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天然有機物中のカリウム・カルシューム及びマグネ シュームの定量実験における一考察
著者 池尾 和子
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 3
ページ 31‑36
発行年 1967‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10105/6136
化学教育 1
天然有機物申のカリウム・ガルシューム及び マグネシュームの定量実験における一考察
池 尾 和 子 (化学教室)
1、序 論
天然有機物として 山の芋や 膠の分析を行なってきたが これ等の天然物中に含まれるカリウム やマグネツエームなどを定量するにあたって 試料を磁性ルツボを用いて灰化すると灰化前よりもカ りウムの含量が炎光分光分析により増加することか明らかとなった
一般に学生実験においては天然有機物中の金属元素の定量実験においては まず灰化して有機物を 除き その後 灰分中の金属元素の定性定量分析を行なう。灰化は直接 白金ルツボを使用するのが 望ましいが 有機物を直接最初の灰化に白金ルツボを使用し 強熱すれば 白金の炭化物を生じ ル ツボを犯かす。そこで あらかじめ 有機物を磁性ノしツボで灰化する過程を省略することば出来ない。
上記の如く カリウムの含量が磁性ルツボ中で増量することが 明らかになったので 今後市販の白 色磁性ルツボを使用して 灰化した試料中のカリウム.ガルシューム及びマグネシュームの定量実験 に対し 補正すべき factorを導き出した。
2.実験の部
2.1 実験条件の選定
実験に先立ってこつの条件を決めれ a)灰化する場合の灰化法
乾式灰化法によるか 湿式灰化法によるか 先っ二つの灰化法を予備実験として行なった。
湿式灰化法は 乾式灰化法より 低潮こ於て試料を灰化させ得るので 試料中のカリウム.カ ルシューム及びマグネシュームを定量する場合 出来るだけ低温で灰化させて気化其の他こよろ 損失量をノ比くしだ榊湿式で灰化させると 液体が飛び散り 蓋の嚢1に試料が粉末状で 固着 したり 蓋の隙間から飛散し 定量実験としては よい結果が得られないので 今回は乾式法 を採用することにした。
b)比較実験試料としての既知試料
カリウム.ガルシューム及びマグネシュームの既知の試料としては1:。レツボ中で灰化させる 状態が 膠のように 煙を出してもえるもの、また灰化前にも金属元素を定量するため2:水 に対する溶解度の大きいものを選ん心
その結果 次の試薬を既知試料として用いた。試料は有機塩と無機塩とを比較するため各金 属元素につき 2種の試料(市販の特級品書たは1級品)を用いた。
一31一
カ リ ウ ム 有機物
○d酒石酸カリウム. 酒石酸カリウム.修酸カリウム
k
無機物 ○塩化カリウム.炭酸カリウム無水物 ガルシューム 有機物 栂酸ガルシューム
Oa
無機物 塩化ガルシューム・6水瓶 。塩化ガルシューム・2水物,炭酸ガルシューム
有機物 ○酢酸マグネシューム
マグネシューム
Mg 無機物 塩化マグネシュ ム・6水物
。印 試料 2.2 定量操作法
サ
カリウム: ドータイトカりボールによる重量分析
カルシュ_ム及びマグネシューム1 キレート滴定による容量分析2 其の他は常法による。
2.3 実験方法及ぴ結果 a)各試料の灰化 ⑦灰化温度範囲の決定
試料は その融点以下で灰化することか望まし1↑。加熱して融点に達し 試料が液状になる と 固俸のま㌧では ルヅボを犯さない場合でも 液状では 融点以下の低温でも ルツボを 犯すことが多い。又更に試料が液化すれば ルッボの紬薬中の金属元素が試料中に混入した り ルツボ中の硅酸が出て試料中の金属元素を包みこんで不済性のものにしてしまう事も考え られる。有機試料の場合は 表1.に示すように分解生成物の融点以下又はその附近で灰化させ た。有機試料のうち酢酸マグネシュームのみは 比較試料として 1:および2:の条件は満 足されるが 8びO附近て液化するので今回のテストより除外し その他の試料は601−C 800.Cで灰化した。
㊥⑦で決定され」た灰化温度範囲内で各試料の灰化を試みた。各温度で2時間灰化したが 灰化 時間を一定に保つため 熱電対を使用し 咳た電気炉は島津製作所製のものを使用した。炉の 温度は 最初から 400dG.500.O または600〜に固定したのち その炉中に試料を入 れた。それ等の実験結果を表2.に示した。ここで一都磁性ルツボを用いた場合と比較するため にニッケルルツボを使用したものを表示し穴。
θ 灰化渥度変化による灰分中の金属イオンの増減
灰化前の試料中の金属イオン濃度をl o oとして灰化後の灰分中の金属イオン濃度との比 を表わしたのが 妻3.である。この場合力■1ウム、ガルシューム及びマグネシュームの定 量はキレート滴定法によった。特にカリウムについては 高温になるにつれて灰分申のカリ ウムが増量するので磁性ルッボと石英ルッボの両者による結果を表4.に示した。
θθの中でカ九ソユームおよびマグネシュームが多量消失しているので 更に次の実験を行 った。すなわち灰化後磁性ルツボより灰分を除いて その磁性ルツボを水で洗浄後恒量にし て秤量した。その結果表5。に示すようにルツボの重量が増加している事がわかった。
一32一
表1.各試料の灰化温度範囲
\ カリ ウム K ガルシューム
Oaマグネシューム Mg
≡料 塩 化 カリウ ム 酒石酸 塩化カル 酢酸カル 塩 化 酢 酸
カリウム シューム シューム マグネシウム マグネシウム
灰化温度 KCl CaC:11・理O 靱ユダ錫0
400.C 80.C
以
○鋤ゆ 靱グ 上
500.O m.P: 6里qよ で
7720C 灰化温 液.
理。o5 以下で 度の変 北上
6000C
の分解点 灰化 化によ す
・89ヅC り生戒 る
KC]・の 以下で 0aCCρ 物が異
の1700.C
m.P.:灰化 分解点 なる で
7ア8C 82ボC 灰
附近で 附近で
化1800.C 灰化 灰化 実
験
9000C
省一 略
1000.O
(注) 試薬の融点及び有機塩では灰化生成物の融点 酒石酸カリウム:230.Cで分解
カリウム1
塩化カリウム:ア76.C 酢酸カルシウム:分解
カルシー.ム1塩化ヵルシゴム、プア灼
炭酸カリウム:891.G
炭酸ガルシューム:825.Cで分解
酢酸サネシューム:80氾以上で液化
マグネシューム {
塩イトクネシューム:120.Oで分解 酸化淋シューム:2500。① 6水物
表 3 灰化温度と金属イオン濃度変化
、
カ り ウ ム @ k
ウ機化合物」有機化合物
ガルシューム
@ Ca
ウ機化合物 有機化合物
マグ森ぎゴム
ウ機化合物
七.一.一察 400.C
100
@ 一
100
@一
100
W6.28
100
@一
100 50ぴC 72.09 一 86.23 一 64.14 @一
600.C 78.94 94.61 ア6.66 一
8950ア00.C
11Z35111.ア2 72.88 91.78
9940800.C
11989112.97
,94.57 100.48
900% 一 一 一 94.67 一
1000.C
・ 一 一 一 一
.33・
表 2. 灰化温度と灰分量の変化
ω ム
キ ニッケルルツボによる灰化実験値
試 料 ・化温度 400.C 500¶ 600.O 700.C・ 800% 900qC 1000%
灰化前重量 ‡
Q.3109 12.0651 一 O.495511.6ア8ざ 一 @ 一 ま Q.0861■2.0861 1.8699 酒 石 酸
灰化後重量 1.4938い一2ア07
0.29821t0353■ P.29ア211.2927 1.1530
カ カ リウ ム
35,31 3&5 一 R98■ 38.5
リ
減少率 % 38.0138.3 38.3
ウ
灰化前重量 1.2463 1.9891 1.15ア7 1,851ア
ム 塩 化
灰化後重量 1.2427 1.9798 1.1505 1.8036 カリウ ム
減少率 % 0.27 0.48 0.62 2.6
灰化前重量 , Q.035812刀52† 1.4748 一
P.499712,002喜 11.9897 酢 酸
カ 灰化後重量 0.733010.8686 0.4921 0.481810.ア318 0.6881 ガルシューム
λ
ツ 減少率 %
62.281 63.48 一66.83 6ア.5ア163.46 65.42 ユ
1 灰化前重量 1.8651 1.0565 1.4573 1.0947 1.4983
ム 塩 化
灰化後重量 1.7859 0.ア649 1.0546 0.8227 1.0192 ガルシューム
減少率 % 4.25 2ア60 2ア64 28,41 31,68
マ 灰化前重量 1.4879 1.0016 1.1114 1.0328
グ
ネ 塩 化
シ 灰化後重量 0.8639 0.2061 0.2256 0.2334
ユ マグネシウム
1 減少率 % 41.48
7942ム ア970 7740
(灰化時間はすべて2時間)
表 4 磁性ルツボと石英ルツボ中の灰化による灰分中のカリウムの増減
灰 化 ル 温 ツ 度試料ボ
430cC
500.C
600% 630%700.O
800叩磁性 一28.0 一21.0 一←1Z8 十199
塩。.化カリ㍗
石英 一6.0 一25.5
酒石酸
Jリウム
磁性 一5.4 十11.7 斗13.0
石英 一22.0
(単位%)
表 5 灰化後の磁性ルツボの増量と金属イオンの(変化量)関係
カ ル シ ュ ーム 灰化前のルツボの重量 灰化後のルツボの重量 700約
ルツボの増量 灰化前の
塩化ガルシューム2水 化物の重量
灰化前の塩化ガルシュ ーム2水化物中のガル
シュームの量 ガルシュームに対する ルツボ増量の比率
2Z98519
2ア9983
+0.0132
/.0947
0.2984
4.4%
マグネシューム
灰化前のルツボの重量 500.C
灰化後のルツボの重量 ルツボの増量 灰化前の
塩化マグネシューム6 水化物重量
灰化前の塩化マグネシ ューム中のマグネシュ ームの量
マグネシュームに対ず るルツボの増量比
29アア099
297902