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Academic year: 2021

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構造の数理

日 第 回目の講義

渕野 昌

神戸大学大学院 システム情報学研究科

一筆書きのできる多重グラフの特徴付け オイラーの定理とその逆

神戸大学 年度後期の講義

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(2)

前回の復習と補足 グラフ

構造の数理

注意ここで言うグラフは,高校の数学などで習う,「関数のグ ラフ」とは別の概念である.

グラフ とは,頂点 複数 の集まりと,それ らのうちのいくつかの頂点のペアを 辺 でつなげた構造 物のこととする.たとえば,次のようなものはグラフとみなせる

後で,無限個の頂点や辺を持つグラフも考えることにするが,

そのようなものは 無限グラフ と呼ぶことにして,ただグラフと 言ったときには,頂点の数も辺の数も有限とすることにする.

(3)

グラフ

構造の数理

以下では,グラフを考えるときには頂点の辺によるつながり具 合だけを問題とする.たとえば,次のつのグラフは同じものと みなす

(4)

グラフ

構造の数理

頂点の間に複数の辺があったり,頂点にループとして辺が つながっていたりするグラフを考察することが必要になることも ある.このようなグラフのことを 多重グラフ とい うことにする.たとえば次のものは多重グラフである

ループを含まず,どの異なる頂点もつの辺だけでつながっ ているか,辺でつながっていないか,のどちらかであるようなグ ラフは 一重グラフ あるいは単に グラフ と呼ぶことにする.だだ し一重グラフも多重グラフの特別な場合と考える.

(5)

グラフ

構造の数理

平面上に辺が交錯しないように書くことのできないようなグラ フや多重グラフも考えることにする.たとえば,

は平面上では辺が交錯しないように実現することは不可能である.

どのようなグラフ あるいは多重グラフ が平面上で実現でき るか,という問題は応用上も重要だが,これについても後で考察 することにする.

(6)

多重グラフの一筆書き

構造の数理

多重グラフ が与えられたとき, が一筆書きできるかどう か,という問題を考える.まず,次の概念を導入する だたし一 筆書きは必ずしも平面上で行なわれるとはかぎらない

を の頂点のつとするとき, につながっている辺の数を

の次数 とよぶことにする.ただしループは二重に数 えることにする.

が連結 であるとは のどの頂点からどの頂点 へも辺をたどって到達することができること,とする.多重グラ フが連結でなければ,一筆書きできないことは明らかだから,一 筆書ができることの考察では連結なグラフだけを考えればよい.

今回の講義と次回の講義での目標は次の定理の証明である 定理. 任意の連結な多重グラフ が一筆書きできるのは,次 の のうちのつが成り立つちょうどそのときである

のすべての頂点の次数は偶数である.

の頂点で次数が奇数になるものがちょうどつある.

(7)

多重グラフの一筆書き

構造の数理

定理. 任意の連結な多重グラフ が一筆書きできるのは,次 の のうちのつが成り立つちょうどそのときである

のすべての頂点の次数は偶数である.

の頂点で次数が奇数になるものがちょうどつある.

この定理の主張は,

が成り立つのは,!" のどちらかが成り立つちょうどそ のときである

という論理構造を持っている.これは,

が成り立つなら,!"のどちらかが成り立つ.また,!" のどちらかが成り立つなら が成り立つ.

ということと同値である.

(8)

多重グラフの一筆書き

構造の数理

上に述べたことから,この定理の主張は,次のつの主張に分 解できることがわかる

定理 オイラーの定理, 享保(きょうほう) .任 意の連結な多重グラフ が一筆書きできるなら,次の のうちのつが成り立つ

のすべての頂点の次数は偶数である.

の頂点で次数が奇数になるものがちょうどつある.

定理 オイラーの定理の逆. 任意の連結な多重グラフ につ いて,次の のうちのつが成り立つなら は一筆書き が可能である

のすべての頂点の次数は偶数である.

の頂点で次数が奇数になるものがちょうどつある.

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オイラーの定理の証明

構造の数理

定理 オイラーの定理, 享保(きょうほう) .任 意の連結な多重グラフ が一筆書きできるなら,次の のうちのつが成り立つ

のすべての頂点の次数は偶数である.

の頂点で次数が奇数になるものがちょうどつある.

証明. の一筆書きで,始点と終点となっている頂点が同じ場 合と,異る場合にわけて考える.

(10)

オイラーの定理の証明

構造の数理

の一筆書きで始点と終点となっている頂点が同じ場合.

始点 と 終点 になっている頂点

その他の通過点となっている頂点

この場合には, が成り立つ.

(11)

オイラーの定理の証明

構造の数理

の一筆書きで始点と終点となっている頂点が異なる場合.

始点 と 終点 になっている頂点

その他の通過点となっている頂点

この場合には,が成り立つ.

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歴史に関するリマーク

構造の数理

オイラー #$ %& '' 宝永( ) '*+ 天明+ は,上の定理を証明して,「クーニヒスベルクの橋の問題」 に解が ないことを示した(これについては次回話す予定).

注意.来週は休講にします.

参照

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