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「未来戦略機構第 8 部門について」

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夢はバラ色

1.はじめに

 大阪大学では大学全体が取り組むべき戦略的課題 に柔軟かつ機動的に対応することを目的とし、総長 のリーダーシップのもと、大学全体を俯瞰しつつ、

部局横断的な教育・研究を推進するために、新たに

「大阪大学未来戦略機構」が平成 23 年度に発足しま した。平成 25 年 5 月には、本学における光量子科 学に関する研究ポテンシャルを一層高め、部局横断 的な光量子科学研究を推進するため、第八部門とし て「光量子科学研究部門」が創設されました。未来 戦略機構全体に関しましては 2014 年春号(66 巻第 2 号)で紹介されている通りでここでは割愛させて いただき、第 8 部門である光量子科学研究部門の紹 介をさせていただきます。

2.光量子科学研究部門の体制

 大阪大学では、歴史的にレーザーや量子ビーム技 術と応用を含めた光量子科学に関する研究が活発で あり、多くの部局で基礎から応用に至る研究と教育 が行われています。これまで世界的に重要な光量子 科学の拠点として多大の研究成果を発信し多くの人 材を供給してきました。さらに後述する種々の連携 事業が各部局または部局横断的な組織で採択されて います。このような背景のもと、大阪大学における 光量子科学に関する研究ポテンシャルを一層高め部

局横断的な光量子科学研究を推進するため、光量子 科学研究部門が設立されました。現在、工学研究科、

基礎工学研究科、理学研究科、生命機能研究科、情 報科学研究科、産業科学研究所、接合科学研究所、

蛋白質研究所、核物理研究センター、レーザーエネ ルギー学研究センター、太陽エネルギー化学研究セ ンター、極限量子科学研究センター、フォトニクス センター、光科学センターの 12 部局 2 組織からの 委員により部門の企画運営がなされています。さら に医学系研究科、歯学研究科が加わった部局からの 110 を超える研究室・グループの協力の下で新しい 光量子科学研究の開拓に取り組もうとしています。

 その活動のはじめとして、平成 25 年 3 月 10 日に は、大阪大学の光量子科学を広くご理解いただくこ とを目的に、光科学に取り組む大阪大学の 110 以上 のグループが組織の垣根を越えて一堂に会し「Opt  Osaka  2014  in  Tokyo −大阪大学の光科学 100 −」

というシンポジウムを東京で開催いたしました。

500 名を超える参加者があり、平野 俊夫総長・未来 戦略機構長の主催者挨拶の後、文部科学省  山中  伸 一文部科学事務次官、日本学術会議 大西 隆会長、

内閣府総合科学技術会議  久間  和生議員から来賓挨 拶がありました。続いて、講演会では「光科学にお ける様々な連携研究」と題して、本学の光科学セン ター長(光量子科学研究部門長)、フォトニクスセ ンター長、レーザーエネルギー学研究センター長に よる講演会が行われました。講演会終了後には、図 1 に示すようにポスターセッション「大阪大学光量 子科学 100 研究室・グループ」が開催され、110 を 超える各研究室・グループによるプレゼンテーショ ンと参加者との熱心な議論が行われました。

3.国内外の連携研究拠点

 大阪大学は、図 2 に示すようにフォトニクス(ナ

− 124 − 生 産 と 技 術  第66巻 第3号(2014)

 Ryosuke KODAMA 1961年4月生

大阪大学大学院工学研究科後期課程修了

(1990年)同研究科教授(2005年)

現在、大阪大学 大学院工学研究科 電 気電子情報工学専攻 教授 大阪大学未 来戦略機構光量子科学研究部門長 工学博士 光科学・プラズマ科学 TEL:06-6879-7800

FAX:06-6879-4839

E-mail:[email protected]

「未来戦略機構第 8 部門について」

Division of Photon Science and Technology in the Institute  for Academic Initiatives

Key Words:IAI, Photon Science and Technology

兒 玉 了 祐

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図2:大阪大学の光量子科学技術(フォトニクスや量子ビーム技術)と様々な応用 図1:Opt Osaka 2014 in Tokyo−大阪大学の光科学100−ポスターセッション

ノフォトニクス、パワーフォトニクス、プラズマフ ォトニクス)や光量子ビーム技術を含めた、光量子 科学の分野における多くのコアコンピタンスを有し ています。その実績の結果として、以下に示すよう な国内外を対象とした連携事業の拠点として我が国 の光量子科学発展の要となっております。

 学術連携拠点事業(文部科学省)

  ・接合科学共同利用・共同研究拠点(共同利用・

   共同研究拠点):接合科学研究所

  ・蛋白質研究共同利用・共同研究拠点(SPring-8    ビームライン等):蛋白質研究所

  ・サブアトミック科学研究拠点(共同利用・共    同研究拠点):核物理研究センター

  ・レーザーエネルギー学先端研究拠点(共同利

   用・共同研究拠点):レーザーエネルギー学    研究センター

  ・融合光新創生ネットワーク拠点(光・量子科    学研究拠点):光科学センター

 国際連携拠点事業(日本学術振興会)

  ・ XFEL とパワーレーザーによる極限物質科学    国際アライアンス拠点 : 光科学センター   ・高密度フォトンを使う高エネルギー密度状態    の科学アジア拠点:工学研究科

  ・アジア先進ナノフォトニクス拠点:フォトニ    クスセンター

 産学連携拠事業

  ・フォトニクス先端融合研究拠点(文科省):

   フォトニクスセンター

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生 産 と 技 術  第66巻 第3号(2014)

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  ・高強度レーザーが拓く光科学新産業(文科省):

   レーザーエネルギー学研究センター

  ・次世代素材等レーザー加工技術開発プロジェ    クト(NEDO):接合科学研究所、レーザー    エネルギー学研究センター

  ・光エコライフ技術開発拠点(経産省):フォ    トニクスセンター

 これら様々な連携事の拠点としての活動だけでな く、学内の光量子科学のより強固な連携体制を築く とともに事業横断的・俯瞰的な活動を行うことで先 導的な技術開発の推進及び分野融合や境界領域の開 発を行います。

4.国際拠点を目指して

 光量子科学研究部門は、多部局からなる学内連携 をもとに国内外の大型研究施設や大学・研究機関と の幅広い連携を図るとともに、国内の光量子科学に 関する国内ネットワークと連携しながら、我が国の 当分野における連携研究推進の要となる国際研究拠 点とし光量子科学に関する研究開発をめざしていま す。その 1 つとして理化学研究所播磨地区での大阪 大学の以下に示す活動があります。

  ・理化学研究所放射光科学総合研究センター放    射光施設(SPring-8)における蛋白質研究所、

   核物理研究センターによる専用ビームライン     (3 本:専用ビームライン数として最多。全    ビームライン 57 本)

  ・理化学研究所同センターX線自由電子レー    ザー施設(SACLA)における光科学センタ    ーによるパワーレーザー施設専用実験サイト    (世界で 2 つしかない施設)

  ・SPring-8,  SACLA における工学研究科付属超    精密科学センターによる X 線光学素子および    その基盤技術

  ・工学研究科、理学研究科、基礎工学研究科、

   生命機能研究科、蛋白質研究所、核物理研究    センター、極限量子科学研究センター等によ    る多数の教職員・学生による研究成果や高い    アクティビティー(阪大年間延べ利用者:約    1000 人、共同利用者数を含めた利用者:

   1500 人以上、共同研究機関数:30 機関以上)

  ・基礎工学研究科を中心としたリーディング大    学院による人材育成プログラム

 このような世界最先端の理化学研究所放射光科学 総合研究センター(播磨事業所)における大阪大学 のこれまでの成果・強みを生かし、組織的な連携の もとでより高度で新たな研究教育のスタイルを構築 するための整備が開始されようとしています。例え ば、世界に誇る大阪大学のパワーレーザー技術と我 が国の国家基幹技術である X 線自由電子レーザー

(SACLA)を連携活用した極限状態の科学に関する 実験プラットフォームが構築されています。これは、

光科学ネットワーク(国内 9 機関)、レーザー極限 物質材料ネットワーク(国内 12 機関)、非平衡極限 プラズマネットワーク(国内 7 機関)、XFEL とパ ワーレーザーによる極限物質科学に関する国際アラ イアンス(日、米、英、仏、独:50 機関)、パワー レーザーによる高エネルギー密度科学に関するアジ ア研究教育連携(中、韓、印、日:12 機関)など 多くの国内外のネットワーク事業における連携の要 として、ソフト・ハード両面において整備が行われ ています。これは当地区における機能強化の一部で あり、図 3 に示すように、光量子科学研究という幅 広い見地から部局の枠を超えた総合的な機能強化を 行うことで国際的な拠点を目指しています。さらに このような環境を光量子科学に関する多様な研究分 野を超えた俯瞰力を育てる分野融合的な人材育成の 最適な場として利用し、世界に通じる若手人材育成 にも役立てようとしています。

5.おわりに

 多くの分野に横断的に関係する光量子科学は、様々 な分野間連携の可能性を秘めています。経済的に成 熟期を迎えた社会において、国際競争力ある学術・

産業イノベーションを継続的に実現するには、従来 の成長期における戦略・戦術と異なるアプローチが 必要です。成長期においては、増加する人的・経済 的資源をもとに、無人の物質資源の創造を追い求め ることで、便利な社会や物質的に裕福な社会を目指 しました。ところが、経済的あるいは社会的に成熟 期を迎えた現代社会においては、人口構成や経済成 長の鈍化によりそれらの有限性がより顕著になるこ とで、物質的裕福より好奇心を満たし健康で安全な より精神的に裕福な社会を目指すようになっていま す。このような中で科学技術は、限られた資源を効 率的に活用し社会にあった多くの成果を得ることが

生 産 と 技 術  第66巻 第3号(2014)

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図3:播磨地区における大阪大学の光量子科学に関する活動実績と新たな連携体制

望まれています。この期待に応える 1 つのキーワー ドが、連携でありより多くの連携を可能にする光量 子科学をベースとした安全安心を目指したイノベー ションです。まさに成熟期を迎えた人間の脳で起こ る様々な脳細胞の連結増加による結晶性知能の増加 と同じように、光量子科学をベースとした多分野間 の連携・融合による新たな可能性の創出が今後より 重要となるものと考えられます。その意味から、光 量子科学のメリットを生かした多分野間連携をダイ ナミックに実現できる研究環境が、今後の我が国の

国際競争力ある学術・産業イノベーション創出のカ ギと考えられます。

 このような観点に立ち、この未来戦略光量子科学 研究部門は、本学の光量子科学に関する多くのコア コンピタンスを集約・収斂し、我が国の当分野にお ける世界トップレベルの研究開発を圧倒的な国際競 争力を持った連携体制のもとで先導するとともに、

学術・産業のイノベーションに繋げるための先導的 な技術開発の推進及び分野融合や境界領域を開拓の 一助となることを申し上げおわりといたします。

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生 産 と 技 術  第66巻 第3号(2014)

参照

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