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実施報告 サテライトキャンパスの実施報告 Progress report of Satellite campus Tokyo

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Academic year: 2021

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はじめに

東京にサテライトキャンパス設置という案は,大学 院の存続を危惧されていた故小田奈美枝事務局長との 話し合いから計画が始まった.事務局長の熱意と的場 理事長と山村学長の力強い支援を得て,まず高次脳機 能障害コースが先導的役割を果たすことになった.

何の下準備もないうえに,当校は東京では知名度も 低く,校舎どころか教室も事務所もないところからの スタートだった.しかも在京の大学院はどこも少子化 の影響で生き残りをかけて,大学院システムを魅力的

に大改革している時期であり,当校は暗中模索の手探 りであった.

Corresponding author:

新潟リハビリテーション大学

〒958-0053 新潟県村上市上の山 2 -16 Tel:0254-56-8292

Fax:0254-56-8291 E-mail:[email protected]

実施報告

サテライトキャンパスの実施報告 Progress report of Satellite campus Tokyo

道 関 京 子

新潟リハビリテーション大学大学院 東京サテライトキャンパス

オフィスビル内案内板 講義室入口

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道関京子

大学基準協会の「社会人と大学院教育1 )」からは,

我国の大学院教育の現状は OECD の中でも最低レベ ルである.その根本問題の一つは大学が提供するもの と社会が求めるものに深い gap が生じていることで あると指摘された.人口減少で競争力の課題が曲がり 角に来た現在,求められている大学院教育は,理論中 心の教員養成ではなく,on the job training,社会人 が社会の中の専門学に直結する実学としての学問の提 供であることを強調された.そのためには社会人が必 要とするカリキュラム改善や実務家教員の発掘,

e-learning 型講義などが重要であると,先行している 全国の大学院から指導を受けた.日本もようやく諸外 国のように,自分で稼いで自分で教育を選び受ける本 来の高等教育実現に向かう時代に入った.つまり主体 性に任せた教育の実質化に舵を切らなくてはならない 時期であった.

当大学もこれら指針を受け,時代の要請に合わせら れる,社会人向け大学院の特徴を検討していく方針を 固めた.しかし教育カリキュラムの変更つまり専門職 大学院のカリキュラム編成は認可の問題も生じるとい うジレンマもあった.対応として,サテライト担当教 官が理論教員と実務教員の 2 役を担う覚悟をした.さ らに関連する他大学や学会のほか,出版社,地域施設,

企業の支援を依頼していくことにした.さらに開設に 向けて大きな力となったのは,社会人が現業を継続し ながら学べるという e-learning 型システムを浅海学部 長が絶大な力で作り上げてくれたことであった.

池袋キャンパス開設から秋葉原キャンパスへ

このようにあたふたとした準備 1 年で,2016年 4 月 に池袋東口に開校したサテライトキャンパスに 5 名の 新入生を迎えた.年齢も20代~50代と幅広く社会人大 学院として,キャリアアップから学び直しまで広い層 であった.院生の出身は東京近郊 4 名のほか,札幌か らも 1 名あり,学業支援には事務担当の加藤さんとも ども教職員みなで配慮していった.

2017年 4 月からは,学業のやり易さが配慮され秋葉 原にキャンパスを移し,さらに 5 名の入学者を受け入 れて現在総10名が学んでいる.運営は手探りであり,

とりわけ 1 回生は不備・改善を繰り返す不手際にも耐 えてもらいながら経過したが,意識の高い院生の熱意 の強さで乗り越えてきている.2 回生も遠方からの入 学者が多いにもかかわらず,これまで台風直撃の日以 外には,全員 1 日も対面講義は休まず受講が続けられ ている.

さらに,臨床学に欠かせない症例を通した研究も,

2 年の間に少しずつ周辺地域支援者が増えてきて現在

講義風景 講義室

合同勉強会

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サテライトキャンパスの実施報告

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は30人以上となり,合同勉強会も定期的に行われるよ うになった.この合同勉強会には他大学院生までも参 加希望がでてきて,生のケーススタディで確認しなが ら研究を進める当大学院の特徴が育ってきている.

大学院高次脳機能障害コースの状況

当初は,サテライト教員と非常勤講師の数名だけが 対面講義であり,他はメディア収録講義なので,この ようなシステムで十分な学業・研究ができるか心配し ていた.しかし思いがけず,メディア収録講義は,向 学心が高い院生には対面よりむしろ有効な面も多かっ た.いつでも空いた時間に受講できるのは最初から分 かっていた効果だが,これは何回も受講できる,繰り 返し学習できることでもあった.質問が即時にできな いことは不都合な面であったが,それが自分で調べる 機会を増やすことにつながった.皆がそれぞれ国会図 書館や他大学図書館にも世話になりながら,彼らが自

分で学ぶ積極性も育てられた.

さらに時々教室に集まった院生どうしで各講義につ いて議論し合う中で,問題点がでると再度全員でその 講義場面で再確認しあったりしている姿が何回も見ら れた.また講義が終わって何か月後に,修士研究など で気になる部分を見返している院生も多かった.これ は,収録講義でしかできない利点であると思われた.

そして,当大学院カリキュラムの特徴である他専門 も含めた共通科目の必須制度や他専門講義も受講でき るシステムは,社会人院生にも有意義と受けとられ た.なかでも当大学教官の熱心な講義の底にある学究 に対する真摯な姿勢や精神からは,触発されている様 子が伺えてきた.彼らにとって really pay off ! という か(失礼な言い方ですみません.院生の直接のこと ば),全員がこの大学を選んだ甲斐があったと言って くれている.

ただし専門の講義に関しては,問題点も明らかに なった.院生は研究に関する力はこれからであるが,

専門分野に関しての知識と経験は,教員の講義レベル をはるかに超えている者も多い.みな現場および地域 の最前線でトップの力をもって部下や地域,学校で教

討論風景 2 討論風景 1

Xmas 看板

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道関京子

えている.大学で教えている院生もいる.現場から強 い問題意識と意欲をもって入学してきたのである.学 部から進学してくる院生とは求めてくるものが違う.

この院生側から求められる教育の質の違いが,とりわ け非常勤講師には理解されていない場合もあった.専 門家への高い教育という点を,今後教員側の課題とし て検討していかなくてはならない.

また課題としては,本校院生との交流についても今 後考えていきたい.サテライト院生は学長や加藤さん の暖かい対応や指導,キャンパスを学びやすく準備く ださった事務の方々の配慮,伊林コース長はじめ各講 義教授の人間観・研究観に接し,入学から日ごとに当 大学・大学院へ愛着・帰属意識を持ってくれている.

しかし,同期であり同講義で学びながら本校院生との 交流は事務的なこと以外まったくない.同期の仲間の 存在は,生涯をかけ研究や専門を助けあい切磋琢磨で きる貴重な宝である.本校およびサテライト院生お互 いに同期の仲間がいる認識を育ててあげたい.

修士研究の現状

修士研究に関して, 1 回生の研究テーマは,認知症 に関するもの 2 題,小児発達に関するもの 2 題,吃音 1 題である.2 回生はまだ計画申請が未承認である が,認知症 3 題,失語症 1 題,小児発達 1 題が予定さ れている.

このようにまだ修了生がでていない状況であるが,

院生は,講義や研究に関して頻繁に集まり,様々な評 価や臨床トレーニング,パイロット実験などを重ねる 日も増えている.さらに彼ら全員が,論文発表(臨床 言語研究),学会研究発表(日本言語聴覚士学会,中

国リハビリテーション医学会総合学会)や学会シンポ ジストや学術集会長(日本全体構造臨床言語学会),

セミナー講師(国際治療主催)などの学術活動も平行 しながら進めている.

特に報告すべきは,2018年 1 月に大阪で開催予定の 国際治療主催の失語症セミナー(医師・医療職定員 200~300名)は,講師全員を当大学大学院生( 1 名の み村上本校大学院修了生)で開催できる予定である.

今後に向けて

来年はサテライトに運動機能コース開設が決まり,

今年はその準備や広報も主に行ってきた.運動機能 コース講習会も企画され,新たな展開に引き継がれて いる.

高次脳機能障害コースは,これまでただ開設と運営 に忙殺されてきたが,次年度は少し落ち着いて,当大 学院独自の研究結実も具体化していくつもりである.

サテライトキャンパスは,これからも新展開時に向 けた問題点を解決しながら,試行錯誤は続くと思う.

しかし,小田事務局長が願った発展の可能性は,若い 知見のエネルギーを糧に確実に芽を出しつつある.教 員,院生一体となって医療貢献,社会貢献の研究を育 てていき,新潟リハビリテーション大学院の独自存在 を確立させていければと願っている.

参考文献

1 )安部善博,柴健次:大学院における高度人材の養成.社会

人と大学院教育シンポジウム,公益財団法人大学基準協会主

催,2016.

参照

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