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図2 東京23区における店舗 事業所の入替率 年 500mメッシュ集計 ることにより 店舗 事業所ごとの時系列変化の 様子を明らかにした例である さらにこの結果を 図3 Hotpepper APIで収集した店舗情報を住宅地図 とリンクして表示した例 東京都中央区銀座付近の例 201

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近年、コンピュータやその周辺機器の高性能 化・低価格化、またインターネットの利用環境の 整備が急速に進んできた。それに伴い従来は一部 の研究者・実務者が利用するものであった高精細 なデジタル地図や衛星画像も我々にとって身近な ものになりつつある。また近年では携帯電話の GPS機能によって集められる人流情報や、それら を加工したモバイル統計なども注目されている。 さらにWebには日々膨大な情報が蓄積され続けて いる。 このように今日、膨大な規模のデータ、いわゆ る「ビッグデータ」が次第に身近な存在になりつ つあり、ビッグデータを有意義に利活用しようと する試みも、産学官の様々な領域で始まっている。 そして都市・地域分析の領域ではそんなビッグデー タの中でも、特に位置情報や時間情報を持つビッ グデータである「マイクロジオデータ(以下MGD)」 を活用した研究が今後盛んになると考えられる。 MGDを適切に取得し加工することで、都市・ 地域分析に利用可能な鮮度の高い非集計の時空間 データを大量に収集し、きめ細やかな都市センシ ングが可能になりつつある。そこで本稿ではそん なMGDを活用した、都市センシング技術に関す る我々の研究事例を紹介する。 デジタル電話帳は電話帳に掲載された店舗・事 業所の情報(店舗名称・住所・業種等)をデジタ ル化したデータである。デジタル電話帳を用いる ことで店舗や事業所の詳細な位置(これは住所の みでなく階、部屋番号のレベルまでである)を把握 することができる。さらに異なる時点の電話帳を 用いて店舗・事業所の時系列変化、即ち店舗・事 業所の異なる時点間での存続・入替・新設・廃業 の様子を可視化することができる(秋山ほか1) 図1は2003年と2008年の電話帳を個店単位で空 間的に結合し、それらの名称の変化を自動検出す デジタル電話帳を用いた店舗・事業所の時 系列変化の可視化 はじめに 東京大学地球観測データ統融合連携研究機構特任助教

秋山 祐樹

(あきやま ゆうき) 図1 新宿駅周辺における店舗・事業所ごとの時系列 変化の様子(2003∼2008年)

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ることにより、店舗・事業所ごとの時系列変化の 様子を明らかにした例である。さらにこの結果を 集計することで、都市の店舗・事業所の変化の活 発さを把握することもできる(図2)。なおデジ タル電話帳は最短で2カ月に1回更新されている ため、このようなデータを高頻度に更新すること もできる。任意の地域の店舗・事業所の移り変わ りの様子を、業種別に個店単位で、しかも高頻度 に更新しながら把握することが技術的には既に可 能になっている。 Web APIサービスとはウェブサービスを利用 するためのAPIのことである。近年では主なサー チエンジン(例:Google,Yahoo Japan! 等)や地 図検索サービス(例:Googleマップ,Bing 地図等)、 企業の各種ウェブサイトがこのサービスを導入し ており、これらを用いることでサーチエンジンに よる検索結果、任意の地域の地図情報、商品情報 や店舗情報などの収集が可能である。図3はWeb APIの一つであるHotpepper APIを用いて収集し た店舗情報を住宅地図とリンクした例である。電 話帳や住宅地図を用いて収集できる店舗情報と比 較すると、その収集可能件数は少ないものの、デー タの鮮度や収集できる情報量の豊富さ(例:座席 数・駐車場有無・喫煙席有無等)に強みがある。し かも常に更新され続けているためデータの鮮度も 高い。これを前述したデジタル電話帳と組み合わ せ、店舗情報の更新・補完を行うことも可能であ る。 サーチエンジンのAPIを用いることで、検索キー ワードのヒット件数を収集することができる。 Webでのヒット件数が多い店舗や地域は、現実空 間でも注目度が高い多くの人々が集まる評判の高い 地域(ホットエリア)であると期待できる。図4 はこの考え方に基づき、世田谷区においてホット エリアを可視化した例である(Akiyama et al.2) デジタル電話帳から得られた店舗名と住所情報を サーチエンジンのAPIで検索することで店舗ごと のヒット件数を収集し、そのヒット件数をメッシュ ごとに集計した結果である。メッシュの高さが高 い地域はヒット件数の多い地域である。またメッ シュの色によって1店舗あたりのヒット件数を把 サーチエンジンから得られるヒット件数を 用いたホットエリアの検出 Web APIサービスを用いた店舗・事業所の 情報収集 図2 東京23区における店舗・事業所の入替率 (2003∼2008年 500mメッシュ集計) 図3 Hotpepper APIで収集した店舗情報を住宅地図 とリンクして表示した例 (東京都中央区銀座付近の例[2011年])

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握することができる。図4では三軒茶屋が店舗数 も多く、店舗あたりのヒット件数も多いホットエ リアとなっていることが分かる。 検索エンジンによってヒットしたウェブサイト の情報を解析し有意義な情報を収集することもで きる。図5は先の例と同様に電話帳の店舗名称や 住所をサーチエンジンのAPIで検索することで得 られたウェブサイトのhtmlを解析することで、店舗 ごとの営業時間を収集した例である(秋山ほか3)・岡 本ほか4)。また図6では収集した営業時間に応じ て時間ごとに営業している店舗の様子を可視化し た例である。東京23区の約50万件にも及ぶ店舗・ 事業所に営業時間を付加することで、ダイナミッ クに変化する東京の1日をスケールシームレスに センシングすることが可能になる。 既存のMGDを活用して、都市センシングに役 立つ新しいMGDを開発することも、興味深い研 究テーマである。「商業集積統計」もそんな新し いMGDの一つである。 「商業集積統計」とは日本全国の商店街・商業 地域の分布を観察できるデータセット(ポリゴン データ)である。商店街・商業地域の分布のみな らず、その広がり(形状)までを全国規模で観察 できる我が国で初めてのデータである。また商業 地域ごとの店舗数、業種別店舗数、チェーン店率 等の情報も把握することができる。 商業集積統計はデジタル電話帳より得られた実 際の店舗・事業所の分布データを用いて作成され る。まず商店街や商業地域を構成するデータを独 自の業種構成を用いて抽出しポイントデータ化す る。続いて各ポイントから独自の空間処理を行い、 新しいMGDの開発1「商業集積統計」 サーチエンジンから得られる検索結果の解 析による情報収集 図4 サーチエンジンAPIから得られる店舗ごとのヒ ット件数を用いたホットエリアの検出 (東京都世田谷区全域の例[2009年]) 図5 サーチエンジンAPIから得られるウェブページ のhtmlを解析することで得られた店舗ごとの営 業時間 (福岡県福岡市博多区中洲の例[2012年]) 図6 営業中店舗を時間別にプロットした例 (東京都23区[2012年])

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商業地域を構成する領域を描くポリゴンを発生さ せる。この手法では一つ一つの商業地域が分布す る地域の平均的な店舗間距離を自動的に計算する 手法を採用し、いわば地域ごとの「癖」を認識す ることで、私たちの実感に近い商業地域・商店街 単 位 ポ リ ゴ ン デ ー タ を 作 る こ と が 実 現 し た (Akiyama et al.5)6)。同手法を日本全国約3000万 件のデジタル電話帳に適用することで日本全国の 商業集積統計の整備も実現している(図7)。 商業集積統計を使えば商業地域の現状と変化の 様子を様々な視点からセンシングすることができ る。例えば図8は青森市において2007年と2011年 の商業集積統計を重ねあわせた結果である。青森 市郊外に2011年までに衰退・消滅した商業集積地 域が点在している一方で、新たに形成された商業 地域も見られることが分かる。また青森駅前でも 商店街が歯抜けになりつつあることが分かる。 同データは既にいくつかの研究で利用が開始さ れており、東京大学空間情報科学研究センターの 共同研究利用システムでの利用環境も整備されて いる。またマーケティングコンテンツとして共同 研究企業から商品化も実現している7) 我が国では人口の分布とその動態把握のために 国勢調査が広く利用されている。しかし現在公開 されている国勢調査は、自治体単位や地域メッシュ 単位に集計されており、詳細な人口分布状況の把 握は困難である。またメッシュ等に集計されるこ とで、実際には空間的に人口が偏在している地域 においても、その分布が均質化して表現されると いう課題もある。近年、防災計画のための詳細な 地域分析や、社会変動に対する最適なサービス提 供等のシーンにおいて、高精細で信頼性の高い人 口の分布情報が求められている。そのような中で 既存の統計情報の上述した制約がもたらす影響は 大きい。 そこで我々は建物一棟一棟の位置と形状(面積) の情報を持つ住宅地図に対し、国勢調査の複数の 統計表から得られる世帯・居住者に関する情報 を、その他の各種統計情報との組み合わせにより 建物一棟一棟に確率的に配分し、世帯・居住者の 推定分布データである「マイクロ人口統計」を開 発した(Akiyama et al.8))。同データはいわば国 勢調査を「擬似的に非集計化」したデータであり、 任意の集計単位で集計できる人口統計である。す 新しいMGDの開発2「マイクロ人口統計」 図8 青森市における商業集積地域の分布の変化 (2007年・2011年) 図7 日本全国の商業集積統計(2009年)

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なわち非集計の状態では真値とは必ずしも一致し ないが、街区やメッシュ等の単位で集計すること で真値を再現できるデータである。図9ではマイ クロ人口統計を街区単位(概ね番地単位)で集計 した人口と、250mメッシュで集計した高齢化率 を示している。同データも既にいくつかの研究で の利用が開始されており、我々も同データを用い て日本全国を対象に大規模地震発生時の人的被害 予測を行っている(秋山ほか9) これまで都市で流動・滞留する人々の数や、あ る特定の商業施設や商店街への来訪者数の把握 は、現地調査やアンケート調査を用いて行われる のが一般的であった。これらの手法によって収集 した情報は比較的信頼性が高く、調査者が意図し たレベルの情報を収集できる利点があるものの、 調査に多大な労力と時間を要するため、同様の調 査を広域に渡り高頻度に実施することは困難であ る。 上記の課題に対して近年注目されているのが携 帯電話のGPSログデータ(以下GPSデータ)の活 用である。既にこれまでにGPSデータを用いて、 広域を移動する人々の行動の把握が試みられてい る。さらに近年ではアプリなどのサービスを通し て、利用者の許諾を得て蓄積されたGPSデータを 用いて、広域かつ継続的に大量の人々の人流状況を 把握することも可能になりつつある(関本ほか10) 図10はある1日のGPSデータ11)の観測点の分布 を可視化したものである。この図に表示されてい るだけで十数万点にも及ぶ観測点が取得できる。 これが日本全国では1日約2400万点、1年間では 約90億点という膨大な規模のデータとなる。しか もこれが日々蓄積され続けている。 携帯電話のGPSログデータを用いたダイ ナミックな人流状況の把握 図9 マイクロ人口統計による小地域での人口と高齢化率の把握(2005年国勢調査ベース) 図10 新宿駅周辺における携帯電話のGPSログデー タによる観測点の分布 (2011年4月18日)

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大規模なGPSデータの登場は、任意の日時、任 意の地域の人流の把握を可能にしつつある。例え ば図11は2011年3月11日の東日本大震災発生前 後の首都圏での人流の様子である(上山ほか12) 13))。震災発生後に公共交通機関がストップした ことにより、人々の流れが停滞していることがよ く分かる。またGPSデータを解析することで、 人々が滞留している地点の抽出も可能である(秋 山ほか14))。図12は1年間分のGPSデータから抽 出した滞留点と前述した商業集積統計を組み合わ せ、独自の拡大係数による計算を実施することで、 東京23区において商業地域の来訪者数を推定した 結果である。また図13は平日と土日の時間帯別平均 来訪者数を東京23区内の主な商業地域で観察した 例である。同様の結果は日別にも作成することが可 能であり、今後は天候やイベント(祝日・祭り等) の発生による人流状況の変化と商店街の盛衰につ いてその関係を分析していきたいと考えている。 このように近年、MGDを用いた様々な都市セ ンシング技術が実現しつつある。従来は考えられ なかったほど高精細で広域をカバーできるデータ が 日 々 蓄 積 ・ 更 新 さ れ 続 け て お り 、 こ う し た MGDの活用は今後の都市の把握・解析に関する 研究領域において一つのトレンドになるものと考 えている。そのような時代の到来に備えてMGD をハンドリングし、解釈するための技術と知識を おわりに 図11 GPSデータによる東日本大震災発生直前と直 後の首都圏における人流の変化 図13 東京23区の主な商業地域における来訪者数の 時系列変化(平日及び土日平均) 図12 東京23区における商業地域ごとの来訪者数の 推定(2010∼2011年平均)

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センスも求められてくると考えられる。 このようにMGDは本格的な利活用がようやく 始まった段階であり、今後様々な領域の研究者・ 有識者を巻き込んで、その有意義な利活用方法を 議論していくべきであろう。我々はそうした場と して「マイクロジオデータ研究会」15)を組織し、 MGDの普及・開発・利活用を進めている。本研 究会、また本稿で紹介したデータに興味を持たれ た方は是非著者にご一報頂きたい。 【補足】 本稿で掲載した図表の高精細版(カラー)をご 覧頂けます。 http://shiba.iis.u-tokyo.ac.jp/member/akiyama/ chiiki2013/chiiki2013images.html 1) 秋山祐樹・ 柴崎亮介(2011)「位置と名称情報を 持つ店舗・事業所データの時空間結合手法の開 発−都市地域分析への応用に向けて−」,GIS−理 論と応用, Vol19(2), pp.1-11.

2) Akiyama, Y., Sengoku, H., Shibasaki, R. (2009), "An Attempt of Regional Analysis Using Web Search Result of Geographic Information", 2009 Korea Japan GIS International Symposium Joint Conference of KAGIS Fall Symposium, pp.84-87 3) 秋山祐樹・岡本裕紀(2012)「商店街活性化に一 役Ⅴ 商業地域の1日の変化を追う」,GIS NEXT, 第38号, pp.60-61, 2012.01.26 4) 岡本裕紀・秋山祐樹・上山智士・柴崎亮介(2012) CUPUM2011, F-TC-3(1). 6) 商業集積統計の紹介 http://shiba.iis.u-tokyo.ac.jp/member/akiyama/ ca_intro/ca_intro.html 7) 株式会社ゼンリン 商業集積統計データ2012 h t t p : / / w w w . z e n r i n . c o . j p / p r o d u c t / g i s / marketing/marketing02.html

8) Akiyama, Y., Takada, T. and Shibasaki, R.(2013) "Development of Micropopulation Census through Disaggregation of National Population Census", CUPUM2013 conference papers, 110. 9) 秋山祐樹・小川芳樹(2013)「国土スケールにお ける大規模地震への災害対応力の定量的評価と我 が国の防災政策への提案」,平成24年度国土政策 関係研究支援事業 10)関本義秀・Teerayut Horanont・柴崎亮介(2011) 「携帯電話を活用した人々の流動解析技術の潮 流」, 情報処理, 52(12), pp.1522-1530. 11)株式会社ゼンリンデータコム「混雑統計(R)」 12)上山智士・秋山祐樹・柴崎亮介(2012)「大規模 移動データの可視化システム」,第21回地理情報 システム学会講演論文集, F-4-3. 13)混雑統計データ(R)による東日本大震災当日の 人々の流動状況 http://www.youtube.com/watch?v=fp6oI58sHco 14)秋山祐樹・ティーラユット ホラノン・柴崎亮介 (2013)「大規模人流データを用いた商業地域にお ける来訪者数の時系列分析」,第22回地理情報シ ステム学会講演論文集(C-5-4) 15)マイクロジオデータ研究会ホームページ http://geodata.csis.u-tokyo.ac.jp/mgd/

参照

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