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論文内容要旨

昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟(スーパー救急病棟)における 入院患者の傾向

昭和学士会雑誌 第78巻 第1号 61–68頁 2018年

内科系精神医学専攻 原田敦子

精神科救急入院料算定病棟(スーパー救急病棟)は,精神科救急医療と急性 期治療を行うユニットとしてハード面,人員面,運用面などに多くの義務を課 せられている反面,治療方針についての具体的な明記はなく,さまざまな特徴 を有す患者の個別性に留意した治療方針の選択が求められる.さらに急性期治 療から疾病教育,外来治療への移行までを限られた期間の中で行わなければな らない. 昭和大学附属烏山病院はスーパー救急病棟 2病棟を有し,単科精 神科病院としての臨床業務と大学附属病院としての研究・教育等を両立し ながら運用されている。大学病院におけるスーパー救急病棟は比較的重症 度が高い患者が非同意的な入院で高頻度に入院し,一定数の医師が確保さ れ,治療法の偏りが比較的少ないと思われること,短期間での入院治療の 結果が得られることなどといった利点があることから,急性期治療の実態 を把握するには理想に近い環境にあると考えられる.我々はスーパー救急 病棟における治療の質的な向上のためには,患者背景や治療について実状 と問題点を明らかにしていく必要があると考え,昭和大学附属烏山病院の スーパー救急病棟の2010年から2015年における診療録調査を実施した. 患者の総数は 1,899 名(平均年齢は 46.9±17.6 歳)であり,入院患者の年 齢層,非自発的な入院率,高い女性比率などは 4 年間で大きな傾向の違 いはなかった. 在棟期間が 90 日以内での退院者は 1,650 人 (86.9%),ス ーパー救急病棟から自宅に退院した患者は 1,322 名(69.6% ) であった.

ICD-10 による診断別の患者背景においては,年度による比率の傾向に大

きな差はみられず,F2圏が949人(50.0%)と最も多く,ついでF3圏が

440 人(23.2%)であった.疾患別の特徴について検討したところ,認知

症は年齢が有意に高く,罹病期間,在棟期間は有意に短く, 回数は有意に少なく,

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運用基準内の自宅退院率は有意に低く,当院の認知症病棟への転棟が多いこ とが反映していると考えられた。統合失調症は年齢が有意に低く,罹病期 間,在棟期間は有意に長く, 入院回数は有意に多く, 運用基準内の自宅退 院率は有意に低いことから,統合失調症の治療技術の向上と再発,再入院 防止のための方策の検討が重要な課題であることが改めて示唆された.双 極性障害と大うつ病の比較においては, 年齢は大うつ病が有意に高く,罹 病期間は双極性障害が有意に長く, 入院回数は双極性障害が有意に多い ため,双極性障害の場合は再発に注意する必要があり,大うつ病の場合は 高齢者のうつ病特有の問題への対処が必要であると考えられた.このよう に診療録からスーパー救急病棟における急性期治療についてさまざまな 知見が得られ,多くのスーパー救急病棟がそれぞれの入院患者の傾向を調 査し,現在のスーパー救急の実態と課題を明らかにしていくことが重要で あると考えられた. ( 1152字)

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