ハードウェアの入れ替えが容易なロボット操作システムの開発
Development a Robot Control System for Easy Exchange of Hardware1W120109-4 大山 知理 指導教員 尾形 哲也 教授
OHYAMA Chisato Prof. OGATA Tetsuya
概要: 本研究では,ロボット操作において,ロボットや入力装置の入れ替えを容易にするシステム開発を行った.
従来の操作システムでは,機器の変更毎にプログラムを書き直す必要があった.そこで本研究では,ロボットミド ルウェアを用いインターフェースを共通化することで,ハードウェアに依存する部分を分割し再利用性を高めるシ ステム開発を提案した.入力からロボット本体の制御までを,入力装置から生データを取得する「入力装置層」,入 力装置から受け取った生データを一般的な物理量の目標値への変換する「入力値変換層」,物理量をロボットを制御 するためのデータへ変換する「物理量変換層」,ロボットの制御をする「ロボット制御層」の 4 つのフェーズに分 けることで,機器変更作業の効率化が可能となった.
キーワード:ロボットシステム,ロボットミドルウェア,ハードウェア Keywords: robot system, robot middleware, hardware
1. はじめに
近年,災害対応ロボットやテレプレゼンスロボット などが普及し,人間によるロボット操作の必要性が増 している.ロボット操作で行うタスクは多岐に渡り,
それらを達成するためのロボットや入力装置は用途に よって様々な種類がある[1].しかし,従来のロボット 操作システム開発では,あるロボットと入力装置の組 み合わせで行う一つのタスクに対して一つのプログラ ムを書くのが主流であったため,ハードウェアを入れ 替えるたびにプログラムを一から書き換える必要があ った.そこで,本研究では,人の操作によるロボット システムの開発において,ロボットや入力装置の入れ 替えが容易な再利用性の高いロボット操作システムの 開発手法を提案する.
2. ロボット操作システムの提案 2.1 ロボットミドルウェア
ロボットミドルウェアとは,ロボットシステム構築 を効率化するための共通機能を提供するソフトウェア プラットフォームである.ロボットミドルウェアは,
ロボットの機能を分割してモジュール化し,それらを 組み合わせてシステムを構築するコンポーネント指向 開発に基づいている.また,独立のコンピューターや OS 上の機能を集合し一貫した一つのシステムを構築 する分散システムをとる.今回は,産総研が開発して いるRTミドルウェア[2](OpenRTM-aist)を用いた.
2.2 インターフェース
コンポーネント間でデータをやり取りするためにデ
ータポートがあり,同じ型を扱うデータポート同士で なければ接続できない.データ型は開発者が独自に定 義することもできるが,タスクやハードウェアなどカ テゴリ可能なインターフェースではデータ型を共通化 することでコンポーネントの相互運用性や再利用性が 高くなる.本研究では,一般的な物理量(時間,速度,
位置など)を表すための基本型と,ロボットアーム制 御機能に関わる共通インターフェース[3]を使用した.
2.3 提案ロボット操作システム
本研究では,人間による入力からロボット本体を制 御するプロセスを 4つのフェーズに分けることで,ハ ードウェア依存度を小さくするコンポーネントの構成 を提案した.コンポーネントは入力装置から生データ を取得する「入力装置層」,入力装置から受け取った生 データを一般的な物理量の目標値への変換する「入力 値変換層」,物理量をロボットを制御するためのデータ へ変換する「物理量変換層」,ロボットの制御をする「ロ ボット制御層」の 4つのフェーズに分けた.やり取り するデータ型はそれぞれ,入力装置層ー入力値変換層 間は入力装置依存の生データ,入力値変換層ー物理量 変換層間は一般的な物理量による目標値,物理量変換 層ーロボット制御層間はロボットの制御に必要なデー タとした.その構成を図1に示す.
このように分けることで,物理量を,用途に合わせ たロボットの目標値へと変換しやすくなり,ハードウ ェアを取り替える際コンポーネントの変更が最小限で 済むというメリットがある.
3. Pepperによるデモと,ハードウェアの入れ替え 提 案 す る シ ス テ ム を , ヒ ュ ー マ ノ イ ド ロ ボ ッ ト
Pepperを操作するシステムとしてデモを行った.また,
ハードウェアの入れ替えを検討した.
3.1 Pepperの移動操作
入力装置にJoystickを用い,Pepperの移動操作のシ ステムを構築した.入力装置層にJoystickからデータ を取り出すコンポーネント,入力値変換層に Joystick の入力データから二次元速度へ変換するコンポーネン ト,ロボット制御層にPepperを制御するコンポーネン トを使用した(Pepperの移動目標値は二次元速度デー タで受け取るため,物理量変換層は不要であった).図 2にそのコンポーネントの構成を示す.
3.2 Pepperの手先位置操作
入力装置に3Dマウスを用い,Pepperの手先位置操 作のシステムを構築した.入力装置層に3D マウスか ら入力データを取り出すコンポーネント,入力値変換 層に3D マウスの入力データから3次元速度に変換す るコンポーネント,物理量変換層に3次元速度から目 標手先位置に変換するコンポーネント,ロボット制御 層に目標手先位置から目標関節角度に変換するコンポ ーネントと,Pepperを制御するコンポーネントを使用 した.図3にそのコンポーネントの構成を示す.
3.3 ハードウェアの入れ替えと評価
3.1節,3.2節のシステムに対して,ハードウェアの 入れ替えを行った.ロボットを,PepperからNAOや
Kobukiに入れ替える場合,ロボット制御層のコンポー
ネントを入れ替えるだけでシステムを構築することが できた.また,入力装置を,Joystick からゲームパッ ドへ,3DマウスからKinectへ入れ替える場合,入力
装置層のコンポーネントを入れ替えるだけでシステム を構築することができた.また,今回使用したコンポ ーネントは,7個中 5個は既存のコンポーネントの再 利用で済んだ.
4. まとめと展望
本研究では,RTミドルウェアを用いて機能をコンポ ーネント化しインターフェースを共通化することで,
ロボット操作システムを4つのフェーズに分割し,ロ ボットや入力装置の入れ替えを容易にし,再利用性を 高めることができた.今後の展望として,この手法は 入力からロボットの制御へのプロセスだけでなく,ロ ボットの出力から表示系へのプロセスにも適応するこ とを考えている.
参考文献:
[1] 淺間 一:"東日本大震災および福島第一原子力発電所事故 におけるロボット技術の導入とその課題(その1)",日本ロボ ット学会誌,vol.29,no.7,pp.658~659,2011
[2] Noriaki Ando, et al. :"RT-Middleware: Distributed Component Middleware for RT (Robot Technology)", IEEE/RSJ International Conference on Robots and Intelligent Systems, pp.3933 - 3938, 2005.8
[3] NEDO次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト:”ロ
ボ ッ ト ア ー ム 制 御 機 能 共 通 イ ン タ フ ェ ー ス 仕 様 書 ” (http://www.openrtm.org/openrtm/ja/project/Recommendati on¥_CommonIF), Accessed at 2016/2/3
図1 提案ロボット操作システム
図図23 PepperPepperの移動操作システムの手先位置操作システム