ){α2(3十λ)一・4α・sinα一(1十λ)sin2α}−2cosα{α・sinα・(1一λ)−4(1−cosα)}]/ぷ _
・−2ω(・一・・sα)[(・+λ)(一α・、豊。:α+α+・inα)一αλ・・sα(・一・・sα)]/・
θ=GJ[α2(1十λ)(1十λ十2cosα)−2α(3十λ)sinα十8(1−cosα)一(1+λ)2sin2α]/ぶ 〃=2Eゾλ[一α2(1十λ)cosα一α(1一λ)sinα十2sin2α]/ぷ
ぷ=2[α(1十λ){α2(1十λ)一一4(1−cosα))一(1一λ)sinα〔α(1一λ)sinα一4(1−cosα)日 …(35)
式.(34)は格点伝達式を導くときに必要な式である。式(25)の場合と同様に,式(34)もその極限値 が直線部材に対する式となる。すなわち,.次の式(36)がそれである。
19
ML
欠L
ρL
MR
!l:
一Ψ ・ 竿i畢 ・ 2…11㎡
・ スゾ ・]・ 一♀ ・ 桝
・2班。週i−・2班。旦ぴ
13 12 1 13 ∫2
畢 ・一竿i一早 ・一竿
・♀ ・i・」子 ・
1響 ・一雫i−1響 ・一警
z〃没
θR
ψ驚
…(36)
伝達マトリクス法の式に一致する。
6・あ と が き なお,ここには,格点伝達マトリクスや境界マ
以上,円弧部材に伝達マトリクス法を適用する トリクスを示すことはしなかったが・これは取り 際に必要な基本式を示した。 扱う構造型式によってきまるものであり,ここに この基本式は次のように用いられる。 示した基本式から得ることができるものである。(a) 円弧部材によって作られる構造物を解く 具体的な構造型式に対する適用については・稿 場合には,ここに示した式を使用すればよいこと を改めて報告することと致したい・
は申すまでもないが, 参考文献
(b)醐鯛と醜綱の齢こよって作ら ユ)山本宏、格子げたの締について,九州工業大 れる構造物の場合には・直線部材に対しては円弧 学研究報告(工学)第24号
部材の式の極限値を用いればよく, 2)R.Kersten:Das ReduktioDsverfahren deτ
(c)髄物縫綱とも醜醐で作られて 3)B㌶義灘欝瀧嗣クス法(コンピ
いる場合には・全部材に極限値を適用すればよ ユ_タにょる構造工学講座 1−2−B),培風館 い。この場合には,直線部材を対象とする従来の 4)山崎徳也:構造力学 輻共立出版