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住民との協働による介護予防のまちづくりの効果検証のための

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(1)

厚生労働科学研究委託費(長寿科学総合研究事業)

委託業務成果報告(総括)

住民との協働による介護予防のまちづくりの効果検証のための 地域コントロールトライアル

業務主任者  大渕修一  東京都健康長寿医療センター研究所  研究副部長

研究要旨

本研究では、地域住民との協働による介護予防推進と私的社会統制を強めない新たな互 助のための地域介入モデルを構築し、その都市高齢者の要介護発生への抑制効果について 検証することを目的とした地域コントロールトライアルを行う。超高齢社会への対応とし て、住民主体の活動を推進していくことが必要であるが、一方で、住民主体の活動は、「私 的社会統制」を強める負の側面がある。そこで、本研究では、コーディネーターのかかわ りによる私的社会統制を強めない具体的な地域介入モデルを示し、その効果を郵送調査や 会場調査にて検証する。

研究初年度となる平成26年度は、1) 研究フィールドとの調整、2) ベースライン調査、

3) 先行介入地域(以下、先行地域)における介護予防人材・ネットワークの基盤整備を実 施した。それぞれの実施状況と研究成果は以下のとおりであった。

1) 研究フィールドとの調整

豊島区菊かおる園地域包括支援センター所管地域(西巣鴨1〜4丁目、巣鴨3〜5丁目、

北大塚1〜2丁目)を研究フィールドと決定し、西部地域(西巣鴨および北大塚2丁目)を 先行地域、東部地域(巣鴨および北大塚1丁目)を後行地域とした。豊島区の協力のもと、

対象地域在住の高齢者の抽出、地域包括支援センター等区関係機関、地元大学、民間NPO 等への研究内容の説明と協力依頼を行った。

2) ベースライン調査

郵送調査:調査地域に居住する65〜84歳全員6,158名に対して、健康度自己評価、現有 病、生活機能、要介護度、社会活動状況、社会関係資本などについて郵送調査を実施し、

2,526名から回答を得た(回収率41.0%)。また、豊島区が実施する「生活元気度チェック

(区内全域の高齢者全員を対象とした基本チェックリスト等による地域特性調査)」と連携 し、介入地域の地域特性を把握した(前期分19,186名配布、回収11,239名、回収率58.7%)。

会場調査:郵送調査発送時に会場調査参加者を募集。760名が応募(応募率12.3%)、こ のうち549名が実際に会場調査へ参加した(参加率72.2%)。会場調査では、身体組成、生 活問診、運動機能、口腔機能、認知機能などの詳細な調査を行った。

GPS調査:会場調査参加者にGPSによる日常活動範囲調査の協力を依頼し、先行地域・

後行地域それぞれ約100名ずつ募集して、1週間のGPSデータを収集した。

(2)

3) 先行地域における介護予防人材・ネットワークの基盤整備

地域介入において核となる人材やネットワークの基盤整備のために、先行地域において、

コーディネーターとなる行政、地元NPO、地元大学、研究班による検討の場「まちづくり 検討会議」を立ち上げた。会場調査にて把握した先行地域における地域活動希望者、区の 既存の介護予防サポーター等のボランティアから、住民主体の地域活動の重要性や本研究 の地域介入計画を周知するためのサポーター講座参加者を募り、109名が講座に参加した。

今後は、サポーター講座参加者から、主体的に地域介護予防活動を実施する「介護予防 リーダー」を養成し、介護予防リーダーとコーディネーターが協働で、地域拠点活動(自 主グループ・サロン等)を先行地域で立ち上げ、地域介入を進める。

4) 研究成果

2年目以降の追跡調査による介入効果検証に先立ち、ベースライン調査結果から先行地域 と後行地域の特性の把握を行った。また、生活機能、尿失禁、ヘルスリテラシー、首尾一 貫感覚、受療行動、サルコペニア、口腔機能、地域活動への意向、日常活動範囲等の各指 標に影響する要因を検討した。研究初年度の地域介入プロセスについても整理した。それ ぞれの具体的な結果については、各研究者の分担研究報告を参照されたい。

<担当責任者>

鈴木隆雄  国立長寿医療研究センター研究所  所長 藤原佳典  東京都健康長寿医療センター研究所  研究部長 吉田英世  東京都健康長寿医療センター研究所  研究部長 平野浩彦  東京都健康長寿医療センター研究所  専門副部長 荒木  厚  東京都健康長寿医療センター  内科総括部長

小山照幸  東京都健康長寿医療センターリハビリテーション科  医長 杉江正光  東京都健康長寿医療センター循環器内科  医員

小島基永  東京医療学院大学保健医療学部  教授 中田晴美  東京女子医科大学看護学部  准教授

河合  恒  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員

<研究協力者>

高橋哲也  東京工科大学医療保健学部  教授

菊地和則  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 増井幸恵  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 解良武士  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 駒井さつき  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 梅木賢人  日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座  博士課程 安永正史  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員

(3)

鈴木宏幸  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 深谷太郎  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 小川  将  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 高橋知也  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 村山幸子  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 安齋紗保理  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 江尻愛美  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員 猪股寛裕  東京都健康長寿医療センター研究所  研究員

A.研究目的

  本研究では、地域住民との協働による介 護予防推進と私的社会統制を強めない新た な互助のための地域介入モデルを構築し、

その都市高齢者の要介護発生への抑制効果 について検証することを目的とする。

今後の超高齢社会における人口構造の変 化は、高齢者を取り巻く環境に対しても急 速な変化をもたらす。超高齢社会への対応 として、健康寿命の延伸、すなわち介護予 防の推進とシニア世代の役割の創造が急務 であるが、加えて、特に都市部においては、

従来親戚・介護サービスによって担われて きたような一人暮らし、軽度生活機能低下、

症状不安定な高齢者等に対しての手段的支 援を地域が担えるように、住民主体の活動 を推進していくことが必要である。

一方で、住民主体の活動は、住民の一体 感「社会的凝集性(地域の人々への信頼感 等)」を高めるだけでなく、要援護者にとっ ては孤立を高める危険がある「私的社会統 制(地域の秩序を守るための対処行動等)」

を強める負の側面がある1,2)。そこで、本研 究では、コーディネーターのかかわりによ る私的社会統制を強めない具体的な地域介 入モデルを示し、その効果を郵送調査や会 場調査にて検証する(図1)。

本研究の特色と独創的な点は以下の2点 である。

1. コーディネーターのかかわりによる私 的社会統制を強めない地域介入モデル 地域介入では、業務主任者、担当責任者 らが開発した「介護予防リーダー養成講座」

3, 4)や、高齢者の社会参加促進プログラム5)

を活用し、地域拠点活動(自主グループ・

サロン等)を立ち上げるが、その前段階と して、行政や地元組織がコーディネーター として協働できるように「まちづくり検討 会議」を立ち上げ、核となる人材や組織を ターゲットとした地域介入を行う。

2. 地域コントロール・大規模調査による 効果検証

業務主任者、担当責任者らは大規模調査 による研究実績を有している6,7)。本研究で は、地域コントロール・大規模調査により 介入効果を検証する。

なお、調査はサポーターやリーダーの活 動意向のある者の把握や、それらの人材と コーディネーターが協力する機会としても 活用し、住民による健診を将来的にも地域 で継続していけるように展開する。

(4)

図1 

B.研究方法 1. 研究フィールド

東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談 センター(地域包括支援センター)所管地 域(西巣鴨

大塚 域(西巣鴨 行(介入)

目、北大塚 した(図

この地域には、巣鴨とげぬき地蔵尊、庚 申塚商店街、大正大学等があり、商業地域 と住宅地域から成っている。

人口は約 約6,000

豊島区には、「区民ひろば」という公民館、

児童館の複合施設のような地域拠点があり、

  研究の目的

研究方法 研究フィールド

東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談 センター(地域包括支援センター)所管地 域(西巣鴨1〜4

大塚1〜2丁目)を対象地域とし、西側の地 域(西巣鴨1〜4

(介入)地域、東側の地域(巣鴨 目、北大塚1丁目)を後行

(図2)。

この地域には、巣鴨とげぬき地蔵尊、庚 申塚商店街、大正大学等があり、商業地域 と住宅地域から成っている。

人口は約30,000

6,000名が居住している。

豊島区には、「区民ひろば」という公民館、

児童館の複合施設のような地域拠点があり、

研究の目的

研究フィールド

東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談 センター(地域包括支援センター)所管地

4丁目、巣鴨

丁目)を対象地域とし、西側の地 4丁目、北大塚

地域、東側の地域(巣鴨 丁目)を後行(観察)

この地域には、巣鴨とげぬき地蔵尊、庚 申塚商店街、大正大学等があり、商業地域 と住宅地域から成っている。

30,000 名、65 歳以上の が居住している。

豊島区には、「区民ひろば」という公民館、

児童館の複合施設のような地域拠点があり、

東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談 センター(地域包括支援センター)所管地 丁目、巣鴨3〜5丁目、北 丁目)を対象地域とし、西側の地 丁目、北大塚2丁目)を先 地域、東側の地域(巣鴨3〜5

(観察)地域と

この地域には、巣鴨とげぬき地蔵尊、庚 申塚商店街、大正大学等があり、商業地域 と住宅地域から成っている。住民基本台帳

歳以上の高齢者 が居住している。

豊島区には、「区民ひろば」という公民館、

児童館の複合施設のような地域拠点があり、

東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談 センター(地域包括支援センター)所管地 丁目、北 丁目)を対象地域とし、西側の地 丁目)を先 5丁 地域と

この地域には、巣鴨とげぬき地蔵尊、庚 申塚商店街、大正大学等があり、商業地域 住民基本台帳 高齢者は

豊島区には、「区民ひろば」という公民館、

児童館の複合施設のような地域拠点があり、

この地域には「区民ひろば西巣鴨」、「区民 ひろば清和」、「区民ひろば朝日」の

区民ひろばが存在している。「区民ひろば西 巣鴨」の活動地区と、「区民ひろば清和」お よび「区民ひろば朝日」の活動地区で地域 を分けると、前述の先行地区と後行地区と に分けることができ、それぞれの地区の高 齢者人口はちょうど約

この地域には「区民ひろば西巣鴨」、「区民 ひろば清和」、「区民ひろば朝日」の

区民ひろばが存在している。「区民ひろば西 鴨」の活動地区と、「区民ひろば清和」お よび「区民ひろば朝日」の活動地区で地域 を分けると、前述の先行地区と後行地区と に分けることができ、それぞれの地区の高 齢者人口はちょうど約

この地域には「区民ひろば西巣鴨」、「区民 ひろば清和」、「区民ひろば朝日」の

区民ひろばが存在している。「区民ひろば西 鴨」の活動地区と、「区民ひろば清和」お よび「区民ひろば朝日」の活動地区で地域 を分けると、前述の先行地区と後行地区と に分けることができ、それぞれの地区の高 齢者人口はちょうど約3,000

この地域には「区民ひろば西巣鴨」、「区民 ひろば清和」、「区民ひろば朝日」の3 区民ひろばが存在している。「区民ひろば西

鴨」の活動地区と、「区民ひろば清和」お よび「区民ひろば朝日」の活動地区で地域 を分けると、前述の先行地区と後行地区と に分けることができ、それぞれの地区の高

3,000 名ずつとなる。

この地域には「区民ひろば西巣鴨」、「区民 3つの 区民ひろばが存在している。「区民ひろば西 鴨」の活動地区と、「区民ひろば清和」お よび「区民ひろば朝日」の活動地区で地域 を分けると、前述の先行地区と後行地区と に分けることができ、それぞれの地区の高

名ずつとなる。

(5)

図 2 

区及び代表的な地域拠点

(倫理面への配慮)

本研究は、

研究に関する倫理指針に則り実施 本研究計画については、

図3 

  対象地域における先行地区と後行地 及び代表的な地域拠点

(倫理面への配慮)

本研究は、厚生労働省の疫学研究と臨床 研究に関する倫理指針に則り実施

本研究計画については、

  研究実施計画

対象地域における先行地区と後行地 及び代表的な地域拠点

(倫理面への配慮)

厚生労働省の疫学研究と臨床 研究に関する倫理指針に則り実施

本研究計画については、業務主任者

研究実施計画

対象地域における先行地区と後行地

厚生労働省の疫学研究と臨床 研究に関する倫理指針に則り実施しており、

業務主任者の所属 対象地域における先行地区と後行地

厚生労働省の疫学研究と臨床 しており、

所属

機関の倫理委員会において審査され、承認 を受け

また、本研究で実施する一連の調査、地域 介入として行うサポーター講座等の参加者 に対しては、研究内容の事前説明を行った うえで

を得

2. 研究実施計画   研究実施計画を図

本研究は

地域におけるまちづくり推進会議、サポー ター

ムによる地域介入を推進し、その効果を郵 送 調 査 、 会 場 調 査

Positioning System テム装置)

て検証する。

機関の倫理委員会において審査され、承認 を受けている(承認番号:平成

また、本研究で実施する一連の調査、地域 介入として行うサポーター講座等の参加者 に対しては、研究内容の事前説明を行った うえで、倫理委員会承認の書面により同意 を得ている。

研究実施計画 研究実施計画を図

本研究は 3カ年を研究期間として、先行 地域におけるまちづくり推進会議、サポー ターやリーダー

ムによる地域介入を推進し、その効果を郵 送 調 査 、 会 場 調 査

Positioning System

テム装置)による日常活動範囲調査 て検証する。

機関の倫理委員会において審査され、承認

(承認番号:平成

また、本研究で実施する一連の調査、地域 介入として行うサポーター講座等の参加者 に対しては、研究内容の事前説明を行った

、倫理委員会承認の書面により同意

研究実施計画

研究実施計画を図3に示す。

カ年を研究期間として、先行 地域におけるまちづくり推進会議、サポー リーダーの養成、地域活動プログラ ムによる地域介入を推進し、その効果を郵 送 調 査 、 会 場 調 査 及 び

Positioning System;全地球無線測位シ による日常活動範囲調査 機関の倫理委員会において審査され、承認

(承認番号:平成26年度「 また、本研究で実施する一連の調査、地域 介入として行うサポーター講座等の参加者 に対しては、研究内容の事前説明を行った

、倫理委員会承認の書面により同意

に示す。

カ年を研究期間として、先行 地域におけるまちづくり推進会議、サポー 養成、地域活動プログラ ムによる地域介入を推進し、その効果を郵 及 び GPS(Global

;全地球無線測位シ による日常活動範囲調査によっ 機関の倫理委員会において審査され、承認

年度「32」)。 また、本研究で実施する一連の調査、地域 介入として行うサポーター講座等の参加者 に対しては、研究内容の事前説明を行った

、倫理委員会承認の書面により同意

カ年を研究期間として、先行 地域におけるまちづくり推進会議、サポー 養成、地域活動プログラ ムによる地域介入を推進し、その効果を郵 Global

;全地球無線測位シス によっ

(6)

平成26年度は、ベースライン調査として

「豊島区シニア心と体の健康調査(郵送・

会場)」、GPS調査を行い、介入前の地域在 住高齢者の特性を把握した。また、本格的 な地域介入の準備のために、先行地域にお いて「まちづくり検討会議」を立ち上げ、

サポーター講座として「健康長寿のまち・

すがもサポーターの集い」を実施した。

3. 豊島区シニア心と体の健康調査 本研究では、地域介入によって、地域在 住高齢者の心身機能や社会生活機能がどの ように変化するのかを継続的に評価するた めに、「豊島区シニア心と体の健康調査」を 実施した。

1) 対象者

研究フィールド在住の2014年11月1日

現在 65〜84 歳の高齢者全員から施設入所

者を除いた6,158 名を調査対象者として抽 出した。対象者数は、先行地域2,950 名、

後行地域3,208名であった。(表1、2)。

表 1  先行地域・後行地域の対象者の男女

の構成比

表2  先行地域・後行地域の対象者の前期・

後期高齢者の内訳

2) 郵送調査

対象者に対して、健康度自己評価、現有

病、生活機能、要介護度、社会活動状況、

社会関係資本などについて郵送調査票を発 送し、回答を依頼した。調査票は返信用封 筒にて回収した(回収期間:2014年10 月 6日〜2014年12月24日)。郵送調査の項 目一覧は表3の通りである。

表3  郵送調査項目一覧

3) 会場調査

郵送調査発送時に身体組成、生活問診、

運動機能、口腔機能、認知機能などの詳細 な調査を行う会場調査参加者を募集した。

会場調査は、先行地域にある大正大学(調 査実施日:2014年11月①17 日(月)、② 18日(火)、③21 日(金)、④24日(月)、

⑤25日(火)、⑥29日(土)、12月⑦ 1日

人数 % 人数 %

男性 1305 44.2% 1413 44.0%

女性 1645 55.8% 1795 56.0%

2950 100.0% 3208 100.0%

先行 後行

人数 % 人数 %

前期 1862 63.1% 2011 62.7%

後期 1088 36.9% 1197 37.3%

2950 100.0% 3208 100.0%

先行 後行

調査項目 健康度自己評価 現有病 移動能力

どのくらいのものが噛めるか 噛み切れる食品

老研式活動能力ADL5項目 JST版老研式活動能力 過去1年間の転倒 外出頻度

グループや団体への加入 グループや団体の活動頻度

過去1年間の地域活動やボランティア経験と活動意向 同居家族

別居の家族・親戚との交流頻度 友人や近所の人との交流頻度 心配事や愚痴を聞いてくれる人 看病や世話をしてくれる人 組織・団体はどのくらい頼りになるか 社会的凝集性

私的社会統制 不安感 次世代継承感覚 日常生活制限 自尊心 要介護認定 同居家族の介護経験 介護負担感 仕事の有無 暮らし向き 世帯人数 世帯収入 最終学歴 就学年数

地域包括支援センターの認知 通報が必要な高齢者の有無

通報が必要な場合どのような行動をとるか 認知症高齢者捜索への協力

(7)

(月)、⑧ 5日(金)、⑨ 8日(月)、⑩ 9 日(火))と後行地域にある清和小学校(⑪ 7日(日))で全 11日間実施した。会場調 査の1人あたりの所要時間は1時間30分程 度であった。会場調査の項目一覧を表4に 示す。

表4  会場調査項目一覧

4) GPS調査

会場調査参加者に GPS による日常活動 範囲調査の協力を依頼し、先行地域・後行 地域それぞれ約100名ずつ募集した。GPS 調査の協力者には1週間、午前6時から午 後6時までの1日12時間GPS装置を装着 してもらい、15分ごとの緯度・経度を測定 した。測定データから自宅、近所、区内相 当、区外以上の各活動頻度、1 日あたりの 移動距離を求め、活動範囲と活動量を定量 した。

なお、調査に用いた調査票等は巻末資料 に掲載した。

また、会場調査には、区に既存のボラン ティア人材である「介護予防サポーター」

に測定補助員として参加してもらい、その 際に、後述の地域介入への協力も依頼した。

会場調査の風景も巻末資料に掲載した。

4. まちづくり検討会議

地域介入計画の具体的実施にあたり、豊 島区の介護予防担当者との面談を行い、平 成 27 年度の介護保険制度改正に向けて区 で構築されつつある地域包括支援センター を中心としたネットワークと競合しないよ うな新たなコーディネーター機能の構築が 必要であることを踏まえ、将来的にコーデ ィネーター機能を担う可能性のある地元大

学、地元NPO、地域包括支援センター、区

民ひろば等による「まちづくり検討会議を 立ち上げた。2014年12月15日(第1回)、 2015年1月19日(第2回)、26日(第3 回)、2月16日(第4回)に会議を実施し、

地域介入のためのサポーター養成をどのよ

方法 調査項目

身体計測 身長 身体計測 体重 身体計測 体組成 身体計測 骨密度 身体計測 筋厚 身体計測 指輪っか 身体計測 血圧 運動機能検査 握力

運動機能検査 5m通常歩行時間 運動機能検査 5m最大歩行時間 運動機能検査 Timed Up & Go 運動機能検査 開眼片足立ち 自記式 WHO-5 自記式 生活満足度尺度K 自記式 GDS-15

自記式 Lubben Social Network Scale 6 看護師面接 既往歴

看護師面接 服薬 看護師面接 受療行動 歯科検査 歯磨き習慣 歯科検査 歯科医院の受診状況 歯科検査 口の健康感 歯科検査 機能歯数・残存指数 歯科検査 歯垢・デンチャープラーク 歯科検査 舌苔

歯科検査 アイヒナーの分類 歯科検査 臼歯の咬合 歯科検査 PMAインデックス 歯科検査 デンタルプレスケール 歯科検査 オーラルディアドコキネシス「タ」

歯科検査 咬筋・側頭筋触診 歯科検査 反復嚥下テスト 聞き取り 健康度自己評価 聞き取り 過去1年間の入院歴 聞き取り 体の痛いところ 聞き取り 過去1年間の転倒歴 聞き取り 杖や歩行器の使用 聞き取り 尿漏れについて 聞き取り 散歩・体操・スポーツ頻度

聞き取り 過去1年間のグループ・団体への参加 聞き取り 地域の介護予防活動についての認識 聞き取り 地域介護予防活動への参加意向 聞き取り ADL

聞き取り 首尾一貫感覚 (Sense of Coherence, SOC)  聞き取り 伝達的・批判的ヘルスリテラシー

聞き取り 食品摂取の多様性 聞き取り 食事づくりの頻度 聞き取り 孤食の有無 聞き取り 飲酒状況 聞き取り 喫煙状況

聞き取り 国際標準化身体活動質問票(IPAQ)

聞き取り 最長職

聞き取り Mini-Mental State Examination (MMSE) 聞き取り Trail making test(TMT)-A, B

(8)

うに進めるべきか検討を行った。

5. 健康長寿のまち・すがもサポーターの集 い

前述の区の担当者との面談においては、

区には既存のボランティア人材が多数存在 することもわかった。このため、これらの 人材の協力も得ながら地域介入を進めてい くために、既存ボランティアと地域住民の 希望者に対して、地域で進める健康づくり の重要性と今後の地域介入計画の説明、ま ちづくり検討会議メンバーによる活動紹介 と意見交換という内容からなる「健康長寿 のまち・すがもサポーターの集い」をサポ ーター講座として2015年3月3日に実施 した。講座には、地域住民、既存ボランテ ィア、地元大学学生等109名が参加した。

参加者にはアンケートを実施し、説明に対 する理解度や今後の活動意向等を尋ねた。

6. データ分析

ベースライン調査結果から先行地域と後 行地域の特性の把握を行った。また、生活 機能、社会参加、尿失禁、ヘルスリテラシ ー、首尾一貫感覚、受療行動、サルコペニ ア、栄養・口腔機能、フレイル、地域活動 への意向、日常活動範囲等の各指標に影響 する要因を検討した。研究初年度の地域介 入プロセスについても整理した。

C.研究結果

1. 郵送・会場調査参加者

郵送調査の有効回答者は、2524名であっ た。このうち先行群;1203名、後行群;1321 名であった。また、男女比は、先行群;男 性512(42.6%)、女性691名(57.4%)、後

行群;男性 543 名(41.1%)、女性 778 名

(58.9%)で、両群間に、男女比に有意差 はなかった。

また、年齢(平均年齢±標準偏差)は、

先行群;男性72.6±5.4歳、女性73.9±5.5 歳、後行群;男性73.2±5.4歳、女性73.5

±5.4歳で、男女それぞれ、両群間に、年齢 に有意差はなかった。

会場調査の受診者は、549 名であった。

このうち先行群;286 名、後行群;263 名 であった。男女比は、先行群;男性 103

(36.0%)、女性183名(64.0%)、後行群;

男性84名(31.9%)、女性179名(68.1%)

で、両群間に、男女比に有意差はなかった。

また、年齢(平均年齢±標準偏差)は、

先行群;男性73.1±5.8歳、女性74.3±5.0 歳、後行群;男性75.0±5.8歳、女性73.7

±5.3歳で、男性は、後行群は、先行群より も有意に年齢が高かったが、女性は、両群 間に有意差はなかった。

2. 先行地域と後行地域の特性(担当責任 者:吉田英世)

郵送調査および、会場調査による、調査・

測定項目について、先行群、後行群間で比 較検討した。その結果、郵送調査では、後 行群は、先行群に比べて、日常生活におけ る社会参加・地域活動(防犯など)や、諸 団体への加入率が高く、また、社会関係資 本においては、社会的凝集性や社会的統制 が高く、ジェネラティビティの意識も高い。

さらに、後行群では、一人暮らしが少なく

(世帯人数が多い)、世帯収入も高い傾向に あった。

会場調査からは、後行群が、先行群に比 べて、身体的には、体脂肪率が高く、心理・

(9)

精神面では、精神的健康度や生活満足度が 高かった。

3. JST版活動能力指標に関する検討(担当

責任者:鈴木隆雄)

JST 版 活 動 能 力 指 標 (JST-Index of Competence:JST-IC)は、老研式活動能力 指標をベースに、現代高齢者の生活スタイ ルに適合させつつ、より難易度の高い活動 を行うための高次生活機能を測定する尺度 として開発されたものである。本研究では、

JST-IC が本研究班の調査地域において利

用可能であるかを検討するために、1) 調査 地域における信頼性と妥当性、2) 全国標準 値との比較、3) ボランティア活動への参加 及び参加意向との関連について検討した。

1) 探索的因子分析の結果、4因子構造が確 認され、全体得点及び新機器利用、社会参 加の各下位尺度得点の信頼性係数αは 0.7 以上であったが、情報収集及び生活マネジ メントの下位尺度得点では0.59とやや低か った。2) 全体得点の平均値は、10.63 点と 全国調査の 9.7 点よりもやや高かったが、

社会参加の得点は全国標準値よりも低かっ た。3) 全体得点の低群、高群とボランティ ア活動との関連では、どのボランティア活 動においても、参加及び参加意向のある者 の割合が低群よりも高群において有意に高 かった。

4. 尿失禁経験者の特性(担当責任者:中田 晴美)

会場調査参加者 549 人のうち 196 人

(35.7%)が尿失禁経験者として把握され た。このうち、医療機関を受診したことが

ある者は 16.8%、尿失禁への対処方法を何

もしていない者が 28.6%であり、尿失禁が あっても放置されていることが明らかにな った。また、尿失禁経験者の特性として、

女性に多く、運動機能および精神的健康状 態が有意に低下していることが分かった。

5. ヘルスリテラシー低下者の特性(担当責 任者:中田晴美)

健康増進や維持に必要な情報にアクセス し、理解し、利用していくための個人の意 欲や能力とされるヘルスリテラシーについ て、会場調査参加者からヘルスリテラシー が低下している都市在住高齢者の特性を検 討した。その結果、高齢であること、仕事 に従事した期間が少ないこと、運動機能お よび精神的な健康状態が低下しているとい う特性があった。

6. 社会参加活動の所属および種類と認知 機能の関連(担当責任者:藤原佳典)

  会場調査参加者における 1年以内に活動 したことがある社会参加に関係する所属団 体の種類や所属数が認知機能にどのように 関連しているかを検討した。

因子分析により、社会参加を行う所属団 体を、町内会や老人会といった「地縁組織」

と、趣味・スポーツ・ボランティア団体と いった「知縁組織」と分類し、それぞれの 所属数によるMMSE、TMT-A、TMT-Bの 関係を分析した。その結果、知縁組織では、

所属数が多いほどTMT-A、TMT-B 課題遂 行時間が短かった。

7. ス ト レ ス 対 処 能 力 ( 首 尾 一 貫 感 覚 :

SOCSense of Coherence)の関連因子(担

当責任者:荒木厚)

(10)

会場調査参加者549名を対象に、ストレ ス対処能力の SOC と関連する因子につい て検討を加えた。SOCは加齢変化を認めず、

女性のSOC(把握可能感)は男性と比べて

低値を示した。SOCはうつ病、転倒、尿失 禁があると弱くなった。重回帰分析の結果、

GDS15、LSIK、社会ネットワークがSOC

と独立に関連する有意な因子であった。

8. 受療行動(担当責任者:小山照幸)

加齢とともに発症率が高くなる急性の心 血管系疾患に対する知識と発症時の対応に ついて調査した。

脳卒中、心筋梗塞の症状が出現した時に 誰に相談するかを尋ねた結果、脳卒中では

15.9%、心筋梗塞では 19.7%が誰にも相談

せず、緊急性を意識していなかった。相談 相手としては、同居者が約70%で、その次 に多いのは親戚であった。主治医に相談す ると回答したのは約10%であった。また、

脳卒中で98.9%、急性心筋梗塞で97.2%が

病院を受診しようと思っており、そのうち

約70%が今すぐに受診しようと思っていた。

病院への移動方法としては、救急車の利用 が脳卒中で30.7%、心筋梗塞で45.5%であ り、徒歩と回答した割合は、脳卒中で37.6%、

心筋梗塞で25.8%であった。

9. サルコペニアの原因分類・重症度分類、

疾患・服薬に関する特徴(担当責任者:杉 江正光)

会場調査参加者を EWGSOPの定義 8)に 基づき、サルコペニア及び「プレ・サルコ ペニア」を含むサルコペニア予備群に分類 し、疾患・服薬における特徴の把握を行っ た。

サルコペニアの頻度は79名(14.8%;男 性14 名(17.7%)、女性 65 名(82.3%))。 疾患・服薬のない一次性サルコペニアが11 名(13.9%)、既往歴や内服薬の服用がある 二次性サルコペニアが68名(86.1%)であ った。二次性サルコペニアと疾患の間には、

貧血にのみ関連を認め、服薬との間には、

男性で抗血小板薬・抗凝固薬、女性で睡眠 導入剤に関連を認めた。

サ ル コ ペ ニ ア 予 備 群 の頻 度 は 242 名

(45.1%;男性 62 名(25.6%)、女性 180 名(74.4%))、重症度分類では「プレ・サ ルコペニア」163名(67.4%)、「サルコペニ ア」70名(28.9%)、「重症サルコペニア」9 名(3.7%)であった。一次性は32名(13.2%)、 二次性は 210 名(86.8%)であり、二次性 と疾患の間には、男性では心臓病、女性で は変形性膝関節症と骨折歴に関連を認めた。

また、服薬との間には、男性にのみ脂質異 常症薬に関連を認めた。

10. 栄養・口腔機能状態とサルコペニア(担 当責任者:平野浩彦)

サルコペニアと栄養状態との関連、さら に口腔・咀嚼機能の低下に関連する要因に ついて検討した。会場調査参加者における サルコペニア発生頻度は、男性7.9%、女性 18.3%であり、女性において有意に高率を 示し、また男性後期高齢者 12.2%、女性後

期高齢者 23.0%と男女ともに後期高齢者に

おいて高率であった。

サルコペニア群における BMI 診断基準 分類(低体重、普通体重、肥満)は、男性 では有意差が見られなかったが、女性サル コペニア群では低体重 41.5%、普通体重

47.7%、肥満 10.8%と、非サルコペニア群

(11)

に比較して低体重者の割合が有意に高かっ た。食品多様性スコアにおける動物性タン パク質は、男性前期高齢者のサルコペニア 群9.5±1.3点、非サルコペニア群12.0±2.0 点であり、サルコペニア群において低い傾 向を示した。

口腔機能関連項目では、特に女性におい て残存歯数、咬合力及びアイヒナー分類が サルコペニアとの関連因子として抽出され た。

11. 地域在住高齢者におけるフレイルの発 生状況および共存症・身体機能との関係(業 務主任者:大渕修一)

会 場 調 査 参 加 者 を Fried の Frail phenotype(Cardiovasculer health study;

CHS 基準)9)をもとにフレイル、非フレイ ルを判定した。フレイル、プレフレイル(フ レイルの前駆状態)と非該当に分け、フレ イルの発生率とそれぞれの身体特性を比較 した。また共存症との関係も検討した。

全調査対象に対するフレイルの発生率は 5.0%であった。フレイルのみの高齢者は少 なく、ほとんどがサルコぺニアか他の疾患 との共存状態であった。身体計測学的特徴 や身体的機能は非該当、プレフレイル、フ レイルで差があったものの、地域差は少な かった。

12. 行政や関係組織による検討会議に住民 の代表としてこれから参加を希望する者の 特徴(担当責任者:小島基永)

会場調査にて「区や関係組織による検討 会議に住民の代表として参加し、活動内容 の企画・検討を行う」という質問に対して、

「参加してみたい」と回答した者の特徴に

ついて性差を含め検討した。

性別を調整したロジスティック回帰分析 では、「団体への所属:町内会や自治会」、

「地域活動の頻度:高齢者や障害者に対す るボランティア」、「地域活動の頻度:知識・

技術を教える講師」、「現在、収入を伴う仕 事をしているか」、男性のみの分析では、「団 体への所属:町内会や自治会」、「地域活動 の頻度:高齢者や障害者に対するボランテ ィア」、「地域活動の頻度:知識・技術を教 える講師」、女性のみの分析では、「高齢者 用うつ尺度(GDS)得点」、「現在、収入を 伴う仕事をしているか」がそれぞれモデル を構成する変数として抽出された。

13. 日常活動範囲・活動量の特性(担当責 任者:河合恒)

GPS調査には、先行地域101名、後行地 域99 名の計 200 名が協力した。分析対象 となったのはGPSデータを取得でき、記録 表の記載を正しく行えた180名であった。 

活動範囲の平均頻度は自宅周辺の頻度が 最も多く234.9時点(69.9%)、次いで近所 37.8 時点(11.3%)、区外以上 28.0 時点

(8.3%)、区内相当が17.8時点(5.3%)で あった。1 日あたりの総移動距離の平均は 7,294.9m/日であった。本研究班で介入予定 の先行地域と後行地域との間で活動範囲、

活動量に差は認められなかった。

また、近所での活動頻度が高く活動量が 多い者では、社会参加活動のうちの「ボラ ンティア団体や市民活動団体・NPO」で活 動している者の割合が 24.5%と、そうでな

い者の11.0%に比べて有意に高かった

(12)

14. 地域介入の成果(担当責任者:藤原佳 典)

区、菊かおる園高齢者総合相談センター、

区民ひろば西巣鴨、大正大学、NPO法人コ ミュニティランドスケープ等による「まち づくり検討会議」を立ち上げ、区に既存の ボランティア等の人材との連携やリーダー 養成の前段階となるサポーター養成の実施 方法の検討を行い、サポーター講座の「健 康長寿のまち・すがもサポーターの集い」

実施につなげた。

講座参加者109名のうち101名から講座 内容や今後の活動意向に関するアンケート の回答を得た。その結果、8 割以上の参加 者が地域介入の内容を「理解できた」と回 答した。また、リーダー養成講座の参加意 向は、「ぜひ参加したい」が 13.9%、「参加 してみたい」が43.6%で101名中58 名が リーダー養成講座への参加意向を示した。

D.考察

1. 調査参加者の代表性・先行地域と後行地 域の特性(担当責任者:吉田英世)

郵送調査の回答率は、先行地域が40.8%、

後行地域が 41.2%と同じくらいであり、男 女の構成比、前期後期高齢者の構成比に統 計学的に有意な差はなかった。また、回答 者と未回答者では、男女の構成比や年齢に それほど大きな差はなく、郵送調査の回答 者は地域を代表しているとみなすことがで きる。

一方、会場調査の参加者は、先行地域と 後行地域では男女の構成比、前期後期高齢 者の構成比に差はないものの、会場まで自 分で来られる者が多く、郵送調査回答者と 比較して幾分機能が高いことが考えられる。

先行地域と後行地域の比較では、先行地 域の高齢者は、後行地域に比べて、社会参 加・活動性、地域の連携・結束力がやや弱 く、心理・精神面のQOLもやや低い傾向に あった。

これらの点を踏まえながら、来年度以降 実施予定の先行地域における地域介入にお いては、まずは、社会参加・地域活動への 取り組みの底上げを図りながら、人と人と のつながりを強化して、介護予防サポータ ーを中心とした介入プログラムを展開して いくことが必要と考えられる。

2. JST版活動能力指標に関する検討(担当

責任者:鈴木隆雄)

  JST-IC の本調査地域における構成概念

妥当性については、全国調査と同じ4因子 構造が確認された。一方、信頼性について は、全体得点および機器利用、社会参加に ついては十分高い信頼性が示されたが、情 報収集および生活マネジメントについては 全国調査よりも低い結果であった。この点 については、全国調査が留置・訪問で行わ れたのに対して、本研究では郵送にて実施 したことが影響したと考えられ、郵送の場 合には全体得点を用いることがより精緻な 評価には向いていることが示唆された。

  全国標準値との比較では、全体得点につ いては、全国標準よりも高い集団であるこ とが示された。一方で、社会参加の得点は 全国標準よりも低く、今後の地域介入の効 果が社会参加得点の向上に反映されること が期待される。また、JST-ICが高い者では、

ボランティア活動への参加及び参加意向が 高いことが示され、社会参加への潜在的予 備群であることもわかった。

(13)

これらの結果から、JST-ICにより今後の 地域介入の効果を適切に評価できる可能性 が示された。

3. 尿失禁経験者・ヘルスリテラシー低下者 の特性(担当責任者:中田晴美)

尿失禁経験者は女性に多く、運動機能お よび精神的健康状態が低下しているため、

尿失禁予防・改善に向けた正しい知識の普 及と、運動器の機能向上に向けた取り組み が早急の課題であることが示された。

ヘルスリテラシー低下者は、高齢で、仕 事に従事した期間が少なく、運動機能およ び精神的な健康状態が低下している特性が あった。都市在住高齢者の特性を理解した 上で、ヘルスリテラシーの向上および効果 的な知識の普及方法の方策を検討していく 必要があることが示された。

4. 社会参加活動の所属および種類と認知 機能の関連(担当責任者:藤原佳典)

  社会活動を行う団体に所属していること、

知縁団体への所属がより認知機能に関連し ていることが示唆された。今後は認知機能 検査内容や対象者の特性を詳細に把握し、

活動内容および活動姿勢との関連を加味し た研究を行うことで、効率的な介入事業お よび社会参加の推奨へとつなげていくこと が望まれる。

5. ストレス対処能力の関連因子(担当責任 者:荒木厚)

地域在住の高齢者の SOC は加齢の影響 を受けずに、転倒、失禁などの老年症候群 があると弱くなった。うつ、生活満足度、

社会ネットワークが SOC と独立に関連す

る因子であった。

今回は断面調査の解析なので、社会ネッ トワークが多いために SOC が強くなるの か、SOCが強い人は結果として社会ネット ワークが大きくなるのかは不明である。し かしながら、こうした社会ネットワークを 広げるような地域の介入は、SOCを強くす ることで、運動や栄養の介入効果をより高 めることが期待される。今後の地域全体の 介入によって、SOCがどのように変化する かは非常に興味深いことであると思われる。

6. 受療行動(担当責任者:小山照幸)

早期受診のためには、本人はもちろん、

バイスタンダーが、脳卒中あるいは心筋梗 塞だと認識し、早急に救急要請するという 初期行動が重要である。しかし高齢者では 発症時の初期の症状の認識が低く、受診が 遅れる危険性が高い。そこで、さまざまな 情報があふれている都市において、高齢者 が早期受診に対する情報を取得し、実際に 行動できるかを調査した。

脳卒中と急性心筋梗塞を想定して受療行 動を質問したが、緊急性については急性心 筋梗塞の方が、脳梗塞より早く受診しよう とする傾向があった。都市においても、脳 卒中、急性心筋梗塞の初期症状を理解して おらず、受診が遅れる状況があるというこ とがわかった。これからの我々の介入によ り、受療行動が変わるかを今後調査する。

7. サルコペニアの原因分類・重症度分類、

疾患・服薬に関する特徴(担当責任者:杉 江正光)

二次性サルコペニアに関連する疾患とし て、男性で抗血小板薬・抗凝固薬、女性で

(14)

は睡眠導入剤に有意な関連を認めた。

男性では心臓疾患や脳血管疾患との間に は関連を認めなかったが、サルコペニア予 備軍においては、心臓病、脂質異常症薬と の関連を認め、循環器科が関与することが 重要であると考えられた。

一方、女性では、サルコペニア肥満を対 象とした研究において睡眠の関連が指摘さ れており、睡眠導入剤を内服しても短時間 睡眠という睡眠障害、もしくは、睡眠導入 剤内服による長時間睡眠が関与している可 能性が示唆された。また、予備軍において は、変形性膝関節症と骨折歴と関連を認め、

整形外科が関与する事が重要であることが 示唆された。

8. 栄養・口腔機能状態とサルコペニア(担 当責任者:平野浩彦)

地域在住高齢者におけるサルコペニアの 栄養状態の評価では、BMI診断基準分類(低 体重、普通体重、肥満)に関わらずいずれ の群でもサルコペニアは発生し、食品多様 性スコアによる食事摂取評価においては、

動物性タンパク質の関連が示された。口腔 機能状態の評価においては、特に女性にお いて残存歯数および咬合接触域の減少、そ して咬合力の低下がサルコペニアと咀嚼機 能の低下に関連する可能性が示唆された。

9. 地域在住高齢者におけるフレイルの発 生状況および共存症・身体機能との関係(業 務主任者:大渕修一)

  今回の調査におけるフレイル発生数は、

同様の判定基準を用いた報告と比較して低 値であり、比較的健康な高齢者が調査に参 加している可能性を否定できない。また、

大多数は共存症のみを有する者だったため、

今後の観察においては疾病数の推移の観察 も重要であると考えられた。さらに、身体 特性は段階的に虚弱の状態を表したが、地 域差は少なかったため、今後、介入の影響 を観察する上でこの地域は適切であると考 えられる。

10. 行政や関係組織による検討会議に住民 の代表としてこれから参加を希望する者の 特徴(担当責任者:小島基永)

「区や関係組織による検討会議に住民の 代表として参加し、活動内容の企画・検討 を行う」ことを希望する者を募集する上で は、男女ともに地域での活動実績のある者 が有力な候補であり、かつ、男性では町内 会や自治会を通したアプローチ、女性では 収入のある仕事をしているような精神的に も溌剌としている者へのアプローチを募集 の方策に加えることが有効であろうと推察 された。

11. 日常活動範囲・活動量の特性(担当責 任者:河合恒)

対象者の 1日あたりの移動距離や質問紙 にて聴取した歩行時間から、対象者の活動 量は比較的高いと考えられたが、自宅での 活動頻度が約7割、近所での活動頻度が約 1 割と自宅で過ごす割合が最も多いことが 示された。一方、近所での活動頻度が高く 活動量が多い者の特性からは、地縁的組織 だけでなく多様なネットワークとの結びつ きを持つことでむしろ近所での活動頻度が 高まり、活動量が増える可能性があること が示唆された。

今後、この点を意識した地域拠点づくり

(15)

による地域介入を行うことで、先行地域に おいて特異的な変化が見られるか継続的な 評価を行う必要がある。

12. 地域介入の成果(担当責任者:藤原佳 典)

サポーター講座参加者の 8割以上が地域 介入の内容を「理解できた」と回答したこ とから、講座により地域で進める健康づく りの重要性と今後の地域介入計画を参加者 に伝えることができたのではないかと考え られた。リーダー養成講座についても、58 名がリーダー養成講座への参加意向を示し、

リーダー養成講座受講候補者の把握を行う ことができたと考えられる。

また、まちづくり検討会議の立ち上げに より、リーダー養成講座の運営や講座後の リーダーによる地域拠点活動を、会議メン バーと協力して進めていくことができる体 制を整備することができた。

E.結論

本研究では、地域住民との協働による介 護予防推進と私的社会統制を強めない新た な互助のための地域介入モデルを構築し、

その都市高齢者の要介護発生への抑制効果 について検証することを目的とした地域コ ントロールトライアルを行う。

研究初年度となる平成26年度は、ベース ライン調査と先行地域における介護予防人 材・ネットワークの基盤整備を実施し、ベ ースライン調査の結果から先行地域と後行 地域の特性を把握するとともに、生活機能、

社会参加、尿失禁、ヘルスリテラシー、首 尾一貫感覚、受療行動、サルコペニア、栄 養・口腔機能、フレイル、地域活動への意

向、日常活動範囲等の各指標に影響する要 因を検討した。また、研究初年度の地域介 入プロセスについても整理した。

今後は、主体的に地域介護予防活動を実 施するリーダーを養成し、リーダーとコー ディネーターが協働で、地域拠点活動を先 行地域で立ち上げ、地域介入を進める。

引用文献

1) Portes, A., Landolt, P. The downside of social capital. The American Prospect, 26(May-June) :18-22, 1996 2) 杉澤秀博. 社会連帯の形成・維持機構

の解明, 川上憲人(領域代表者), 現代 社会の階層化の機構理解と格差の制 御:社会科学と健康科学の融合, 14-15, 2011

3) 河合恒, 光武誠吾, 福嶋篤, 小島基永, 大渕修一: 地域住民の主体的な介護予 防活動推進のための取組「介護予防リ ーダー養成講座」の評価.日本公衆衛 生雑誌,60(4),195-203,2013 4) 福嶋篤, 河合恒, 光武誠吾, 大渕修一,

塩田琴美, 岡浩一朗: 地域在住高齢者 による自主グループ設立過程と関連要 因. 日本公衆衛生雑誌, 61(1), 30-40, 2014

5) Fujiwara Y, Sakuma N, Ohba H, Nishi M, Lee S, Watanabe N, Kousa Y, Yoshida H, Fukaya T, Yajima S, Aman H, Kureta Y, Ishii K, Uchida H : Intergenerational health promotion program for older adults

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6) Ohara Y, Hirano H, Watanabe Y, Obuchi S, Yoshida H, Fujiwara Y, Ihara K, Kawai H, Mataki S: Factors associated with self-rated oral health among  community-dwelling older Japanese: A cross-sectional study.

Geriatr Gerontol Int. 2014 Sep 20.

doi: 10.1111/ggi.12345. [Epub ahead of print]

7) Fujiwara Y, Suzuki H, Kawai H, Hirano H, Yoshida H, Kojima M, Ihara K, Obuchi S: Physical and Socio-psychological Characteristics of Older Community Residents With Mild Cognitive Impairment as Assessed by the Japanese Version of the MoCA. J Geriatr Psychiatr Neurol. 26: 209-220, 2013

8) Cruz-Jentoft AJ et al: Sarcopenia:

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Sarcopenia in Older People. Age and Ageing, 39(4), 412-423, 2010

9) Fried LP, Tangen CM, Walston J, et al: Frailty in older adults: evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci, 56(3):146-156, 2001

F.健康危険情報 なし

G.研究発表 1. 論文発表

1) Seino S, Shinkai S, Fujiwara Y,

Obuchi S, Yoshida H, Hirano H, Kim HK, Ishizaki T, Takahashi R;

TMIG-LISA Research Group.:

Reference values and age and sex differences in physical performance measures for community-dwelling older Japanese: a pooled analysis of six cohort studies. PLoS One. 2014;

9(6): e99487.

2) Ohara Y, Hirano H, Watanabe Y, Obuchi S, Yoshida H, Fujiwara Y, Ihara K, Kawai H, Mataki S.: Factors associated with self-rated oral health among community-dwelling older Japanese: A cross-sectional study.

Geriatr Gerontol Int. (in Press.) 3) Kuroda A, Tanaka T, Hirano H, Ohara Y, Kikutani T, Furuya H, Obuchi SP, Kawai H, Ishii S, Akishita M, Tsuji T, Iijima K.:

Eating Alone as Social Disengagement is Strongly Associated With Depressive Symptoms in Japanese

Community-Dwelling Older Adults. J Am Med Dir Assoc. (in Press.)

2. 学会発表

1) 大渕修一, 藤原佳典, 河合 恒, 吉田英 世, 小島基永, 平野浩彦, 石崎達郎, 荒 木 厚, 小山照幸, 杉江正光, 田中 雅 嗣: 高齢者の不安に影響を与える要因 社会参加と交流. 第49回日本理学療法 学術大会, 2014.

2) 新井武志, 大渕修一, 河合恒:要支援者 の認定状況の悪化に関連する要因の分

(17)

析.第49回日本理学療法学術大会, 2014.

3) 平野浩彦, 渡邊 裕, 小原由紀, 枝広あ や子, 藤原佳典, 河合 恒, 吉田英世, 井原一成, 大渕修一, 金 憲経: 8020運 動達成後の高齢者咀嚼機能低下のリス ク因子としてサルコペニアの可能性.

第56回日本老年医学会学術集会, 2014.

4) 飯島勝矢, 田中友規, 石井伸弥, 柴崎 孝二, 大渕修一, 菊谷 武, 平野浩彦, 秋下雅弘, 大内尉義: サルコペニア危 険度に対する自己評価法の開発  新考 案『指輪っかテスト』の臨床的妥当性 の検証. 第56回日本老年医学会学術集 会, 2014.

5) 飯島勝矢, 田中友規, 石井伸弥, 柴崎 孝二, 大渕修一, 菊谷 武, 平野浩彦, 秋下雅弘, 大内尉義: 日本人における サルコペニアおよび予備群の関連因子 の同定  千葉県柏市における大規模健 康調査から. 第56回日本老年医学会学 術集会, 2014.

6) 杉江正光, 原田和昌, 高橋哲也, 小山 照幸, 大渕修一, 金 憲経, 許 俊鋭, 井 藤英喜: 外来通院高齢者における心肺 運動負荷試験を用いたサルコペニア診 断の可能性. 第56回日本老年医学会学 術集会, 2014

7) 杉江正光, 原田和昌, 高橋哲也, 小山 照幸, 大渕修一, 金 憲経, 許 俊鋭, 井 藤英喜: 高齢者のサルコペニアと心肺 運動機能との関係. 第56回日本老年医 学会学術集会, 2014.

8) 小島成実, 金美芝, 吉田英世, 平野浩 彦, 大渕修一, 島田裕之, 鈴木隆雄, 金

憲経: 後期高齢期における膝伸展力の 変化に関連する生活習慣の解明. 第 56回日本老年医学会学術集会, 2014.

H.知的財産権の出願・登録状況 1. 特許取得

なし

2. 実用新案登録 なし

3. その他 なし

図 1  B.研究方法 1.  研究フィールド 東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談 センター(地域包括支援センター)所管地 域(西巣鴨 大塚 域(西巣鴨 行(介入) 目、北大塚 した(図 この地域には、巣鴨とげぬき地蔵尊、庚 申塚商店街、大正大学等があり、商業地域 と住宅地域から成っている。 人口は約 約 6,000 豊島区には、 「区民ひろば」という公民館、 児童館の複合施設のような地域拠点があり、  研究の目的研究方法 研究フィールド東京都豊島区菊かおる園高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)
図 2  区及び代表的な地域拠点 (倫理面への配慮) 本研究は、 研究に関する倫理指針に則り実施 本研究計画については、 図 3    対象地域における先行地区と後行地及び代表的な地域拠点(倫理面への配慮)本研究は、厚生労働省の疫学研究と臨床研究に関する倫理指針に則り実施本研究計画については、  研究実施計画対象地域における先行地区と後行地及び代表的な地域拠点 (倫理面への配慮) 厚生労働省の疫学研究と臨床研究に関する倫理指針に則り実施本研究計画については、業務主任者研究実施計画 対象地域における先行地区と

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