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ALS 診断基準の現状:881 例のメタ解析

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Academic year: 2021

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(1)

厚生労働科学研究費補助金  (難治性疾患克服研究事業)

神経変性疾患領域における調査研究班  (分担)研究報告書

ALS 診断基準の現状:881 例のメタ解析

分担研究者  桑原  聡 研究協力者  澁谷 和幹、三澤園子 千葉大学大学院医学研究院 神経内科学

A.研究目的

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の Awaji 診断基準

(2008)では、改定 El Escorial 基準の原則を踏 襲しつつ筋電図所見をさらに重視した改訂を提 唱している。この改訂の大きな特徴は (1)筋電図 異常を臨床的な筋萎縮と等価としたこと、(2)線 維束性収縮電位を急性脱神経所見として採用し たことである。(2)により急性脱神経の検出感度 は高まった。以後 Awaji 基準を用いると probable 以上の診断感度は改善するとの報告がなされて いる。ただし改訂 El Escorial 基準では 1 領域に 上位運動ニューロン徴候があれば

「laboratory‑supported probable」と判定でき たものが、Awaji 基準の probable ALS では 2 領域 に上位ニューロン徴候を認める必要があり、この ために返って診断感度が低下するという新たな 問題が生じている。これまでの報告のメタ解析に より ALS 診断基準の現状を明らかにする。 

B.研究方法

2015年までに公表されたAwajiおよび改定El

Escorial基準の診断感度を比較した12論文のう

ち、個々の患者の元データが著者から提供された

論文についてメタ解析を行なった(individual patient data meta-analysis)。またAwaji基準にお

論文についてメタ解析を行なった(individual patient data meta-analysis)。またAwaji基準にお いて「1領域に上位運動ニューロン徴候、2領域 に下位運動ニューロン徴候あるいは筋電図異常 があるもの」をupdated Awaji基準として、診断 感度を比較した。

*倫理面への配慮

本研究は千葉大学倫理委員会の承認を得てい る。また個人情報保護に関しては細心の留意をは らった。

C.研究結果

8 論文、881 例の患者の元データの収集が可能で あった。診断感度は改定El Escorial基準で58%、

Awaji基準で70%、updated Awaji基準で73%で あった(表1)。球発症の 234 例における診断感 度は改定 El Escorial 基準で 55%、Awaji 基準で 72%、updated Awaji基準で73%であった。また 発症 6 ヶ月未満の 140 症例の感度は改定 El Escorial基準で49%、Awaji基準で63%、updated Awaji基準で67%であった 

研究要旨

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断基準としては世界神経学会から提唱された「改定El Escorial基準」

が用いられ、臨床試験の組み入れ基準としても使われてきたが、診断感度が充分に高くないという問 題点が指摘されていた。2008年に国際臨床神経生理学会より「Awaji 基準」が提唱されたことを受け て、これら2つの診断基準の感度を比較した報告がなされてきたが、結論は得られていなかった。今 回2015年までに公表された12論文のうち、個々の患者の元データが著者から提供された8論文につ いてメタ解析を行なった(individual patient data meta-analysis)。またAwaji基準において「1領域に上 位運動ニューロン徴候」をupdated Awaji基準として、診断感度を比較した。メタ解析による診断感度 は改定El Escorial基準58%、Awaji基準70%、updated Awaji基準73%であった。ALS診断の感度は

Awaji基準より上昇し、さらにUpdated Awaji基準はさらに感度が高まることが明らかになった。

(2)

表1.ALSにおける各診断基準の診断感度。 

R‑EEC:改定 El‑Escorial 基準。 

 

D.考察

これまでに報告された改定 El Escorial 基準と

Awaji 基準の診断感度を比較した8研究では、両

者同等とするもの(n=3)、Awaji 基準が優れると するもの(n=4)、さらにAwaji基準が劣るとする もの(n=1)となっている。これらの相違はそれ ぞれの研究の対象とした母集団の差異による可 能性が考えられる。今回の検討では8研究をメタ 解析したこと、各症例の元データを収集したこと により、母集団の差異はほぼ解消されたものと思 われる。その結果、診断感度は改定 El-Escorial 基準よりAwaji基準が優り、updated Awaji基準で はさらに感度が高まることが示された。

今後のALSの臨床試験においては、出来るだけ 早期に診断されたより初期の患者を対象にする 必要があり、Awajiあるいはupdated Awaji基準の 採用が望ましいものと思われる。 

E.結論

Awaji基準によりALS診断の感度は改定El Escorial基準より上昇する。Updated Awaji基準は さらに感度が高まる。新規治験への組み入れ基準 としてupdated Awaji基準を用いることが望まし いと思われる。

F.健康危険情報 なし

G.研究発表 1. 論文発表

1: Shibuya K, Misawa S, Kimura H, Noto Y, Sato Y, Sekiguchi Y, Iwai Y, Mitsuma S,  Beppu M, Watanabe K, Fujimaki Y, Tsuji Y, Shimizu T, Mizuno T,

Nakagawa M,  Sawaguchi K, Hanaoka H, Kuwabara S.

A single blind randomized controlled clinical  trial of mexiletine in amyotrophic lateral sclerosis: Efficacy and safety of  sodium channel blocker phase II trial.

Amyotroph Lateral Scler Frontotemporal Degener. 2015 Sep;16(5-6):353-8.

2: Watanabe H, Atsuta N, Nakamura R, Hirakawa A, Watanabe H, Ito M, Senda J, Katsuno M, Izumi Y, Morita M, Tomiyama H, Taniguchi A, Aiba I, Abe K, Mizoguchi K, Oda M, Kano O, Okamoto K, Kuwabara S, Hasegawa K, Imai T, Aoki M, Tsuji S, Nakano I, Kaji R, Sobue G. Factors affecting longitudinal functional decline and survival in amyotrophic lateral sclerosis patients. Amyotroph Lateral Scler Frontotemporal Degener. 2015 Jun;16(3-4):230-6.

3: Brettschneider J, Arai K, Del Tredici K, Toledo JB, Robinson JL, Lee EB, Kuwabara S, Shibuya K, Irwin DJ, Fang L, Van Deerlin VM, Elman L, McCluskey L, Ludolph AC, Lee VM, Braak H, Trojanowski JQ.

TDP-43 pathology and neuronal loss in amyotrophic lateral sclerosis spinal cord. Acta Neuropathol. 2014 Sep;128(3):423-37.

2.学会発表

1.桑原聡.ALS診断基準の現状と展望:改定

El-Escorial基準とAwaji基準.第 45 回日本臨床

神経生理学会学術大会。2015年、大阪。

H.知的所有権の取得状況

1.特許取得:なし  2.実用新案登録:なし

参照

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