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構造の数理

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Academic year: 2021

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(1)

構造の数理

回目の講義

渕野 昌

神戸大学大学院 システム情報学研究科

の定理

神戸大学 年度後期の講義

!

(2)

の定理 の特殊な形 構造の数理

問題. 任意の自然数 に対して,

個以上の頂点を持つすべてのグラフ に, 少なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むこ とができる

が成り立つような数 が存在するか?

昭和

これよりもっと一般的な存在定理を証明している.

!"# $ %&'昭和

の結果とは独立. の値の評価を与えている.

(3)

の定理 構造の数理 定理. 任意の自然数 に対して,

個以上の頂点を持つすべてのグラフ に, 少なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むこ とができる

が成り立つような数 が存在する.

帰納法で証明する.

証明を帰納法に乗せるために,もとの主張ではなく,それより さらに一般的でより強い主張を証明する,という前にも何度か出 てきたパターンを用いる(

定理 を正の自然数とする.頂 点の数が "

以上の任意のグラフには, の少 なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むことがで きる.

(4)

の定理 構造の数理 定理 を正の自然数とする.頂 点の数が "

以上の任意のグラフには, の少 なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むことがで きる.

は,

と書くこともある.

は, 個のものから 個選び出す選び方の総数である.

) *

* *

である.

*) は, 個のものを一列にならべる並べ方 の総数である.

したがって, *

*

個のものから 個のものを選んで 一列に並べる並べ方の総数となる.

よって, *

* *

個のものから 個のものを選ぶ選び方 の総数になる.

(5)

の定理 構造の数理 定理 を正の自然数とする.頂 点の数が "

以上の任意のグラフには, の少 なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むことがで きる.

は,

と書くこともある.

は, 個のものから 個選び出す選び方の総数である.

) *

* *

である.

*) は, 個のものを一列にならべる並べ方 の総数である.

したがって, *

*

個のものから 個のものを選んで 一列に並べる並べ方の総数となる.

よって, *

* *

個のものから 個のものを選ぶ選び方 の総数になる.

(6)

の定理 構造の数理 定理 を正の自然数とする.頂 点の数が "

以上の任意のグラフには, の少 なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むことがで きる.

は,

と書くこともある.

は, 個のものから 個選び出す選び方の総数である.

) *

* *

だから, "

)

+ *

* *

ある.

!",-%& の定理で,) と置くと,

系.頂点の数が

以上の任意のグラフには, の少なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むこと ができる.

(7)

の定理の証明 構造の数理 定理 を正の自然数とする.頂 点の数が "

以上の任意のグラフには, の少 なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むことがで きる.

証明. ) または ) の場合 ½ ½ 点からなる グラフだから,任意のグラフに誘導された部分グラフとして埋め 込める.したがって特に "

以上の頂点を持つグラフに 対し,この主張が成り立つ.

) または ) の場合 ) とする.¾ は辺で繋 がっていない頂点だから,もし ¾ がグラフ に埋め込めない なら, は完全グラフである.したがって, "

) 個以 上の頂点を持つグラフに対して,¾ のどちらかが誘導され た部分グラフとして埋め込める. ) のときも同様( このと きには ¾ に埋め込めないなら, の頂点の数を とする と, ) である.

(8)

の定理の証明 構造の数理

+ に関する帰納法で,定理を証明する.+ 'なら,

のどちらかは となるから,前ページで示したことから,

定理は成り立つ.

したがって, ' で,+ となる . に対しては定 理が成り立つと仮定して, + ) となるような . に対し ても定理が成り立つことを示せばよい. 次の公式を使う(

)

+

ただし,. とする.

/ 個のものから 個選ぶ選び方は, 個のもののうちの£ を固定して,£ 以外の 個の中から 個選ぶか,£ を選び,

残りの 個の中から 個選ぶかのどちらかである.0 この式の + を代入すると(

"

)

" #

+

" #

(9)

の定理の証明 構造の数理

""

)

" #

+

" #

この式を少し変形して

""

"

+

"

ここで,頂点の数が, "

以上のグラフ を考える.

の頂点の£ を固定して, から £ を除いて得られるグ ラフを ¼ とする.このとき,上の不等式から,

£ は,

"

個以上の頂点のどれとも繋がっていないか,

"

個の以上の頂点のどれとも繋がっているか のどちらかが成り立つ.

(10)

の定理の証明 構造の数理

£ は,

"

個以上の頂点のどれとも繋がっていないか,

"

個の以上の頂点のどれとも繋がっているか のどちらかが成り立つ.

の場合には,¼ £ と繋がっていない頂点の全体から誘 導された の部分グラフを ¼¼ とすると,帰納法の仮定から,

¼¼

α

β

 ½ を誘導された部分グラフとして埋め 込める.

α

の場合には, にも埋め込めるからよい.

β

の場合 には,  ½ 埋めこんだ先を¼ ¼¼ とすると,¼ £ を加え たものは, への誘導された部分グラフとしての埋め込み になっている.したがって両方の場合について定理が成り立つ.

の場合にも同様である 演習

(11)

ラムズィー数 構造の数理

上の定理から次が得られた( 系.頂点の数が

以上の任意のグラフには, の少なくともつを誘導された部分グラフとして埋め込むこと ができる.

自然数 に対し,

頂点の数が 以上の任意のグラフに の少なくとも つを誘導された部分グラフとして埋め込むことができる.

を満たすような数のうち最小のものを と書く. に対応する ラムズィー数 と呼ばれている.

前回に示した !"# の定理と,!"#-%& の定理の系により

である.

(12)

ラムズィー数 構造の数理 上の証明と,前回に示したことから )) )1 である.1 は演習問題とした

2)である 34"-35. ''

'から先は値が判っていない.

2'2.11' などが知られている.

)'1'1'222.

).

)6.

$

$

)' なので,上の ' 1の評価は,!"# 定理と !"#-%& の定理による下限と上限の評価よりずっと シャープな 精度の高い ものになっていることがわかる.

上限と下限が判っているので,原理的には有限個の場合につい てしらみつぶしに計算すれば値が求まるはずだが,場合の数が多 すぎて,そのような計算では宇宙の始まりから今までの時間より 長い時間がかかってしまう可能性もある!

(13)

ラムズィー数 構造の数理 次は !"# が,生前,彼の講演でよく話していたジョークで ある(

7 宇宙人が地球を侵略しに来て'の値を一年の間に求められ なければ地球を滅ぼす,と言ったとしたら,世界の最高の知性 とコンピュータをかきあつめればなんとかなるだろう.しかし,

もし 1の値を一年の間に求められなければ地球を滅ぼす,と 言ったのだったら,覚悟をきめて宇宙人に反撃する決断を下す べきである.8

演習問題. ' 1の値をすべての場合をしらみつぶしに調 べるやり方で求めるとすると,最悪どのくらいの時間が必要にな るかを評価してみてください.

(14)

エルデシュ ! " 構造の数理

    

大正     ! 平成"#$

参照

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