放射線生物研究 Radiation Biology Research Communications 49(2), 211-226, 2014
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<特 集> 放射線被ばくに対する組織反応 Special Issue
放射線被ばくに対する組織反応 ~腸管~
電力中央研究所 原子力技術研究所 放射線安全研究センター
1長崎大学 先導生命科学研究支援センター
2大塚 健介
1*、冨田 雅典
1、山内 基弘
1,2、岩崎 利泰
1(2014 年 5 月 7 日掲載決定)
Tissue Response after Radiation Exposure: Intestine
1Radiation Safety Research Center, Nuclear Technology Research Laboratory, Central Research Institute of Electric Power Industry (CRIEPI)
2Center for Frontier Life Sc iences, Graduate School of Medical Sciences, Nagasaki University Kensuke Otsuka1 Masanori Tomita1, Motohiro Yamauchi1,2, and Toshiyasu Iwasaki1
(Accepted for publication 7 May 2014)
腸管に起因する個体の急性放射線障害として、10 Gy 以上の被ばくにより、いわゆる「腸死」が 起こることが知られている。これは腸管基底部にあるクリプトの再増殖能と相関すると考えられる が、組織レベルで見ると低線量域から細胞動態に変化が起こる。特に、腸管の全ての機能細胞を供 給する幹細胞は、ごく低線量でもアポトーシスを誘発することが Potten らの研究で知られていた。
幹細胞に関しては近年、Lgr5などの腸管幹細胞マーカーが見いだされてきた。特に Lgr5+幹細胞は、
Apc遺伝子欠損を誘導することで adenoma の起源となることが分かり、組織幹細胞が発がんの標的 となり得ることが実験的に明らかにされている。Lgr5+幹細胞は小腸では放射線抵抗性であったが、
大腸では放射線によりターンオーバーが刺激され、発がんとの関連が示唆された。他にも放射線抵 抗性の幹細胞マーカーが多く報告されており、腸管に著しい障害が起こった際の幹細胞動態が明ら かにされつつある。本総説では、腸管組織に対する放射線影響や腸管幹細胞研究の歴史を紐解きつ つ、腸管幹細胞が障害を受けた際の組織動態について、最新の研究成果と将来展望をまとめた。
キーワード:急性放射線症、腸管、幹細胞、Lgr5、ターンオーバー
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