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生態系における移入種と在来種との相互関係

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Academic year: 2021

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(1)

生態系における移入種と在来種との相互関係

- エ ー ジ ェ ン ト ・ ベ ー ス ・ シ ミ ュ レ ー シ ョ ン に よ る -

日 大 生 産 工 (院 ) ○ 村 山 智 隆 日 大 生 産 工 柴 直 樹

1. 序論

近年、多くの地方、または都心で「移入種(外来種) 」 による在来種への悪影響が問題になっている

3)

。例え ば、動物では、カミツキガメ、ブラックバス、ブルー ギル、マングースなど、植物では、サトイソギク、ハ ナイソギクなどがあり、これら以外にも国内移入され た種が多数存在する。これらは、様々な経緯でその土 地以外から移入された。

また、現在、移入種についてのさまざまな考え方、

偏見、知見が存在している。よって、本論文では、実 際に報告されている事例を考察し、それらを再現する ためのシミュレーションモデルを構築し、コンピュー ターシミュレーションを行うことにより、今後の移入 種対策について検討することを目的としている。

2. 研究の方法

モデルを構築する手法としてエージェント・ベー ス・アプローチを採用する。この手法は、ある環境空 間に、エージェントと呼ばれる個々のアクターを配置 し、そのエージェントに簡単な規則を与え、それぞれ の相互作用による全体としての創発的な振舞いを観察 するシミュレーション技法である。

今回のシミュレーションにおけるプラットフォーム

は、 NetLogo を用いる。 NetLogo は GUI を採用し、

Logo 言語をベースとしたモデル記述言語による簡単 な構築ができる利点がある

4)

3. シミュレーションターゲット

今回、ターゲットとする事例は以下の通りである。

事例①

近年の長野県木崎湖おいて、オオクチバスが雑魚を 減少させ、雑魚のプランクトンに対する捕食圧が低下 し、結果としてプランクトンが増殖した事例

3)

。 事例②

オオクチバスを除去した後にアメリカザリガニが大 繁殖し、ヒシが食いつくされた事例

3)

。これは事例① を基に考えると、オオクチバスが侵入したことにより 被捕食者の餌が大量発生し、結果、被捕食者が大増殖 し、ヒシが食いつくされる事態となったと推定できる。

また、このような事例も存在する。 「いくつかの魚種 の全長分布は Ranger 湖(オオクチバスを駆除した湖)

では小型個体に偏ったが Mouse 湖(オオクチバスを 放流した湖)では大型に偏った。

3)

」これには、 「ブラ ックバスが小さな魚を選択的に摂食したことによるも のと推定されている

3)

」という理由がある。よって、

オオクチバスの捕食により遺伝的に大きくなる強い個 体のみが残り、全体の体長分布が偏ったと思われる。

そこで注目したいことは、1 匹当たりのエネルギーの 必要量である。大きくなれば、もちろんより多くのエ ネルギーが必要になることは明らかである。

よって、これらの事例から、 「オオクチバスからの捕 食圧がかかっている生物は、摂食要求度が高くなる。」

という推測をすることができる。また、この推測を「捕 食圧による摂食要求度の変動」とする。このことから、

事例②をもとに、 「摂食要求度が高い状態の生物は捕食 圧から急激に解放されると大増殖し、結果餌がなくな り絶滅する可能性がある。 」ということが推測でき、こ れを「捕食圧解放による被捕食者絶滅の可能性」とす る。今回は、 「捕食圧解放による被捕食者絶滅の可能性」

を再現するシミュレーションモデルを構築する。

4. シミュレーションモデル

t = 0, 1, 2,…を時間軸とする。モデルでの移入種と 在来種についての基本的な相互関係を図 1 に示す。図 1 から主なエージェントは、 「プランクトン」 、 「在来種

(成体) 」 、 「在来種(幼体) ) 」 、 「移入種(成体) 」 、 「移 入種(幼体) 」だとわかる。では、それぞれのエージェ ントについての行動規則を示す。

図 1:モデルでの移入種と在来種の相互関係

プランクト ン の行動規則

プランクトンの個体数は、内的自然増殖率(intrinsic grow rate )ε 、環境収容力または環境容量 (environm- ental capacity carrying capacity)K、プランクトンの

総個体数 Np(t) による以下のロジスティック方程式に

従う

1)

d Np(t)

Np(t)= ε 1 - Np(t) (1) dt K

The interaction between introduced species and native species on ecosystem

– by the agent-based simulation –

Tomotaka MURAYAMA and Naoki SIBA

(2)

在来種の行動規則

在来種はプランクトンを捕食して繁殖、成長する。

捕食方法は摂食要求度 P(t) に従うものとし (2) 式のよ うに定める。 P(t)は自種の現在個体数 Nn(t)、過去の最 大個体数 Nn (t) に従い変化する。 Nn (t) は 0~(t-1) 時点までの最大個体数である。ここで ε と AP は定数 である。

Nn(t)

P(t)= ε 1 - AP + AP (2) Nn (t) また、プランクトン濃度を PD(t)とおく。そして、

(3) 式の規則に従い、捕食行動を行う

捕食成功 : PD t 100 P t のとき

捕食失敗 : PD t 100 P t のとき (3) z 在来種によるプランクトンの捕食

以下では

N: 在来種の個体の集合 ,I: 移入種の個体の集合 i∊N, j∊I とする。

個体の総効用 utilitiy t を (4) 式に定義する。

(4)の u:効用、 C: れぞれ u=u/v, C=C/v

) る。

コスト(幼体はそ とする はともにパラメータであ

utilitiy t utility t 1 u: 捕食成功のとき utility t 1 C: 捕食失敗のとき (4) また、 1 回の捕食成功により、プランクトン数 Np(t) は u 減少する。次に、自然死はパラメータである約 L 年 (L はパラメータである、 1 年 =100 ステップ ) 、また は、 utilitiy t <0 の時に起こるとする。

z 成長

young t を個体 i が時刻 t において幼体であること

を示すブール値関数とする。T のとき幼体、F のとき 成体である。シミュレーション開始時の個体はすべて

young 0 Fであり、それ以降に生まれた幼体は

young t T とする。出産後の時刻 t(>0)での

young t は(5)式に従う。 growu はパ ラメータである。

young t

T: young t 1 T and utilitiy t growu のとき F: young t 1 F

or young t 1 T and utilitiy t growu のとき

(5)

z 繁殖

t での個人の幼体 ) 式のように定め る。spu

出産数 spn t を (6 と n はパラメータである。

spn t n: utility t spu のとき

0: tility t のとき (6) u

集合 N の要素数を i とするとき、t で生まれた総 幼体出産数 spn t は (7) となり、在来種bの個体数を (8) 式のようになる。

spn t sp t

Nn t N 1 spn t (8) n 7 n t

繁殖により新たに spn t 数生まれた個体はすべ

て幼体( young t T )である。また、出産直後の

utility t は(9)式 となる。

utility t utility t 1

2 9 以上の成長と繁殖の手法は、移入種でも使用する。

移入種の行動規則

移入種は在来種を捕食して、繁殖、成長する。

z 移入種による在来種の捕食

捕食方法は vision を半径とする視界(図 2)内に在 来種が入った場合、その在来種を捕食し捕食成功とな る。それ以外は捕食失敗となる。そして、 utilitiy t は

(10)式のようになる。 (10)式の C:コスト(幼体は C=C/v)

はパラメータである。

図 2 :視覚

utilitiy t

utility t 1 utility t : 捕食成功のとき

utility t 1 C : 捕食失敗のとき

(10)

また、1 回の捕食が成功すると、在来種は 1 個体減 少する。次に、自然死、幼体の成長、成体の出産は、

在来種での自然死、成長、出産と同様であるが、ただ し、移入種固有のパラメータに従う。また、放流され る移入種はすべて成体young t Fであり、それ以降 に生まれた幼体は young t T とする。

5. シミュレーション実験

実際にモデルを実行し、様々なパラメータの下で結 果を導き出す。シミュレーションモデルにより示した いターゲットの振舞いは「捕食圧解放による被捕食者 絶滅の可能性」である。よって、この仮定が成り立つ 状況をモデル上で再現する手順はⅠ~Ⅳの通りである。

表 1:プランクトンの初期値

表 2 :在来種の初期値

Np(0) 10000

K 30000

εp 0.25

Nn(0) 600

Nn(0) 0

εn 0.5

growu 4±2

L 300±50

C,u 1

v 0.1

spu 50

n 4

u0 0

AP 78

(3)

I. オオ の再 II. オオ III. オオ IV. オオ では、手順 (counter

Ⅰ.表 1, まず、

るロジス ージェン 変数とし い、初期 する。そ 前進する 動、成長

Ⅱ. 3000 ス Ⅰを繰 匹の移入 に、前進 う。

Ⅲ.オオ

図 表 3:移

オクチバスが放 再現

オクチバスを放 オクチバスの定 オクチバスを個 順に沿って実

はパラメータ 2,3 の初期値に

、プランクトン スティック方程 ントとして環境 して扱う。次に 期個体数 600 そして、1 ステ る。またこのス 長を行う。

ステップにオオ 繰り返し、 300 入種を放流する 進、捕食行動、

クチバスが定着 Ni(0) growu counter(%

u0 L C,u

v spu

n

図 3:時間にお

移入種の初期値

放流される前の 放流

定着

個体数の count

験を行う。

)

によりモデルを ンの個体数は表 程式に従う。プ 境空間上には配 に在来種の個体 匹を環境空間 テップ間に環境

ステップ間に捕

オクチバスを 00 ステップに る。放流後、在

、繁殖行動、成 着することを

100 50±1 0

%) 100

0 750±10

1 0.1 50

1

ける個体数の 値

の持続可能な状

ter% を除去す

を実行 表 1 を初期値 プランクトンは 配置せずマクロ 体数は、表 2 に 内にランダム 境空間単位 1 ず

捕食行動、繁殖

100 匹放流す

に、環境内に 1 在来種と同じよ 成長、自然死を

確認する。

0

00

変化(条件(ス

状態

る。

とす はエ ロな に従 配置 ずつ

殖行

する。

100 よう を行

オ 認す

Ⅳ.

る 回 を オ

6.

モ 設定 A)

ら ン B)

流 種 一 る 量 昇 こ C) こ チバ よっ して なっ

設定 1 2

ステップ>4500 オオクチバスが する。

オオクチバス

4500 ステップ

る。このとき、

回の仮定である を考慮に入れる オオクチバスの 表 4:オ

シミュレー

モデルの実行結 定 1

0~2999 ステッ この区間では らず、プランク ンスを保ってい 3000~4499 ス

3000 ステップ

流される。そし 種が減少する。

一時的に減少す る形となり、オ また、ここで 量である。オオ 昇している。こ ことによるもの 4500~7000 ス この区間で、摂

バスを 100%除

って数が抑えら て、ある程度の ってきたため個

定 条件

ステップ

>4500

ステップ>4500 a

0 and P(t)>90) が 4500 ステッ スを個体数の 1 プからオオクチ

摂食要求度 P る「捕食圧によ るためである。

の除去タイミン オオクチバス除

ーション結果

結果を図 3、図 ップ

は、まだオオク クトン、在来種 いる。

ステップ プになりようや して、オオクチ

しかし、絶滅す するが、移入種 オオクチバスは で注目したいこ オクチバス投入 これはプランク ので、事例①に ステップ

摂食要求度が 9 除去する。除去 られていた在来 の個体数に達し 個体数が減少す

and P(t)>90 and P(t)>100

ブラ ブラ

))

ップまで定着す 100%除去する チバスの 100%

P(t)の値に注目 よる摂食要求度 よって、 P(t)の ングを表 4 に定 除去開始条件

図 4 に示す。

クチバスが放流 種(成体、幼体

やくオオクチバ チバス放流によ

するようなこと 種も減少し在来 は定着する。

ことは、プラン 入以前と比べて クトンの捕食圧 に相当するとい 90 以上のとき 去すると今まで 来種が増殖を始 したところで、

する。ところが すること確 る。

% を除去す

目する。今 度の変動」

の値により 定める。

操作 ラックバスの個体数 ラックバスの個体数

数100%を除去 数100%を除去

流されてお 体)がバラ

バスが放 より、在来

とはない。

来種が増え ンクトンの て大きく上 圧が減った いえる。

にオオク で捕食圧に 始める。そ

餌がなく

が、また餌

(4)

が増えて れは摂食 したと思 設定 2 A) 0~2

この区 ほぼ変わ B) 3000~

この区 見られな C) 4500~

この区 クチバス 果と同じ 始める。

点で捕食 い在来種 ンクトン 来種の関 大きく発 こととな われる。

7. 考察

「捕食圧 解放によ できた。実 で行って 年では、在 が提案され 法が必要 何らかの 今回の 現し、これ これでは捕 前の状態

図 きたのでさら 要求度が低く われる。

999 ステップ 区間は 1 回目 わらない。

~4499 ステップ

区間も 1 回目 ない。

~7000 ステップ

区間で、摂食要

スを 100%除去

じように捕食圧

。しかし、1 回 食圧から解放さ 種の増殖になっ ンが激減した。

関係が発散し始 発散し、結果と なった。これは

。また、後に在

圧による摂食 る被捕食者絶滅 実際にこのよ いる駆除事業 在来種を守る れているが、

ある。やはり 手法で確立す モデルでは、捕 れをもとに摂食 捕食圧がかか で摂食要求度

3:時間におけ なる減少は食 増殖ペースが

と同じ条件であ プ

と条件が同じな プ

要求度が 100 去する。除去す

圧から解放され 回目よりも摂食 されたため、 1 った。そして、

。それを境にプ 始め、それに伴 としてプランク は事例②に相当 在来種も絶滅

要求度の変動 滅の可能性」

うな可能性が を見直す必要 というゾーニ これには確実

、効率の良い るべきである 捕食圧を個体 食要求度を設 っていない移 が上下する。

ける個体数の変 い止められた 遅かったため

あるので、結果

なのでほぼ変化

以上のときに すると 1 回目の

れた在来種が増 食要求度が高い

1 回目よりも大

、それによりプ プランクトン 伴い摂食要求度 クトンが絶滅す 当する現象だ してしまった。

」により「捕 を再現するこ あるならば、

がある。また ング(棲み分 な移入種駆除 移入種駆除方

数の変動によ 定した。しか 入種が侵入す 今後、個体そ

変化(条件(ス

。こ 安定

果は

化は

オオ の結 増え い時 大き プラ と在 度も する と思

。 食圧 とが 地方

、近 け)

除の方 法を り表 し、

る以 れぞ

れに いと 駆除 量の この こと によ る。

種駆

8.

今 が、

び上 ざる 近 推薦 でき 画期 人間 ろう うな い。

「参

テップ>4500 に全長を与え、

と思う。また、

除するというこ の駆除で効果が のような問題を とができれば、

より駆除方法を よって、今後 駆除方法を作る

結論

今回のシミュレ 無作為駆除に 上がった。移入 るをえない。

近年、移入種の 薦する背景があ きない。利益の 期的な駆除法式 間中心主義か環 うが、移入種の な夢のような未

参考文献」

1) 寺元 英 , 店,(1997) 2) 松田 裕之 , 化・持続可能 3) 環境省自然環 ブルービルが 響と対策」 , 財 ー,(2004) 4) NetLogo H Page, http://c アクセス日 20

and P(t)>100 摂食要求度を ある空間に存 ことはあまり現 が表れるような を改善し、モデ 私は、このよ を確立させるこ 後このような方 ることを目標と レーションによ による在来種絶 入種駆除につい のいろいろな偏 あるが、移入種 のある移入種を 式を一刻も早く 環境中心主義か の有益性と生物 未来が来ること

「数理生態学 , 「ゼロからわ

性の科学」, 共 環境局野生生物 在来生物群集 財団法人 自然環 Home

ccl.northweste 008/10/24

0))

を全長ベースで 存在する移入種 現実的ではない な駆除方法も検 デルを確実なも ようなシミュレ ことは可能だと 方法により画期 とする。

より、仮定の下 絶滅のある可能 いてはやはり慎 偏見が存在し駆 種による利益も を有効活用する く確立するべき かで意見は分か 物多様性を両立 とを願わずには

学」 , 株式会社 わかる生態学―

共立出版,(200 物課 , 「ブラッ 集及び生態系に

環境研究センタ

ern.edu/NetL

で設定した 種を 100 % いので、少 検討したい。

ものにする レーション と考えてい 期的な移入

下ではある 能性が浮か 慎重になら 駆除のみを も馬鹿には るためにも きである。

かれるであ 立できるよ はいられな

社 朝倉書

―環境・進 04) ックバス・

与える影 タ

ogo/,最終

参照

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