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カーブスクリーンを用いた立体視コンテンツの呈示と人間工学的評価

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Academic year: 2021

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カーブスクリーンを用いた立体視コンテンツの呈示と人間工学的評価

Ergonomic Evaluation of Viewing Stereoscopic Images with Curved Screen

5112E009-7 北村 秀介 指導教員 河合 隆史 教授

KITAMURA Shusuke Prof. KAWAI Takashi

概要: 本研究では、近年注目されているカーブスクリーンでの立体視の有効性を検討するという目的のもと、

人間工学的な評価を行った。評価実験では、100 型のカーブとフラットの可変型のスクリーンを用意し、カーブ とフラット両スクリーン形態の比較、両スクリーンで2D画像と3D画像を観た場合の比較、視聴位置による比較、

コンテンツの特徴によるユーザ体験の比較を行った。評価手法は、IBQ 法を用いてと、一対比較とインタビュー を組み合わせることで、選択の評価構造を調査した。一対比較法の結果から、カーブスクリーンの立体視が好ま れる傾向が見られた。また、インタビューの結果から、カーブスクリーンでの立体視は広い空間を表現するコン テンツに対して効果的であり、それに加え、楽しい・面白いといった従来のユーザ体験とは違う体験や感覚を生 みだす可能性が示唆された。

キーワード:カーブスクリーン、フラットスクリーン、3D、人間工学的評価、人間工学、VR コンテンツ Keywords: curved screen, flat screen, 3D, ergonomic evaluation, ergonomics, VR contents

1.はじめに

近年多くの企業が、カーブスクリーンの持つ 臨場感を高める特性に着目し、研究開発に力を入 れている。そうした動きの中、コンテンツとして 立体視コンテンツを呈示することにより、臨場感 を誇張することが期待できる。しかし、カーブス クリーンを用いた立体視コンテンツ映像の心理 的影響に関する研究は少ないのが現状である。

そこで本研究では、カーブスクリーンで立体視 コンテンツを呈示した際のユーザ体験を人間工 学的に評価することを目的とした。

2.評価指標

評価指標は IBQ 法

1)

を使用した。IBQ 法とは、

一対比較法とインタビューを使用して選択の評 価構造を知るための手法である。本実験では、サ ーストンの一対比較法、評価グリッド法を使用し た。Atlas.ti という質的データ編集ソフトを利 用し、評価構造モデルを作成した。

3.実験方法 3.1 実験環境

刺激の呈示には、カーブとフラットを入れ替え 可能な 100 型のスクリーンを用いた。Optoma 社 製の 3D プロジェクター(GT750)を使用し、背面

投影にした。また、3D メガネは XpanD 社製 X104 を使用した。なお、映像の視聴はすべて暗室環境 で行い、顔は顎台の上に固定させた。

視聴位置条件①と②を設定し、同じ視聴環境に て視聴位置が与える影響を調べた。視聴位置①の 視野角は 110 度でとし、視距離はカーブ条件で 1144mm、フラット条件では 774mm であった。視聴 位置②の視野角は 85 度とし、視距離はカーブ条 件で 1371mm、フラット条件で 1105mm であった。

3.2 呈示刺激

文化遺産の VR コンテンツの中から、特徴的な 6 個の静止画コンテンツを用意した。①外観、② 室内「広い」、③中心に大きな対象、④室内「狭 い」、⑤複雑な構造の対象、⑥室内「標準」であ る。各コンテンツに対して、カーブ用 2D・3D 画 像、フラット用 2D・3D 画像の 4 件を用意した。

3D 画像の呈示形式はトップアンドボトム形式と し、カーブ用の画像は補正ソフトウェア利用して 作成した。また、視差解析行い、3D 画像の視差 量を定量化した。

3.3 実験手順

実験の所要時間と試行回数増加の問題から、カ ーブ条件とフラット条件は直接の比較を行わず、

カーブ条件における 2D と 3D の比較、フラット条

件における 2D と 3D の比較を行った。実験参加者

(2)

2

は 20 名とした。10 名ずつ 2 グループに分け、カ ーブ条件を先に行うグループ、フラット条件を先 に行うグループを設定し、順序効果の有無を確認 した。

各条件の実験手順として、実験前にインフォー ムドコンセントを取り、視機能の確認を行った。

その後、2D と 3D 画像の比較をさせ選択理由を聞 く試行を、順序を入れ替えた場合でも行い、計 12 回行った。これをもう一方の条件でも行った。

また、参加者の負担を考慮し、各条件の間には十 分な時間をとった。

4.結果と考察

一対比較法では、全条件で 3D が 2D よりも好ま れたため、3D 選択を前提として評価構造モデル を作成した。また、両条件、全コンテンツに対し て、縦軸を視聴位置①と②、横軸を 2D と 3D にし てクロス集計表を作成し、カイ二乗検定を行った。

結果、全コンテンツで有意差がなかった。そのた め、視聴位置①と②をまとめ、一対比較法のヤー ドスティック、評価グリッド法の評価構造モデル を作成した。

(1)外観

両条件とも 3D が有意に好まれた。特に選択に 大きな要因は、空間の認識による臨場感体験であ った。これは、楽しさなどのユーザ体験を生む。

またカーブ条件では空を飛んでいる感覚など の新しいユーザ体験を生む可能性がある。

(2)室内「広い」

両条件とも 3D が有意に好まれ、空間の広がり による認識による臨場感体験が、大きな要因であ る。カーブスクリーンの立体視が広い空間を表現 するコンテンツに有効であることが考えられる。

(3)中心に大きな対象

両条件とも 3D が好まれたが、両条件とも有意 差が見られなかったため、立体視の効果は薄いと いえる。視差解析では、交差方向の視差量が大き いことが分かった。これらから、狭い空間を表現 するコンテンツでは、カーブスクリーンの立体視 のメリットは少ないと考えられる。また、交差方 向の視差量が強いと好まれない可能性がある。

(4)室内「狭い」

両条件とも、3D が有意に好まれた。その要因と して、物体の質感の認識による新しいユーザ体験 があげられる。

(5)複雑な構造の対象

両条件とも 3D が有意に好まれ、評価構造モデ ルは、両条件ともほぼ同じであった。3D である ことによって、モノの形状や大きさを認識でき、

複雑な構造を理解しやすいといえる。

(6)室内「標準」

両条件とも 3D が好まれたが、フラット条件で 有意差があったが、カーブ条件では有意差がなか った。評価構造モデルはほぼ同じであった。

視差解析では、交差性の視差が画面の大部分を 占めていたため、圧迫感が空間の認識を弱め、3D 化の有効性を阻害している可能性がある。

5.まとめ

カーブスクリーンでの立体視コンテンツの呈 示に関して、以下の知見を得た。

① 臨場感や没入感体験を付加できる

② 広い空間を表現するコンテンツには有効

③ 新しい体験を生みだす可能性がある また、その他の知見として以下を得た。

④ 今回設定した視聴位置間では、視聴位置間で のユーザ体験に違いがなかった

⑤ 交差方向の視差量が大きいと立体視の効果 が少ない傾向がある

今後の課題としては、より大型のスクリーンで の追試実験を行いたいと考えている。

参考文献

1) J. Häkkinen et al. : “ Measuring stereoscopic image quality experience with interpretation based quality methoDology”,

SPIE,6808, pp.68081B-1-12( Jan. 2008)

図1 実験環境レイアウト

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